説明

スイッチ

【課題】奥行き寸法を小さくし、床面積が小さい薄型のスイッチを提供する。
【解決手段】一対の固定接点22,28を内側面11b上に配設した箱形のベース11と、ベース11の内側面11bに沿って回動可能に支持され、かつ、常に一方の固定接点である共通固定接点28に接続する可動接触片31と、ベース11の内側面11bに沿って回動可能に支持され、可動接触片31を付勢する弾性部材41と、ベース11の内側面11bに沿って往復移動可能に支持され、可動接触片31を回動する押しボタン51と、ベース11を被覆するカバー61と、を備えたスイッチ1において、可動接触片31が、他方の固定接点(信号固定接点)22に接続する通電位置と、他方の固定接点22に接続しない遮断位置との間を内側面11bに直交する回動軸心を中心として回動可能にベース11に組み付けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ、特に、押しボタンを押し下げることにより、動作する押しボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
押しボタンスイッチとして、例えば、特許文献1の図7に示すように、常閉固定接点端子の常閉固定接点と、常開固定接点端子の常開固定接点とを同一鉛直面上にキャップ内に設け、いずれか一方の固定接点に両側から一対の可動接点で圧接して狭持するように設けたスイッチが記載されている。
【0003】
しかし、特許文献1に記載のスイッチでは、可動接点が固定接点を両側から挟むように配設されているので、スイッチの奥行き寸法が大きく、薄型化できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−68164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、奥行き寸法を小さくし、床面積が小さい薄型のスイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のスイッチは、
一対の固定接点を内側面上に配設したベースと、
前記ベースの内側面に沿って回動可能に支持され、かつ、1つの前記固定接点である共通固定接点に接続する可動接触片と、
前記ベースの内側面に沿って回動可能に支持され、前記可動接触片を付勢する弾性部材と、
前記ベースの内側面に沿って往復移動可能に支持され、前記可動接触片を回動する押しボタンと、
前記ベースを被覆するカバーと、
を備えたスイッチにおいて、
前記可動接触片の自由端部に配置された切替可動接点が、他方の前記固定接点である信号固定接点に接続する通電位置と、前記信号固定接点に接続しない遮断位置との間を摺動するように、前記可動接触片が前記内側面に直交する回動軸心を中心として回動可能に前記ベースに組み付けられたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、可動接触片が通電位置と遮断位置との間を内側面に直交する回動軸心を中心に回動することで、ベースの内側面に配設された固定接点との接続をオン、またはオフすることができる。これにより、奥行き寸法が小さい薄型のスイッチが得られる。
【0008】
他の実施形態として、少なくとも3つの固定接点を内側面上に配設したベースと、
前記ベースの内側面に沿って回動可能に支持され、かつ、1つの前記固定接点である共通固定接点に接続する可動接触片と、
前記ベースの内側面に沿って回動可能に支持され、前記可動接触片を付勢する弾性部材と、
前記ベースの内側面に沿って往復移動可能に支持され、前記可動接触片を回動する押しボタンと、
前記ベースを被覆するカバーと、
を備えたスイッチにおいて、
前記可動接触片の自由端部に配置された切替可動接点が、残る他の前記固定接点である信号固定接点に接離するように、前記可動接触片が前記内側面に直交する回動軸心を中心として回動可能に前記ベースに組み付けられてもよい。
【0009】
ベースの内側面上に少なくとも3つの固定接点を配設し、1つの固定接点である共通固定接点に接続された可動接触片が内側面に直交する回動軸心を中心として回動することにより、残りの固定接点に接離できる。このため、奥行き寸法が小さい薄型のスイッチが得られる。
【0010】
本発明に係る実施形態としては、前記信号固定接点が、常閉固定接点と常開固定接点とからなり、
前記切替可動接点が、前記常閉固定接点に接続される常閉位置と、前記常開固定接点に接続される常開位置との間を摺動してもよい。
【0011】
上記構成により、スイッチを薄くしたまま、共通固定接点を常閉固定接点と常開固定接点との間で切り換えることができる。
【0012】
本発明に係る他の実施形態としては、前記可動接触片は、前記回動軸心にて前記共通固定接点に接続する共通可動接点を有してもよい。
これにより、可動接触片を介して共通固定接点と信号固定接点との接続をオン、またはオフすることができる。
【0013】
本発明に係る他の実施形態としては、前記可動接触片の自由端部に、前記弾性部材の自由端部と前記押しボタンとで狭持される回動狭持部を前記切替可動接点とは別に設け、前記押しボタンが、前記回動狭持部を押圧可能に配置されてもよい。
【0014】
上記構成により、弾性部材が回動狭持部を介して押しボタンを付勢すると共に、一旦、押しボタンが付勢力に抗して押圧されると回動狭持部を回動軸心を中心として回動することができる。
【0015】
前記回動狭持部に係止突起を設けることが好ましい。
これにより、可動接触片が押しボタンの下方への移動を確実に受け止め、動作特性が安定する。
【0016】
本発明に係る異なる実施形態としては、前記押しボタンの下面に、前記回動狭持部を押し下げる円弧状の操作用底面を突設してもよい。
これにより、押しボタンの上下方向の移動動作を可動接触片の回動動作に円滑に変換できる。
【0017】
本発明に係る他の実施形態としては、前記可動接触片が、自由端部に前記回動狭持部を有する腕部と、自由端部に前記常閉固定接点または常開固定接点に接離する切替可動接点を有する可動伸長片と、を備えると共に、前記腕部と前記可動伸長片とを平行に延在してもよい。
両者を平行に延在するので、可動接触片の設計が容易になる。
【0018】
前記可動接触片は、その基部で段差を形成するように曲げ起こされる一方、前記回動狭持部が前記押しボタンに押圧される位置まで延在すると共に、前記切替可動接点が前記信号固定接点に接続するように曲げ降ろされた形状としてもよい。
切替可動接点が曲げ降ろされることで、切替可動接点と信号固定接点との所望の接点圧を確保すると共に、基部で段差を形成するように曲げ起こされることで、回動狭持部を信号固定接点から離間し、かつ、押しボタンに付勢力を付与することができる。
【0019】
本発明に係る異なる実施形態としては、前記可動接触片に複数の前記可動伸長片を有し、前記可動伸長片の基部と前記切替可動接点との距離が前記複数の可動伸長片の間で同一であり、かつ、前記切替可動接点が前記複数の可動伸長片の間で同一回動軌跡上にないことが好ましい。
【0020】
上記構成により、切替可動接点と可動伸長片に働く力の作用点との間の距離を一定に維持でき、同一の接点圧を確保できると共に、切替可動接点の回動軌跡が異なることにより、接触信頼性を高めることができる。
【0021】
本発明に係る新たな実施形態としては、前記可動接触片と前記弾性部材とが、前記ベースに突設された回動軸心を中心として回動するように支持されていることが好ましい。
このため、可動接触片と弾性部材とが同一の回動軸心を中心にして回動するので、可動接触片および弾性部材の収容体積を小さくでき、ベース内部を省スペース化できると共に、設計が容易になる。
【0022】
本発明に係る他の実施形態としては、前記弾性部材が、回動可能で、かつ、所定の接点圧を確保するように前記切替可動接点を前記固定接点側に付勢してもよい。
これにより、可動接触片と固定接点との間に所望の接点圧を確保できる。
【0023】
本発明に係る新たな実施形態としては、前記カバーの内向面に、前記可動接触片に係合して位置規制する位置規制リブを設けてもよい。
このため、位置規制リブが可動接触片を固定接点側に位置規制するので、可動接触片の浮き上がりを規制し、可動接触片と固定接点との接点圧のバラツキを無くすという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(A)は本発明に係るスイッチの実施形態を示す斜視図、(B)は(A)からレバーを外したスイッチの斜視図、(C)は(B)のスイッチの破断斜視図。
【図2】図1Bのスイッチの分解斜視図。
【図3】図2の反対方向から見たスイッチの分解斜視図。
【図4】(A)は各固定接点端子がインサート成形されたベースの斜視図、(B)は図4Aの正面図、(C)は図4Aと違う角度から見たベースの斜視図。
【図5】図3のカバーを違う角度からみた斜視図。
【図6】(A)は常閉固定接点端子と共通固定接点端子とが導通している状態のスイッチの内部構造を示す正面図、(B)は常開固定接点端子と共通固定接点端子とが導通している状態のスイッチの内部構造を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る実施形態を図1ないし図6の添付図面に従って説明する。
本発明は、押しボタン51を押し下げることにより、通電する端子を切り換える押しボタンスイッチ1に適用した場合である。
【0026】
押しボタンスイッチ1は、図1ないし図3に示すように、ベース11と、このベース11にインサート成形される常閉固定接点端子21、常開固定接点端子24および共通固定接点端子27と、常閉固定接点端子21と常開固定接点端子24とを切り換える切替用可動接触片31と、この切替用可動接触片31を上方に付勢する弾性部材であるコイルバネ41と、このコイルバネ41に付勢された切替用可動接触片31を上下方向に回動させる押しボタン51と、前記ベース11を被覆するカバー61と、で構成されている。
【0027】
なお、実際に組み立てた製品の一例では、全体高さ6.5mm、ベース11の幅8.2mm、ベース11の奥行き2.7mmの外形寸法を有している。
【0028】
ベース11は、図2および図4に示すように、下辺部11aに一対の台部12を備えた箱形状である。また、前記ベース11の奥側の内側面11bにはインサート成形された常閉固定接点端子21、常開固定接点端子24および共通固定接点端子27の常閉固定接点22,常開固定接点25,共通固定接点28がそれぞれ露出している(図4B)。
【0029】
ベース11の角部には、レバー2を回動可能に支持する支持突起13が設けられている。このベース11の内側面11bの隅部には、回動軸心である円柱形の支持用突部14が内側面11bに垂直に突設されており、この支持用突部14には、切替用可動接触片31とコイルバネ41とが順に差し込まれる。また、ベース11の支持突起13の長手方向反対側に位置する上面には押しボタン51が挿通される切欠き部16が形成されており、この切欠き部16に連続して、鉛直下方にガイド用リブ17が延在している。さらに、ベース11の下辺部11aには、上面がコイルバネ41と係止する立方体形状の突起18が設けられている。そして、ベース11の両外側には、外方に向かって突出する一対の係合突起19が形成されている。
【0030】
ベース11の下辺部11aに形成された台部12には、取付孔12aがそれぞれ形成されている。前記台部12がベース11の長手方向に直交する短側方向に突き出すように形成され、取付ねじ(図示せず)の締付力がカバー61に直接負荷されることがないので、カバー61の損傷を防止できる。
【0031】
常閉固定接点端子21は、図2に示すように、常開固定接点端子24に向かって水平方向に延び、かつ、下側縁部に形成された鋸歯形の段部からなる常閉固定接点(信号固定接点)22と、この常閉固定接点22の基部から下方に向かって延び、かつ、図2中の手前側に曲げ起こされた常閉端子部23と、を備えている。この常閉固定接点端子21がベース11にインサート成形された状態では、図4(A)から図4(C)に示すように、常閉端子部23がベース11から下方側に突出している。
【0032】
常開固定接点端子24は、図2に示すように、常閉固定接点端子21に向かって水平方向に延び、かつ、上側縁部に形成された鋸歯形の段部からなる常開固定接点25(信号固定接点)と、この常開固定接点25の基部から下方に向かって延び、かつ、図2中の手前側に曲げ起こされた常開端子部26と、を備えている。この常開固定接点端子24がベース11にインサート成形された状態では、図4(A)から図4(C)に示すように、常開端子部26がベース11から下方側に突出している。
【0033】
共通固定接点端子27は、図2に示すように、上端に形成され、かつ、成形孔28aを有する円形の共通固定接点28と、この共通固定接点28から図2中の手前側に曲げ起こされ、かつ、下方に向かって延びる共通端子部29と、を備えている。この共通固定接点端子27がベース11にインサート成形された状態では、図4(A)から図4(C)に示すように、成形孔28aからベース11の支持用突部14が突出する一方、共通端子部29はベース11から下方側に突出している。
【0034】
切替用可動接触片31は、図2および図3に示すように、嵌合孔32aを有する共通可動接点32と、この共通可動接点32から、図2中の手前側に曲げ起こされた段差39を介し、ベース11の長手方向に沿って延びる回動部33と、を備えている。
この回動部33は、共通可動接点32の近傍からベース11の長手方向に沿って延びる一対の可動伸長片34と、この可動伸長片34と正面視で平行にベース11の長手方向に延び、かつ、端部に押しボタン51に押圧される回動狭持部35が形成された腕部36と、を有する。また、回動狭持部35には所定の幅を有する係止突起が設けられている。
可動伸長片34の先端部には可動接点38A,38Bが形成され、切替用可動接触片31が回動することにより、前記可動接点38A,38Bが常閉または常開固定接点22,25に接離する。また、共通可動接点32に近接する可動接点38Aと段差39との間の距離はL1であり、共通可動接点32から離れた可動接点38Bと後述する位置規制リブ66により規制された箇所との間の距離はL2である。そして、これらL1とL2とは同じ距離になるように構成されている。
【0035】
コイルバネ41は、巻回された卷回部43と、この卷回部43の一端から切替用可動接触片31に沿って延在し、かつ、先端部を折り曲げた係止端部42と、卷回部43の他端から延びる支持部44と、を有する。
【0036】
押しボタン51は、上下方向に延びるボタン本体52と、ボタン本体52の下縁に設けられた板状係止部53と、板状係止部53の中央からカバー61に向かって突出するガイド用突起54と、ボタン本体52のガイド用突起54と反対側の面に鉛直方向に形成されたガイド用溝55(図3参照)と、板状係止部53の底部に下方に向かって突出する円弧状の操作用底面56と、を備えている。
【0037】
カバー61は、図5に示すように、カバー本体62と、このカバー本体62の両側からベース11に向かって延びる一対の側壁63と、を備えている。図5に示すように、カバー本体62は、前記ベース11のガイド用リブ17と対向する位置に、上下方向に延びる一対のガイド用レール64が突設されており、このガイド用レール64の上端には、押しボタン51のガイド用突起54に係止し、抜け止めする抜け止め用突起65が設けられている。カバー本体62のガイド用レール64の近傍には、湾曲しながら上下方向に延びる位置規制リブ66が形成されている。側壁63にはそれぞれ、矩形の係合孔67がそれぞれ形成されている。
【0038】
本実施形態に係る押しボタンスイッチ1を組み立てるには、常閉、常開および共通固定接点端子21,24,27をインサート成形したベース11の切欠き部16にボタン本体52を嵌合する。このとき、押しボタン51のガイド用溝55がベース11のガイド用リブ17に係合し、押しボタン51はベース11に上下方向に移動可能に支持される。
【0039】
また、切替用可動接触片31の嵌合孔32aを支持用突部14に嵌合し、図6(A)に示すように、可動接点38A,38Bを常閉固定接点22に当接する。更に、コイルバネ41の卷回部43を前記支持用突部14に嵌合し、支持部44を突起18に係止すると共に、係止端部42を回動狭持部35の底面側に係止し、前記回動狭持部35を押しボタン51の操作用底面56に当接させる。そして、カバー61の係合孔67をベース11の係合突起19に係止することにより、カバー61をベース11に組み付ける。
【0040】
このとき、押しボタン51はガイド用リブ17に係合すると共に、ガイド用突起54がカバー61の一対のガイド用レール64間に位置規制されることにより、上下方向に移動可能に支持される。また、コイルバネ41の支持部44が、突起18と係止しているので、卷回部43のバネ力により、係止端部42が切替用可動接触片31と押しボタン51とを上方に付勢している。そして、押しボタン51の板状係止部53の上面が、切欠き部16の底面に係止し、可動接点38A,38Bが常閉固定接点22に当接している。更に、カバー61の位置規制リブ66が腕部36に当接することにより、切替用可動接触片31の浮き上がりを規制し、可動接点38A,38Bと、常閉固定接点22および常開固定接点25との接点圧を確保する。
【0041】
次に、前述の押しボタンスイッチ1の操作方法について説明する。
押しボタン51に外部から押圧力が付加されていない場合、図6(A)に示すように、可動接点38A,38Bが常閉固定接点22に接触し、共通固定接点端子27と常閉固定接点端子21とが導通している。
そして、レバー2(図1(A)参照)を介して図6(B)に示すように、押しボタン51を下方に押圧すると、押しボタン51はガイド用リブ17および一対のガイド用レール64に摺接しながら下方に移動する。このとき、操作用底面56が回動狭持部35と係止端部42とを下方に押し下げ、切替用可動接触片31とコイルバネ41とが支持用突部14を中心として、反時計回りに回動する。これにより、常閉固定接点22に接触していた一対の可動接点38A,38Bが、下方に移動して常開固定接点25に接触し、共通固定接点端子27と常開固定接点端子24とが導通する。
【0042】
ついで、押しボタン51に対する下方への押圧力を解除すると、コイルバネ41のバネ力により、係止端部42が回動狭持部35と操作用底面56とを上方に押し上げる。このため、切替用可動接触片31は、支持用突部14を中心として時計回り方向に回動すると共に、押しボタン51が上方に押し上げられ、板状係止部53が切欠き部16の下面縁部と係止する。これにより、常開固定接点25に接触していた一対の可動接点38A,38Bが、上方に移動して常閉固定接点22に接触し、共通固定接点端子27と常閉固定接点端子21とが導通する。本実施形態では、コイルバネ41の係止端部42と卷回部43との間の距離が長く確保されている。これにより、押しボタン51を下方に押し下げても、係止端部42の回動角度が小さく、コイルバネ41に対する負荷が小さいので、その耐久性が向上する。
【0043】
本実施形態では、常閉固定接点端子21の常閉固定接点22と常開固定接点端子24の常開固定接点25とをベース11の内側面11bに同一面上に並設している。そして、切替用可動接触片31が支持用突部14を中心に回動することにより、常閉固定接点端子21と常開固定接点端子24とを切り換える構成を採用している。このため、押しボタンスイッチ1の奥行き寸法を小さくでき、薄型の押しボタンスイッチ1が得られる。
【0044】
また、切替用可動接触片31の端部に回動狭持部35を設け、その底面にコイルバネ41を係止したので、コイルバネ41のバネ力に付勢された切替用可動接触片31が押しボタン51の上下移動を確実に受け止め、かつ、コイルバネ41と連動して動くので、動作特性が安定する。更に、切替用可動接触片31の腕部36と可動伸長片34とが正面視で略平行に延びるため、切替用可動接触片31の設計が容易である。
【0045】
そして、切替用可動接触片31の距離L1と、距離L2とが等しい。このため、可動接点38A,38Bと切替用可動接触片31に働く力の作用点との距離を一定に維持でき、同一の接点圧を確保できると共に、可動接点38A,38Bの回動軌跡が異なることで、接触信頼性を高めることができる。
特に、可動接点38A,38Bは同一の回動軌跡上にないが、常閉固定接点22および常開固定接点25が鋸歯状に形成されているので、可動接点38A,38Bが常閉固定接点22または常開固定接点25にそれぞれ同時に接離し、接触信頼性を向上できる。
【0046】
次いで、切替用可動接触片31とコイルバネ41とが、支持用突部14を中心に回動するので、ベース11の切替用可動接触片31およびコイルバネ41の収容体積を小さくできる。このため、ベース11の内部を省スペース化できると共に、設計が容易になる。
また、カバー61に押圧され圧縮されたコイルバネ41の卷回部43が、共通可動接点32を固定接点22,25側に付勢するので、可動接点38A,38Bと固定接点22,25との間に所望の接点圧を確保できる。
【0047】
更に、押しボタン51が、切替用可動接触片31の可動接点38A,38Bの近傍を押圧するように配置されているので、押しボタン51と可動接点38A,38Bとの連動性を高めることができ、動作位置精度が向上する。
そして、押しボタン51の、切替用可動接触片31との係止面に円弧状の操作用底面56を形成したので、押しボタン51の上下方向への移動動作を切替用可動接触片31の回動動作に円滑に変換できる。
【0048】
切替用可動接触片31は、その基部が段差39を形成するように曲げ起こされる一方、回動狭持部35が押しボタン51に押圧される位置まで延在すると共に、切替可動接点38が信号固定接点22,25に接続するように曲げ降ろされた形状としている。切替可動接点38が曲げ降ろされることで、切替可動接点38と信号固定接点22,25との所望の接点圧を確保すると共に、基部で段差39を形成するように曲げ起こされることで、回動狭持部35を信号固定接点22,25から離間し、かつ、押しボタン51に付勢力を付与することができる。
【0049】
本発明は、前記実施形態に限定されず種々の変形が可能である。
前記実施形態では、共通固定接点28に接続された切替用可動接触片31が、常閉固定接点22と常開固定接点25との間で接続を切り換えることで、導電する端子を切り換えたが、これに限定されない。例えば、ベース11に配設された一対の固定接点端子のうち、一方の固定接点端子を切替用可動接触片に接続し、この切替用可動接触片が、他方の固定接点端子に接触して通電する通電位置と、他方の固定接点端子と接続せずに通電しない遮断位置との間を回動する構成としてもよい。
【0050】
また、前記実施形態では切替用可動接触片31が、常閉固定接点端子21および常開固定接点端子24の2つの端子間で接続を切り換えたが、3つ以上の接点端子をベース11に配設し、接続を切り換える構成も採用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 押しボタンスイッチ
11 ベース
14 支持用突部(回動軸心)
22 常閉固定接点(信号固定接点)
25 常開固定接点(信号固定接点)
28 共通固定接点
31 切替用可動接触片
32 共通可動接点
34 可動伸長片
35 回動狭持部
36 腕部
38A 切替可動接点
38B 切替可動接点
41 コイルバネ(弾性部材)
51 押しボタン
56 操作用底面
61 カバー
66 位置規制リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の固定接点を内側面上に配設したベースと、
前記ベースの内側面に沿って回動可能に支持され、かつ、1つの前記固定接点である共通固定接点に接続する可動接触片と、
前記ベースの内側面に沿って回動可能に支持され、前記可動接触片を付勢する弾性部材と、
前記ベースの内側面に沿って往復移動可能に支持され、前記可動接触片を回動する押しボタンと、
前記ベースを被覆するカバーと、
を備えたスイッチにおいて、
前記可動接触片の自由端部に配置された切替可動接点が、他方の前記固定接点である信号固定接点に接続する通電位置と、前記信号固定接点に接続しない遮断位置との間を摺動するように、前記可動接触片が前記内側面に直交する回動軸心を中心として回動可能に前記ベースに組み付けられたことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
少なくとも3つの固定接点を内側面上に配設したベースと、
前記ベースの内側面に沿って回動可能に支持され、かつ、1つの前記固定接点である共通固定接点に接続する可動接触片と、
前記ベースの内側面に沿って回動可能に支持され、前記可動接触片を付勢する弾性部材と、
前記ベースの内側面に沿って往復移動可能に支持され、前記可動接触片を回動する押しボタンと、
前記ベースを被覆するカバーと、
を備えたスイッチにおいて、
前記可動接触片の自由端部に配置された切替可動接点が、残る他の前記固定接点である信号固定接点に接離するように、前記可動接触片が前記内側面に直交する回動軸心を中心として回動可能に前記ベースに組み付けられたことを特徴とするスイッチ。
【請求項3】
前記信号固定接点が、常閉固定接点と常開固定接点とからなり、
前記切替可動接点が、前記常閉固定接点に接続される常閉位置と、前記常開固定接点に接続される常開位置との間を摺動することを特徴とする請求項2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記可動接触片は、前記回動軸心にて前記共通固定接点に接続する共通可動接点を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項5】
前記可動接触片の自由端部に、前記弾性部材の自由端部と前記押しボタンとで狭持される回動狭持部を前記切替可動接点とは別に設け、前記押しボタンが、前記回動狭持部を押圧可能に配置されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項6】
前記回動狭持部に係止突起を設けたことを特徴とする請求項5に記載のスイッチ。
【請求項7】
前記押しボタンの下面に、前記回動狭持部を押し下げる円弧状の操作用底面を突設したことを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項8】
前記可動接触片が、自由端部に前記回動狭持部を有する腕部と、自由端部に前記常閉固定接点または常開固定接点に接離する切替可動接点を有する可動伸長片と、を備えると共に、前記腕部と前記可動伸長片とを平行に延在したことを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項9】
前記可動接触片は、その基部で段差を形成するように曲げ起こされる一方、前記回動狭持部が前記押しボタンに押圧される位置まで延在すると共に、前記切替可動接点が前記信号固定接点に接続するように曲げ降ろされた形状を特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項10】
前記可動接触片に複数の前記可動伸長片を有し、前記可動伸長片の基部と前記切替可動接点との距離が前記複数の可動伸長片の間で同一であり、かつ、前記切替可動接点が前記複数の可動伸長片の間で同一回動軌跡上にないことを特徴とする請求項8または請求項9に記載のスイッチ。
【請求項11】
前記可動接触片と前記弾性部材とが、前記ベースに突設された回動軸心を中心として回動するように支持されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項12】
前記弾性部材が、回動可能で、かつ、所定の接点圧を確保するように前記切替可動接点を前記固定接点側に付勢することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項13】
前記カバーの内向面に、前記可動接触片に係合して位置規制する位置規制リブを設けたことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−138273(P2012−138273A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290162(P2010−290162)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【特許番号】特許第4962614号(P4962614)
【特許公報発行日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】