説明

スクラロース中間体を抽出および精製する方法

本発明は、スクラロースを生成するためのスクラロース−6−エステルの精製方法を提供し、この方法は、エステル化プロセスを排除する。とくに、酢酸エチルおよびエーテルを用いて、スクラロース−6−エステルを有するスクラロース生成中間体成分からスクラロース−6−エステルを抽出および精製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、スクラロース中間体、とくに、スクラロース−6−エステルを抽出および精製する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
人工甘味料の4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース(「スクラロース」)は、4,1’および6’の位置における水酸(ヒドロキシ)基を塩素で置換することによってスクロースから誘導したものである。スクラロースを調製する多くの異なる到達手順(ルート)が開発され、この場合、4,1’および6’位置における水酸基の塩素化の前に、まず6位置における反応性水酸基をエステル基によってブロックし、その後、加水分解によってエステル置換基を除去して、スクラロースを生成する。これら合成手順のいくつかには、スクロース−6−エステルのスズ媒介合成が関係している。
【0003】
スクロース−6−エステルは、例えば、ウォークアップ(Walkup)氏らのプロセス(特許文献1/米国特許第4,980,463号:参照によって全体が本明細書に組み込まれるものとする)によって塩素化される。塩素化プロセスは、生成物として、スクラロース−6−エステル、例えば4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース−6−アセテートを、第3級アミド、代表的にはN,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と称する)、および塩(塩素化反応完了後に塩素化剤を中和する結果生ずる)、塩素化反応副生成物、および他の不純物が存在する溶液内に生成する。典型的な塩素化反応の副生成物としては、スクラロースではない他の塩素化した炭水化物、例えばモノ−およびジ−塩素化スクロース、ならびに他の形態の塩素化スクロースがある。
【0004】
従来既知のスクラロースの生成手順には、一般的にエステル化プロセスがあり、このエステル化プロセスは、無水酢酸およびピリジンをスクラロース−6−エステル溶液に加えて、その結果できた生成物をトルエンで2回の結晶化を行い、スクラロースペンタ−アセテートを得る。例えば、特許文献2(米国特許第4,380,476号)は、4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース(「TGS」)の調製プロセスを説明しており、それは、以下のステップ、すなわち(a)スクロースをピリジンにおいて無水酢酸と約−20℃未満の温度で反応させて、スクロース−6−アセテートを大きな割合で含有する混合物を得るステップと、(b)スクロース6−アセテートをイオン交換樹脂クロマトグラフィーによって分離するステップと、(c)4,1’および6’位置のスクロース6−アセテートを、ビルスマイヤ−試薬および塩化スルフリルから成る群から選択した試薬で塩素化するステップと、(d)TGSペンタ−アセテートを分離および精製し、続いて、精製した材料を脱アセチル化してTGSを得るステップとを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなエステル化プロセスを利用するスクラロース生成プロセスは、原料、設備および生成時間の点において多額の費用がかかる。無水酢酸、ピリジンおよびトルエンの使用は、環境および健康的に様々な問題を生ずる。したがって、効果的、効率的、経済的であり、また環境に対して信頼できる、スクラロース−6−エステルの抽出および精製方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単に説明すると、一つの実施形態において、本発明は、スクラロースを生成するためのスクラロース−6−エステルを精製する方法を提供し、この方法は、第1有機溶媒(例えば、限定するものではないが、酢酸エチル)を用いてスクラロース−6−エステルを含む組成物からスクラロース−6−エステルを抽出し、これにより、第1スクラロース−6−エステル溶液を生成するステップと、第1スクラロース−6−エステル溶液を乾燥/濃縮して、粗(crude)スクラロース−6−エステルを生成するステップと、水を粗スクラロース−6−エステルに加えて、第2スクラロース−6−エステル溶液を生成するステップと、第2有機溶媒(例えば、限定するものではないが、エーテル)を第2スクラロース−6−エステル溶液に加えて、スクラロース−6−エステルを沈殿させ、半精製(semi-purified)スクラロース−6−エステルを生成するステップと、半精製スクラロース−6−エステルを第3有機溶媒(例えば、限定するものではないが、酢酸エチル)において加熱し、半精製スクラロース−6−エステル溶液を生成するステップと、半精製スクラロース−6−エステル溶液を冷却して、精製スクラロース−6−エステルを生成するステップを有する。
【0007】
一つの実施形態において、第1有機溶媒は酢酸エチルとする。他の実施形態において、第2有機溶媒は、限定するものではないが、ジエチルエーテルまたは石油エーテル等のエーテルとする。さらに他の実施形態において、第1スクラロース−6−エステル溶液は、真空方法を用いて乾燥/濃縮する。さらに他の実施形態において、プロセスにおいて用いた第2有機溶媒に対する水の比は約1:1とする。
【0008】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明で明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するが、明確にするためだけであり、様々な改変および変更は、本発明の精神および範囲内であることは当業者には明らかであることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のいくつかの実施形態は、スクラロース生成に用いるスクラロース−6−エステルを抽出および精製するための、効果的、効率的、経済的であり、また環境に対して信頼できる方法に関連し、この方法は、従来既知の現行スクラロース生成技術の重要な要素部分であるエステル化の必要性を排除するものである。
【0010】
一つの態様において、本発明は、スクラロースの生成において用いるスクラロース−6−エステル(例えば、限定するものではないが、スクラロース−6−アセテート)の精製方法を提供し、この方法は、以下のステップ、すなわち第1有機溶媒(例えば、限定するものではないが、酢酸エチル)を用いてスクラロース−6−エステルを含む成分からスクラロース−6−エステルを抽出し、これにより、第1スクラロース−6−エステル溶液を生成するステップと、第1スクラロース−6−エステル溶液を乾燥/濃縮して、粗スクラロース−6−エステルを生成するステップと;水を粗スクラロース−6−エステルに加えて、第2スクラロース−6−エステル溶液を生成するステップと、第2有機溶媒(例えば、限定するものではないが、エーテル)を第2スクラロース−6−エステル溶液に加えて、スクラロース−6−エステルを沈殿させ、半精製スクラロース−6−エステルを生成するステップと、半精製スクラロース−6−エステルを第3有機溶媒(例えば、限定するものではないが、酢酸エチル)において加熱し、半精製スクラロース−6−エステル溶液を生成するステップと、半精製スクラロース−6−エステル溶液を冷却して、精製スクラロース−6−エステルを生成するステップと、を有する。
【0011】
スクラロース−6−エステルは、第1有機溶媒を用いてスクラロース−6−エステルを有する組成物から単離して、第1スクラロース−6−エステル溶液を生成する。スクラロース−6−エステルを含む組成物は、有機溶媒の抽出の前にフィルタ処理して不純物を除去する。例えば、スクラロース生成中間体混合物を、約35〜75℃(例えば約35〜45℃で、トルエンを除去し、約65〜75℃でDMFを除去する)および約−0.098MPaで乾燥させる。他の温度、および他の圧力を用いることもでき、以下に限定するものではないが、例えば、約35〜45℃、約65〜75℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、または約75℃の温度、および約−0.070MPa〜約−0.099MPa、約−0.075MPa、約−0.080MPa、約−0.085MPa、約−0.090MPa、約−0.096MPa、または約−0.098MPaの圧力を使用することができる。加えて、当業者は、本発明の目的に適切な温度が圧力における変化の結果変化することを理解する。例えば、高温は、高圧での所定の結果を得るのに必要であり、低温は、低圧での所定の結果を得るのに用いる。乾燥した中間体混合物は、水およびスクラロース−6−エステルを含む水溶液において再び溶解し、有機抽出ステップの前にフィルタ処理する。
【0012】
本発明の目的のために、適切な当該技術において既知の有機溶媒はいずれも用いることができる。本発明の様々な実施形態において、第1有機溶媒は、限定するものではないが、酢酸エチル、または酢酸エチルに類似した特性(例えば極性)を有する溶媒、例えば限定するものではないが、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸アミル、酪酸イソアミル、イソ酪酸エチル、吉草酸エチル、イソ吉草酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘパトン酸エチル、オクタン酸エチル、ノナン酸エチル、トルエン、およびクロロホルム等のである。一実施形態において、第1有機溶媒は酢酸エチルとすることができる。他の実施形態において、スクラロース−6−エステルを有する組成物は、何回も抽出し、スクラロース−6−エステル溶液を貯留して、その後の処理用の粗スクラロース−6−エステル溶液を生成する。
【0013】
第1のスクラロース−6−エステル溶液を乾燥して、粗スクラロース−6−エステルを生成する。本明細書で用いる用語「乾燥」および「濃縮」は、限定するものではないが、組成物から溶媒、例えば水または有機溶媒(例えば酢酸エチル)を完全に、大部分を、または部分的に除去することを意味し、置き換え可能である。有機溶液の乾燥または濃縮方法は、当業者には既知であり、例えば、限定するものではないが、真空乾燥および加熱がある。一つの実施形態において、第1のスクラロース−6−エステル溶液は、真空条件の下で加熱することによって乾燥させる。例えば、粗スクラロース−6−エステル溶液の温度は、約35〜75℃、約35℃〜45℃、約65〜75℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、または約75℃まで上昇させることができるとともに、圧力は、約−0.070MPa−約〜0.099MPa、例えば、限定するものではないが、約−0.075MPa、約−0.080MPa、約−0.085MPa、約−0.090MPa、約−0.096MPa、または約−0.098MPaまで減圧することができる。
【0014】
水を粗スクラロース−6−エステルに加えて、第2スクラロース−6−エステル溶液を生成する。例えば、完全に乾燥した粗スクラロース−6−エステルは、水に再び溶解する。他の例において、水は、部分的に乾燥させた粗スクラロース−6−エステルに加える。
【0015】
第2有機溶媒を、第2スクラロース−6−エステル溶液に加えて、スクラロース−6−エステルを単離し、半精製スクラロース−6−エステルを精製する。スクラロース−6−エステルを沈殿させることができ、また本発明の目的に適合する当業者に既知である任意の有機溶媒を用いることができる。本発明の様々な実施形態において、第2有機溶媒としては、限定するものではないが、1種またはそれ以上のアルカン、限定するものではないが、ジエチルエーテル、石油エーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル等の第1級エーテル、第2級エーテル、第3級エーテル、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、3−メチルペンタン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、オクタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、3−エチルヘキサン、ノナン、デカンおよびそれらの組み合わせがある。一つの実施形態において、第2有機溶媒は、ジエチルエーテルおよび/または石油エーテルとする。本発明の様々な実施形態において、第2有機溶液の第2スクラロース−6−エステル溶液に対する比(v/v)は、約1:0.1〜約1:2、約1:0.5〜約1:1.5、約1:0.2、約1:0.4、約1:0.6、約1:0.8、約1:1、約1:1.2、約1:1.4、約1:1.6、約1;1.8、約1:2.0である。
【0016】
半精製スクラロース−6−エステルは、第3有機溶媒内で溶解し(例えば加熱によって)、半精製スクラロース−6−エステル溶液を精製する。スクラロース−6−エステルを溶解でき、本発明の目的に適合する当業者に既知である任意の有機溶媒を用いることができる。本発明の様々な実施形態において、第3有機溶媒は、限定するものではないが、酢酸エチル、または酢酸エチルに類似した特性(例えば極性)を有する溶媒のうち少なくとも1つ、例えば、限定ものでことはないが、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸アミル、酪酸イソアミル、イソ酪酸エチル、吉草酸エチル、イソ吉草酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘパトン酸エチル、オクタン酸エチル、ノナン酸エチル、トルエン、およびクロロホルムとすることができる。一つの実施形態において、第3有機溶媒は、酢酸エチルとする。本発明の様々な実施形態において、第3有機溶媒の半精製スクラロース−6−エステルに対する比(v/v)は、約1:1〜約10:1の間の値、約1.5:1〜約3:1の間における値、約2:1、約2.5:1、または約5:1である。
【0017】
半精製スクラロース−6−エステルの第3有機溶媒における溶解は、例えば、限定するものではないが、加熱によって行う。一つの実施形態において、半精製スクラロース−6−エステルのおよび第3有機溶媒の混合物の温度は、約40〜70℃、約45℃〜65℃、約50〜60℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、または約65℃まで上昇させることができる。その結果できた半精製スクラロース−6−エステル溶液を、限定するものではないが、室温まで冷却して、精製スクラロース−6−エステルを生成する。精製スクラロース−6−エステルを、当該技術において既知の技術を用いてフィルタ処理および乾燥することができる。
【0018】
スクラロース−6−エステルを含む組成物は、スクラロース生成の中間生成物である。用語「スクラロース−6−エステル」は、当該技術において既知である、スクラロース生成において用いるのに適合する任意のスクラロース−6−エステル、例えば、限定するものではないが、スクロース−6−ベンゾエートまたはスクロース−6−アルカノエート(例えば、スクロース−6−アセテート)を意味する。例えば、米国特許出願第11/552789号明細書(以下「789出願」と称する)は、スクロース−6−エステル含有組成物の生成方法を開示し、その内容は参照することにより本明細書に全体的に組み込まれるものとする。「789出願」において開示された発明によると、ビルスマイヤー試薬は、塩素化試薬をN,N−ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と称する)を有する溶媒、および/または他の有機溶媒、例えばトルエン、シクロヘキサン、ジクロロエタン、クロロホルムおよび四塩化炭素の混合物に加えることによって調製する。スクロース−6−エステルを溶媒において溶解させる。ビルスマイヤー試薬およびスクロース−6−エステルのDMF溶液を混合する前に0℃未満まで冷やす。その後、ビルスマイヤー試薬をスクロース−6−エステルのDMF溶液に滴下して加え、反応温度を約5℃未満に保つ。ビルスマイヤー試薬の添加が完了後、反応混合物を約5℃未満で約2時間撹拌する。その後、反応混合物を室温まで温め、室温でさらに2時間維持する。その後、反応物を2〜3時間で約110℃まで加熱し、約110℃で約3時間還流する。そして、反応混合物を自然に室温まで冷却する。反応混合物のpHは、まず8〜9に調整し、その後6〜7とする。減圧下で蒸留させることによってほとんどの溶媒を除去した後、スクロース−6−エステルを酢酸エチルおよび水によって抽出する。結合有機相を減圧下で蒸留し、スクラロース−6−エステルシロップにする。
【0019】
様々な実施形態において、塩素化試薬はまた、スクロース−6−エステルのDMF溶液に上述と同じ手順で加える前に、トルエン、シクロヘキサン、ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素等の1種または複数の有機溶媒に溶解させる。塩素化試薬は、トリフェニルヒドラジン、五塩化リン、塩化チオニル、ホスゲン、塩化オキサリルより成る群から選択する。一つの実施形態において、塩素化試薬は、トリホスゲン(ビス(トリクロロメチル)炭酸塩、BTC)とする。BTCは、一般的に、使用が安全かつ都合がよいと考えられ、汚染および腐食の問題がない、またはほとんどないものである。
【0020】
一つの実施形態において、スクロース−6−エステルの濃度は、約0.1mol/Lである。他の実施形態において、スクロース−6−エステルと比較した塩素化試薬のモル当量は、約2.8〜約3.5の範囲である。
【0021】
反応は、真空下で行い、大気内酸素による反応混合物の酸化を防ぐ。代案として、望ましくない酸化を、反応混合物を、低沸点有機溶媒、例えばシクロヘキサン、ジクロロエタン、酢酸エチル、クロロホルムおよび四塩化炭素の存在下で還流させることによって回避する。
【0022】
スクロース−6−エステルは、本発明の目的に適合する当該技術において既知な方法、例えば、限定するものではないが、米国特許出願第11/552813号(以下、「813出願」と称する)において記載された方法(その内容全体は参照することにより本明細書に組み込まれるものとする)を用いて生成することができる。「813出願」において開示された発明によると、スクロースからのスクロース−6−エステルの合成プロセスは、スクロース、エステル、および有機溶媒を含む混合物を固体超強酸触媒に対して、スクロース−6−エステルを生成するのに十分な時間および温度で反応させるステップを有する。次いで、触媒を濾過し、同じ反応のために再使用し得る。エステルを蒸留して、スクロース−6−エステルおよび有機溶媒を有する混合物にする。有機溶媒が塩素化反応に適合するものであれば、得られたスクロース−6−エステル溶液を、さらなる精製なしにスクラロース合成における次のステップに用いることができる。
【0023】
有機溶媒の選択は、溶媒におけるスクロースおよびエステルの溶解性、ならびに安全性および毒性を考慮することによって決定される。溶媒は、極性有機溶媒、例えば、限定するものではないが、DMFとすることができる。用いる有機溶媒の量は、用いる溶媒および本発明の目的の観点から当業者に既知の技術を用いて決定することができる。極性溶媒がDMFであるとき、約5ml/gの量のスクロースを用いる。
【0024】
用いるエステルの量は、所要のスクロース−6−エステルの転換および副産物の生成を抑制するよう決定する。エステルがEtOAcであるとき、約5〜約12mol/molの量のスクロースを用いる。
【0025】
固体超強酸触媒は、周期表の3族、4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、14族、15族から選択した元素の硫酸塩酸化物および、一連のランタニドのうち1個または組み合わせを含む群から、単独でまたは互いに組み合わせたものを選択する。固体超強酸触媒の例としては、限定するものではないが、SO42-−TiO2/Al23,SO42-−Fe23/Al23,SO42-−ZnO/Al23,SO42-−CeO2/Al23,SO42-−ZrO2/Al23,SO42-−TiO2/Al23またはSO42-−TiO2がある。本発明の一つの実施形態において、スクロース−6−アセテートの1ステップ合成は、SO42-−TiO2/Al23またはSO42-−TiO2等の固体超強酸の存在下でスクロースの6位置でEtOAcによる選択的エステル化のステップを有する。
【0026】
本発明は、本発明をさらに理解するために以下の実施例を説明するが、以下に添付する特許請求の範囲で定義する本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0027】
34gのスクロースをスクロース−6−アセテートの生成に使用し、トリホスゲンと反応させた。反応混合物のpHは、最初8〜9、その後6〜7に調整した。この反応混合物を、水浴を用いて65℃に加熱し、−0.098MPaで乾燥させた。乾燥したスクラロース中間体を200mlの水に再び溶解させ、濾過した。水溶液を、酢酸エチル(200ml、×6)を用いて抽出し、酢酸エチル留分を貯留した。
【0028】
貯留した酢酸エチル留分を−0.098MPaおよび35℃で乾燥させた。乾燥した物質を50ml水において再び溶解させた。50mlのエーテルを水溶液に加え、スクラロース−6−アセテートを沈殿させ、濾過および回収した。産出物:15〜18グラムの半精製スクラロース−6−アセテートとなった。
【0029】
半精製スクラロース−6−アセテートを、60℃で2.5倍(体積対重量)の酢酸エチルに溶解させた。スクラロース−6−アセテート酢酸エチル溶液をゆっくり冷却した。6時間後、スクラロース−6−アセテートを濾過して、50℃で真空乾燥した。産出物:スクラロース−6−アセテートを98%含有する8〜10グラムのスクラロース−6−アセテートの結晶。
【0030】
本発明を好ましい形において開示したが、当業者には、多くの変更、付加および省略は、本発明の範囲を逸脱することなく行うことができ、および以下の特許請求の範囲に記載するものと等価であることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクラロースの生成における使用のためのスクラロース−6−エステルを精製する方法にであって、
第1有機溶媒を用いてスクラロース−6−エステルを含む組成物からスクラロース−6−エステルを抽出し、これにより、第1スクラロース−6−エステル溶液を生成するステップと、
前記第1スクラロース−6−エステル溶液を乾燥して、粗スクラロース−6−エステルを生成するステップと、
水を前記粗スクラロース−6−エステルに加えて、第2スクラロース−6−エステル溶液を生成するステップと、
第2有機溶媒を前記第2スクラロース−6−エステル溶液に加えて、スクラロース−6−エステルを沈殿させ、これにより、半精製スクラロース−6−エステルを生成するステップと、
前記半精製スクラロース−6−エステルを第3有機溶媒中において加熱し、半精製スクラロース−6−エステル溶液を生成するステップと、
前記半精製スクラロース−6−エステル溶液を冷却して、精製スクラロース−6−エステルを生成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第1有機溶媒は、酢酸エチルとする前記方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記第2有機溶媒は、エーテルまたはアルカンとする前記方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記第2有機溶媒は、エチルエーテル、石油エーテルまたはそれらの組み合わせとする前記方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記第3有機溶媒は、酢酸エチルとする前記方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記第1スクラロース−6−エステル溶液を、真空乾燥を用いて乾燥させる前記方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記第2有機溶媒の前記第2スクラロース−6−エステル溶液に対する比(v/v)は約1:0.1〜2とする前記方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記半精製スクラロース−6−エステルを、約45〜65℃で、酢酸エチル中において加熱する方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記スクラロース−6−エステルは、スクラロース−6−ベンゾエートまたはスクラロース−6−アセテートとする方法。

【公表番号】特表2011−529075(P2011−529075A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520207(P2011−520207)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/051588
【国際公開番号】WO2010/011866
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(509118916)マムテック インターナショナル リミテッド (4)
【Fターム(参考)】