説明

スクリューフィーダおよび自走式土質改良機

【課題】フラッシングの抑制効果を向上させることができるスクリューフィーダの提供。
【解決手段】スクリューコンベア20が、スクリューシャフト23の回転中において、1対の仕切羽根31,32と、延長部30を含む軸棒部24の吐出口22b側の端部の外周面と、スクリュー羽根25と、ケーシング21の内面とによって包囲された閉鎖空間33を形成することと、1対の仕切羽根31,32に位置する空間を吐出口22bを通じてケーシング21の外部に開放することとを交互に繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホッパに貯留された粉粒体をスクリューコンベアにより搬送して吐出するスクリューフィーダ、およびこのスクリューフィーダを備えた自走式土質改良機に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリューフィーダは、ホッパと、このホッパの下部に設けられたスクリューコンベアとを備えている。スクリューコンベアは、軸周りに回転するスクリューシャフトと、このスクリューシャフトが収容されたケーシングとを備えている。ケーシングは、回転するスクリューシャフトにより流動させられる粉粒体をガイドするトラフを含んで形成されている。トラフの一端部には、スクリューシャフトによりトラフ内を搬送されてきた粉粒体をケーシングの外部に導く吐出口が設けられている。
【0003】
この種のスクリューフィーダでは、ホッパ内からトラフの吐出口までが、常時連通した空間となっている。このため、ホッパに貯留された粉粒体の自重による圧力が、トラフ内の粉粒体を押し動かして吐出口から噴出させる、いわゆるフラッシングが発生する。
【0004】
土質改良機は、土砂等の原料土と、粉粒体である固化材等の土質改良材とを混合装置により混合、撹拌して改良土を生成する。混合装置に土質改良材を供給する手段としてスクリューフィーダが用いられている。原料土と土質改良材との混合比を適切なものにするために、スクリューフィーダによる混合装置への土質改良材の供給量、すなわち、スクリューコンベアからの土質改良材の吐出量は、スクリューシャフトのスクリュー羽根のピッチと、スクリューシャフトの回転速度とに基づいて計算される。この計算は、スクリューシャフトによる土質改良材の搬送量と、スクリューコンベアの吐出口から吐出される土質改良材の吐出量とが一致することを前提として行われている。フラッシングが発生すると、スクリューコンベアからの土質改良材の吐出量はスクリューシャフトによる搬送量を超えるため、計算上の吐出量と実際の吐出量との誤差が大きくなり、原料土と土質改良材の適切な混合比を実現しにくくなるという問題が生じる。
【0005】
フラッシングの発生を抑制するために、特許文献1に記載のスクリューフィーダ(特許文献1のスクリュー式供給機に相当)においては、スクリューコンベア(特許文献1のスクリューフィーダに相当)のトラフの内面に、スクリューシャフト側に突出した邪魔板が設けられている。つまり、ホッパに貯留された粉粒体の自重による圧力の伝達率を邪魔板によって低減し、これによりフラッシングの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−131257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1に記載の邪魔板はフラッシングの発生を抑制することはできるものの、その抑制効果は十分ではなく、さらなる抑制効果の向上が要望されている。
【0008】
本発明の目的は、フラッシングの発生の抑制効果を向上させることができるスクリューフィーダおよび自走式土質改良機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前述の目的を達成するために次のように構成されている。
【0010】
〔1〕 本発明のスクリューフィーダは、ホッパと、前記ホッパの下部から排出された粉粒体を搬送するスクリューコンベアとを備え、前記スクリューコンベアは、軸周りに回転するスクリューシャフトと、回転する前記スクリューシャフトによる粉粒体の搬送をガイドするトラフを含んで形成されたケーシングとを備え、前記スクリューシャフトは、軸棒部と、前記軸棒部の外周面から螺旋状に突出したスクリュー羽根とを有し、前記トラフの一端部には、前記スクリューシャフトにより前記トラフ内を搬送されてきた粉粒体を前記ケーシングの外部に導く吐出口が設けられたスクリューフィーダにおいて、前記軸棒部は、この軸棒部の軸方向において前記スクリュー羽根よりも前記吐出口側に延びて位置した延長部を有し、前記延長部を含む前記軸棒部の端部の外周面には1対の仕切羽根が設けられ、この1対の仕切羽根は、互いに軸周方向の異なる位置から突出して前記トラフの内周面に近接して位置し、かつ、それぞれが前記軸方向において前記スクリュー羽根と前記ケーシングの内面との間の略全域に亘って位置し、前記スクリューシャフトの回転中において、前記1対の仕切羽根と、前記延長部を含む前記軸棒部の前記吐出口側の端部の外周面と、前記スクリュー羽根と、前記ケーシングの内面とによって包囲された閉鎖空間が形成される閉鎖状態と、前記1対の仕切羽根に位置する空間が前記吐出口を通じて前記ケーシングの外部に開放される開放状態とが交互に繰り返されることを特徴とする。
【0011】
この「〔1〕」に記載されたスクリューフィーダは、スクリューシャフトの回転中、閉鎖状態のときに、ホッパ内からトラフの吐出口までの連通を1対の仕切羽根により遮断してフラッシングを発生させない。これにより、フラッシングの発生の抑制効果を従来よりも向上させることができる。
【0012】
〔2〕 本発明のスクリューフィーダは、「〔1〕」に記載のスクリューフィーダにおいて、前記閉鎖空間の容積は、前記スクリュー羽根の1ピッチ分の容積以上に設定され、前記スクリューシャフトが1回転する間に前記1ピッチ分の搬送物の全量が前記閉鎖空間に一時的に保持されるよう前記1対の仕切羽根および前記吐出口のそれぞれの寸法および形状と、互いの位置関係とが設定されたことを特徴とする。
【0013】
この「〔2〕」に記載されたスクリューフィーダは、閉鎖空間に1ピッチ分の搬送物の全量が流入するため、この閉鎖空間よりもホッパ側のトラフ内の粉粒体に内在する圧力を除去することができる。これにより、フラッシングの発生の抑制効果を、一層向上させることができる。
【0014】
〔3〕 本発明のスクリューフィーダは、「〔1〕」または「〔2〕」に記載のスクリューフィーダにおいて、前記閉鎖状態か前記開放状態かを判定する判定手段と、前記スクリューシャフトの回転を停止させるに際し、前記判定手段による判定結果が前記開放状態である場合に、前記スクリューシャフトを前記閉鎖状態となる角度まで回転させてから停止させる制御手段とが設けられたことを特徴とする。
【0015】
この「〔3〕」に記載されたスクリューフィーダは、スクリューシャフトの停止状態において、ホッパ内からトラフの吐出口までの連通を1対の仕切羽根により遮断することができる。これにより、スクリューシャフトの停止後におけるフラッシングの発生を防止することができる。
【0016】
〔4〕 本発明の自走式土質改良機は、「〔1〕」〜「〔3〕」のいずれか1に記載のスクリューフィーダを土質改良材を供給する手段として備えるとともに、搬送方向の下流側端部が前記スクリューフィーダの前記吐出口の下方に位置するよう設けられて原料土を搬送する第1ベルトコンベアと、前記第1ベルトコンベアの下方に設けられ、前記第1ベルトコンベアから落下してきた原料土と土質改良材を受け入れ、これら原料土と土質改良材を撹拌、混合して改良土を生成する混合装置と、前記混合装置から排出された改良土を搬出する第2ベルトコンベアと、前記スクリューフィーダ、前記第1ベルトコンベア、前記混合装置および前記第2ベルトコンベアを支持する本体フレームと、前記本体フレームの下方に位置してこの本体フレームに結合し、この本体フレームを支持して走行する走行体とを備えたことを特徴とする。
【0017】
この「〔4〕」に記載された自走式土質改良機は、走行体により、「〔1〕」〜「〔3〕」のいずれか1に記載のスクリューフィーダ、第1ベルトコンベア、混合装置および第2ベルトコンベアを一度に移動させることができる。つまり、「〔1〕」〜「〔3〕」のいずれか1に記載のスクリューフィーダを搭載した土質改良機の輸送の容易化に貢献できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、前述したようにフラッシングの発生を従来よりも抑制することができる。これにより、スクリューフィーダにおける粉粒体の計算上の吐出量と実際の吐出量との誤差を従来よりも小さくすることに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る自走式土質改良機の左側面図である。
【図2】図1に示した自走式土質改良機の上面図である。
【図3】図1に示した自走式土質改良機の前面図である。
【図4】図1示した自走式土質改良機に搭載されたスクリューフィーダと、第1ベルトコンベアの後端部(搬送方向の下流側端部)とを拡大して示す図である。
【図5】図4に示したスクリューコンベアの内部を拡大して示す図であり、「(a)」はスクリューコンベアの内部を左側から見た状態を示す図であり、「(b)」は「(a)」のA断面図である。
【図6】スクリューシャフトの回転に伴って変化する1対の仕切羽根と吐出口の位置関係を示す図である。
【図7】スクリューシャフトを停止させる際の制御に係るブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る自走式土質改良機について図1〜図7を用いて説明する。
【0021】
図1〜図3に示すように、自走式土質改良機1は前後方向に延びて左右方向に平行に並んで位置した2つの走行体2A,2Bを備えている。走行体2Aは、この走行体2Aの骨格を成すトラックシュー3Aと、このトラックシュー3Aの後端部に設けられた走行モータ(図示してない)により駆動される駆動輪4Aと、トラックシュー3Aの前端部に設けられた従動輪5Aと、この従動輪5Aと駆動輪4Aに掛け回された履帯6Aとを備えている。走行体2Bは走行体2Aと同様に、トラックシュー3B、走行モータ(図示してない)、駆動輪(図示してない)、従動輪(図示してない)および履帯6Bを備えている。走行体2Bと走行体2Aは左右方向において面対称の関係にある。
【0022】
走行体2A,2Bの上方には、自走式土質改良機1の本体の骨格を成す本体フレーム7が配置されている。この本体フレーム7とトラックシュー3Aの間には連結部8Aが介在し、この連結部8Aは本体フレーム7の左下部とトラックシュー3Aの右側面に固着されている。本体フレーム7とトラックシュー3Bの間には連結部8Aと同様の連結部8Bが介在し、この連結部8Bは本体フレーム7の右下部とトラックシュー3Bの右側面に固着されている。これら連結部8A,8Bは走行体2A,2Bの上方に本体フレーム7を支持している。
【0023】
自走式土質改良機1はスクリューフィーダ10を、粉粒体であり土質改良材である固化材を供給する手段として備えている。スクリューフィーダ10は、固化材を貯留する固化材ホッパ11と、この固化材ホッパ11の下部から排出された固化材を搬送するスクリューコンベア20とを備えている。
【0024】
固化材ホッパ11は、蛇腹構造の筒状部12と、この筒状部12の下部に設けられ筒状部12の内部空間と連続した空間を内部に形成した漏斗部13と、筒状部12の上端部を覆って位置し略中央に固化材の投入口(図示してない)が形成された天板14と、この天板14に設けられ投入口を開閉する蓋体15とを有する。
【0025】
本体フレーム7は略中央に支持台7aを有する。この支持台7aは4脚の台であり、その上部は上下方向に貫通した枠部7a1から成る。この枠部7a1の上面には枠状の板部材から成る台板7a2が固着されている。この台板7a2は固化材ホッパ11を支持している。固化材ホッパ11は全体としては台板7a2に挿通された状態で位置し、筒状部12は台板7a2よりも上方に突出して位置し、漏斗部13は台板7a2よりも下方に突出して位置する。
【0026】
台板7a2には支柱7b1,7b2等の4本の支柱が立設されている。支柱7b1は固化材ホッパ11の筒状部12の前方左側に配置されていて、支柱7b1は固化材ホッパ11の筒状部12の後方左側に配置されている。図示してないが、筒状部12の前方右側および後方右側のそれぞれに、4本の支柱から支柱7b1,7b2を除いた残りの2本の支柱が配置されている。支柱7b1,7b2等の4本の支柱の上端はそれぞれ天板14に固定されている。支柱7b1は台板7a2に設けられ上下方向に貫通したガイド筒7c1Aに挿通されている。支柱7b1とガイド筒7c1Aにストッパピン(図示してない)を挿通することによって、ガイド筒7c1Aに対する支柱7b1の移動が阻止されている。残りの3本の支柱7b2等も台板7a2に対して同様に取り付けられている。すべてのストッパピンを抜き取って、支柱7b1,7b2等の4本の支柱を台板7a2に対し下方向に移動させることにより、蛇腹構造の筒状部12は台板7a2上で下方向に折り畳まれる。
【0027】
図4に示すように、スクリューコンベア20はケーシング21を有する。このケーシング21は漏斗部13の下部に固着されている。ケーシング21内にはスクリューシャフト23が配置されている。このスクリューシャフト23は、ケーシング21に対してスクリューシャフト23の軸周りに回転自在に支持されている。ケーシング21は、回転するスクリューシャフト23による固化材の搬送をガイドするトラフ22を含んで形成されている。スクリューシャフト23およびトラフ22は、スクリューシャフト23の搬送方向の前端側から後端側に向かって下り勾配を成すよう傾斜して位置する。
【0028】
スクリューシャフト23は、軸棒部24と、軸棒部24の外周面から螺旋状に突出したスクリュー羽根25とを有する。スクリュー羽根25は、搬送方向の前端側ほどピッチが大きくなるよう小ピッチ部26、中ピッチ部27および大ピッチ部28が形成されている。つまり、搬送方向に3段階でピッチが増大するようになっている。
【0029】
スクリューシャフト23の軸棒部24の後端は、ケーシング21から突出して位置する。この軸棒部24の後端の上方にはスクリューコンベアモータ29(油圧モータ)が配置され、固化材ホッパ11の漏斗部13に取り付けられている。スクリューコンベアモータ29の出力は伝動装置35を介して軸棒部24に伝達され、これによりスクリューシャフト23は回転する。
【0030】
トラフ22の上側の面には、漏斗部13の排出口とトラフ22内への固化材の入口を兼ねる開口部22aが形成されている。トラフ22の前端部の下側の面には、スクリューシャフト23によりトラフ22内を搬送されてきた固化材をケーシング21の外部に導く吐出口22bが設けられている。ケーシング21の後端部はトラフ22の開口部22aよりも後方に位置し、スクリューシャフト23の小ピッチ部26の後端側の略半分を覆い、これによって、その小ピッチ部26の後端側の略半分におけるスクリュー羽根25の間への固化材の流入を阻止している。
【0031】
図5に示すように、スクリューシャフト23の軸棒部24は、この軸棒部24の軸方向においてスクリュー羽根25よりも吐出口22b側に延びて位置した延長部30を有する。この延長部30を含む軸棒部24の端部の外周面には、スクリューシャフト23の軸方向および径方向に広がった1対の仕切羽根31,32が設けられている。この1対の仕切羽根31,32は、互いに軸周方向の異なる位置から突出してトラフ22の内周面に近接して位置し、かつ、それぞれがスクリューシャフト23の軸方向においてスクリュー羽根25とケーシング21の内面との間の略全域に亘って位置する。ここで、前記「1対の仕切羽根31,32は、互いに軸周方向の異なる位置から突出してトラフ22の内周面に近接して位置し」のうちの「近接」とは、仕切羽根31,32のそれぞれの突端とトラフ22の内周面との間に、スクリュー羽根25の突端とトラフ22の内周面と間のクリアランスと同等のクリアランス、すなわちスクリューシャフト23の回転を許容しつつ固化材の漏れを十分に抑えることができるクリアランスが形成されていることを意味する。また、前記「それぞれがスクリューシャフト23の軸方向においてスクリュー羽根25とケーシング21の内面との間の略全域に亘って位置する」のうちの「略全域」とは、スクリューシャフト23の軸方向における仕切羽根31,32のそれぞれの端部と、スクリューシャフト23の軸方向におけるトラフ22の吐出口22b側の端部の内面22cとの間に、スクリューシャフト23の回転を許容しつつ固化材の漏れを十分に抑えることができるクリアランスが形成されていることを意味する。
【0032】
前述のように1対の仕切羽根31,32は、互いに軸周方向の異なる位置から突出してトラフ22の内周面に近接して位置する。1対の仕切羽根31,32間の角度間隔は例えば90°に設定されている。吐出口22bは軸棒部24周りの90°の範囲で開口している。これにより、図6に示すように、スクリューシャフト23の回転中、すなわちスクリューシャフト23が「(a)」→「(b)」→「(c)」→「(d)」→「(e)」→「(f)」→「(a)」→「(b)」・・・という順番で吐出口22bに対する1対の仕切羽根31,32の位置を変化させながら回転を繰り返している間、1対の仕切羽根31,32と、延長部30を含む軸棒部24の吐出口22b側の端部の外周面と、スクリュー羽根25と、ケーシング21の内面とによって包囲された閉鎖空間33が形成される閉鎖状態(「(a)」から「(c)」までの状態)と、1対の仕切羽根31,32に位置する空間34が吐出口22bを通じてケーシング21の外部に開放される開放状態(「(d)」、「(e)」および「(f)」を含む「(c)」の直後から「(a)」の直前までの状態)とが交互に繰り返されるようになっている。
【0033】
閉鎖空間33の容積は、スクリュー羽根25の大ピッチ部28の1ピッチ分の容積以上に設定され、スクリューシャフト23が1回転する間に大ピッチ部28の1ピッチ分の搬送物の全量が閉鎖空間33に一時的に保持されるよう、1対の仕切羽根31,32および吐出口22bのそれぞれの寸法および形状と、互いの位置関係とが設定されている。つまり、次式を満たすよう設定されている。
【0034】
A≧B(t−t1)/t
A:閉鎖空間33の容積
B:大ピッチ部28の1ピッチ分の容積
t:スクリューシャフト1回転あたりの所要時間
t1:空間34が吐出口22bを通じてケーシング21の外部に開放される時間
本体フレーム7の前部は第1ベルトコンベア40を支持している。この第1ベルトコンベア40は原料土としての土砂を搬送する、いわゆる土砂フィーダである。第1ベルトコンベア40の上方には、第1ベルトコンベア40に供給する土砂をガイドする土砂ホッパ41が配置されている。この土砂ホッパ41も本体フレーム7により支持されている。第1ベルトコンベア40の搬送方向の下流側端部(自走式土質改良機1の前後方向においては後端部)は、スクリューフィーダ10の吐出口22bの下方に位置する。つまり、吐出口22bから落下してきた固化材を受け止めて搬送するようになっている。
【0035】
第1ベルトコンベア40の搬送方向における前端部の下方には、2軸パドルミキサからなる混合装置42が配置されて本体フレーム7に支持されている。この混合装置42は、第1ベルトコンベア40の搬送方向における前端部から落下してきた土砂と固化材を受け入れ、これら土砂と固化材を撹拌、混合して改良土を生成し、その改良土を排出する。
【0036】
本体フレーム7の後部は第2ベルトコンベア43を支持している。この第2ベルトコンベア43は、混合装置42から排出された改良土を受け止めて、自走式土質改良機1の後方に搬出する、いわゆる排出コンベアである。
【0037】
前述のようにスクリューシャフト23はスクリューコンベアモータ29を駆動源としている。第1ベルトコンベア40、混合装置42、第2ベルトコンベア43も、別個の油圧モータ、すなわち土砂フィーダモータ45、ミキサモータ(図示してない)および排出コンベアモータ46のそれぞれを駆動源としている。これらスクリューコンベアモータ29、土砂フィーダモータ45、ミキサモータおよび排出コンベアモータ36(以下、これらの油圧モータを「スクリューコンベアモータ29等」という)は、図示してないが、油圧ポンプの吐出油により駆動されるものであり、その油圧ポンプはエンジンの出力を伝達され駆動されるものであり、油圧ポンプとスクリューコンベアモータ29等のそれぞれとの間には電気操作式のコントロールバルブが介在して油圧ポンプからスクリューコンベア20等への圧油の流れが制御されるようになっている。エンジン、油圧ポンプ、コントロールバルブは、図1に示すパワーユニット44として1個所にまとめられて支持台7aの前方に配置され、本体フレーム7により支持されている。
【0038】
パワーユニット44の下方にはコントロールボックス50が設けられている。このコントロールボックス50の左側面には操作盤51が設けられている。この操作盤51から出力される指令信号(電気信号)は、コントロールボックス50に格納されたコントローラ52(図7に示す)に入力されるようになっている。
【0039】
図7に示すように、コントローラ52は、CPU、ROMおよびRAMを含む処理装置を備え、ROMに書き込まれたコンピュータプログラムに従って動作するものであり、スクリューコンベアモータ29の制御手段として機能する。つまり、制御手段は、スクリューシャフト23を回転させる旨に相当する回転指令信号(電気信号)が操作盤51により入力されたことを契機に、コントロールバルブ53に対し操作信号の出力するよう設定されている。また、制御手段は、スクリューシャフト23の回転を停止させる旨に相当する停止指令信号(電気信号)が操作盤51により入力されたことを契機に、コントロールバルブ53への操作信号の出力を停止させるよう設定されている。コントローラ52は操作信号を受けて作動し、これにより前出の油圧ポンプからスクリューコンベアモータ29に作動油が供給されて、スクリューシャフト23が回転することになる。コントローラ52への操作信号の出力停止により、コントロールバルブ53は油圧ポンプとスクリューコンベアモータ29との間の圧油の流れを遮断する初期状態に自己復帰し、これによりスクリューシャフト23は停止することになる。
【0040】
スクリューコンベア20には、図示してないが、このスクリューシャフト23の回転角度を検出信号(電気信号)に変換するロータリエンコーダ54が取り付けられている。コントローラ52は閉鎖状態か開放状態かを判定する判定手段として機能するよう設定されている。この判定手段は閉鎖状態か開放状態かの判定を、ロータリエンコーダ54からの検出信号に基づき行うようになっている。つまり、スクリューシャフト23の回転を停止させるに際し、ロータリエンコーダ54からの検出信号が、図6における「(d)」、「(e)」および「(f)」を含む「(c)」の直後から「(a)」の直前までの状態に相当するスクリューシャフト23の回転角度を示すとき、開放状態と判定する。
【0041】
制御手段は、前述したように停止指令信号の入力を契機にコントロールバルブ53への操作信号の出力を停止してスクリューシャフト23の回転を停止させるのだが、判定手段による判定結果が開放状態である場合には、操作信号の出力を停止してスクリューシャフト23を停止させる前に、閉鎖状態である「(a)」の状態に相当するスクリューシャフト23の角度を検出するまで操作信号の出力を継続し、その角度が検出された時点で操作信号の出力を停止させるよう設定されている。つまり、スクリューシャフト23の回転を停止させるに際し、判定手段による判定結果が開放状態である場合に、スクリューシャフト23を閉鎖状態となる角度まで回転させてから停止させるようになっている。
【0042】
本実施形態によれば次の効果を得られる。
【0043】
本実施形態に係るスクリューフィーダ10は、スクリューシャフト23の回転中、閉鎖状態のときに、固化材ホッパ11内からトラフ22の吐出口までの連通を1対の仕切羽根31,32により遮断してフラッシングを発生させない。これにより、フラッシングの発生の抑制効果を従来よりも向上させることができる。したがって、スクリューフィーダにおける粉粒体の計算上の吐出量と実際の吐出量との誤差を従来よりも小さくすることに貢献できる。
【0044】
本実施形態に係るスクリューフィーダ10は、閉鎖空間33に1ピッチ分の搬送物の全量が流入するため、この閉鎖空間33よりも土砂ホッパ41側のトラフ22内の粉粒体に内在する圧力を除去することができる。これにより、フラッシングの発生の抑制効果を、一層向上させることができる。
【0045】
本実施形態に係るスクリューフィーダ10は、スクリューシャフト23の停止状態において、固化材ホッパ11内からトラフ22の吐出口までの連通を1対の仕切羽根31,32により遮断することができる。これにより、スクリューシャフト23の停止後におけるフラッシングの発生を防止することができる。
【0046】
本実施形態に係るスクリューフィーダ10は、スクリューシャフト23およびトラフ22が搬送方向の前端側から後端側に向かって下り勾配に傾斜しているので、固化材ホッパ11に貯留された固化材の自重による圧力が、吐出口22b近傍の固化材に影響しにくい。これによっても、フラッシングの低減に貢献できる。
【0047】
本実施形態に係るスクリューフィーダ10は、スクリュー羽根25が小ピッチ部26、中ピッチ部27および大ピッチ部28を有するので、トラフ22の開口部22aにおいて漏斗部13内に対し露出した小ピッチ部26の中央部、小ピッチ部26側の中ピッチ部27の端部(後端部)、大ピッチ部28の中ピッチ部27側の端部(後端部)の3個所において、漏斗部13から固化材をスクリュー羽根25の間に取り込むことができる。これにより、スクリュー羽根のピッチが一定に設定されていてスクリューシャフトの後端部においてのみ固化材をスクリュー羽根の間に取り込む場合よりも、固化材ホッパ11内における固化材の偏りを低減できる。
【0048】
本実施形態に係る自走式土質改良機1は、スクリューフィーダ10、第1ベルトコンベア40、混合装置42、第2ベルトコンベア43およびパワーユニット44を本体フレーム7が支持し、本体フレーム7を下方で走行体2A,2Bが支持する。つまり、走行体2A,2Bにより、スクリューフィーダ10、第1ベルトコンベア40、混合装置42、第2ベルトコンベア43およびパワーユニット44を一度に移動させることができ、したがってスクリューフィーダ10を搭載した土質改良機全体の輸送の容易化に貢献できる。
【符号の説明】
【0049】
1 自走式土質改良機
2A,2B 走行体
3A,3B トラックシュー
4A 駆動輪
5A 従動輪
6A,6B 履帯
7 本体フレーム
7a 支持台
7a1 枠部
7a2 台板
7b1,7b2 支柱
7c1 ガイド筒
8A,8B 連結部
10 スクリューフィーダ
11 固化材ホッパ
12 筒状部
13 漏斗部
14 天板
15 蓋体
20 スクリューコンベア
21 ケーシング
22 トラフ
22a 開口部
22b 吐出口
22c 内面
23 スクリューシャフト
24 軸棒部
25 スクリュー羽根
26 小ピッチ部
27 中ピッチ部
28 大ピッチ部
29 スクリューコンベアモータ
30 延長部
31,32 仕切羽根
33 閉鎖空間
34 空間
35 伝動装置
40 第1ベルトコンベア
41 土砂ホッパ
42 混合装置
43 第2ベルトコンベア
44 パワーユニット
45 土砂フィーダモータ
46 排出コンベアモータ
50 コントロールボックス
51 操作盤
52 コントローラ
53 コントロールバルブ
54 ロータリエンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパと、前記ホッパの下部から排出された粉粒体を搬送するスクリューコンベアとを備え、前記スクリューコンベアは、軸周りに回転するスクリューシャフトと、回転する前記スクリューシャフトによる粉粒体の搬送をガイドするトラフを含んで形成されたケーシングとを備え、
前記スクリューシャフトは、軸棒部と、前記軸棒部の外周面から螺旋状に突出したスクリュー羽根とを有し、
前記トラフの一端部には、前記スクリューシャフトにより前記トラフ内を搬送されてきた粉粒体を前記ケーシングの外部に導く吐出口が設けられた
スクリューフィーダにおいて、
前記軸棒部は、この軸棒部の軸方向において前記スクリュー羽根よりも前記吐出口側に延びて位置した延長部を有し、
前記延長部を含む前記軸棒部の端部の外周面には1対の仕切羽根が設けられ、この1対の仕切羽根は、互いに軸周方向の異なる位置から突出して前記トラフの内周面に近接して位置し、かつ、それぞれが前記軸方向において前記スクリュー羽根と前記ケーシングの内面との間の略全域に亘って位置し、
前記スクリューシャフトの回転中において、前記1対の仕切羽根と、前記延長部を含む前記軸棒部の前記吐出口側の端部の外周面と、前記スクリュー羽根と、前記ケーシングの内面とによって包囲された閉鎖空間が形成される閉鎖状態と、前記1対の仕切羽根に位置する空間が前記吐出口を通じて前記ケーシングの外部に開放される開放状態とが交互に繰り返される
ことを特徴とするスクリューフィーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリューフィーダにおいて、
前記閉鎖空間の容積は、前記スクリュー羽根の1ピッチ分の容積以上に設定され、前記スクリューシャフトが1回転する間に前記1ピッチ分の搬送物の全量が前記閉鎖空間に一時的に保持されるよう前記1対の仕切羽根および前記吐出口のそれぞれの寸法および形状と、互いの位置関係とが設定された
ことを特徴とするスクリューフィーダ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスクリューフィーダにおいて、
前記閉鎖状態か前記開放状態かを判定する判定手段と、前記スクリューシャフトの回転を停止させるに際し、前記判定手段による判定結果が前記開放状態である場合に、前記スクリューシャフトを前記閉鎖状態となる角度まで回転させてから停止させる制御手段とが設けられた
ことを特徴とするスクリューフィーダ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスクリューフィーダを土質改良材を供給する手段として備えるとともに、
搬送方向の下流側端部が前記スクリューフィーダの前記吐出口の下方に位置するよう設けられて原料土を搬送する第1ベルトコンベアと、
前記第1ベルトコンベアの下方に設けられ、前記第1ベルトコンベアから落下してきた原料土と土質改良材を受け入れ、これら原料土と土質改良材を撹拌、混合して改良土を生成する混合装置と、
前記混合装置から排出された改良土を搬出する第2ベルトコンベアと、
前記スクリューフィーダ、前記第1ベルトコンベア、前記混合装置および前記第2ベルトコンベアを支持する本体フレームと、
前記本体フレームの下方に位置してこの本体フレームに結合し、この本体フレームを支持して走行する走行体と
を備えたことを特徴とする自走式土質改良機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−241533(P2010−241533A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90275(P2009−90275)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】