説明

スクリューキャップの取り外し方法およびスクリューキャップの取り外し装置

【課題】開栓したスクリューキャップ2を容器6のネジに引っ掛けることなく抜き取る。
【解決手段】スクリューキャップ2を装着した状態の容器6を搬送コンベヤ4によって供給し、制御装置16に制御されるサーボモータ12によって回転し、かつ、昇降手段によって昇降するチャック10によってスクリューキャップ2を把持するとともに、グリッパ8A、8Bによって容器6の胴部6aを把持する。チャック10を一度閉栓方向に回転させて、スクリューキャップ2が一定のトルクとなるように締め付け、その後、開栓方向へ所定角度回転する。容器6のネジとスクリューキャップ2のネジとが上下方向に引っ掛からない位置となるように回転角度を設定しておくことにより、確実にスクリューキャップ2を取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に装着されているスクリューキャップを取り外すスクリューキャップの取り外し方法およびスクリューキャップの取り外し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内に液体等を充填する際に、充填前の容器の内部にゴミ等が入らないようにキャップを装着した状態で、容器が充填ラインに供給される場合がある。このような場合には、先ず、キャップを容器から取り外した後充填を行い、その後、再びキャップを装着するようにしている。前記のように装着されているスクリューキャップを取り外す装置は従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載された発明に係るスクリューキャップの取り外し装置(発明の名称はキャップ開閉装置)は、試料容器を把持するグリッパと、このグリッパを開閉駆動するグリップ開閉駆動部と、グリッパ開閉駆動部を回転駆動する駆動部とを有しており、試料容器からキャップを外す場合には、前記グリッパによって両側から試料容器を把持するとともに、キャップをロボットハンドによって把持し、ロボットハンドを停止させた状態でグリッパを開放方向へ回転させて試料容器を回転させた後、ロボットハンドを上昇させることにより試料容器からキャップを取り外すようにしている。
【0004】
または、前記構成と逆に、ロボットハンドによって試料容器を把持するとともに、グリッパによってキャップを把持し、この状態でグリッパを開放方向に回転させてキャップを回転させた後、試料容器を把持したロボットハンドを下降させることにより、試料容器からキャップを取り外すようにしている。
【特許文献1】特開平3−226485号公報(第2−3頁、図2、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、スクリューキャップを容器から取り外す場合には、チャックでスクリューキャップを把持して開放方向へ所定角度回転させた後、スクリューキャップを把持しているチャックを上昇させることによりキャップを取り外すようにしている。前記引用文献1に記載された発明でも、試料容器とキャップとを相対的に回転させた後、キャップを上昇または試料容器を下降させてキャップを取り外すようにしている。
【0006】
ところが、スクリューキャップを巻き締めた状態で供給されてくる容器の巻き締めトルクにばらつきがあると、巻き締め角度が一定に揃わないため、スクリューキャップを開放方向へ所定角度回転させても、スクリューキャップのネジ山と容器の口部のネジ山との相対的な位置が一定にならない。
チャックをスプリングなどにより下方に付勢した状態で開放方向に回転すると、巻き締め角度が一定でない場合には、一旦係合が外れたネジが再度噛み合ってしまい、キャップを真上に引き上げる際に両者のネジが引っ掛かってキャップの取り外しがうまくいかない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスクリューキャップの取り外し方法は、前記課題を解決するためになされたもので、容器供給手段によって供給された容器に装着されているスクリューキャップをチャックによって把持するとともに、前記容器をグリッパによって把持し、前記チャックを回転させてスクリューキャップを所定トルクまで閉鎖方向に締め付け、その後、チャックを逆回転させてスクリューキャップを開放方向へ所定角度回転させた後、スクリューキャップを把持したチャックを上昇させることによりスクリューキャップを取り外すようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2に記載したスクリューキャップの取り外し装置は、スクリューキャップが装着された容器を供給する容器供給手段と、スクリューキャップを把持するチャックと、容器を把持するグリッパと、チャックを昇降させる昇降手段と、チャックをスクリューキャップの閉鎖方向と開放方向へ回転させるサーボモータと、サーボモータのトルクと回転角度を制御する制御手段とを備え、前記チャックを下降させてスクリューキャップを把持するとともに、所定トルクまでスクリューキャップを閉鎖方向に回転させ、その位置からスクリューキャップを開放方向へ所定角度回転させた後、スクリューキャップを把持した状態でチャックを上昇させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスクリューキャップの取り外し方向およびスクリューキャップの取り外し装置は、チャックによってスクリューキャップを保持して、一度閉鎖方向に回転させて所定のトルクで締め付けることにより、締め付け角度が一定となるようにした後、チャックを逆回転させてスクリューキャップを開放方向に所定角度回転させて開栓し、その後、スクリューキャップを保持したチャックを上昇させて容器の口部から取り外すようにしたので、容器口部のネジ山とスクリューキャップのネジ山とが、常に一定の位置となるように開栓することができ、スクリューキャップのネジが容器の口部のネジに引っ掛かることなく確実に取り外すことができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
スクリューキャップが装着されている容器を供給する容器供給手段と、スクリューキャップを把持するチャックと、容器を把持するグリッパと、チャックを昇降させる昇降手段と、チャックを回転させるサーボモータとを備えており、前記チャックを下降させてスクリューキャップを把持するとともに、グリッパによって容器を把持した状態で、サーボモータにより、先ず、チャックをスクリューキャップの閉鎖方向へ回転させて、所定のトルクとなるように締め付け、その後、逆方向にチャックを回転させて、スクリューキャップを前記閉鎖位置から所定角度回転させ、その後、チャックを上昇させてスクリューキャップを容器から取り外すという構成で、スクリューキャップのネジと容器のネジとが引っ掛かるおそれのないスクリューキャップの取り外し方法および取り外し装置を提供するという目的を達成する。
【実施例1】
【0011】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係るスクリューキャップの取り外し装置の一部を簡略化して示す図である。予めスクリューキャップ2が装着された状態で容器供給手段(搬送コンベヤ4)によって搬送されてきた容器6は、スクリューキャップ2の取り外し位置Pに停止する。この取り外し位置Pには容器6の胴部6aを把持する一対のグリッパ8A、8Bが設けられており、これら両グリッパ8A、8Bによって容器6を把持することにより、スクリューキャップ2を回転させる際の容器6の共回りを防止する。なお、この図1では、スクリューキャップ2が容器6から取り外された後の状態を示している。
【0012】
前記スクリューキャップ2の取り外し位置Pの上方には、スクリューキャップ2を把持して回転させるためのチャック10が設けられている。このチャック10は、サーボモータ12によって往復回転されるとともに図示しない昇降手段によって昇降する回転軸14の下端に取り付けられて回転および昇降する。チャック10は、スクリューキャップ2の天面2aに当接する支持部10aと、スクリューキャップ2の外周面2bを把持する把持部10bとを有している。なお、チャック10は、図示しないスプリングなどの付勢手段によって常時下方へ付勢されている。
【0013】
チャック10は、サーボモータ12によって閉栓方向と開放方向の両方向に回転できるようになっており、制御装置16によってこのサーボモータ12の駆動を制御するようになっている。このサーボモータ12の駆動電流を電流計18により検出して制御装置16に入力し、制御装置16が、この電流値によってトルクを算出するようになっている。また、サーボモータ12にはエンコーダ20が設けられており、サーボモータ12の回転によって出力されるパルスをカウントすることにより、制御装置16がチャック10の回転角度を算出する。一方、制御装置16からは、サーボモータ12の駆動を制御する指令信号を出力するようになっており、チャック10の回転によるスクリューキャップ2の締め付けトルクを制御するトルク指令信号22と、スクリューキャップ2の回転角度および回転速度の指令信号24を出力する。
【0014】
前記構成のスクリューキャップの取り外し装置によって容器6からスクリューキャップ2を取り外す方法について、図1および図2に示すグラフを参照して説明する。図2の最上段(a)は、図示しない昇降手段によるチャック10の昇降高さ、中段(b)はサーボモータ12によるチャック10の回転速度、下段(c)はチャック10の締め付けトルクをそれぞれ示すグラフである。搬送コンベヤ4によって、スクリューキャップ2が装着された状態の容器6が搬送され、スクリューキャップ2の取り外し位置Pに停止すると、先ず、チャック10が図示しない昇降手段によって下降してスクリューキャップ2を把持する。チャック10は図2(a)のA〜B区間で下降し、C位置でチャッキングを完了する。以後、開栓が終了するまでは、チャックはこの高さに位置している(図2(a)のC〜H区間参照)。
【0015】
チャック10がスクリューキャップ2を把持すると、開栓を開始する前に、サーボモータ12の駆動によりスクリューキャップ2を閉栓方向に回転させて、各容器6に装着されているスクリューキャップ2の締め付けトルクを一定にする。この増し締めは、制御装置から出力されるトルク指令信号22と回転速度および回転角指令信号24を受けてサーボモータ12がチャック10を閉栓方向に回転させて行う。チャック10を閉栓方向に回転させる区間は、図2(a)、(b)、(c)のC〜D区間であり、指令の回転速度S1で、CからDまでの間の時間に指令回転角度だけ回転するとともに、設定トルクT1を付与する。
【0016】
供給された容器6に装着されているスクリューキャップ2の増し締めを行った後、チャック10を開栓方向に回転させる。制御装置16からのトルク指令信号22と、回転速度および回転角度の指令信号24とがサーボモータ12に送られ、このサーボモータ12の駆動によりスクリューキャップ2を保持しているチャック10を回転させる。サーボモータ12の駆動によって、E位置(図2(b)参照)からチャック10が回転を開始し、等加速度で回転を立ち上げ、F位置で指令回転速度S2に到達する。この回転速度で回転を続け、G位置で指令回転角度に到達して停止する。一方、指令トルク値はT2であり、実回転が指令回転に追従するように充分に高い値になっている。
【0017】
チャック10が指令の回転角度だけ回転することにより開栓が完了したスクリューキャップ2を保持しているチャック10を上昇させて、容器6の口部6bからスクリューキャップ2を上方へ抜き取る。図2(a)のH位置からチャック10が上昇を開始し、I位置まで持ち上げることにより、スクリューキャップ2を容器6の口部6bから抜き取る。チャック10の回転によりスクリューキャップ2を指令回転角度だけ回転させると、スクリューキャップ2を上方へ持ち上げた際に、スクリューキャップ2の内面のネジ山と容器6の口部6b外面のネジ山とが引っ掛からない位置に来るように、回転角度が設定されており、スクリューキャップ2が容器6からスムーズに抜き取られる。なお、図2(a)、(b)、(c)のE〜H区間が開栓制御区間である。また、開栓終了後、図2(c)に示すように、チャック10を持ち上げてスクリューキャップ2を抜き取る時点まで、停止位置保持のためのトルクを付与している(同図G〜J参照)。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】スクリューキャップの取り外し装置の構成を簡略化して示す図である。(実施例1)
【図2】(a)はチャックの昇降高さを示すグラフ、(b)はチャックの開栓方向および閉栓方向の回転速度を示すグラフ、(c)はチャックの開栓方向および閉栓方向のトルクを示すグラフである。
【符号の説明】
【0019】
2 スクリューキャップ
4 容器供給手段(搬送コンベヤ)
6 容器
10 チャック
12 サーボモータ
16 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器供給手段によって供給された容器に装着されているスクリューキャップをチャックによって把持するとともに、前記容器をグリッパによって把持し、前記チャックを回転させてスクリューキャップを所定トルクまで閉鎖方向に締め付け、その後、チャックを逆回転させてスクリューキャップを開放方向へ所定角度回転させた後、スクリューキャップを把持したチャックを上昇させることによりスクリューキャップを取り外すスクリューキャップの取り外し方法。
【請求項2】
スクリューキャップが装着された容器を供給する容器供給手段と、スクリューキャップを把持するチャックと、容器を把持するグリッパと、チャックを昇降させる昇降手段と、チャックをスクリューキャップの閉鎖方向と開放方向へ回転させるサーボモータと、サーボモータのトルクと回転角度を制御する制御手段とを備え、
前記チャックを下降させてスクリューキャップを把持するとともに、所定トルクまでスクリューキャップを閉鎖方向に回転させ、その位置からスクリューキャップを開放方向へ所定角度回転させた後、スクリューキャップを把持した状態でチャックを上昇させることを特徴とするスクリューキャップの取り外し装置。

【図1】
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【図2】
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