説明

スイッチ装置

【課題】ごくわずかな押圧操作で第1の接点が入り、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を提供する。
【解決手段】本発明のスイッチ装置は、可動接点2と、可動接点2上に配置される弾性体3と、押圧操作されることにより弾性体3を動作させる操作体4と、可動接点2,弾性体3および操作体4を収容する収容部1aを備え、収容部1aの内底部に第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dとを有するケース1とからなり、
操作体4への押圧操作により弾性体3が略平行に移動し、第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとが可動接点2を介して電気的に接触することにより第1の接点が接続し、
操作体4へのさらなる押圧操作により、ドーム部3cが反転し舌片部2cが押圧され、第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dが可動接点2を介して電気的に接続し第2の接点が接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の入力手段等として用いられる押圧操作型のスイッチ装置に係り、特に、ごくわずかな押圧操作量で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドーム状の可動接点を押圧操作すると、この可動接点がクリック感を伴って反転して固定接点と導通するように構成された小型のスイッチ装置が種々提案されている。
【0003】
かかるスイッチ装置においては、通常、ケースの内底面に中央固定接点と外側固定接点が離間して配設されており、ドーム状の可動接点が、その中央部を中央固定接点と接離可能に対向させて周縁部を外側固定接点に常時接触させた状態でハウジングの内底面上に搭載されている。そして、可動接点の中央部が押圧操作されると可動接点が反転し、可動接点を介して中央固定接点と外側固定接点とが導通されるとともに、可動接点の反転動作によってクリック感が生起されるようになっている。
【0004】
この種のスイッチ装置は電子機器の入力手段としてさまざまの用途で採用されているが、一部の用途で、スイッチ装置に触ると第1の接点が接続し、のち、スイッチ装置を押圧操作することで第2の接点が接続するスイッチ装置が求められる。以下、このような動作を行うスイッチ装置をプリセンス付きスイッチ装置と記述する。
【0005】
プリセンス付きスイッチ装置は、自動車のセンターコンソールの各種操作スイッチや、視覚障害者向けのリモコンのスイッチ等の用途に用いられる。
このような用途では、操作者は機器の操作面の表示を認識せずに機器を操作するので、操作者が軽くスイッチに触ったときに第1の接点が接続し、触ったスイッチの名称や機能を、例えば音声で読み上げる等の方法で操作者に知らせ、操作を意図したキーであることが確認されると操作者はスイッチを押して意図した操作ができるという操作方法が有効と考えられる。
【0006】
上記の様な操作方法を実現するために、プリセンス付きスイッチ装置では、ごくわずかな押圧操作の操作量で第1の接点が接続し、のち、明確な移動となる操作量での押圧操作で第2の接点が接続することが求められる。この様な動作を行うスイッチ装置として、例えば、特許文献1に記載されているスイッチ装置が知られている。
【0007】
特許文献1に記載されている従来のスイッチ装置は、図11に示すように、基板101上に第1接点用パターン102a,102bおよび第2接点用パターン103a,103bが形成され、それらのパターンを囲んで第1リング状ラバー104が基板101上に取り付けられ、第1リング状ラバー104より一体に上端が解放の第1ドーム状ラバー105が突設され、第1ドーム状ラバー105の上端に第2リング状ラバー106が取り付けられ、第2リング状ラバー106より第2ドーム状ラバー107が突設され、第2ドーム状ラバー107の天井壁より一体に操作ボタン108が突設される。また、第2リング状ラバー106の底面に第1可動接点109が取り付けられ、第2ドーム状ラバー107の天井面に第2可動接点110が取り付けられる。
【0008】
外力を加えて操作ボタン108を押圧すると、最初に第1ドーム状ラバー105が折り返されて第1可動接点109が第1接点用パターン102a,102bに当接し、次に第2ドーム状ラバー107が折り返されて第2可動接点110が第2接点用パターン103a,103bに当接する。
これにより、操作量を大きくして2段のクリック感を識別し易くする、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−111134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、特許文献1に記載されている従来のスイッチ装置では、最初の押圧操作で第1の接点が接続し、のち、さらに押圧操作することで第2の接点が接続する、という2段階のスイッチ動作が可能となる。しかしながら、従来のスイッチ装置では、押圧操作時にドーム状のラバーが折り返されて可動接点が固定接点に当接するものとなっており、第1の接点が接続するためには大きく押圧する必要があり、かつ、大きな操作力が必要であった。
【0011】
これに対し、ドーム状のラバーの厚さを薄くする、または、ドーム状のラバーの材質を柔らかくすることにより、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が軽い操作力で接続するようにすることが考えられるが、この場合にはドーム状のラバーの強度が低下し、スイッチ装置が繰り返し押圧操作されると、ドーム状のラバーが繰り返し折り返され、ラバーが折り返し部分で破損する恐れがあった。
【0012】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために、本発明の請求項1によるスイッチ装置では、可動接点と、前記可動接点上に配置される弾性体と、押圧操作されることにより前記弾性体を動作させる操作体と、前記可動接点,前記弾性体および前記操作体を収容する収容部を備えるとともに、前記可動接点と接離可能とされ、前記収容部の内底部に電気的に独立した第1固定接点,第2固定接点および第3固定接点とを有するケースとからなるスイッチ装置において、
前記可動接点は、前記弾性体を水平に戴置できる載置部と、前記載置部を前記ケースの内底部から離間させるように保持する複数の脚部と、前記第3固定接点と接離する舌片部とを備え、
前記弾性体は、前記載置部に配置される立設部と、立設部の上部にドーム部を有し、ドーム部の頂部に前記舌片部を操作する舌片操作部とを備え、
前記操作体への押圧操作により、前記載置部に配置された前記弾性体が略平行に移動するとともに、前記第1固定接点および前記第2固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接触し、前記操作体へのさらなる押圧操作により、前記ドーム部が反転し前記舌片操作部が移動して前記舌片部を押圧操作し、前記第3固定接点と前記舌片部とが接触して前記第1固定接点,前記第2固定接点および前記第3固定接点が前記可動接点を介して電気的に接触すること、を特徴とする。
【0014】
この構成によれば、操作体が押圧操作されていないときは可動接点の載置部は複数の脚部によりケースの内底部から離間しており、可動接点は第1固定接点,第2固定接点および第3固定接点のいずれとも接触していないが、操作体がわずかに押圧操作されると弾性体が下方に移動させられ可動接点も下方に移動させられる。これにより可動接点の載置部が第1固定接点および第2固定接点に接触し、第1固定接点と第2固定接点が可動接点を介して電気的に接続され、第1固定接点と第2固定接点で構成される第1の接点が接続する。操作体がさらに押圧操作されると、弾性体のドーム部が反転しクリック感が生起されるとともに、操作体および弾性体の舌片操作部が下方に大きく移動し、舌片操作部が可動接点の舌片部を押し下げることにより、可動接点の載置部が第1固定接点と第2固定接点に接触したまま、舌片部が第3固定接点と接触し、電気的に接続されている第1固定接点,第2固定接点と、第3固定接点で構成される第2の接点が接続する。これにより、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を構成することが可能となる。
【0015】
また、本発明の請求項2によるスイッチ装置では、前記ケースにはガイド部が設けられ、前記弾性体が略平行に移動するときに、前記ガイド部が前記弾性体の少なくとも一部をガイドすること、を特徴とする。
【0016】
この構成により、操作体がわずかに押圧操作され弾性体が下方に移動させられるときに弾性体が安定して平行に移動できるので、第1の接点の確実な接続動作が可能となる。
【0017】
また、本発明の請求項3によるスイッチ装置では、前記ケースと前記操作体には前記操作体が上方に移動することを制限する係止部を有し、前記弾性体と前記操作体が対向するそれぞれの面の少なくとも一方には、前記操作体を反操作方向に付勢するための弾性突出部が設けられていること、を特徴とする。
【0018】
この構成により、操作体が反押圧方向に抜け出すことを防止することができるとともに、ケースの係止部と操作体の係止部に隙間が生じた場合でも、弾性体と操作体の少なくとも一方に設けられた弾性突出部が操作体の係止部がケースの係止部に係合するまで反押圧方向に付勢するので、押圧していないときに操作体が不安定になることが回避でき、安定した押圧操作が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置で、(a)は平面図、(b)は図2の(a)のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の図2の(a)のA−A位置の断面図で、(a)は第1の接点が接続した状態を示す断面図で、(b)は第2の接点が接続した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例に係るスイッチ装置の構造を示す、図2の(a)のA−A位置の断面図である。
【図5】特許文献1に示される従来例のスイッチ装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1を参照に、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の構成を示す分解斜視図である。スイッチ装置は図1に示すように、ケース1,可動接点2,弾性体3および操作体4により構成される。
【0023】
ケース1は成形材等で形成された上方が開放された略箱状の部品で、開放された中空部は可動接点2,弾性体3および操作体4を収容する収容部1aとなる。また、収容部1aの内底面の略中央部に第3固定接点1dを有し、内底面の中央部と内側面の略中間位置に、第3固定接点1dを挟むように第1固定接点1bと第2固定接点1cが設けられている。さらに、第1固定接点1bと第2固定接点1cの外側に内底面からわずかに突出する略リング状の座面部1fを有する。
【0024】
第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dはそれぞれケース1の内部にて延出してケース1の外部に突出し、それぞれ端子部1gとなる。
【0025】
可動接点2は、ステンレス等の金属材料を略円板状に形成した部品で、中央に円板状の舌片部2cを有し、舌片部2cを取り囲むようにリング状の載置部2aを有し、舌片部2cと載置部2aは略方形の接続部2dで接続されている。載置部2aのさらに外側にはリング状の外周部2eを有し、外周部2eと載置部2aは複数の脚部2bで接続されている。
【0026】
載置部2aには第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと対向する部分にそれぞれ複数の接触用小突起を有し、また、舌片部の第3固定接点1dと対向する部分にも複数の接触用小突起を有する。なお、舌片部2cと載置部2aを接続する接続部2dは舌片部2cが第3固定接点1dから離間する方向に曲げられている。
【0027】
弾性体3はゴム等の弾性に富む材料を形成した部品で、下面側は略円筒状の立設部3aで、立設部3aの上方に中空の略円錐形状のドーム部3cが設けられ、ドーム部の上方は円板状の天板部3dとなる。ドーム部3cの中空部分に露出する天板部3dの下面には下方に突出する略円柱状の舌片操作部3bを有する。
【0028】
操作体4は成形材等で形成された、下方が開放された略箱状の部品で、開放された中空部の天面から下方に略円柱状の押圧部4aが突出して設けられている。
【0029】
次に、図2を参照に、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の組み立て構成を説明する。図2の(a)は本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の平面図で、図2の(b)は図2の(a)のA−A断面図である。
【0030】
本スイッチ装置は、ケース1の収容部1aの内底面の座面部1fに可動接点2を置設し、可動接点2の載置部2aに立設部3aが当接するように弾性体3を載置し、ケース1の収容部1aの弾性体3の上方に操作体4を挿入することにより組み立てられる。
【0031】
可動接点2は外周部2eがケース1の内底面からわずかに突出した座面部1fと当接しており載置部2aは複数の脚部2bにより外周部2eに接続されているので、載置部2aは第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとは離間している。また載置部2aに接続された舌片部2cも第3固定接点1dとは離間している。
【0032】
操作体4はケース1の収容部1aに挿入されており上下方向に移動可能であるので、可動接点2の載置部2aに載置された弾性体3の天板部3dと操作体4の押圧部4aの下面が当接する位置で操作体4は停止している。
【0033】
次に、本スイッチ装置を押圧操作したときの挙動を、図2の(b)および図3の(a),(b)を参照に、説明する。
【0034】
図3は本発明の実施の形態に係るスイッチ装置の接点の状態を説明する図2の(a)のA−A位置の断面図で、図3の(a)は操作体4がわずかに押圧操作され第1の接点が接続した状態を示す断面図で、図3の(b)は操作体4がさらに押圧操作され第2の接点が接続した状態を示す断面図である。
【0035】
図2の(b)は押圧操作前の状態で、第1の接点を構成する第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと載置部2aは離間しており、第1固定接点1bと第2固定接点1cは電気的に接続されていないので、第1の接点は接続していない。
【0036】
操作体4がわずかに押圧操作されると、図3の(a)に示すように、操作体4はケース1の収容部1a内を下方に移動し押圧部4aが弾性体3の天板部3dを押し下げるので、弾性体3の立設部3aが可動接点2の載置部2aを下方に押し下げる。このとき可動接点2の脚部2bは弾性変形し載置部2aは下方に移動し、載置部2aは第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと接触する。これにより第1固定接点1bと第2固定接点1cは可動接点2により電気的に接続され、第1固定接点1bと第2固定接点1cで構成される第1の接点が接続する。
【0037】
ところで、可動接点2の脚部2bは容易に弾性変形可能な形状であるので、操作体4がわずかに押圧されると、図3の(a)に示すように、載置部2aは容易に下方に移動し、載置部2aは第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと接触するので、わずかな操作力で第1の接点を接続することができる。
【0038】
また、弾性体3の立設部3aの外径はケース1のガイド部1eにガイドされているので、弾性体3は傾斜せずに平行に移動することができ、安定した動作で第1の接点を接続することができる。加えて、第1の接点が接続するときには弾性体3のドーム部3cの反転動作を伴わないので、ノンクリックでのプリセンス動作が実現できる。
【0039】
すなわち、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置では、ケース1にはガイド部1eが設けられ、弾性体3が略平行に移動するときに、ガイド部1eが弾性体3の少なくとも一部をガイドするガイド部1eとなっており、この構成により、操作体4がわずかに押圧操作され弾性体3が下方に移動させられるときに弾性体3が安定して平行に移動できるので、第1の接点の確実な接続動作が可能となる。
【0040】
操作体4をさらに押圧操作すると、図3の(b)に示すように、操作体4はケース1の収容部1a内をさらに下方に移動し、押圧部4aが天板部3dをさらに押し下げ、ついにはドーム部3cが反転動作する。ドーム部3cの反転動作に伴いクリック感が生起されるとともに、載置部2aが第1固定接点1bと第2固定接点1cに接触したまま、舌片操作部3bが下方に大きく移動し舌片部2cを押し下げ、舌片部2cと第3固定接点1dが接触する。これにより第3固定接点1dと第1固定接点1bおよび第2固定接点1cは可動接点2を介して電気的に接続され、電気的に接続されている第1固定接点1b,第2固定接点1cと、第3固定接点1dで構成される第2の接点が接続する。
【0041】
以上により、操作体4のさらなる押圧操作により、ドーム部3cの反転動作に伴うクリック感と舌片操作部3bの下方への大きな移動により、明確な感触を伴って第2の接点が接続する。
【0042】
上記のように、本発明の実施の形態に係るスイッチ装置は、可動接点2と、可動接点2上に配置される弾性体3と、押圧操作されることにより弾性体3を動作させる操作体4と、可動接点2,弾性体3および操作体4を収容する収容部1aを備えるとともに、可動接点2と接離可能とされ、収容部の内底部に電気的に独立した第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dとを有するケース1と、からなり、
可動接点2は、弾性体3を水平に戴置できる載置部2aと、載置部2aをケース1の内底部から離間させるように保持する複数の脚部2bと、第3固定接点1dと接離する舌片部2cとを備え、
弾性体3は、載置部2aに配置される立設部3aと、立設部3aの上部にドーム部3cを有し、ドーム部3cの頂部に舌片部2cを操作する舌片操作部3bとを備え、
操作体4への押圧操作により、載置部2aに配置された弾性体3が略平行に移動するとともに、第1固定接点1bおよび第2固定接点1cとが可動接点2を介して電気的に接触し、操作体4へのさらなる押圧操作により、ドーム部3cが反転し舌片操作部3bが移動して舌片部2cを押圧操作し、第3固定接点1dと舌片部2cとが接触して第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dが可動接点2を介して電気的に接触する構成となっている。
【0043】
この構成によれば、操作体4が押圧操作されていないときは可動接点2の載置部2aは複数の脚部2bによりケース1の内底部から離間しており、可動接点2は第1固定接点1b,第2固定接点1cおよび第3固定接点1dのいずれとも接触していないが、操作体4がわずかに押圧操作されると弾性体3が下方に移動させられ可動接点2も下方に移動させられる。これにより可動接点2の載置部2aが第1固定接点1bおよび第2固定接点1cに接触し、第1固定接点1bと第2固定接点1cが可動接点2を介して電気的に接続され、第1固定接点1bと第2固定接点1cで構成される第1の接点が接続する。操作体がさらに押圧操作されると、弾性体3のドーム部3cが反転しクリック感が生起されるとともに、操作体4および弾性体3の舌片操作部3bが下方に大きく移動し、舌片操作部3bが可動接点2の舌片部2cを押し下げることにより、可動接点2の載置部2aが第1固定接点1bと第2固定接点1cに接触したまま、舌片部2cが第3固定接点1dと接触し、電気的に接続されている第1固定接点1b,第2固定接点1cと、第3固定接点1dで構成される第2の接点が入る。
【0044】
これにより、本発明の実施の形態によれば、ごくわずかな押圧操作で第1の接点が接続し、のち、明確な感触を伴う押圧操作で第2の接点が接続する、プリセンス付きのスイッチ装置を構成することが可能となる。
【0045】
<変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例を図4を参照して説明する。なお、実施の形態と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
図4は本発明の実施の形態の変形例に係るスイッチ装置の構造を示す図2の(a)のA−A位置の断面図である。
【0047】
本発明の実施の形態の変形例に係るスイッチ装置では、図4に示すように、ケース1の収容部1aの上端付近に内側面から突出する係止部1hが対向する2つの内側面に設けられ、また、操作体4の側面の下端付近に側面から突出する係合部4bが対向する2つの側面に設けられている。
【0048】
また、弾性体3の天板部3dの上面には略円筒状の弾性突出部3eが設けられており、天板部3dと対向する操作体4の押圧部4aには弾性突出部3eが挿入される窪み部4cが設けられている。このとき窪み部4cの深さは弾性突出部3eの高さよりわずかに浅く設定されている。
【0049】
操作体4はケース1の収容部1aに挿入されており上下方向に移動可能であるが、操作体4が上方に移動すると、やがてケース1の係止部1hと操作体4の係合部4bが係合し、操作体4はそれ以上は上方に移動できない。これにより操作体4がケース1から抜け出すことを回避できる。
【0050】
また、上記の構造で、ケース1に可動接点2,弾性体3および操作体4を組み込んだとき、弾性突出部3eがわずかに弾性変形しながら弾性突出部3eの上面が窪み部4cの内底面と当接するように弾性突出部3eの高さを設定することにより、操作体4は弾性体3の弾性突出部3eにより上方に付勢され、係合部4bがケースの係止部1hと当接して停止する。
【0051】
本発明に係るスイッチ装置では、ケース1に可動接点2,弾性体3および操作体4を組み込んだとき、ケース1の係止部1hと操作体4の係合部4bはちょうど係合するか、わずかに隙間となるように各部品の高さを設定しなければならない。これは、係止部1hと操作体4に隙間がないと、操作体4が押し下げられながら係止部1hと操作体4の係合部4bが係合するので、可動接点2が弾性変形して押し下げられ、最悪の場合には可動接点2が第1固定接点1bおよび第2固定接点1cと接触し、スイッチ装置が誤動作する虞があるためである。
従って、係止部1hと係合部4bには隙間が発生することが避けられない。
【0052】
このため、弾性突出部3eにより操作体4を上方へ付勢する構造がないと、係止部1hと係合部4bに隙間があるため、スイッチ装置が振動させられた場合等には操作体4が上下にがたつき、安定した操作の妨げとなる。
【0053】
これに対し、本発明の実施の形態の変形例に係るスイッチ装置では弾性突出部3eにより操作体4を上方へ付勢しているので、操作体4は上方への付勢力を受け、係合部4bが係止部1hに押しつけられながら停止しているので、スイッチ装置が振動させられた場合でもがたつき等が発生せず、安定した動作が可能となる。
【0054】
以上により、本発明の実施の形態の変形例に係るスイッチ装置では、ケース1と操作体4には操作体4が上方に移動することを制限する係止部1hと係合部4bをそれぞれ有し、弾性体3と操作体4が対向するそれぞれの面のうち弾性体3の上面に、操作体4を反操作方向に付勢するための弾性突出部3eを設けたので、
操作体4が反押圧方向に抜け出すことを防止することができるとともに、ケース1の係止部1hと操作体の係止部に隙間が生じた場合でも、弾性体と操作体の少なくとも一方に設けられた弾性突出部が操作体の係止部がケースの係止部に係合するまで反押圧方向に付勢するので、押圧操作されていないときに操作体が不安定になることが回避でき、安定した押圧操作が可能となる。
【0055】
なお、上記の実施の形態の変形例では弾性突出部3eを弾性体3の上面に設けたが、弾性突出部を操作体4に設けても、または弾性体3と操作体4の両方に設けても同様の効果が得られる。
さらには、弾性体3と操作体4の間に、弾性体3と操作体4を離反方向に付勢する付勢部材を別部品にて設けても本発明の実施の形態の変形例と同等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0056】
1 ケース
1a 収容部
1b 第1固定接点
1c 第2固定接点
1d 第3固定接点
1e ガイド部
1f 座面部
1g 端子部
1h 係止部
2 可動接点
2a 載置部
2b 脚部
2c 舌片部
2d 接続部
2e 外周部
3 弾性体
3a 立設部
3b 舌片操作部
3c ドーム部
3d 天板部
3e 弾性突出部
4 操作体
4a 押圧部
4b 係合部
4c 窪み部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動接点と、前記可動接点上に配置される弾性体と、押圧操作されることにより前記弾性体を動作させる操作体と、前記可動接点,前記弾性体および前記操作体を収容する収容部を備えるとともに、前記可動接点と接離可能とされ、前記収容部の内底部に電気的に独立した第1固定接点,第2固定接点および第3固定接点とを有するケースとからなるスイッチ装置において、
前記可動接点は、前記弾性体を水平に戴置できる載置部と、前記載置部を前記ケースの内底部から離間させるように保持する複数の脚部と、前記第3固定接点と接離する舌片部とを備え、
前記弾性体は、前記載置部に配置される立設部と、立設部の上部にドーム部を有し、ドーム部の頂部に前記舌片部を操作する舌片操作部とを備え、
前記操作体への押圧操作により、前記載置部に配置された前記弾性体が略平行に移動するとともに、前記第1固定接点および前記第2固定接点とが前記可動接点を介して電気的に接触し、前記操作体へのさらなる押圧操作により、前記ドーム部が反転し前記舌片操作部が移動して前記舌片部を押圧操作し、前記第3固定接点と前記舌片部とが接触して前記第1固定接点,前記第2固定接点および前記第3固定接点が前記可動接点を介して電気的に接触することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記ケースにはガイド部が設けられ、前記弾性体が略平行に移動するときに、前記ガイド部が前記弾性体の少なくとも一部をガイドすることを特徴とする、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記ケースと前記操作体には前記操作体が上方に移動することを制限する係止部を有し、前記弾性体と前記操作体が対向するそれぞれの面の少なくとも一方には、前記操作体を反操作方向に付勢するための弾性突出部が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−26093(P2013−26093A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161490(P2011−161490)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】