説明

スタイラスの位置によるシステム制御

【課題】スタイラスの位置に基づいてスタイラスベースコンピュータを制御するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】一部の態様では、収納部からスタイラスを取り出すと、コンピュータシステムに電源を入れることができる。他の態様では、スタイラスの位置に応じて、デジタイザにより消費される電力を変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、コンピューティングシステムに関する。より詳細には、本発明の態様は、スタイラスの位置に基づいてスタイラスベースコンピュータシステムを制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューティングシステムは、各種の入力を受け付ける。大半のコンピューティングシステムは、キーボードおよびマウスで制御される。一部のコンピューティングシステムは、スタイラスで制御される。場合によっては、ユーザ入力を受け取る手段がスタイラスしかない。キーボードおよびマウスが、このような場合以外は、スタイラスと併用されてユーザ入力を伝達する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スタイラスベースコンピュータには2つの問題が存在する。第1に、スタイラスは、多くの場合、コンピューティングデバイスに接続されていない。紙に対してペンを使用する場合と同じように容易に、ユーザがスタイラスを自由に使用することができる一方で、ユーザはしばしば、置き忘れたスタイラスを見つけなければならなくなる。
【0004】
第2に、スタイラスベースコンピューティングシステムは、一般に、バッテリ電源システム(一次電池または二次電池)を備える。ユーザの入力を判定するために使用されるデジタイザは電力を消費する。バッテリ電力で稼動し、キーボードまたはマウスを使用する場合でも、スタイラス対応コンピュータは、使用されていないデジタイザに電力を供給していることがある。このように、デジタイザを使用しない場合には、より長い時間にわたってコンピュータに電力を供給するために使用することができる電力が浪費される。
【0005】
スタイラスベースコンピュータを制御する改良されたシステムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、上述した問題の1つまたは複数に対処し、それにより、スタイラスベースコンピューティングシステムの動作を制御するシステムおよび方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施形態は、スタイラスの動きまたは位置に基づいてスタイラスベースコンピュータの動作を制御することに関する。
【0008】
本明細書は、理解を容易にするように項に区分する。スタイラスベースコンピュータの制御の概要、インクの特徴、用語、汎用コンピューティング環境、スタイラスベースコンピュータの状態の制御、およびデジタイザの状態の制御という項目に区分する。
【0009】
以下の説明では、要素間にある、各種の関連性が述べられることに留意されたい。それらの関連性は一般的なもので、特に明示しない限りは、直接的なものである場合も、間接的なものである場合もあり、本明細書の記載は、この点に関して限定するものではないことに留意されたい。
【0010】
(スタイラスベースコンピュータの制御の概要)
スタイラスベースコンピュータは、オフィスと家庭の両方で次第に普及しつつある。ユーザは、スタイラスベースコンピュータを使用して、より容易にコンテンツと対話する。コンテンツは、ユーザが作成する電子インクを含むことがあり、あるいはペン駆動型のインタフェースからアクセスできる情報である場合もある。電子インクの作成および操作のみならず、よりスタイラスで操作しやすいインタフェースの開発に関して発展がとげられている。本発明の実施形態では、スタイラス自体の位置に基づくことによりスタイラスベースコンピュータの動作が改良される、各種の手法について記載する。
【0011】
本明細書では、スタイラスの位置は一般に、3つの位置の1つであるとされる。3つの位置のうちの第1位置は、スタイラスベースコンピュータの筐体内にしまい込まれた状態と呼ばれる。3つの位置のうちの第2位置は、スタイラスの収容位置と呼ばれる。この収容位置は、スタイラスが一時的に置かれる位置を含むことができる。第1位置と第2位置はともに、まとめて収納位置と呼ぶことができる。3つの位置のうちの第3位置は、上記2つの位置の外側にある位置、または上記2つの位置から離れた位置である。例えば、ユーザがスタイラスで活発にものを書いている、またはユーザがスタイラスをデジタイザから離して手に持っている場合を、この第3位置の一部として含むことができる。
【0012】
図3Aおよび3Bに、上記の第1および第2位置の各種具体例を示す。図3Aに、ディスプレイおよびデジタイザ領域302を有するスタイラスベースコンピューティングシステム301を示すが、デジタイザ領域302内のディスプレイは、上部面303にある。スタイラスベースコンピューティングシステム301は、第1の側面304と第2の側面305も有することができる。スタイラスベースコンピューティングシステム301は、開口部306を有することができ、スタイラス307をこれに通して収納空間の中に入れることができる。スタイラス307は、先端308、本体309(1つまたは複数のボタンを有する場合も有さない場合もある)、および後部端310を有することができる。スタイラス307は、クリップ311を有する場合も有さない場合もある。スタイラス307は、矢印312および313の方向に、開口部306を介して収納空間に出し入れすることができる。
【0013】
図3Bに、スタイラスベースコンピュータ301の前面303にある一時的収納のための差し口314を示す。一時的収納差し口314は、少なくともスタイラス307の先端308を収容するのに十分な長さを有してもよいし、あるいは先端308が長いスタイラスの場合は、先端308の一部のみを収容してもよい。一時的収納差し口314内の空洞は、表面303の中に突き出なくともよい。あるいは、一時的収納差し口314の空洞は、少なくとも表面303の中まであいていてもよい。さらに、システムは、隆起した一時的収納差し口314の代わりにスタイラス307の一部のみを収容することができる、くぼんだ開口部315を有することもできる。その場合も、スタイラス307は、矢印312および313の方向に、一時的収納差し口314または開口部315の中に抜き差しすることができる。開口部306によって空間を形成した場合と、収納差し口314および開口部315によって空間を形成した場合との違いは、開口部306にした場合、スタイラス307の全体でなくとも実質的に大部分を収容するのに十分な長さとすることができる点である。収納差し口314および開口部315によって形成しても、開口部306によって形成するほど深い空間は得られない。
【0014】
さらに、図3Bの示す概念は、中にスタイラスを置くことができるトレイにまで適用することができる。トレイには、その下に図4に示すセンサを備えたくぼみを設けることができる。
【0015】
図4に、開口部306、差し口314、または開口部315にて形成される空間に、ともに使用することができる内部構成要素を示す。この空間を図4ではまとめて中空部(chamber)400として図示する。中空部400は、側壁401および端壁402を有することができる。場合に応じて、側壁401と端壁402を一体化し、それらの間に変わり目を残さないようにしてもよい。中空部400は、1つまたは複数のセンサ403〜405を有することができる。センサ403〜405は、側壁401の長さに沿って間隔を空けて配置することができる。中空部には、場合に応じて、バネまたは他の押し出し機構および/または固定機構を設けて、容易に取り出せるようにスタイラスを押し出すようにすることもできる。
【0016】
センサ403〜405は、光学センサ、機械センサ、電気機械センサ、電気センサ(静電容量センサおよび誘導センサを含む)などから選択することができる。これらのセンサは、単独で、または併用し、収納または取り出しを感知することができ、あるいは、単にスタイラス307が中空部400内に存在するか否かの状態の変化を感知することができる。さらに、付加的な本発明の少なくとも一実施形態では、センサ403〜405の1つが、少なくとも先端308の存在を判定する小型のデジタイザを有することができる(例えば、Wacomタイプのデジタイザおよびそれに付随するペン)。本発明のさらに別の実施形態では、ペンの先端308を識別することに基づいてスタイラス307を判別することができる。
【0017】
センサ403〜405は、図4では3つの別個のセンサとして示されている。または、これに代えて、1つのセンサ(403、404、または405)を側壁401の全長にわたって配置してもよい。
【0018】
(インクの特徴)
インクペンを使用するユーザに知られるように、物理的なインク(インク容器を備えるペンを使用して紙に書く場合のインク)は、線分でつながれた座標の連続よりも多くの情報を伝えることができる。例えば、物理的なインクは、ペンの圧力(インクの濃さによる)、ペンの角度(直線または曲線の線分の形状および離散点の周囲のインクの状態による)、およびペン先の速度(直線度、線幅、および直線または曲線における線幅の変化による)を反映することができる。さらなる例には、インクが置かれた紙面または他の表面の繊維にインクがどのように吸収されるかといったものがある。これらの繊細な特徴は、上記に挙げた特性を伝えるのに役立つ。これらの付加的な特性から、点間の均一な線幅よりも瞬時に感情、性格、強調などを伝えることができる。
【0019】
電子インク(あるいはインク)は、ユーザがスタイラスベースの入力装置を使用する際に取り込まれる電子情報の取り込みと表示に関連する。電子インクとは、ストロークの連続または任意のストロークの集合を指し、各ストロークは、点の連続から構成される。ストロークは、同時に描画あるいは収集されることも、それぞれの理由で別個の時および位置で描画あるいは収集されることもある。点は、デカルト座標(X,Y)、極座標(r,Θ)、および当技術分野で周知の他の技法を含む、各種の周知技法を使用して表すことができる。電子インクは、圧力、角度、速度、色、スタイラスの大きさ、インクの不透明度を含む、実際のインクの特性表現を有することができる。電子インクはさらに、他の情報の中でも特に、ページにインクが置かれた順序(大半の西洋の言語の場合は左から右、そして下へのラスタパターン)、(インクが置かれた時間を示す)タイムスタンプ、インクの作成者の指示、および生成元のデバイス(インクが描画された装置の識別番号またはインクを置くために使用されたペンの識別番号のうち少なくとも一方)などの他の特性を有することができる。
【0020】
(用語)
インク:様々な特性を備えるストロークの連続またはストロークの集合。ストロークの連続は、順序付けられたストロークから構成することができる。連続は、取り込まれた時間で、またはストロークが表示されたページ上の位置で、あるいは共同で行っている状況(collaborative situation)ではインクの作成者によって順序付けることができる。他の順序付けも可能である。ストロークの集合は、ストロークの連続、または順序付けされないストローク、またはそれらの組合せから構成することができる。さらに、特性の一部は、各ストロークまたはストローク中の点に固有である(例えば、圧力、速度、角度など)。これらの特性は、インクレベルではなく、ストロークまたは点レベルで記憶することができる。
【0021】
ストローク:取り込まれた点の連続または集合。例えば、表示される際に、点の連続は線でつなげることができる。あるいは、ストロークは、点および次の点の方向を示すベクトルとして表すことができる。要約すると、ストロークは、基礎となる点表現および/または点をつなぐものの表現に関係なく、インクに関連する任意の点表現または線分表現を包含するものである。
【0022】
点:空間内の位置を定義する情報。例えば、点は、取り込み空間(例えば、デジタイザ上の点)、仮想のインク空間(取り込まれたインクが配置される空間内の座標)、および/または表示空間(表示装置の点またはピクセル)に対して相対的に定義することができる。
【0023】
ドキュメント:可視表現および可視コンテンツを有する任意の電子ファイル。ドキュメントは、ウェブページ、ワードプロセッシング文書、ノートページあるいはパッド、表計算、視覚的プレゼンテーション、データベースレコード、画像ファイル、およびそれらの組合せを含むことができる。
【0024】
(汎用的なコンピューティング環境)
図1に、本発明を実施することができる適切な例示的コンピューティングシステム環境100を示す。コンピューティングシステム環境100は、適切なコンピューティング環境の一例にすぎず、本発明の使用または機能の範囲について何らの限定を示唆するものではない。また、コンピューティング環境100は、例示的な動作環境100に示される構成要素の1つまたは組合せに関して何らかに依存することや何らかの要求がなされるものと解釈すべきではない。
【0025】
本発明は、数多くの他の汎用または専用コンピューティングシステム環境または構成により動作する。本発明と共に使用するのに適した周知のコンピューティングシステム、環境、および/または構成の例には、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、セットトップボックス、プログラム可能家電、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステムまたはデバイスを含む分散コンピューティング環境などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明は、コンピュータによって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテクストで説明することができる。一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実行し、あるいは特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれる。本発明は、通信ネットワークを通じて接続されたリモート処理装置によってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実施することもできる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶装置を含むローカルおよびリモートコンピュータ記憶媒体の両方に配置することができる。
【0027】
図1を参照すると、本発明を実施するための例示的なシステムは、コンピュータ110の形態の汎用コンピューティング装置を備える。コンピュータ110の構成要素として、処理装置120、システムメモリ130、およびシステムメモリを含む各種のシステム構成要素を処理装置120に連結するシステムバス121を備えることができるが、これらに限定されるものではない。システムバス121は、メモリバスあるいはメモリコントローラ、周辺バス、および各種のバスアーキテクチャを用いたローカルバスを含む複数のタイプのバス構造のいずれでもよい。例えば、そのようなアーキテクチャには、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCΑ)バス、拡張ISA(EISA)バス、ビデオ電子規格協会(VESA)ローカルバス、およびメザニンバスとしても知られる周辺コンポーネント相互接続(PCI)バスが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
コンピュータ110は一般に、各種のコンピュータ可読媒体を備える。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ110によってアクセス可能な任意の利用可能媒体とすることができ、揮発性および不揮発性媒体、着脱可能および着脱不能媒体が含まれる。例えば、コンピュータ可読媒体としては、コンピュータ記憶媒体と通信媒体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。コンピュータ記憶媒体には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、あるいは他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技法で実施される揮発性および不揮発性媒体、着脱可能および着脱不能媒体が含まれる。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、または他の光学ディスク記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶、または他の磁気記憶装置、あるいは、所望の情報を記憶するために使用できコンピュータ110によってアクセスできる他の任意の媒体が含まれるが、これらに限定されるものではない。通信媒体は、一般に、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータを、搬送波や他の移送機構などの変調データ信号として表現したものであり、任意の情報伝達媒体を含む。「変調データ信号」という用語は、信号中の情報を符号化するような方式で設定または変更された特性の1つまたは複数を有する信号を意味する。例えば、通信媒体には、有線ネットワークや直接配線接続などの有線媒体と、音波、RF、赤外線およびその他の無線媒体などの無線媒体が含まれる。上記の媒体の任意の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0029】
システムメモリ130は、読み取り専用メモリ(ROM)131およびランダムアクセスメモリ(RAM)132などの揮発性および/または不揮発性メモリの形態をとるコンピュータ記憶媒体を備える。起動時などにコンピュータ110内の要素間の情報転送を助ける基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)133は、一般にROM131に記憶される。RAM132は、一般に、処理装置120が直ちにアクセス可能であり、かつ/または現在処理装置120に基づいて動作しているデータおよび/またはプログラムモジュールを含む。例えば、図1には、オペレーティングシステム134、アプリケーションプログラム135、他のプログラムモジュール136、およびプログラムデータ137が示されるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
コンピュータ110は、他の着脱可能/着脱不能、揮発性/不揮発性のコンピュータ記憶媒体も含むことができる。図1には、着脱不能な不揮発性の磁気媒体に対して読み書きを行うハードディスクドライブ141、着脱可能な不揮発性の磁気ディスク152に対して読み書きを行う磁気ディスクドライブ151、およびCD−ROMや他の光学媒体などの着脱可能な不揮発性の光ディスク156に対して読み書きを行う光ディスクドライブ155が一例として示されている。例示的な動作環境で使用することができる他の着脱可能/着脱不能、揮発性/不揮発性のコンピュータ記憶媒体には、磁気テープカセット、フラッシュメモリカード、デジタル多用途ディスク、デジタルビデオテープ、固体素子RAM、固体素子ROMなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。ハードディスクドライブ141は、一般に、インタフェース140などの着脱不能メモリインタフェースを介してシステムバス121に接続され、磁気ディスクドライブ151および光ディスクドライブ155は、一般に、インタフェース150などの着脱可能メモリインタフェースを介してシステムバス121に接続される。
【0031】
上述した、図1に示すドライブおよびそれに関連するコンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの記憶保持をコンピュータ110に提供する。例えば、図1には、オペレーティングシステム144、アプリケーションプログラム145、他のプログラムモジュール146、およびプログラムデータ147を記憶するハードディスクドライブ141を示す。これらのコンポーネントは、オペレーティングシステム134、アプリケーションプログラム135、他のプログラムモジュール136、およびプログラムデータ137と同じであっても異なってもよいことに留意されたい。図1ではそれらが少なくとも異なるコピーであることを示すために、オペレーティングシステム144、アプリケーションプログラム145、他のプログラムモジュール146、およびプログラムデータ147には異なる参照符号を付している。ユーザは、キーボード162、および、一般にはマウス、トラックボール、またはタッチパッドと呼ばれるポインティングデバイス161などの入力装置を介してコンピュータ110にコマンドと情報を入力することができる。他の入力装置(図示せず)として、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナなどが挙げられる。これらおよび他の入力装置は、多くの場合、システムバスに連結されたユーザ入力インタフェース160を介して処理装置120に接続されるが、パラレルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)など他のインタフェースおよびバス構造によって接続することもできる。モニタ191や他のタイプの表示装置も、ビデオインタフェース190などのインタフェースを介してシステムバス121に接続される。モニタに加えて、コンピュータは、スピーカ197やプリンタ196などの他の周辺出力装置も含むことができ、それらの装置は、出力周辺インタフェース195を介して接続することができる。
【0032】
コンピュータ110は、リモートコンピュータ180などの1つまたは複数のリモートコンピュータとの論理接続を使用するネットワーク環境で動作することができる。リモートコンピュータ180は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、あるいは他の共通ネットワークノードとすることができ、図1にはメモリ記憶装置181のみを示すが、一般に、コンピュータ110と関連して上述した多くの要素またはすべての要素を含む。図1に示す論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)171およびワイドエリアネットワーク(WAN)173を含むが、他のネットワークを含むこともできる。このようなネットワーキング環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットにおいて一般的である。
【0033】
LANネットワーキング環境で使用する場合、コンピュータ110は、ネットワークインタフェースあるいはアダプタ170を介してLAN171に接続される。WANネットワーキング環境で使用する場合、コンピュータ110は一般に、インターネットなどのWAN173を介して通信を確立するためのモデム172あるいは他の手法を備える。モデム172は、内蔵型でも外付け型でもよく、ユーザ入力インタフェース160あるいは他の適切な機構を介してシステムバス121に接続することができる。ネットワーク環境では、コンピュータ110に関連して示されたプログラムモジュール、またはその一部は、リモートメモリ記憶装置に記憶することができる。例えば、図1では、メモリ装置181に存在するリモートアプリケーションプログラム185が示されているが、これに限定されるものではない。図示したネットワーク接続は例示的なものであり、コンピュータ間に通信リンクを確立する他の手段も使用できることは理解されよう。
【0034】
一部の実施形態では、手書き入力を、デジタル処理を施して取り込むために、ペンデジタイザ165とそれに付随するペンあるいはスタイラス166が提供されるものがある。図にはペンデジタイザ165とユーザ入力インタフェース160との直接的な接続が示されているが、実際には、ペンデジタイザ165は、処理装置120に直接、および無線を含む任意の技術によってパラレルポートまたは他のインタフェースおよびシステムバス121に連結されてもよい。また、ペン166は、これに付けたカメラ、および、そのカメラにより取り込まれた画像情報をバス121と対話するインタフェースに無線送信するトランシーバを備えることができる。さらに、ペンは、カメラに加えて、またはカメラに代えて、加速度計、磁力計、およびジャイロスコープなど、電子インクのストロークを判定するための他の感知システムを有することができる。
【0035】
図示するネットワーク接続は例示的なものであり、コンピュータ間に通信リンクを確立する他の手段を使用できることは理解されよう。このシステムは、TCP/IP、イーサネット(登録商標)、FTP、HTTPなどの各種のよく知られたプロトコルを想定して、ユーザがウェブベースサーバからウェブページを取得できるよう、クライアント−サーバ構成で稼動させることができる。各種の従来のウェブブラウザを使用して、ウェブページのデータを表示および操作することができる。
【0036】
図2には、本発明の各種態様により使用することができる例示的なタブレットPC201を示す。図1に示すシステムの特徴、サブシステム、および機能の一部またはすべてを図2に示すコンピュータに含めることができる。タブレットPC201は、複数のウィンドウ203が表示される、例えばデジタルフラットパネルディスプレイ、好ましくは液晶ディスプレイ(LCD)画面といった大型の表示面202を備える。ユーザは、スタイラス204を使用して、デジタル表示面202上で選択、強調表示、および/または書き込みをすることができる。適切なデジタル表示面202の例として、Mutoh社製またはWacom社製のペンデジタイザなどの電磁式のペンデジタイザが挙げられる。例えば、光学デジタイザなどの他のタイプのペンデジタイザを使用することもできる。タブレットPC201は、データを操作したり、テキストを入力したり、線画を作成したり、かつ/または表計算やワードプロセッシングプログラムなどの従来のコンピュータアプリケーションタスクを実行するために、スタイラス204を使用してなされる表現を解釈する。
【0037】
スタイラス204は、選択機能を強化する1つまたは複数のボタンあるいは他の特性を備えることができる。一実施形態では、スタイラス204は、「鉛筆」または「ペン」として表現することができ、その場合は、一端を書く部分として構成し、他端を「インク消し」端として構成する。このように示される「インク消し」端がディスプレイ上で動かされると、ディスプレイの一部分が消去される。マウス、トラックボールなどの他のタイプの入力装置も使用することができる。さらに、ユーザ自身の指をスタイラス204とし、タッチセンサ付ディスプレイまたは近接感知ディスプレイ(proximity-sensitive display)上の表示画像の部分を選択または指定するために使用することができる。したがって、本明細書で使用される用語「ユーザ入力装置」は、広義の定義を有し、スタイラス204などのよく知られる入力装置の多数の種類を包含する。領域205は、表示面202に接触する際にユーザがスタイラス204の位置を判定することができるフィードバック領域または接触領域を示す。
【0038】
各種の実施形態において、このシステムは、インクの取り込み、操作、および記憶のためにアプリケーションが使用することができる一連のCOM(コンポーネントオブジェクトモデル)サービスとして、インクプラットフォームを提供する。1つのサービスによって、アプリケーションは、本明細書に開示されたインクの表現を使用するインクを読み書きすることができる。インクプラットフォームは、拡張マークアップ言語(XML)のような言語を含むマークアップ言語も含むことができる。さらに、このシステムは、別の実装としてDCOMを使用することができる。Microsoft社のWin32プログラミングモデルおよび.Netプログラミングモデルを含むさらなる実装も使用することができる。
【0039】
(スタイラスベースコンピュータの状態の制御)
図5および6は、スタイラスと、コンピュータシステムの動作状態を変化させることとの相互作用に関する図である。具体的に、図5では、スタイラスの移動に応答してシステムに電源を入れる方式を示す。ステップ501で、ホルダからスタイラスが取り出される。ホルダは、図3Aに示す本来の収納部であっても、図3Bに示す一時的な収納部であってもよい。ステップ502で、システムに電源が入っているかどうかの判定がなされる。電源が入っている場合、システムは、ステップ503の動作に進む。ステップ502で電源が入っていない場合は、ステップ504でコンピュータシステムに電源が投入される。
【0040】
図6は、動作状態の変更およびスタイラスに関するユーザへの警告を示す図である。ステップ601で、ユーザの入力が受け取られる。ステップ602で、システムは、ユーザが動作状態の変化を要求したかどうかを判定する。ステップ602でユーザが動作状態の変化を要求しなかった場合は、ステップ603で、ステップ601で感知されたユーザ入力にしたがって通常の動作が行われる。ステップ602でユーザが動作状態の変化を要求した場合、システムは、スタイラスが収納位置または筐体の中にあるか否かを判定する。収納位置または筐体は、例えば、図3A〜3Bの収納位置の1つとすることができる。ステップ604でスタイラスが収納位置または筐体の中にない場合、システムは、ステップ605で、スタイラスを筐体に入れるようにユーザに警告する。次いで、ステップ606で、システムの動作状態が変更される。ステップ604でスタイラスが収納位置または筐体の中にある場合、システムは、システムの動作状態が変更されるステップ606を行うことができる。状況に応じて、例えば画面上のメニューを通じ、ユーザがステップ605に示される警告を無効にすることができるユーザインタフェースをシステムはユーザに提供することができる。状況によっては、ユーザがスタイラスを紛失している場合がある。ステップ605でユーザが認識している状況をユーザに警告し続けることは、ユーザにとってストレスとなる場合がある。
【0041】
あるいは、システムは、システムで生成された動作状態の変更に基づいてユーザに警告してもよい。例えば、ステップ608で、システムは、シャットダウンさせるか、あるいは他の形で状態を変化させる、自己生成した命令を提供することができる。システムは、ある時間にわたってユーザが動作しないと、休止状態になる、または待機モードに入ることを試みることができる。さらに、システムは、システムに電力を供給するバッテリの残量が少なくなりつつあると、動作状態を変更することを試みることができる。システムは、ステップ601と同様にしてシステム命令608を処理することができる。
【0042】
(デジタイザの状態の制御)
図7を参照すると、デジタイザの電力状態はスタイラスの位置に基づいて制御される。ステップ701で、システムは、スタイラスの位置が変化したかどうかを判定する。スタイラスの位置が変化していない場合、システムはステップ701に戻る。ステップ701でスタイラスの位置が変化した場合、システムは、ステップ702でスタイラスが収納部から取り出されたかどうかを判定する。上述のように、収納部は、図3Aおよび3Bで説明した収納位置のいずれでもよい。
【0043】
ステップ702でスタイラスが収納部から取り出されたとき、ステップ703でデジタイザに電源が入れられる。プロセスはステップ701に戻り、スタイラス位置が変化するのを待つ。ステップ702でスタイラスが収納部に収納された場合、システムはステップ705でデジタイザの電源を切り、ステップ701に戻る。
【0044】
ステップ703および705で、それぞれ、デジタイザに電力が供給され、デジタイザから電力が遮断される。あるいは、システムは、これらに限定されるものではないが、デジタイザで情報が収集されるサンプリングレートを最小にする、デジタイザに印加される電力のデューティサイクルを変更するなど、デジタイザの消費電力を下げる他のタスクを実行することができる。
【0045】
場合によっては、ユーザが、デジタイザの自動電力制御を無効にすることを望む場合がある。例えば、ユーザが2本のスタイラスを使用していて、1つのスタイラスを収納部に入れる場合、ユーザは、第2のスタイラスがデジタイザに認識されるよう要求する。この状況で、システムは、ステップ706でデジタイザに電源を入れることをユーザに選択させることができる。ステップ706でユーザが電源を入れるよう選択した場合、ステップ703でデジタイザに電源が入れられる。ステップ706でユーザが電源を入れるよう選択しなかった場合、システムはステップ701に戻る。同様に、スタイラスは、収納部から取り出され、紛失している場合もある。その状況では、ユーザは、デジタイザの消費電力を最小に抑えることを望む可能性がある。その場合、システムは、ステップ704に示すように、ユーザが電源を切る、またはデジタイザによる消費電力を最小に抑えることができるインタフェース(例えば、画面上のインタフェース)をユーザに提供することができる。ユーザがステップ704でデジタイザの電源を切るよう選択した場合は、ステップ705でデジタイザの電源が切られる。あるいは、ユーザがデジタイザの電源を切る決定をしなかった場合は、デジタイザは電源が入ったままとなり、システムはステップ701に戻る。
【0046】
本発明について、その好ましい例示的な実施形態の点から説明した。当業者には、本開示の考察から、特許請求の範囲および趣旨に含まれる多数の他の実施形態、変更形態、および変形形態が着想されよう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の態様による例示的な汎用コンピューティング環境を示す図である。
【図2】本発明の態様による例示的なタブレットコンピュータを示す図である。
【図3A】本発明の態様によるスタイラスベースコンピュータに関連するスタイラスと収納位置を示す図である。
【図3B】本発明の態様によるスタイラスベースコンピュータに関連するスタイラスと収納位置を示す図である。
【図4】本発明の態様による収納部センサを示す図である。
【図5】本発明の態様によるスタイラスベースコンピュータの状態を制御するプロセスを示す図である。
【図6】本発明の態様によるスタイラスベースコンピュータの動作状態が変更される際にユーザに警告するプロセスを示す図である。
【図7】本発明の態様によるデジタイザへの電力を制御するプロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0048】
306 開口部
307 スタイラス
314 一時的収納差し口
315 開口部
400 中空部
403 センサ
404 センサ
405 センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタイザの消費電力を制御する方法であって、
スタイラスの位置の変化の指示を受け取るステップと、
前記スタイラスが収納部から取り出されたかどうかを判定するステップと、
前記判定するステップの判定結果に基づいて前記デジタイザの消費電力を変更するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記変更するステップは、前記デジタイザの電源を入れるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変更するステップは、前記デジタイザのデューティサイクルを変更するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記変更するステップは、前記デジタイザの電源を切るステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変更するステップは、前記デジタイザのサンプリングレートを変更するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記デジタイザの電源を切るユーザ入力を受け取るステップと、
前記デジタイザの電源を切るステップと
をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記デジタイザの電源を入れるユーザ入力を受け取るステップと、
前記デジタイザの電源を入れるステップと
をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
デジタイザの消費電力を制御するシステムであって、
スタイラスの位置の変化の指示を受け取る手段と、
前記スタイラスが収納部から取り出されたかどうかを判定する手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて前記デジタイザの消費電力を変更する手段と
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記変更手段は、前記デジタイザの電源を入れる手段を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記変更手段は、前記デジタイザのデューティサイクルを変更する手段を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記変更手段は、前記デジタイザの電源を切る手段を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記変更手段は、前記デジタイザのサンプリングレートを変更する手段を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記デジタイザの電源を切るユーザ入力を受け取る手段と、
前記デジタイザの電源を切る手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記デジタイザの電源を入れるユーザ入力を受け取る手段と、
前記デジタイザの電源を入れる手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
スタイラスの位置が変化したかどうかを判定するシステムであって、
中空部と、
前記スタイラスが前記中空部に収納されたかどうか、または前記中空部から取り出されたかどうかを判定する前記中空部に伴う少なくとも1つのセンサと
を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項16】
第2のセンサ
をさらに備えたことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも第2のセンサ
をさらに備えたことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記中空部は、スタイラスベースコンピュータの筐体の中にあることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記中空部は、スタイラスベースコンピュータの外面に取り付けられた差し口の中に形成されることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記中空部は、スタイラスベースコンピュータの外面に取り付けられた差し口の中に形成され、前記スタイラスベースコンピュータの少なくとも表面の中まで続くことを特徴とする請求項15に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−209781(P2006−209781A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20934(P2006−20934)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】