説明

スクロース−6−エステルを生成する低温単一溶媒方法

スクロース−6−エステルを調製する方法が開示される。該方法の第1の工程では、極性非プロトン性溶媒中のスクロースを有機スズベースのアシル化促進剤と反応させる。約800Cを超えない温度で反応物の水を除去する。一態様では、極性非プロトン性溶媒の一部を減圧で蒸留することによって水を除去する。第2の工程では、カルボン酸無水物を添加する。一態様では、得られた反応混合物を、スクロース−6−エステルを生成するのに十分な時間にわたって1O0C以下の温度で維持する。スクロース−6−エステルはスクラロースへと変換することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロース−6−エステル類及びそれらの調製方法に関する。特に、本発明は、約80℃を超えない温度で反応物の水を除去する、スクロース−6−エステルを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの食品用途及び飲料用途で使用することができる高甘味度甘味料であるスクラロース(4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース)は、以下の分子構造を有するガラクトスクロースである。
【0003】
【化1】

【0004】
スクラロースは、スクロースから、4位、1’位及び6’位のヒドロキシルをクロロ基へと変換することによって製造される。この過程で、4位の立体化学的配置が反転する。
【0005】
スクロースからスクラロースを製造する一方法では、スクロースをまず、スクロース−6−アセテート又はスクロース−6−ベンゾエート等のスクロース−6−エステルへと変換する。このスクロース−6−エステルを、塩素化剤及び第三級アミドとの反応によって塩素化し、得られた反応混合物を加熱し、その後アルカリ水溶液でクエンチする。得られた4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロースエステル(スクラロース−6−エステル)をスクラロースへと変換し、これを続いて精製及び単離する。
【0006】
Sankeyの特許文献1、Vernonの特許文献2、Clarkの特許文献3及びWhiteの特許文献4(これらの開示は全て参照により本明細書中に援用される)は、スクロース−6−エステルの合成方法を開示している。Clarkによって開示される方法は、(a)共蒸留によって水を除去することが可能な非極性共溶媒を連続的に添加し、水を共蒸留によって除去しながら、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性非プロトン性溶媒中のスクロースを有機スズベースのアシル化促進剤と反応させて、実質的に水を含まない反応混合物を得る、スクロースを有機スズベースのアシル化促進剤と反応させることと、続いて(b)カルボン酸無水物を反応混合物に添加するとともに、得られた反応混合物を、スクロース−6−エステルを生成するのに十分な温度で十分な時間にわたって維持することとを含む。非極性共溶媒は通常はシクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエン又はイソオクタン等の炭化水素である。
【0007】
この方法は大量の非極性共溶媒を必要とするが、この溶媒は添加の前に乾燥させなくてはならず、その後再利用のために回収し、再乾燥しなくてはならない。工程(a)は、20分〜30分という比較的短い反応時間であっても炭水化物の分解が起こり得る温度域で行われる。非極性共溶媒はスクロースの沈殿を引き起こす可能性があるため、この方法において用いることができる最大スクロース濃度は、非極性共溶媒の存在によって制限される。加えて、スクロース−6−エステル生成物中に残存する未反応のスクロースは、望ましくない除去困難な四塩素化種を後続の塩素化工程において生成する可能性がある。したがって、これらの欠点を有しない、スクロース−6−エステルをスクロースから形成する方法が必要とされている。
【0008】
MicinskiのPCT特許出願公開公報である特許文献5は、スクロース−6−エステルを合成する方法であって、(a)スクロース、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性非プロトン性溶媒、及び有機スズベースのアシル化促進剤を含む第1の反応混合物を形成することと、(b)実質的に水を含まない第2の反応混合物を得るのに十分な温度、圧力及び滞留時間で、水を除去することが可能な気体又は溶媒蒸気と連続向流式で接触させることによって上記第1の反応混合物から水を除去することと、続いて(c)上記第2の反応混合物にカルボン酸無水物を添加して、第3の反応混合物を得るとともに、該第3の反応混合物をスクロース−6−エステルを生成するのに十分な温度で十分な時間にわたって維持することとを含む、スクロース−6−エステルを合成する方法を開示している。
【0009】
この方法は、水を除去することが可能な気体又は溶媒蒸気の使用を必要とする。本発明によると、水を除去することが可能な気体又は溶媒蒸気の使用が必要とされないことが予想外にも見出され、より簡単な方法が実現した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,470,969号
【特許文献2】欧州特許第0475619号
【特許文献3】米国特許第6,939,962号
【特許文献4】欧州特許第0776903号
【特許文献5】国際公開第2008/084197号
【発明の概要】
【0011】
本発明は、スクロース−6−エステルを生成する方法である。一態様では、本発明は、
(a)スクロース、極性非プロトン性溶媒及び有機スズベースのアシル化促進剤を含む第1の反応混合物を準備する工程と、
(b)前記第1の反応混合物から水を除去して、実質的に水を含まない第2の反応混合物を得る工程と、
(c)前記第2の反応混合物にカルボン酸無水物を添加し、第3の反応混合物を得て、それによりスクロース−6−エステルを生成する工程と
を順に含み、
工程(b)中に非極性共溶媒を添加せず、
工程(b)において温度が約80℃を超えない、方法である。
【0012】
本発明の一態様では、工程(b)中、減圧で前記極性非プロトン性溶媒とともに水を蒸留することにより水を除去する。本発明の一態様では、工程(a)及び(b)中、前記第1の反応混合物及び/又は前記第2の反応混合物が、スクロース、前記極性非プロトン性溶媒、前記有機スズベースのアシル化促進剤及び/又はそれらの反応生成物から本質的になる。本発明の一態様では、前記有機スズベースのアシル化促進剤が1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサン(ジスタンノキサンジアセテート又はDSDA)である。本発明の一態様では、前記極性非プロトン性溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである。本発明の一態様では、前記カルボン酸無水物が無水酢酸であり、前記スクロース−6−エステルがスクロース−6−アセテートである。本発明の一態様では、工程(c)は、10℃以下で行われる。
【0013】
工程(b)では、スクロースと有機スズベースのアシル化促進剤との反応によって形成された水が迅速かつ効率的に除去される。以前の方法よりも低い温度で反応物の水が除去されるため、延長された反応時間が用いられる場合であっても、炭水化物分解量は大幅に低減する。ただし、反応は低温であっても効率的に進行するため、反応時間の延長は必要ではない。通常は、反応時間は最大で60分、又は最大で45分、又は最大で30分、又は最大で20分である。通常は、少なくとも5分の反応時間が必要であるが、正確な時間の要件は、温度、適用される真空のレベル、及び反応中に新たな液体の表面領域が露出する速度によって決まることが理解される。
【0014】
水を除去するために非極性溶媒が必要とされないため、水を除去するための非極性共溶媒の添加は完全に排除される。これにより、大量の非極性共溶媒を再利用のために回収して乾燥させる必要がなくなるため、方法が簡略化される。この方法はより高い濃度で機能し、以前の方法とは異なる水除去方法を用いるため、反応混合物を加熱するのに使用されるエネルギーがより少なくなり、エネルギー費用の削減がもたらされる。加えて、反応がより低温でより高い選択性を有し、分解がほとんど見られないため、スクラロース調製方法の全収量が増大する。この方法はまた、より高濃度のスクロースを使用することができ、方法中のスクロース沈殿の可能性が低下しており、より小さな(結果としてより安価な)設備を使用して方法を行うことができるため、実行する上でより経済的である。
【0015】
さらに、水を除去することが可能な気体又は溶媒蒸気の使用は必要とされず、より簡単な方法がもたらされる。このように、本発明によると、工程(b)における混合物は、好ましくは水を除去することが可能な気体又は溶媒蒸気と接触しない。特に、工程(b)における混合物は、好ましくは水を除去することが可能な気体又は溶媒蒸気と連続向流式で接触しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】スクロース−6−エステルを生成する低温単一溶媒方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
文脈上他に指定のない限り、本明細書及び特許請求の範囲において、有機スズベースのアシル化促進剤、極性非プロトン性溶媒、カルボン酸無水物、非極性共溶媒といった用語、及び類似の用語は、かかる物質の混合物も含む。他に規定のない限り、全ての百分率は重量百分率であり、全ての温度は摂氏度(セルシウス度)で示される。減圧とは大気圧を下回る圧力を指す。温度とは関連反応混合物の温度、すなわち液相の内部温度を指す(誤解を避けるために、一般に加熱される反応混合物の内部温度よりも高い加熱源の温度、又は一般に冷却される反応混合物の内部温度よりも低い冷却源の温度を指すものではない)。低温とは、反応混合物中に存在する特定の極性非プロトン性溶媒の大気圧での沸点を下回る温度を指す。
【0018】
スクロースからスクラロースを調製する方法は以下の工程を含む。まず、スクロースの6位の反応性ヒドロキシルを、アセテート又はベンゾエート等のエステル基によってブロックする。得られたスクロース−6−エステルの4位、1’位及び6’位のヒドロキシルをクロロ基へと変換し、4位の立体化学的配置を反転させる。次いで、得られたスクラロース−6−エステルの6位のエステル基を除去し、得られた生成物であるスクラロースを精製及び単離する。このプロセス又はその個別の工程は、バッチプロセスであっても、又は連続プロセスであってもよい。
スクロース−6−エステルの調製
スクロースの6−ヒドロキシルの選択的保護は、有機スズベースのアシル化促進剤の存在下、本明細書中に記載の反応条件下で、スクロース−6−エステルを生成するのに十分な温度で十分な時間にわたって、無水極性非プロトン性溶媒中においてスクロースと無水酢酸又は安息香酸無水物等のカルボン酸無水物とを反応させることによって行うことができる。6−エステル基は6位のヒドロキシルを塩素化反応から遮る。したがって、塩素化反応条件に安定であり、得られたスクラロースに影響を与えない条件下で除去することができる任意のエステル基を使用することができる。スクロース−6−アセテートを調製する場合、有機スズベースのアシル化促進剤として例えば1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサンを、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用することができる。スクロース−6−エステルの調製は例えば、O'Brienの米国特許第4,783,526号、Naviaの米国特許第4,950,746号、Simpsonの米国特許第4,889,928号、Neiditchの米国特許第5,023,329号、Walkupの米国特許第5,089,608号、Vernonの米国特許第5,034,551号、Sankeyの特許文献1、Kahnの米国特許第5,440,026号、Clarkの特許文献3及びLiの米国特許出願公開第2007/0227897号(これらの開示は全て参照により本明細書中に援用される)に開示されている。
【0019】
スクロース−6−エステルの典型的な調製は、2工程プロセスを利用する。まず、スクロースを、溶媒中で有機スズベースのアシル化促進剤と接触させ、反応物の水を除去して、スズスクロース付加物を形成する。次いで、スズスクロース付加物を含有する反応混合物を、カルボン酸無水物と接触させる。スクロース−6−エステルを得られた反応混合物から単離することができる。代替的には、有機スズアシル化促進剤及び/又はその反応生成物を反応混合物から除去して、得られた極性非プロトン性溶媒中のスクロース−6−エステルの溶液を、次工程、すなわち4位、1’位及び6’位のヒドロキシルのクロロ基への変換において使用することができる。
【0020】
極性非プロトン性溶媒の選択は、スクロース、有機スズベースのアシル化促進剤及び得られたスタンニル化スクロース生成物の溶媒への溶解度、並びに安全性及び毒性の考慮によって決定される。好ましくは、極性非プロトン性溶媒の沸点は大気圧での水の沸点を上回る。より好ましくは、極性非プロトン性溶媒の沸点は大気圧での水の沸点を少なくとも50℃上回る。好適な極性非プロトン性溶媒は、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。
【0021】
使用される極性非プロトン性溶媒の量もまた、主に上述の溶解度の考慮によって決定される。大まかに言うと、本発明に従って必要とされる極性非プロトン性溶媒の量が通常は、非極性共溶媒を添加する従来技術の系に関する量を下回ることがあることに留意されたい。これは、溶媒系における反応成分の溶解度が非極性共溶媒の存在によって低下し、反応成分を溶液中に保持するために、より大量の極性非プロトン性溶媒が必要とされるためである。したがって、本発明に従って非極性共溶媒が存在しない場合、使用する必要がある極性非プロトン性溶媒はより少ない。このことは、反応混合物の下流処理に関する利点、並びに経済上及び環境上の利点をもたらす。極性非プロトン性溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである場合、通常はスクロース1g当たり約4g〜約22gの極性非プロトン性溶媒、好ましくはスクロース1g当たり約7g〜約16gの極性非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0022】
有機スズベースのアシル化促進剤は当該技術分野で既知の促進剤、例えばNaviaの米国特許第4,950,746号、Neiditchの米国特許第5,023,329号、Walkupの米国特許第5,089,608号及び/又はVernonの特許文献2(これらの開示は全て参照により本明細書中に援用される)に開示されている促進剤のいずれであってもよい。特に、有機スズベースのアシル化促進剤は1,3−ジ(ヒドロカルビルオキシ)−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサン、ジ(ヒドロカルビル)スズオキシド、ジ(ヒドロカルビル)スズオキシドと二価アルコール、アルカノールアミン、又はエノール化可能なα−ヒドロキシケトンとの反応生成物、1,3−ジアシルオキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサン、及び1−アシルオキシ−3−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンであり得る。アシル化促進剤の最後の群の例は、1−アセトキシ−3−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサンである。「ヒドロカルビル」という用語は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を指す。有機スズベースのアシル化促進剤は好ましくは、1,3−ジアシルオキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンである。
【0023】
有機スズベースのアシル化促進剤が1,3−ジ(ヒドロカルビルオキシ)−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンである場合、ヒドロカルビルオキシ基は好ましくは、C〜Cアルコキシ基又はフェノキシ基、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基又はn−ヘキシルオキシ基、最も好ましくはメトキシ基である。ヒドロカルビル基は、好ましくはアルキル基、より好ましくはC〜Cアルキル基、最も好ましくはn−ブチル基である。
【0024】
有機スズベースのアシル化促進剤がジ(ヒドロカルビル)スズオキシドである場合、ヒドロカルビル基は、好ましくはアルキル基、より好ましくはC〜Cアルキル基、最も好ましくはn−ブチル基である。
【0025】
有機スズベースのアシル化促進剤がジ(ヒドロカルビル)スズオキシドと二価アルコール、アルカノールアミン、又はエノール化可能なα−ヒドロキシケトンとの反応生成物である場合、ジ(ヒドロカルビル)スズオキシドは好ましくは上記のとおりである。二価アルコールは、好ましくは炭素原子数2〜8のアルカンジオールであり得る。好適な例は、エチレングリコール、2,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール及び1,2−ヘキサンジオールである。代替的には、二価アルコールは、好ましくは炭素原子数5〜8のシクロアルカンジオールであってもよい。好適な例は、1,2−シクロヘキサンジオール及び1,2−シクロペンタンジオールである。いずれの場合も、2個のヒドロキシル基は、これらが結合している炭素鎖上で互いに4個よりも多くの炭素原子で隔てられていないことが好ましく、これらが隣接する炭素原子上に存在するか、又はヒドロキシル基が結合している炭素原子を隔てる炭素原子が1個存在すると好ましい。アルカノールアミンは、好ましくはC〜Cアルカノールアミンであり、ヒドロキシル基とアミノ基とが、これらが結合している炭素鎖上で互いに4個よりも多くの炭素原子で隔てられていないことが好ましく、ヒドロキシル基とアミノ基とが隣接する炭素原子上に存在するか、又はヒドロキシル基が結合している炭素原子とアミノ基が結合している炭素原子とを隔てる炭素原子が1個のみ存在すると更に好ましい。好適なアルカノールアミンは、エタノールアミン、2−アミノ−1−プロパノール及び1−アミノ−2−プロパノールである。好適なエノール化可能なα−ヒドロキシケトンは、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン及び3−ヒドロキシ−2−ブタノンである。
【0026】
幾つかの実施形態では、有機スズベースのアシル化促進剤は、1,3−ジアシルオキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンである。この1,3−ジアシルオキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンのヒドロカルビル基は、好ましくはアルキル基、より好ましくはC〜Cアルキル基、最も好ましくはブチル基であり、したがって1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサンが特に好ましい。アシルオキシ基が、使用されるカルボン酸無水物のアシルオキシ基と一致していると好都合であり、したがって例えば、スクロース−6−アセテートを調製する場合、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサン(ジスタンノキサンジアセテート又はDSDA)が最も好ましい。上記のヒドロカルビル基及びアシルオキシ基は、1−アシルオキシ−3−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンを有機スズベースのアシル化促進剤として使用する場合においても好ましい。
【0027】
有機スズベースのアシル化促進剤が、1分子当たり2個のスズ原子を含有する二核性の種(例えばジスタンノキサン)である場合、スクロース1モル当たり、好ましくは0.5モル当量〜2.5モル当量、より好ましくは0.75モル当量〜1.2モル当量、更に好ましくは0.9モル当量〜1.1モル当量、最も好ましくは1.0モル当量のアシル化促進剤が反応混合物中に存在する。有機スズベースのアシル化促進剤が、1分子当たり1個のスズ原子を含有する単核性の種(例えばジ(ヒドロカルビル)スズオキシド)である場合、スクロース1モル当たり、好ましくは0.5モル当量〜2.5モル当量、より好ましくは0.8モル当量〜1.5モル当量、最も好ましくは1.2モル当量のアシル化促進剤が反応混合物中に存在する。
【0028】
第1の工程(工程(a))においては、極性非プロトン性溶媒中のスクロースを含む第1の反応混合物を、スクロースを極性非プロトン性溶媒、通常はN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させることによって調製する。僅かな加熱を利用してスクロースを溶解させることができる。次いで、有機スズベースのアシル化促進剤を反応混合物に添加する。次いで、本発明の一態様では、工程(b)において、水及び極性非プロトン性溶媒の少なくとも一部を減圧での蒸留によって第1の反応混合物から除去する。極性非プロトン性溶媒の蒸気によって反応物の水が除去され、反応が非常に効率的にスクローススズ付加物の方へ動かされ、それにより第2の反応混合物が得られる。
【0029】
Sankeyの特許文献1、Whiteの特許文献4及びVernonの特許文献2(それらの開示が参照により本明細書中に援用される)に記載されているような、共蒸留によって水を除去することが可能な添加される非極性共溶媒は、反応物の水の効率的な除去に必要ではない。結果として、本発明においては、反応はかかる非極性共溶媒を添加せずに行われる。かかる溶媒は通常、極性非プロトン性溶媒、有機スズベースのアシル化促進剤又はスクロースと反応しないもの、極性非プロトン性溶媒、有機スズベースのアシル化促進剤及びスクロースとの混合物を生成するもの、約75℃〜約153℃の範囲内、好ましくは100℃未満の内部反応温度で環流するもの、水と共蒸留するもの、並びにスクロースを不溶性にしないものである。かかる溶媒は通常、飽和炭化水素、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、ケトン類及びエーテル類等のような、水と不混和性であり、水と一定組成の最低沸点(minimum-boiling)共沸混合物を形成するものである。かかる溶媒の例としては、シクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエン及びイソオクタン(2,2,4−トリメチルペンタン)が挙げられる。本発明の更なる一態様では、第1の反応混合物、並びに減圧下での蒸留による水及び少なくとも一部の極性非プロトン性溶媒の除去後に形成される第2の反応混合物は、スクロース、極性非プロトン性溶媒、有機スズベースのアシル化促進剤及びそれらの反応生成物から本質的になる。
【0030】
工程(b)のこの実施形態の蒸留プロセスにおいては、MicinskiのPCT特許出願公開公報である特許文献5の方法とは異なり、極性非プロトン性溶媒自体以外に、水を除去することが可能な気体又は溶媒蒸気は好ましくは利用されない。このように、工程(b)における混合物は好ましくは、極性非プロトン性溶媒自体以外に、水を除去することが可能な気体又は溶媒蒸気と接触しない。Micinskiの方法において使用される気体の例は、窒素、アルゴン、空気、ヘリウム及び二酸化炭素である。Micinskiの方法において使用される溶媒蒸気群の例は、飽和炭化水素、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、ケトン類、エステル類及びエーテル類である。溶媒蒸気の具体例はシクロヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン(2,2,4−トリメチルペンタン)、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、四塩化炭素、ヘキサン、酢酸エチル及び酢酸メチルである。炭化水素が好ましく、シクロヘキサン、n−ヘプタン、トルエン及びイソオクタン(2,2,4−トリメチルペンタン)が特に好ましい。
【0031】
工程(b)、すなわち水及び極性非プロトン性溶媒の少なくとも一部の除去においては、極性非プロトン性溶媒を減圧下で、すなわち大気圧を下回る圧力下で除去する。低温、すなわち大気圧での極性非プロトン性溶媒の沸点を下回る温度も用いられる。反応混合物の温度は80℃未満、又は80℃未満〜約0℃である。好ましくは、第1の反応混合物の温度は、極性非プロトン性溶媒の除去の間に約80℃、約78℃、約75℃又は約70℃を超えない。他の実施形態では、第1の工程の反応混合物の温度は極性非プロトン性溶媒の除去の間、60℃未満又は50℃未満である。好ましくは、第1の反応混合物の温度は極性非プロトン性溶媒の除去の間、約80℃〜約0℃、約78℃〜約5℃、約75℃〜約10℃又は約70℃〜約15℃に維持される。
【0032】
温度は、極性非プロトン性溶媒を除去する圧力を制御することによって制御することができる。好ましくは、圧力は、極性非プロトン性溶媒の除去の間、約65mmHg(約8.7kPa)〜約0.5mmHg(約0.1kPa)、約50mmHg(約6.7kPa)〜約15mmHg(約2.0kPa)、又は約40mmHg(約5.3kPa)〜約20mmHg(約2.7kPa)である。
【0033】
本方法の使用によって、以前の方法よりも顕著に低い温度で反応物の水の除去を達成することができる。このより低い温度は、反応時間が延長された場合にも顕著に少ない炭水化物分解しか引き起こさない。ただし、反応は低温であっても効率的に進行するため、反応時間の延長は必要ではない。反応物の水の除去も、非極性共溶媒を添加せずに達成される。得られる生成物流は、他の方法によって生成される、より色の濃い物質に比べ、透明な非常に僅かに黄色の生成物である。
【0034】
当業者に明らかなように、非極性非プロトン性溶媒(例えば、上で論考した共蒸留によって水を除去することが可能な非極性共溶媒の1つ)中の有機スズベースのアシル化促進剤の溶液を添加することによって、有機スズベースのアシル化促進剤を反応混合物に導入することができる。例えば、有機スズベースのアシル化促進剤は、シクロヘキサン溶液中で反応混合物に添加することができる。結果として、少量(例えば、反応ビヒクルに対して30%(w/w)未満、20%(w/w)未満、15%(w/w)未満、又は10%(w/w)未満)の非極性非プロトン性溶媒が、工程(a)の開始時に反応混合物中に存在し得る。当業者に明らかなように、非極性共溶媒のこのように低いレベルは、従来技術の方法において水の除去を補助するために必要とされるレベルをはるかに下回る。この少量の非極性共溶媒は減圧での蒸留の開始時に除去される。更なる非極性共溶媒は、水及び極性非プロトン性溶媒の少なくとも一部を除去する減圧及び低温での蒸留の間(すなわち工程(b)の間)、反応混合物に添加されない。幾つかの実施形態では、例えば有機スズベースのアシル化促進剤を固体形態で添加する場合、反応混合物は工程(b)の開始時にスラリー形態とすることが可能である。反応混合物はその後、反応が進行するにつれて均一となる。このことは、特に有機スズベースのアシル化促進剤がジ(ヒドロカルビル)スズオキシド、例えばジブチルスズオキシド(DBTO)である場合に当てはまる。
【0035】
工程(b)中の反応物の水の除去に続いて、次の工程(工程(c))においては、工程(b)において生成されたスクローススズ付加物の溶液を室温近く又は室温未満まで冷却し、カルボン酸無水物等の好適なエステル化剤と混合して、第3の反応混合物を生成する。好ましくは、第3の反応混合物を、スクロース−6−エステルを生成するのに十分な時間にわたって約10℃以下に維持する。この反応は−20℃未満であっても急速に起こる。必要であれば、物質を溶液中に保つために、少量の非プロトン性共溶媒、例えばシクロヘキサン等の炭化水素を工程(c)中に添加することができる。工程(b)後かつ工程(c)前及び/又は工程(c)中に添加される任意の溶媒は、カルボン酸無水物がその対応するカルボン酸へと加水分解されないよう乾燥しているものとする。
【0036】
カルボン酸無水物は好ましくは、(スクロース出発物質1モル当たり)0.8モル当量〜1.5モル当量、より好ましくは1.05モル当量〜1.35モル当量、更に好ましくは1.1モル当量〜1.25モル当量、最も好ましくは1.15モル当量の量で添加される。カルボン酸無水物が多過ぎると、過剰量のスクロースの過カルボキシル化(すなわち、ジエステル類、トリエステル類等の形成)が生じる。カルボン酸無水物が少な過ぎると、未反応のスクロースが生じる。
【0037】
適切なカルボン酸無水物が利用可能であれば、この方法を使用して様々なスクロース−6−エステル類を調製することができる。例えば、無水酢酸の使用によってスクロース−6−アセテートを、安息香酸無水物の使用によってスクロース−6−ベンゾエートを、アクリル酸無水物の使用によってスクロース−6−アクリレートを、メタクリル酸無水物の使用によってスクロース−6−メタクリレートを、プロピオン酸無水物の使用によってスクロース−6−プロピオネートを、無水ブタン酸の使用によってスクロース−6−ブチレートを調製する等のためにこの方法を使用することができる。
【0038】
室温(すなわち周囲温度)近く又は室温未満の温度での十分な時間の経過後、混合物を水でクエンチする。反応の経過は、例えば高圧液体クロマトグラフィーによって追跡することができる。
【0039】
有機スズベースのアシル化促進剤は、スクロース−6−エステルの分離後の再循環に利用可能である。有機スズベースのアシル化促進剤を回収し、再利用するプロセスは、Vernonの米国特許第5,034,551号(その開示は参照により本明細書中に援用される)に開示されている。有機スズベースのアシル化促進剤が1,3−ジアシルオキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンである場合、該促進剤を工程(c)の後に回収し、再利用することが好ましい。少量の水及び必要であれば少量の非極性非プロトン性溶媒(通常はシクロヘキサン等の炭化水素)を、工程(c)の後に反応混合物に添加する。反応混合物は水と非極性非プロトン性溶媒との間に分配され、1,3−ジアシルオキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサン及び非極性非プロトン性溶媒を含む上相(すなわち、より低密度の相)、並びにスクロース−6−エステル、極性非プロトン性溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド)、水及びカルボン酸を含む下相(すなわち、より高密度の相)が生じる。上相を除去し、下相を非極性非プロトン性溶媒で抽出する。非極性非プロトン性溶媒抽出物を合わせ、好ましくは減圧下で濃縮し、アルコキシドで処理する。回収した1,3−ジアシルオキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンは、従来の技法によって更に精製することができる。
【0040】
下層はスクロース−6−エステル、カルボン酸(カルボン酸無水物とスクロースとの反応によって形成されたカルボン酸、及び水の添加による過剰の無水物の加水分解によって形成された可能性のある任意のカルボン酸)、未反応のスクロース、少量の他のスクロースエステル類、及び極性非プロトン性溶媒を含有する。好ましくは、極性非プロトン性溶媒中のスクロース−6−エステルの溶液からカルボン酸を除去した後、スクロース−6−エステルの更なる処理を行う。この酸が酢酸のように比較的揮発性である場合、酸を例えば水、任意の残存する非極性非プロトン性溶媒、及びカルボン酸を除去する減圧下での分留によって除去することができる。とりわけスクロース−6−エステルを含有する得られた混合物を、N,N−ジメチルホルムアミド等の同じ溶媒中で更に処理する場合に、補給(Make-up)極性非プロトン性溶媒を蒸留中又は蒸留後に添加することができる。次いで、残留極性非プロトン性溶媒中のスクロース−6−エステルを、例えばWalkupの米国特許第4,980,463号(その開示が参照により本明細書中に援用される)に開示されている塩素化プロセスに直接使用することができる。任意で、スクロース−6−エステルを従来の手順(メタノール等の溶媒からの結晶化等)によって回収し、塩素化プロセスにおいて使用することができる。
【0041】
スクロース−6−エステルは高い選択性をもって、高い収量で得ることができる。スクロース−6−エステルがスクロース−6−アセテートである場合、他のアセチル化生成物に対する6−モノアセテートの選択性は非常に高く、6−モノアセテートの正規化アッセイ値が全炭水化物に対して85%〜90%までに達する可能性がある。望ましくない除去困難な四塩素化種を塩素化工程において生成する未反応のスクロースを、0.1%未満にまで低下させることができる。
【0042】
この方法は、単純バッチプロセスとして実行することができる。代替的には、この方法は、極性非プロトン性溶媒を連続的に添加して除去し、続いて一定期間、極性非プロトン性溶媒を除去するが、更なる極性非プロトン性溶媒は添加しないバッチプロセスとして行うことができる。
【0043】
代替的には、本発明の方法は連続プロセスとして行うことができる。
【0044】
本発明による方法の一実施形態を図1に示す。図1を参照すると、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性非プロトン性溶媒中にスクロース(通常は約8%〜10%)を含有する溶液を、容器10に添加する。1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサン(DSDA)等の有機スズベースのアシル化促進剤を同様に添加する。
【0045】
真空ポンプ12によって真空を維持する。極性非プロトン性溶媒の蒸気をコンデンサー14によって凝縮する。
【0046】
容器10内の圧力は、反応混合物の温度が所望の温度、例えば約80℃以下の温度を超えないように選択する。当業者に明らかなように、反応混合物の温度は、容器10内の圧力を低下させることによって80℃未満の温度に調整することができる。外部の熱交換器16によって、容器10を加熱することができる。代替的又は付加的には、容器10上の加熱ジャケット(図示せず)によって容器10を加熱してもよい。
【0047】
容器10の底部から流を反応器へと取り出し、そこで冷却し、先に記載したようにアシル化する。この流は任意の好都合な手段、例えば循環ポンプ18によってアシル化反応器に供給することができる。
【0048】
例示していない代替的な実施形態では、極性非プロトン性溶媒の乾燥蒸気を別個に発生させ、容器10に供給することができる。これにより、極性非プロトン性溶媒中のより濃縮されたスクロース溶液を容器10に供給することが可能になる。より濃縮された溶液は、容器10へ投入される液体を減少させ、平均滞留時間を増加させる。
【0049】
アシル化反応への供給流は極めて乾燥していることが重要である。所望に応じて、更なる水除去プロセス(図示せず)をアシル化の前に用いることができる。例えば、プロセス内に導入される可能性のある少量の水を除去するために、小型の単段フラッシュユニットを容器10とアシル化反応器との間に挿入することができる。
スクロース−6−エステルのスクラロース−6−エステルへの変換
スクロース−6−エステルをスクラロース−6−エステルへと変換するために、スクロース−6−エステルの4位、1’位及び6’位のヒドロキシルをクロロ基へと変換し、4位の立体化学的配置を反転させる。4位の立体化学的配置の反転を伴う、このエステルの4位、1’位及び6’位のヒドロキシルのクロロ基への変換は、Walkupの米国特許第4,980,463号、Jaiの米国特許出願公開第2006/0205936号及びFryの米国特許出願公開第2007/0100139号(これらの開示は全て参照により本明細書中に援用される)に開示されている。
【0050】
この塩素化プロセスは以下の工程を含む。スクロース−6−エステル、第三級アミド、及び少なくとも7モル当量の塩素化剤を含む反応混合物を調製する。例えば、一プロセスでは、スクロース−6−エステルは、約20wt%〜約40wt%のスクロース−6−エステルを含む供給流中に添加することができる。第三級アミドと反応混合物中の全炭水化物との重量比は、約5:1〜約12:1であり得る。代替的には、予め形成したクロロホルムイミニウム塩、例えば(クロロメチレン)ジメチルアンモニウムクロリド(アーノルド試薬)を使用することができる。(クロロメチレン)ジメチルアンモニウムクロリドは、例えばホスゲンとN,N−ジメチルホルムアミドとの反応によって調製することができる。通常は、(クロロメチレン)ジメチルアンモニウム塩とスクロース−6−エステルとのモル比は約7:1〜約11:1である。
【0051】
続いて、スクロース−6−エステルの2位、3位、4位、1’位、3’位、4’位及び6’位のヒドロキシル基を、O−アルキルホルムイミニウム基へと変換する。得られた反応混合物を、残りのヒドロキシル基がO−アルキルホルムイミニウム基として残存するスクラロース−6−エステルの誘導体を含有する生成物を生成させるのに十分な温度(単数又は複数)で十分な期間(単数又は複数)にわたって加熱する。例えば、Walkupの米国特許第4,980,463号(その開示が参照により本明細書中に援用される)及びFryの米国特許出願公開第2007/0100139号(その開示が参照により本明細書中に援用される)は、かかるプロセスを開示している。
【0052】
クロロホルムイミニウム塩又はビルスマイヤー試薬の形成は塩素化反応に必須ではないため、塩素化剤とは、クロロホルムイミニウム塩若しくはビルスマイヤー試薬を形成するために使用することができるか、又はスクロース−6−エステルのヒドロキシル基をクロロ基へと変換することができる任意の化合物を指す。第三級アミドと反応し、クロロホルムイミニウム塩を形成することができる幾つかの塩素化剤としては、例えばホスゲン、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、塩化スルフリル、塩化オキサリル、クロロギ酸トリクロロメチル(「ジホスゲン」)、炭酸ビス(トリクロロメチル)(「トリホスゲン」)及びメタンスルホニルクロリドが挙げられる。使用することができる第三級アミドとしては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルモルホリン及びN,N−ジエチルホルムアミドが挙げられる。N,N−ジメチルホルムアミドを第三級アミドとして使用する場合、N,N−ジメチルホルムアミドは反応溶媒としても使用することができる。反応媒体の液体相の最大で約80vol%、又はそれ以上の共溶媒を使用することができる。有用な共溶媒は、化学的に不活性であり、かつ反応が一塩素化段階で本質的に均一となることを可能とする十分な溶媒力をもたらす溶媒、例えばトルエン、o−キシレン、1,1,2−トリクロロエタン、1,2−ジエトキシエタン及びジエチレングリコールジメチルエーテルである。
【0053】
反応混合物のクエンチによって、2位、3位、3’位及び4’位のヒドロキシル基が元に戻り、スクラロース−6−エステルが形成される。反応混合物は、反応において使用される塩素化剤の量に対して約0.5モル当量〜約2.0モル当量、通常は約1.0モル当量〜約1.5モル当量のアルカリを添加することによってクエンチすることができる。反応をクエンチするために、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物の水性スラリー、又は水酸化アンモニウム水溶液を使用することができる。例えば、約5wt%〜約35wt%、通常は約8wt%〜約20wt%、好ましくは約10wt%〜約12wt%を含有する水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を使用することができる。
【0054】
下記に記載されるように、二重流プロセス又は循環プロセスによって反応混合物にアルカリを添加することでクエンチを行うことができる。いずれの場合も、アルカリの添加の間、pH及び温度を制御する。クエンチは通常は、約8.5〜約10.5のpH及び約0℃〜約60℃の温度で行われる。好ましくは、pHがクエンチ反応の経過中に約10.5を上回ることは許容されないものとする。
【0055】
二重流プロセスにおいては、クエンチは、反応容器にアルカリ水溶液をゆっくりと添加すると同時に、塩素化反応材料をゆっくりと添加することによって行われる。塩素化反応混合物及びアルカリ水溶液は、所望の量の塩素化反応混合物が添加されるまで同時にゆっくりと添加される。更なるアルカリ水溶液を所望のpHに達するまで添加する。次いで、反応の残りの期間中、温度及びpHを所望のレベルに維持する。このプロセスはバッチプロセスであっても、又は連続プロセスであってもよい。
【0056】
循環プロセスにおいては、クエンチは塩素化反応混合物を容器から循環ループを通して循環させることによって行われる。塩素化反応混合物及びアルカリ水溶液を、この循環ループ内にゆっくりと添加する。所望のpHに達するまで、十分なアルカリ水溶液を添加する。次いで、反応の残りの期間中、温度及びpHを所望のレベルに維持する。このプロセスはバッチプロセスであっても、又は連続プロセスであってもよい。
【0057】
クエンチに続いて、酸水溶液、例えば塩酸水溶液を添加することによって反応混合物を中和することができる。得られた混合物は、主要な溶媒が水である水性溶媒中に、スクラロース−6−エステル、塩素化炭水化物不純物を含む他の炭水化物、未反応の第三級アミド、及び塩を含むものである。
スクラロース−6−エステルのスクラロースへの変換
得られた混合物は通常、スクラロース及びスクラロース−6−エステルの両方を含む。スクラロース及びスクラロース−6−エステルの混合物をスクラロースへと変換し、得られたスクラロースを当該技術分野で既知の方法によって精製及び単離することができる。スクラロース−6−エステルを加水分解し、スクラロースを単離し、かつ/又はスクラロースを精製する方法は、例えばCataniの米国特許第5,977,349号、同第6,943,248号、同第6,998,480号及び同第7,049,435号、Vernonの米国特許第6,890,581号、El Kabbaniの米国特許第6,809,198号及び同第6,646,121号、Naviaの米国特許第5,298,611号及び同第5,498,709号、並びに米国特許出願公開第2004/0030124号、Liesenの米国特許出願公開第2006/0188629号、Fryの米国特許出願公開第2006/0276639号、El Kabbaniの米国特許出願公開第2007/0015916号、Deshpandeの米国特許出願公開第2007/0160732号、並びにRatnamの米国特許出願公開第2007/0270583号(これらの開示は全て参照により本明細書中に援用される)に開示されている。
【0058】
例えば、(a)スクラロース−6−エステルを、保護基の除去をもたらすのに十分な温度で十分な期間にわたって、反応混合物のpHを約11±1まで上昇させることによってスクラロースへと加水分解することができ、(b)第三級アミドを例えば水蒸気ストリッピングによって除去する。工程(a)又は工程(b)のいずれを最初に行ってもよい。スクラロースは得られた混合物から、ジクロロメタン、クロロホルム、2−ブタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル又はそれらの混合物等の有機溶媒による混合物のバッチ抽出、連続抽出又は連続向流抽出によって回収される。有機抽出物を炭素で脱色し、濃縮し、スクラロース結晶を接種して、スクラロースを沈殿させることができる。得られたスクラロース結晶を、例えば水又は酢酸エチルからの再結晶によって更に精製することができる。代替的には、スクロースをクロマトグラフィーによって精製してもよい。溶媒抽出又はクロマトグラフィー等の初期非結晶化精製手順、続いて例えば水又は酢酸エチルからの3回以上の連続結晶化工程によってスクラロースを精製し、各々の結晶化工程から残存する母液を別の結晶化又は精製工程の供給流に再循環させることも好適である。
【0059】
代替的には、スクラロース−6−エステルのスクラロースへの変換は、ナトリウムメトキシドを含有するメタノール中で行うことができる。スクラロース及び酸のメチルエステル、例えばスクラロース−6−エステルがスクラロース−6−アセテートである場合には酢酸メチルを形成するエステル交換反応が起こる。酸のメチルエステルは、蒸留によって除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の方法はスクラロースの調製に有用である。スクラロースは、多くの食品用途及び飲料用途、並びに他の用途で使用することができる高甘味度甘味料である。かかる用途としては、例えば飲料、複合甘味料(combination sweeteners)、消費者製品、甘味料製品、錠剤コア(tablet cores)(Luberの米国特許第6,277,409号)、医薬組成物(Luberの米国特許第6,258,381号、Rocheの米国特許第5,817,340号及びMcNallyの米国特許第5,593,696号)、速吸収性液体組成物(Gelotteの米国特許第6,211,246号)、安定な発泡組成物(Gowan, Jr.の米国特許第6,090,401号)、デンタルフロス(Ochsの米国特許第6,080,481号)、速崩壊性医薬品剤形(Gowan, Jr.の米国特許第5,876,759号)、薬用飲料濃縮物(Shahの米国特許第5,674,522号)、医薬水性懸濁液(Ratnarajの米国特許第5,658,919号、Gowan, Jr.の米国特許第5,621,005号及び同第5,374,659号、並びにBlaseの米国特許第5,409,907号及び同第5,272,137号)、フルーツスプレッド(Antenucciの米国特許第5,397,588号及びSharpの米国特許第5,270,071号)、液体濃縮組成物(Antenucciの米国特許第5,384,311号)及び安定化ソルビン酸溶液(Merciadezの米国特許第5,354,902号)が挙げられる。許容甘味度(acceptable sweetness)の決定は、当業者に良く知られている当該技術分野で既知の様々な標準「味覚テスト」プロトコル、例えばMerkelの米国特許第6,998,144号及びShamilの米国特許第6,265,012号において言及されるプロトコル等によって達成することができる。
【0061】
本発明の有利な特性は、本発明を説明するが、限定するものではない以下の実施例を参照することによって認めることができる。
【実施例】
【0062】
用語解説
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DSDA 1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサン(ジスタンノキサンジアセテート);(CSn(OAc)−O−Sn(OAc)(C
実施例1
本実施例は本発明の方法を実証するものである。
【0063】
1リットル容のフラスコに、25.67gのスクロース及び550.0gのDMFを充填し、スクロースを80℃で溶解させた。スクロースが溶解した後、52.07gのDSDAを添加した。ロータリーエバポレーターを用いて80℃の浴温で約1時間、水をDMFとともに共蒸留した。フラスコ内の最終条件は約70℃及び40mmHg(5.3kPa)であった。得られた生成物は124.48gの淡黄色の油であった。
【0064】
アセチル化工程の間スズ化合物が溶液中に保持されるように、生成物を22.0gのシクロヘキサンで希釈し、9.22gの無水酢酸を用いて2℃〜3℃でアセチル化した。試料を採取し、高圧液体クロマトグラフィーによって分析した。90分の時点で、反応混合物はスクロース−6−アセテート(15.23%、正規化値(normalized)88.65%)、ジアセテート類(1.15%、正規化値6.69%)、他のモノアセテート類(0.406%、正規化値2.47%)及びスクロース(0.377%、正規化値2.19%)を含有していた。これらの結果は、反応が非常に急速に完了したことを示す。最終的なクエンチした生成物はほぼ無色の溶液であり、分解は視認されなかった。
実施例2
本実施例は、より低温の脱水を用いた方法を実証するものである。
【0065】
1リットル容のフラスコに、25.67gのスクロース及び400gのDMFを充填した。スクロースを80℃で溶解させた。スクロースが溶解した後、48.26gのDSDAを添加した。ロータリーエバポレーターで15℃の浴温で約1時間、水をDMFとともに共蒸留した。フラスコ内の最終条件は約10℃及び1mmHg未満(0.1kPa未満)であった。この工程の生成物は173.7gの無色の油であった。
【0066】
アセチル化工程の間スズ化合物が溶液中に保持されるように、生成物を22.0gのシクロヘキサンで希釈し、9.19gの無水酢酸を用いて5℃未満の温度でアセチル化した。試料を採取し、高圧液体クロマトグラフィーによって分析した。60分の時点で、反応混合物はスクロース−6−アセテート(13.22%、正規化値83.1%)、ジアセテート類(0.84%、正規化値5.3%)、他のモノアセテート類(0.59%、正規化値3.7%)、スクロース(1.25%、正規化値7.9%)を含有していた。135分の時点で、反応混合物はスクロース−6−アセテート(13.42%、正規化値84.9%)、ジアセテート類(1.20%、正規化値7.6%)、他のモノアセテート類(0.63%、正規化値4.0%)及びスクロース(0.549%、正規化値3.5%)を含有していた。最終的なクエンチした生成物は無色の溶液であり、分解は視認されなかった。
実施例3
本実施例は、より低温の脱水を用いた方法を実証するものである。
【0067】
1リットル容のフラスコに、25.67gのスクロース及び550.0gのDMFを充填した。スクロースを78℃で溶解させた。スクロースが溶解した後、52.0gのDSDAを添加した。ロータリーエバポレーターで60℃の浴温で約1時間、水をDMFとともに共蒸留した。フラスコ内の最終条件は約50℃及び15mmHg(絶対圧)(2.0kPa)であった。生成物は167.43gの淡黄色の油であった。
【0068】
アセチル化工程の間スズ化合物が溶液中に保持されるように、生成物を22.0gのシクロヘキサンで希釈し、9.19gの無水酢酸を用いて5℃未満の温度でアセチル化した。試料を採取し、高圧液体クロマトグラフィーによって分析した。1時間の時点で、反応混合物はスクロース−6−アセテート(14.87%、正規化値87.8%)、ジアセテート類(1.21%、正規化値7.0%)、他のモノアセテート類(0.50%、正規化値3.0%)及びスクロース(0.36%、正規化値2.1%)を含有していた。1.5時間の時点で、反応混合物はスクロース−6−アセテート(14.83%、正規化値87.4%)、ジアセテート類(1.45%、正規化値8.6%)、他のモノアセテート類(0.50%、正規化値3.1%)及びスクロース(0.16%、正規化値0.9%)を含有していた。最終的なクエンチした生成物はほぼ無色の溶液であり、分解は視認されなかった。
実施例4
本実施例は、より低温のアセチル化を用いた方法を実証するものである。
【0069】
1リットル容のフラスコに、25.67gのスクロース及び301.42gのDMFを充填した。スクロースを80℃で溶解させた。スクロースが溶解した後、48.30gのDSDAを添加した。ロータリーエバポレーターで80℃の浴温で約1時間、水をDMFとともに共蒸留した。フラスコ内の最終条件は約70℃及び40mmHg(絶対圧)(5.3kPa)であった。生成物は164.39gの淡黄色の油であった。
【0070】
アセチル化工程の間スズ化合物が溶液中に保持されるように、生成物を22.0gのシクロヘキサンで希釈し、9.19gの無水酢酸を用いて−20℃以下でアセチル化した。試料を採取し、高圧液体クロマトグラフィーによって分析した。1時間後、反応混合物はスクロース−6−アセテート(12.83%、正規化値78.1%)、ジアセテート類(0.591%、正規化値3.5%)、他のモノアセテート類(0.46%、正規化値2.7%)、スクロース(2.64%、正規化値15.7%)を含有していた。4時間後、反応混合物はスクロース−6−アセテート(15.84%、正規化値87.2%)、ジアセテート類(1.26%、正規化値6.9%)、他のモノアセテート類(0.54%、正規化値3.0%)及びスクロース(0.53%、正規化値2.9%)を含有していた。これらの結果により、反応の速度はより高温でのアセチル化よりも低かったが、同様に完了したことが示される。最終的なクエンチした生成物はほぼ無色の溶液であり、分解は視認されなかった。
実施例5
本実施例は、使用する溶媒を減らし、高い最終濃度のスクローススズ付加物をアセチル化に使用する方法を実証するものである。
【0071】
1リットル容のフラスコに、25.67gのスクロース及び220.0gのDMFを充填した。スクロースを80℃で溶解させた。スクロースが溶解した後、48.36gのDSDAを添加した。ロータリーエバポレーターで80℃の浴温で約0.75時間、水をDMFとともに共蒸留した。フラスコ内の最終条件は約70℃及び35mmHg(約4.7kPa)であった。生成物は94.20gの黄色の油であった。
【0072】
アセチル化工程の間スズ化合物が溶液中に保持されるように、生成物を17.5gの乾燥DMF及び22.0gのシクロヘキサンで希釈した。生成物は9.19gの無水酢酸を用いて5℃未満の温度でアセチル化した。試料を採取し、高圧液体クロマトグラフィーによって分析した。1時間後、反応混合物はスクロース−6−アセテート(23.75%、正規化値87.0%)、ジアセテート類(2.19%、正規化値7.9%)、他のモノアセテート類(0.71%、正規化値2.7%)及びスクロース(0.68%、正規化値2.5%)を含有していた。1.5時間後、反応混合物はスクロース−6−アセテート(23.34%、正規化値86.6%)、ジアセテート類(2.55%、正規化値9.2%)、他のモノアセテート類(0.69%、正規化値2.6%)及びスクロース(0.42%、正規化値1.5%)を含有していた。最終的なクエンチした生成物はほぼ無色の溶液であり、分解は視認されなかった。
実施例6
本実施例は、アセチル化を補助するために共溶媒を添加しない方法を実証するものである。
【0073】
1リットル容のフラスコに、25.67gのスクロース及び250.0gのDMFを充填した。スクロースを80℃で溶解させた。スクロースが溶解した後、48.25gのDSDAを添加した。ロータリーエバポレーターで80℃の浴温で約30分、水をDMFとともに共蒸留した。フラスコ内の最終条件は約70℃及び40mmHg(5.3kPa)であった。得られた生成物は119.09gの淡黄色の油であった。
【0074】
生成物を9.19gの無水酢酸を用いて5℃未満の温度でアセチル化した。試料を採取し、高圧液体クロマトグラフィーによって分析した。1時間の時点で、反応混合物はスクロース−6−アセテート(20.80%、正規化値87.6%)、ジアセテート類(2.00%、正規化値8.42%)、他のモノアセテート類(0.67%、正規化値2.80%)及びスクロース(0.29%、正規化値1.2%)を含有していた。これらの結果は、反応が非常に急速に完了したことを示す。最終的なクエンチした生成物はほぼ淡黄色の溶液であり、分解は視認されなかった。
実施例7
本実施例は、無溶媒DSDAを脱水に使用する方法を実証するものである。
【0075】
1リットル容のフラスコに、48.25gのDSDA(液体として保つために約15%のシクロヘキサンを含有する)を充填した。80℃まで加熱し、40mmHgまで真空度を下げることによってシクロヘキサンを除去した。302.98gのDMFに溶解させた25.67gのスクロースをこれに添加した。80℃の浴温で約30分間、ロータリーエバポレーターで水をDMFとともに共蒸留した。フラスコ内の最終条件は約70℃及び40mmHg(5.3kPa)であった。得られた生成物は160.69gの淡黄色の油であった。
【0076】
生成物を9.19gの無水酢酸を用いて5℃未満の温度でアセチル化した。試料を採取し、高圧液体クロマトグラフィーによって分析した。1時間の時点で、反応混合物はスクロース−6−アセテート(14.61%、正規化値87.2%)、ジアセテート類(1.18%、正規化値7.0%)、他のモノアセテート類(0.57%、正規化値3.4%)及びスクロース(0.39%、正規化値2.3%)を含有していた。これらの結果は、反応が非常に急速に完了したことを示す。最終的なクエンチした生成物はほぼ淡黄色の溶液であり、分解は視認されなかった。
【0077】
本発明の開示は添付の特許請求の範囲を含む。本発明を説明してきたが、ここで以下の事項及びそれらの均等物を特許請求する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スクロース、極性非プロトン性溶媒及び有機スズベースのアシル化促進剤を含む第1の反応混合物を準備する工程と、
(b)前記第1の反応混合物から水を除去して、実質的に水を含まない第2の反応混合物を得る工程と、
(c)前記第2の反応混合物にカルボン酸無水物を添加し、第3の反応混合物を得て、それによりスクロース−6−エステルを生成する工程と
を順に含み、
工程(b)中に非極性共溶媒を添加せず、
工程(b)において温度が約80℃を超えない、方法。
【請求項2】
工程(b)中、水の除去が減圧で前記極性非プロトン性溶媒とともに水を蒸留することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の反応混合物及び/又は前記第2の反応混合物が、スクロース、前記極性非プロトン性溶媒、前記有機スズベースのアシル化促進剤及び/又はそれらの反応生成物から本質的になる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(c)中、前記第3の反応混合物を、前記スクロース−6−エステルを生成するのに十分な時間にわたって10℃以下に維持する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)における温度が約80℃〜約20℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)における温度が約78℃〜約30℃である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)における温度が約75℃〜約40℃である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)における温度が約70℃〜約50℃である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記極性非プロトン性溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機スズベースのアシル化促進剤が1,3−ジ(アシルオキシ)−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記有機スズベースのアシル化促進剤が1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサンである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記有機スズベースのアシル化促進剤が1−アシルオキシ−3−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラ−(ヒドロカルビル)ジスタンノキサンである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記有機スズベースのアシル化促進剤が1−アセトキシ−3−ヒドロキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カルボン酸無水物が無水酢酸であり、前記スクロース−6−エステルがスクロース−6−アセテートである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記カルボン酸無水物が安息香酸無水物であり、前記スクロース−6−エステルがスクロース−6−ベンゾエートである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
バッチプロセスである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
連続プロセスである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程(c)の後に、前記スクロース−6−エステルをスクラロースに変換する更なる工程(単数又は複数)を更に含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−507349(P2013−507349A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532660(P2012−532660)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001904
【国際公開番号】WO2011/045566
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(509178806)テート アンド ライル テクノロジー リミテッド (17)
【Fターム(参考)】