説明

スイッチ装置

【課題】封止剤の漏れや漏れの広がりを防いで高い組立性を確保することができるスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】
導出口3bを有するスイッチケース3と、
該スイッチケース3内に配設された接点を開閉する接点機構と、
一端部が固定接点に接続され、他端部が前記導出口3bを通って前記スイッチケース3外に導出されたハーネス(導線)9と、
を備え、前記ハーネス9の前記固定接点に接続された一端部を覆って前記スイッチケース3の導出口3b付近を封止剤12によって封止し、前記ハーネス9の導出部を固定する保持部3Cを前記スイッチケース3の導出口3bの内縁に形成して成るスイッチ装置において、
前記スイッチケース3の前記保持部3Cが形成された外周面に沿って凹凸状のリブ3j,3kを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアハンドル等に設けられるスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両のドアのアウタパネルにはドアハンドルが取り付けられており、このドアハンドルを乗員が操作することによってドアラッチが動作し、乗員がドアを開くことができる。
【0003】
ところで、第三者によるドアの不正な開放操作を防ぐため、ドアラッチはその動作がロックされるよう構成されているが、ドアハンドルにはドアラッチをロック/アンロックするためのスイッチ装置が取り付けられている。尚、近年、スイッチ装置を無線によって遠隔操作してドアラッチをロック/アンロックするキーレスエントリーシステムも採用されている。
【0004】
ところで、スイッチ装置は、ドアハンドルの取付孔に取り付けられる装置であって、ドアハンドルの内側に配設されるスイッチケースと、該スイッチケース内に収容された接点機構と、スイッチケース内に配置された操作部材を含んで構成されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、操作部材は、スイッチケースの開口部を介してドアハンドルの取付孔から外部に突出する第1位置とスイッチ機構に当接してこれを操作する第2位置に選択的に移動可能に構成されている。
【0005】
斯かるスイッチ装置においては、その裏側からの水等の浸入を防ぐためにスイッチケースの内部にボンド等の封止剤を充填し、高い絶縁性と防水性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−104804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のスイッチ装置においては、封止剤の充填範囲内に他部品組付用の孔やハーネスが存在する場合、それらの孔やハーネスを経由して封止剤が毛細管現象によって充填範囲外に漏れる場合がある。そして、漏れた封止剤がスイッチケースの外部に広がり、当該スイッチ装置がドアハンドルと当接する範囲(付着NG範囲)まで到達すると、組付途中にスイッチ装置がドアハンドルに接着したり、漏れ出た封止剤がドアハンドルと干渉してスイッチ装置の組み付けが困難になるという問題が発生する。
【0008】
上記問題に対しては、
1)封止剤の粘度を高くしてその漏れ量を低減させる。
【0009】
2)封止剤として加熱硬化型ボンドを使用し、該封止剤を充填した後にこれを加熱して短時間で硬化させる。
等の対策によって封止剤の漏れや漏れ出た封止剤の付着NG範囲までの広がりを防止することが考えられる。
【0010】
ところが、上記1)の対策によれば、封止剤が広がりにくくなる反面、封止剤が本来必要な充填範囲にまで充填されない可能性がある。又、前記2)の対策を実施するためには加熱設備が必要となる他、このような対策は耐加熱性の高いスイッチ装置にしか適用することができないという問題がある。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、封止剤の漏れや漏れの広がりを防いで高い組立性を確保することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
導出口を有するスイッチケースと、
該スイッチケース内に配設された接点を開閉する接点機構と、
一端部が固定接点に接続され、他端部が前記導出口を通って前記スイッチケース外に導出された導線と、
を備え、前記導線の前記固定接点に接続された一端部を覆って前記スイッチケースの導出口付近を封止剤によって封止し、前記導線の導出部を固定する保持部を前記スイッチケースの導出口の内縁に形成して成るスイッチ装置において、
前記スイッチケースの前記保持部が形成された外周面に沿って凹凸状のリブを形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記スイッチケースの外周面に被取付部材への取付部を形成し、該取付部と前記保持部との間に前記凹凸状のリブを形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記凹凸状のリブは、その先端面が前記スイッチケースの前記導出口が形成された外周面の底面部から段差部をもって形成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記接点機構の固定接点が設けられたターミナルベースを前記スイッチケース内に配置するとともに、該ターミナルベースが係合する係合孔を前記スイッチケースに前記導出口に連通するよう形成し、該係合孔が形成された前記スイッチケースの外周面に沿って前記リブを形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記スイッチケースの外周面に被取付部材への取付部を形成し、該取付部と前記係合孔との間に前記リブを形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、前記導線を結束する結束バンドを設け、該結束バンドによって前記導線を前記スイッチケースの保持部に固定するとともに、結束バンドのヘッド部を前記スイッチケースの導出口に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜3記載の発明によれば、導線の保持部に沿って封止剤が毛細管現象によって導出口からスイッチケースの外周面に漏れ出た場合であっても、スイッチケースの外周面に形成された凹凸状のリブによって封止剤の進行がガイドされるため、スイッチケースの被係合部品との係合箇所等の重要部位に封止剤が到達するまでに該封止剤を硬化させることができ、スイッチケースと被係合部品との組み付けに支障が生ずることがない。特に、封止剤は導線を伝って保持部付近から漏れ易いが、封止剤が漏れ出たとしても該封止剤がリブに到達し、該リブによって封止剤がガイドされるためにその拡散が防がれる。
【0019】
請求項4及び5記載の発明によれば、ターミナルベースを取り付けるための係合孔をスイッチケースにその導出口に連通するよう形成した場合であっても、該係合孔の近傍にリブを形成したため、係合孔から漏れ出た封止剤はリブによってその進行がガイドされ、スイッチケースと被係合部品との組み付けが支障なくなされる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、導線をスイッチケースの保持部に固定する結束バンドのヘッド部をスイッチケースの導出口に配置したため、該ヘッド部をスイッチケースの導出口とオーバーラップさせる構成とすることができ、スイッチ装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の平面図である。
【図2】本発明に係るスイッチ装置の側面図である。
【図3】本発明に係るスイッチ装置を斜め上方から見た斜視図である。
【図4】本発明に係るスイッチ装置を斜め下方から見た斜視図である。
【図5】図3のA−A線断面図である。
【図6】図3のB−B線断面図である。
【図7】本発明に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【図8】(a),(b)は封止剤充填前後のスイッチケースを上下を逆にして示す斜視図である。
【図9】(a)〜(c)はスイッチケースに形成されるリブを種々の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明に係るスイッチ装置の平面図、図2は同スイッチ装置の側面図、図3は同スイッチ装置を斜め上方から見た斜視図、図4は同スイッチ装置を斜め下方から見た斜視図、図5は図3のA−A線断面図、図6は図3のB−B線断面図、図7は同スイッチ装置の分解斜視図、図8(a),(b)は封止剤充填前後のスイッチケースを上下を逆にして示す斜視図、図9(a)〜(c)はスイッチケースに形成されるリブの種々の形状を示す図である。
【0024】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、車両の不図示のドアに設けられたドアラッチを遠隔操作による無線によってロック/アンロックするキーレスエントリーシステムに用いられるものであって、図1及び図2に示すように、ドアハンドル2の長手方向一端に形成された略矩形の取付孔2aに取り付けられている。
【0025】
而して、スイッチ装置1は、図3〜図7に示すように樹脂にて一体成形されたスイッチケース3を備えており、このスイッチケース3の中央部には角筒状部3A(図5〜図7参照)が一体に形成されており、この角筒状部3Aの周囲には水平なフランジ部3Bが形成されている。そして、角筒状部3Aの一端(図5〜図7の上端)には前記ドアハンドル2の取付孔2aに連通する略矩形の開口部3aが形成され、他端(図5及び図6の下端)には略矩形の導出口3bが開口している。
【0026】
又、図6及び図7に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの中間高さ位置には段状の肩部3cが形成されており、フランジ部3Bの外側面の相対向する2箇所には、角筒状部3Aの内部(導出口3b)に連通する矩形の係合孔3d(図7には一方のみ図示)が形成されている。そして、スイッチケース3のフランジ部3Bの係合孔3dの両側上方には図3、図4及び図7に示すように係合爪3e(図3、図4及び図7には一方のみ図示)がそれぞれ形成されている。
【0027】
更に、図5〜図7に示すように、スイッチケース3のフランジ部3Bには角筒状部3Aの外周に沿う装着溝3fが形成されており、フランジ部3Bの一端には不図示のボルトが挿通する円孔状のボルト挿通孔3g(図3、図5及び図7参照)が形成され、他端には二股状の嵌合凸部3h(図3〜図5及び図7参照)が形成されている。そして、図5に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの一部からは角柱状の保持部3Cが図5の下方に向かって一体に延設されており、この保持部3Cには嵌合溝3iが形成されている。
【0028】
又、図5及び図6に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの内部には樹脂にて門型に一体成形されたターミナルベース4が配置されている。このターミナルベース4の相対向する2箇所には、図6及び図7に示すように係合爪4a(図7には一方のみ図示)が形成されており、ターミナルベース4は、2つの係合爪4aを図6に示すようにスイッチケース3に形成された2つの前記係合孔3dにそれぞれ係合させることによってスイッチケース3に固定されている。
【0029】
そして、ターミナルベース4には、図7に示すように金属製の2つの端子5が垂直に挿通しており、各端子5のターミナルベース4の上方に突出する上端部は、直角に折り曲げられてターミナルベース4の上面に重ねられることによって固定接点5aを構成している。
【0030】
又、図5及び図6に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの内部の前記ターミナルベース4の上方には、ラバーコンタクト6を介して操作部材であるスライダ7が上下動可能に収容されており、スイッチケース3の一部及びスライダ7はカバーとして機能するノブ8によって覆われている。
【0031】
ここで、上記ノブ8は、ゴム等の弾性体によって袋状に一体成形されており、図5〜図7に示すように、その矩形のベース部8Aの中央部には角ボタン状の操作部8Bが一体に立設されている。そして、このノブ8のベース部8Aの開口端部(図5〜図7の下端部)の内外周面には圧入リブ8a(図5及び図6参照)が全周に亘って形成されており、当該ノブ8は、図5及び図6に示すようにベース部8Aをスイッチケース3に形成された前記装着溝3fに嵌め込むことによってスイッチケース3に固定されている。尚、ノブ8のベース部8Aの開口端部の内外周面に形成された圧入リブ8aがスイッチケース3の装着溝3fに圧着されることによって、ノブ8がスイッチケース3に確実に固定されてそのスイッチケース3からの脱落が防がれる。
【0032】
前記ラバーコンタクト6は、ゴム等の弾性体によって袋状に一体成形されており、図5〜図7に示すように、矩形プレート状のベース部6Aと円柱状の作動子6B及び両者を接続する変形可能な脚部6Cによって構成されており、作動子6Bの下面(固定接点5aに対向する面)には不図示の可動接点が設けられている。ここで、ラバーコンタクト6側に設けられた不図示の可動接点と、ターミナルベース4側に設けられた前記固定接点5aとはスイッチ機構を構成している。
【0033】
前記スライダ7は、スイッチケース3の角筒状部3Aの内周形状に沿う長円柱状に成形されており、ノブ8の操作部8Bを操作者が押圧操作することによって上下動する。具体的には、スライダ7は、スイッチケース3の開口部3aを介してドアハンドル2の取付孔2aから外部に突出する第1位置(図2〜図6参照)とラバーコンタクト6を押圧してこれに設けられた不図示の可動接点をターミナルベース4に設けられた固定接点5aに当接させて前記スイッチ機構を操作する第2位置に選択的に移動可能に構成されている。
【0034】
ところで、図5及び図6に示すように、ターミナルベース4に挿通固定された2つの端子5には導線であるハーネス9の一端がスポット溶接やハンダ付け等によってそれぞれ接続されており、これら2本のハーネス9は、結束バンド10によって結束されて保護チューブ9Aによって被覆されている。そして、保護チューブ9Aによって被覆された2本のハーネス9は、スイッチケース3の導出口3bから外部に導出し、その端部は車両に設けられた不図示のドアラッチのアクチュエータ作動を制御するコントローラに接続されている。
【0035】
而して、本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、図8に示すように、ターミナルベース4に挿通固定された端子5に一端が接続された2本のハーネス9が導出するスイッチケース3の導出口3bの付近には、端子5部分の保護やスイッチケース3内の防水等のためにボンド等の封止剤12が充填されるが、この封止剤12は充填後に硬化する前に充填範囲外に漏れ出ることがある。尚、一般的には封止剤12の硬化には数日を要する。
【0036】
そこで、本実施の形態では、図8に示すように、スイッチケース3の保持部3Cが形成された外周面3Dに沿って凹凸状の複数のリブ3jが一体に形成されている。具体的には、スイッチケース3の保持部3Cが形勢された外周面3Dとスイッチケース3のフランジ部3Bの底面との間に段部3nが形成され、その段部3nから導出口3bに向かって複数(本実施の形態では、保持部3Cを挟んだ両側面に2箇所ずつ)にリブ3jが外周面に沿って形成されている。リブ3jの凸部底面(先端面)3j1は、スイッチケース3の外周面底面3Fより突出することはなく、外周面底面3Fと段差を形成する。このように構成することによって、スイッチケース3の外周面底面3Fとリブ3jの凸部底面3j1との間に段差が形成されるため、封止剤12が毛細管現象によって外周面3Dとリブ3jとの段差に沿ってガイドされ易い構造となる。
【0037】
又、スイッチケース3にその導出口3bに連通するように形成された係合孔3dとスイッチケース3の側面3Eとの間には、係合孔3dの開口部底面と面一となる凹部3mが形成され、係合孔3dの両側に凹部3mから導出口3bに向かって突出したリブ3kが形成されている(本実施の形態では、係合孔3dの両端に1個ずつ)。このリブ3kは、段部3nから延設され、凹部3mの両端部に形成される段状リブ3pの底面3p1(図8において上面)に至らない高さ(図8において上方向)に設定され、リブ3kの凸部底面3k1は段状リブ3pの底面3p1と面一とならないで段差を有するよう形成されている。
【0038】
ここで、リブ3j,3kの形状としては、図9(a)に示す矩形状のもの、図9(b)に示す先端両コーナー部をカットしたもの、図9(c)に示す先端部を幅広に広げたもの等が考えられる。
【0039】
以上のように構成されたスイッチ装置1は、スイッチケース3のフランジ部3Bの一端に形成された二股状の嵌合凸部3h(図3〜図5参照)をドアハンドル2に形成された不図示の嵌合凹部に嵌め込み、フランジ部3Bの他端に形成されたボルト挿通孔3g(図5及び図7参照)に挿通する不図示のボルトを締め付けることによって図1及び図2に示すようにドアハンドル2の取付孔2aに取り付けられるが、スライダ7が図5及び図6に示す第1位置にあるときには、ノブ8の操作部8Bは図2及び図6に示すようにドアハンドル2の意匠面から突出している。又、スイッチケース3の一部とハーネスカバー11は、図2に示すように、ドアハンドル2の裏面側に突出して不図示のドア内に収容されている。ここで、スイッチ装置1がドアハンドル2に取り付けられた状態では、図6に示すように、スイッチケース3に形成された肩部3cは、カバーであるノブ8をドアハンドル2との間で挟み込んで固定している。
【0040】
又、スイッチケース3のフランジ部3Bのボルト挿通孔3gの周辺の底面に形成された凸状面3ga及び二股の嵌合凸部3hの底面に形成された凸状面3haの3箇所の底面部に不図示のドアパネル表面と当接する当て面が形成され、ドアハンドル2をドアパネルに取り付けることによって、スイッチ装置1をドアハンドル2に固定する固定部として機能し、スイッチ押圧時の負荷を分散させ、ボルト挿通孔3gに装着されるボルトに負荷が集中しない構造としている。尚、スイッチケース3の両側面から直角方向に突出した係合腕部3rは、ドアハンドルの不図示の係合凹部に嵌合するものである。
【0041】
上述のようにノブ8の操作部8Bがドアハンドル2の意匠面から突出する第1位置にあるときには、図5及び図6に示すようにラバーコンタクト6には力が作用せず、ラバーコンタクト6の作動子6Bは図示のようにターミナルベース4から上方へと離間しているため、該作動子6Bの下面に設けられた不図示の可動接点はターミナルベース4の固定接点5aに接触しておらず、スイッチ機構はOFF状態にあって不図示のコントローラからアクチュエータ制御信号が出力されないため、不図示のドアラッチは非導通状態を維持し、例えばロック状態が維持されて乗員はドアを開くことができない。
【0042】
上記状態から操作者がノブ8の操作部8Bを操作方向(図5及び図6の下方)に押圧すると、その押圧力によってスライダ7が第2位置へと移動する。すると、ラバーコンタクト6の作動子6Bがスライダ7によって押されるため、該ラバーコンタクト6の脚部6Cが撓み変形して作動子6Bが図5及び図6の下方へと移動してターミナルベース4の上面に密着する。すると、ラバーコンタクト6の作動子6Bに設けられた不図示の可動接点がターミナルベース4の固定接点5aに接触し、スイッチ機構がON状態となって、コントローラからアクチュエータ制御信号が出力され、ドアラッチのアクチュエータが導通状態となり、ドアラッチがロック状態からアンロック状態に切り替えられるためにドアの開放が可能となる。尚、操作者がノブ8の操作部8Bから指を離すと、スライダ7は第2位置から図5及び図6に示す第1位置へと移動し、これに伴ってノブ8の操作部8Bは図2及び図6に示すようにドアハンドル2の意匠面から外部に突出する。以下、同様に操作者がノブ8の操作部8Bを押圧するごとにドアラッチのロックとアンロックが交互に切り替えられる。尚、本実施の形態のようにキーレスエントリーシステムを採用する車両にあっては、以上のような操作者によるスイッチ装置1の手動操作によることなく、遠隔による無線通信によってドアラッチをロック/アンロックすることもできる。
【0043】
ところで、本実施の形態では、本実施の形態では、スイッチ装置1をドアラッチのアクチュエータ制御のための起動スイッチとして使用しているが、キーレスエントリーシステムの携帯機との通信起動信号をコントローラから発信するための起動スイッチとして使用しても良い。その場合には、携帯機が正規のものと認証した後、コントローラがアクチュエータ制御を行うようにする。又、スイッチ装置1をドアラッチのロック作動を制御するためだけの起動スイッチとして使用しても良い。
【0044】
而して、本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、スイッチケース3の保持部3Cに沿って封止剤12が毛細管現象によって導出口3bからスイッチケース3の外周面に漏れ出た場合であっても、スイッチケース3の外周面3Dとフランジ部3Bの底面3B1との間に形成された段部3nに沿って封止剤12が流れ、段部3nに形成された凹凸状のリブ3jによって封止剤12の進行がガイドされるため、スイッチケース3の係合爪3eや係合腕部3r、ボルト挿通孔3gの周辺の底面に形成された凸状面3ga等の重要部位に封止剤12が到達することなく、該封止剤12を硬化させることができ、スイッチケース3とハーネスカバー11との組み付けやスイッチ装置1のドアハンドル2への組み付けに支障が生ずることがない。特に、封止剤12はハーネス9や保持部3Cとスイッチケース3の外周面3Dとの間の段差3cを伝ってスイッチケース3の保持部3C付近から漏れ易いが、封止剤12が漏れ出たとしても該封止剤12が段差3nを伝ってリブ3jに到達し、該リブ3jによって沿面距離が長くなる方向に封止剤12がガイドされるため、該封止剤12の硬化時間を稼ぐことができ、その拡散が防がれる。
【0045】
又、同様に封止剤12がスイッチケース3の導出口3bと連通する係合孔3dからスイッチケース3の側面3E方向に流れ出た場合であっても、封止剤12が係合孔3dからスイッチケース3の側面3Eに至るまでに係合孔3dの開口部底面と面一となる凹部3mが形成されているため、その凹部3mの表面に沿って封止剤12が流れ、凹部3mに形成されたリブ3kによって封止剤12の進行がガイドされ、スイッチケース3の係合爪3eやボルト挿通孔3gの周辺の底面に形成された凸状面3ga等の重要部位に封止剤12が到達することなく、該封止剤12を硬化させることができる。
【0046】
特に、本実施の形態のように、ドアハンドル2に設けられるスイッチ装置1に対して本発明を適用した場合には、スイッチ装置1がドアハンドル2側への組付形状に合わせた形状となっており、スイッチ装置1がドアハンドル2とドアパネルとの間に挟み込まれるように固定されるため、スイッチケース3の側面3Eやフランジ底面3B1に不用意に封止剤12が付着するとスイッチ装置1の組付性に支障が生じる可能性がある。そのため、封止剤12が漏れ出ると予測される部分と重要部位との間に段部3n又は凹部3mを設け、その段部3n又は凹部3m上に凹凸状のリブ3j,3kを形成し、漏れ出た封止剤12を重要部位に到達させない方向にガイドするとともに、沿面距離を稼ぐことによって、組み付け等に支障が生じない位置で漏れ出た封止剤12を硬化させることができ、スイッチ装置1の側面3Eやフランジ底面3B1等の組み付けに支障が生じる重要部位への不用意な封止剤12の付着を確実に防ぐことができる。尚、凹凸状のリブ3j,3kの数は、図示した数に限られることはなく、任意に設定することができる。又、凹凸状のリブ3j,3kの形状も限定されるものではなく、例えば図9(b),(c)に示すように矩形状から変形した形状とすれば、沿面距離が延びるため、封止剤12の硬化時間を稼ぐことができる。
【0047】
又、本実施の形態に係るスイッチ装置1のようにターミナルベース4を取り付けるための係合孔3dをスイッチケース3にその導出口3bに連通するよう形成した場合であっても、該係合孔3dの両側にリブ3kを形成したため、係合孔3dから漏れ出た封止剤12はリブ3kによってその進行がガイドされるため、スイッチケース3への取り付けやスイッチ装置1のドアハンドル2への組み付けが支障なくなされ、両者の組付性が高められる。
【0048】
更に、本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、図5に示すように、ハーネス9をスイッチケース3の保持部3Cに固定する結束バンド10のヘッド部10Aをスイッチケース3の導出口3bに配置したため、該ヘッド部10Aをスイッチケース3の導出口3bとオーバーラップさせる構成とすることができ、スイッチ装置1の小型化を図ることができるという効果も得られる。
【0049】
尚、以上は本発明を車両のドアハンドルに設けられるスイッチ装置に対して適用した形態について説明したが、本発明は、同様の形態を有する他の任意のスイッチ装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
1 スイッチ装置
2 ドアハンドル(被取付部材)
2a ドアハンドルの取付孔
3 スイッチケース
3A スイッチケースの角筒状部
3B スイッチケースのフランジ部
3C スイッチケースの保持部
3a スイッチケースの開口部
3b スイッチケースの導出口
3c スイッチケースの肩部
3d スイッチケースの係合孔
3e スイッチケースの係合爪
3f スイッチケースの装着溝
3g スイッチケースのボルト挿通孔(ドアハンドルへの取付部)
3h スイッチケースの嵌合凸部
3i スイッチケースの嵌合溝
3j,3k リブ
4 ターミナルベース
4a ターミナルベースの係合爪
5 端子
5a 端子の固定接点
6 ラバーコンタクト
6A ラバーコンタクトのベース部
6B ラバーコンタクトの作動子
6C ラバーコンタクトの脚部
7 スライダ(操作部材)
8 ノブ(カバー)
8A ノブのベース部
8B ノブの操作部
8a ノブの圧入リブ
9 ハーネス(導線)
9A 保護チューブ
10 結束バンド
10A 結束バンドのヘッド部
10B 結束バンドのバンド部
11 ハーネスカバー
11A ハーネスカバーの係合片
11a ハーネスカバーの係合孔
12 封止剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導出口を有するスイッチケースと、
該スイッチケース内に配設された接点を開閉する接点機構と、
一端部が固定接点に接続され、他端部が前記導出口を通って前記スイッチケース外に導出された導線と、
を備え、前記導線の前記固定接点に接続された一端部を覆って前記スイッチケースの導出口付近を封止剤によって封止し、前記導線の導出部を固定する保持部を前記スイッチケースの導出口の内縁に形成して成るスイッチ装置において、
前記スイッチケースの前記保持部が形成された外周面に沿って凹凸状のリブを形成したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記スイッチケースの外周面に被取付部材への取付部を形成し、該取付部と前記保持部との間に前記凹凸状のリブを形成したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記凹凸状のリブは、その先端面が前記スイッチケースの前記導出口が形成された外周面の底面部から段差部をもって形成されたことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記接点機構の固定接点が設けられたターミナルベースを前記スイッチケース内に配置するとともに、該ターミナルベースが係合する係合孔を前記スイッチケースに前記導出口に連通するよう形成し、該係合孔が形成された前記スイッチケースの外周面に沿って前記リブを形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記スイッチケースの外周面に被取付部材への取付部を形成し、該取付部と前記係合孔との間に前記リブを形成したことを特徴とする請求項4記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記導線を結束する結束バンドを設け、該結束バンドによって前記導線を前記スイッチケースの保持部に固定するとともに、結束バンドのヘッド部を前記スイッチケースの導出口に配置したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62111(P2013−62111A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199226(P2011−199226)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】