説明

スイッチ装置

【課題】主に自動車内の各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置に関し、押圧ボスの変形や破損を防ぎ、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】ケース7の開口筒部7Aに上下動可能に装着され、下面に下方へ突出する押圧ボス8Dが設けられた操作体8の下面に、下方へ突出する補強ボス8Eを設けると共に、この補強ボス8Eと押圧ボス8Dを壁部8Fで連結することによって、押圧ボス8Dが補強ボス8Eと壁部8Fによって補強されているため、押圧ボス8Dの傾きや破損を防止できると共に、押圧操作時の押圧ボス8Dの変形を防ぎ、スイッチ接点の確実な操作が可能なスイッチ装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車の車室内の各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車内のステアリングホイールやインストルメントパネル等に様々な操作方式のスイッチ装置を装着し、これによって車室内の音響機器や空調機器等の各種電子機器の操作を行うものが増えている。
【0003】
このような従来のスイッチ装置について、図4及び図5を用いて説明する。
【0004】
図4は従来のスイッチ装置の断面図、図5は同分解斜視図であり、同図において、1は下面開口の略箱状で絶縁樹脂製のケースで、上面には略矩形状の複数の開口筒部1Aが形成されている。
【0005】
そして、2は絶縁樹脂製の操作体で、白色や乳白色等の明色の透光部2Aと、この表面を覆う黒色等の暗色の遮光部2Bから形成されると共に、上面には遮光部2Bがレーザー加工等によって除去され、透光部2Aが文字や記号等の形状に露出した光透過性の表示部2Cが設けられている。
【0006】
また、操作体2下面には下方へ突出する押圧ボス2Dが設けられると共に、この複数の操作体2がケース1上面の複数の開口筒部1Aを覆い、側面の貫通孔に開口筒部1A側面の爪部が挿通されて、開口筒部1Aに上下動可能に装着されている。
【0007】
さらに、3は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板、4はプッシュスイッチで、配線基板3上面に複数のプッシュスイッチ4が実装装着されて、複数のスイッチ接点が形成されると共に、プッシュスイッチ4上面から上方へ突出した操作軸4A上端には、操作体2下面から突出した押圧ボス2D下端が当接している。
【0008】
また、5は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子5がプッシュスイッチ4近傍の配線基板3上面に、発光面を上方に向けて実装装着されると共に、配線基板3が複数のねじ6によってケース1下面に固着され、ケース1の下面開口部を覆って、スイッチ装置が構成されている。
【0009】
そして、このように構成されたスイッチ装置が、操作体2上面を手前にして車室内の、例えばステアリングホイールのスポーク(図示せず)に取付けられて、自動車に装着されると共に、プッシュスイッチ4や発光素子5が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、車両の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0010】
以上の構成において、操作体2上面を指で押圧操作すると、操作体2が下方へ移動し、下面の押圧ボス2D下端が操作軸4Aを押圧して、プッシュスイッチ4の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、オーディオの音量の増減、あるいはエアコンの温度や風量の切換え等の操作が行なわれる。
【0011】
また、夜間やトンネル内等の周囲が暗い場合には、別途ステアリングホイール近傍に装着されたコンビネーションスイッチ(図示せず)等を操作すると、この電気的接離を車両の電子回路が検出して、複数の発光素子5を発光させる。
【0012】
そして、この発光素子5の光が上方へ進み、操作体2の透光部2Aを通って、上面の表示部2Cを下方から照光することで、操作体2の識別や操作が容易に行えるようになっている。
【0013】
つまり、スイッチ装置の操作体2を押圧操作することによって、車両内の様々な機器の操作が行えると共に、周囲が暗い場合でも、複数の発光素子5を発光させ、操作体2の表示部2Cを照光することによって、操作体2の操作を容易に行えるように構成されているものであった。
【0014】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−317236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置においては、操作体2がケース1の開口筒部1Aに上下動可能に装着され、下方のプッシュスイッチ4を押圧する下面の押圧ボス2Dを、ある程度長い形状に突出形成する必要があるため、押圧操作時に押圧ボス2Dの変形が生じ、プッシュスイッチ4の押圧が不安定になる場合があり、また、押圧ボス2Dの傾きや折れ等の破損も生じ易くなってしまうという課題があった。
【0017】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、押圧ボスの変形や破損を防ぎ、確実な操作が可能なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために本発明は、ケースの開口筒部に上下動可能に装着され、下面に下方へ突出する押圧ボスが設けられた操作体の下面に、下方へ突出する補強ボスを設けると共に、この補強ボスと押圧ボスを壁部で連結してスイッチ装置を構成したものであり、押圧ボスが補強ボスと壁部によって補強されているため、押圧ボスの傾きや破損を防止できると共に、押圧操作時の押圧ボスの変形を防ぎ、スイッチ接点の確実な操作が可能なスイッチ装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、押圧ボスの変形や破損を防ぎ、確実な操作が可能なスイッチ装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同操作体の斜視図
【図4】従来のスイッチ装置の断面図
【図5】同分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0022】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0023】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の断面図、図2は同分解斜視図、図3は同操作体の斜視図であり、同図において、7は下面開口の略箱状でポリオキシメチレンやABS等の絶縁樹脂製のケースで、上面には略矩形状の複数の開口筒部7Aが形成されている。
【0024】
そして、8はポリカーボネートやABS等の絶縁樹脂製の操作体で、白色や乳白色等の明色で光透過性の透光部8Aと、この表面を覆う黒色等の暗色の遮光部8Bから形成されると共に、上面には遮光部8Bがレーザー加工等によって除去され、透光部8Aが文字や記号等の形状に露出した光透過性の表示部8Cが設けられている。
【0025】
また、操作体8下面には、所定の長さで下方へ突出する押圧ボス8Dが設けられると共に、同じく下方へ突出する押圧ボス8Dよりも短い補強ボス8Eと、この補強ボス8Eと押圧ボス8Dを連結する薄肉の壁部8Fが形成されている。
【0026】
そして、この複数の操作体8がケース7上面の複数の開口筒部7Aを覆い、側面の複数の貫通孔に開口筒部7A側面の爪部が挿通されると共に、内周の複数の突起部が開口筒部7A側面の溝部に挿入されて、開口筒部7Aに上下動可能に装着されている。
【0027】
さらに、3は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板、4はプッシュスイッチで、配線基板3の上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、配線基板3上面に複数のプッシュスイッチ4が実装装着されて、複数のスイッチ接点が形成され、プッシュスイッチ4上面から上方へ突出した操作軸4A上端には、操作体8下面から突出した押圧ボス8D下端が当接している。
【0028】
また、5は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子5がプッシュスイッチ4近傍の配線基板3上面に、発光面を上方に向けて実装装着されると共に、配線基板3が複数のねじ6によってケース7下面に固着され、ケース7の下面開口部を覆って、スイッチ装置が構成されている。
【0029】
そして、このように構成されたスイッチ装置が、操作体8上面を手前にして車室内の、例えばステアリングホイールのスポーク(図示せず)に取付けられて、自動車に装着されると共に、プッシュスイッチ4や発光素子5が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、車両の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0030】
以上の構成において、操作体8上面を指で押圧操作すると、操作体8が下方へ移動し、下面の押圧ボス8D下端が操作軸4Aを押圧して、プッシュスイッチ4の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、オーディオの音量の増減、あるいはエアコンの温度や風量の切換え等の操作が行なわれる。
【0031】
また、夜間やトンネル内等の周囲が暗い場合には、別途ステアリングホイール近傍に装着されたコンビネーションスイッチ(図示せず)等を操作すると、この電気的接離を車両の電子回路が検出して、複数の発光素子5を発光させる。
【0032】
そして、この発光素子5の光が上方へ進み、操作体8の透光部8A内に入射して拡散され、上面の表示部8Cを下方から照光することで、操作体8の識別や操作が容易に行えるようになっている。
【0033】
つまり、スイッチ装置の操作体8を押圧操作することによって、車両内の様々な機器の操作が行えると共に、周囲が暗い場合でも、複数の発光素子5を発光させ、操作体8の表示部8Cを照光することによって、操作体8の操作を容易に行えるように構成されている。
【0034】
また、操作体8の下面には下方へ突出する補強ボス8Eが設けられ、この補強ボス8Eが押圧ボス8Dと壁部8Fによって連結されて、押圧ボス8Dが補強されているため、ある程度長い形状に押圧ボス8Dを突出形成した場合でも、スイッチ装置の組立て時等に、押圧ボス8Dの傾きや折れ等の破損が生じないようになっている。
【0035】
さらに、操作体8を例えば斜めに傾けて押圧操作した場合でも、押圧ボス8Dが補強ボス8Eと壁部8Fによって補強されているため、押圧ボス8Dの変形を防ぎ、押圧ボス8Dによって確実にプッシュスイッチ4の操作軸4Aを押圧し、スイッチ接点の電気的接離を行えるように構成されている。
【0036】
すなわち、操作体8下面に補強ボス8Eを設け、これを壁部8Fで連結して押圧ボス8Dを補強することで、押圧ボス8Dの傾きや破損を防ぐと共に、押圧操作時の押圧ボス8Dの変形を防ぎ、確実なスイッチ接点の操作が行えるようになっている。
【0037】
なお、以上の説明では、明色の透光部8A表面を覆う暗色の遮光部8Bをレーザー加工等によって除去して、操作体8上面に文字や記号等の形状の表示部8Cを形成した構成について説明したが、上面に文字や記号等の形状の表示部8Cが形成された透光部8Aを成形した後、表示部8C以外の表面を覆うように遮光部8Bを一体に成形する、いわゆる二色成形によって操作体8を形成した構成としても、本発明の実施は可能である。
【0038】
また、以上の説明では、配線基板3上面に複数のプッシュスイッチ4を実装装着して、複数のスイッチ接点を形成した構成について説明したが、配線基板3上面にカーボン等によって固定接点を形成し、この上に略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を載置した構成や、あるいは固定接点上に下面に可動接点が形成された略ドーム状で可撓性のゴムシートを載置したもの等、様々なスイッチ接点を用いた構成としても、本発明の実施は可能である。
【0039】
このように本実施の形態によれば、ケース7の開口筒部7Aに上下動可能に装着され、下面に下方へ突出する押圧ボス8Dが設けられた操作体8の下面に、下方へ突出する補強ボス8Eを設けると共に、この補強ボス8Eと押圧ボス8Dを壁部8Fで連結することによって、押圧ボス8Dが補強ボス8Eと壁部8Fによって補強されているため、押圧ボス8Dの傾きや破損を防止できると共に、押圧操作時の押圧ボス8Dの変形を防ぎ、スイッチ接点の確実な操作が可能なスイッチ装置を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によるスイッチ装置は、押圧ボスの変形や破損を防ぎ、確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に自動車の各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0041】
3 配線基板
4 プッシュスイッチ
4A 操作軸
5 発光素子
6 ねじ
7 ケース
7A 開口筒部
8 操作体
8A 透光部
8B 遮光部
8C 表示部
8D 押圧ボス
8E 補強ボス
8F 壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状で上面に開口筒部が形成されたケースと、このケースの開口筒部に上下動可能に装着され、下面に下方へ突出する押圧ボスが設けられた操作体と、この操作体の上下動に応じて電気的接離を行うスイッチ接点からなり、上記操作体下面に下方へ突出する補強ボスを設けると共に、この補強ボスと上記押圧ボスを壁部で連結したスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−54937(P2013−54937A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192665(P2011−192665)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】