スキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラム
【課題】ユーザのコンピュータ上におけるスキャナの表示、及び、スキャニング操作を起動するための表示を、容易に行うことが可能とするスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】スキャナが利用可能な場合のみに利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、疑似フォルダが選択された場合にスキャナによるスキャン動作を開始させる制御部と、スキャナからのスキャンデータを受信する受信部と、受信したスキャンデータを記憶する記憶部とを、スキャニング装置が有する。
【解決手段】スキャナが利用可能な場合のみに利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、疑似フォルダが選択された場合にスキャナによるスキャン動作を開始させる制御部と、スキャナからのスキャンデータを受信する受信部と、受信したスキャンデータを記憶する記憶部とを、スキャニング装置が有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムに関し、特に、疑似フォルダを利用したスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙の文書を電子的な形態に変換するための紙文書のスキャニングは、政府、法律、及びビジネスにおける要件に起因し、世界中において必要とされている。更に、ビジネス文書のスキャニングが特殊な設備において大きなスキャニング装置を使用して行われていた10年前とは異なり、大部分のスキャニングは、現在、小型の携帯型スキャニング装置を使用して事務職員及びホームユーザによって行われている。加えて、制限しているのではないが、文書の閲覧、ワードプロセッシング、電子出版、インターネットブラウザに基づいたアプリケーション、及びこれらに類似したアプリケーションを含むユーザが日々使用しているコンピュータアプリケーションにおいて、紙文書の電子版を使用するというニーズも存在している。多くのこのようなアプリケーションは、スキャナと通信するための能力を具備していない。これらのアプリケーションに文書の電子版を取り込むためには、ユーザは、(a)スキャニングアプリケーションを購入/入手し、(b)スキャニングアプリケーションの使用法を学習し、(c)そのアプリケーションにスキャナと通信させる方法を理解し、(d)ユーザのコンピュータ上の場所に、且つ、ターゲットアプリケーションが文書を使用するための正しいフォーマットにおいて、スキャニングを実行し、且つ、(e)文書をユーザのコンピュータからターゲットアプリケーションにインポートしなければならない。
【0003】
ステップ(a)は、通常、スキャナと一緒に提供されるスキャニングアプリケーションを使用することによって解決されるが、ステップ(b)及び(c)は、特に、ユーザの一連のビジネスアプリケーションを使用するべくユーザ自身が学習しなければならないホームユーザ又はスモールオフィスユーザの場合には、困難な作業となろう。
【0004】
大部分のユーザは、デジタルカメラから自身のコンピュータ上に画像をダウンロードすることに習熟している。文書をスキャニングしてユーザのコンピュータ又はアプリケーション内に取り込むべく、誰にでも理解しやすい類似の方法に対する強いニーズが存在している。仮想ドライブとしてのデジタルカメラの表示や仮想ドライブとしてのハードドライブ又はUSBメモリなどの外部ストレージ装置の表示などの従来の方法は、予めキャプチャされて保存された電子文書を収容する装置にのみに限定されている。本明細書で概要を述べる方法により、デジタルカメラが自身をユーザに示すやり方と非常に似たやり方で、ただし電子文書をオンデマンドで作成する機能を追加して、ユーザ自身のコンピュータ上でユーザにスキャナが示される。
【0005】
また、パーソナルコンピュータのディスプレイ上で、ユーザが、どのように文書をスキャニングすべきかを規定する特定のルールの組を含む仮想ファイルを選択すると、仮想ファイルと連動したアプリケーションが動作するスキャニング方法が知られている(特許文献1参照)。その方法では、その仮想ファイルが選択されると、パーソナルコンピュータと接続されたスキャナの利用可能性が決定され、スキャナを用いたスキャンが開始される。更に、スキャナからのスキャンデータは、選択された仮想ファイルと関連付けられたルールに応じて処理されて、出力される。仮想ファイルは、本質的には、予め規定されたスキャニングパラメータの組をもつ、バックグラウンドのスキャニングアプリケーションである。しかしながら、仮想ファイルはスキャナ自体を表すものではない。したがって、仮想ファイルがユーザに表示されているからと言って、スキャナが利用可能であるかどうかは不明である。例えば、スキャナの通信メカニズムに仮想ファイルの通信メカニズムとの互換性がないか、又はスキャナが1つも接続されていなければ、そのメカニズムは機能しなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開公報2009/0323128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多くのソフトウェアアプリケーションは、スキャンドライバを介してスキャナと通信するように開発されている。しかしながら、これらのアプリケーションは、特定のプロトコルの組を使用して通信するように作成されており、あるスキャナのみと通信するように設計されている。従って、新しいスキャナが登場するか、又は既存のスキャンドライバのプロトコルが変更された場合、新しいスキャナ又は更新されたドライバと通信できるように既存のアプリケーションを更新しなければならないという不具合があった。
【0008】
ウェブブラウザアプリケーションは、本明細書で「ブラウザコントロール」と呼ぶ特殊なメカニズムによりスキャナと通信することができる。ユニバーサルなブラウザコントロールを生成することは困難である。従って、新しいスキャナの登場及びスキャンドライバのプロトコルの変化に伴って、新しいスキャナと通信できるような新しいブラウザコントロールを新たに作成しなければならないという不具合があった。
【0009】
仮想ファイルを利用する場合、仮想ファイルを選択してから、スキャナが利用可能か否かの判断が開始されている。従って、仮想ファイルを選択しても、利用可能なスキャナが存在しないか、又はスキャナに仮想ファイルの設計との互換性がなければ、再度スキャナの設定を行わなければならないという不具合があった。即ち、仮想ファイルは、仮想ファイルと関連付けられた特定の文書タイプにスキャンデータを処理するアプリケーションを表しているものであって、スキャナを表しているものではない。
【0010】
本発明は、上記の不具合を解決することを可能とするスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、ユーザのコンピュータ上におけるスキャナの表示、及び、スキャニング操作を起動するための表示を、容易に行うことが可能とするスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、スキャニング又は処理された文書を、ソフトウェアアプリケーションが(演算装置上又はブラウザ内で実行中のアプリケーションであろうとなかろうと)そのアプリケーションの変更を必要とすること無しに利用することが可能なスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るスキャニング装置は、スキャナが利用可能な場合のみに利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させる制御部と、スキャナからのスキャンデータを受信する受信部と、受信したスキャンデータを記憶する記憶部を有することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係るスキャニング装置では、制御部は、アプリケーションのオープンコマンドを利用して表示部に疑似フォルダを表示させることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係るスキャニング装置では、制御部は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠したスキャン開始信号をスキャナに送信することによって、スキャナによるスキャン動作を開始させることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係るスキャニング装置では、制御部は、スキャンデータをユーザによって設定された文書タイプに変換して記憶部に記憶することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明に係るスキャニング装置では、制御部は、スキャンデータを、疑似フォルダ内に表示させることが好ましい。
【0018】
本発明に係るスキャニング方法は、スキャナが利用可能な場合に、利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させ、スキャナからのスキャンデータを受信し、受信したスキャンデータを記憶部に記憶するステップを有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係るコンピュータプログラムは、スキャナが利用可能な場合のみに利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させ、スキャナからのスキャンデータを受信し、受信したスキャンデータを記憶部に記憶するステップをコンピュータに実施させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザのコンピュータ上におけるスキャナの表示、及び、スキャニング操作を起動するための表示を、疑似フォルダを用いて容易に行うことが可能となった。
【0021】
また、本発明によれば、スキャニング又は処理された文書を、疑似フォルダを用いて、ソフトウェアアプリケーションがそのアプリケーションの変更を必要とすること無しに利用することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】シッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【図2】疑似フォルダを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【図3】シンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【図4】疑似フォルダを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【図5】ネットワークを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図(1)である。
【図6】ネットワークを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図(2)である。
【図7】疑似フォルダを利用したネットワーク上のシッククライアントシステムの概略ブロック図(1)である。
【図8】疑似フォルダを利用したネットワーク上のシッククライアントシステムの概略ブロック図(2)である。
【図9】ネットワークを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図(1)である。
【図10】ネットワークを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図(2)である。
【図11】疑似フォルダを利用したネットワーク上のシッククライアントシステムの概略ブロック図(1)である。
【図12】疑似フォルダを利用したネットワーク上のシンクライアントシステムの概略ブロック図(2)である。
【図13】システムのハードウエア構成の一例を示す図である。
【図14】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(1)を示す図である。
【図15】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(2)を示す図である。
【図16】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(3)を示す図である。
【図17】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(4)を示す図である。
【図18】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(5)を示す図である。
【図19】疑似フォルダを利用した場合の他の表示画面例を示す図である。
【図20】疑似フォルダメカニズムの内部アーキテクチャの一例を示す図である。
【図21】シッククライアントアプリケーション及び疑似フォルダを使用する場合の処理フローの一例を示す図である。
【図22】シンクライアントアプリケーション及び疑似フォルダを使用する場合の処理フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面を参照して、本発明に係るスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムについて説明する。しかしながら、本発明が、図面又は以下に記載される実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。
【0024】
本発明は、文書用の疑似フォルダを利用する。疑似フォルダは、スキャナを表しており、電子文書の疑似供給源も表している。電子文書は、疑似フォルダが選択されたときに(実際の電子文書を生成するためのスキャナを使用して)オンデマンドで生成される。ソフトウェア(コンピュータ)モジュール(図20参照;以下、「ソフトウェアモジュール」という用語は、疑似フォルダの表示及び使用を可能にするソフトウェアを意味している)によって有効にされることにより、疑似フォルダは、コンピュータ上のファイルフォルダとしてユーザに表示される。更に、ユーザが疑似フォルダを開いた際に、(ユーザにより)手動で、或いは、自動的にソフトウェアモジュールにより、スキャニング操作が開始される。このようなスキャニングのためのスキャニングパラメータは、ユーザが予め規定することも可能であり、或いは、ソフトウェアモジュールによって表示されるユーザインタフェイスを通じて供給することも可能である。このスキャニング操作により、任意の紙文書が電子的な形態に変換され、且つ、ソフトウェアモジュールに返される。ソフトウェアモジュールは、これらの電子文書をユーザのコンピュータ上の疑似フォルダの内容として表示する。この結果、ユーザは、任意のファイルに基づいた操作をこれらの電子文書に対して実行可能である。
【0025】
本発明は、電子文書を開いて閲覧又は処理することができる任意のソフトウェアアプリケーション(以下、ターゲットアプリケーションと呼ぶ)内からのスキャナ及びスキャニングされた文書に対するアクセスを可能にする。いくつかの実施例において、本発明は、コンピュータ上の文書フォルダに類似したスキャニング装置を表すユーザの演算装置にインストールされたコンピュータプログラムモジュール(ソフトウェア)―ソフトウェアモジュール―を含む。いくつかの実施例において、本発明は、ターゲットアプリケーションから文書を開くために、既に利用可能である従来の方法を利用する。通常、これには、限定するのではないが、ユーザのコンピュータ上のフォルダ内のファイルを開くステップが伴う。スキャナは、接続された際に、ユーザコンピュータ内の疑似フォルダとして表される。
【0026】
次に、ユーザが疑似フォルダを選択した際に、ユーザの選択に応じて、スキャニング操作が、自動的にソフトウェアモジュールにより、或いは、(ユーザにより)手動で、開始される。スキャニングパラメータ(解像度やカラーモードなど)は、ユーザによって予め規定されるか又はスキャニングの開始前に規定される。これは、ユーザが通常スキャナを操作する方法と非常に似ている。スキャニング操作の結果、紙文書は、1つ又は複数の電子文書に変換され、モジュールに返される。次に、ソフトウェアモジュールは、電子文書に対して(限定するのではないが、画像の補正、光学文字認識、及びフォントの変換を含む)様々な操作を実行可能である。文書の処理の後に、ソフトウェアモジュールは、処理済みの文書をユーザの演算装置上の隠蔽された場所に保存する。同時に、ソフトウェアモジュールは、ユーザによる観察のために、スキャニング済みの文書を擬似フォルダ内に表示する。次に、ユーザは、更なる処理のために、これらの文書を選択し、且つ、ターゲットアプリケーションにインポートする。
【0027】
本発明は、スキャナを、電子文書がオンデマンドで生成される疑似ストレージオブジェクトとして取り扱っており、これにより、ターゲットアプリケーションにインポートする前に、先に電子文書を生成するという追加のステップが除去される。
【0028】
いくつかの実施例においては、ユーザコンピュータは、文書スキャニング装置に(有線又は無線によって)結合されている。加えて、コンピュータは、コンピュータ上の文書フォルダに類似したスキャニング装置を表すインストール済みのコンピュータソフトウェアモジュール(ソフトウェア)を具備している。この文書フォルダは、現実のフォルダではなく、且つ、なんらの文書をも永久的に保持しないが、オンデマンドで生成される電子文書を表示するフォルダ様のオブジェクトを表しているという意味において、「擬似的」である。ユーザが「疑似フォルダ」を「オープン」した際に、ソフトウェアモジュールは、実際の装置のスキャンドライバとやり取りし、スキャナ上に配置されている任意の文書をスキャニングするべく装置をセットアップする。本明細書において使用されている「文書」という用語は、テキスト、グラフィックス、及び/又は写真を含む文書を意味している。更に、このモジュールは、スキャニングを自動的に開始するか、或いは、ユーザがスキャニングを起動する時点まで待機する。
【0029】
ユーザからの起動を待っている間に、モジュールは、解像度、紙のサイズ、カラーモード、及びこれらに類似したものなどの一般的なスキャニングパラメータの構成ステップに対するユーザ入力を要求可能である。しかしながら、スキャニングパラメータは、接続されているスキャナの能力に基づいており、予め定められていない。スキャニングが開始された際に、スキャナは、文書をスキャニングし、規定のパラメータを使用して文書を電子的な形態に変換し、且つ、電子文書をスキャナのスキャンドライバを通じてソフトウェアモジュールに返す。次に、ソフトウェアモジュールは、ユーザの仕様に応じて、これらの文書を処理し、且つ、これらの電子文書をコンピュータ上の予め定められた場所に配置し、且つ、これらの電子文書を疑似フォルダ内に表示する。これにより、フォルダが実際に文書を収容しているという印象をユーザに対して付与する。ソフトウェアモジュールによって実行される処理には、限定するのではないが、画像の補正、光学文字認識、及びフォーマットの変換が含まれる。次に、ユーザは、同一タイプの任意の通常の文書を処理するのと同様に、これらの電子文書をその疑似フォルダにおいて処理可能である(これには、複写、移動、削除、ドラッグ/ドロップ、閲覧、印刷、名前の変更などが含まれる)。
【0030】
いくつかの実施例においては、タブレットコンピュータ又はスマートフォンなどのハンドヘルド型の装置も、疑似フォルダメカニズムを使用した外部のスキャナに(有線又は無線によって)接続するために使用される。
【0031】
いくつかの実施例においては、コンピュータは、スキャニング装置に対して直接的に結合されていない。その代わりに、スキャニング装置は、装置の通信ネットワーク上において離れた場所に配置されている。この装置の通信ネットワークは、演算装置及びスキャニング装置からネットワークを介してアクセス可能な共有ファイルストレージ媒体を含む。これらの実施例においては、スキャニング装置は、依然として疑似フォルダとして表されるが、(ユーザのコンピュータ上におけるローカルフォルダとは対照的に)共有ファイルストレージ媒体上に位置している。このフォルダが開かれた際に、ソフトウェアモジュールは、リモートスキャナにおけるスキャニング動作を実行するように、ユーザに対して通知する。リモートスキャニング装置は、電子文書を共有ファイルストレージ媒体上の予め規定されたフォルダに転送する能力を有する。次に、ユーザのコンピュータ上のソフトウェアモジュールは、共有ファイルストレージ媒体上の予め規定されたフォルダの内容をユーザに対して提示する。ソフトウェアモジュールは、ユーザに対して表示する前に、ユーザの仕様に応じて、これらの文書を処理可能である(これには、限定を伴うことなしに、画像の補正、光学文字認識、及び文書フォーマットの変換が含まれる)。次に、ユーザは、仮想ファイル内から電子文書に対する操作を実行可能である。
【0032】
いくつかの実施例においては、装置の通信ネットワークを通じて接続された複数のスキャニング装置は、それぞれ、疑似フォルダによって表現可能である。ユーザは、自身のコンピュータ上に表示される適切な疑似フォルダを選択することにより、ネットワーク上のスキャニング装置のうちの任意のものを選択可能である。
【0033】
いくつかの実施例においては、ユーザは、まず、装置の通信ネットワーク上のスキャニング装置を使用してスキャニング可能である。次いで、自身のコンピュータのところまで戻り、スキャニングするべく自身が使用したスキャニング装置を表す適切な疑似フォルダを開くことができる。これは、スキャニング装置の組が複数のユーザの間において共有されており、且つ、ユーザが第1の利用可能な装置を選択してスキャニングを実行する場合を表している。
【0034】
いくつかの実施例においては、ユーザは、ターゲットアプリケーション(ワードプロセッシングアプリケーション、電子メールアプリケーション、ブラウザアプリケーションなど)内から疑似フォルダを開くことが可能である。また、前述の実施例において説明したように、ターゲットアプリケーション内から、スキャニングを開始可能である。さらに、自身のターゲットアプリケーション内から電子文書を開くこともできる。
【0035】
シッククライアントアプリケーションとは、PCにおいて、所定のプラットフォーム又はOS上で動作する、Windows(登録商標)、Mac OS(登録商標)、iOS(登録商標)などのようなアプリケーションであって、他のPCや他のOS上に簡単に移行することができないアプリケーションを言う。例えば、HD(ハードディスク)上に記録されているAdobe Acrobat Reader(登録商標)、及びそれに類似のアプリケーションが、シッククライアントアプリケーションに該当する。
【0036】
また、シンクライアントアプリケーションとは、所定のプラットフォームやOSに依存しないアプリケーションであって、ブラウザ(例えば、Internet Explorer(登録商標)、Safari(登録商標)、Firefox(登録商標)等)上で動作可能なアプリケーションをいう。例えば、Gmail(登録商標)、Yahoo!メール(登録商標)、Box.net(登録商標)、Facebook(登録商標)、及びEvernote(登録商標)等がシンクライアントアプリケーションに該当する。
【0037】
図1は、シッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【0038】
シッククライアントシステムには、演算装置102と、シッククライアントアプリケーション104と、が含まれる。スキャニングは、通常、シッククライアントアプリケーション104によって起動されるが、スキャナ100上において起動することも可能である。但し、シッククライアントアプリケーション104に対する接続が存在しなければならない。シッククライアントアプリケーション104は、スキャナ100に固有のスキャナドライバ103を通じてスキャナ100と通信する。シッククライアントアプリケーション104は、スキャナドライバ103と通信させる特殊ドライバコード107をもつ。スキャナ100は、ホストインタフェイス101及び予め規定されたプロトコルを通じて、このスキャナドライバ103と通信する。
【0039】
特殊ドライバコード107としては、典型的にはスキャナをサポートする標準的なAPI(例えば、ISIS、TWAIN及びWIA等)が該当し、スキャナドライバ103としてはスキャナをサポートする標準的なAPI用のドライバが該当する。
【0040】
シッククライアントアプリケーション104がスキャンを開始すると、スキャニングされた画像データは、スキャナ100から、ホストインタフェイス101を通じて、演算装置102上のスキャナドライバ103へ、そして、特殊ドライバコード107を通じて、シッククライアントアプリケーション104へと流れる。次に、シッククライアントアプリケーション104は、スキャニングされた画像データを、ユーザによって指定されたフォーマットに変換して、記憶部105上に保存可能である。また、シッククライアントアプリケーション104は、保存された画像データを表示部106上に表示可能である。
【0041】
図2は、疑似フォルダを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【0042】
文書をスキャンしてスキャンデータを取得し、取得したスキャンデータを演算装置202へ送信可能なスキャナ200は、演算装置202とデータの送受信を行うためのホストインタフェイス201等を有している。
【0043】
演算装置202は、スキャナ200の駆動を制御して、データの送受信を行うためのスキャナに固有のスキャナドライバ203、シッククライアントアプリケーション204等を有している。
【0044】
図2において、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナ200のスキャナドライバ203の一部として示されている。(好ましい方法は疑似フォルダをスキャンドライバの一部とすることであるが、本発明は、このような使用法に限定されるものではない。疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナドライバ203とは独立的に、インストール可能であり、且つ、存在可能である。)疑似フォルダがある結果、任意のシッククライアントアプリケーション204がスキャニングアプリケーションとなることができる。したがってシッククライアントアプリケーション204は、スキャナ200と通信するための如何なる特殊ドライバコードももつ必要はない。即ち、シッククライアントアプリケーション204は、スキャナ又はスキャナドライバプロトコルが変更された際にも変更されない。シッククライアントアプリケーション204は、標準的なファイルオープンメカニズムを使用することにより、スキャンを開始し、且つスキャニング済みの文書を使用する。
【0045】
疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、図1に示すシステムと同様に、スキャナ200で読取られた画像データを、スキャナドライバ203を介して、シッククライアントアプリケーション204へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンと連携が可能である。さらに、後述するように、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、シッククライアントアプリケーション204との対話が可能に構成されているので、シッククライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシッククライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0046】
図3は、シンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【0047】
図3に示すシステムでは、図1に示すシッククライアントアプリケーション104の代わりに、シンクライアントアプリケーション304が使用されている。シッククライアントアプリケーションの場合と異なり、シンクライアントアプリケーションは、スキャナドライバと直接的に通信する能力を有していない。シンクライアントアプリケーションは、ブラウザ上で動作するので、この通信を支援するべく、図3に示すシンクライアントシステムでは、ブラウザコントロール307と呼ばれる特殊な中間モジュールを有している。
【0048】
図4は、疑似フォルダを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【0049】
図4に示すシンクライアントシステムでは、シンクライアントアプリケーション404を含む。また、図4のシステムでは、図3に示したブラウザコントロール307は、不要である。むしろ、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、任意のブラウザアプリケーションと共に機能するように設計されており、且つ、ブラウザをスキャニングアプリケーションとする。図4のシステムでは、シンクライアントアプリケーション404は、標準的なファイルオープンメカニズムを使用することにより、スキャンを開始し、且つスキャニング済みの文書を使用する。
【0050】
疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、図3に示すシステムと同様に、スキャナ400で読取られた画像データを、スキャナドライバ403を介して、シンクライアントアプリケーション404へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンと連携が可能である。さらに、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「アタッチ」等)で、ブラウザ内のシンクライアントアプリケーション404との対話が可能に構成されているので、シンクライアントアプリケーションが変更されても、対応可能である。
【0051】
図5及び図6は、ネットワークを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【0052】
図5に示すシステムにおいて、シッククライアントアプリケーション507は、スキャナドライバ504が演算装置502上のネットワークインタフェイス503を使用してスキャナ500とやり取りする特殊ドライバコード508を使用してスキャナドライバ504と通信する。演算装置502とスキャナ500との間のデータのやり取りは、スキャナ500の製造者及びシッククライアントアプリケーション507の開発者が自身のモジュールを実装している方法によって左右されることになる。
【0053】
特殊ドライバコード508としては、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPI(例えば、ISIS、TWAIN及びWIA等)が該当し、スキャナドライバ504としてはネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPI用のドライバが該当する。シッククライアントアプリケーション507が、ネットワークを介してスキャンを指示すると、スキャナ500で読取られた画像データが、ネットワークインタフェイス503及びドライバ504を介して、シッククライアントアプリケーション507へ受け渡される。
【0054】
図6に示すシステムは、別の通信方法を示している。図6に示すシッククライアントシステムでは、シッククライアントアプリケーション607は、ネットワークインタフェイス603と直接通信可能な特殊ネットワークコード609を使用して、スキャナ600との通信を行っている。
【0055】
図7及び図8は、疑似フォルダを利用したネットワーク上のシッククライアントシステムの概略ブロック図である。図7に示すシステムは図5に対応し、図8に示すシステムは図6に対応している。
【0056】
図7に示すシッククライアントシステムでは、図5に示すスキャナドライバ504と通信するために必要とされる特殊ドライバコード508は、疑似フォルダソフトウエアモジュール709のソフトウェア内に含まれている。従って、シッククライアントアプリケーション707は、スキャニングを使用するために標準的なメカニズム(ファイルオープンメカニズム)の使用を必要とするのみである。したがって、シッククライアントアプリケーション707は、図5に示す様に、スキャナ700とやり取りするための特殊ドライバコード508を必要としない。
【0057】
疑似フォルダソフトウエアモジュール709は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナ700で読取られた画像データを、ネットワークインタフェイス703及びドライバ704を介して、シッククライアントアプリケーション707へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール709は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャナとの連携が可能である。さらに、後述するように、疑似フォルダソフトウエアモジュール709は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、シッククライアントアプリケーション707との対話が可能に構成されているので、シッククライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシッククライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0058】
図7より理解できるように、通信ネットワーク上における複数のスキャナ700を表す1つ又は複数の「疑似フォルダ」を利用することができる。通常、それぞれのスキャナ700は、別個の「疑似フォルダ」として表示されることになる(画面に表示される「疑似フォルダ」については図14〜図19参照)。しかしながら、ユーザは、自身のコンピュータ上に1つの「疑似フォルダ」のみを表示するように選択することも可能である。この場合には、この「疑似フォルダ」は、ユーザ自身の選択肢であるスキャナ700と関連付けられており、この関連付けを任意の時点において別のスキャナ700に変更することも可能である。これは、ネットワークプリンタの組の間でデフォルトのプリンタを選択し、そのデフォルトのプリンタを後で変更することと非常によく似ている。
【0059】
図8に示すシッククライアントシステムでは、図6に示すネットワークインタフェイス603と通信するために必要とされる特殊ネットワークコード609は、疑似フォルダソフトウエアモジュール809のソフトウェア内に含まれている。従って、シッククライアントアプリケーション807は、スキャニングを使用するために標準的なメカニズム(ファイルオープンメカニズム)の使用を必要とするのみである。したがって、シッククライアントアプリケーション807は、図6に示す様に、スキャナ800とやり取りするための特殊ネットワークコード609を必要としない。
【0060】
疑似フォルダソフトウエアモジュール809は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナ800で読取られた画像データを、ネットワークインタフェイス803を介してシッククライアントアプリケーション807へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール809は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンとの連携が可能である。さらに、後述するように、疑似フォルダソフトウエアモジュール809は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、シッククライアントアプリケーション807との対話が可能に構成されているので、シッククライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシッククライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0061】
図9及び図10は、ネットワークを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【0062】
図9に示すシステムでは、図3に示したシステムと同様に、ブラウザコントロール908が、ユーザの演算装置902上のスキャナドライバ904に対するインタフェイスを実装する必要がある。即ち、スキャナ900を使用するべく、ブラウザコントロール908内に特殊ドライバコード909が必要となる。スキャナ900が変更されるか又はスキャナソフトウェアの変更済みのバージョンがリリースされた場合には、シンクライアントアプリケーション907又はブラウザコントロール908を変更しなければならならない。
【0063】
図10に示すシステムでは、図3に示したシステムと同様に、ブラウザコントロール1008が、ユーザの演算装置1002上のネットワークインタフェイス1003に対するインタフェイスを実装する必要がある。即ち、スキャナ1000を使用するべく、ブラウザコントロール1008内に特殊ネットワークコード1009が必要となる。スキャナ1000が変更されるか又はスキャナソフトウェアの変更済みのバージョンがリリースされた場合には、シンクライアントアプリケーション1007又はブラウザコントロール1008を変更しなければならならない。
【0064】
図11及び図12は、疑似フォルダを利用したネットワーク上のシンクライアントシステムの概略ブロック図である。図11に示すシステムは図9に対応し、図12に示すシステムは図10に対応している。
【0065】
図11に示される様に、スキャナドライバ1104と通信するために必要とされる特殊コードは、疑似フォルダソフトウエアモジュール1109のソフトウェア内に含まれている。従って、シンシンクライアントアプリケーション1107は、スキャニングを使用するために標準的なメカニズム(ファイルオープンメカニズム)の使用を必要とするのみであり、図3に示すようなブラウザコントロール307を必要としない。
【0066】
疑似フォルダソフトウエアモジュール1109は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナ1100で読取られた画像データを、ネットワークインタフェイス1103及びスキャナドライバ1104を介してシンクライアントアプリケーション1107へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール1109は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンとの連携が可能である。さらに、疑似フォルダソフトウエアモジュール1109は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、ブラウザであるシンクライアントアプリケーション1107との対話が可能に構成されているので、シンクライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシンクライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0067】
図11より理解できるように、通信ネットワーク上における複数のスキャナ1100を表す1つ又は複数の「疑似フォルダ」を利用することができる。通常、それぞれのスキャナ1100は、別個の「疑似フォルダ」によって表されることになる。しかしながら、ユーザは、自身のコンピュータ上に1つの「疑似フォルダ」のみを表示するように選択することも可能である。この場合には、この疑似フォルダは、ユーザ自身の選択肢であるスキャナ1100と関連付けられており、この関連付けを任意の時点において別のスキャナ1100に変更することも可能である。
【0068】
図12に示される様に、ネットワークインタフェイス1203と通信するために必要とされる特殊コードは、疑似フォルダソフトウエアモジュール1209のソフトウェア内に含まれている。従って、シンクライアントアプリケーション1207は、スキャニングを使用するために標準的なメカニズム(ファイルオープンメカニズム)の使用を必要とするのみであり、図3に示すようなブラウザコントロール307を必要としない。
【0069】
疑似フォルダソフトウエアモジュール1209は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナ1200で読取られた画像データを、ネットワークインタフェイス1203を介してシンククライアントアプリケーション1207へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール1209は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンとの連携が可能である。さらに、疑似フォルダソフトウエアモジュール1209は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、ブラウザであるシンクライアントアプリケーション1207との対話が可能に構成されているので、シンクライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシンクライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0070】
図12より理解できるように、通信ネットワーク上における複数のスキャナ1200を表す1つ又は複数の「疑似フォルダ」を利用することができる。通常、それぞれのスキャナ1200は、別個の「疑似フォルダ」によって表されることになる。しかしながら、ユーザは、自身のコンピュータ上に1つの「疑似フォルダ」のみを表示するように選択することも可能である。この場合には、この疑似フォルダは、ユーザ自身の選択肢であるスキャナ1200と関連付けられており、この関連付けを任意の時点において別のスキャナ1200に変更することも可能である。
【0071】
図13は、システムのハードウエア構成の一例を示す図である。図13に示す構成は、単にシステムの一例に過ぎず、従って、疑似フォルダを使用するスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータ読取り可能な媒体は、任意の演算装置、ディスプレイ、及びスキャナとの通信メカニズムに適用することが可能である。例えば、ユーザは、スキャナとの無線インタフェイスでAppleの装置を使用しても、依然として疑似フォルダメカニズムを使用することが可能である。更に、iPad(登録商標)を持ち歩くオフィス内のユーザが、そのオフィスで共有されているスキャナのうちの1つのところへ行き、次いで、iPad(登録商標)上でそのスキャナ用の疑似フォルダを見て、それを使用していくつかの文書をスキャニングすることが可能である。
【0072】
図13では、図2に示すシッククライアントシステムを、スキャナ200とWindows(登録商標)環境において動作可能なPC220とが接続されたシステムによって構成する例を示している。スキャナ200では、第1CPU210、第1RAM211、第1ROM212、CCD等の画像読取素子を有する画像読取部213、第1記憶部214、液晶ディスプレイ等を含む第1表示部215、スキャニングを開始するためにスキャナ200上に設けられているスキャンボタン216、及び第1I/O201等が、バス218と接続された構成を有している。スキャナ200では、第1CPU210からの制御信号によって駆動する搬送機構217によって原稿を搬送しながら、画像読取部213によって原稿から画像データを生成する。その後、画像データを第1記憶部214でバッファ等をしたのち、第1I/O201を用いてPC220側へ送信する。
【0073】
PC220は、第2CPU223、第2RAM225及び第2ROM226等を含んだ演算装置202、HD等の記録媒体を有する(第2)記録部205、液晶ディスプテイ等を含む(第2)表示部206、キーボード及びマウス等を含む操作部221、及び第2I/O222等が、バス228と接続された構成を有している。シッククライアントアプリケーション204、スキャナドライバ203及び疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、(第2)記録部205に記憶され、演算装置202によって実行処理がなされる。即ち、演算装置202、記憶部205及び表示部206等を含むPC220は、スキャンを実行するスキャニング装置として機能している。
【0074】
図13では、図2に示すシッククライアントシステムのハードウエア構成について説明したが、図4、図7、図8、図11及び図12に示すシステムにおいても、同様なハードウエア構成によって、システムを実現することが可能である。
【0075】
図14〜図18は、疑似フォルダを利用した場合の表示画面例を示す図である。
【0076】
以下、図2に示すシッククライアントシステムにおいて、どのように「疑似フォルダ」の利用及び表示が行われるかについて図14〜図18の例を用いて説明する。ここで、図2に示すシッククライアントシステムでは、図13に示す様にスキャナ200とWindows(登録商標)環境において動作可能なPC220とが接続され、スキャナ200が利用可能な状態であるものとする。なお、図14〜図18に示す図は一例であって、これらに限定されるものではない。また、図4、図7、図8、図11及び図12に示すシステムにおいても、同様な表示画面を用いて、「疑似フォルダ」の表示や利用を行うことが可能である。
【0077】
図14は、PC220の(第2)表示部206に表示されたPCの画面1400の一例を示している。画面1400上には、4つのアイコンが表示されており、図14では、アプリケーションXに対応するアイコン1401が選択された状態を示している。アプリケーションXは、例えば、Windows(登録商標)を実行中のPC220上の、Adobe Acrobat Reader(登録商標)又は類似のアプリケーションである。
【0078】
図15は、選択されたアプリケーションXが立ち上がった画面1500の一例を示している。ここでは、まず「ファイル」メニュー1501が選択され、その後表示されるコマンドの内の「開く」コマンド1502が選択された状態を示している。
【0079】
図16は、図15の「開く」コマンド1502が選択されたことによって、「ファイルを開く」ための小画面1610が表示された画面1600を示している。小画面1610では、スキャナ200は、「疑似フォルダ」1611としてマイコンピュータ内に表示される。ここでは、「疑似フォルダ」1611が選択され、さらに「開く」コマンド1612が選択された状態を示している。
【0080】
図17は、図16の「開く」コマンド1612が選択されたことによって、アプリケーションXのファイルリスト部分内に、「給紙部に用紙をセットしてください。スキャナのスキャンボタンを押してください。」とのポップアップメッセージ1701が表示された状態を示している。
【0081】
ポップアップメッセージ1701に応じて、ユーザが原稿をスキャナ200の給紙部(不図示)にセットし、その後、スキャナ200に配置されているスキャンボタン216を押圧すると、原稿のスキャンが開始される。スキャニングにより生成された画像データは、PC220へ送信され、予め規定された場所(例えば、記憶部205)に文書データとして保存される。
【0082】
図18は、スキャニングにより生成された画像データが、「疑似フォルダ」内に文書1801として表示された状態を示している。
【0083】
次に、ユーザは、更なる文書をスキャニング可能であり、或いは、スキャニング済みの文書を処理(オープン、複写、移動など)可能である。図18では、文書フォーマットの例として、PDFファイルが示されている。しかしながら、JPEG画像、TIFファイル、又はその他のフォーマットでスキャニングし、且つ、「疑似フォルダ」内において表示することも可能である。更には、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、光学文字認識処理を実行し、且つ、スキャニングされた文書をMicrosoft Word(登録商標)などのユーザによって編集可能なフォーマットに変換することも可能である。
【0084】
この方法の利点は、「疑似フォルダ」が「ファイルを開く」ダイアログから可視状態にあることであり、これは、アプリケーションが文書を開くことができる限り、任意のソフトウェアアプリケーションをスキャニングアプリケーションとして使用可能であることをも意味している。
【0085】
いくつかの実施例においては、ネットワーク上の複数のスキャナを含むスキャニング装置が「疑似フォルダ」としてユーザのコンピュータ上に表示され、これにより、選択するべきスキャニング装置の選択肢をユーザに提供している。複数のスキャニング装置の提示法は、ネットワークプリンタがユーザのコンピュータ上においてユーザに提示される方法に類似したものであってよい。ユーザは、それらのスキャニング装置を選択して自身のコンピュータ上に「疑似フォルダ」として表示することを選択可能である。
【0086】
いくつかの実施例においては、ユーザは、複数回又は複数の文書を「疑似フォルダ」内にスキャニング可能であり、これにより、複数の電子文書が結果的に得られる。次に、ユーザは、その他の電子文書セットについて実行するであろうものと酷似した方式により、これらの文書に対して操作を実行可能である。
【0087】
いくつかの実施例においては、ユーザは、ターゲットアプリケーション内にある状態において、特殊な「マージ」モードで「疑似フォルダ」を開くことが可能である。この場合に、ユーザは、新たにスキャニングされた文書をターゲットアプリケーション内において観察している文書とマージすることができる。
【0088】
図19は、表示部206に表示されたデスクトップの他の画面1900の一例を示している。画面1900上には、図14に示した4つのアイコンに加えて、「疑似フォルダ」アイコン1901が表示されている。図14〜図18の例では、最初にアプリケーションXを立ち上げた後に、「開く」コマンドを用いて、スキャナ200が利用可能な場合に、マイコンピュータ内に「疑似フォルダ」を表示させるようにした。しかしながら、図19に示すように、最初から、スキャナ200が利用可能であるなら、「疑似フォルダ」アイコン1901を自動的に表示させておくことも可能である。例えば、「疑似フォルダ」アイコン1901をドラックし、「アプリケーションX」のアイコン1401にドロップすることによって、スキャニング操作が開始され、スキャンされた文書がアプリケーションX内で自動的に開かれるようにしても良い。これにより、スキャニング操作を実行するために複数のステップを経なければならないという更なる不都合が回避される。
【0089】
図20は、疑似フォルダメカニズムの内部アーキテクチャの一例を示す図である。
【0090】
以下、図2に示すシッククライアントにおけるシステムに対応させて、疑似フォルダメカニズムの内部アーキテクチャの説明を行う。しかしながら、図4、図7、図8、図11及び図12に示すシステムにおいても同様に対応することが可能である。なお、以下で、疑似フォルダソフトウエアモジュール209が行う処理は、実際には、演算装置202に含まれる第2CPU223(図13参照)が、疑似フォルダソフトウエアモジュールに基づいて実行するものとする。
【0091】
最初に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209が演算装置202にインストールされる(S1)。通常は、スキャナ200のスキャンドライバ203と共にインストールされる。
【0092】
次に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、オブジェクトとしての「疑似フォルダ」を表示部206の画面上に表示させる(図16の「疑似フォルダ」1611参照)(S2)。なお、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、所定間隔で、スキャナ監視プログラムからデータを取得し、PC220に接続され且つ利用可能なスキャナ200(又はネットワークに接続され且つ利用可能なスキャナ)を確認する。更に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、利用可能なスキャナが存在する場合、そのスキャナの分身として「疑似フォルダ」を所定の箇所に表示させる(図16又は図19参照)。即ち、「疑似フォルダ」が表示されているときに「疑似フォルダ」に対応するスキャナ200が利用可能であることが、ユーザに伝えられる。
【0093】
次に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、実際には表示部206には表示されない「隠しフォルダ」(実際のフォルダ)を生成し、「隠しフォルダ」のコンテンツと「疑似フォルダ」と関連つける(S3)。
【0094】
次に、ユーザが(スキャナ200のスキャンボタン216を押圧するという更なるオプションが要求されて)画面上の「疑似フォルダ」をクリックした時に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャンドライバ203を介して、スキャナ200によるスキャニングを開始させる(S4)。
【0095】
次に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナドライバ203を介して、スキャンされた文書データの処理を行う(S5)。疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、処理済みの文書データを「隠しフォルダ」内に記憶する(S6)。「隠しフォルダ」に文書が追加されると、同じ文書が「疑似フォルダ」に表示される(S7)。
【0096】
図21は、シッククライアントアプリケーション及び疑似フォルダを使用する場合の処理フローの一例を示す図である。以下に示すフローでは、図2に示すシッククライアントにおけるシステムを利用した場合を例にして説明するが、図7及び図8に示すシステムにおいても、同様に適用することができる。第1CPU210は、第1記憶部214に記憶されているコンピュータプログラムによって、図21に示す処理フローを実行する。そのコンピュータプログラムは、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク読出し専用メモリ(DVD−ROM)などの、コンピュータ読取り可能な一時的でない媒体から、周知のセットアッププログラムなどを使用することによって、第1記憶部214にインストールされる。
【0097】
最初に、ユーザは、Windows(登録商標)基準のPC220上で、例えば、Adobe Acrobat Reader(登録商標)又は類似のアプリケーションなどのシッククライアントアプリケーション204を開く(S10)。
【0098】
次に、ユーザは、表示部206の画面上で、「ファイル」メニューを選択し、更に、「オープン」ダイアログ又はメニューを選択し(S11)、所望のスキャナの「疑似フォルダ」を選択する(図16の「疑似フォルダ」1611参照)(S12)。
【0099】
次に、ユーザは、スキャナ200を起動してスキャニングを開始する(S13)。スキャニングが完了した後に、PDFフォーマットの文書ファイル(JPEG、又はその他の類似のフォーマットにおける文書としても良い)が、例えば、「ファイル」又は「オープン」ダイアログ内に表示される(S14)。
【0100】
次に、ユーザがPDFファイルを選択すると(S15)、(ユーザがスキャナ200の給紙部にセットした文書を同じ内容の)選択されたPDFファイルの内容が、表示部206の表示画面に表示される(図18の文書データ1801参照)(S16)。この場合に、シッククライアントアプリケーション204は、動作のために、なんらのスキャニングソフトウェアをも必要としない。
【0101】
図22は、シンクライアントアプリケーション及び疑似フォルダを使用する場合の処理フローの一例を示す図である。以下に示すフローでは、図4に示すシンクライアントにおけるシステムを利用した場合を例にして説明するが、図11及び図12に示すシステムにおいても、同様に適用することができる。
【0102】
最初に、ユーザは、例えば、GMail(登録商標)、Yahoo!メール(登録商標)、Box.Net(登録商標)、又は類似のアプリケーションである、シンクライアントアプリケーション404を開く(S20)。
【0103】
次に、ユーザは、表示部406の画面上で、「ファイル」又は「オープン」又は「アタッチ」ダイアログを選択し(S21)、更に、所望のスキャナの「疑似フォルダ」を選択する(S22)。なお、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、所定間隔で、スキャナ監視プログラムからデータを取得し、PCに接続され且つ利用可能なスキャナ(又はネットワークに接続され且つ利用可能なスキャナ)を確認する。更に、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、利用可能なスキャナが存在する場合、その利用可能なスキャナの分身として「疑似フォルダ」を表示させる(図16又は図19参照)。即ち、「疑似フォルダ」が表示されていれば「疑似フォルダ」に対応するスキャナが利用可能であることが、ユーザに伝えられる。
【0104】
次に、ユーザは、スキャナ400を起動してスキャニングを開始する(S23)。スキャニングが完了した後に、PDFフォーマットの文書ファイル(JPEG、又はその他の類似のフォーマットにおける文書としても良い)が、例えば、「ファイル」又は「オープン」ダイアログ内に表示される(S24)。
【0105】
次に、ユーザは、PDFファイルを選択することによって(S25)、その内容を表示するか、文書を電子メールに添付するか、又は、コンピュータ/サーバーにアップロードすることも可能である(S26)。この場合に、シンクライアントアプリケーション404のために、特殊なスキャニングコードは不要である。
【0106】
当業者であれば、本発明の広範な発明の範囲を逸脱することなしに、前述の本発明の図示された及びその他の実施例に対して様々な変更を実施可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、開示された特定の実施例又は構成に限定されるものではなく、むしろ、本発明の範囲及び精神に含まれる任意の変更、適合、又は変形をも包含することが意図されていることを理解されたい。
【符号の説明】
【0107】
200、400、700、800、1100、1200 スキャナ
201、401 ホストインタフェイス
202、402、702、802、1102、1202 演算装置
203、403、704、804、1104 スキャナドライバ
204、707、807 シッククライアントアプリケーション
205、405、705、805、1105、1205 記憶部
206、406,706、806、1106、1206 表示部
209、409、709、809、1109、1209 疑似フォルダソフトウエアモジュール
404、1107、1207 シンクライアントアプリケーション
701、703、801、803、1101、1103、1201、1203 ネットワークインタフェイス
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムに関し、特に、疑似フォルダを利用したスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙の文書を電子的な形態に変換するための紙文書のスキャニングは、政府、法律、及びビジネスにおける要件に起因し、世界中において必要とされている。更に、ビジネス文書のスキャニングが特殊な設備において大きなスキャニング装置を使用して行われていた10年前とは異なり、大部分のスキャニングは、現在、小型の携帯型スキャニング装置を使用して事務職員及びホームユーザによって行われている。加えて、制限しているのではないが、文書の閲覧、ワードプロセッシング、電子出版、インターネットブラウザに基づいたアプリケーション、及びこれらに類似したアプリケーションを含むユーザが日々使用しているコンピュータアプリケーションにおいて、紙文書の電子版を使用するというニーズも存在している。多くのこのようなアプリケーションは、スキャナと通信するための能力を具備していない。これらのアプリケーションに文書の電子版を取り込むためには、ユーザは、(a)スキャニングアプリケーションを購入/入手し、(b)スキャニングアプリケーションの使用法を学習し、(c)そのアプリケーションにスキャナと通信させる方法を理解し、(d)ユーザのコンピュータ上の場所に、且つ、ターゲットアプリケーションが文書を使用するための正しいフォーマットにおいて、スキャニングを実行し、且つ、(e)文書をユーザのコンピュータからターゲットアプリケーションにインポートしなければならない。
【0003】
ステップ(a)は、通常、スキャナと一緒に提供されるスキャニングアプリケーションを使用することによって解決されるが、ステップ(b)及び(c)は、特に、ユーザの一連のビジネスアプリケーションを使用するべくユーザ自身が学習しなければならないホームユーザ又はスモールオフィスユーザの場合には、困難な作業となろう。
【0004】
大部分のユーザは、デジタルカメラから自身のコンピュータ上に画像をダウンロードすることに習熟している。文書をスキャニングしてユーザのコンピュータ又はアプリケーション内に取り込むべく、誰にでも理解しやすい類似の方法に対する強いニーズが存在している。仮想ドライブとしてのデジタルカメラの表示や仮想ドライブとしてのハードドライブ又はUSBメモリなどの外部ストレージ装置の表示などの従来の方法は、予めキャプチャされて保存された電子文書を収容する装置にのみに限定されている。本明細書で概要を述べる方法により、デジタルカメラが自身をユーザに示すやり方と非常に似たやり方で、ただし電子文書をオンデマンドで作成する機能を追加して、ユーザ自身のコンピュータ上でユーザにスキャナが示される。
【0005】
また、パーソナルコンピュータのディスプレイ上で、ユーザが、どのように文書をスキャニングすべきかを規定する特定のルールの組を含む仮想ファイルを選択すると、仮想ファイルと連動したアプリケーションが動作するスキャニング方法が知られている(特許文献1参照)。その方法では、その仮想ファイルが選択されると、パーソナルコンピュータと接続されたスキャナの利用可能性が決定され、スキャナを用いたスキャンが開始される。更に、スキャナからのスキャンデータは、選択された仮想ファイルと関連付けられたルールに応じて処理されて、出力される。仮想ファイルは、本質的には、予め規定されたスキャニングパラメータの組をもつ、バックグラウンドのスキャニングアプリケーションである。しかしながら、仮想ファイルはスキャナ自体を表すものではない。したがって、仮想ファイルがユーザに表示されているからと言って、スキャナが利用可能であるかどうかは不明である。例えば、スキャナの通信メカニズムに仮想ファイルの通信メカニズムとの互換性がないか、又はスキャナが1つも接続されていなければ、そのメカニズムは機能しなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開公報2009/0323128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多くのソフトウェアアプリケーションは、スキャンドライバを介してスキャナと通信するように開発されている。しかしながら、これらのアプリケーションは、特定のプロトコルの組を使用して通信するように作成されており、あるスキャナのみと通信するように設計されている。従って、新しいスキャナが登場するか、又は既存のスキャンドライバのプロトコルが変更された場合、新しいスキャナ又は更新されたドライバと通信できるように既存のアプリケーションを更新しなければならないという不具合があった。
【0008】
ウェブブラウザアプリケーションは、本明細書で「ブラウザコントロール」と呼ぶ特殊なメカニズムによりスキャナと通信することができる。ユニバーサルなブラウザコントロールを生成することは困難である。従って、新しいスキャナの登場及びスキャンドライバのプロトコルの変化に伴って、新しいスキャナと通信できるような新しいブラウザコントロールを新たに作成しなければならないという不具合があった。
【0009】
仮想ファイルを利用する場合、仮想ファイルを選択してから、スキャナが利用可能か否かの判断が開始されている。従って、仮想ファイルを選択しても、利用可能なスキャナが存在しないか、又はスキャナに仮想ファイルの設計との互換性がなければ、再度スキャナの設定を行わなければならないという不具合があった。即ち、仮想ファイルは、仮想ファイルと関連付けられた特定の文書タイプにスキャンデータを処理するアプリケーションを表しているものであって、スキャナを表しているものではない。
【0010】
本発明は、上記の不具合を解決することを可能とするスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、ユーザのコンピュータ上におけるスキャナの表示、及び、スキャニング操作を起動するための表示を、容易に行うことが可能とするスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、スキャニング又は処理された文書を、ソフトウェアアプリケーションが(演算装置上又はブラウザ内で実行中のアプリケーションであろうとなかろうと)そのアプリケーションの変更を必要とすること無しに利用することが可能なスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るスキャニング装置は、スキャナが利用可能な場合のみに利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させる制御部と、スキャナからのスキャンデータを受信する受信部と、受信したスキャンデータを記憶する記憶部を有することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係るスキャニング装置では、制御部は、アプリケーションのオープンコマンドを利用して表示部に疑似フォルダを表示させることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係るスキャニング装置では、制御部は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠したスキャン開始信号をスキャナに送信することによって、スキャナによるスキャン動作を開始させることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係るスキャニング装置では、制御部は、スキャンデータをユーザによって設定された文書タイプに変換して記憶部に記憶することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明に係るスキャニング装置では、制御部は、スキャンデータを、疑似フォルダ内に表示させることが好ましい。
【0018】
本発明に係るスキャニング方法は、スキャナが利用可能な場合に、利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させ、スキャナからのスキャンデータを受信し、受信したスキャンデータを記憶部に記憶するステップを有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係るコンピュータプログラムは、スキャナが利用可能な場合のみに利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させ、スキャナからのスキャンデータを受信し、受信したスキャンデータを記憶部に記憶するステップをコンピュータに実施させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザのコンピュータ上におけるスキャナの表示、及び、スキャニング操作を起動するための表示を、疑似フォルダを用いて容易に行うことが可能となった。
【0021】
また、本発明によれば、スキャニング又は処理された文書を、疑似フォルダを用いて、ソフトウェアアプリケーションがそのアプリケーションの変更を必要とすること無しに利用することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】シッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【図2】疑似フォルダを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【図3】シンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【図4】疑似フォルダを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【図5】ネットワークを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図(1)である。
【図6】ネットワークを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図(2)である。
【図7】疑似フォルダを利用したネットワーク上のシッククライアントシステムの概略ブロック図(1)である。
【図8】疑似フォルダを利用したネットワーク上のシッククライアントシステムの概略ブロック図(2)である。
【図9】ネットワークを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図(1)である。
【図10】ネットワークを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図(2)である。
【図11】疑似フォルダを利用したネットワーク上のシッククライアントシステムの概略ブロック図(1)である。
【図12】疑似フォルダを利用したネットワーク上のシンクライアントシステムの概略ブロック図(2)である。
【図13】システムのハードウエア構成の一例を示す図である。
【図14】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(1)を示す図である。
【図15】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(2)を示す図である。
【図16】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(3)を示す図である。
【図17】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(4)を示す図である。
【図18】疑似フォルダを利用した場合の表示画面例(5)を示す図である。
【図19】疑似フォルダを利用した場合の他の表示画面例を示す図である。
【図20】疑似フォルダメカニズムの内部アーキテクチャの一例を示す図である。
【図21】シッククライアントアプリケーション及び疑似フォルダを使用する場合の処理フローの一例を示す図である。
【図22】シンクライアントアプリケーション及び疑似フォルダを使用する場合の処理フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面を参照して、本発明に係るスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータプログラムについて説明する。しかしながら、本発明が、図面又は以下に記載される実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。
【0024】
本発明は、文書用の疑似フォルダを利用する。疑似フォルダは、スキャナを表しており、電子文書の疑似供給源も表している。電子文書は、疑似フォルダが選択されたときに(実際の電子文書を生成するためのスキャナを使用して)オンデマンドで生成される。ソフトウェア(コンピュータ)モジュール(図20参照;以下、「ソフトウェアモジュール」という用語は、疑似フォルダの表示及び使用を可能にするソフトウェアを意味している)によって有効にされることにより、疑似フォルダは、コンピュータ上のファイルフォルダとしてユーザに表示される。更に、ユーザが疑似フォルダを開いた際に、(ユーザにより)手動で、或いは、自動的にソフトウェアモジュールにより、スキャニング操作が開始される。このようなスキャニングのためのスキャニングパラメータは、ユーザが予め規定することも可能であり、或いは、ソフトウェアモジュールによって表示されるユーザインタフェイスを通じて供給することも可能である。このスキャニング操作により、任意の紙文書が電子的な形態に変換され、且つ、ソフトウェアモジュールに返される。ソフトウェアモジュールは、これらの電子文書をユーザのコンピュータ上の疑似フォルダの内容として表示する。この結果、ユーザは、任意のファイルに基づいた操作をこれらの電子文書に対して実行可能である。
【0025】
本発明は、電子文書を開いて閲覧又は処理することができる任意のソフトウェアアプリケーション(以下、ターゲットアプリケーションと呼ぶ)内からのスキャナ及びスキャニングされた文書に対するアクセスを可能にする。いくつかの実施例において、本発明は、コンピュータ上の文書フォルダに類似したスキャニング装置を表すユーザの演算装置にインストールされたコンピュータプログラムモジュール(ソフトウェア)―ソフトウェアモジュール―を含む。いくつかの実施例において、本発明は、ターゲットアプリケーションから文書を開くために、既に利用可能である従来の方法を利用する。通常、これには、限定するのではないが、ユーザのコンピュータ上のフォルダ内のファイルを開くステップが伴う。スキャナは、接続された際に、ユーザコンピュータ内の疑似フォルダとして表される。
【0026】
次に、ユーザが疑似フォルダを選択した際に、ユーザの選択に応じて、スキャニング操作が、自動的にソフトウェアモジュールにより、或いは、(ユーザにより)手動で、開始される。スキャニングパラメータ(解像度やカラーモードなど)は、ユーザによって予め規定されるか又はスキャニングの開始前に規定される。これは、ユーザが通常スキャナを操作する方法と非常に似ている。スキャニング操作の結果、紙文書は、1つ又は複数の電子文書に変換され、モジュールに返される。次に、ソフトウェアモジュールは、電子文書に対して(限定するのではないが、画像の補正、光学文字認識、及びフォントの変換を含む)様々な操作を実行可能である。文書の処理の後に、ソフトウェアモジュールは、処理済みの文書をユーザの演算装置上の隠蔽された場所に保存する。同時に、ソフトウェアモジュールは、ユーザによる観察のために、スキャニング済みの文書を擬似フォルダ内に表示する。次に、ユーザは、更なる処理のために、これらの文書を選択し、且つ、ターゲットアプリケーションにインポートする。
【0027】
本発明は、スキャナを、電子文書がオンデマンドで生成される疑似ストレージオブジェクトとして取り扱っており、これにより、ターゲットアプリケーションにインポートする前に、先に電子文書を生成するという追加のステップが除去される。
【0028】
いくつかの実施例においては、ユーザコンピュータは、文書スキャニング装置に(有線又は無線によって)結合されている。加えて、コンピュータは、コンピュータ上の文書フォルダに類似したスキャニング装置を表すインストール済みのコンピュータソフトウェアモジュール(ソフトウェア)を具備している。この文書フォルダは、現実のフォルダではなく、且つ、なんらの文書をも永久的に保持しないが、オンデマンドで生成される電子文書を表示するフォルダ様のオブジェクトを表しているという意味において、「擬似的」である。ユーザが「疑似フォルダ」を「オープン」した際に、ソフトウェアモジュールは、実際の装置のスキャンドライバとやり取りし、スキャナ上に配置されている任意の文書をスキャニングするべく装置をセットアップする。本明細書において使用されている「文書」という用語は、テキスト、グラフィックス、及び/又は写真を含む文書を意味している。更に、このモジュールは、スキャニングを自動的に開始するか、或いは、ユーザがスキャニングを起動する時点まで待機する。
【0029】
ユーザからの起動を待っている間に、モジュールは、解像度、紙のサイズ、カラーモード、及びこれらに類似したものなどの一般的なスキャニングパラメータの構成ステップに対するユーザ入力を要求可能である。しかしながら、スキャニングパラメータは、接続されているスキャナの能力に基づいており、予め定められていない。スキャニングが開始された際に、スキャナは、文書をスキャニングし、規定のパラメータを使用して文書を電子的な形態に変換し、且つ、電子文書をスキャナのスキャンドライバを通じてソフトウェアモジュールに返す。次に、ソフトウェアモジュールは、ユーザの仕様に応じて、これらの文書を処理し、且つ、これらの電子文書をコンピュータ上の予め定められた場所に配置し、且つ、これらの電子文書を疑似フォルダ内に表示する。これにより、フォルダが実際に文書を収容しているという印象をユーザに対して付与する。ソフトウェアモジュールによって実行される処理には、限定するのではないが、画像の補正、光学文字認識、及びフォーマットの変換が含まれる。次に、ユーザは、同一タイプの任意の通常の文書を処理するのと同様に、これらの電子文書をその疑似フォルダにおいて処理可能である(これには、複写、移動、削除、ドラッグ/ドロップ、閲覧、印刷、名前の変更などが含まれる)。
【0030】
いくつかの実施例においては、タブレットコンピュータ又はスマートフォンなどのハンドヘルド型の装置も、疑似フォルダメカニズムを使用した外部のスキャナに(有線又は無線によって)接続するために使用される。
【0031】
いくつかの実施例においては、コンピュータは、スキャニング装置に対して直接的に結合されていない。その代わりに、スキャニング装置は、装置の通信ネットワーク上において離れた場所に配置されている。この装置の通信ネットワークは、演算装置及びスキャニング装置からネットワークを介してアクセス可能な共有ファイルストレージ媒体を含む。これらの実施例においては、スキャニング装置は、依然として疑似フォルダとして表されるが、(ユーザのコンピュータ上におけるローカルフォルダとは対照的に)共有ファイルストレージ媒体上に位置している。このフォルダが開かれた際に、ソフトウェアモジュールは、リモートスキャナにおけるスキャニング動作を実行するように、ユーザに対して通知する。リモートスキャニング装置は、電子文書を共有ファイルストレージ媒体上の予め規定されたフォルダに転送する能力を有する。次に、ユーザのコンピュータ上のソフトウェアモジュールは、共有ファイルストレージ媒体上の予め規定されたフォルダの内容をユーザに対して提示する。ソフトウェアモジュールは、ユーザに対して表示する前に、ユーザの仕様に応じて、これらの文書を処理可能である(これには、限定を伴うことなしに、画像の補正、光学文字認識、及び文書フォーマットの変換が含まれる)。次に、ユーザは、仮想ファイル内から電子文書に対する操作を実行可能である。
【0032】
いくつかの実施例においては、装置の通信ネットワークを通じて接続された複数のスキャニング装置は、それぞれ、疑似フォルダによって表現可能である。ユーザは、自身のコンピュータ上に表示される適切な疑似フォルダを選択することにより、ネットワーク上のスキャニング装置のうちの任意のものを選択可能である。
【0033】
いくつかの実施例においては、ユーザは、まず、装置の通信ネットワーク上のスキャニング装置を使用してスキャニング可能である。次いで、自身のコンピュータのところまで戻り、スキャニングするべく自身が使用したスキャニング装置を表す適切な疑似フォルダを開くことができる。これは、スキャニング装置の組が複数のユーザの間において共有されており、且つ、ユーザが第1の利用可能な装置を選択してスキャニングを実行する場合を表している。
【0034】
いくつかの実施例においては、ユーザは、ターゲットアプリケーション(ワードプロセッシングアプリケーション、電子メールアプリケーション、ブラウザアプリケーションなど)内から疑似フォルダを開くことが可能である。また、前述の実施例において説明したように、ターゲットアプリケーション内から、スキャニングを開始可能である。さらに、自身のターゲットアプリケーション内から電子文書を開くこともできる。
【0035】
シッククライアントアプリケーションとは、PCにおいて、所定のプラットフォーム又はOS上で動作する、Windows(登録商標)、Mac OS(登録商標)、iOS(登録商標)などのようなアプリケーションであって、他のPCや他のOS上に簡単に移行することができないアプリケーションを言う。例えば、HD(ハードディスク)上に記録されているAdobe Acrobat Reader(登録商標)、及びそれに類似のアプリケーションが、シッククライアントアプリケーションに該当する。
【0036】
また、シンクライアントアプリケーションとは、所定のプラットフォームやOSに依存しないアプリケーションであって、ブラウザ(例えば、Internet Explorer(登録商標)、Safari(登録商標)、Firefox(登録商標)等)上で動作可能なアプリケーションをいう。例えば、Gmail(登録商標)、Yahoo!メール(登録商標)、Box.net(登録商標)、Facebook(登録商標)、及びEvernote(登録商標)等がシンクライアントアプリケーションに該当する。
【0037】
図1は、シッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【0038】
シッククライアントシステムには、演算装置102と、シッククライアントアプリケーション104と、が含まれる。スキャニングは、通常、シッククライアントアプリケーション104によって起動されるが、スキャナ100上において起動することも可能である。但し、シッククライアントアプリケーション104に対する接続が存在しなければならない。シッククライアントアプリケーション104は、スキャナ100に固有のスキャナドライバ103を通じてスキャナ100と通信する。シッククライアントアプリケーション104は、スキャナドライバ103と通信させる特殊ドライバコード107をもつ。スキャナ100は、ホストインタフェイス101及び予め規定されたプロトコルを通じて、このスキャナドライバ103と通信する。
【0039】
特殊ドライバコード107としては、典型的にはスキャナをサポートする標準的なAPI(例えば、ISIS、TWAIN及びWIA等)が該当し、スキャナドライバ103としてはスキャナをサポートする標準的なAPI用のドライバが該当する。
【0040】
シッククライアントアプリケーション104がスキャンを開始すると、スキャニングされた画像データは、スキャナ100から、ホストインタフェイス101を通じて、演算装置102上のスキャナドライバ103へ、そして、特殊ドライバコード107を通じて、シッククライアントアプリケーション104へと流れる。次に、シッククライアントアプリケーション104は、スキャニングされた画像データを、ユーザによって指定されたフォーマットに変換して、記憶部105上に保存可能である。また、シッククライアントアプリケーション104は、保存された画像データを表示部106上に表示可能である。
【0041】
図2は、疑似フォルダを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【0042】
文書をスキャンしてスキャンデータを取得し、取得したスキャンデータを演算装置202へ送信可能なスキャナ200は、演算装置202とデータの送受信を行うためのホストインタフェイス201等を有している。
【0043】
演算装置202は、スキャナ200の駆動を制御して、データの送受信を行うためのスキャナに固有のスキャナドライバ203、シッククライアントアプリケーション204等を有している。
【0044】
図2において、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナ200のスキャナドライバ203の一部として示されている。(好ましい方法は疑似フォルダをスキャンドライバの一部とすることであるが、本発明は、このような使用法に限定されるものではない。疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナドライバ203とは独立的に、インストール可能であり、且つ、存在可能である。)疑似フォルダがある結果、任意のシッククライアントアプリケーション204がスキャニングアプリケーションとなることができる。したがってシッククライアントアプリケーション204は、スキャナ200と通信するための如何なる特殊ドライバコードももつ必要はない。即ち、シッククライアントアプリケーション204は、スキャナ又はスキャナドライバプロトコルが変更された際にも変更されない。シッククライアントアプリケーション204は、標準的なファイルオープンメカニズムを使用することにより、スキャンを開始し、且つスキャニング済みの文書を使用する。
【0045】
疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、図1に示すシステムと同様に、スキャナ200で読取られた画像データを、スキャナドライバ203を介して、シッククライアントアプリケーション204へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンと連携が可能である。さらに、後述するように、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、シッククライアントアプリケーション204との対話が可能に構成されているので、シッククライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシッククライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0046】
図3は、シンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【0047】
図3に示すシステムでは、図1に示すシッククライアントアプリケーション104の代わりに、シンクライアントアプリケーション304が使用されている。シッククライアントアプリケーションの場合と異なり、シンクライアントアプリケーションは、スキャナドライバと直接的に通信する能力を有していない。シンクライアントアプリケーションは、ブラウザ上で動作するので、この通信を支援するべく、図3に示すシンクライアントシステムでは、ブラウザコントロール307と呼ばれる特殊な中間モジュールを有している。
【0048】
図4は、疑似フォルダを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【0049】
図4に示すシンクライアントシステムでは、シンクライアントアプリケーション404を含む。また、図4のシステムでは、図3に示したブラウザコントロール307は、不要である。むしろ、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、任意のブラウザアプリケーションと共に機能するように設計されており、且つ、ブラウザをスキャニングアプリケーションとする。図4のシステムでは、シンクライアントアプリケーション404は、標準的なファイルオープンメカニズムを使用することにより、スキャンを開始し、且つスキャニング済みの文書を使用する。
【0050】
疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、図3に示すシステムと同様に、スキャナ400で読取られた画像データを、スキャナドライバ403を介して、シンクライアントアプリケーション404へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンと連携が可能である。さらに、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「アタッチ」等)で、ブラウザ内のシンクライアントアプリケーション404との対話が可能に構成されているので、シンクライアントアプリケーションが変更されても、対応可能である。
【0051】
図5及び図6は、ネットワークを利用したシッククライアントシステムの概略ブロック図である。
【0052】
図5に示すシステムにおいて、シッククライアントアプリケーション507は、スキャナドライバ504が演算装置502上のネットワークインタフェイス503を使用してスキャナ500とやり取りする特殊ドライバコード508を使用してスキャナドライバ504と通信する。演算装置502とスキャナ500との間のデータのやり取りは、スキャナ500の製造者及びシッククライアントアプリケーション507の開発者が自身のモジュールを実装している方法によって左右されることになる。
【0053】
特殊ドライバコード508としては、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPI(例えば、ISIS、TWAIN及びWIA等)が該当し、スキャナドライバ504としてはネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPI用のドライバが該当する。シッククライアントアプリケーション507が、ネットワークを介してスキャンを指示すると、スキャナ500で読取られた画像データが、ネットワークインタフェイス503及びドライバ504を介して、シッククライアントアプリケーション507へ受け渡される。
【0054】
図6に示すシステムは、別の通信方法を示している。図6に示すシッククライアントシステムでは、シッククライアントアプリケーション607は、ネットワークインタフェイス603と直接通信可能な特殊ネットワークコード609を使用して、スキャナ600との通信を行っている。
【0055】
図7及び図8は、疑似フォルダを利用したネットワーク上のシッククライアントシステムの概略ブロック図である。図7に示すシステムは図5に対応し、図8に示すシステムは図6に対応している。
【0056】
図7に示すシッククライアントシステムでは、図5に示すスキャナドライバ504と通信するために必要とされる特殊ドライバコード508は、疑似フォルダソフトウエアモジュール709のソフトウェア内に含まれている。従って、シッククライアントアプリケーション707は、スキャニングを使用するために標準的なメカニズム(ファイルオープンメカニズム)の使用を必要とするのみである。したがって、シッククライアントアプリケーション707は、図5に示す様に、スキャナ700とやり取りするための特殊ドライバコード508を必要としない。
【0057】
疑似フォルダソフトウエアモジュール709は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナ700で読取られた画像データを、ネットワークインタフェイス703及びドライバ704を介して、シッククライアントアプリケーション707へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール709は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャナとの連携が可能である。さらに、後述するように、疑似フォルダソフトウエアモジュール709は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、シッククライアントアプリケーション707との対話が可能に構成されているので、シッククライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシッククライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0058】
図7より理解できるように、通信ネットワーク上における複数のスキャナ700を表す1つ又は複数の「疑似フォルダ」を利用することができる。通常、それぞれのスキャナ700は、別個の「疑似フォルダ」として表示されることになる(画面に表示される「疑似フォルダ」については図14〜図19参照)。しかしながら、ユーザは、自身のコンピュータ上に1つの「疑似フォルダ」のみを表示するように選択することも可能である。この場合には、この「疑似フォルダ」は、ユーザ自身の選択肢であるスキャナ700と関連付けられており、この関連付けを任意の時点において別のスキャナ700に変更することも可能である。これは、ネットワークプリンタの組の間でデフォルトのプリンタを選択し、そのデフォルトのプリンタを後で変更することと非常によく似ている。
【0059】
図8に示すシッククライアントシステムでは、図6に示すネットワークインタフェイス603と通信するために必要とされる特殊ネットワークコード609は、疑似フォルダソフトウエアモジュール809のソフトウェア内に含まれている。従って、シッククライアントアプリケーション807は、スキャニングを使用するために標準的なメカニズム(ファイルオープンメカニズム)の使用を必要とするのみである。したがって、シッククライアントアプリケーション807は、図6に示す様に、スキャナ800とやり取りするための特殊ネットワークコード609を必要としない。
【0060】
疑似フォルダソフトウエアモジュール809は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナ800で読取られた画像データを、ネットワークインタフェイス803を介してシッククライアントアプリケーション807へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール809は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンとの連携が可能である。さらに、後述するように、疑似フォルダソフトウエアモジュール809は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、シッククライアントアプリケーション807との対話が可能に構成されているので、シッククライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシッククライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0061】
図9及び図10は、ネットワークを利用したシンクライアントシステムの概略ブロック図である。
【0062】
図9に示すシステムでは、図3に示したシステムと同様に、ブラウザコントロール908が、ユーザの演算装置902上のスキャナドライバ904に対するインタフェイスを実装する必要がある。即ち、スキャナ900を使用するべく、ブラウザコントロール908内に特殊ドライバコード909が必要となる。スキャナ900が変更されるか又はスキャナソフトウェアの変更済みのバージョンがリリースされた場合には、シンクライアントアプリケーション907又はブラウザコントロール908を変更しなければならならない。
【0063】
図10に示すシステムでは、図3に示したシステムと同様に、ブラウザコントロール1008が、ユーザの演算装置1002上のネットワークインタフェイス1003に対するインタフェイスを実装する必要がある。即ち、スキャナ1000を使用するべく、ブラウザコントロール1008内に特殊ネットワークコード1009が必要となる。スキャナ1000が変更されるか又はスキャナソフトウェアの変更済みのバージョンがリリースされた場合には、シンクライアントアプリケーション1007又はブラウザコントロール1008を変更しなければならならない。
【0064】
図11及び図12は、疑似フォルダを利用したネットワーク上のシンクライアントシステムの概略ブロック図である。図11に示すシステムは図9に対応し、図12に示すシステムは図10に対応している。
【0065】
図11に示される様に、スキャナドライバ1104と通信するために必要とされる特殊コードは、疑似フォルダソフトウエアモジュール1109のソフトウェア内に含まれている。従って、シンシンクライアントアプリケーション1107は、スキャニングを使用するために標準的なメカニズム(ファイルオープンメカニズム)の使用を必要とするのみであり、図3に示すようなブラウザコントロール307を必要としない。
【0066】
疑似フォルダソフトウエアモジュール1109は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナ1100で読取られた画像データを、ネットワークインタフェイス1103及びスキャナドライバ1104を介してシンクライアントアプリケーション1107へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール1109は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンとの連携が可能である。さらに、疑似フォルダソフトウエアモジュール1109は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、ブラウザであるシンクライアントアプリケーション1107との対話が可能に構成されているので、シンクライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシンクライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0067】
図11より理解できるように、通信ネットワーク上における複数のスキャナ1100を表す1つ又は複数の「疑似フォルダ」を利用することができる。通常、それぞれのスキャナ1100は、別個の「疑似フォルダ」によって表されることになる。しかしながら、ユーザは、自身のコンピュータ上に1つの「疑似フォルダ」のみを表示するように選択することも可能である。この場合には、この疑似フォルダは、ユーザ自身の選択肢であるスキャナ1100と関連付けられており、この関連付けを任意の時点において別のスキャナ1100に変更することも可能である。
【0068】
図12に示される様に、ネットワークインタフェイス1203と通信するために必要とされる特殊コードは、疑似フォルダソフトウエアモジュール1209のソフトウェア内に含まれている。従って、シンクライアントアプリケーション1207は、スキャニングを使用するために標準的なメカニズム(ファイルオープンメカニズム)の使用を必要とするのみであり、図3に示すようなブラウザコントロール307を必要としない。
【0069】
疑似フォルダソフトウエアモジュール1209は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナ1200で読取られた画像データを、ネットワークインタフェイス1203を介してシンククライアントアプリケーション1207へ受け渡すことができる。また、疑似フォルダソフトウエアモジュール1209は、ネットワーク上でスキャナをサポートする標準的なAPIに準拠しているので、スキャナが変更されても、変更されたスキャンとの連携が可能である。さらに、疑似フォルダソフトウエアモジュール1209は、標準的なファイルオープンメカニズム(コマンドの「開く」等)で、ブラウザであるシンクライアントアプリケーション1207との対話が可能に構成されているので、シンクライアントアプリケーションが変更されても、変更されたシンクライアントアプリケーションとの連携が可能である。
【0070】
図12より理解できるように、通信ネットワーク上における複数のスキャナ1200を表す1つ又は複数の「疑似フォルダ」を利用することができる。通常、それぞれのスキャナ1200は、別個の「疑似フォルダ」によって表されることになる。しかしながら、ユーザは、自身のコンピュータ上に1つの「疑似フォルダ」のみを表示するように選択することも可能である。この場合には、この疑似フォルダは、ユーザ自身の選択肢であるスキャナ1200と関連付けられており、この関連付けを任意の時点において別のスキャナ1200に変更することも可能である。
【0071】
図13は、システムのハードウエア構成の一例を示す図である。図13に示す構成は、単にシステムの一例に過ぎず、従って、疑似フォルダを使用するスキャニング装置、スキャニング方法及びコンピュータ読取り可能な媒体は、任意の演算装置、ディスプレイ、及びスキャナとの通信メカニズムに適用することが可能である。例えば、ユーザは、スキャナとの無線インタフェイスでAppleの装置を使用しても、依然として疑似フォルダメカニズムを使用することが可能である。更に、iPad(登録商標)を持ち歩くオフィス内のユーザが、そのオフィスで共有されているスキャナのうちの1つのところへ行き、次いで、iPad(登録商標)上でそのスキャナ用の疑似フォルダを見て、それを使用していくつかの文書をスキャニングすることが可能である。
【0072】
図13では、図2に示すシッククライアントシステムを、スキャナ200とWindows(登録商標)環境において動作可能なPC220とが接続されたシステムによって構成する例を示している。スキャナ200では、第1CPU210、第1RAM211、第1ROM212、CCD等の画像読取素子を有する画像読取部213、第1記憶部214、液晶ディスプレイ等を含む第1表示部215、スキャニングを開始するためにスキャナ200上に設けられているスキャンボタン216、及び第1I/O201等が、バス218と接続された構成を有している。スキャナ200では、第1CPU210からの制御信号によって駆動する搬送機構217によって原稿を搬送しながら、画像読取部213によって原稿から画像データを生成する。その後、画像データを第1記憶部214でバッファ等をしたのち、第1I/O201を用いてPC220側へ送信する。
【0073】
PC220は、第2CPU223、第2RAM225及び第2ROM226等を含んだ演算装置202、HD等の記録媒体を有する(第2)記録部205、液晶ディスプテイ等を含む(第2)表示部206、キーボード及びマウス等を含む操作部221、及び第2I/O222等が、バス228と接続された構成を有している。シッククライアントアプリケーション204、スキャナドライバ203及び疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、(第2)記録部205に記憶され、演算装置202によって実行処理がなされる。即ち、演算装置202、記憶部205及び表示部206等を含むPC220は、スキャンを実行するスキャニング装置として機能している。
【0074】
図13では、図2に示すシッククライアントシステムのハードウエア構成について説明したが、図4、図7、図8、図11及び図12に示すシステムにおいても、同様なハードウエア構成によって、システムを実現することが可能である。
【0075】
図14〜図18は、疑似フォルダを利用した場合の表示画面例を示す図である。
【0076】
以下、図2に示すシッククライアントシステムにおいて、どのように「疑似フォルダ」の利用及び表示が行われるかについて図14〜図18の例を用いて説明する。ここで、図2に示すシッククライアントシステムでは、図13に示す様にスキャナ200とWindows(登録商標)環境において動作可能なPC220とが接続され、スキャナ200が利用可能な状態であるものとする。なお、図14〜図18に示す図は一例であって、これらに限定されるものではない。また、図4、図7、図8、図11及び図12に示すシステムにおいても、同様な表示画面を用いて、「疑似フォルダ」の表示や利用を行うことが可能である。
【0077】
図14は、PC220の(第2)表示部206に表示されたPCの画面1400の一例を示している。画面1400上には、4つのアイコンが表示されており、図14では、アプリケーションXに対応するアイコン1401が選択された状態を示している。アプリケーションXは、例えば、Windows(登録商標)を実行中のPC220上の、Adobe Acrobat Reader(登録商標)又は類似のアプリケーションである。
【0078】
図15は、選択されたアプリケーションXが立ち上がった画面1500の一例を示している。ここでは、まず「ファイル」メニュー1501が選択され、その後表示されるコマンドの内の「開く」コマンド1502が選択された状態を示している。
【0079】
図16は、図15の「開く」コマンド1502が選択されたことによって、「ファイルを開く」ための小画面1610が表示された画面1600を示している。小画面1610では、スキャナ200は、「疑似フォルダ」1611としてマイコンピュータ内に表示される。ここでは、「疑似フォルダ」1611が選択され、さらに「開く」コマンド1612が選択された状態を示している。
【0080】
図17は、図16の「開く」コマンド1612が選択されたことによって、アプリケーションXのファイルリスト部分内に、「給紙部に用紙をセットしてください。スキャナのスキャンボタンを押してください。」とのポップアップメッセージ1701が表示された状態を示している。
【0081】
ポップアップメッセージ1701に応じて、ユーザが原稿をスキャナ200の給紙部(不図示)にセットし、その後、スキャナ200に配置されているスキャンボタン216を押圧すると、原稿のスキャンが開始される。スキャニングにより生成された画像データは、PC220へ送信され、予め規定された場所(例えば、記憶部205)に文書データとして保存される。
【0082】
図18は、スキャニングにより生成された画像データが、「疑似フォルダ」内に文書1801として表示された状態を示している。
【0083】
次に、ユーザは、更なる文書をスキャニング可能であり、或いは、スキャニング済みの文書を処理(オープン、複写、移動など)可能である。図18では、文書フォーマットの例として、PDFファイルが示されている。しかしながら、JPEG画像、TIFファイル、又はその他のフォーマットでスキャニングし、且つ、「疑似フォルダ」内において表示することも可能である。更には、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、光学文字認識処理を実行し、且つ、スキャニングされた文書をMicrosoft Word(登録商標)などのユーザによって編集可能なフォーマットに変換することも可能である。
【0084】
この方法の利点は、「疑似フォルダ」が「ファイルを開く」ダイアログから可視状態にあることであり、これは、アプリケーションが文書を開くことができる限り、任意のソフトウェアアプリケーションをスキャニングアプリケーションとして使用可能であることをも意味している。
【0085】
いくつかの実施例においては、ネットワーク上の複数のスキャナを含むスキャニング装置が「疑似フォルダ」としてユーザのコンピュータ上に表示され、これにより、選択するべきスキャニング装置の選択肢をユーザに提供している。複数のスキャニング装置の提示法は、ネットワークプリンタがユーザのコンピュータ上においてユーザに提示される方法に類似したものであってよい。ユーザは、それらのスキャニング装置を選択して自身のコンピュータ上に「疑似フォルダ」として表示することを選択可能である。
【0086】
いくつかの実施例においては、ユーザは、複数回又は複数の文書を「疑似フォルダ」内にスキャニング可能であり、これにより、複数の電子文書が結果的に得られる。次に、ユーザは、その他の電子文書セットについて実行するであろうものと酷似した方式により、これらの文書に対して操作を実行可能である。
【0087】
いくつかの実施例においては、ユーザは、ターゲットアプリケーション内にある状態において、特殊な「マージ」モードで「疑似フォルダ」を開くことが可能である。この場合に、ユーザは、新たにスキャニングされた文書をターゲットアプリケーション内において観察している文書とマージすることができる。
【0088】
図19は、表示部206に表示されたデスクトップの他の画面1900の一例を示している。画面1900上には、図14に示した4つのアイコンに加えて、「疑似フォルダ」アイコン1901が表示されている。図14〜図18の例では、最初にアプリケーションXを立ち上げた後に、「開く」コマンドを用いて、スキャナ200が利用可能な場合に、マイコンピュータ内に「疑似フォルダ」を表示させるようにした。しかしながら、図19に示すように、最初から、スキャナ200が利用可能であるなら、「疑似フォルダ」アイコン1901を自動的に表示させておくことも可能である。例えば、「疑似フォルダ」アイコン1901をドラックし、「アプリケーションX」のアイコン1401にドロップすることによって、スキャニング操作が開始され、スキャンされた文書がアプリケーションX内で自動的に開かれるようにしても良い。これにより、スキャニング操作を実行するために複数のステップを経なければならないという更なる不都合が回避される。
【0089】
図20は、疑似フォルダメカニズムの内部アーキテクチャの一例を示す図である。
【0090】
以下、図2に示すシッククライアントにおけるシステムに対応させて、疑似フォルダメカニズムの内部アーキテクチャの説明を行う。しかしながら、図4、図7、図8、図11及び図12に示すシステムにおいても同様に対応することが可能である。なお、以下で、疑似フォルダソフトウエアモジュール209が行う処理は、実際には、演算装置202に含まれる第2CPU223(図13参照)が、疑似フォルダソフトウエアモジュールに基づいて実行するものとする。
【0091】
最初に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209が演算装置202にインストールされる(S1)。通常は、スキャナ200のスキャンドライバ203と共にインストールされる。
【0092】
次に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、オブジェクトとしての「疑似フォルダ」を表示部206の画面上に表示させる(図16の「疑似フォルダ」1611参照)(S2)。なお、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、所定間隔で、スキャナ監視プログラムからデータを取得し、PC220に接続され且つ利用可能なスキャナ200(又はネットワークに接続され且つ利用可能なスキャナ)を確認する。更に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、利用可能なスキャナが存在する場合、そのスキャナの分身として「疑似フォルダ」を所定の箇所に表示させる(図16又は図19参照)。即ち、「疑似フォルダ」が表示されているときに「疑似フォルダ」に対応するスキャナ200が利用可能であることが、ユーザに伝えられる。
【0093】
次に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、実際には表示部206には表示されない「隠しフォルダ」(実際のフォルダ)を生成し、「隠しフォルダ」のコンテンツと「疑似フォルダ」と関連つける(S3)。
【0094】
次に、ユーザが(スキャナ200のスキャンボタン216を押圧するという更なるオプションが要求されて)画面上の「疑似フォルダ」をクリックした時に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャンドライバ203を介して、スキャナ200によるスキャニングを開始させる(S4)。
【0095】
次に、疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、スキャナドライバ203を介して、スキャンされた文書データの処理を行う(S5)。疑似フォルダソフトウエアモジュール209は、処理済みの文書データを「隠しフォルダ」内に記憶する(S6)。「隠しフォルダ」に文書が追加されると、同じ文書が「疑似フォルダ」に表示される(S7)。
【0096】
図21は、シッククライアントアプリケーション及び疑似フォルダを使用する場合の処理フローの一例を示す図である。以下に示すフローでは、図2に示すシッククライアントにおけるシステムを利用した場合を例にして説明するが、図7及び図8に示すシステムにおいても、同様に適用することができる。第1CPU210は、第1記憶部214に記憶されているコンピュータプログラムによって、図21に示す処理フローを実行する。そのコンピュータプログラムは、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク読出し専用メモリ(DVD−ROM)などの、コンピュータ読取り可能な一時的でない媒体から、周知のセットアッププログラムなどを使用することによって、第1記憶部214にインストールされる。
【0097】
最初に、ユーザは、Windows(登録商標)基準のPC220上で、例えば、Adobe Acrobat Reader(登録商標)又は類似のアプリケーションなどのシッククライアントアプリケーション204を開く(S10)。
【0098】
次に、ユーザは、表示部206の画面上で、「ファイル」メニューを選択し、更に、「オープン」ダイアログ又はメニューを選択し(S11)、所望のスキャナの「疑似フォルダ」を選択する(図16の「疑似フォルダ」1611参照)(S12)。
【0099】
次に、ユーザは、スキャナ200を起動してスキャニングを開始する(S13)。スキャニングが完了した後に、PDFフォーマットの文書ファイル(JPEG、又はその他の類似のフォーマットにおける文書としても良い)が、例えば、「ファイル」又は「オープン」ダイアログ内に表示される(S14)。
【0100】
次に、ユーザがPDFファイルを選択すると(S15)、(ユーザがスキャナ200の給紙部にセットした文書を同じ内容の)選択されたPDFファイルの内容が、表示部206の表示画面に表示される(図18の文書データ1801参照)(S16)。この場合に、シッククライアントアプリケーション204は、動作のために、なんらのスキャニングソフトウェアをも必要としない。
【0101】
図22は、シンクライアントアプリケーション及び疑似フォルダを使用する場合の処理フローの一例を示す図である。以下に示すフローでは、図4に示すシンクライアントにおけるシステムを利用した場合を例にして説明するが、図11及び図12に示すシステムにおいても、同様に適用することができる。
【0102】
最初に、ユーザは、例えば、GMail(登録商標)、Yahoo!メール(登録商標)、Box.Net(登録商標)、又は類似のアプリケーションである、シンクライアントアプリケーション404を開く(S20)。
【0103】
次に、ユーザは、表示部406の画面上で、「ファイル」又は「オープン」又は「アタッチ」ダイアログを選択し(S21)、更に、所望のスキャナの「疑似フォルダ」を選択する(S22)。なお、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、所定間隔で、スキャナ監視プログラムからデータを取得し、PCに接続され且つ利用可能なスキャナ(又はネットワークに接続され且つ利用可能なスキャナ)を確認する。更に、疑似フォルダソフトウエアモジュール409は、利用可能なスキャナが存在する場合、その利用可能なスキャナの分身として「疑似フォルダ」を表示させる(図16又は図19参照)。即ち、「疑似フォルダ」が表示されていれば「疑似フォルダ」に対応するスキャナが利用可能であることが、ユーザに伝えられる。
【0104】
次に、ユーザは、スキャナ400を起動してスキャニングを開始する(S23)。スキャニングが完了した後に、PDFフォーマットの文書ファイル(JPEG、又はその他の類似のフォーマットにおける文書としても良い)が、例えば、「ファイル」又は「オープン」ダイアログ内に表示される(S24)。
【0105】
次に、ユーザは、PDFファイルを選択することによって(S25)、その内容を表示するか、文書を電子メールに添付するか、又は、コンピュータ/サーバーにアップロードすることも可能である(S26)。この場合に、シンクライアントアプリケーション404のために、特殊なスキャニングコードは不要である。
【0106】
当業者であれば、本発明の広範な発明の範囲を逸脱することなしに、前述の本発明の図示された及びその他の実施例に対して様々な変更を実施可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、開示された特定の実施例又は構成に限定されるものではなく、むしろ、本発明の範囲及び精神に含まれる任意の変更、適合、又は変形をも包含することが意図されていることを理解されたい。
【符号の説明】
【0107】
200、400、700、800、1100、1200 スキャナ
201、401 ホストインタフェイス
202、402、702、802、1102、1202 演算装置
203、403、704、804、1104 スキャナドライバ
204、707、807 シッククライアントアプリケーション
205、405、705、805、1105、1205 記憶部
206、406,706、806、1106、1206 表示部
209、409、709、809、1109、1209 疑似フォルダソフトウエアモジュール
404、1107、1207 シンクライアントアプリケーション
701、703、801、803、1101、1103、1201、1203 ネットワークインタフェイス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナが利用可能な場合のみに利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、前記疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させる制御部と、
スキャナからのスキャンデータを受信する受信部と、
受信した前記スキャンデータを記憶する記憶部と、
を有することを特徴とするスキャニング装置。
【請求項2】
前記制御部は、アプリケーションのオープンコマンドを利用して前記表示部に前記疑似フォルダを表示させる、請求項1に記載のスキャニング装置。
【請求項3】
前記制御部は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠したスキャン開始信号をスキャナに送信することによって、スキャナによるスキャン動作を開始させる、請求項1〜2の何れか一項に記載のスキャニング装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記スキャンデータをユーザによって設定された文書タイプに変換して前記記憶部に記憶する、請求項1〜3の何れか一項に記載のスキャニング装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記スキャンデータを、前記疑似フォルダ内に表示する、請求項1に記載のスキャニング装置。
【請求項6】
スキャナが利用可能な場合のみに、利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、
前記疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させ、
スキャナからのスキャンデータを受信し、
受信した前記スキャンデータを記憶部に記憶する、
ステップを有することを特徴とするスキャニング方法。
【請求項7】
スキャナが利用可能な場合のみに、利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、
前記疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させ、
スキャナからのスキャンデータを受信し、
受信した前記スキャンデータを記憶部に記憶する、
ステップをコンピュータに実施させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
スキャナが利用可能な場合のみに利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、前記疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させる制御部と、
スキャナからのスキャンデータを受信する受信部と、
受信した前記スキャンデータを記憶する記憶部と、
を有することを特徴とするスキャニング装置。
【請求項2】
前記制御部は、アプリケーションのオープンコマンドを利用して前記表示部に前記疑似フォルダを表示させる、請求項1に記載のスキャニング装置。
【請求項3】
前記制御部は、スキャナをサポートする標準的なAPIに準拠したスキャン開始信号をスキャナに送信することによって、スキャナによるスキャン動作を開始させる、請求項1〜2の何れか一項に記載のスキャニング装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記スキャンデータをユーザによって設定された文書タイプに変換して前記記憶部に記憶する、請求項1〜3の何れか一項に記載のスキャニング装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記スキャンデータを、前記疑似フォルダ内に表示する、請求項1に記載のスキャニング装置。
【請求項6】
スキャナが利用可能な場合のみに、利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、
前記疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させ、
スキャナからのスキャンデータを受信し、
受信した前記スキャンデータを記憶部に記憶する、
ステップを有することを特徴とするスキャニング方法。
【請求項7】
スキャナが利用可能な場合のみに、利用可能なスキャナに対応した疑似フォルダを表示部に表示させ、
前記疑似フォルダが選択された場合に、スキャナによるスキャン動作を開始させ、
スキャナからのスキャンデータを受信し、
受信した前記スキャンデータを記憶部に記憶する、
ステップをコンピュータに実施させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−38784(P2013−38784A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172242(P2012−172242)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
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