説明

スイッチ

【課題】変位部材の位置に応じて信号を出力するスイッチにおいて、調整ネジを必要とすることなく、変位部材の所望の位置に応じた信号を容易に出力することが可能なスイッチを提供する。
【解決手段】リミットスイッチのプランジャには、当該プランジャに変位に応じて受光素子に入射する光の量が変化するようにスリットが形成されている。そして、リミットスイッチは、ユーザによりプランジャが指定位置に変位された状態で設定指示が入力されたとき、受光素子から出力された電圧値を閾値として設定する設定処理部123と、設定された閾値と、受光素子から出力される電圧値とを比較することにより、プランジャが指定位置よりも基準位置に近い位置にあるのか否かを検出する検出処理を行う位置検出部113と、検出処理の結果に基づいて信号を出力する出力信号制御部119とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの力の荷重に応じて変位する変位部材を備え、当該変位部材の位置に応じた信号を出力するスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場の生産ラインにおいて、加工すべき製品等の物体が所定の位置に移送されたことを検出し、加工機械を自動的に起動するのに使用されるリミットスイッチが知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
このようなリミットスイッチは、外部からの力の荷重に応じて変位する変位部材を備えており、この変位部材の位置に応じた信号を出力する。そのため、特許文献1や2では、変位部材が所定の位置になったときに接触する接点機構を設け、当該接点機構における電気的な接触の有無によって変位部材の位置を検知している。また、特許文献2では、接点機構を複数設けることにより、変位部材の複数の位置を検知している。
【0004】
特許文献1や2のように接点機構により変位部材の位置を検知する場合、当該接点機構を構成する各部材の寸法ばらつきによって、当該接点機構で検知できる変位部材の位置と、所望の変位部材の位置との間に差が生じることがある。そこで、特許文献2では、このような差をなくすために調整ネジが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−281513号公報(1990年11月10日公開)
【特許文献2】特開昭64−043934号公報(1989年2月16日公開)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】オムロン株式会社、「リミットスイッチ テクニカルガイド」、[online]、[平成 22年 11月 19日検索]、インターネット〈 URL:http://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/limitswitch_apparatus_tg_j_3_1_1-5.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、調整ネジによる調整作業は、調整ネジをわずかに回転させる作業と、その回転後における接点機構で検知できる変位部材の位置を確認する作業とを繰り返すこととなり、手間がかかる。
【0008】
また、複数の変位部材の位置を検知したい場合、変位部材の各位置に応じた接点機構の各々に対して調整作業が必要となる。その結果、調整作業に時間がかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、外部からの力の荷重に応じて変位する変位部材を備えており、この変位部材の位置に応じて信号を出力するスイッチにおいて、調整ネジを必要とすることなく、変位部材の所望の位置に応じた信号を容易に出力することが可能なスイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のスイッチは、外部からの力の荷重に応じて変位する変位部材と、前記変位部材の位置に応じた信号を出力する信号出力手段とを備えたスイッチにおいて、発光面から光を発光する発光素子と、前記発光面に対向する受光面を有し、当該受光面に入射された光の量を示す特徴量を出力する受光素子とを備え、前記変位部材は、前記発光面と前記受光面との間に配置され、前記外部からの力の荷重がないときに基準位置に位置しており、前記変位部材の変位に応じて前記発光面から発光された光のうち前記受光面に入射する光の量が変化するように、前記変位部材には光を通すための開口部が形成されており、さらに、前記変位部材が指定位置に変位された状態で設定指示が入力されたとき、前記受光素子から出力された特徴量を閾値として設定する設定処理手段と、前記設定処理手段により設定された閾値と、前記受光素子から出力される特徴量とを比較することにより、前記変位部材が前記指定位置よりも前記基準位置に近い位置にあるのか否かを検出する検出処理を行う位置検出手段とを備え、前記信号出力手段は、前記位置検出手段による検出処理の結果に基づいて前記信号を出力することを特徴とする。
【0011】
前記の構成によれば、変位部材の変位に応じて発光面から発光された光のうち受光面に入射する光の量が変化するように、変位部材には光を通すための開口部が形成されている。そのため、変位部材の位置によって、受光面に入射する光の量が異なるため、変位部材の位置によって受光素子から出力される特徴量が変化することとなる。そして、変位部材が指定位置に変位された状態で受光素子から出力された特徴量を閾値として設定し、設定された閾値と、受光素子から出力される特徴量とを比較することにより、変位部材が指定位置よりも基準位置に近い位置にあるのか否か、もしくは、前記変位部材が前記指定位置に位置するか否かを検出する。そのため、ユーザは変位部材を指定位置に変位させた状態で設定指示を入力するだけで、その状態のときの特徴量が閾値として設定され、変位部材の位置を検出することができる。その結果、変位部材の位置に応じた信号を容易に出力することができる。これにより、調整ネジを必要とすることなく、変位部材の所望の位置に応じた信号を容易に出力することが可能なスイッチを提供することができる。
【0012】
さらに、本発明のスイッチにおいて、前記発光素子および前記受光素子が複数であり、
互いに対向する一対の発光素子および受光素子を光検出部とするとき、前記変位部材には、前記複数の光検出部の各々に対応して前記開口部が形成されており、前記複数の光検出部の各々に対して、当該光検出部の受光素子に入射される光の量が最大となる前記変位部材の位置のうち、前記基準位置からの変位量が最小となる前記変位部材の位置を光量最大位置とするとき、前記複数の光検出部ごとに前記光量最大位置が異なることが好ましい。
【0013】
もしくは、本発明のスイッチにおいて、前記発光素子および前記受光素子が複数であり、
互いに対向する一対の発光素子および受光素子を光検出部とするとき、前記変位部材には、各光検出部に対応して前記開口部が複数形成されており、各光検出部について、前記開口部を通過した光を当該光検出部が検出するときの前記変位部材の位置のうち、前記基準位置からの変位量が最小となる前記変位部材の位置を光検出開始位置とするときに、前記基準位置から前記光検出開始位置までの距離が、前記複数の光検出部ごとに異なることが好ましい。
【0014】
前記の構成によれば、発光素子から発せられた光を受光素子が受光するときの変位部材の位置の範囲が、光検出部により異なることとなる。そのため、複数の光検出部を用いることで、より広い範囲の変位部材の位置が検出可能となる。
【0015】
さらに、本発明のスイッチにおいて、前記指定位置が複数あり、前記設定処理手段は、前記複数の指定位置の各々について、前記指定位置を検出するために使用する前記光検出部を設定するとともに、当該光検出部の受光素子から出力された特徴量を当該指定位置に対応する前記閾値として設定し、前記位置検出手段は、前記複数の指定位置の各々について、当該指定位置に対応して前記設定処理手段により設定された閾値と、当該指定位置に対応して前記設定処理手段により設定された光検出部の受光素子から出力された特徴量とを比較することにより前記検出処理を行うことが好ましい。
【0016】
前記の構成によれば、位置検出手段は、複数の指定位置を容易に検出することができる。その結果、スイッチは、複数の指定位置に応じた各種の信号を出力することができる。
【0017】
さらに、本発明のスイッチにおいて、前記変位部材が前記指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した場合、前記信号出力手段は、外部の装置を駆動するためのオン信号を前記信号として出力することが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、ユーザは変位部材を指定位置に変位させた状態で設定指示を入力するだけで、外部の装置を駆動するためのオン信号が出力されるときの変位部材の指定位置を容易に設定することができる。
【0019】
さらに、本発明のスイッチにおいて、前記信号出力手段は複数の信号を出力するものであり、前記指定位置として、第1指定位置と、当該第1指定位置よりも基準位置から遠い第2指定位置とがあり、前記変位部材が前記第1指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した場合、前記信号出力手段は、外部の装置を駆動するためのオン信号を前記複数の信号の一つとして出力し、前記変位部材が前記第1指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出してから、前記変位部材が前記第1指定位置よりも前記基準位置に近い位置にあると前記位置検出手段が検出するまでの間に、前記変位部材が前記第2指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出しない場合に、前記信号出力手段は、前記外部からの力の荷重が小さいことを示す故障予知信号を前記複数の信号の一つとして出力することが好ましい。
【0020】
スイッチを長期間継続して使用していると、何らかの影響により、外部から加わる力の荷重が徐々に小さくなることが考えられる。一方、スイッチが生産ラインに設置された場合、外部からの力が加わっているのに正常にオン信号が出力されないというエラーにより生産ラインが停止してしまうことをなるべく避ける必要がある。上記の構成によれば、変位部材が第1指定位置よりも基準位置に近い位置にないと位置検出手段が検出してから、変位部材が第1指定位置よりも基準位置に近い位置にあると位置検出手段が検出するまでの間に、変位部材が第2指定位置よりも基準位置に近い位置にないと位置検出手段が検出しない場合に、故障予知信号が出力される。ここで、第1指定位置は、オン信号を出力する動作ポイントであり、第2指定位置は、第1指定位置よりも基準位置から遠い位置である。そのため、何らかの影響でエラーが生じる前、つまり、外部からの力が加わっているのに変位部材が第1指定位置まで到達しない状態になる前に、ユーザは、故障予知信号を確認するだけで、外部からの力の荷重が徐々に小さくなっていることを容易に認識することができる。
【0021】
さらに、本発明のスイッチにおいて、前記信号出力手段は複数の信号を出力するものであり、前記指定位置として、第1指定位置と、当該第1指定位置よりも基準位置から遠い第3指定位置とがあり、前記変位部材が前記第1指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した場合、前記信号出力手段は、外部の装置を駆動するためのオン信号を前記複数の信号の一つとして出力し、前記変位部材が前記第3指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した場合、前記信号出力手段は、前記外部からの力の荷重が大きいことを示す故障予知信号を前記複数の信号の一つとして出力する好ましい。
【0022】
スイッチを長期間継続して使用していると、何らかの影響により、外部から加わる力の荷重が徐々に大きくなることが考えられる。外部から加わる力の荷重が限界値を超えると、スイッチが破損するおそれがある。上記の構成によれば、変位部材が第3指定位置よりも基準位置に近い位置にないと位置検出手段が検出した場合、故障予知信号が出力される。ここで、第3指定位置は、オン信号を出力する動作ポイントである第1指定位置よりも基準位置から遠い位置である。そのため、ユーザは、第3指定位置としてスイッチが破損する可能性のある力よりも小さい力が加わったときの変位部材の位置を指定することにより、外部からの力の荷重が徐々に大きくなっていることを予め認識することができる。
【0023】
さらに、本発明のスイッチにおいて、前記指定位置として、第4指定位置と、当該第4指定位置よりも基準位置から遠い第5指定位置とがあり、前記信号出力手段は、前記変位部材が前記第5指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した後の、前記変位部材が前記第5指定位置に位置すると前記位置検出手段が検出した時点から前記変位部材が前記第4指定位置に位置すると前記位置検出手段が検出した時点までの時間を計測し、計測した時間が所定時間よりも大きい場合に故障予知信号を前記信号として出力することが好ましい。
【0024】
スイッチを長期間継続して使用していると、摩擦力の増大等の何らかの影響により、変位部材が変位してから基準位置に復帰する際の復帰速度が遅くなることが考えられる。復帰速度が遅くなると、次の外部からの力が加わったときに正常にスイッチ動作を行うことができない場合がある。上記の構成によれば、変位部材が第5指定位置に位置すると位置検出手段が検出した時点から変位部材が第4指定位置に位置すると位置検出手段が検出した時点までの時間が所定時間よりも大きい場合、故障予知信号を前記信号として出力する。そのため、ユーザは、復帰速度が遅くなってきていることを予め認識することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、外部からの力の荷重に応じて変位する変位部材を備えており、この変位部材の位置に応じて信号を出力するスイッチにおいて、調整ネジを必要とすることなく、変位部材の所望の位置に応じた信号を容易に出力することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態におけるリミットスイッチを示す斜視図である。
【図2】リミットスイッチが有するスイッチモジュールを示す図である。
【図3】スイッチモジュールを分解したときの斜視図である。
【図4】スイッチモジュールが有するフォトインタラプタ部を基板とともに示す斜視図である。
【図5】スイッチモジュールが有するプランジャの前面を示す図である。
【図6】プランジャの前面側からみた斜視図である。
【図7】プランジャの背面を示す図である。
【図8】プランジャの背面側からみた斜視図である。
【図9】プランジャの横断面を示す図である。
【図10】複数の発光素子と複数の受光素子とプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第1の図である。
【図11】複数の発光素子と複数の受光素子とプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第2の図である。
【図12】複数の発光素子と複数の受光素子とプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第3の図である。
【図13】複数の発光素子と複数の受光素子とプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第4の図である。
【図14】複数の発光素子と複数の受光素子とプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第5の図である。
【図15】作動体の角度と受光素子の出力電圧との関係を示した図である。
【図16】スイッチモジュールの内部構成を示すブロック図である。
【図17】抽出テーブルの一例を示す図である。
【図18】作動体の角度と動作状態との関係を示す図である。
【図19】受光素子から出力される電圧値と、設定処理部により設定される閾値と、各判定部から出力される信号との関係を示す図である。
【図20】点滅パターンの一例を示す図である。
【図21】変形例におけるプランジャの前面を示す図である。
【図22】変形例におけるプランジャの前面側からみた斜視図である。
【図23】変形例におけるプランジャの背面を示す図である。
【図24】変形例におけるプランジャの背面側からみた斜視図である。
【図25】変形例におけるプランジャの横断面を示す図である。
【図26】複数の発光素子と複数の受光素子と変形例におけるプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第1の図である。
【図27】複数の発光素子と複数の受光素子と変形例におけるプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第2の図である。
【図28】複数の発光素子と複数の受光素子と変形例におけるプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第3の図である。
【図29】複数の発光素子と複数の受光素子と変形例におけるプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第4の図である。
【図30】複数の発光素子と複数の受光素子と変形例におけるプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す第5の図である。
【図31】変形例における、受光素子から出力される電圧値と、設定処理部により設定される閾値と、各判定部から出力される信号との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0028】
<リミットスイッチの全体構成>
図1は、本実施の形態におけるリミットスイッチを示す斜視図である。リミットスイッチは、位置、変化、移動または通過等を検出し、検出の有無に応じたON(オン)信号/OFF(オフ)信号を出力するためのスイッチである。また、本実施形態のリミットスイッチは、機械的強度や耐環境性を要求される場所に適用されることを考慮して、外力、水、油、ガス、塵埃などから保護される構成を有していることが好ましい。
【0029】
図1に示されるように、リミットスイッチ1は、ケーシング3と、装着ブロック5と、作動体7とを備える。
【0030】
ケーシング3は、その内部空間にスイッチモジュール11が配置され、当該スイッチモジュール11を外力、水、油、ガス、塵埃などから保護するためのものである。ケーシング3は、内部空間にスイッチモジュール11を組み込むための開口を有するケーシング本体3aと、当該開口を閉じるための蓋部3bとからなる。
【0031】
装着ブロック5は、ケーシング3の上部に取り付けられている。また、装着ブロック5には、作動体7がネジ9により回転可能に取り付けられる。
【0032】
作動体7は、装着ブロック5から突出しており、物体との接触による外部から力のが加えられていないときの位置が定位置である。ここでは、作動体7の定位置を、時計の0時の方向を向く位置として示している。図1において、作動体7は、左方向から力が加えられると、ネジ9を基準に時計周りに回転し、その後、力が取り除かれると定位置に戻る。一方、作動体7は、右方向から力が加えられると、ネジ9を基準に反時計周りに回転し、その後、力が取り除かれると定位置に戻る。なお、以下では、作動体の位置を定位置からの角度で示す。また、後述するように、作動体7の回転により、スイッチモジュール11が動作するように設定されている。
【0033】
なお、ケーシング本体3a、蓋部3b、装着ブロック5、および作動体7との接続箇所にはシール部材が配置されており、水、油、ガスなどの侵入を防止している。
【0034】
<スイッチモジュールの構成>
上述したように、ケーシング3の内部空間にはスイッチモジュールが配置される。このスイッチモジュール11は、作動体7の位置に応じた各種の信号を出力するものである。
【0035】
図2は、スイッチモジュールの外観を示す図である。図2に示されるように、スイッチモジュール11は、スイッチモジュール11の全体を制御する、図示しないマイクロコンピュータと、点灯部21,23,25と、モード切換スイッチ27と、端子31〜34とを備える。
【0036】
モード切換スイッチ27は、通常モードおよび設定モードのいずれかのモードに切り換えるためのスイッチであり、ユーザにより押下されるボタンを有している。設定モードは、検知される作動体7の位置を設定するためのモードである。そして、通常モードは、設定モードにより設定された位置に応じて各種の信号をスイッチモジュール11が出力するモードである。
【0037】
端子31,32は、電力を供給する装置と接続するための端子である。端子33,34は、生産ラインの作業に用いられる機器と接続される端子である。スイッチモジュール11が備えるマイクロコンピュータは、スイッチモジュール11の全体を制御して、作動体7の位置に応じた各種の信号を端子33,34から出力する。
【0038】
また、マイクロコンピュータは、作動体7の位置に応じて、点灯部21,25の点灯を制御する。なお、点灯部21,23,25は、電力の供給により発光するLED点灯回路と、LED点灯回路から発した光をスイッチモジュール11の表面に導くための導光棒とからなる。点灯部23は、外部からの電力の供給により発光し、具体的には、電源ランプである。
【0039】
図3は、スイッチモジュールを分解したときの斜視図である。図3に示されるように、スイッチモジュール11は、端子31〜34および点灯部21,23,25の他に、光センサとしてのフォトインタラプタ部41と、コイルばね42と、プランジャ43とを備える。
【0040】
フォトインタラプタ部41は、複数の発光素子および受光素子を有する。発光素子は、直線性の高い光を発し、例えば、発光ダイオードである。受光素子は、例えば、シングルフォトトランジスタ、フォトICまたはフォトダイオードである。
【0041】
プランジャ43は、棒状の部品であり、複数のスリット(開口部)を有する。また、プランジャ43は、作動体7の動きに連動して、プランジャ43の長手方向に平行に移動可能である。すなわち、プランジャ43は、外部からの力の荷重に応じて変位する変位部材である。なお、プランジャ43が作動体7の動きに連動する機構としては、様々な公知技術を用いることができる。ここでは、特許文献1に記載されているように、作動体7の回転軸の一部が偏平形状になっており、当該偏平形状の部分とプランジャ43の長手方向の一端とが接触するように構成されている。ここで、作動体7が定位置にあり(つまり、作動体7が物体に接触しておらず回転していない状態)、偏平形状の部分とプランジャ43とが接触しているときの、プランジャ43の位置を基準位置とする。この場合、作動体7の回転によって偏平形状の部分も回転し、プランジャ43に対して、プランジャ43の長手方向に力を加えることができる。その結果、プランジャ43は、基準位置から、その長手方向に沿って変位する。また、プランジャ43には、コイルばね42により、基準位置に戻すための付勢力が加わっている。そのため、作動体7が定位置に戻ると、コイルばね42の付勢力により、プランジャ43も基準位置に戻る。
【0042】
図4は、フォトインタラプタ部を基板とともに示す斜視図である。図4に示されるように、フォトインタラプタ部41は、同形同大の発光素子51〜54と、発光素子51〜54と同形同大の受光素子61〜64とを含む。なお、ここでは、発光素子51〜54および受光素子61〜64を同じ形状、同じ大きさとしているが、形状および大きさはすべて同じでなくてもよい。
【0043】
発光素子51〜54および受光素子61〜64は、プランジャ43の長手方向に沿って、同一直線上に配置される。そして、発光素子51の発光する部分(発光面)と受光素子61の受光する部分(受光面)が対面する。同様に、発光素子52の発光する部分(発光面)と受光素子62の受光する部分(受光面)が対面し、発光素子53の発光する部分(発光面)と受光素子63の受光する部分(受光面)が対面し、発光素子54の発光する部分(発光面)と受光素子64の受光する部分(受光面)が対面する。したがって、受光素子61〜64は、発光素子51〜54が発する光を一対一の関係で受光することができる。すなわち、発光素子51と受光素子61とで、当該発光素子51と受光素子61との間の物体の存在の有無を検知する一つのフォトインタラプタ(光検出部)が構成される。同様に、発行素子52と受光素子62との組み合わせ、発光素子53と受光素子63との組み合わせ、発光素子54と受光素子64との組み合わせの各々が一つのフォトインタラプタ(光検出部)となる。
【0044】
また、発光素子51〜54と受光素子61〜64とは、プランジャ43の短手方向の幅の距離、もしくは、当該幅よりもわずかに大きい距離だけ離れて配置されている。これにより、発光素子51〜54と受光素子61〜64との間にプランジャ43を配置することができる。この配置により、プランジャ43は、作動体7の動きに連動して、発光素子51〜54および受光素子61〜64それぞれが向き合う方向に垂直な方向に平行移動することとなる。
【0045】
図5は、プランジャの前面を示す図である。図6は、プランジャの前面側からみた斜視図である。図7は、プランジャの背面を示す図である。図8は、プランジャの背面側からみた斜視図である。図9は、プランジャの横断面を示す図である。図5〜9に示されるように、プランジャ43は、本体部70と、突起部76とを有する。
【0046】
突起部76は、本体部70と結合しており、本体部70よりも細い。突起部76は、コイルばね42の内部に挿入される。
【0047】
本体部70は、スリット(開口部)71〜74を有する。ここで、スリット71〜74それぞれの形状は同じであるので、スリット71について説明する。スリット71は、プランジャ43の前面と背面との間において開口の大きさが異なる。具体的には、スリット71の開口の横断面の形状は、図7に示すような破線で囲まれた領域のうち斜線以外で示された領域の形状である。そして、プランジャ43の前面におけるスリット71の開口の大きさは、プランジャ43の背面におけるスリット71の開口の大きさよりも大きく設定されている。
【0048】
<フォトインタラプタとプランジャの位置関係>
図10〜14は、複数の発光素子と複数の受光素子とプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す図である。なお、図10は作動体7が定位置に位置しているときの図であり、図11は作動体7が15度の位置(つまり、定位置から15度回転した位置)に位置するときの図であり、図12は作動体7が22.5度の位置に位置するときの図であり、図13は作動体7が30度の位置に位置するときの図であり、図14は作動体7が42.5度の位置に位置するときの図である。ここで、発光素子51〜54および受光素子61〜64が配置される位置は、図4に示したとおりである。
【0049】
図10〜14に示されるように、スイッチモジュール11は、仕切り板81を備える。仕切り板81は、発光素子51〜54と、受光素子61〜64と、プランジャ43とを仕切るための板である。具体的には、仕切り板81は、発光素子51〜54とプランジャ43とを仕切るための第1の仕切り板81aと、受光素子61〜64とプランジャ43とを仕切るための第2の仕切り板81bと、第1の仕切り板81aと第2の仕切り板81bとの間に位置する第3の仕切り板81cとを備える。プランジャ43は、第1の仕切り板81aと第2の仕切り板81bとの間に配置される。ここでは、プランジャ43の背面を第2の仕切り板81bと隣接させ、プランジャ43の前面を第1の仕切り板81aと隣接させている。つまり、プランジャ43の前面と発光素子51〜54とが対面し、プランジャ43の背面と受光素子61〜64とが対面する。なお、図5に示したように、プランジャ43の本体部70のうちスリット71〜74以外の部分を斜線で示している。この斜線の部分を、以下では光遮断領域とする。
【0050】
また、第1の仕切り板81aは、発光素子51〜54それぞれを仕切り、第2の仕切り板81bは、受光素子61〜64それぞれを仕切る。第1の仕切り板81aは、発光素子51〜54それぞれが配置される位置に対応して複数の開口を有する。具体的には、第1の仕切り板81aが有する複数の開口それぞれは、発光素子51〜54それぞれが発する光が通過可能な位置に位置する。第2の仕切り板81bは、受光素子61〜64それぞれが配置される位置に対応して複数の開口を有する。具体的には、第2の仕切り板81bが有する複数の開口それぞれは、受光素子61〜64それぞれが発光素子51〜54からの光を受けることが可能な位置に位置する。そのため、第1の仕切り板81aに形成された開口のそれぞれと、当該開口に対応する、第2の仕切り板81bに形成された開口とを直線的につなぐ領域が、発光素子から発せられた光の通過する領域(光路領域)となる。
【0051】
さらに、第3の仕切り板81cは、プランジャ43の突起部76のみが挿通するための孔を有している。そのため、突起部76が内部に挿入されたコイルばね42は、第3の仕切り板81cと本体部70との間に存在する。作動体7の動きに応じてプランジャ43が第3の仕切り板81cの方向に平行移動すると、コイルばね42は、プランジャ43の本体部70と第3の仕切り板81cとの間で縮み、プランジャ43を基準位置に戻す力をプランジャ43に与える。
【0052】
上述したように、プランジャ43は、作動体7の動きに連動して、その長手方向に移動する。この移動の途中において、スリット71が、発光素子51に対応する第1の仕切り板81aの開口および受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口と重なるように、プランジャ43にスリット71が形成されている。同様に、スリット72が、発光素子52に対応する第1の仕切り板81aの開口および受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口と重なるように、プランジャ43にスリット72が形成されている。また、スリット73が、発光素子53に対応する第1の仕切り板81aの開口および受光素子63に対応する第2の仕切り板81bの開口と重なるように、プランジャ43にスリット73が形成されている。さらに、スリット74が、発光素子54に対応する第1の仕切り板81aの開口および受光素子64に対応する第2の仕切り板81bの開口と重なるように、プランジャ43にスリット74が形成されている。このように、スリット71〜74のそれぞれは、発光素子51〜54および受光素子61〜64のそれぞれに対応している。
【0053】
ただし、スリット71〜74の背面側の開口のそれぞれと当該スリットに対応する第2の仕切り板81bの開口との距離は、スリット71〜74ごとに異なる。具体的には、図10に示されるように、作動体7が定位置にあるとき(すなわち、プランジャ43が基準位置にあるとき)、スリット71の背面側の開口とスリット71に対応する第2の仕切り板81bの開口との距離A、スリット72の背面側の開口とスリット72に対応する第2の仕切り板81bの開口との距離B、スリット73の背面側の開口とスリット73に対応する第2の仕切り板81bの開口との距離C、スリット74の背面側の開口とスリット74に対応する第2の仕切り板81bの開口との距離Dは、この順に大きくなるように、各スリット71〜74の位置が設定されている。
【0054】
ここで、スリット71〜74を通過した光を受光素子61〜64が検出するときのプランジャ43の位置のうち、基準位置からの変位量が最小となる位置を光検出開始位置とする。この場合、上記の距離A〜Dは、基準位置から光検出開始位置までの距離を示すこととなる。
【0055】
このようなプランジャ43が作動体7の動きに連動して平行移動すると、その位置に応じて発光素子51〜54が発する光を遮断または通過させることとなる。具体的には、プランジャ43の位置の変化により、第2の仕切り板81bが有する開口とプランジャ43の光遮断領域とが重なるとき、プランジャ43は、当該開口に対応する受光素子への光を遮断する。また、プランジャ43は、第2の仕切り板81bが有する開口とプランジャ43のスリットの少なくとも一部とが重なるとき、プランジャ43は、当該開口に対応する受光素子へ光を通過させる。言い換えると、発光素子51〜54から受光素子61〜64までの光路とスリット71〜74の少なくとも一部とが重なるときに、光が通過される。この際に受光素子に入射する光の量は、第2の仕切り板81bが有する当該開口とスリットの開口とが重なりあう領域の大きさに比例する。
【0056】
プランジャ43が発光素子51〜54それぞれが発する光のうちいずれを遮断するかは、プランジャ43の位置、つまり、作動体7における定位置からの角度と対応している。以下、図10〜15を参照して、作動体7の定位置からの角度が変化するにつれ、各受光素子61〜64への光の入射の有無、および、入射する光の量がどのように変化するかについて説明する。
【0057】
図10に示されるように、プランジャ43は、作動体7が0度(定位置)に位置するとき、発光素子51〜54が発する光のすべてを遮断する。具体的には、第2の仕切り板において受光素子61〜64が配置された位置に対応する全ての開口を、プランジャ43の光遮断領域が覆う。このため、発光素子51〜54それぞれが発する光がプランジャ43に遮断され、受光素子61〜64まで到達しない。
【0058】
図10に示す状態から作動体7を回転させていき、プランジャ43をその長手方向に移動させていく。このとき、上述したように、スリット71の背面側の開口とスリット71に対応する第2の仕切り板81bの開口との距離Aが、他の距離B〜Dよりも短いため、スリット71の背面側の開口と受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口とだけが重なり始める。その後、作動体7の角度が大きくなるにつれ、プランジャ43の移動量が大きくなると、スリット71の背面側の開口と受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口との重なり領域が大きくなるとともに、スリット72の背面側の開口と受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口とが重なり始める。
【0059】
図11に示されるように、作動体7が15度の位置に位置するとき、スリット71の背面側の開口が受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口の全領域と重なりあっている。言い換えると、第1の仕切り板81aにおいて発光素子51が配置された位置に対応する開口と、第2の仕切り板81bにおいて受光素子61が配置された位置に対応する開口とを直線的につなぐ空間(光路領域)の全てにおいて、スリット71の開口が位置する。また、スリット72の背面側の開口が受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口の一部と重なりあっている。言い換えると、第1の仕切り板81aにおいて発光素子52が配置された位置に対応する開口と、第2の仕切り板81bにおいて受光素子62が配置された位置に対応する開口とを直線的につなぐ空間(光路領域)に、スリット72の開口の一部のみが位置する。そのため、受光素子61の受光量は最大値となり、受光素子62は、発光素子52から発光された光の一部のみを受光する。また、この段階では、まだ受光素子53,54が配置された位置に対応する第2の仕切り板81bの開口を、プランジャ43の光遮断領域が覆っている。そのため、受光素子53,54には光が到達しない。
【0060】
図11に示す状態からさらに作動体7を回転させていき、プランジャ43をその長手方向に移動させていく。このとき、作動体7の角度が大きくなるにつれ、プランジャ43の移動量が大きくなると、スリット72の背面側の開口と受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口との重なり領域が大きくなるとともに、スリット73の背面側の開口と受光素子63に対応する第2の仕切り板81bの開口とが重なり始める。
【0061】
図12に示されるように、作動体7が22.5度の位置に位置するとき、スリット71,72の背面側の開口のそれぞれが受光素子61,62に対応する第2の仕切り板81bの開口の全領域と重なりあっている。言い換えると、第1の仕切り板81aにおいて発光素子51が配置された位置に対応する開口と、第2の仕切り板81bにおいて受光素子61が配置された位置に対応する開口とを直線的につなぐ空間(光路領域)の全てにおいて、スリット71の開口が位置する。同様に、第1の仕切り板81aにおいて発光素子52が配置された位置に対応する開口と、第2の仕切り板81bにおいて受光素子62が配置された位置に対応する開口とを直線的につなぐ空間(光路領域)の全てにおいて、スリット72の開口が位置する。また、スリット73の背面側の開口が受光素子63に対応する第2の仕切り板81bの開口の一部と重なりあっている。言い換えると、第1の仕切り板81aにおいて発光素子53が配置された位置に対応する開口と、第2の仕切り板81bにおいて受光素子63が配置された位置に対応する開口とを直線的につなぐ空間(光路領域)に、スリット73の開口の一部のみが位置する。そのため、受光素子61,62の受光量は最大値となり、受光素子63は、発光素子53から発光された光の一部のみを受光する。なお、この段階では、まだ受光素子54が配置された位置に対応する第2の仕切り板81bの開口を、プランジャ43の光遮断領域が覆っている。そのため、受光素子54には光が到達しない。
【0062】
図12に示す状態からさらに作動体7を回転させていき、プランジャ43をその長手方向に移動させていくと、スリット73の背面側の開口と受光素子63に対応する第2の仕切り板81bの開口との重なり領域が大きくなる。
【0063】
図13に示されるように、作動体7が30度の位置に位置するとき、スリット71,72,73の背面側の開口のそれぞれが受光素子61,62,63に対応する第2の仕切り板81bの開口の全領域と重なりあっている。そのため、受光素子61,62,63の受光量は最大値となる。なお、この段階では、まだ受光素子54が配置された位置に対応する第2の仕切り板81bの開口を、プランジャ43の光遮断領域が覆っている。そのため、受光素子64には光が到達しない。
【0064】
図13に示す状態からさらに作動体7を回転させていき、プランジャ43をその長手方向に移動させていくと、スリット74の背面側の開口と受光素子64に対応する第2の仕切り板81bの開口とが重なり始める。
【0065】
図14に示されるように、作動体7が42.5度の位置に位置するとき、スリット71〜74の背面側の開口のそれぞれが受光素子61〜64に対応する第2の仕切り板81bの開口の全領域と重なりあっている。そのため、受光素子61〜64の受光量は最大値となる。
【0066】
図15は、作動体の角度と受光素子の出力電圧との関係を示した図である。図15に示されるように、受光素子61〜64それぞれが発光素子51〜54それぞれから光を受けることにより出力する電圧と作動体7の位置との関係を4つの折れ線91〜94によって示している。折れ線91は、受光素子61に対応し、折れ線92は、受光素子62に対応し、折れ線93は、受光素子63に対応し、折れ線94は、受光素子64に対応する。
【0067】
図15に示されるように、作動体7の角度が0度以上5度未満のとき、発光素子51〜54それぞれが発する光を遮断し、作動体7の角度が12.5度以上20度未満のとき、発光素子51,52それぞれが発する光の少なくとも一部を通過させ、発光素子53〜55それぞれが発する光を遮断し、作動体7の角度が20度以上32.5度未満のとき、発光素子51〜53それぞれが発する光の少なくとも一部を通過させ、発光素子54,55それぞれが発する光を遮断し、作動体7の角度が32.5度以上50度未満のとき、発光素子51〜54それぞれが発する光の少なくとも一部を通過させる。また、角度が5〜15度において、受光素子61からの出力電圧は、角度に比例して連続的に大きくなっている。これは、受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口とスリット71との重なり合う領域の大きさが角度の増大に応じて増えるからである。同様に、角度が12.5〜22.5度において受光素子62からの出力電圧が、角度が20〜30度において受光素子63からの出力電圧が、角度が32.5〜42.5度において受光素子64からの出力電圧が、角度に比例して連続的に大きくなっている。
【0068】
このように、作動体7の角度が大きくなることに応じて、プランジャ43を通過する光が多くなる。逆に、作動体7の角度が小さくなることに応じて、プランジャ43を通過する光が少なくなる。このように、作動体7の定位置からの回転角度に応じてプランジャ43の位置が変わり、プランジャ43の位置に応じて、受光素子61〜64の各々が受光する光の量が異なることとなる。また、受光素子61〜64の各々に対して、入射される光の量が最大となるプランジャ43の位置のうち、基準位置からの変位量が最小となるプランジャ43の位置を光量最大位置とするとき、受光素子61〜64ごとに光量最大位置が異なる。なお、受光素子61の光量最大位置は、作動体7が15度のときのプランジャ43の位置であり、受光素子62の光量最大位置は、作動体7が22.5度のときのプランジャ43の位置であり、受光素子63の光量最大位置は、作動体7が30度のときのプランジャ43の位置であり、受光素子64の光量最大位置は、作動体7が42.5度のときのプランジャ43の位置である。
【0069】
また、図15から、受光素子61〜64が光を検出し始めるときのプランジャ43の位置(光検出開始位置)が、受光素子61〜64ごとに異なっているとも表現できる。具体的には、受光素子61に対応する光検出開始位置は、作動体7が5度の位置にあるときのプランジャ43の位置であり、受光素子62に対応する光検出開始位置は、作動体7が12.5度の位置にあるときのプランジャ43の位置であり、受光素子63に対応する光検出開始位置は、作動体7が20度の位置にあるときのプランジャ43の位置であり、受光素子64に対応する光検出開始位置は、作動体7が32.5度の位置にあるときのプランジャ43の位置である。
【0070】
このように、光量最大位置、または、光検出開始位置が、受光素子61〜64ごとに異なるため、受光素子61〜64が光を検出する際のプランジャ43の位置範囲も異なることとなる。
【0071】
なお、上記の説明では、プランジャ43の前面を発光素子51〜54と対向させ、プランジャ43の背面を受光素子61〜64と対向させるものとした。しかしながら、逆に、プランジャ43の背面を発光素子51〜54と対向させ、プランジャ43の前面を受光素子61〜64と対向させてもよい。この場合であっても、作動体の角度と受光素子の出力電圧との関係は図15と同じである。
【0072】
<マイクロコンピュータとその周辺構成との関係>
図16は、スイッチモジュールの構成を示すブロック図である。図16に示されるように、スイッチモジュール11は、モード切換スイッチ27、受光素子61〜64および点灯部(信号出力手段)21,25の他に、スイッチモジュール11の全体を制御するマイクロコンピュータ100と、低電圧回路101と、と、ON/OFF信号出力部(信号出力手段)103と、故障予知/異常予知出力部(信号出力手段)105とを含む。
【0073】
低電圧回路101は、外部から入力される電圧を変換し、入力された電圧よりも低い電圧をマイクロコンピュータ100に出力する。マイクロコンピュータ100は、低電圧回路101から電圧が入力されると、図2に示す点灯部23を点灯させる。
【0074】
受光素子61は、発光素子51から受けた光の量に応じた電圧をマイクロコンピュータ100に出力する。受光素子62は、発光素子52から受けた光の量に応じた電圧をマイクロコンピュータ100に出力する。受光素子63は、発光素子53から受けた光の量に応じた電圧をマイクロコンピュータ100に出力する。受光素子64は、発光素子54から受けた光の量に応じた電圧をマイクロコンピュータ100に出力する。ここで、受光素子61〜64と発光素子51〜54との間の光路にプランジャ43の光遮断領域が存在しないときの受光素子61〜64のそれぞれから出力される電圧を最大電圧とする。
【0075】
モード切換スイッチ27は、上述したように、通常モードおよび設定モードのいずれかのモードに切り換えるためのスイッチであり、ユーザにより押下されるボタンを有している。ボタンが押下されると、モード切換スイッチ27は、モードを切り換える旨のLOW信号をマイクロコンピュータ100に出力する。一方、モード切換スイッチ27は、ボタンが押下されない場合、常にHIGH信号をマイクロコンピュータ100に出力する。
【0076】
ON/OFF信号出力部103は、マイクロコンピュータ100により制御されて、リミットスイッチ1による操作対象となる外部装置の駆動を制御するためのON信号(オン信号)またOFF信号を出力するものである。
【0077】
故障予知/異常予知出力部105は、マイクロコンピュータ100により制御されて、リミットスイッチ1に生じる故障や異常を予知したことを示す故障予知信号や異常予知信号を外部に出力するものである。
【0078】
点灯部21、25は、それぞれマイクロコンピュータ100により制御されて発光する。
【0079】
次に、マイクロコンピュータ100の内部の機能構成について説明する。なお、マイクロコンピュータ100は、CPUと、プログラムを記憶するメモリとを備え、CPUがメモリからプログラムを読み出し、当該プログラムに従った動作をすることにより機能する。図16に示されるように、マイクロコンピュータ100は、A/D変換部111と、位置検出部(位置検出手段)113と、メモリ115,117と、出力信号制御部119と、モード切換部121と、設定処理部(設定処理手段)123とを含む。
【0080】
A/D変換部111は、受光素子61〜64から出力されたアナログ電圧を受け、当該アナログ電圧の値をデジタル値に変換するものである。
【0081】
位置検出部113は、作動体7の位置(ここでは定位置からの角度)を検出するものである。位置検出部113は、第1判定部113−1〜第n判定部113−nを備えている。なお、第1判定部113−1〜第n判定部113−nの機能は同じであるため、ここでは第1判定部113−1のみ説明する。
【0082】
第1判定部113−1は、A/D変換部111から出力された受光素子61〜64に対応する4つのデジタル値の中から一つのデジタル値を抽出する。この抽出は、メモリ115に格納されている抽出用テーブルを用いて行われる。抽出用テーブルは、第k判定部(k=1〜nのいずれか)113−kについて、当該第k判定部113−kを識別する判定部識別情報と、受光素子61〜64に対応する4つのデジタル値のうち、当該第k判定部113−kにより使用される受光素子を識別する受光素子識別情報とが対応付けられた情報である。図17は、抽出用テーブルの一例である。図17に示す抽出用テーブルの場合、第1判定部113−1を示す判定部識別情報に対応する受光素子識別情報が受光素子61であることを示しているため、第1判定部113−1は、受光素子61からのデジタル値を抽出する。
【0083】
また、第1判定部113−1は、抽出したデジタル値と、メモリ117に格納されている第1閾値とを比較し、抽出したデジタル値が第1閾値以上である場合にHIGH信号を、抽出したデジタル値が第1閾値未満である場合にLOW信号を、出力信号制御部119に出力する。なお、メモリ117に格納されている第k閾値は、第k判定部113−kに対応するものであり、当該第k判定部113−kにより使用される。
【0084】
出力信号制御部119は、第1判定部113−1〜第n判定部113−nより出力される信号に従って、ON/OFF信号出力部103、故障予知/異常予知出力部105、および点灯部21,25を制御するものである。この制御の具体例については後述する。
【0085】
モード切換部121は、モード切換スイッチ27からLOW信号を受けたときに、モードを設定モードに切り換え、設定処理部123に設定指示を出力する。また、モード切換部121は、設定処理部123から設定完了の通知を受けると、通常モードに切り換える。なお、モード切換部121は、通常モードに切り換えた場合、設定処理部123の動作を停止させ、出力信号制御部119を動作させる。
【0086】
設定処理部123は、メモリ117に格納される第k閾値(k=1〜n)およびメモリ115に格納される受光素子識別情報を設定する処理を行うものである。設定処理部123は、前回の設定対象である第(k−1)判定部(k=1〜nのいずれか)を識別する前回設定対象情報を記憶している。そして、設定処理部123は、設定指示を受けた際、前回設定対象情報で示される第(k−1)判定部の次の判定部である第k判定部113−kを設定対象とする。なお、前回設定対象情報が第n判定部113−nを示している場合、設定処理部123は、第1判定部113−1を設定対象とする。そして、設定処理部123は、設定対象である第k判定部113−kに対応する第k閾値および受光素子識別情報を設定する設定処理を行い、設定処理が完了すると、設定完了の旨をモード切換部121に通知する。これにより、ユーザは、モード切換スイッチ27を押下するごとに、第1判定部113−1から第n判定部113−nに対応する設定処理を順次実行させることができる。
【0087】
設定処理部123における設定処理の方法は、以下のとおりである。まず、設定処理部123は、A/D変換部111から出力された受光素子61〜64に対応する4つのデジタル値の中から、当該デジタル値が取りうる範囲のうち、少なくとも最小電圧(0V)および最大電圧(5V)を除く所定範囲(例えば、最大電圧5Vの10%〜90%の範囲である0.5〜4.5V)内である一つのデジタル値を抽出する。なお、所定範囲内のデジタル値を出力する受光素子が複数ある場合、当該所定範囲の中央値(つまり、最大電圧の1/2の電圧を示す値)に最も近い一つのデジタル値を抽出すればよい。そして、設定処理部123は、抽出したデジタル値を出力している受光素子を識別する情報を、設定対象である第k判定部113−kを示す判定部識別情報に対応する受光素子識別情報としてメモリ115の抽出用テーブルを更新する。また、設定処理部123は、抽出したデジタル値を、設定対象である第k判定部113−kに対応する第k閾値としてメモリ117を更新する。設定処理部123は、メモリ117を更新すると、設定完了したものと判断し、設定完了の旨をモード切換部121に通知する。
【0088】
上記の設定処理によれば、ユーザが作動体7を設定位置まで変位させた状態(つまり、プランジャ43を作動体7の設定位置に対応する指定位置まで変位させた状態)でモード切換スイッチ27のボタンを押下することにより、設定処理部123は、設定対象である第k判定部113−kに対応する受光素子識別情報として、所定範囲(例えば、最大電圧5Vの10%〜90%の範囲である0.5〜4.5V)内である一つのデジタル値を出力する受光素子を示す情報を設定する。ここで所定範囲は、最小電圧および最大電圧を除く範囲である。そのため、発光素子から発せられた光のうち一部が光遮断領域により遮断され、一部が受光素子に入射している範囲である。この範囲では、プランジャ43の位置によりデジタル値が敏感に変化する範囲である。また、設定処理部123は、設定対象である第k判定部113−kに対応する第k閾値として、作動体が設定位置にあるときに、受光素子識別情報で示される受光素子に対応するデジタル値を設定する。その結果、第k判定部113−kは、設定位置付近において感度のよい受光素子からのデジタル値と、作動体7が設定位置であるときの当該受光素子のデジタル値である第k閾値とを用いて、設定位置を精度よく検出することができる。
【0089】
<位置検出と出力信号制御の具体例>
次に、本実施形態のリミットスイッチ1を用いた位置検出と出力信号制御の具体例について説明する。
【0090】
上述したように、リミットスイッチ1は、物体との接触によって作動体7が回転し、その定位置からの角度に応じて、リミットスイッチ1による操作対象となる外部装置に対してON信号を出力する。ただし、作動体7に常に同じ状態で物体が接触するとは限らない。重量、大きさ、移動経路などは物体によってわずかに変化する可能性がある。このような変化があったとしても、エラーが生じない状態でリミットスイッチ1が正常に動作することが望まれる。
【0091】
一方、リミットスイッチ1を長期間使用する場合、振動等の何らかの原因によって、リミットスイッチ1と物体の移動経路との相対位置関係が徐々に変化する可能性がある。このような長期間に亘る変化によって、物体が作動体7に接触した際の作動体7の角度が徐々に大きくなる、もしくは徐々に小さくなることが考えられる。物体が作動体7に接触した際の作動体7の角度が長期間に亘って徐々に大きくなる場合、作動体7の角度の限界値を超えるような力が作動体7に加わり、機械的な故障が生じるおそれがある。また、物体が作動体7に接触した際の作動体7の角度が長期間に亘って徐々に小さくなる場合、正常にON信号を出力しなくなるというおそれがある。生産ラインを稼動中にこのような故障や異常が発生すると、生産ライン全体を停止しなければならない。そのため、このような故障や異常が発生する前に、将来故障や異常が発生する可能性があることを予知できることが望まれる。
【0092】
さらに、長期間使用する場合、何らかの影響により作動体7とその回転軸との摩擦力が徐々に大きくなる可能性がある。この場合、物体が離れた直後の作動体7の定位置への復帰速度が徐々に遅くなっていく。復帰速度が遅くなると、次の物体を正常に検知できないおそれがある。ここで、次の物体を正常に検知できなくなる復帰速度を所定限界速度とする。このとき、復帰速度が所定限界速度以上になる前に、復帰速度が遅くなり始めていることを予知できることが望まれる。
【0093】
図18は、作動体の角度と動作状態との関係を示す図である。ここでは、平均的な物体が作動体7に接触したときに、作動体7が30〜35度程度回転するように、物体の移動経路とリミットスイッチ1との相対位置関係が設定されているものとする。また、ここでは、作動体7の角度の限界値(図ではTTPと示す)が50度であるとする。
【0094】
この場合、重量、大きさ、移動経路などの物体の個体差によらずに、正常な状態でリミットスイッチ1がON信号を出力するためには、平均的な作動体7の角度(30〜35度)よりも小さい角度(例えば15度)を、ON信号を出力する動作角度として設定することが好ましい。
【0095】
また、物体が作動体7に接触した際の作動体7の角度が長期間に亘って徐々に大きくなっていることを予知するために、平均的な作動体7の角度(30〜35度)よりも大きく、かつ、限界値(50度)よりも小さい角度(例えば40度)を超えたときに、故障予知信号が出力されることが好ましい。この故障予知信号は、外部からの力が大きいことによる故障が将来生じる可能性があることを示すものである。なお、図中では、このような故障予知信号が出力されることが望まれる角度範囲を「OT取り過ぎ」として示している。
【0096】
さらに、物体が作動体7に接触した際の作動体7の角度が長期間に亘って徐々に小さくなっていることを予知するために、平均的な作動体7の角度(30〜35度)よりも小さく、かつ、ON信号を出力する角度(例えば15度)よりも大きい角度(例えば25度)よりも小さい角度だけしか回転しないときに、回転不足異常予知信号が出力されることが好ましい。この回転不足異常予知信号は、外部からの力が小さいことによる異常が将来生じる可能性があることを示すものである。なお、図中では、このような回転不足異常予知信号が出力されることが望まれる角度範囲を「OT不足」として示している。
【0097】
さらに、復帰速度が遅くなり始めていることを予知するために、復帰時の速度を示すパラメータ、例えば、定位置の復帰時において角度15度に到達した時点から角度10度に到達する時点までの復帰時間を測定する。そして、所定限界速度に対応する時間よりも短く、かつ、正常に復帰しているときの復帰時間よりも長い所定時間と、測定した復帰時間とを比較し、所定時間よりも測定した復帰時間が長い場合に、復帰速度異常予知信号が出力されることが好ましい。この復帰速度異常予知信号は、プランジャ43(つまり、作動体7)の復帰速度が遅くなってきている旨を示す信号である。
【0098】
そこで、ON信号を出力する動作角度(例えば15度)、故障予知信号を出力する角度(40〜50度)、異常予知信号を出力する角度(15〜25)、復帰速度異常より信号を出力するために用いる角度(例えば、15度および10度)を設定する具体例について、図19を参照しながら以下に説明する。
【0099】
図19は、受光素子から出力される電圧値と、設定処理部により設定される閾値と、各判定部から出力される信号との関係を示す図である。図19において、(a)部は、作動体7の角度の変化例を示しており、(b)部は、受光素子61〜64から出力される電圧値と設定処理部123により設定される閾値との関係を示しており、(c)部は、位置検出部113から出力される信号を示している。
【0100】
なお、設定処理部123は、前回設定対象情報として第n判定部113−nを示す情報を記憶しているものとする。
【0101】
また、受光素子61〜64は、出力電圧(デジタル値)として、0〜5Vを出力可能であるとする。そのため、中央値は2.5Vとなる。
【0102】
まず、ユーザは、作動体7を定位置から10度だけ回転させ、当該作動体7の位置に対応する指定位置(第4指定位置)にプランジャ43を変位させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、設定処理部123は、第1判定部113−1を設定対象とする。作動体7が10度の位置に位置している場合、図19の(b)部に示されるように、受光素子61からの出力電圧が約2.5Vであり、他の受光素子62〜64の出力電圧が0Vである。そのため、設定処理部123は、設定対象である第1判定部113−1に対応する受光素子識別情報として、受光素子61を示す情報を設定する。また、設定処理部123は、第1判定部113−1に対応する第1閾値として、作動体7の角度が10度である状態のときに受光素子61から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0103】
これにより、図19の(c)部に示されるように、第1判定部113−1は、受光素子61からの出力電圧値が第1閾値以上である場合にHIGH信号を、受光素子61からの出力電圧値が第1閾値未満である場合にLOW信号を出力する。そして、第1閾値は、作動体7の角度が10度である状態のときに受光素子61から出力された電圧値(デジタル値)を設定されている。そのため、第1判定部113−1からHIGH信号が出力されている場合、作動体7が角度10度以上の位置にあり、第1判定部113−1からLOW信号が出力されている場合、作動体7が角度10度未満の位置にあることがわかる。また、第1判定部113−1からの信号がLOWからHIGH、または、HIGHからLOWに変化したときに作動体7の角度が10度であることがわかる。
【0104】
次に、ユーザは、作動体7を15度の位置に変位させ、当該作動体7の位置に対応する指定位置(第1指定位置、第5指定位置)にプランジャ43を変位させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、設定処理部123は、第2判定部113−2を設定対象とする。作動体7が15度の位置に位置している場合、図19の(b)部に示されるように、受光素子62からの出力電圧が約1.2Vであり、他の受光素子61,63,64の出力電圧が5Vまたは0Vである。そのため、設定処理部123は、設定対象である第2判定部113−2に対応する受光素子識別情報として、受光素子62を示す情報を設定する。また、設定処理部123は、第2判定部113−2に対応する第2閾値として、作動体7の角度が15度である状態のときに受光素子62から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0105】
これにより、図19の(c)部に示されるように、第2判定部113−2は、受光素子62からの出力電圧(デジタル値)が第2閾値以上である場合にHIGH信号を、受光素子62からの出力電圧(デジタル値)が第2閾値未満である場合にLOW信号を出力する。そして、第2閾値は、作動体7の回転角度が15度である状態のときに受光素子62から出力された電圧値(デジタル値)を設定されている。そのため、第2判定部113−2からHIGH信号が出力されている場合、作動体7が角度15度以上の位置にあり、第2判定部113−2からLOW信号が出力されている場合、作動体7が角度15度未満の位置にあることがわかる。また、第2判定部113−2からの信号がLOWからHIGH、または、HIGHからLOWに変化したときに作動体7の角度が15度であることがわかる。
【0106】
次に、ユーザは、作動体7を25度の位置に変位させ、当該作動体7の位置に対応する指定位置(第2指定位置)にプランジャ43を変位させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、設定処理部123は、第3判定部113−3を設定対象とする。作動体7が25度の位置に位置している場合、図19の(b)部に示されるように、受光素子63からの出力電圧が約2.5Vであり、他の受光素子61,62,64の出力電圧が5Vまたは0Vである。そのため、設定処理部123は、設定対象である第3判定部113−3に対応する受光素子識別情報として、受光素子63を示す情報を設定する。また、設定処理部123は、第3判定部113−3に対応する第3閾値として、作動体7の角度が25度である状態のときに受光素子63から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0107】
これにより、図19の(c)部に示されるように、第3判定部113−3は、受光素子63からの出力電圧(デジタル値)が第3閾値以上である場合にHIGH信号を、受光素子63からの出力電圧(デジタル値)が第3閾値未満である場合にLOW信号を出力する。そして、第3閾値は、作動体7の角度が25度である状態のときに受光素子63から出力された電圧値(デジタル値)を設定されている。そのため、第3判定部113−3からHIGH信号が出力されている場合、作動体7が角度25度以上の位置にあり、第3判定部113−3からLOW信号が出力されている場合、作動体7が角度25度未満の位置にあることがわかる。また、第3判定部113−3からの信号がLOWからHIGH、または、HIGHからLOWに変化したときに作動体7の角度が25度であることがわかる。
【0108】
最後に、ユーザは、作動体7を40度の位置に変位させ、当該作動体7の位置に対応する指定位置(第3指定位置)にプランジャ43を変位させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、設定処理部123は、第4判定部113−3を設定対象とする。作動体7が40度の位置に位置している場合、図19の(b)部に示されるように、受光素子64からの出力電圧が約3.8Vであり、他の受光素子61〜63の出力電圧が5Vである。そのため、設定処理部123は、設定対象である第4判定部113−3に対応する受光素子識別情報として、受光素子64を示す情報を設定する。また、設定処理部123は、第4判定部113−3に対応する第4閾値として、作動体7の角度が40度である状態のときに受光素子64から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0109】
これにより、図19の(c)部に示されるように、第4判定部113−3は、受光素子64からの出力電圧(デジタル値)が第4閾値以上である場合にHIGH信号を、受光素子64からの出力電圧(デジタル値)が第4閾値未満である場合にLOW信号を出力する。そして、第4閾値は、作動体7の角度が40度である状態のときに受光素子64から出力された電圧値(デジタル値)を設定されている。そのため、第4判定部113−3からHIGH信号が出力されている場合、作動体7が角度40度以上の位置にあり、第4判定部113−3からLOW信号が出力されている場合、作動体7が角度40度未満の位置にあることがわかる。また、第4判定部113−3からの信号がLOWからHIGH、または、HIGHからLOWに変化したときに作動体7の角度が40度であることがわかる。
【0110】
そして、出力信号制御部119は、第1判定部113−1〜第4判定部113−3からの信号を受けて、以下のような処理を行うように予め設定されている。
【0111】
すなわち、出力信号制御部119は、第2判定部113−2からの信号がHIGHを示している間、ON信号が出力されるようにON/OFF信号出力部103を制御するとともに、点灯部21を点灯させるように制御する。
【0112】
ここで、上述したように、第2判定部113−2に対応する受光素子識別情報には受光素子62を示す情報が設定されており、第2閾値として、作動体7の角度が15度であるときの受光素子62の出力電圧(デジタル値)が設定されている。そのため、ON信号が出力される動作角度を15度とすることができる。
【0113】
また、出力信号制御部119は、第2判定部113−2からの信号がLOWからHIGHに変化した時点から第2判定部113−2からの信号がHIGHからLOWに変化する時点までの間に、第3判定部113−3からの信号がLOWからHIGHに変化したかを判断する。第3判定部113−3からの信号がLOWからHIGHに変化していない場合、出力信号制御部119は、回転不足異常予知信号が出力されるように故障予知/異常予知出力部105を制御するとともに、点灯部25を第1パターンに従って点滅させるように制御する。
【0114】
ここで、上述したように、第3判定部113−3に対応する受光素子識別情報には受光素子63を示す情報が設定されており、第3閾値として、作動体7の角度が25度であるときの受光素子63の出力電圧(デジタル値)が設定されている。そのため、回転不足異常予知信号が出力される角度範囲を25度未満とすることができる。
【0115】
また、出力信号制御部119は、第4判定部113−3からの信号がHIGHを示している間、故障予知信号が出力されるように故障予知/異常予知出力部105を制御するとともに、点灯部25を第2パターンに従って点滅させるように制御する。
【0116】
ここで、上述したように、第4判定部113−3に対応する受光素子識別情報には受光素子64を示す情報が設定されており、第4閾値として、作動体7の角度が40度であるときの受光素子64の出力電圧(デジタル値)が設定されている。そのため、故障予知信号が出力される角度範囲を40度以上とすることができる。
【0117】
さらに、出力信号制御部119は、第2判定部113−2からの信号がHIGHからLOWに変化した時点から第1判定部113−1からの信号がHIGHからLOWに変化する時点までの時間を計測し、計測した時間が所定時間よりも長いか否かを判断する。測定した時間が所定時間よりも長い場合、出力信号制御部119は、復帰速度異常予知信号が出力されるように故障予知/異常予知出力部105を制御するとともに、点灯部25を第3パターンに従って点滅させるように制御する。
【0118】
ここで、上述したように、第1判定部113−1に対応する受光素子識別情報には受光素子61を示す情報が設定されており、第1閾値として、作動体7の角度が10度であるときの受光素子61の出力電圧(デジタル値)が設定されている。そのため、作動体7が復帰する際の角度15度から角度10度まで移動する時間に応じて、復帰速度異常予知信号を出力することができる。
【0119】
なお、上記の第1〜第3パターンは、点滅する回数、周期などが異なるパターンである。例えば、図20に示されるように、4秒を周期とし、一周期に点滅させる回数をパターンごとに変えている。
【0120】
以上のように本実施形態のリミットスイッチ1は、外部からの力に応じて変位するプランジャ(変位部材)43と、プランジャ43の位置に応じた信号を出力する出力信号制御部(信号出力部)119とを備える。そして、プランジャ43は、発光素子51〜54の発光面と受光素子61〜64の受光面との間に配置され、外部からの力がないときに基準位置に位置する。また、プランジャ43の変位に応じて発光素子51〜54から発せられた光のうち受光素子61〜64に入射する光の量が変化するように、プランジャ43にはには光を通すためのスリット(開口部)71〜74が形成されている。さらに、リミットスイッチ1は、ユーザによりプランジャ43が指定位置(例えば、作動体7が10度、15度、25度、40度のときのプランジャ43の位置)に変位された状態で設定指示が入力されたとき、受光素子61〜64から出力されたデジタル値(特徴量)を第k閾値として設定する設定処理部123を備える。さらに、リミットスイッチ1は、設定された第k閾値と、受光素子から出力されるデジタル値とを比較することにより、プランジャ43が指定位置よりも基準位置に近い位置にあるのか否かを検出する検出処理を行う位置検出部113を備える。
【0121】
これにより、プランジャ43の位置によって、受光素子61〜64に入射する光の量が異なるため、各受光素子61〜64から出力されるデジタル値が変化することとなる。そして、ユーザ入力に従って、プランジャ43が指定位置(例えば、作動体7が10度、15度、25度、40度のときのプランジャ43の位置)に変位された状態で受光素子61〜64のいずれかから出力されたデジタル値を閾値として設定し、設定された閾値と、当該受光素子から出力されるデジタル値とを比較することにより、プランジャ43が指定位置よりも基準位置に近い位置にあるのか否かを検出する。そのため、ユーザはプランジャ43を指定位置に変位させた状態で設定指示を入力するだけで、その状態のときのデジタル値が閾値として設定され、プランジャ43が指定位置よりも基準位置に近いか否かを検出することができる。その結果、指定位置よりも基準位置に近いか否かの検出結果に応じた信号を容易に出力することができる。これにより、調整ネジを必要とすることなく、プランジャ43の所望の位置(すなわち、作動体7の所望の位置)に応じた信号を容易に出力することが可能なスイッチを提供することができる。
【0122】
<変形例>
本実施の形態においては、リミットスイッチ1が備えるプランジャ43が、図4に示すようなスリット71〜74を有するとした。しかしながら、スリットの形状は、これに限定されるものではない。本変形例は、リミットスイッチ1が備えるプランジャ43に代えて、スリット71〜74とは異なる形状のスリットを複数有するプランジャを備える。
【0123】
図21は、変形例におけるプランジャの前面を示す図である。図22は、変形例におけるプランジャの前面側からみた斜視図である。図23は、変形例におけるプランジャの背面を示す図である。図24は、変形例におけるプランジャの背面側からみた斜視図である。図25は、変形例におけるプランジャの横断面を示す図である。図21〜25に示されるように、プランジャ43Aは、本体部70Aと、突起部76Aとを有する。
【0124】
突起部76Aは、本体部70Aと結合しており、本体部70Aよりも細い。突起部76Aは、コイルばね42の内部に挿入される。また、突起部76Aは、突起部76と同様に、第3の仕切り板が有する孔に挿入される。そして、作動体7の動きに応じてプランジャ43Aが第3の仕切り板81cの方向に平行移動すると、コイルばね42は、プランジャ43Aの本体部70Aと第3の仕切り板81cとの間で縮み、プランジャ43Aを基準位置に戻す力をプランジャ43Aに与える。
【0125】
本体部70Aは、スリット71A〜74Aを有する。ここで、スリット71A〜74Aそれぞれの形状は同じであるので、スリット71Aについて説明する。スリット71Aは、プランジャ43Aの前面と背面との間において開口の大きさが異なる。具体的には、スリット71Aの開口の横断面の形状は、図25に示すような破線で囲まれた領域のうち斜線以外で示された領域の形状である。そして、スリット71Aの背面の開口の大きさは、第2の仕切り板81bの開口の大きさと同じである。
【0126】
図26〜30、複数の発光素子と複数の受光素子と変形例におけるプランジャとの位置関係をスイッチモジュールの横断面において示す図である。なお、図26は作動体7が定位置に位置しているときの図であり、図27は作動体7が15度の位置に位置しているときの図であり、図28は作動体7が22.5度の位置に位置しているときの図であり、図29は作動体7が30度の位置に位置しているときの図であり、図30は作動体7が42.5度の位置に位置しているきの図である。ここで、発光素子51〜54、受光素子61〜64、仕切り板81が配置される位置は、図10と同一である。
【0127】
図26〜30示されるように、プランジャ43Aの前面と発光素子51〜54とが対面し、プランジャ43Aの背面と受光素子61〜64とが対面する。なお、図25に示したように、プランジャ43Aの本体部70Aのうちスリット71A〜74A以外の部分を斜線で示している。この斜線の部分が光遮断領域となる。
【0128】
また、プランジャ43と同様に、プランジャ43Aは、作動体7の動きに連動して位置が変化し、位置の変化により発光素子51〜54が発する光を遮断または通過させる。具体的には、プランジャ43Aにおいて、スリット71A〜74Aのそれぞれは、プランジャ43Aの移動の途中において、発光素子51〜54に対応する第1の仕切り板81aの開口および受光素子61〜64に対応する第2の仕切り板81bの開口と重なるように、プランジャ43Aに形成されている。
【0129】
また、スリット71〜74と同様に、スリット71A〜74Aの背面側の開口のそれぞれと当該スリットに対応する第2の仕切り板81bの開口との距離は、スリット71〜74ごとに異なる。具体的には、図26に示されるように、作動体7が定位置にあるとき(すなわち、プランジャ43Aが基準位置にあるとき)、スリット71Aの背面側の開口とスリット71Aに対応する第2の仕切り板81bの開口との距離、スリット72Aの背面側の開口とスリット72Aに対応する第2の仕切り板81bの開口との距離、スリット73Aの背面側の開口とスリット73Aに対応する第2の仕切り板81bの開口との距離、スリット74Aの背面側の開口とスリット74Aに対応する第2の仕切り板81bの開口との距離は、この順に大きくなるように、各スリット71A〜74Aの位置が設定されている。
【0130】
以下、図26〜30参照して、作動体7の定位置からの回転角度が変化するにつれ、各受光素子61〜64への光の入射の有無、および、入射する光の量がどのように変化するかについて説明する。
【0131】
図26に示されるように、プランジャ43Aは、作動体7が0度の位置(定位置)に位置するとき、発光素子51〜54が発する光のすべてを遮断する。このため、発光素子51〜54それぞれが発する光がプランジャ43Aに遮断され、受光素子61〜64まで到達しない。
【0132】
図26に示す状態から作動体7を回転させていき、プランジャ43Aをその長手方向に移動させていく。このとき、上述したように、スリット71Aの背面側の開口とスリット71Aに対応する第2の仕切り板81bの開口との距離が、他のスリット72A〜74Aに対応する距離よりも短いため、スリット71Aの背面側の開口と受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口とだけが重なり始める。その後、作動体7の角度が大きくなるにつれ、プランジャ43Aの移動量が大きくなると、スリット71Aの背面側の開口と受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口との重なり領域が大きくなるとともに、スリット72Aの背面側の開口と受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口とが重なり始める。
【0133】
図27に示されるように、作動体7が15度の位置に位置する場合、スリット71Aの背面側の開口が受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口と一致する。言い換えると、第1の仕切り板81aにおいて発光素子51が配置された位置に対応する開口と、第2の仕切り板81bにおいて受光素子61が配置された位置に対応する開口とを直線的につなぐ空間(光路領域)の全てにおいて、スリット71Aが存在する。また、このととき、スリット72Aの背面側の開口が受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口の一部とが重なりあっている。そのため、受光素子61の受光量は最大値となり、受光素子62は、発光素子52から発光された光の一部のみを受光する。また、この段階では、まだ受光素子53,54が配置された位置に対応する開口を、プランジャ43Aの光遮断領域が覆っている。そのため、受光素子53,54には光が到達しない。
【0134】
図27に示す状態からさらに作動体7を回転させていき、プランジャ43Aをその長手方向に移動させていく。このとき、プランジャ43Aの移動量が大きくなると、スリット71Aの背面側の開口と受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口との重なり面積が小さくなるとともに、スリット72Aの背面側の開口と受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口との重なり面積が大きくなる。また、スリット73Aの背面側の開口と受光素子63に対応する第2の仕切り板81bの開口とが重なり始める。
【0135】
図28に示されるように、作動体7が22.5度の位置に位置するとき、スリット72Aの背面側の開口が受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口と一致する。また、スリット71A、73Aの背面側の開口のそれぞれが受光素子61,63に対応する第2の仕切り板81bの開口の一部と重なりあっている。そのため、受光素子62の受光量は最大値となり、発光素子51,53が発する光が部分的にスリット71A,73Aを通過し、受光素子61,63に到達する。なお、この段階では、まだ受光素子54が配置された位置に対応する開口を、プランジャ43Aの光遮断領域が覆っている。そのため、受光素子64には光が到達しない。
【0136】
図28に示す状態からさらに作動体7を回転させていき、プランジャ43Aをその長手方向に移動させていく。このとき、プランジャ43Aの移動量が大きくなると、受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口を光遮断領域が覆う。また、スリット72Aの背面側の開口と受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口との重なり面積が小さくなる。さらに、スリット73Aの背面側の開口と受光素子63に対応する第2の仕切り板81bの開口との重なり面積が大きくなる。
【0137】
図29に示されるように、作動体7が30度の位置に位置するとき、受光素子61に対応する第2の仕切り板81bの開口は再び光遮断領域により完全に覆われる。また、スリット72Aの背面側の開口と受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口の一部とが重なりあっている。さらに、スリット73Aの背面側の開口が受光素子63に対応する第2の仕切り板81bの開口と一致する。そのため、受光素子61には光が到達せず、受光素子63の受光量は最大値となり、発光素子52が発する光が部分的にスリット72Aを通過し、受光素子62に到達する。なお、この段階では、まだ受光素子54が配置された位置に対応する開口を、プランジャ43Aの光遮断領域が覆っている。そのため、受光素子64には光が到達しない。
【0138】
図29に示す状態からさらに作動体7を回転させていき、プランジャ43Aをその長手方向に移動させていく。このとき、プランジャ43Aの移動量が大きくなると、受光素子62に対応する第2の仕切り板81bの開口を光遮断領域が覆う。また、スリット73Aの背面側の開口と受光素子63に対応する第2の仕切り板81bの開口との重なり面積が小さくなる。さらに、スリット74Aの背面側の開口と受光素子64に対応する第2の仕切り板81bの開口とが重なり始める。
【0139】
図30に示されるように、作動体7が42.5度の位置に位置するとき、受光素子61,62に対応する第2の仕切り板81bの開口は再び光遮断領域により完全に覆われる。また、スリット73Aの背面側の開口と受光素子63に対応する第2の仕切り板81bの開口の一部とが重なりあっている。さらに、スリット74Aの背面側の開口が受光素子64に対応する第2の仕切り板81bの開口と一致する。そのため、受光素子61,62には光が到達せず、受光素子64の受光量は最大値となり、発光素子53が発する光が部分的にスリット73Aを通過し、受光素子63に到達する。
【0140】
なお、作動体7は、42.5度から50度の角度まで変位することができる。ただし、プランジャ43Aは、作動体7が42.5度の角度に位置するときに、固定部材83に接触する。そのため、作動体7が42.5度から50度の角度に位置するとき、プランジャ43Aは、図30と同じ状態となる。
【0141】
以下、本変形例における、位置検出と出力信号制御の具体例について説明する。図31は、受光素子から出力される電圧値と、設定処理部123により設定される閾値と、各判定部から出力される信号との関係を示す図である。図31において、(a)部は、作動体の回転角度の変化例を示しており、(b)部は、受光素子61〜64から出力される電圧値と設定処理部123により設定される閾値との関係を示しており、(c)部は、位置検出部113から出力される信号を示しており、(d)部は、出力信号制御部119における信号生成の一例を示している。
【0142】
なお、本変形例では、設定処理部123は、受光素子識別情報として、所定範囲(例えば、0.5〜4.5V)の出力電圧(デジタル値)を出力している受光素子61〜64の中から、ユーザ入力に従って選択した受光素子を示す情報を設定するものとする。もしくは、設定処理部123は、受光素子61〜64の優先度を予め記憶しておき、所定範囲の出力電圧(デジタル値)を出力している受光素子61〜64が複数ある場合、当該複数の受光素子の中から優先度の最も高いものを選択してもよい。
【0143】
図31の(b)部に示されるように、受光素子61〜64それぞれが発光素子51〜54それぞれから光を受けることにより出力する電圧と作動体7が位置する角度との関係を4つの折れ線91A〜94Aによって示している。折れ線91Aは、受光素子61に対応し、折れ線92Aは、受光素子62に対応し、折れ線93Aは、受光素子63に対応し、折れ線94Aは、受光素子64に対応する。
【0144】
また、図31の(b)部に示されるように、受光素子61は、作動体7が位置する角度が5度以上25度未満のとき、光を受光する。その受光量は、角度が15度のときに最大となる。受光素子62は、作動体7が位置する角度が12.5度以上32.5度未満のとき、光を受光する。その受光量は、角度が22.5度のときに最大となる。受光素子63は、作動体7が位置する角度が20度以上50度未満のとき、光を受光する。その受光量は、角度が30度のときに最大となる。受光素子64は、作動体7が位置する角度が32.5度以上50度未満のとき、光を受光する。その受光量は、角度が42.5度から50度のときに最大となる。
【0145】
まず、ユーザは、作動体7を定位置から10度だけ回転させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、設定処理部123は、上記の説明と同様に、設定対象である第1判定部113−1に対応する受光素子識別情報として受光素子61を示す情報を設定する。また、図31の(b)部に示されるように、設定処理部123は、第1判定部113−1に対応する第1閾値として、作動体7の角度が10度であるときに受光素子61から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0146】
次に、ユーザは、作動体7を定位置から15度だけ回転させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、設定処理部123は、上記の説明と同様に、設定対象である第2判定部113−2に対応する受光素子識別情報として、受光素子62を示す情報を設定する。また、図31の(b)部に示されるように、設定処理部123は、第2判定部113−2に対応する第2閾値として、作動体7の位置する角度が15度であるときに受光素子62から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0147】
次に、ユーザは、作動体7を定位置から25度だけ回転させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、受光素子62と受光素子63とが0.5〜4.5Vの出力電圧(デジタル値)を出力している。ただし、ユーザは、図31の(b)部に示されるような折れ線92A,93Aを予め把握しておくことで、角度25度未満よりも角度25以上で出力電圧が高くなる受光素子63を選択すればよい。その結果、設定処理部123は、設定対象である第3判定部113−3に対応する受光素子識別情報として、受光素子63を示す情報を設定する。また、図31の(b)部に示されるように、設定処理部123は、第3判定部113−3に対応する第3閾値として、作動体7の位置する角度が25度であるときに受光素子63から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0148】
次に、ユーザは、作動体7を定位置から40度だけ回転させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、受光素子63と受光素子64とが0.5〜4.5Vの出力電圧(デジタル値)を出力している。ただし、ユーザは、図31の(b)部に示されるような折れ線93A,94Aを予め把握しておくことで、角度40度未満よりも角度40度以上で出力電圧が高くなる受光素子64を選択すればよい。その結果、設定処理部123は、設定対象である第4判定部113−3に対応する受光素子識別情報として、受光素子64を示す情報を設定する。また、設定処理部123は、第4判定部113−3に対応する第4閾値として、作動体7の位置する角度が40度であるときに受光素子64から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0149】
次に、ユーザは、作動体7を定位置から22度だけ回転させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、受光素子61と受光素子63とが0.5〜4.5Vの出力電圧(デジタル値)を出力している。ただし、ユーザは、図31の(b)部に示されるような折れ線91A,93Aを予め把握しておくことで、角度22度未満よりも角度22度以上で出力電圧が高くなる受光素子63を選択すればよい。その結果、設定処理部123は、設定対象である第5判定部に対応する受光素子識別情報として、受光素子63を示す情報を設定する。また、設定処理部123は、第5判定部に対応する第5閾値として、作動体7の位置する角度が22度であるときに受光素子63から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0150】
最後に、ユーザは、作動体7を定位置から35度だけ回転させた状態を維持して、モード切換スイッチ27のボタンを押下する。このとき、受光素子63と受光素子64とが0.5〜4.5Vの出力電圧(デジタル値)を出力している。ただし、ユーザは、図31の(b)部に示されるような折れ線93A,94Aを予め把握しておくことで、角度35度未満よりも角度35度以上で出力電圧が高くなる受光素子64を選択すればよい。その結果、設定処理部123は、設定対象である第6判定部に対応する受光素子識別情報として、受光素子64を示す情報を設定する。また、設定処理部123は、第6判定部に対応する第6閾値として、作動体7の位置する角度が35度であるときに受光素子63から出力された電圧値(デジタル値)を設定する。
【0151】
このように設定することで、第1判定部113−1から第6判定部は、図31の(c)部に示されるような信号を出力することとなる。なお、図31の(c)部において横軸は、(b)部と同じく作動体7が位置する角度を示している。
【0152】
そして、出力信号制御部119は、第1判定部113−1から第6判定部からの信号を受けて、以下のような処理を行うように予め設定されている。
【0153】
すなわち、出力信号制御部119は、第2判定部113−2からの信号、第5判定部からの信号および第6判定部からの信号のOR処理を行うことにより、図31の(d)部に示されるような信号を生成する。なお、図31の(d)部において横軸は、(b)部と同じく作動体7が位置する角度を示している。すなわち、作動体7が位置する角度が15度以上であるときにHIGHとなる信号を生成する。そして、出力信号制御部119は、生成した信号がHIGHを示している間、ON信号が出力されるようにON/OFF信号出力部103を制御するとともに、点灯部21を点灯させるように制御する。
【0154】
その他、出力信号制御部119における回転不足異常予知信号の出力処理、故障予知信号の出力処理、復帰速度異常予知信号の出力処理は、プランジャ43を用いた上記の説明と同様である。
【0155】
なお、上記図26〜30の説明では、プランジャ43Aの前面を発光素子51〜54と対向させ、プランジャ43Aの背面を受光素子61〜64と対向させるものとした。しかしながら、逆に、プランジャ43Aの背面を発光素子51〜54と対向させ、プランジャ43Aの前面を受光素子61〜64と対向させてもよい。この場合であっても、作動体の角度と受光素子の出力電圧との関係は図31と同じである。
【0156】
このように、本変形例であっても、プランジャ43Aの位置によって、受光素子61〜64に入射する光の量が異なるため、各受光素子61〜64から出力されるデジタル値が変化することとなる。そして、ユーザ入力に従って、プランジャ43Aが指定位置(例えば、作動体7が10度、15度、25度、40度のときのプランジャ43Aの位置)に変位された状態で受光素子61〜64のいずれかから出力されたデジタル値を閾値として設定し、設定された閾値と、当該受光素子から出力されるデジタル値とを比較することにより、プランジャ43Aが指定位置よりも基準位置に近い位置にあるのか否かを検出することができる。そのため、ユーザはプランジャ43Aを指定位置に変位させた状態で設定指示を入力するだけで、その状態のときのデジタル値が閾値として設定され、プランジャ43が指定位置よりも基準位置に近いか否かを検出することができる。その結果、指定位置よりも基準位置に近いか否かの検出結果に応じた信号を容易に出力することができる。これにより、調整ネジを必要とすることなく、プランジャ43Aの所望の位置(すなわち、作動体7の所望の位置)に応じた信号を容易に出力することが可能なスイッチを提供することができる。
【0157】
また、リミットスイッチ1が備える作動体7が回転する動作に応じて、プランジャ43,43Aの位置を変位させるようにした。しかしながら、プランジャ43の位置の変位を、作動体7の回転による動作に連動させることによる方法に限定するものではない。作動体7の回転による動作以外でプランジャ43,43Aの位置を変位させる方法として、例えば、非特許文献1に記載の方法を利用してもよい。
【0158】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、生産ライン等で用いられるリミットスイッチに利用することができる。
【符号の説明】
【0160】
1 リミットスイッチ
3 ケーシング
5 装着ブロック
7 作動体
11 スイッチモジュール
21,25 点灯部(信号出力手段)
41 フォトインタラプタ部
43,43A プランジャ(変位部材)
51〜54 発光素子
61〜64 受光素子
71〜74,71A〜74A スリット
100 マイクロコンピュータ
103 ON/OFF信号出力部(信号出力手段)
105 故障予知/異常予知出力部(信号出力手段)
113 位置検出部(位置検出手段)
113−1〜113−n 第1判定部〜第n判定部
115,117 メモリ
119 出力信号制御部(信号出力手段)
123 設定処理部(設定処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの力の荷重に応じて変位する変位部材と、
前記変位部材の位置に応じた信号を出力する信号出力手段とを備えたスイッチにおいて、
発光面から光を発光する発光素子と、
前記発光面に対向する受光面を有し、当該受光面に入射された光の量を示す特徴量を出力する受光素子とを備え、
前記変位部材は、前記発光面と前記受光面との間に配置され、前記外部からの力の荷重がないときに基準位置に位置しており、
前記変位部材の変位に応じて前記発光面から発光された光のうち前記受光面に入射する光の量が変化するように、前記変位部材には光を通すための開口部が形成されており、
さらに、前記変位部材が指定位置に変位された状態で設定指示が入力されたとき、前記受光素子から出力された特徴量を閾値として設定する設定処理手段と、
前記設定処理手段により設定された閾値と、前記受光素子から出力される特徴量とを比較することにより、前記変位部材が前記指定位置よりも前記基準位置に近い位置にあるのか否かを検出する検出処理を行う位置検出手段とを備え、
前記信号出力手段は、前記位置検出手段による検出処理の結果に基づいて前記信号を出力することを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記発光素子および前記受光素子が複数であり、
互いに対向する一対の発光素子および受光素子を光検出部とするとき、
前記変位部材には、前記複数の光検出部の各々に対応して前記開口部が形成されており、
前記複数の光検出部の各々に対して、当該光検出部の受光素子に入射される光の量が最大となる前記変位部材の位置のうち、前記基準位置からの変位量が最小となる前記変位部材の位置を光量最大位置とするとき、
前記複数の光検出部ごとに前記光量最大位置が異なることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記発光素子および前記受光素子が複数であり、
互いに対向する一対の発光素子および受光素子を光検出部とするとき、
前記変位部材には、各光検出部に対応して前記開口部が複数形成されており、
各光検出部について、前記開口部を通過した光を当該光検出部が検出するときの前記変位部材の位置のうち、前記基準位置からの変位量が最小となる前記変位部材の位置を光検出開始位置とするときに、
前記基準位置から前記光検出開始位置までの距離が、前記複数の光検出部ごとに異なることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記指定位置が複数あり、
前記設定処理手段は、前記複数の指定位置の各々について、前記指定位置を検出するために使用する前記光検出部を設定するとともに、当該光検出部の受光素子から出力された特徴量を当該指定位置に対応する前記閾値として設定し、
前記位置検出手段は、前記複数の指定位置の各々について、当該指定位置に対応して前記設定処理手段により設定された閾値と、当該指定位置に対応して前記設定処理手段により設定された光検出部の受光素子から出力された特徴量とを比較することにより前記検出処理を行うことを特徴とする請求項2または3に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記変位部材が前記指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した場合、前記信号出力手段は、外部の装置を駆動するためのオン信号を前記信号として出力することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項6】
前記信号出力手段は複数の信号を出力するものであり、
前記指定位置として、第1指定位置と、当該第1指定位置よりも基準位置から遠い第2指定位置とがあり、
前記変位部材が前記第1指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した場合、前記信号出力手段は、外部の装置を駆動するためのオン信号を前記複数の信号の一つとして出力し、
前記変位部材が前記第1指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出してから、前記変位部材が前記第1指定位置よりも前記基準位置に近い位置にあると前記位置検出手段が検出するまでの間に、前記変位部材が前記第2指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出しない場合に、前記信号出力手段は、前記外部からの力の荷重が小さいことを示す故障予知信号を前記複数の信号の一つとして出力することを特徴とする請求項4に記載のスイッチ。
【請求項7】
前記信号出力手段は複数の信号を出力するものであり、
前記指定位置として、第1指定位置と、当該第1指定位置よりも基準位置から遠い第3指定位置とがあり、
前記変位部材が前記第1指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した場合、前記信号出力手段は、外部の装置を駆動するためのオン信号を前記複数の信号の一つとして出力し、
前記変位部材が前記第3指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した場合、前記信号出力手段は、前記外部からの力の荷重が大きいことを示す故障予知信号を前記複数の信号の一つとして出力することを特徴とする請求項4に記載のスイッチ。
【請求項8】
前記指定位置として、第4指定位置と、当該第4指定位置よりも基準位置から遠い第5指定位置とがあり、
前記信号出力手段は、前記変位部材が前記第5指定位置よりも前記基準位置に近い位置にないと前記位置検出手段が検出した後の、前記変位部材が前記第5指定位置に位置すると前記位置検出手段が検出した時点から前記変位部材が前記第4指定位置に位置すると前記位置検出手段が検出した時点までの時間を計測し、計測した時間が所定時間よりも大きい場合に故障予知信号を前記信号として出力することを特徴とする請求項4に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−119274(P2012−119274A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270712(P2010−270712)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】