説明

スキャナ装置

【課題】スキャン対象物との相対的な位置関係が変動し得る場合であっても、適正な画像部分を取得することのできるスキャナ装置を提供することである。
【解決手段】支持部に対向してセットされるスキャナユニットに設けられた撮像素子が、前記支持部に支持される対象物の画像の形成された表面を当該画像に対して所定方向にライン状に走査するスキャナ装置であって、前記スキャン対象物の前記走査方向における所定位置に対応する前記撮像素子上の基準位置を決定する基準位置決定手段(S4)と、前記基準位置に基づいて、前記スキャン対象物に形成された前記画像の取得可能な前記撮像素子の前記走査方向における画像取得範囲を決定する画像取得範囲決定手段(S5)とを有し、前記決定された前記撮像素子の前記画像取得範囲にて光学的に読み取られた画像を取得する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャン対象物を光学的に走査して該スキャン対象物表面から画像情報を得るスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ラベルに印刷されたバーコードの適否を検証するためのバーコード検証機にスキャナ装置が用いられている(特許文献1及び特許文献2参照)。このバーコード検証機では、センサ素子(撮像素子)がバーコードの形成されたラベルの表面をそのバーコードを横切る方向にライン状に走査して、当該ラベルの表面を光学的に読み取っている。そして、前記センサ素子(撮像素子)から出力される前記バーコードの濃淡に応じた読取り信号に基づいて前記ラベルに印刷されたバーコードの適否が判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−96062号公報
【特許文献2】特開平08−96065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなバーコード検証機に用いられるスキャナ装置では、種々の大きさのラベルに形成されたバーコードの画像取得を可能にする場合、最大サイズのラベルを想定して比較的読み取り範囲の広い撮像素子が用いられる。更に、ラベルとスキャナ装置(撮像素子)との相対的な位置関係が種々変動し得る場合、想定される最大の相対位置変動があっても、確実にバーコードの画像を取得できるようにするために、その比較的読み取り範囲の広い撮像素子による画像取得範囲も比較的広く設定される。このため、本来必要なバーコードの画像以外の画像部分も取得することになり、効率的な処理が損なわれるものとなっていた。
【0005】
また、搬送機構によって支持プレート(支持部)上を搬送されるラベルのバーコードを前記支持プレートに対して所定の位置関係にてセットされたスキャナユニットに搭載される撮像素子がその搬送方向を横切る方向に走査する構造のスキャナ装置も知られている。この種のスキャナ装置において、ラベルが支持プレート上を正しく搬送されていても、スキャナユニットの支持プレートに対するセット位置が正規の位置からずれている場合がある。このような場合を想定すると、前述したのと同様に、撮像素子による画像取得範囲を比較的広く設定しなければならず、効率的な処理が損なわれてしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スキャン対象物との相対的な位置関係が変動し得る場合であっても、適正な画像部分を取得することのできるスキャナ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスキャナ装置は、画像の形成されたスキャン対象物を支持する支持部に対向してセットされるスキャナユニットに設けられた撮像素子が、前記対象物の前記画像の形成された表面を当該画像に対して所定方向にライン状に走査して当該スキャン対象物の前記表面を光学的に読取るスキャナ装置であって、前記スキャン対象物の前記走査方向における所定位置に対応する前記撮像素子上の基準位置を決定する基準位置決定手段と、前記基準位置に基づいて、前記スキャン対象物に形成された前記画像の取得可能な前記撮像素子の前記走査方向における画像取得範囲を決定する画像取得範囲決定手段とを有し、前記決定された前記撮像素子の前記画像取得範囲にて光学的に読み取られた画像を取得する構成となる。
【0008】
このような構成により、キャン対象物の走査方向における所定位置に対応する撮像素子上の基準位置が決定され、その基準位置に基づいて前記スキャン対象物に形成された画像の取得可能な前記撮像素子の前記走査方向における画像取得範囲が決定されるので、例えば、スキャナユニットの支持部に対するセット位置が変動して、スキャン対象物と撮像素子との相対的な位置関係が変動しても、常に、スキャン対象物の走査方向における所定位置を基準として特定することのできる当該スキャン対象物に形成された画像を含む所定範囲に対応した撮像素子上の範囲を、当該撮像素子上で決められた基準位置に基づいて画像取得範囲として決めることができる。
【0009】
本発明に係るスキャナ装置において、前記基準位置決定手段は、前記スキャン対象物を支持する前記支持部の前記走査方向における所定位置に形成されたマークの前記撮像素子による読取り位置を前記基準位置として決定することができる。
【0010】
このような構成により、支持部に形成されたマークに対応したスキャン対象物の走査方向における位置に対応する撮像素子上の位置が基準位置として決定される。
【0011】
本発明に係るスキャナ装置において、前記スキャン対象物は、バーコードが前記画像として印刷されたラベルであって、前記撮像素子は、前記バーコードの印刷された前記ラベルの表面を前記バーコードを横切る方向にライン状に走査して、当該ラベルの表面を光学的に読み取る構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、バーコードの印刷されたラベルとスキャナ装置との相対的な位置関係が変動しても、常に、ラベルの走査方向における所定位置を基準として特定することのできる当該ラベルに印刷されたバーコードを含む所定範囲に対応した撮像素子上の範囲を、当該撮像素子上で決められた基準位置に基づいて画像取得範囲として決めることができる。
【0013】
また、本発明に係るスキャナ装置において、前記ラベルは、支持部に支持されつつ搬送機構によって搬送され、前記スキャナユニットは、前記支持部に対向し、前記撮像素子が前記ラベルをその搬送方向を横切る方向に走査するようにセットされた構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、搬送されるラベルとスキャナユニットとのその搬送方向を横切る方向における相対的な位置関係が変動しても、常に、ラベルの走査方向における所定位置を基準として特定することのできる当該ラベルに印刷されたバーコードを含む所定範囲に対応した撮像素子上の範囲を、当該撮像素子上で決められた基準位置に基づいて画像取得範囲として決めることができる。
【0015】
また、本発明に係るスキャナ装置において、前記基準位置決定手段は、前記支持部の前記ラベルの前記走査方向における中心に対応する位置に形成されたマークの前記撮像素子による読取り位置を前記基準位置として決定する構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、バーコードの印刷されたラベルとスキャナユニットとの相対的な位置関係が変動しても、常に、支持部の前記ラベルの走査方向における中心に対応する位置に形成されたマークの撮像素子による読取り位置に基づいて当該ラベルに印刷されたバーコードを含む所定範囲を画像取得範囲として決めることができる。
【0017】
更に、本発明に係るスキャナ装置において、前記画像取得範囲決定手段は、前記ラベルの前記バーコードを含む所定の画像範囲に対応した前記撮像素子の画像取得範囲を決定する構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、ラベルのバーコードを含む所定範囲の画像を撮像素子によって取得することができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るスキャン装置によれば、スキャン対象物と撮像素子との相対的な位置関係が変動しても、常に、スキャン対象物の走査方向における所定位置を基準として特定することのできる当該スキャン対象物に形成された画像を含む所定範囲に対応した撮像素子上の範囲を、当該撮像素子上で決められた基準位置に基づいて画像取得範囲として決めることができるので、撮像素子とスキャン対象物との相対的な位置関係が変動し得る場合であっても、適正な画像部分を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の一形態に係るスキャナ装置が適用されたバーコード検証機の機構部の構造を示す図である。
【図2】スキャナユニットの構成例を示す図である。
【図3】バーコード検証機の制御部の構成例を示すブロック図である。
【図4】搬送されるラベルが移動する支持プレートに形成された中心マークとスキャナユニットに設けられたCCD(撮像素子)との位置関係を示す図である。
【図5】プリンタからバーコード検証機に供給されるバーコードの印刷されたラベルを示す図である。
【図6】図3に示す制御部での処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】プリンタからバーコード検証機に供給されるバーコードの印刷されたラベルとCCD(撮像素子)との位置関係(その1)を示す図である。
【図8】プリンタからバーコード検証機に供給されるバーコードの印刷されたラベルとCCD(撮像素子)との位置関係(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明の実施の一形態に係るスキャナ装置が適用されるバーコード検証機の機構部は、図1に示すように構成される。
【0023】
図1において、このバーコード検証機100の機器筐体110内には、スキャナユニット10と、搬送機構20と、スタンパ30とが設けられている。搬送機構20は、駆動源としてのモータ21を有し、モータ21の回転軸に固定された駆動プーリ22と、第1従動プーリ23a、第2従動プーリ23b、第3従動プーリ23cの3つの従動プーリとにタイミングベルト24が巻きかけられ、モータ21の駆動によって回転する駆動プーリ22の回転が、タイミングベルト24を介して前記3つの従動プーリ23a、23b、23cに伝達するようになっている。また、搬送機構20は、機器筐体110の入口INから出口OUTまで延びる支持プレート28(支持部)を有しており、支持プレート28に沿って第1搬送ローラ群25a、第2搬送ローラ群25b及び第3搬送ローラ群25cが配置されている。3つの搬送ローラ群25a、25b、25cのそれぞれは、3つの従動ローラ23a、23b、23cのうちの対応する従動ローラにベルト等によって連結され、各従動ローラ23a、23b、23cの回転によって各搬送ローラ群25a、25b、25cが回転するようになっている。
【0024】
機器筐体110の入口INの外側には、ステージ111及びサイドガイド112が設けられており、プリンタ200から排出されるバーコード印刷済みのラベルが配列されたシートSがステージ111及びガイド112によってガイドされつつ入口INから支持プレート28上に供給されるようになっている。そして、支持プレート28に供給されるシートSは、第1搬送ローラ25a、第2搬送ローラ25b、第3搬送ローラ25cによって支持プレート28上を搬送されて出口OUTから排出される。
【0025】
スキャナユニット10は、機器筐体110内の所定位置に搬送機構20の支持プレート28に対向するように着脱自在にセットされている。スキャナユニット10は、具体的には、図2に示すように構成されている。図2において、筐体11内に、例えば、複数のLEDが配列された構成となる光源12、ミラー13、レンズ系14及び1次元のCCD15(撮像素子)が設けられている。筐体11の支持プレート28に対向する所定部位には開口11aが形成されている。光源12、ミラー13、レンズ系14及びCCD15は、筐体11と所定関係となる支持プレート28上の位置に設定される読取り位置RPを通過するシートS(ラベルL)に光源12からの光が筐体11の開口11aを介して照射された際に、開口11aを介して筐体11内に進入するシートS(ラベルL)での反射光がミラー13及びレンズ系14を介してCCD15に導かれるように、配置されている。
【0026】
このような構造の機構部を有するバーコード検証機100の制御部は、図3に示すように構成される。
【0027】
図3において、制御部50は、CPU(処理ユニット)51、ROM52、RAM53、フラッシュメモリ54、IF(インタフェース回路)55a、55b、搬送制御回路56、入力回路57a、57b及び駆動回路58がバスに接続された構成となっている。搬送制御回路56は、CPU51からの指示に従って搬送機構20のモータ21(図1参照)の駆動制御を行う。入力回路57aは、搬送機構20の3つの搬送ローラ群25a、25b、25cのいずれかの搬送ローラと同軸に設けられたエンコーダ26(図1において図示略)からのパルス信号を搬送されるシートS(ラベルL)の位置を表す信号として入力する。入力回路57bは、CCD15からの出力信号を読取り信号として入力する。駆動回路58は、CPU51からの指示に従ってスタンパ30を駆動させる。
【0028】
ROM52、RAM53、フラッシュメモリ54は、CPU51にて実行されるべきプログラムや、処理の過程で得られた各種情報を保存する。操作パネル120(図1参照)に設けられた操作部121及び表示部122は、IF55bを介してバスに接続されており、CPU51の制御のもと、各種情報が表示部122に表示され、また、操作部121での操作に従った操作情報がIF55bを介してCPU51に取り込まれるようになっている。また、外部のPC(コンピュータ)300がIF55aに接続されており、制御部50は、外部のPC300と情報の送受信が可能となっている。PC300からは、プリンタ200にて処理されるラベルLの形状等を表すラベル情報やそのラベルLに印刷されるバーコードの位置、大きさ等を表すバーコード印刷情報がIF55aを介してRAM54に取り込まれる。CPU51は、このRAM54に取り込まれたラベル情報及びバーコード印刷情報を基準にしてラベルLに印刷されたバーコードの検証処理を実行する。
【0029】
スキャナユニット10のCCD15は、所定数、例えば、1024個の画素(受光素子)がライン状に配列された構造となっている。そして、スキャナユニット10は、シートS(ラベルL)の搬送方向Aを横切る方向(例えば、直交する方向)に延びるCCD15の所定数(例えば、1024個)の画素の中心画素=P512が、搬送経路となる支持プレート28の幅方向の中心位置に形成された中心線マークMCLに合致する(直線マークMCLを読取る)ようにセットされている。
【0030】
プリンタ200から排出されるバーコード印刷済みのラベルLが配列されたシートSは、図5に示すように、ステージ111及びサイドガイド112によってガイドされつつバーコード検証機100に供給される。このとき、サイドガイド112によってシートS(ラベルL)は、その幅方向の中心CLが搬送経路の幅方向の中心に合致した状態となっている。従って、プリンタ200からバーコード検証機100に供給されるシートS(ラベルL)は、通常、その幅方向の中心CLが支持プレート28の前記中心線マークMCL(図4参照)が形成された幅方向の中心位置に合致するようになっている。即ち、通常、シートSの幅方向の中心CLがスキャナユニット10におけるCCD15の中心画素P512に合致している。そして、CCD15は、ラベルLをそれに印刷されたバーコードを横切る方向(例えば、直交する方向)に光学的に走査して、ラベルL表面の画像を読取る。
【0031】
このようにプリンタ200から供給されるラベルLに印刷されたバーコードについての検証処理に先立ち、バーコード検証機100の制御部50(主にCPU51)は、図6に示す手順に従って、ラベルLから検証すべきバーコードの画像を得るためのCCD15の画素範囲を画像取得範囲として決める処理を実行する。
【0032】
図6において、制御部50は、PC300からラベルLの形状等を表すラベル情報及びラベルLに印刷されるバーコードの位置や形状を表すバーコード印刷情報を取得する(S1)。次いで、制御部50は、光源12を点灯させ(S2)、CCD15からの出力信号に基づいてシートSの搬送経路となる支持プレート28に形成された中心線マークMCLを検出する(S3)。そして、制御部50は、検出された中心線マークMCLに対応するCCD15上の画素位置を基準位置Pcとして決定する(S4)。通常、CCD15の中心画素P512が中心線マークMCLに合致するようにスキャナユニット10がセットされているので、基準位置Pcは、CCD15の中心画素P512(Pc=P512)になる。更に、支持プレート28上の前記中心マークMCLに幅方向の中心CLが合致するようにシートS(ラベルL)が搬送されるので、CCD15における前記基準位置Pcは、通常、搬送されるシートSの幅方向の中心CLにも合致している。
【0033】
CCD15における基準位置Pc(=P512)が決定されると、制御部50は、その基準位置Pcを用いて、次のようにして、ラベルLから検証すべきバーコードの画像を得るためのCCD15の画素範囲を画像取得範囲として決める(S5)。
【0034】
PC300から取得したラベル情報(ラベルLの形状等)及びバーコード印刷情報(バーコードのラベルL内での印刷位置等)に基づいて、図7に示すように、ラベルLに設定された座標系(幅方向がX座標)におけるバーコードの両端に所定の余裕値をもって設定される幅方向(走査方向)の所定範囲の両端座標値Xs1、Xe1が演算される。そして、ラベルLの中心CL(支持プレート28上の中心線マークMCL)から当該所定範囲の一方端(Xs1)までの距離DXs1と、他方端(Xe1)までの距離DXe1が演算される。更に、ラベルL上の距離DXs1に相当するCCD15上での画素数ΔPDXs1と、ラベルL上の距離DXe1に相当するCCD15上での画素数PDXs1とが演算される。
【0035】
このように、ラベルLの中心CLからバーコードを含む所定範囲の一方端Xs1までの距離DXs1に相当するCCD15上での画素数ΔPDXs1と、ラベルLの中心CLからバーコードを含む所定範囲の他方端Xe1までの距離DXe1に相当するCCD15上での画素数ΔPDXe1とが得られると、前記ラベルLの中心CLに対応したCCD15上の基準位置Pcに基づいて、画素位置Ps1、Pe1が、
Ps1=Pc(P512)−ΔPDXs1
Pe1=Pc(P512)+ΔPDXe1
に従って算出される。
【0036】
上記のように算出された画素位置Ps1は、ラベルLのバーコードを含む所定範囲の一方端Xs1に対応し、画素位置Pe1は、ラベルLの上記所定範囲の他方端Xe1に対応する。即ち、CCD15に並ぶ全画素のうち、画素位置Ps1から画素位置Pe1までの画素信号は、前記ラベル上のバーコードを含む上記所定範囲(Xs1〜Xe1)の画像を表すことになる。従って、CCD15の画素位置Ps1〜画素位置Pe1までの画素範囲が画像取得範囲として決定される。
【0037】
バーコード検証機100の機器筐体110内に設置されるスキャナユニット10の取付け誤差や、スキャナユニット10の筐体11内に固定されるCCD15の取付け誤差等によって、CCD15と搬送経路を搬送されるラベルLとの相対的な位置関係が、例えば、図8に示すようにずれた場合であっても、前述したのと同様の手順に従って、CCD15の画像取得範囲を決めることができる。即ち、ラベルLの幅方向の中心位置CL(支持プレート28上の中心線マークMCL)に対応したCCD15上の基準位置Pcは、CCD15とラベルLとの相対的なずれによって、CCD15の中心画素P512からオフセット(Offset)したものとなる。このようにラベルLの中心位置CLに対応したCCD15上の基準位置PcがCCD15の中心画素P512からオフセットしたとしても、その基準位置Pcに基づいて、ラベルLの中心CLを基準として特定することのできる当該ラベルLに形成されたバーコードを含む所定範囲(中心CLからXsまでの距離Dxsの範囲と中心CLからXeまでの距離Dxeの範囲)に対応したCCD15上の範囲(Ps〜Pe)を、
Ps=Pc−ΔPDXs
Pe=Pc+ΔPDXe
に従って得ることができる。そして、このCCD15上の範囲(Ps〜Pe)が、画像取得範囲として決定される。
【0038】
図6に戻って、上述したようにして、CCD15の画像取得範囲(Ps、Pe)を決定すると(S5)、制御部50は、その決定したCCD15の画像取得範囲(Ps、Pe)を、例えば、フラッシュメモリ54に格納する。このようにCCD15の画像取得範囲(Ps、Pe)がフラッシュメモリ54に格納されると、制御部15は、処理を終了する。
【0039】
実際の検証処理は次のようになされる。
【0040】
ラベルLの配列されたシートSが支持プレート28を搬送され、ラベルLが読取り位置RP(図2参照)を通過する過程で、CPU51は、入力回路57aによって入力されるエンコーダ26からのパルス信号に同期して、ラベルL上に印刷されたバーコードでの反射光がCCD15に入射するタイミングにてCCD15の各受光素子(画素)から出力される信号を読取り信号として取り込む。この読取り信号のうち、前記フラッシュメモリ54に格納されたCCD15の画像取得範囲(画素位置Ps〜画素位置Pe)からの読取り信号が検証すべきバーコードを含む画像情報として、RAM53に格納される。CPU51は、RAM53に格納されたバーコードを含む画像情報に基づいてラベルLに印刷されたバーコードの適否を所定のアルゴリズムに従って判定する。そして、適正でない(不鮮明、印刷ずれ、印刷トビ等)バーコードの印刷されたラベルに対しては、CPU51の制御のもとスタンパ30が所定のマークを付する。このようにして、シートS上の各ラベルLに印刷されたバーコードの検証処理がなされる。
【0041】
このようなバーコード検証装置100(スキャナ装置)によれば、バーコードを含むラベルLの全幅について画像情報を処理する必要はなく、予め決められたCCD15の画像取得範囲の受光素子(画素)からの読取り信号だけを処理すればよいので、効率的なバーコードの検証処理を行うことができる。
【0042】
また、ラベルLとスキャナユニット10に含まれるCCD15との相対的な位置関係が変動しても(スキャナユニット10の取り付け誤差等)、常に、ラベルLの走査方向における中心CLを基準として特定することのできる当該ラベルLに印刷されたバーコードを含む所定範囲(Xs〜Xe:図4、図6、図7参照)に対応したCCD15上の範囲(Ps〜Pe)を、当該CCD15上で決められた基準位置Pcに基づいて画像取得範囲として決めることができるので、ラベルLとCCD15との相対的な位置関係が変動し得る場合であっても、できるだけ本来必要な画像(バーコードの画像)以外の画像部分の取得をできるだけ少なくして、適正な画像部分を取得できるようになる。
【0043】
なお、前述したスキャナユニット10では、スキャン対象物となるシートSの幅方向の中心に対応する支持プレート28の幅方向の中心位置に形成された中心線マークMCLに対するCCD15の読取り画素の位置を基準位置Pcとしたが、シートS(スキャン対象物)の幅方向の中心を直接検出して、そのシートSの幅方向の中心に対するCCD15の読取り画素の位置を基準位置Pcとすることもできる。また、本発明は、前述したラベル検証機以外のスキャナ装置に適用することができることは勿論、特許文献1に開示されるような、ハンディタイプのスキャナにも適用することができる。
【0044】
前述したバーコード検証機では、支持プレート28の中心位置(中心線マークMCL)に対応するCCD15の読取り画素の位置を基準位置Pcとしたが、支持プレート28やスキャン対象物であるシートSの既知である幅方向(走査方向)の位置に対応するCCD15の読取り画素の位置を基準位置Pcとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上、説明したように、本発明に係るスキャナ装置は、スキャン対象物との相対的な位置関係が変動し得る場合であっても、適正な画像部分を取得することができるという効果を有し、スキャン対象物を光学的に走査して該スキャン対象物表面から画像情報を得るスキャナ装置として有用である。
【符号の説明】
【0046】
10 スキャナユニット
11 筐体
11a 開口
12 光源
13 ミラー
14 レンズ系
15 CCD(撮像素子)
20 搬送機構
21 モータ
22 駆動プーリ
23a 第1従動プーリ、23b 第2従動プーリ、23c 第3従動プーリ
24 タイミングベルト
25a 第1搬送ローラ群、25b 第2搬送ローラ群、25c 第3搬送ローラ群
26 エンコーダ
28 支持プレート
50 制御部
51 CPU(処理ユニット)
52 ROM
53 RAM
54 フラッシュメモリ
55a、55b IF(インタフェース回路)
56 搬送制御回路
57a、57b 入力回路
58 駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の形成されたスキャン対象物を支持する支持部に対向してセットされるスキャナユニットに設けられた撮像素子が、前記対象物の前記画像の形成された表面を当該画像に対して所定方向にライン状に走査して当該スキャン対象物の前記表面を光学的に読取るスキャナ装置であって、
前記スキャン対象物の前記走査方向における所定位置に対応する前記撮像素子上の基準位置を決定する基準位置決定手段と、
前記基準位置に基づいて、前記スキャン対象物に形成された前記画像の取得可能な前記撮像素子の前記走査方向における画像取得範囲を決定する画像取得範囲決定手段とを有し、
前記決定された前記撮像素子の前記画像取得範囲にて光学的に読み取られた画像を取得するスキャナ装置。
【請求項2】
前記基準位置決定手段は、前記スキャン対象物を支持する前記支持部の前記走査方向における所定位置に形成されたマークの前記撮像素子による読取り位置を前記基準位置として決定する請求項1記載のスキャナ装置。
【請求項3】
前記スキャン対象物は、バーコードが前記画像として印刷されたラベルであって、
前記撮像素子は、前記バーコードの印刷された前記ラベルの表面を前記バーコードを横切る方向にライン状に走査して、当該ラベルの表面を光学的に読み取る請求項1または2記載のスキャナ装置。
【請求項4】
前記ラベルは、支持部に支持されつつ搬送機構によって搬送され、
前記スキャナユニットは前記支持部に対向し、前記撮像素子が前記ラベルをその搬送方向を横切る方向に走査するようにセットされた請求項3記載のスキャナ装置。
【請求項5】
前記基準位置決定手段は、前記支持部の前記ラベルの前記走査方向における中心に対応する位置に形成されたマークの前記撮像素子による読取り位置を前記基準位置として決定する請求項3または4記載のスキャナ装置。
【請求項6】
前記画像取得範囲決定手段は、前記ラベルの前記バーコードを含む所定範囲に対応した前記撮像素子の画像取得範囲を決定する請求項3乃至5のいずれかに記載のスキャナ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate