説明

スクイズ容器

【課題】二重構造を有するスクイズ容器において、内容液の収容量を最大限確保しつつ外形を小型化し、さらに、容器内での内容液の十分な混合を可能とする。
【解決手段】スクイズ容器が、内容物を収容する内容器20と該内容器20を収容する外容器30との二重構造を有する容器本体10、及び内容物を吐出するノズル部40を備える。内容器20内にマグネティックスターラーの撹拌子60等の撹拌用部材を有し、ノズル部40に吐出弁51を有し、外容器30の胴部に、内容器20と外容器30との間に空気を流入させる逆止弁50を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デザイン性に優れた二重構造のスクイズ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
その向きに関わらず内容物を吐出できる容器として、容器本体が、内容物を収容する内容器と、内容器を収容する外容器との二重構造を有するスクイズ容器がある。
【0003】
この二重構造のスクイズ容器では、構造上、内容物を吐出させ、空気の逆戻りを防止する吐出弁と、内容器と外容器との間に空気を流入させ、外容器の変形を復元させる逆止弁が設けられるところ、その設置態様としては、吐出弁も逆止弁も容器本体の口部に設けたもの(特許文献1、特許文献2)や、吐出弁を容器本体の口部に設け、容器本体の自立姿勢を確保するために容器本体の底部にベースカップを取り付け、そのベースカップに逆止弁を設けたもの(特許文献3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−114279号公報
【特許文献2】特開2003−321038号公報
【特許文献3】特開2005−41514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スクイズ容器を二剤式染毛剤の吐出容器として使用する場合、スクイズ容器には、片手で簡単に把持できるように外形が小型化し、かつ、一回の頭髪の染毛に必要な剤を収容し得る内容積を有し、さらに、二剤を容器内で十分に混合できるデザインにすることが求められる。
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載されているように、吐出弁と逆止弁を共に容器本体の口部に設けると、口部の構造が複雑になるために、口部のキャップが大きくなったり、長くなったりし、容器のデザイン上の自由度が損なわれる。
【0007】
また、特許文献3に記載のように、容器本体にベースカップを取り付ける場合にも、容器のデザイン上の自由度が損なわれ、さらに、スクイズ容器全体の嵩が不用に大きくなるという問題も生じる。
【0008】
これに対し、本発明は、二重構造を有するスクイズ容器を、二剤式染毛剤の吐出容器として使用する場合にも適するように、内容物の収容量を最大限確保しつつ外形を小型化し、さらに、スクイズ容器内で内容物の混合を十分に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は、内容物を収容する内容器と該内容器を収容する外容器との二重構造を有する容器本体、及び内容物を吐出するノズル部を備えたスクイズ容器であって、内容器内に撹拌用部材を有し、ノズル部に吐出弁を有し、外容器の胴部に、内容器と外容器との間に空気を流入させる逆止弁を有するスクイズ容器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスクイズ容器によれば、吐出弁はノズル部に設けられるが、逆止弁は外容器の胴部に設けられるので、ノズル部の構造が簡単になり、ノズル部の内容積を低減させることができる。このため、内容器に内容物として二剤式染毛剤のように混合を要する二つの剤を充填後、それらを混合する際に、内容物がノズル部内で滞留して混合が不十分となることを防止でき、また、スクイズを繰り返しても内容器内に残留してしまう内容物の残留量を低減させることができる。
【0011】
さらに、本発明のスクイズ容器によれば、内容器内に撹拌用部材を有するので、内容器に二つの剤を充填する場合に、ヘッドスペースを残さずに二つの剤を充填しても、それらを良好に撹拌混合することが可能となる。したがって、スクイズ容器の内容積を、所定の充填量に対してヘッドスペース分を加えた大きさにすることが不要となり、その分スクイズ容器を小型化することができる。
【0012】
加えて、本発明のスクイズ容器によれば、ノズル部、容器本体が、それぞれ吐出弁、逆止弁を有し、吐出弁、逆止弁をノズル部、容器本体に取り付けるための別個の取付部材を使用しないため、スクイズ容器の部品点数を低減して製造コストを低下させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例のスクイズ容器の斜視図及び断面図である。
【図2】図2は、ノズル部材に代えて充填用キャップを取り付けたスクイズ容器の斜視図及び断面図である。
【図3】図3は、スクイズ容器の部品図である。
【図4】図4は、スクイズ容器の使用方法の説明図である。
【図5】図5は、スクイズ時及び復元時の作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。
図1は、二剤式染毛剤等の吐出容器として使用される、本発明の一実施例のスクイズ容器1の斜視図(a)及びそのX−X断面図(b)であり、図3は、その部品図である。
【0015】
このスクイズ容器1は、容器本体10と、容器本体10から内容物を吐出するノズル部40を備えている。容器本体10は、内容物を収容する内容器20と、内容器20を収容する外容器30との二重構造を有する。
【0016】
内容器20は、その本体部分が柔軟な樹脂材料から形成されている。また、内容器20は、初期形状として概略扁平な円筒形状であり、その側面から口部21がノズル部40の基部に挿入可能に突出し、口部21の端縁にはフランジ22が、外容器30の口部32の内壁に嵌合可能に形成されている。これにより、外容器30に対する内容器20の着脱が容易となり、また、ノズル部40内での内容器20と外容器30との密着性が向上する。したがって、外容器30から内容器20を取り外し、洗浄し、再度内容物を充填して使用するというレフィル容器としての使用が可能となり、その場合の使い勝手を向上させることができる。
【0017】
なお、本発明において、内容器20は、外容器30の内面に剥離可能に積層された、所謂デラミ容器としてもよく、また、使い捨て容器として形成することもできる。
【0018】
外容器30も概略扁平な円筒形状を有し、その内部に内容器20を嵌め込めるように形成されている。ここで、概略扁平な円筒形状とは、その高さが底面の径よりも低いものをいう。上面30aと下面30bはそれぞれわん曲していても良い。外容器30の大きさは、好ましくは、片手の親指と残りの指で上面と下面を挟んでスクイズできるように、例えば、外径Dを60〜100mm、高さHを外径Dの1/2〜4/5とすることが好ましい。
【0019】
本実施例において、外容器30は、外容器本体31と蓋35で形成されている。外容器本体31は、非可撓性の硬質樹脂材料で形成され、その側面から口部32がノズル部40の基部に挿入可能に突出している。
【0020】
蓋35は、その天面部36がスクイズ可能な可撓性樹脂材料で形成され、周縁部37が外容器本体31の周縁部33と螺合可能に形成されている。ここで、蓋35の周縁部37と外容器本体31の周縁部33との螺合部分は、周縁部37を外容器本体31の周縁部33a、33bで挟み込むように形成されており、外容器本体31と蓋35との気密性を向上させるものとなっている。
【0021】
このように外容器30において、非スクイズ性の硬質の面とスクイズ可能な可撓性の面を対向させることにより、より具体的には、硬質の外容器本体31とスクイズ可能な蓋35とを対向させることにより、外容器30を片手で把持し、親指で蓋35を押圧するだけで外容器30を容易にスクイズすることが可能となり、かつ、スクイズ時にノズル部40の位置がぶれにくくなるので、内容物を所期の位置に、位置ずれなく塗布することが容易となる。
【0022】
なお、本発明において、外容器30は、必ずしも外容器本体31と蓋35との二部材から形成しなくてもよく、それらを一体に形成してもよいが、着脱自在の二部材とすることが、内容器20の取り出しと洗浄を容易にする点で好ましい。
【0023】
また、蓋35もしくは内容器20には、内容物を内容器20に充填するときに、充填量の目安となるよう、目盛38を付しておくことが好ましい。
【0024】
本発明において、外容器30の胴部には、内容器20と外容器30との間に空気を流入させることを可能とする逆止弁50が設けられる。ここで、外容器30の胴部とは、口部32以外の領域をいう。より具体的には、例えば、本実施例のように、外容器30の底部に設けられる。逆止弁50としては、3点弁、2点弁、片開き弁等を設けることができるが、気密性を確保しやすく、繰り返し使用に適する等の点から3点弁を使用することが好ましい。また、その取り付け方法としては、部品点数を低減させる点から、図1に示したように、外容器30の壁面に直接嵌合させることが好ましい。
【0025】
本実施例のスクイズ容器1において、内容器20内には、撹拌用部材として、マグネティックスターラーの撹拌子60が収容されている。撹拌用部材としては、金属球等を収容してもよいが、マグネティックスターラーの撹拌子60を収容することにより、内容器20内にヘッドスペースをほとんど残すことなく内容物を収容した場合でも、マグネティックスターラーを用いて内容物全体を速やかに均一に撹拌混合することが可能となるので好ましい。
【0026】
一方、ノズル部40は、その基部が外容器30の口部32と螺合することにより外容器30に対して着脱自在なノズル部材として構成されている。このようにノズル部40を着脱自在とすることにより、スクイズ容器1の洗浄が容易となるので好ましい。
【0027】
ノズル部40の基部内部には、内容器20から内容物が吐出することを可能とする吐出弁51が設けられている。吐出弁51としては、3点弁、2点弁、片開きの弁等が好ましい。吐出弁51の上流側には、撹拌用部材が吐出弁51に当たることを防止する格子41が設けられている。
【0028】
また、ノズル部40は、その先端の開口端42の周りにブラシ部43を有している。なお、本発明において、ブラシ部43を省略してもよく、ノズル部40は、例えば、先細のノズル状に構成してもよい。
【0029】
図3に示すように、本実施例のスクイズ容器1は、ノズル部材40と交換可能に外容器30に取り付けられる充填用キャップ70を備えている。
【0030】
図2は、容器本体10に充填用キャップ70を取り付けた状態のスクイズ容器1の斜視図と断面図である。同図に示すように、充填用キャップ70は、内容器20内への内容物の充填を可能とする充填弁71と空気抜き用チューブ72を備えている。空気抜き用チューブ72は、内容器20内への内容物の充填時に内容器20内の空気が抜けるようにするものである。
【0031】
図4は、このスクイズ容器1の使用方法の説明図である。スクイズ容器1の使用に際しては、まず、容器本体10に充填用キャップ70を取り付け、図4(a)に示すように、二剤式染毛剤の第2剤が充填されたポンプ容器又はエアゾール容器80の口部に充填用キャップ70の開口端を押し当て、内容器20に第2剤A2を充填する。引き続き、同図(b)に示すように、二剤式染毛剤の第1剤が充填されたポンプ容器又はエアゾール容器81の口部に充填用キャップ70の開口端を押し当て、内容器20に第1剤A1を充填する。次いで、充填用キャップ70をノズル部材40と付け替え、同図(c)に示すように、マグネティックスターラー61上でマグネティックスターラーの撹拌子60を回転させ、内容器20内の第1剤と第2剤を撹拌混合する。その後、同図(d)に示すように、スクイズ容器1をスクイズし、第1剤と第2剤との混合物Aを吐出させる。
【0032】
このスクイズ時には、図5(a)に示すように、蓋35が凹む。このとき、逆止弁50により外容器30内の空気は漏れないので、外容器30内の内圧が上がり、内容器20が押圧される。そこで、内容器20内の内容物がノズル部40内の吐出弁51を通って吐出する。蓋35への押圧を解除すると、蓋35は元の形状に復元し、それに伴い外容器30内が減圧になるが、図5(b)に示すように逆止弁50を通して内容器20と外容器30との間に外気が流入し、外容器30内は常圧に戻る。一方、吐出弁51により内容器20内には空気が入ってこないため、内容器20は内容物の吐出によりつぶれたままの形状を維持する。以降、同様に、蓋35の押圧とその解除を繰り返すことにより、内容器20から内容物を吐出させることができ、吐出の度に内容器20がつぶれていく。
【0033】
このスクイズ操作においては、片手でスクイズ容器1を把持し、親指で蓋35を押圧するだけで容易にスクイズすることができる。また、内容物を吐出させる位置が押圧操作によりぶれることを防止できる。
【0034】
内容物の吐出が終了した後は、スクイズ容器1を、ノズル部40、外容器本体31、蓋35及び内容器20に分解することができるので、それらを洗浄し、再使用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のスクイズ容器は、二剤式染毛剤、二剤式接着剤、塗料、料理用クリーム等の種々の内容物の吐出容器として有用である。
【符号の説明】
【0036】
1 スクイズ容器
10 容器本体
20 内容器
21 口部
22 フランジ
30 外容器
31 外容器本体
32 口部
33 外容器本体の周縁部
35 蓋
36 蓋の天面部
37 蓋の周縁部
38 目盛
40 ノズル部(ノズル部材)
41 格子
42 開口端
43 ブラシ部
50 逆止弁
51 吐出弁
60 マグネティックスターラーの撹拌子
61 マグネティックスターラー
70 充填用キャップ
71 充填弁
72 空気抜き用チューブ
80 ポンプ容器又はエアゾール容器
81 ポンプ容器又はエアゾール容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する内容器と該内容器を収容する外容器との二重構造を有する容器本体、及び内容物を吐出するノズル部を備えたスクイズ容器であって、内容器内に撹拌用部材を有し、ノズル部に吐出弁を有し、外容器の胴部に、内容器と外容器との間に空気を流入させる逆止弁を有するスクイズ容器。
【請求項2】
撹拌用部材がマグネティックスターラーの撹拌子である請求項1記載のスクイズ容器。
【請求項3】
逆止弁が、外容器の直接嵌合された3点弁である請求項1または2記載のスクイズ容器。
【請求項4】
外容器において、スクイズ可能な可撓性の面と、非スクイズ性の硬質の面とが対向している請求項1〜3のいずれかに記載のスクイズ容器。
【請求項5】
ノズル部として、容器本体に着脱自在なノズル部材を備え、該ノズル部材と交換可能に容器本体に取り付けられる充填用キャップを備え、該充填用キャップは、内容器内への内容物の充填を可能とする充填弁を有する請求項1〜4のいずれかに記載のスクイズ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−111188(P2011−111188A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268506(P2009−268506)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】