説明

スコーチを最小限に抑制するためのイソシアナート、ジイソシアナート、および(メタ)アクリラート化合物、ならびに架橋性組成物において硬化を促進するためのジイソシアナート化合物

熱的に活性化したラジカル開始剤含有ポリマー組成物は、(i)ラジカル開始剤と、(ii)ラジカル架橋性ポリマーと、(iii)スコーチを抑制する量および/または硬化を増進する量のイソシアナート、ジイソシアナート、例えばMDI、またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート化合物、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリラートの少なくとも1種と、場合によっては(iv)他のスコーチ遅延剤および/または硬化増進剤、例えばTEMPO化合物、ヒンダードフェノール、α−メチルスチレンダイマーなどとを含む。ラジカル開始剤は、比較的不安定であり、かつ少なくとも2種のラジカル、例えばペルオキシドまたはアゾ開始剤に容易に分解する熱的に活性化した任意の化合物とすることができる。架橋性ポリマーは、架橋剤、例えばLDPEの作用によって架橋する(硬化する)ことができる熱可塑性および/または弾性ポリマーである。イソシアナート、ジイソシアナート、および(メタ)アクリラートのスコーチ抑制剤および/または硬化増進剤を単独使用または相互に組み合わせて使用、あるいは場合によってはTEMPO化合物、例えば4−ヒドロキシ−TEMPOと組み合わせて使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋性組成物に関する。一態様において、本発明は、ラジカル開始剤によって架橋が開始される架橋性組成物に関し、他の態様において、本発明は、このような架橋性組成物の早期架橋の抑制および/または硬化増進に関する。さらに別の態様において、本発明は、ラジカル架橋性組成物における早期架橋を抑制するためのイソシアナート、ジイソシアナート、および/または(メタ)アクリラート化合物の使用に関し、さらに別の態様において、本発明は、ラジカル架橋性組成物における最終架橋度を増進させるためのジイソシアナート化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性および熱可塑性材料の架橋すなわち硬化時において熱的に活性化したラジカル開始剤、例えば有機ペルオキシドおよびアゾ化合物を使用する際の1つの問題点は、これらは、硬化が望まれる全プロセスにおいて実相の前に混練および/または加工時に早期架橋すなわちスコーチを開始する可能性があることである。粉砕、バンバリー、または押出など通常の混練方法では、時間−温度関係によってラジカル開始剤が熱分解を受ける状態になると、スコーチが起こり、熱分解は架橋反応を開始し、混練したポリマーの塊中にゲル粒子が生じる恐れがある。これらのゲル粒子は、最終生成物の均質性に悪影響を及ぼす恐れがある。さらに、過剰なスコーチは、材料の可塑性を低減する可能性があり、したがって効率的に加工することができず、バッチ全体を失う可能性が高い。
【0003】
スコーチを最小限に抑制する広く受け入れられている一方法は、最後の硬化ステップの前に混練および/または他の加工ステップを完了することに成功できるように十分に高い活性化温度を有するラジカル開始剤を選択することである。このクラスの開始剤の典型は、10時間半減期温度の高いものである。この方法の欠点は、硬化時間がより長く、したがって処理量がより少ないことである。より長い硬化時間を相殺するには、より高い硬化温度を使用することができるが、その場合より高いエネルギーコストを招く。より高い硬化温度は、材料の熱安定性にも悪影響を及ぼす恐れがある。
【0004】
スコーチを最小限に抑制する別の方法は、混練および/または加工温度を下げて、架橋剤のスコーチ安全域を改善することである。しかし、この方法は、関係するポリマーおよび/またはプロセスに応じて範囲を限定した可能性がある。さらに、この場合も、硬化温度が低くなるほど、硬化に要する時間が長くなり、処理量が低下する。より低い温度は、材料の粘度を増大させる可能性もあり、この増大によって混合がより困難になる恐れがあり、かつポリマーの凝固点に突き当たる危険を増大させる可能性がある。
【0005】
スコーチを最小限に抑制するさらに別の方法は、スコーチ抑制剤の組成物への組込みである。例えば、英国特許第1,535,039号には、有機ヒドロペルオキシドとエチレンポリマーを含むスコーチ抵抗性組成物が開示されている。米国特許第3,751,378号には、様々なエラストマー処方において長いムーニースコーチ時間をもたらすための多官能性アクリラート架橋性モノマーに組み込ませたスコーチ遅延剤としてのN−ニトロソジフェニルアミンまたはN,N’−ジニトロソ−para−フェニルアミンの使用が開示されている。米国特許第3,202,648号には、ポリエチレン用のスコーチ抑制剤としてのイソアミルニトリット、tert−デシルニトリットなどのニトリットの使用が開示されている。米国特許第3,954,907号には、スコーチに対する保護として単量体ビニル化合物の使用が開示されている。米国特許第3,335,124号には、芳香族アミン、フェノール化合物、メルカプトチアゾール化合物、ビス(N,N−二置換−チオカルバモイル)スルフィド、ヒドロキノン、およびジアルキルジチオカルバマート化合物の使用が開示されている。米国特許第4,632,950号には、二置換ジチオカルバミン酸の2種の金属塩の混合物であって、1種の金属塩が銅をベースとする混合物の使用が開示されている。
【0006】
ラジカル、特にペルオキシド開始剤含有組成物中で使用される他のスコーチ抑制剤としては、4−ヒドロキシ−TEMPO、またはさらに単純にh−TEMPOとも呼ばれる4−ヒドルキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなど2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)およびその誘導体が挙げられる。ヒンダードフェノールと比較したTEMPO誘導体によるスコーチ抑制に関する優れた説明は、Chaudhary,B.I.、Chopin,L.J.、およびKlier,J.、Polymer Engineering and Science、47巻、50〜61頁(2007年)に見られる。4−ヒドロキシ−TEMPOを添加すると、溶融加工温度における架橋性ポリマーのラジカル架橋を「クエンチする」ことによってスコーチが最小限に抑制される。
【0007】
スコーチが問題であるプロセスのその部分を一旦過ぎると、急速でかつ完全な架橋が通常望ましい。この目的のために、架橋性組成物は、硬化増進剤、すなわち架橋性ポリマーをその所望の最終形状に造形または成形した後、そのポリマーの硬化の速度および完全性を促進する化合物を含むことが多い。多くの硬化(架橋)増進剤は知られており、米国特許第6,656,986号および第6,187,847号に教示されているものが代表例である。スコーチが問題であるプロセスのその部分において活性があったとしてもわずかしか示さない硬化増進剤に、ポリマー成形および造形産業は継続的に興味を示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、本発明の熱的に活性化したラジカル開始剤含有ポリマー組成物は、(i)ラジカル開始剤と、(ii)ラジカル架橋性ポリマーと、(iii)スコーチを抑制する量のイソシアナート、ジイソシアナート、および(メタ)アクリラートスコーチ抑制剤の少なくとも1種とを含む。別の実施形態において、熱的に活性化したポリマー組成物は、(i)ラジカル開始剤と、(ii)ラジカル架橋性ポリマーと、(iii)硬化を増進する量の少なくとも1種のジイソシアナート硬化増進剤とを含む。場合によっては、組成物は、酸化防止剤、顔料、難燃剤、他の硬化増進剤(例えば、ビス−TEMPO、α−メチルスチレンダイマーなど)、および他のスコーチ抑制剤(例えば、ヒンダードフェノール、様々なTEMPO化合物など)など他の添加剤を含有することができる。ラジカル開始剤は、比較的不安定であり、かつ少なくとも2種のラジカル、例えばペルオキシドまたはアゾ開始剤に容易に分解する熱的に活性化した任意の化合物とすることができる。架橋性ポリマーは、ラジカル架橋剤の作用によって架橋する(硬化する)ことができる熱可塑性および/または弾性ポリマーである。本発明のスコーチ抑制剤および硬化増進剤を、知られているスコーチ抑制剤および硬化増進剤と同様にかつ様々な量で使用して、類似したレベルのスコーチ保護および/または硬化増進を実現する。
【0009】
「スコーチを抑制する量」および同類の用語は、スコーチ抑制剤はないが、ほかのすべて、例えば試薬、濃度、プロセス条件などは同じである場合にポリマー組成物が受けるはずのスコーチの量に比べて、ラジカル架橋性ポリマー組成物におけるスコーチの量を低下させる所定量のスコーチ抑制剤を意味する。「硬化を増進する量」および同類の用語は、硬化増進剤はないが、ほかのすべて、例えば試薬、濃度、プロセス条件などは同じである場合にポリマー組成物が受けるはずの架橋の量および/または速度に比べて、ラジカル架橋性ポリマー組成物における架橋の量および/または速度を増加させる所定量の硬化増進剤を意味する。
【0010】
一実施形態において、イソシアナート、ジイソシアナート、または(メタ)アクリラート化合物の使用によって、溶融加工温度におけるスコーチ保護と加硫温度における硬化制御の望ましいバランスが得られる。別の実施形態において、このスコーチ保護と硬化制御のバランスは、(メタ)アクリラート化合物とジイソシアナート化合物の組合せで実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】1重量パーセント(重量%)のジクミルペルオキシド(DCP)を用いた低密度ポリエチレン(LDPE)の140Cにおける架橋カイネティクスに及ぼすヒドロキシエチルアクリラート(HEA)、およびヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、ならびにHEAおよびHEMAとメチレンジ−p−フェニルジイソシアナート(MDI)との組合せの効果を報告するグラフである。
【図2】1重量%のDCPを用いたLDPEの182Cにおける架橋に及ぼすHEA、およびHEMA、ならびにHEAおよびHEMAとMDIとの組合せの効果を報告するグラフである。
【図3】1重量%のDCPを用いたLDPEの200Cにおける架橋に及ぼすHEA、およびHEMA、ならびにHEAおよびHEMAとMDIとの組合せの効果を報告するグラフである。
【図4】1重量%のDCPを用いたLDPEのスコーチ特性(140Cにおけるts1)と架橋度(182CにおけるMH−ML)のバランスに及ぼすHEA、HEMA、ならびにHEAおよびHEMAとMDIとの組合せの効果を報告するグラフである。
【図5】1重量%のDCPを用いたLDPEのスコーチ特性(140Cにおけるts1)と架橋度(200CにおけるMH−ML)のバランスに及ぼすHEA、HEMA、ならびにHEAおよびHEMAとMDIとの組合せの効果を報告するグラフである
【図6】1.7重量%のDCPを用いたLDPEの140Cにおけるスコーチ特性に及ぼすPAPI−TEMPO付加物の効果を報告するグラフである。
【図7】1.7重量%のDCPを用いたLDPEの182Cにおける架橋に及ぼすPAPI−TEMPO付加物の効果を報告するグラフである。
【図8】1.7重量%のDCPを用いたLDPEの140Cにおけるスコーチ特性に及ぼす4−ヒドロキシ−TEMPOおよびMDIウレタンビス−TEMPOの効果を報告するグラフである。
【図9】1.7重量%のDCPを用いたLDPEの182Cにおける架橋に及ぼす4−ヒドロキシ−TEMPOおよびMDIウレタンビス−TEMPOの効果を報告するグラフである。
【図10】1.7重量%のDCPを用いたLDPEのスコーチ特性(140Cにおけるts1)と架橋度(182CにおけるMH−ML)のバランスに及ぼす4−ヒドロキシ−TEMPO、およびMDIと組み合わせた4−ヒドロキシ−TEMPOの効果を報告するグラフである。
【図11】1.7重量%のDCPを用いたLDPEのスコーチ特性(140Cにおけるts1)と架橋度(182CにおけるMH−ML)のバランスに及ぼす4−ヒドロキシ−TEMPO、およびMDIと組み合わせた4−ヒドロキシ−TEMPOの効果を報告するグラフである。
【図12】1.7重量%のDCPを用いたLDPEのスコーチ特性(140Cにおけるts1)と架橋度(182CにおけるMH−ML)のバランスに及ぼす様々なTEMPO化合物、およびMDIと組み合わせた様々なTEMPOの組合せの効果を報告するグラフである。
【図13】1.7重量%のDCPを用いたLDPEの140Cにおけるスコーチ特性に及ぼすMDIの効果を報告するグラフである。
【図14】1.7重量%のDCPを用いたLDPEの182Cにおける架橋カイネティクスに及ぼすMDIの効果を報告するグラフである。
【図15】1.7重量%のDCPを用いたLDPEのスコーチ特性(140Cにおけるts1)と架橋度(182CにおけるMH−ML)のバランスに及ぼすMDIの効果を報告するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「イソシアナート」、「ジイソシアナート」、および同様の用語は、次式(I)で表わされる化合物:
R(NCO)n (I)
を意味し、式中、nは、少なくとも1、好ましくは約2〜4であり、Rは、4〜26個の炭素原子を有するが、さらに通常は6〜20個、一般には約6〜13個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、もしくは脂肪族−芳香族炭化水素、または不活性に置換された炭化水素基である。「不活性に置換された」および同類の用語は、化合物、ラジカル、または他の基が、架橋プロセスの試薬および生成物と本質的に反応しない1種または複数の置換基を有することができることを意味する。
【0013】
イソシアナートおよびジイソシアナートの代表例としては、ステアリルイソシアナート、ヘキサデシルイソシアナート、フェニルイソシアナート、ナフチルイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート;ヘキサメチレンジイソシアナート;トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート;ダイマー酸ジイソシアナート;ジイソシアン酸イソホロン;ジエチルベンゼンジイソシアナート;デカメチレン1,10−ジイソシアナート;シクロへキシレン1,2−ジイソシアナートならびにシロへキシレン−1,4−ジイソシアナート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアナート;4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート;1,4−ナフタレンジイソシアナート;ジアニシジンジイソシアナート;トルイジンジイソシアナート;m−キシリレンジイソシアナート;テトラヒドロナフタレン−1,5−ジイソシアナート;ならびにビス(4−イソシアナトフェニル)メタンが挙げられる。
【0014】
ネオペンチルテトライソシアナートなど2個を超える官能基を有する重合体イソシアナートを使用することもできる。さらに、二官能性イソシアナートと三官能性イソシアナートの混合物が市販されており、2〜3個の官能基を有するイソシアナート成分を得るために使用してもよく(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なPAPI 901)、3〜4個の官能基を得るために、三官能性イソシアナートと四官能性イソシアナートの混合物を使用してもよい(例えば、Miles(米国ペンシルベニア州パーカシー)から入手可能なDESMODUR N 3300)。次の表で、本発明の実施で使用することができるいくつかのジイソシアナート化合物、その官能基、および供給業者を特定する。4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート(メチレンジ−p−フェニルジイソシアナート(MDI)とも呼ばれる)が、本発明の実施で使用するのに好ましいジイソシアナートである。
【0015】
【表1】

【0016】
「アクリラート」は、アクリル酸の塩またはエステルを意味し、「メタクリラート」は、メタクリル酸の塩またはエステルを意味し、「(メタ)アクリラート」は、アクリル酸またはメタクリル酸の塩またはエステルを意味する。これらのモノマーは、次式II
C=C(R)−C(O)−O−R (II)
で表わされ、式中、Rは、水素またはメチル基であり、Rは、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素基、またはヒドロキシアルキル(−R−OH)基、あるいは不活性に置換された炭化水素またはヒドロキシアルキル基である。Rがヒドロキシアルキルまたは不活性に置換されたヒドロキシアルキル基でない場合、Rは、メチル、エチル、またはプロピル基であることが好ましい。Rがヒドロキシアルキルまたは不活性に置換されたヒドロキシアルキル基である場合、Rはエチルヒドロキシル基(−CH−CH−OH)であることが好ましい。好ましいヒドロキシアルキルアクリラートはヒドロキシエチルアクリラート(HEA)である。好ましいヒドロキシアルキルメタクリラートはヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)である。「不活性に置換された」および同類の用語は、ラジカル基が、架橋プロセスの試薬および生成物と本質的に反応しない1種または複数の置換基を有することができることを意味する。
【0017】
「TEMPO化合物」および同類の用語は、式(III)、(IV)、および(V)で表わされる化合物を意味する。4−ヒドロキシ−TEMPOは、(III)の化学構造式:
【化1】

を有する。
誘導体、特にエーテル、エステル、およびウレタン誘導体を調製することができるTEMPO化合物は、次式(IV):
【化2】

を有する。
本発明の組成物中でスコーチ抑制剤として使用されるTEMPO化合物のエーテル、エステル、およびウレタン誘導体は、(V)の化学構造式:
【化3】

を有し、式中、
式IVのXは、別の化合物、例えばアルコール、カルボン酸、アルキルスルファート、イソシアナートなどと反応して、式Vのエーテル、エステル、またはウレタン基(または対応する硫黄、リン、もしくはアミン誘導体)を生成することができる任意の基であり、好ましくはXは、ヒドロキシル、アミン、メルカプタン、ホスフィノ(HP−)、ホスフィニル(HP(O)−)またはシリル(HSi−)基であり、より好ましくはXはヒドロキシルであり;
式VのX’は、少なくとも2価原子、好ましくは酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素の原子、より好ましくは酸素または硫黄の原子、最も好ましくは酸素原子であり;
かつ式IVとVの両方に関して、
〜Rはそれぞれ独立に、C1〜12ヒドロカルビルまたは不活性に置換されたヒドロカルビル基であり、あるいはR〜R基のいずれでも、他のR〜R基の1種または複数と一緒になって、好ましくは少なくとも5個の炭素原子を有する1種または複数のヒドロカルビルまたは不活性に置換されたヒドロカルビル環を生成することができ;
は、オキシル(O・)またはC1〜20ヒドロカルビルオキシ基であり;
は、水素、またはC1〜12ヒドロカルビルもしくは不活性に置換されたヒドロカルビルもしくはカルボキシル基、または次式のウレタン基
【化4】

であり、
ただし、R〜R基がメチルである場合、Rは水素でないことを条件にし;
は、C2〜30ヒドロカルビルまたは不活性に置換されたヒドロカルビル基である。
【0018】
本明細書で使用するように、「エーテル、エステル、およびウレタン誘導体」は、式Vの化合物であり、式中、X’は、2価の酸素基である。R〜Rのヒドロカルビル基としては、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、アルケニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、R〜Rはそれぞれ独立に、C1〜4アルキル基であり、より好ましくは、R〜Rはそれぞれ独立に、メチル基である。好ましくは、Rは、オキシルまたはC1〜12アルキルオキシ基、より好ましくはオキシル基である。好ましくは、Rは、C1〜12アルキル、またはC1〜12アルキルカルボキシル、またはアリールカルボキシル基、またはウレタン基であり、より好ましくはC1〜8アルキル基、または安息香酸基、またはウレタン基である。好ましくは、Rは、C5〜30アルキル基、より好ましくはC5〜20アルキル基である。4−ヒドロキシ−TEMPOの代表的エーテルおよびウレタン誘導体としては、メチルエーテルTEMPO、ブチルエーテルTEMPO、ヘキシルエーテルTEMPO、アリルエーテルTEMPO、アミノ−TEMPO、PAPI−TEMPO付加物、MDI−ウレタン−ビス−TEMPO、およびステアリルウレタンTEMPOが挙げられる。
【0019】
本発明のスコーチ抑制剤は、知られているスコーチ抑制剤と同様に使用される。本発明の組成物で使用されるスコーチ抑制剤の量は、その分子量、ならびに組成物の他の成分、特にラジカル開始剤の量および性質で異なるが、典型的には、使用されるスコーチ抑制剤の最小量は、ポリマーの重量を基準にして少なくとも約0.01、好ましくは少なくとも約0.05、より好ましくは少なくとも約0.1、最も好ましくは少なくとも約0.15重量%である。これらの最小量は、LDPEと1.7重量パーセント(重量%)のペルオキシドとを含む系に特に有用である。スコーチ抑制剤の最大量は、大幅に異なる可能性があり、他の何よりもコストおよび効率に応じている。スコーチ抑制剤の典型的な最大量は、ポリマーの重量を基準にして約20重量%を超えず、好ましくは約10重量%を超えず、より好ましくは約7重量%を超えない。この場合も、これらの最大量は、LDPEと1.7重量%のペルオキシドとを含む系に特に有用である。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、2種以上のスコーチ抑制剤または硬化増進剤の組合せが好ましい。このような一組合せは、ジイソシアナート化合物とTEMPO化合物、例えばMDIと4−ヒドロキシ−TEMPOである。TEMPO化合物の単独使用と比べて、このような組合せは、溶融加工/押出温度における「スコーチ保護」と加硫温度における「硬化制御」のバランスを改善する場合が多い。4−ヒドロキシ−TEMPOの場合、特定の理論に拘泥するものではないが、ジイソシアナートの一端は、まずポリマー鎖にグラフト化させた4−ヒドロキシ−TEMPOと反応すると考えられ、最終的に懸垂型イソシアナート基が、異なるポリマー鎖にグラフト化させた別の4−ヒドロキシ−TEMPOと反応して、架橋網状物を形成する。ジイソシアナートがまず4−ヒドロキシ−TEMPOと反応(ウレタンビス−TEMPOを生成)しないということは、ウレタンビス−TEMPOで得られるスコーチの傾向を緩和する。同様の結果が、アミノTEMPO、およびかなり驚くべきことにステアリルウレタンTEMPOでも得られる(後者は、MDIと反応しないと考えられる)。ジイソシアナートとTEMPOの典型的なモル比は、0.1〜20、好ましくは0.3〜17、より好ましくは0.5〜15、最も好ましくは0.7〜20である。
【0021】
別のこのような組合せは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートとジイソシアナート、特にHEAおよび/またはHEMAとMDIである。これらの組合せは、HEAまたはHEMA単独に比較して、溶融加工ステップにおける「スコーチ保護」がおよそ同じかまたは向上すると共に、加硫条件での硬化を改善すなわち増進する。HEMAとMDIの組合せは、140Cにおけるスコーチ保護と182℃における硬化が共に、ペルオキシド単独で得られたものよりも優れているという点で特に顕著である。ヒドロキシル(メタ)アクリラートとジイソシアナートの典型的なモル比は、0.1〜20、好ましくは0.3〜17、より好ましくは0.5〜15、最も好ましくは0.7〜12である。
【0022】
本発明の硬化増進剤は、知られている硬化増進剤と同様に使用される。本発明の組成物で使用される硬化増進剤の量は、その分子量、ならびに組成物の他の成分、特にラジカル開始剤の量および性質で異なるが、典型的には、使用される硬化増進剤の最小量は、ポリマーの重量を基準にして少なくとも約0.01、好ましくは少なくとも約0.05、より好ましくは少なくとも約0.1、最も好ましくは少なくとも約0.15重量%である。これらの最小量は、LDPEと1.7重量パーセント(重量%)のペルオキシドとを含む系に特に有用である。硬化増進剤の最大量は、大幅に異なる可能性があり、他の何よりもコストおよび効率に応じている。硬化増進剤の典型的な最大量は、ポリマーの重量を基準にして約20重量%を超えず、好ましくは約10重量%を超えず、より好ましくは約7重量%を超えない。この場合も、これらの最大量は、LDPEと1.7重量%のペルオキシドとを含む系に特に有用である。
【0023】
噴霧、浸漬、および溶融混練が挙げられるが、これらに限定されない通常の混練手段を使用することによって、本発明のスコーチ抑制剤および/または硬化増進剤を、架橋性の弾性および/または熱可塑性重合体系と混合する。スコーチ抑制剤および/または硬化増進剤は、組成物に直接ブレンドすることができ、あるいは組成物の他の成分に添加する前に、組成物の1種または複数の他の成分と製剤化することができる。好ましい一実施形態では、スコーチ抑制剤および/または硬化増進剤を架橋性ポリマーと製剤化して、マスターバッチを生成し、次いでマスターバッチをポリマーの残部と溶融ブレンドして、均質な組成物を生成する。
【0024】
架橋性ポリマーラジカル架橋方法は、当技術分野でよく知られており、国際公開第2005/063896号、国際公開第2005/066280号、および国際公開第2005/066282号によく概説されており、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。本発明に包含される熱可塑性および/または弾性ポリマーは、性質上熱可塑性および/または弾性であり、かつ架橋剤の作用によって架橋する(硬化する)ことができる天然または合成ポリマーである。Rubber World、「Elastomer Crosslinking with Diperoxyketals」、1983年10月、26〜32頁、Rubber and Plastic News、「Organic Peroxides for Rubber Crosslinking」、1980年9月29日、46〜50頁、および上記に引用したPCT公報にはすべて、架橋作用および代表的な架橋性ポリマーが記載されている。本発明での使用に適したポリオレフィンは、上記のPCT出願、およびModern Plastics Encyclopedia 89、63〜67頁、74〜75頁にも記載されている。例示的ポリマーとしては、LLDPE、LDPE、HDPE、中密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレンターポリマー(例えば、エチレン−プロピレンブタジエン)、ポリブタジエン、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、エチレンビニルアセタート(EVA)、エチレン−プロピレンコポリマー(EP)、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロエラストマーなどが挙げられる。
【0025】
さらに、2種以上のポリマーのブレンドを使用してもよい。上述したポリマーおよびこれらのポリマーから調製された架橋性組成物は、当業者に知られている様々な他の添加剤を含有することができ、添加剤としては、カーボンブラック、二酸化チタン、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの充填剤、ならびにトリアリルシアヌラート、アリルジグリコールカーボナート、トリアリルイソシアヌラート、トリメチロールプロパン、ジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリメタクリラート、および様々なアリル化合物などの単量体助剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の架橋性組成物は、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、加工油などのような通常の添加剤も含有することができる。
【0026】
本発明の実施で使用するラジカル開始剤としては、比較的不安定であり、かつ少なくとも2種のラジカルに容易に分解する熱的に活性化した任意の化合物が挙げられる。ペルオキシド、特に有機ペルオキシド、およびアゾ開始剤が、このクラスの化合物の代表である。架橋剤として使用されるラジカル開始剤のうち、ジアルキルペルオキシドおよびジペルオキシケタール開始剤が好ましい。これらの化合物は、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、17巻、27〜90頁(1982年)に記載されている。
【0027】
ジアルキルペルオキシドの群において、好ましい開始剤は、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−アミルペルオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−アミルペルオキシ)ヘキシン−3、α,α−ジ[(t−ブチルペルオキシ)−イソプロピル]−ベンゼン、ジ−t−アミルペルオキシド、1,3,5−トリ−[(t−ブチルペルオキシ)−イソプロピル]ベンゼン、1,3−ジメチル−3−(t−ブチルペルオキシ)ブタノール、1,3−ジメチル−3−(t−アミルペルオキシ)ブタノール、およびこれらの開始剤の2種以上の混合物である。
【0028】
ジペルオキシケタール開始剤の群において、好ましい開始剤は、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンn−ブチル、4,4−ジ(t−アミルペルオキシ)バレラート、エチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチラート、2,2−ジ(t−アミルペルオキシ)プロパン、3,6,6,9,9−ペンタメチル−3−エトキシカルボニルメチル−1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート、エチル−3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)ブチラート、およびこれらの開始剤の2種以上の混合物である。
【0029】
他のペルオキシド開始剤、例えば00−t−ブチル−0−水素−モノペルオキシスクシナート;00−t−アミル−0−水素−モノペルオキシスクシナート、および/またはアゾ開始剤、例えば2,2’−アゾビス−(2−アセトキシプロパン)を使用して、架橋ポリマーマトリックスを与えることもできる。他の適当なアゾ化合物としては、米国特許第3,862,107号および第4,129,531号に記載されているものが挙げられる。2種以上のラジカル開始剤の混合物を、本発明の範囲内で開始剤として一緒に使用することもできる。さらに、ラジカルは、せん断エネルギー、熱、または放射線によって生成することができる。
【0030】
本発明の架橋性組成物中に存在する架橋剤の量は、大幅に異なる可能性があるが、最小量は、所望の架橋範囲をもたらすのに十分な量である。開始剤の最小量は、架橋させる1種または複数のポリマーの重量を基準にして典型的には少なくとも約0.02、好ましくは少なくとも約0.05、より好ましくは少なくとも約0.1重量%である。これらの組成物で使用する開始剤の最大量は、大幅に異なる可能性があり、典型的にはコスト、効率、および所望の架橋度のような要因によって決定される。最大量は、架橋させる1種または複数のポリマーの重量を基準にして典型的には約20重量%未満、好ましくは約15重量%未満、より好ましくは約10重量%未満である。
【0031】
いくつかの用途では、液体またはニートのラジカル開始剤の使用が望ましく、または必要でさえある。このような一用途は、押出混練の際である。一般的な商業加工の一技法は、液体開始剤を使用し、押出混練する前にポリマーペレットまたは顆粒に噴霧して被覆する。これによって、生産効率の向上をもたらすことができ、有害化合物の物理的取扱いがなくなる。
【0032】
架橋性組成物は、所望の架橋度を得るのに十分な時間まで熱硬化することができる。熱硬化には、主に重合体化合物および存在するペルオキシド開始剤に依存する温度−時間の関係があるが、その関係は、製剤中の他の材料によって影響を受ける場合がある。通例の硬化時間は、典型的には開始剤の約3〜8の半減期であるが、これは、操作員の随意での経験および最終生成物で望まれた正確な特性に基づいて変えてもよい。
【0033】
架橋(硬化)温度は、典型的には約100C〜約300C、またはそれ以上である。硬化時間は、温度に反比例している。好ましい開始剤を使用する組成物は、約120C〜約200Cと約0.5〜約30分間という温度−時間の関係で熱硬化する。熱硬化は、金型硬化、油浴硬化(ただし、油は重合体化合物を害さない)、オーブン硬化、蒸気硬化、および熱金属塩浴硬化など任意の通常の方式で実施することができる。
【0034】
本発明の組成物を以下の実施例でさらに説明し、データは、様々なニトロキシドの硬化制御、移行、および溶解性に関する性能に関する。部および百分率はすべて、別段の注記がない限り重量による。
【0035】
具体的な実施形態
(実施例1〜4および比較例1):HEA、HEMA、およびMDI
材料
架橋性ポリマー樹脂は、2.4dg/分のメルトインデックス(I、2.16kg、190C)および0.92g/ccの密度を有するペレットの形のLDPEである。スコーチ抑制剤および/または硬化増進剤は、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、およびメチレンp−ジフェニルジイソシアナート(MDI)である。ペルオキシドは、Geo Specialty Chemicalsから入手可能なジクミルペルオキシドであるDiCup Rである。
【0036】
試料調製
ガラスジャー中で、LDPEポリマーペレットを60Cで2時間加熱する。水浴を使用して、やはり60Cで、ペルオキシド(融点40C)を別に溶融する。次いで、注射器を使用して、溶融ペルオキシドをペレットに添加し、ペレットおよびペルオキシドを室温で30分間タンブルブレンドする。次いで、ペルオキシドを浸漬したポリマーペレットを入れたジャーを、60Cのオーブン中に終夜置く。次いで、さらに30分間、ペレットをジャー内で再びタンブルブレンドする。
【0037】
ペルオキシドを浸漬したペレットを使用して、ブラベンダーミキシングボウルを使用する溶融混練ステップで約40グラムの様々な組成物を作製する。ボウルを窒素でパージしない。ペレットをボウルに加え、125Cで3分間可塑化することによって溶融するまで30rpmおよび125Cで混合する。次いで、スコーチ抑制剤および/または硬化増進剤を添加し、さらに同じ硬化温度および速度条件でもう7分間混合する。次いで、混合物を取り出し、冷却する前に、シートにプレス加工する。
【0038】
硬化性能の試験:
先のステップで調製されたシートから、約6グラムの試料を切断し、次いで硬化、すなわち架橋性能分析のために可動ダイレオメータ(MDR)のチャンバに入れる。使用する機器は、100サイクル/分および05度幅の円弧に設定したAlpha TechnologiesのMDR 2000である。架橋カイネティクスを様々な設定温度で検討する。
【0039】
スコーチが望ましくない溶融加工条件をシミュレートするために、MDRを140Cで240分間運転し、ts(トルクが1インチ−ポンドの差で最小またはベースライントルク値を超える分単位の時間)を得る。急速でかつ有効な架橋が望ましい加硫条件をシミュレートするために、装置を182または200Cでそれぞれ12分間および5分間運転し、最大トルク応答(MH)と最小トルク(ML)の差異を得る。結果を図1〜5に示す。すべての実施例において、LDPE組成物は、1重量%のペルオキシド、3重量%のHEAまたはHEMA、およびHEAと組み合わせた場合は3.23重量%のMDI、またはHEMAと組み合わせた場合は2.88重量%のMDIを含む。
【0040】
図1〜5からわかるように、HEAとHEMA、特に後者は、使用する濃度でLDPEのペルオキシド架橋に有効なスコーチ遅延剤である。さらに、HEMAとMDIの組合せによって、望ましくは、140Cの温度においてスコーチ時間(トルクが1インチ−ポンド増加する時間、ts)が増加し、かつ182Cおよび200Cにおいて架橋度(最大トルク、MH−ML)が感知し得るほど低下しない。HEAとMDIの組合せによって、140Cの温度においてスコーチ時間(トルクが1インチ−ボンド増加する時間、ts)が低下するが、望ましくは、182Cおよび200Cにおいて架橋度(最大トルク、MH−ML)が増加する。
【0041】
(実施例5〜10および比較例2〜17):MDI
材料
架橋性ポリマー樹脂は、2.4dg/分のメルトインデックス(I、2.16kg、190C)および0.92g/ccの密度を有するペレットの形のLDPEである。本発明のスコーチ抑制剤および/または硬化増進剤は、メチレンp−ジフェニルジイソシアナート(MDI)である。比較例のスコーチ抑制剤および/または硬化増進剤は、4−ヒドロキシ−TEMPO、PAPI−TEMPO付加物、MDIウレタンビス−TEMPO付加物、ステアリルウレタンTEMPO、およびアミノTEMPO(4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−オキシ)である。ペルオキシドは、Geo Specialty Chemicalsから入手可能なジクミルペルオキシドであるDiCup Rである。
【0042】
PAPI−TEMPO付加物の調製
250ミリリットル(mL)の丸底フラスコに、PAPI 901(5mL、46.2ミリモル(mmol))をテトラヒドロフラン(THF)(50mL)に溶解する。PAPI 901は、重合体MDI(MDIを含有するポリメチレンポリフェニルイソシアナート、2.3個の官能基、The Dow Chemical Companyから入手可能)である。撹拌した溶液に、4−ヒドロキシ−TEMPO(9.95g、57.8mmol、1.25当量)およびトリエチルアミン(0.65mL、0.1当量)を添加して、赤橙色溶液を生じる。窒素入口を装備したアリーン冷却器をフラスコに装着する。還流装置を窒素で1時間パージして、残留空気を除去し、次いで加熱して穏やかに還流させる。3時間後、少量を取り出し、塩化ナトリウム板上で薄膜に蒸発させる。分析によって、イソシアナート帯(2266cm−1)が存在し続けていることがわかり、反応を終夜継続する。20時間後、別の少量を取り出し、分析する。イソシアナート帯は残っておらず、したがって反応混合物を室温まで放冷する。
【0043】
次いで、揮発性材料を減圧下で除去すると、粘性褐色液体が残留する。液体を連続してエーテル(5×20mL)で洗浄して、未反応の4−ヒドロキシ−TEMPOを除去する。エーテル抽出物が淡黄色のままになると、洗浄を中断する。次いで、残留する褐色半固体材料をヘキサンで滴定し、ヘキサン層をデカンテーションする。残留エーテルを除去するとき、ヘキサンで2回連続して洗浄すると、最終的に粒状固体が得られる。次いで、黄褐色固体を100mLのヘキサンに懸濁し、6時間撹拌する。濾過および真空下での乾燥によって、収率75%で淡褐色固体(10.5g)が得られ、その薄膜は、3311(N−H)、2988(C−H)、1722(C=O)、1533cm−1の赤外スペクトルグラフを示す。
【0044】
MDIウレタンビス−TEMPO付加物の調製
250mLの丸底フラスコに、MDI(10g、40.0mmol)および撹拌棒を配置する。固体をトルエン(30mL)に溶解し、均圧滴下漏斗をフラスコに装着する。装置を窒素でパージした後、エタノール/トルエン(3:1)混合物(100mL)に溶かした4−ヒドロキシ−TEMPO(15.56g、90.31mmol、2.26当量)溶液を15分にわたって少しずつ添加する。赤橙色溶液の撹拌を室温で45分間継続する。反応の徴候(変色または発熱)は見られない。漏斗を還流冷却器に取り換え、ジラウリン酸ジブチルスズ(100mL、0.167mmol、0.0042当量)を注射器で添加する。次いで、穏やかな発熱により反応が明らかとなる。撹拌を室温で6時間継続する。
【0045】
ペンタン(150mL)を添加して、生成物を沈殿させる。添加すると、粘性橙色油の分離が起こる。上澄みをデカンテーションして、取り除き、油をエーテル100mLずつで2回洗浄して、残留4−ヒドロキシ−TEMPOを除去する。各エーテル洗液を、10分間激しく撹拌し、続いてデカンテーションする。デカンテーションした液を元の濾液と合わせると、桃色固体の沈殿が起こり、これを濾紙上に回収し、取り除く。第2のエーテル洗液をデカンテーションした後、油状塊を100mLのペンタンと共に終夜撹拌すると、ベージュ色固体の滴定および沈殿が起きる。固体をフリット上に回収し、エーテル75mLずつで2回洗浄する。エーテル抽出物を保持する。洗浄した固体を真空乾燥して、16.2gの淡桃色粉末を得る。エーテル抽出物をペンタンで処理して、さらに3gの材料を沈殿させ、全収量が19.2g(80%)になる。固体の赤外分光分析は、溶液を蒸発させて薄膜を得ることによって実施する。分析によって、2274cm−1における−NCO帯の完全な消失がわかり、これは、試料中のイソシアナート残基の完全な消費を示唆する。薄膜の赤外分光分析は、3295(N−H)、2967(C−H)、1715(C=O)、1533cm−1を示す。
【0046】
ステアリルウレタンTEMPOの調製
ステアリルウレタンTEMPOは、約0.1%のジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)を触媒として含む4−ヒドロキシ−TEMPOとステアリルイソシアナートの1:1モル混合物として調製する。反応物質を別々に80Cで溶融し、0.1重量%のDBTDLを4−ヒルドキシ−TEMPOに添加し、ボルテックス混合器で混合し、約1分間再加熱する。次いで、2つの液体を一緒に注ぎ、ボルテックス混合器で混合し、反応を130Cで進行させて完了する。一定分量を分析に使用し、Nicolet Magna 750 FT−IR分光計で透過によりスペクトルを収集する。塩の間でプレス加工されたキャピラリー膜として、試料を調製する。次いで、この塩をデジタル温度調節器に接続させた加熱可能なセルホルダーに入れる。分解能を4cm−1と設定し、64回のスキャンを加算して、信号とノイズ(s/n)の比を増大させる。スペクトルを三角形アポダイゼーションで処理する。
【0047】
(比較例2および3)
これらの例で使用するLDPE樹脂は、実施例1〜4および比較例1で使用したLDPE樹脂と同じ特性を有する。同じブラベンダー混合器を使用して、40グラムのブレンドの試料を作製したが、この場合、ペルオキシド以外の材料をすべて、ボウルに加え、125Cで3分間混合し、続いてペルオキシドを添加し、さらに4分間混練する。ブレンドの架橋カイネティクスは、先の実施例のMDR機器および手順を使用して140Cおよび182Cで調査する。
【0048】
結果を図6および7に示す。両方の比較例において、LDPE組成物は1.7重量%のペルオキシドを含むが、比較例3は、0.5重量%のPAPI−TEMPO付加物をさらに含む。図6に示すように、付加物を使用すると、140Cにおいてスコーチが抑制されない。図7に示すように、付加物を使用すると、182Cにおける架橋速度および架橋度が劣る。
【0049】
(比較例4〜6)
試料を混練する前に、窒素パージを使用して、混合ボウルから空気を取り除く点以外は比較例2および3の試料と同様にして、試料を調製および分析する。ブレンドの架橋カイネティクスは、先の実施例のMDR機器および手順を使用して140Cおよび182Cで調査する。
【0050】
結果を図8および9に示す。すべての例において、LDPE組成物は1.7重量%のペルオキシドを含む。比較例5の試料では、4−ヒドロキシ−TEMPOは、組成物の0.25重量%で存在する。比較例6の試料では、MDIウレタンビス−TEMPO付加物は、組成物の0.86重量%で存在する。
【0051】
図8に示すように、4−ヒドロキシTEMPOを使用すると、140Cにおいてスコーチが抑制されたが、図9に示すように、182Cにおける架橋速度および架橋度がやはり劣った。MDIウレタンビス−TEMPO付加物を使用すると、図9に示すように、(4−ヒドロキシTEMPOの使用に比べて)182Cにおける架橋速度および架橋度が増加したが、図8に示すように、140Cにおけるスコーチは大幅には抑制されなかった。
【0052】
(比較例7〜9および実施例2)
実施例1〜4および比較例1のものと同様にして、ペルオキシドを浸漬したLDPEポリマーペレット、および40グラムの様々な架橋性ポリマー組成物の試料を調製する。実施例1〜4および比較例1でカイネティクスを140Cおよび182Cにおいて調査するのと同様にして、試料の架橋カイネティクスを調査する。
【0053】
結果を図10に示す。比較例7および8ならびに実施例2において、LDPE組成物は1.7重量%のペルオキシドを含む。比較例9において、LDPE組成物は1.4重量%のペルオキシドを含む。比較例8も実施例5も、0.25重量%の4−ヒドロキシ−TEMPOを含み、実施例5は、0.18重量%のMDIをさらに含む。望ましいことには、図10に示すように、4−ヒドロキシ−TEMPO単独に比べて、4−ヒドロキシ−TEMPOとMDIの組合せは、140Cの温度におけるスコーチ時間(トルクが1インチ−ポンド増加する時間、ts)を増加させ、また182Cにおける架橋度(最大トルク、MH−最小トルク、ML)も増加させる。
【0054】
(比較例10および実施例6)
(室温で30分間再度タンブルブレンドする代わりに)終夜浸漬ステップを行った後、4−ヒドロキシ−TEMPOおよび/またはMDIとブレンドするための混合ボウルに添加する前に、ジャーの内容物全体をブラベンダー混合ボウル中、125Cおよび30rpmで10分間混合する点以外は、実施例1〜4および比較例1のものと同様にして、ペルオキシドを浸漬したLDPEポリマーペレット、および40グラムの様々な架橋性ポリマー組成物の試料を調製する。実施例1〜4および比較例1でカイネティクスを140Cおよび182Cにおいて調査するのと同様にして、試料の架橋カイネティクスを調査する。
【0055】
結果を図11に示す。比較例10において、LDPE組成物は、1.7重量%のペルオキシドおよび0.25重量%の4−ヒドロキシ−TEMPOを含む。実施例6において、組成物は、1.7重量%のペルオキシド、0.25重量%の4−ヒドロキシ−TEMPO、および0.18重量%のMDIを含む。図11は、望ましいことには、4−ヒドロキシ−TEMPO単独に比べて、4−ヒドロキシ−TEMPOとMDIの組合せは、140Cの温度におけるスコーチ時間を増加させ、また182Cにおける架橋度(MH−ML)も増加させることを示す。
【0056】
(比較例11〜13および実施例7〜9)
実施例6および比較例10のものと同様にして、ペルオキシドを浸漬したLDPEポリマーペレット、および40グラムの様々な架橋性ポリマー組成物の試料を調製する。実施例1〜4および比較例1でカイネティクスを140Cおよび182Cにおいて調査するのと同様にして、試料の架橋カイネティクスを調査する。
【0057】
結果を図12に示す。すべての例において、LDPE組成物は1.7重量%のペルオキシドを含む。比較例12の組成物は、0.25重量%の4−ヒドロキシ−TEMPOをさらに含む。実施例7の組成物は、0.25重量%の4−ヒドロキシ−TEMPOおよび0.30重量%のMDIをさらに含む。比較例13の組成物は、0.55重量%のステアリルウレタンTEMPOをさらに含み、実施例8の組成物は、0.53重量%のステアリルウレタンTEMPOおよび0.30重量%のMDIをさらに含む。実施例9の組成物は、0.25重量%のアミノTEMPOおよび0.30重量%のMDIをさらに含む。
【0058】
望ましいことには、モノ−TEMPO誘導体単独に比べて、モノ−TEMPO誘導体(すなわち、アミノ−TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、ステアリルウレタンTEMPO)とMDIの組合せは、140Cの温度におけるスコーチ時間と182Cにおける架橋度のバランスを改善する。
【0059】
(比較例14〜17および実施例10)
比較例15〜17のLDPE樹脂からペルオキシドを除き、比較例17においてジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)をペルオキシドの代わりに使用した点以外は、実施例6および比較例10のものと同様にして、ペルオキシドを浸漬したLDPEポリマーペレット、および40グラムの様々な架橋性ポリマー組成物の試料を調製する。実施例1〜4および比較例1でカイネティクスを140Cおよび182Cにおいて調査するのと同様にして、試料の架橋カイネティクスを調査する。
【0060】
結果を図13〜15に示す。比較例14において、LDPE組成物は1.7重量%のペルオキシドを含むが、いずれのスコーチ抑制剤も含まない。比較例15において、LDPEは、ペルオキシド、DBTDL、およびいずれのスコーチ抑制剤も含まない。比較例16において、LDPE樹脂は3重量%のMDIを含むが、ペルオキシドおよびDBTDLを含まない。比較例17において、LDPE樹脂は3重量%のMDIおよび1重量%のDBTDLを含むが、ペルオキシドを含まない。実施例10において、LDPE樹脂は1.7重量%のペルオキシドおよび3重量%のMDIを含む。
【0061】
望ましいことには、図に示すように、MDIをペルオキシドと組み合わせると、140Cの温度におけるスコーチ時間と182Cにおける架橋度のバランスが改善する。ペルオキシドなしでは、MDIは、(触媒としてDBTDLが含まれている場合でさえ)樹脂を架橋しない。
【0062】
前の例によって、本発明をかなり詳細に説明したが、この詳細は例示するためのものであって、下記の特許請求の範囲に記載されている本発明の趣旨および範囲を制限するものと解釈されるべきでない。上記に引用されたすべての米国特許、米国特許出願公報、許可された米国特許出願、および他のすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物であって、(i)ラジカル開始剤(free radical initiator)と、(ii)ラジカル架橋性ポリマー(free radical crosslinkable polymer)と、(iii)スコーチを抑制する量のイソシアナート、ジイソシアナート、および(メタ)アクリラートスコーチ抑制剤の少なくとも1つとを含み、イソシアナートおよびジイソシアナートは、式(I):
R(NCO)n (I)
を有し、式中、nは少なくとも1であり、Rは、4〜26個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、もしくは脂肪族−芳香族炭化水素、または不活性に置換された炭化水素基であり、(メタ)アクリラートスコーチ抑制剤は、式(II):
CH=C(R)−C(O)−O−R (II)
を有し、式中、Rは、水素またはメチル基であり、Rは、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素基、またはヒドロキシアルキル基、あるいは不活性に置換された炭化水素またはヒドロキシアルキル基である、ポリマー組成物。
【請求項2】
スコーチ抑制剤が、ポリマーの重量を基準にして少なくとも0.01重量%の量で存在する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
スコーチ抑制剤が、ポリマーの重量を基準にして0.15〜7重量%の量で存在する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
RがC6〜20であり、nが2〜4である、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
スコーチ抑制剤が、MDIおよび重合体イソシアナートの少なくとも1つである、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
が、メチル、エチル、またはプロピルである、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
がエチルである、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
がヒドロキシアルキル基である、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
がエチルヒドロキシル基である、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
(メタ)アクリラートおよびジイソシアナートスコーチ抑制剤が、0.1〜20のモル比で存在する、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
スコーチ抑制剤が、4−ヒドロキシ−TEMPO、メチルエーテルTEMPO、ブチルエーテルTEMPO、ヘキシルエーテルTEMPO、アリルエーテルTEMPO、およびステアリルウレタンTEMPOの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
ジイソシアナートとTEMPOスコーチ抑制剤が0.1〜20のモル比で存在する、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
ラジカル開始剤が、ペルオキシド化合物およびアゾ化合物の少なくとも1つである、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
架橋性ポリマーが、弾性または熱可塑性ポリオレフィンの少なくとも1つである、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
ラジカル開始剤(free radical initiator)を含むラジカル架橋性ポリマー組成物(free radical crosslinkable polymer composition)のスコーチを抑制する方法であって、方法は、組成物をラジカル架橋条件(free-radical crosslinking conditions)に曝露する前に、スコーチを抑制する量のイソシアナート、ジイソシアナート、および(メタ)アクリラートスコーチ抑制剤の少なくとも1つと組成物とを混合するステップを含み、イソシアナートおよびジイソシアナートは、式(I):
R(NCO)n (I)
を有し、式中、nは少なくとも1であり、Rは、4〜26個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、もしくは脂肪族−芳香族炭化水素、または不活性に置換された炭化水素基であり、(メタ)アクリラートスコーチ抑制剤は、式(II):
C=C(R)−C(O)−O−R (II)
を有し、式中、Rは、水素またはメチル基であり、Rは、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素基、またはヒドロキシアルキル基、あるいは不活性に置換された炭化水素またはヒドロキシアルキル基である、方法。
【請求項16】
スコーチ抑制剤が、ポリマーの重量を基準にして少なくとも0.01重量%の量で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
スコーチ抑制剤が、ポリマーの重量を基準にして0.15〜7重量%の量で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
RがC6〜20であり、nが2〜4である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
スコーチ抑制剤が、MDIおよび重合体イソシアナートの少なくとも1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
が、メチル、エチル、またはプロピルである、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
がヒドロキシアルキル基である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
スコーチ抑制剤が、4−ヒドロキシ−TEMPO、メチルエーテルTEMPO、ブチルエーテルTEMPO、ヘキシルエーテルTEMPO、アリルエーテルTEMPO、およびステアリルウレタンTEMPOの少なくとも1つをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
ラジカル開始剤が、ペルオキシド化合物およびアゾ化合物の少なくとも1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
架橋性ポリマーが、弾性または熱可塑性ポリオレフィンの少なくとも1つである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ポリマー組成物であって、(i)ラジカル開始剤(free radical initiator)と、(ii)ラジカル架橋性ポリマー(free radical crosslinkable polymer)と、(iii)硬化を増進する量のジイソシアナート硬化増進剤とを含み、ジイソシアナート硬化増進剤は、式(I):
R(NCO)n (I)
を有し、式中、nは少なくとも2であり、Rは、4〜26個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、もしくは脂肪族−芳香族炭化水素、または不活性に置換された炭化水素基である、ポリマー組成物。
【請求項26】
硬化増進剤が、ポリマーの重量を基準にして少なくとも0.01重量%の量で存在する、請求項25に記載のポリマー組成物。
【請求項27】
硬化増進剤が、ポリマーの重量を基準にして0.15〜7重量%の量で存在する、請求項25に記載のポリマー組成物。
【請求項28】
RがC6〜20であり、nが2〜4である、請求項26に記載のポリマー組成物。
【請求項29】
硬化増進剤が、MDIおよび重合体イソシアナートの少なくとも1つである、請求項26に記載のポリマー組成物。
【請求項30】
スコーチ抑制剤をさらに含む、請求項25に記載のポリマー組成物。
【請求項31】
スコーチ抑制剤が、式(II)の(メタ)アクリラート:
C=C(R)−C(O)−O−R (II)
式中、Rは、水素またはメチル基であり、Rは、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素基、またはヒドロキシアルキル基、あるいは不活性に置換された炭化水素またはヒドロキシアルキル基である;またはTEMPO化合物の少なくとも1つである、請求項30に記載のポリマー組成物。
【請求項32】
(メタ)アクリラートがヒドロキシエチルメタクリラートである、請求項31に記載のポリマー組成物。
【請求項33】
TEMPO化合物が、4−ヒドロキシ−TEMPO、メチルエーテルTEMPO、ブチルエーテルTEMPO、ヘキシルエーテルTEMPO、アリルエーテルTEMPO、およびステアリルウレタンTEMPOの少なくとも1つである、請求項31に記載のポリマー組成物。
【請求項34】
ラジカル開始剤が、ペルオキシド化合物およびアゾ化合物の少なくとも1つである、請求項25に記載のポリマー組成物。
【請求項35】
架橋性ポリマーが、弾性または熱可塑性ポリオレフィンの少なくとも1つである、請求項34に記載のポリマー組成物。
【請求項36】
ラジカル開始剤(free radical initiator)を含むラジカル架橋性ポリマー組成物(free radical crosslinkable polymer composition)の硬化を増進する方法であって、方法は、組成物をラジカル架橋条件(free-radical crosslinking conditions)に曝露する前に、硬化を増進する量のイソシアナート硬化増進剤と組成物とを混合するステップを含み、ジイソシアナート硬化増進剤は、式(I):
R(NCO)n (I)
を有し、式中、nは少なくとも2であり、Rは、4〜26個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、芳香族、もしくは脂肪族−芳香族炭化水素、または不活性に置換された炭化水素基である、方法。
【請求項37】
硬化増進剤が、ポリマーの重量を基準にして少なくとも0.01重量%の量で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
硬化増進剤が、ポリマーの重量を基準にして0.15〜7重量%の量で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
RがC6〜20であり、nが2〜4である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
硬化増進剤が、MDIおよび重合体イソシアナートの少なくとも1つである、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
ポリマー組成物がスコーチ抑制剤をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
スコーチ抑制剤が、式(II)の(メタ)アクリラート:
C=C(R)−C(O)−O−R (II)
式中、Rは、水素またはメチル基であり、Rは、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素基、またはヒドロキシアルキル基、あるいは不活性に置換された炭化水素またはヒドロキシアルキル基である;またはTEMPO化合物の少なくとも1つである、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
(メタ)アクリラートがヒドロキシエチルメタクリラートである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
TEMPO化合物が、4−ヒドロキシ−TEMPO、メチルエーテルTEMPO、ブチルエーテルTEMPO、ヘキシルエーテルTEMPO、アリルエーテルTEMPO、およびステアリルウレタンTEMPOの少なくとも1つである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
ラジカル開始剤が、ペルオキシド化合物およびアゾ化合物の少なくとも1つである、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
架橋性ポリマーが、弾性または熱可塑性ポリオレフィンの少なくとも1つである、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
請求項1に記載のポリマー組成物を含む物品。
【請求項48】
請求項25に記載のポリマー組成物を含む物品。
【請求項49】
請求項15に記載の方法で調製された架橋ポリマー。
【請求項50】
請求項49に記載の架橋ポリマーを含む物品。
【請求項51】
請求項36に記載の方法で調製された架橋ポリマー。
【請求項52】
請求項51に記載の架橋ポリマーを含む物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−521557(P2010−521557A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553724(P2009−553724)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/056517
【国際公開番号】WO2008/112690
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】