説明

スクラバ液だめ中に改善された酸化装置を備えた煙道ガス浄化装置

【課題】煙道排ガス浄化装置のスクラバ液中における酸化プロセスを改善する煙道ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】煙道ガス浄化装置であって、酸素を導入する酸化装置を備えたスクラバ液だめを有する容器を備え、少なくとも1つの板型通風器によって酸素を導入することにより、酸素の導入効率を最適化でき、従って、スクラバ液だめ中で起こる酸化プロセスの効率が最適化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙道ガス浄化装置、特に石炭発電所などの煙道ガスを浄化するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浄化装置が既に知られている。普通、スクラバ・コラムは、しばしばいくつかの高さに配置されたスクラバ液ノズルを有する1つのスクラバ・コラムと、スクラバ液を集める1つのスクラバ液だめと、スクラバ・コラムの円筒状容器の内部でスクラバ液だめから上方のスクラバ液ノズルの高さに向けて延びた1つの吸収ゾーンと、を備えている。煙道ガスは、スクラバ・コラムの吸収ゾーンの低い部分に導入され、そこから実質的に垂直上方に流れてスクラバ液ノズルの上に設けられた出口からスクラバ・コラムを抜け出る。スクラバ・コラムの流路上で、煙道ガスはスクラバ液ノズルから出てくるスクラバ液と接触し、後述するように、脱硫される。そのような浄化装置は、例えば、ドイツ出願公開A−10058548号(特許文献1)から知られる。
【0003】
スクラバ液は、好ましくは、水以外に、煙道ガス中に含まれる硫黄酸化物及びスクラバ・コラム中に発生する硫黄酸化物と反応するアルカリ土類を含む。特に、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどの形態の石灰が用いられる。
【0004】
アルカリ土類は、煙道ガス中に存在する硫黄酸化物と反応して本質的にスクラバ液に捉えられる硫酸カルシウムとなる。このようにして、煙道ガスは、好ましくない硫黄酸化物の浄化が行われ、その後、浄化装置から流出する。しかし、その中に浮いている硫酸カルシウム粒子を含んでいるスクラバ液は、スクラバ液だめに流れ込み、そこに集められる。
【0005】
硫酸カルシウムは、天然石膏と同様の良い性質を有している。そこで、それは、スクラバ液だめに集められたスクラバ液から得られる、煙道ガスの浄化プロセスにおける望ましい副産物となる。硫酸カルシウム粒子はスクラバ液だめからスクラバ液と共に取り出され、次工程においてスクラバ液から抽出される。硫酸カルシウムは、さらに処理されて、特に建設資材のような資材とされる。
【0006】
硫酸カルシウムを得るための問題は、硫酸カルシウムだけでなく、望ましくない副産物、例えば、亜硫酸塩、特に、硫酸カルシウムを不純にして副産物としての品質を悪くする亜硫酸カルシウムが、スクラバ液と煙道ガスとの反応によって生成されることである。
【0007】
スクラバ液だめに存在するスクラバ液中の、これらの望ましくない亜硫酸塩の割合を減らすために、アメリカ特許公開A−4539184号(特許文献2)において、スクラバ液だめの少なくとも1つの領域に、そこに存在する亜硫酸カルシウムを酸化させて硫酸カルシウムにするために、空気などのような形で酸素を導入することが提案されている。
【0008】
また、カナダ出願公開A−2135430号(特許文献3)は、酸化装置を備えた煙道ガス浄化装置を開示しており、その酸化装置は、スクラバ液だめに備えられ、スクラバ液だめに集められたスクラバ液に酸素を導入できるように対応する開口を有する酸素供給パイプで構成された水平配置のグリッド形態を有している。水平グリッドは、前記スクラバ液だめが2つのゾーンに分けられるように、配置されている。
【特許文献1】ドイツ出願公開A−10058548号
【特許文献2】アメリカ特許公開A−4539184号
【特許文献3】カナダ出願公開A−2135430号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、スクラバ液だめ中の酸化プロセスを改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、上記目的は、請求項1の煙道ガス浄化装置、及び請求項7の煙道ガス浄化方法によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実際に得られる、板型通風器(plate aerator)は、大変小さな(半径<1mm)無数の空気泡を生成する。小さな空気泡は、スクラバ液だめにおいて、大きな空気泡よりもより長い滞留時間を有するという利点を有し、それによってスクラバ液中への酸素の導入が改善される。気泡数の増大は、酸素気泡とスクラバ液との接触面積を増大させ、従って、その接触表面における拡散及び/又は溶解による酸素交換を促進する。滞留時間が長ければ長いほど、最終的に、気泡の道のり、従って接触時間を増加させる。
【0012】
従って、板型通風器を離れたそれぞれの酸素気泡に含まれている酸素は、最適化された状態でスクラバ液に供給される。それ故に、酸素導入の効率、従って、酸化の効率が最適化される。
【0013】
好ましくは、板型通風器は、本質的に円盤形であり、より良くは、平行6面体である。円盤形と比較して、平行6面体形状は、平行6面体の板型通風器から出てくる酸素気泡が、殆ど気泡柱を形成せず、むしろ凝集する明確な傾向なしに、垂直上向き方向をとる、という利点がある。このようにして、高い接触表面交換率及び対応する酸化の最適化が達成される。
【0014】
本発明の実施形態によると、板型通風器は、その上に置き換え可能に孔あき膜(perforated membrane)を備えており、それを通して酸素気泡が出てくる。孔は、好ましくは、例えば、レーザを用いて形成可能な溝(slots)を構成している。EPDM膜は、特に有効であることが分かっている。
【0015】
煙道ガス浄化装置の酸化装置は、1つ又はそれ以上の板型通風器を備えることができる。もし、数個の板型通風器が備えられるなら、それらは、スクラバ液だめの中に、環状又は放射状に配置されるのが好ましい。個々の酸素供給パイプの最終形態及び集合体は、本質的に、酸素が導入される容器の形状、酸素必要量、及び、スクラバ液の体積に依存する。原則的に、もちろん、どのような配置の板型通風器も考えることができる。
【0016】
最後に、本発明は、対応する煙道ガスの浄化方法に関しており、スクラバ液だめの中で起こる酸化プロセスのための酸素の供給が、少なくとも1つの板型通風器によって実現されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙道ガス浄化装置であって、酸素を導入するための酸化装置を備えたスクラバ液だめを有する容器を備え、酸素を導入するために少なくとも1つの板型通風器が設けられていることを特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載の煙道ガス浄化装置であって、前記板型通風器が本質的に円盤形であることを特徴とする。
【請求項3】
請求項1に記載の煙道ガス浄化装置であって、前記板型通風器が本質的に平行6面体であることを特徴とする。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の煙道ガス浄化装置であって、前記板型通風器が孔あき膜を有することを特徴とする。
【請求項5】
請求項4に記載の煙道ガス浄化装置であって、前記膜が前記板型通風器に置き換え可能に実装されていることを特徴とする。
【請求項6】
請求項3に記載の煙道ガス浄化装置であって、前記膜の孔が溝を構成していることを特徴とする。
【請求項7】
請求項3又は請求項4に記載の煙道ガス浄化装置であって、前記膜がEPDM膜であることを特徴とする。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の煙道ガス浄化装置であって、複数の板型通風器が、前記容器の中に環状又は放射状に配置されていることを特徴とする。
【請求項9】
煙道ガスを浄化する方法であって、スクラバ液だめで行われる酸化プロセスのため、酸素を導入する少なくとも1つの板型通風器が用いられていることを特徴とする。

【公開番号】特開2006−255699(P2006−255699A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76990(P2006−76990)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(506085055)ルルギ レントイェス アーゲー (3)
【Fターム(参考)】