説明

スクリュプレスの前処理装置

【課題】スクリュプレスに原料を投入する前に、前処理装置を設けて予備的に脱水する。
【解決手段】供給口15から投入された含水原料Sは拡散板16によりスクリーンドラム12の軸方向に拡散されて平滑化され、スクリーンドラム12の表面上に運搬される。スクリーンドラム12に穿けられた多数の脱水孔11により、原料Sの水分が自重によりスクリーンドラム12内に落下することにより脱水されると共に、スクリーンドラム12が回転することにより、原料Sは脱水されながら順次に原料投下口17を経てスクリュプレスの原料投入口に投入される。そして、原料Sから脱水された水分は排水口20から排水される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば下水、余剰、掘削汚泥のような大量の水分を含む含水原料から水分を脱水する場合に、予備脱水を行うスクリュプレスの前処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大量の水分を含んだ原料に対し脱水を行う場合に、従来の一般的なスクリュプレスの前にロータリスクリーンを配して、予備的な脱水を行うことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のロータリスクリーンに大量の水分を含んだ含水原料を直接に投入すると、スクリュにより撹拌されて、凝集していた含水原料が液状化してしまい、脱水効率を悪化させるという問題を有している。
【0004】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、スクリュプレスに含水原料を投入する前段階で、含水量を予備的に低下させるスクリュプレスの前処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するための本発明に係るスクリュプレスの前処理装置は、脱水処理を行うスクリュプレスの原料投入口に取り付けるスクリュプレスの前処理装置において、多数の脱水孔を有する円筒形の回転自在のスクリーンドラムと、該スクリーンドラムの表面上に原料を供給する供給口と、前記スクリーンドラムにより脱水した原料を前記投入口に投下する投下口とから成り、前記原料を前記スクリーンドラムの表面上で移動中に前記脱水孔から前記原料中の水分を前記スクリーンドラムの内部に落下させて脱水を行い、前記投下口を介してスクリュプレスの前記投入口に投下することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るスクリュプレスの前処理装置によれば、含水原料の水分量を低下させて、スクリュプレスに投入することができ、スクリュプレスの脱水処理能力が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1はスクリュプレスの原料投入口に、前処理装置を取り付けた状態の断面図を示している。多数の濾過孔を有するパンチングメタルから成り、円筒状に形成された濾過筒1内には、スクリュ羽根2を螺旋状に取り付けたスクリュ軸3が支承されている。スクリュ軸3は等径としてスクリュ羽根2は下流に向うにつれそのピッチが小さくされている。或いは、スクリュ軸3は下流に向うにつれ大径となるテーパ状とし、スクリュ羽根2は等ピッチで設けてもよい。
【0008】
濾過筒1の一端には、原料を濾過筒1内に投入するための原料投入口4が設けられ、濾過筒1の他端には脱水ケーキを排出するための原料排出口5が設けられている。原料排出口5には、テーパコーン6が設けられ、テーパコーン6は押圧機構7により常時上流側に付勢されている。また、濾過筒1の原料投入口4の上部には、濾過筒1に原料を投入する前段階で、原料の水分量を予備的に低下させるための前処理装置8が構設されている。
【0009】
図2は前処理装置8の拡大断面図、図3は拡大平面図をそれぞれを示しており、枠体に囲まれた前処理装置8内には、多数の脱水孔11が穿けられた例えばパンチングメタルや金網から成る円筒形のスクリーンドラム12が、両側の支持部材13を介して軸14により回転自在に設けられ、図示しないモータにより矢印方向に回転されている。スクリーンドラム12の斜め上方の回転方向の上流側には、原料Sを供給する供給口15が設けられている。供給口15の近傍には、供給口15から投入された原料Sをスクリーンドラム12の軸方向に平滑化しながら拡散させるために、スクリーンドラム12との間隔を調整可能とする拡散板16が設けられている。拡散板16は上下に昇降可能とするだけでなく、前後方向に移動可能となっている。また、前処理装置8の下部には、スクリーンドラム12により脱水した原料Sを、スクリュプレスの原料投入口4に導く原料投下口17が設けられている。
【0010】
また、スクリーンドラム12の下方には、スクリーンドラム12の脱水孔11の目詰りを除去するために、水を噴射する洗浄ノズル18がスクリーンドラム12に向けて設けられている。なお、洗浄ノズル18はスクリーンドラム12の軸方向に沿って複数個設けられているが、少数の洗浄ノズル18を軸方向に沿って移動しながら洗浄してもよい。また、スクリーンドラム12の側部から下部に向けて脱水した原料Sを案内すると共に、脱水した水分を集めるための案内板19が設けられている。また、前処理装置8の下部側方には排水口20が設けられ、案内板19により集められた脱水した水分及び洗浄ノズル18から噴射された水分を排水口20から排水するようにされている。
【0011】
使用に際して、スクリーンドラム12はモータにより軸14を介して毎分5〜15回転の速度で回転している。供給口15から連続的に投入された原料Sは、拡散板16によりスクリーンドラム12の表面上において、その軸方向に拡散されて平滑され、スクリーンドラム12の表面上を回転方向に運搬される。なお、スクリーンドラム12と拡散板16の間の間隔は、拡散板16の位置を調整することにより変更でき、供給する原料Sの含水量等によりその間隔を調整することが好ましい。
【0012】
そして、原料Sがスクリーンドラム12の表面上を移動中に、多数の脱水孔11から原料中の水分が自重によりスクリーンドラム12の内部に落下することにより脱水される。脱水された水分はスクリーンドラム12の下側の脱水孔11を経てスクリーンドラム12の下方に落下し、案内板19により集められ排水口20に排水される。予備脱水された原料Sは案内板19により案内され、原料投下口17を介して順次にスクリュプレスの原料投入口4に投入される。
【0013】
また、スクリーンドラム12の下方に設けた洗浄ノズル18からスクリーンドラム12の下面に向けて洗浄水が噴射され、スクリーンドラム12の脱水孔11の目詰りを洗浄している。そして、洗浄ノズル18の水分は排水口20から排水される。これにより、スクリーンドラム12は常に目詰まりのない脱水孔11が確保できることになる。
【0014】
前処理装置8において予備脱水された原料Sは、原料投下口17、原料投入口4を介してスクリュプレス内に投入され、濾過筒1、スクリュ羽根2、スクリュ軸3によって囲まれた空間において搬送され、この空間が徐々に狭くなることにより原料Sが圧搾されて、濾過孔により濾過され、脱水ケーキとして原料排出口5から排出される。
【0015】
このように、前処理装置8はスクリーンドラム12の前段階において、水分を自重により予備的に脱水することにより、スクリュプレスにおいては凝集した原料Sを液状化させることなく脱水でき、脱水効率を向上させることができる。
【0016】
なお本実施例においては、拡散板16を設けることにより、原料Sをスクリーンドラム12の軸方向に拡散したが、原料Sを供給する供給口15の形状を規制することにより、拡散板16を省略することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】スクリュプレスの原料投入口に前処理装置を取り付けた状態の断面図である。
【図2】前処理装置の拡大断面図である。
【図3】前処理装置の拡大平面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 濾過筒
2 スクリュ羽根
3 スクリュ軸
4 原料投入口
5 原料排出口
8 前処理装置
11 脱水孔
12 スクリーンドラム
13 支持部材
14 軸
15 供給口
16 拡散板
17 原料投下口
18 洗浄ノズル
19 案内板
20 排水口
S 原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱水処理を行うスクリュプレスの原料投入口に取り付けるスクリュプレスの前処理装置において、多数の脱水孔を有する円筒形の回転自在のスクリーンドラムと、該スクリーンドラムの表面上に原料を供給する供給口と、前記スクリーンドラムにより脱水した原料を前記投入口に投下する投下口とから成り、前記原料を前記スクリーンドラムの表面上で移動中に前記脱水孔から前記原料中の水分を前記スクリーンドラムの内部に落下させて脱水を行い、前記投下口を介してスクリュプレスの前記投入口に投下することを特徴とするスクリュプレスの前処理装置。
【請求項2】
前記スクリーンドラムの表面の上方には、前記原料を前記スクリーンドラムの表面上に平滑化して拡散させるための拡散手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のスクリュプレスの前処理装置。
【請求項3】
前記拡散手段は取付位置及び前記スクリーンドラムの表面との間隔を調整可能としたことを特徴とする請求項2に記載のスクリュプレスの前処理装置。
【請求項4】
前記スクリーンドラムの下方には、前記脱水孔の目詰りを洗浄するために、水を噴射する洗浄手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載のスクリュプレスの前処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−142773(P2009−142773A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324254(P2007−324254)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(391044351)富国工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】