説明

スイッチ

【課題】容易に良好な操作感と強固なロック状態を両立させることができるとともに組み付け性のよいスイッチを提供する。
【解決手段】ボタン31の押し込みを許容するアンロック状態と不能とするロック状態とに切り換え可能なロック具41は、操作リング部材51に固定されアンロック位置とロック位置との中間位置では固定側節度部62にて弾性変形されつつアンロック位置又はロック位置に誘導する回動側節度部72を有するロックリング部材71を備える。ボタン31には径方向外側に突出する外延部32a,32bが設けられ、操作リング部材51にはロック状態で外延部32a,32bと位置が一致して押し込みを不能としアンロック状態で外延部32a,32bと位置が不一致となり押し込みを許容する爪53が設けられる。操作リング部材51の内径寸法及びロックリング部材71の内径寸法は外延部32a,32bを除くボタン31の外径寸法と同等以上とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に電気かみそりやヘアドライヤー等の小型の電気機器に配設されるスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電気かみそり等に配設されるスイッチとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。このスイッチは、押し込み操作されるボタンと、ボタンの押し込みを許容するアンロック状態と押し込みを不能とするロック状態とに切り換え可能なロック具とを備える。詳しくは、このロック具は、ボタンを回動中心として回動可能に設けられることでアンロック状態とするアンロック位置とロック状態とするロック位置とに回動操作可能な操作リング部材と、操作リング部材と一体回動可能に連結されるロックリング部材とを有する。このロックリング部材は、アンロック位置とロック位置との中間位置ではスイッチ配設部材(電気かみそりの本体ケース等)に対して回動不能に設けられる固定側節度部にて弾性変形されつつアンロック位置又はロック位置に誘導するための回動側節度部を有する。又、ロックリング部材は、前記ロック位置に切り換えた状態では周方向位置が一致することでボタンと軸方向に当接し該ボタンの押し込みを不能とする爪を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−104792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したスイッチでは、弾性変形させる回動側節度部とボタンに当接させてその押し込みを不能とする爪とが、ロックリング部材に一体成形された構成であるため、そのロックリング部材の材料選定の自由度が小さくなってしまう。即ち、回動側節度部に適した弾性と押し込みを不能とするために爪が必要とする剛性とを同時に満たすような困難な材料選定が必要となってしまう。このことは良好な操作感と強固なロック状態を両立させることを困難とする原因となる。
【0005】
又、上記したスイッチでは、ボタンをロックリング部材と操作リング部材とで挟み込んで組み立てる構成となっている。よって、例えば、全てを組み付けた状態でボタンの押し込み動作(例えばボタンを押し込むと電気かみそりが正常に動作するか否か)を確認することになってしまう。又、ボタンも挟み込んだ状態で操作リング部材とロックリング部材の回動力伝達動作(正常に組み付けられて一体回動するか否か)を確認することになってしまう。これらのことから、例えば、完成品となった状態でのスイッチの動作不良率が高くなってしまう虞があり、組み付け性が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、容易に良好な操作感と強固なロック状態を両立させることができるとともに、組み付け性のよいスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスイッチは、押し込み操作されるボタンと、前記ボタンの押し込みを許容するアンロック状態と押し込みを不能とするロック状態とに切り換え可能なロック具とを備え、前記ロック具は、前記ボタンを回動中心として回動可能に設けられることで前記アンロック状態とするアンロック位置と前記ロック状態とするロック位置とに回動操作可能な操作リング部材と、前記操作リング部材と一体回動可能に連結されるとともに前記アンロック位置と前記ロック位置との中間位置ではスイッチ配設部材に対して回動不能に設けられる固定側節度部にて弾性変形されつつ前記アンロック位置又は前記ロック位置に誘導するための回動側節度部を有するロックリング部材とを有したスイッチであって、前記ボタンには、周方向の一部から径方向外側に突出する外延部が設けられ、前記操作リング部材には、前記ロック位置に切り換えた状態で前記外延部と周方向位置が一致して該外延部と押し込み方向に当接することで押し込みを不能とし、前記アンロック位置に切り換えた状態で前記外延部と周方向位置が不一致となり該外延部と押し込み方向に当接しないことで押し込みを許容する爪が設けられ、前記爪を含む前記操作リング部材の内径寸法及び前記ロックリング部材の内径寸法は、前記外延部を除く前記ボタンの外径寸法と同等以上とされたことを特徴とする。
【0008】
このスイッチにおいては、前記ロックリング部材には、前記ロック状態での前記ボタンの押し込み力に応じて前記爪と前記スイッチ配設部材とに挟持される受け部が設けられることが好ましい。
【0009】
このスイッチにおいては、前記ロックリング部材には、前記爪の周方向側面と当接する周方向当接面が設けられることが好ましい。
このスイッチにおいては、前記ロックリング部材には、前記爪の径方向外側面と当接する外側当接面が設けられることが好ましい。
【0010】
このスイッチにおいては、前記ボタンは、付勢部材にて押し込み方向の反対側に付勢されるものであって、前記ロックリング部材には、前記外延部における押し込み方向の反対側の面と当接する反対側受け部が設けられることが好ましい。
【0011】
このスイッチにおいては、前記ボタンには、周方向の一部から前記ロックリング部材よりも径方向外側に突出し、前記スイッチ配設部材に対して移動不能に設けられた規制部と当接して自身の回転を規制する規制片が設けられることが好ましい。
【0012】
このスイッチにおいては、前記固定側節度部は、前記スイッチ配設部材に対して固定されるロック基台に設けられ、前記ロック基台は、前記ロックリング部材と前記操作リング部材とに挟み込まれて組み付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に良好な操作感と強固なロック状態を両立させることができるとともに、組み付け性のよいスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における電気かみそりの正面図。
【図2】本実施の形態における電気かみそりの断面図。
【図3】本実施の形態における電気かみそりの一部分解斜視図。
【図4】(a)本実施の形態における電気かみそりの一部分解拡大斜視図。(b)同じく電気かみそりの一部分解拡大斜視図。
【図5】本実施の形態における電気かみそりの一部拡大断面図。
【図6】本実施の形態における電気かみそりの一部拡大断面図。
【図7】本実施の形態における電気かみそりの一部拡大断面図。
【図8】(a)本実施の形態におけるスイッチの動作(ロック状態)を説明するための模式断面図。(b)同じくスイッチの動作(アンロック状態)を説明するための模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図8に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の髭用の電気かみそり11は、使用者が把持可能な把持部12と、該把持部12の上端部に設けられたヘッド部13とを備える。
【0016】
ヘッド部13の上端部には、体毛を導入可能な外刃14が自身の短手方向であってヘッド部13の前後方向に沿って複数(本実施の形態では5個)並設されている。又、ヘッド部13において各外刃14の内部側には、図2に示すように、それぞれ外刃14の長手方向であってヘッド部13の幅方向に沿って往復駆動可能で外刃14内に導入された体毛を挟んで切除するための内刃15が設けられている。この内刃15は、ヘッド部13の内部に設けられたリニアモータ16にて駆動可能とされている。
【0017】
把持部12は、図2に示すように、電気部品を密封して保持する第1及び第2の本体ケース21,22と、それら第1及び第2の本体ケース21,22を収容保持する把持ケース23と、把持ケース23の前面に形成された開口を塞ぐ前面パネル24とを有する。尚、本実施の形態では、第1の本体ケース21がスイッチ配設部材を構成している。前記電気部品は、二次電池25及び回路部材26を含み、その二次電池25は回路部材26及び防水チューブ27内を通る配線(図示略)を介して前記リニアモータ16に電気的に接続されている。そして、回路部材26に設けられるスイッチ素子28(図5参照)が一度押し込まれると二次電池25からリニアモータ16に駆動電流が供給され、スイッチ素子28(図5参照)が再度押し込まれると駆動電流の供給が停止されるようになっている。
【0018】
又、図5に示すように、前面側の前記第1の本体ケース21において、前記スイッチ素子28と対応した位置には、開口21aが形成されている。そして、その開口21aには、外部からスイッチ素子28を押し込み可能としながら内部への液体の浸入を阻止する防水ゴム部材29が二色成形にて設けられている。
【0019】
又、図3に示すように、前面パネル24の防水ゴム部材29と対応した位置には、円形のパネル開口24aが形成されている。
そして、防水ゴム部材29及びパネル開口24aと対応した位置には、押し込み操作されるボタン31と、ボタン31の押し込みを許容するアンロック状態と押し込みを不能とするロック状態とに切り換え可能なロック具41等からなるスイッチが設けられている。
【0020】
詳述すると、ボタン31は、図4、図5及び図8に示すように、全体が略有底筒状に形成され、その外周面には周方向の一部から径方向外側に突出する外延部32a〜32cが形成されている。本実施の形態の外延部32a〜32cは、周方向に離間して3つ形成されている。
【0021】
又、ボタン31の底部(有底筒状の底の面)における中央には、図5に示すように、自身の開口端よりも外部まで軸方向に突出する伝達軸33が形成されている。この伝達軸33の先端部は、前記防水ゴム部材29に形成された中央凹部29aに嵌入され、ボタン31が押し込まれると防水ゴム部材29を介して前記スイッチ素子28を押し込むことが可能とされている。尚、本実施の形態の防水ゴム部材29は、ボタン31及びロック具41が組み付けられた状態でボタン31を押し込み方向の反対側に付勢する付勢部材を構成している。
【0022】
又、ボタン31の開口端には、図4及び図8に示すように、その周方向の一部であって2つの外延部32b,32cの間の角度位置から外延部32aよりも径方向外側に大きく突出する規制片34が形成されている。この規制片34の先端部は、第1の本体ケース21に形成された一対の規制部21b間に配置され、該規制部21bと(伝達軸33を軸中心とした)周方向に当接することでボタン31の回転を規制する。
【0023】
本実施の形態のロック具41は、図4に示すように、操作リング部材51と、ロック基台61と、ロックリング部材71とを備える。
操作リング部材51は、パネル開口24aから外部に露出し、ボタン31(その伝達軸33)を回動中心として回動可能に設けられることで前記アンロック状態とするアンロック位置と前記ロック状態とするロック位置とに回動操作可能とされるものである。
【0024】
ロック基台61は、第1の本体ケース21と前面パネル24とに挟持されることで第1の本体ケース21に対して固定され、後述する節度構造の一部を構成する固定側節度部62を有するものである。
【0025】
ロックリング部材71は、ロック基台61を挟み込んで操作リング部材51と一体回動可能に連結され、後述する節度構造の一部を構成する回動側節度部72を有するものである。
【0026】
詳しくは、まず操作リング部材51は、図1、及び図3に示すように、パネル開口24aから外部に露出する側の面(以下、表面)の周方向の一部に操作凸部52を有する。これにより、使用者は操作凸部52に指を掛けることで操作リング部材51を回動させるための外力を加えることが容易とされている。
【0027】
又、操作リング部材51の裏面には、図4(b)及び図5に示すように、軸方向に突出するとともにその先端に径方向内側(軸中心側)に突出する係合部53aを有する爪53が形成されている。本実施の形態の爪53は、周方向に180°離間して一対設けられている。爪53(その係合部53a)は、図8(a)に示すように、前記ロック位置に切り換えた状態で前記外延部32a,32bと周方向位置が一致して該外延部32a,32bと軸方向(押し込み方向)に当接することでボタン31の押し込みを不能とする。又、爪53(その係合部53a)は、図8(b)に示すように、前記アンロック位置に切り換えた状態で外延部32a,32bと周方向位置が不一致となり該外延部32a,32bと軸方向(押し込み方向)に当接しないことでボタン31の押し込みを許容する。
【0028】
又、爪53の先端には、図4(b)及び図5に示すように、径方向外側から凹設された凹部53bが形成されている。
又、操作リング部材51の裏面には、図4(b)及び図8に示すように、軸方向に突出する突出部54が形成されている。突出部54は、爪53よりも径方向外側において爪53と周方向にずれた位置に互いが180°離間して一対設けられている。この突出部54には、図4(b)及び図7に示すように、径方向に貫通する係止部孔54aが形成されている。
【0029】
又、操作リング部材51の裏面において前記操作凸部52と対応した位置には、図4(b)に示すように、凹部55が形成されている。
又、爪53を含む操作リング部材51の内径寸法は、外延部32a〜32cを除く(詳しくは規制片34も除く)前記ボタン31の外径寸法と同等以上、即ち略同じか若干大きい寸法であってボタン31を内嵌可能な寸法とされている。
【0030】
次に、ロック基台61は、図4に示すように、その内径寸法が前記操作リング部材51の内径寸法よりも大きく設定され、詳しくは、操作リング部材51の突出部54の内径寸法と略同じに設定されている。尚、突出部54は円形ではなく内周がないが、本実施の形態で言う内径寸法とは、軸中心(伝達軸33)からその部材の径方向内側端部までの距離の寸法のことを言う。
【0031】
そして、ロック基台61の表面には、図4(a)に示すように、前記突出部54(図4(b)参照)が収容される円弧凹部63が形成されている。この円弧凹部63の周方向両端部は、図8(a)に示すロック位置及び図8(b)に示すアンロック位置と対応して設定され、突出部54の周方向端部と当接することでそれ以上の操作リング部材51の回動を規制するように設定されている。言い換えると、円弧凹部63の周方向一端部(図8(a)中、反時計回り方向端部)に突出部54が当接すると、爪53(その係合部53a)と前記外延部32a,32bの周方向位置が一致してボタン31の押し込みを不能とするように設定されている。又、円弧凹部63の周方向他端部(図8(b)中、時計回り方向端部)に突出部54が当接すると、爪53(その係合部53a)と外延部32a,32bの周方向位置が不一致となりボタン31の押し込みを許容するように設定されている。
【0032】
又、ロック基台61の裏面には、図4(b)及び図8に示すように、軸中心側に凸の湾曲面を有する前記固定側節度部62が形成されている。
次に、ロックリング部材71は、その筒部73の外径寸法が前記ロック基台61の内径寸法と同等以下、即ち略同じか若干小さい寸法であってロック基台61に内嵌可能な寸法とされている。
【0033】
又、図4(a)に示すように、ロックリング部材71(筒部73)の表面側(操作リング部材51と対向する側)端部における周方向の一部には径方向外側に突出する外出部74が形成されている。この外出部74は、操作リング部材51の前記凹部55(図4(b)参照)と対応し、該凹部55の底面とロック基台61の表面との間に介在されることになる。
【0034】
又、図4(a)に示すように、ロックリング部材71(筒部73)の表面側(操作リング部材51と対向する側)端部において前記外出部74と離間した周方向の一部には径方向外側に突出する係止爪75が形成されている。この係止爪75は、ロック基台61の表面に引っ掛かるように係合する。即ち、ロックリング部材71は、まず外出部74をロック基台61の中央孔を通して表面側に配置し、次に係止爪75をロック基台61の中央孔を通してロック基台61の表面に引っ掛けることでロック基台61に組み付けられるようになっている。
【0035】
又、図4(a)及び図7に示すように、ロックリング部材71(その筒部73)の表面側(操作リング部材51と対向する側)端部の周方向の一部には径方向外側に突出する連結爪76が形成されている。この連結爪76は、ロックリング部材71がロック基台61に組み付けられた状態で、前記円弧凹部63内に配置される。そして、その状態で、前記操作リング部材51の突出部54を円弧凹部63内に収容させるとともに、突出部54の係止部孔54a(図4(b)及び図7参照)に連結爪76を嵌合させるようにして、操作リング部材51とロックリング部材71が連結される。
【0036】
又、ロックリング部材71の筒部73の外周面には、図4及び図8に示すように、径方向外側に延びて更に周方向に延びる腕状の一対の前記回動側節度部72が形成されている。この回動側節度部72は、前記アンロック位置とロック位置との中間位置では前記固定側節度部62にて弾性変形されつつ操作リング部材51をアンロック位置又はロック位置に誘導するためのものであり、前記固定側節度部62と共に所謂節度構造を構成する。
【0037】
又、ロックリング部材71(その筒部73)の表面には、図4(a)に示すように、操作リング部材51の前記爪53(図4(b)参照)が嵌り込む溝77が形成されている。又、ロックリング部材71の溝77の底部と対応した位置には、図4(a)及び図5に示すように、その底部を径方向内側に延長するように径方向内側に延びて爪53の係合部53aと当接する内延部78が形成されている。又、ロックリング部材71の溝77の底部には、爪53の前記凹部53b(図4(b)及び図5参照)に嵌り込む凸部79が形成されている。
【0038】
ここで、本実施の形態では、ロックリング部材71の筒部73の一部であって、図5に示すように、溝77の底部とそこから軸方向に延びて第1の本体ケース21との間に介在される部分は受け部81とされている。この受け部81は、前記ロック状態での前記ボタン31の押し込み力に応じて爪53と第1の本体ケース21とに挟持される。
【0039】
又、図4(a)に示すように、ロックリング部材71における前記溝77の周方向側面は、前記爪53の周方向側面と当接する周方向当接面82とされている。
又、図5に示すように、ロックリング部材71における前記凸部79の径方向内側面は、前記爪53の凹部53bにおける径方向外側面と当接する外側当接面83とされている。
【0040】
又、図4及び図6に示すように、ロックリング部材71(その筒部73)の表面側端部の周方向の一部には径方向内側に突出する複数(本実施の形態では2つ)の反対側受け部84が形成されている。この反対側受け部84は、前記ロック位置か前記アンロック位置かに関わらず、防水ゴム部材29にて押し込み方向の反対側に付勢されたボタン31の外延部32a,32cにおける押し込み方向の反対側の面と当接するように形成されている。
【0041】
又、ロックリング部材71の内径寸法は、外延部32a〜32cを除く(詳しくは規制片34も除く)前記ボタン31の外径寸法と同等以上、即ち略同じか若干大きい寸法であってボタン31を内嵌可能な寸法とされている。
【0042】
そして、本実施の形態では、予めボタン31を単独で第1の本体ケース21に組み付けるようにしている。即ち、前記ロック具41と組み付ける前に、上記したように規制片34の先端部を一対の規制部21b間に配置しつつ伝達軸33の先端部を防水ゴム部材29の中央凹部29aに嵌入するようにしている。
【0043】
一方、本実施の形態では、上記したようにロックリング部材71をロック基台61に組み付け、次にロック基台61を挟み込むようにロックリング部材71に操作リング部材51を組み付けて(連結して)ロック具41を組み付けるようにしている。そして、そのロック具41をアンロック位置と対応した周方向位置に合わせてボタン31の上から第1の本体ケース21に組み付け、更に前面パネル24を上からロック基台61の外縁を挟むように第1の本体ケース21に組み付けるようにしている。
【0044】
このように構成された電気かみそり11の作用を以下に記載する。
図8(b)に示すように、操作リング部材51がアンロック位置とされたアンロック状態では、爪53(その係合部53a)は、外延部32a,32bと周方向位置が不一致となる。よって、使用者がボタン31を押し込むと、伝達軸33が防水ゴム部材29を介してスイッチ素子28を押し込み、二次電池25からリニアモータ16に駆動電流が供給され、内刃15が往復駆動される。
【0045】
一方、図8(a)に示すように、操作リング部材51がロック位置とされたロック状態では、爪53(その係合部53a)は、外延部32a,32bと周方向位置が一致する。よって、使用者がボタン31を押し込もうとしても、外延部32a,32bが爪53の係合部53aと押し込み方向に当接して押し込むことができなくなる。これにより、例えば、ロック状態とした電気かみそり11を鞄等に収容して持ち運んでも、何らかの衝撃でボタン31が押し込まれてしまうといったことが防止される。
【0046】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)ボタン31の外延部32a,32bに当接させてその押し込みを不能とする爪53が操作リング部材51に設けられるため、弾性変形させる回動側節度部72が設けられるロックリング部材71に爪を設けた場合のように材料選定の自由度が小さくならない。即ち、押し込みを不能とするために剛性を必要とする爪53が設けられた操作リング部材51を単純に高剛性の材料にて成形することができる。又、弾性変形させるために弾性が必要となる回動側節度部72が設けられたロックリング部材71を単純に弾性部材(ここで言う弾性部材は剛性が低く使用者の操作感が良好となる程度の弾性を有した部材)にて成形することができる。よって、容易に良好な操作感と強固なロック状態を両立させることができる。
【0047】
又、爪53を含む操作リング部材51の内径寸法及びロックリング部材71の内径寸法は、外延部32a〜32cを除くボタン31の外径寸法と同等以上とされる。よって、例えば、本実施の形態のように第1の本体ケース21にボタン31を組み付けた後に、アンロック位置と対応した周方向位置に合わせてボタン31の上から(押し込み方向に)操作リング部材51及びロックリング部材71を組み付けることが可能となる。これにより、例えば、第1の本体ケース21にボタン31を組み付けただけの(操作リング部材51及びロックリング部材71を組み付けていない)状態で、ボタン31の押し込み動作を確認することができる。又、例えば、本実施の形態のように操作リング部材51及びロックリング部材71を先に組み付けた(それらにボタン31を組み付けていない)状態でそれらの回動力伝達動作(正常に組み付けられて一体回動するか否か)を確認することができる。その結果、例えば、上記各動作の確認を行わずに全てを組み付けて完成品(電気かみそり11)を製造する場合に比べて、完成品となった状態でのスイッチの動作不良率を低下させることが可能となる等、組み付け性が良好となる。
【0048】
(2)ロックリング部材71には、ロック状態でのボタン31の押し込み力に応じて爪53と第1の本体ケース21とに挟持される受け部81(図5参照)が設けられる。よって、例えばロック状態において大きな力でボタン31が押し込まれたとしても、その押し込み力を、受け部81を介して第1の本体ケース21で受け止めることができる。その結果、例えば、爪53の変形をより抑えることができ、より大きな力での押し込みをも不能とすることができる。又、例えば、爪53の破損を防止することができる。
【0049】
(3)ロックリング部材71には、爪53の周方向側面と当接する周方向当接面82(図4参照)が設けられる。このようにすると、爪53が操作リング部材51の回転操作力をロックリング部材71に伝達する機能を兼ねることになる。よって、例えば省スペース化が可能になる。又、例えばボタン31が正常な押し込み方向に対して傾斜した斜め方向に押し込まれて、その斜め方向の力が爪53に掛かった場合でも爪53が捩れるように変形してしまうことを周方向当接面82にて抑えることができる。
【0050】
(4)ロックリング部材71には、爪53の凹部53bにおける径方向外側面と当接する外側当接面83(図5参照)が設けられるため、外側当接面83にて爪53が径方向外側に広がるように変形してしまうことを抑えることができる。即ち、大きな力でボタン31が押し込まれると、外延部32a,32bを径方向内側で支持する爪53が径方向外側に向かう大きな力を受けることがあるが、このような場合でも爪53が径方向外側に広がるように変形してしまうことを抑えることができる。
【0051】
(5)ボタン31は、防水ゴム部材29にて押し込み方向の反対側に付勢されるものであって、ロックリング部材71には、外延部32a,32cにおける押し込み方向の反対側の面と当接する反対側受け部84(図4及び図6参照)が設けられる。このようにすると、防水ゴム部材29による付勢力はボタン31を介してロックリング部材71の反対側受け部84にて受け止められることになる。よって、ボタン31と操作リング部材51とが押圧接触してしまうことを回避することができる。その結果、例えば、ロックリング部材71を低摩擦係数となるように構成すれば、操作リング部材51とボタン31との摩擦は考慮する必要が無くなり、外部に露出する操作リング部材51とボタン31の材料選定の自由度が大きくなる。
【0052】
(6)ボタン31には、周方向の一部からロックリング部材71よりも径方向外側に突出し、第1の本体ケース21に設けられた規制部21bと当接して自身の回転を規制する規制片34(図8参照)が設けられる。よって、ロックリング部材71の内側に上記したような規制部を配置するスペースを確保する必要等がなくなり、例えば、ロックリング部材71全体の小型化や薄型化を図ることが可能となる。
【0053】
(7)固定側節度部62は、第1の本体ケース21に対して固定されるロック基台61に設けられ、そのロック基台61は、その一部がロックリング部材71と操作リング部材51とに挟み込まれて組み付けられる。よって、例えば、それらを先に組み付けた(それらにボタン31を組み付けていない)状態で、固定側節度部62と回動側節度部72とによる節度構造の動作を確認することができる。その結果、例えば、上記動作の確認を行わずに全てを組み付けて完成品(電気かみそり11)を製造する場合に比べて、完成品となった状態でのスイッチの動作不良率を低下させることが可能となる等、組み付け性がより良好となる。
【0054】
(8)ロックリング部材71は、操作リング部材51の操作凸部52と対応した位置の裏面(詳しくは凹部55の底面)とロック基台61の表面との間に介在(挟持)される外出部74を有する。よって、例えば、使用者が操作リング部材51の操作凸部52を押し込みながら操作リング部材51を回動させる際にも、外出部74によって操作リング部材51がロック基台61と直接押圧接触してしまうことを回避することができる。その結果、例えば、ロックリング部材71を低摩擦係数となるように構成すれば、操作リング部材51とロック基台61との摩擦は考慮する必要が無くなり、外部に露出する操作リング部材51とロック基台61の材料選定の自由度が大きくなる。
【0055】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、ロックリング部材71には、ロック状態でのボタン31の押し込み力に応じて爪53と第1の本体ケース21とに挟持される受け部81が設けられるとしたが、これに限定されず、受け部81を有さないロックリング部材に変更してもよい。
【0056】
・上記実施の形態では、ロックリング部材71には、爪53の周方向側面と当接する周方向当接面82が設けられるとしたが、これに限定されず、周方向当接面82を有さないロックリング部材に変更してもよい。
【0057】
・上記実施の形態では、ロックリング部材71には、爪53の凹部53bにおける径方向外側面と当接する外側当接面83が設けられるとしたが、これに限定されず、外側当接面83を有さないロックリング部材に変更してもよい。
【0058】
・上記実施の形態では、ボタン31は、防水ゴム部材29にて押し込み方向の反対側に付勢されるとしたが、これに限定されず、防水ゴム部材29以外の付勢部材で付勢する構成としてもよい。
【0059】
・上記実施の形態では、ロックリング部材71には、外延部32a,32cにおける押し込み方向の反対側の面と当接する反対側受け部84が設けられるとしたが、これに限定されず、反対側受け部84を有さないロックリング部材に変更してもよい。
【0060】
・上記実施の形態では、ボタン31の規制片34は、ロックリング部材71よりも径方向外側に突出するとしたが、これに限定されず、ロックリング部材71の外縁よりも内側に配置される構成に変更してもよい。
【0061】
・上記実施の形態では、ロック基台61が固定側節度部62を有する構成としたが、これに限定されず、固定側節度部は、第1の本体ケース21に対して回動不能に設けられればよく、例えば第1の本体ケース21に一体成形してもよい。又、この場合、ロック基台61を省いた構成とすることが可能となる。
【0062】
・上記実施の形態では、ロックリング部材71は、操作リング部材51の操作凸部52と対応した位置の裏面とロック基台61の表面との間に挟持される外出部74を有するとしたが、これに限定されず、例えば、外出部74が挟持されない構成に変更してもよい。又、例えば、外出部74は、操作リング部材51の操作凸部52と対応していない位置に設けてもよい。
【0063】
・上記実施の形態では、本発明を電気かみそり11に配設されるスイッチとして具体化したが、同様のスイッチをヘアドライヤーや電気歯ブラシ等の他の電気機器に配設して実施してもよい。
【符号の説明】
【0064】
21…第1の本体ケース(スイッチ配設部材)、21b…規制部、29…防水ゴム部材(付勢部材)、31…ボタン、32a〜32c…外延部、34…規制片、41…ロック具、51…操作リング部材、53…爪、61…ロック基台、62…固定側節度部、71…ロックリング部材、72…回動側節度部、81…受け部、82…周方向当接面、83…外側当接面、84…反対側受け部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し込み操作されるボタンと、前記ボタンの押し込みを許容するアンロック状態と押し込みを不能とするロック状態とに切り換え可能なロック具とを備え、
前記ロック具は、前記ボタンを回動中心として回動可能に設けられることで前記アンロック状態とするアンロック位置と前記ロック状態とするロック位置とに回動操作可能な操作リング部材と、前記操作リング部材と一体回動可能に連結されるとともに前記アンロック位置と前記ロック位置との中間位置ではスイッチ配設部材に対して回動不能に設けられる固定側節度部にて弾性変形されつつ前記アンロック位置又は前記ロック位置に誘導するための回動側節度部を有するロックリング部材とを備えたスイッチであって、
前記ボタンには、周方向の一部から径方向外側に突出する外延部が設けられ、
前記操作リング部材には、前記ロック位置に切り換えた状態で前記外延部と周方向位置が一致して該外延部と押し込み方向に当接することで押し込みを不能とし、前記アンロック位置に切り換えた状態で前記外延部と周方向位置が不一致となり該外延部と押し込み方向に当接しないことで押し込みを許容する爪が設けられ、
前記爪を含む前記操作リング部材の内径寸法及び前記ロックリング部材の内径寸法は、前記外延部を除く前記ボタンの外径寸法と同等以上とされたことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチにおいて、
前記ロックリング部材には、前記ロック状態での前記ボタンの押し込み力に応じて前記爪と前記スイッチ配設部材とに挟持される受け部が設けられたことを特徴とするスイッチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスイッチにおいて、
前記ロックリング部材には、前記爪の周方向側面と当接する周方向当接面が設けられたことを特徴とするスイッチ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスイッチにおいて、
前記ロックリング部材には、前記爪の径方向外側面と当接する外側当接面が設けられたことを特徴とするスイッチ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスイッチにおいて、
前記ボタンは、付勢部材にて押し込み方向の反対側に付勢されるものであって、
前記ロックリング部材には、前記外延部における押し込み方向の反対側の面と当接する反対側受け部が設けられたことを特徴とするスイッチ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスイッチにおいて、
前記ボタンには、周方向の一部から前記ロックリング部材よりも径方向外側に突出し、前記スイッチ配設部材に対して移動不能に設けられた規制部と当接して自身の回転を規制する規制片が設けられたことを特徴とするスイッチ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスイッチにおいて、
前記固定側節度部は、前記スイッチ配設部材に対して固定されるロック基台に設けられ、
前記ロック基台は、前記ロックリング部材と前記操作リング部材とに挟み込まれて組み付けられることを特徴とするスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−178259(P2012−178259A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40178(P2011−40178)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】