説明

スタッガード濾過システム及び油のような流体を処理するためにこれを用いる方法

流体処理において用いるのに好適なスタッガード濾過システムを開示する。また、油、食用油、脂肪、及び同様の物質のような流体を処理するためにスタッガード濾過システムを用いる方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油、脂肪のような流体、及び食用油などの同様の流体を処理するのに有用なスタッガード濾過システム(staggered filtration system)に関する。本発明は、更に、油、脂肪のような流体、及び食用油などの同様の流体を処理するためにスタッガード濾過システムを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食用油のような油を処理するための公知の方法及びシステムは、1以上の非効率性を有しており、このためコストが増し、及び/又は油の生産量を最大にすることができない。油を処理するための公知の方法及びシステムの代表的な非効率性としては、(i)プロセス内の1以上の製造障害;(ii)所定の油処理サイクル中における頻繁なフィルターの交換;及び(iii)プロセス内におけるクレーのような濾過助剤/吸着剤の非効率的な使用;が挙げられるが、これらに限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
油、脂肪のような流体、及び食用油などの同様の流体を費用効果的に処理するためのより効率的で有効な方法に対する必要性が、当該技術において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、油、脂肪のような流体、及び同様の流体を処理するための公知の方法及びシステム、例えば食用油を製造するための方法及びシステムにおいて存在する1以上の非効率性を排除する、油、脂肪のような流体、及び同様の流体を処理するための方法及びシステムに関する。本発明の方法及びシステムは、(i)プロセス内における潜在的な製造障害を最小にし;(ii)流体(例えば、油、脂肪、及び食用油などの同様の流体)を処理しながら、フィルターの交換及び/又は洗浄の頻度を減少し;(iii)プロセス内においてクレーのような濾過助剤/吸着剤を効率よく利用し;(iv)プロセス内において吸着剤/クレーの使用をより少なくして、流体の損失をより少なくし、廃棄するフィルターケーキをより少なくし;或いは(i)〜(iv)の任意の組み合わせを与えるように、流体を処理するためにスタッガード濾過システムを利用する。
【0005】
本発明は、スタッガード濾過システムを用いて食用油(又は、脂肪若しくは任意の同様の物質)のような流体を処理する方法に関する。1つの代表的な態様においては、スタッガード濾過システムを用いて流体を処理する方法は、互いに並列の2以上の脱色前フィルターに流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を通し;そして、互いに並列で、2以上の脱色前フィルターと直列の1以上の脱色後フィルターを通して油を濾過する;工程を含み、ここでスタッガード濾過システムは1:1より大きい脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を有する。この代表的な態様において、本方法は、油(又は、脂肪若しくは任意の他の同様の物質)を処理する公知の方法において通常用いられる複数の更なるプロセス工程を更に含んでいてもよい。好適な更なるプロセス工程としては、吸着剤粒子を用いる不純物除去工程、乾燥工程、脱色工程、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)貯蔵工程、および脱臭工程を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明方法は、食用油の製造において特に有用である。
【0006】
更なる代表的な態様においては、スタッガード濾過システムを用いて流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理する方法は、スタッガード濾過システムを用いて食用油(又は、脂肪、若しくは任意の他の同様の物質)を製造する方法を含み、かかる方法は、プロセスフロー工程中にスタッガード濾過システムに油(又は脂肪若しくは任意の他の同様の物質)を通して、油(又は脂肪若しくは任意の他の同様の物質)を(i)互いに並列の2以上の脱色前フィルターA及びB、並びに(ii)互いに並列で2以上の脱色前フィルターと直列の1以上の脱色後フィルターCに通すようにし;そして、少なくとも1つの脱色後フィルターCが脱色前フィルターになる次のプロセスフロー工程中にスタッガード濾過システムに油(又は脂肪若しくは任意の他の同様の物質)を通す;ようにする工程を含む。少なくとも1つの脱色後フィルターCが脱色前フィルターになる次のプロセスフロー工程中においては、典型的には、脱色前フィルターAおよびBの少なくとも1つが脱色後フィルターになる。望ましくは、全てのプロセスフロー工程中において、スタッガード濾過システムは、脱色後フィルターよりも多い脱色前フィルターを含む。この代表的な態様においては、スタッガード濾過システムは、典型的には、約1.1:1より大きく、幾つかの場合においては約2.0:1より大きく、或いはこれよりも高い脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を有する。
【0007】
本発明は、更に、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適な装置に関する。1つの代表的な態様においては、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適な装置は、(a)脱色ユニット;並びに(b)該脱色ユニットとインラインで、(i)脱色ユニットの前に配置されており、互いに並列の2以上の脱色前フィルター;及び(ii)脱色ユニットの後に配置されており、互いに並列で2以上の脱色前フィルターと直列の1以上の脱色後フィルター;を含み;1:1より大きい脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を有するスタッガード濾過システム;を含む。代表的な装置は、更に、油処理装置において典型的に見られる更なる装置構成要素を含んでいてもよい。好適な更なる構成要素としては、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を多数の吸着剤粒子と接触させて、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)内の不純物の量を減少させるのに好適な混合容器;乾燥器、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)貯蔵容器、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
本発明のこれらの及び他の特徴並びに有利性は、開示された態様の以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を検討した後には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明による流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適なスタッガード濾過システムを含む代表的な装置の概念図を示す。
【図2A】図2Aは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適な代表的なプロセスサイクルの概念図を示す。
【図2B】図2Bは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適な代表的なプロセスサイクルの概念図を示す。
【図2C】図2Cは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適な代表的なプロセスサイクルの概念図を示す。
【図2D】図2Dは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適な代表的なプロセスサイクルの概念図を示す。
【図2E】図2Eは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適な代表的なプロセスサイクルの概念図を示す。
【図2F】図Fは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適な代表的なプロセスサイクルの概念図を示す。
【図3A】図3Aは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて油を処理する代表的な方法のフロー図を示す。
【図3B】図3Bは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて油を処理する代表的な方法のフロー図を示す。
【図3C】図3Cは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて油を処理する代表的な方法のフロー図を示す。
【図3D】図3Dは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて油を処理する代表的な方法のフロー図を示す。
【図3E】図3Eは、本発明によるスタッガード濾過システムを用いて油を処理する代表的な方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明:
本発明の原理の理解を助けるために、本発明の特定の態様の説明を以下に与え、特定の用語を用いて、特定の態様を説明する。しかしながら、特定の用語を用いることによって本発明の範囲を制限することは意図していないことが理解されよう。議論する本発明の原理の変更、更なる修正、及びかかる更なる適用は、本発明の技術分野における当業者が普通に想到するであろうと考えられる。
【0011】
本発明は、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)、例えば食用油を処理する方法において用いるのに好適なスタッガード濾過システムに関する。本発明は、更に、スタッガード濾過システムを用いて、食用油、脂肪、又は同様の物質のような流体を製造する方法に関する。流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)の代表的な処理方法の説明を以下に与える。
【0012】
本明細書において用いる「油」という用語は、油、脂肪、及びトリグリセリド;油−、脂肪−、及びトリグリセリド−含有流体;並びに、油、脂肪、トリグリセリド、食用油、又はバイオディーゼル燃料(例えばトリグリセリド)に転化させることのできる油−、脂肪−、及びトリグリセリド前駆体流体;を記載するために用いる。本明細書において記載する方法は、例えば脱色油を製造するための油処理の観点で記載しているが、開示された方法を用いて脂肪及び同様の物質などの他の流体を処理することができる。
【0013】
本明細書において用いる「吸着剤粒子」という用語は、有機物質(例えば、天然及び合成ポリマー等)及び/又は無機物質(例えば、クレー、シリカ、アルミナ等のような無機酸化物)を含む天然又は合成の吸着剤をはじめとする任意の商業的に入手できる吸着剤を含む。例としては、天然鉱物、処理/活性化鉱物、モンモリロナイト、アタパルジャイト、ベントナイト、パリゴルスカイト、フーラー土、珪藻岩、スメクタイト、ホルマイト、ケイ砂、石灰石、カオリン、ボールクレー、タルク、葉蝋石、パーライト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムアルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカヒドロゲル、シリカゲル、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、透析シリカ、繊維質材料、セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、微結晶セルロース;アルミナゼオライト、スターチ、モレキュラーシーブ、珪藻土、イオン交換樹脂、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂、キレート樹脂、籾殻灰、逆相シリカ、脱色クレー、及び全てのタイプの活性炭、並びにこれらの混合物が挙げられる。商業的に入手できるシリカ粒子としては、W.R. Grace (Columbia, MD)から商業的に入手できるTriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子が挙げられるが、これらに限定されない。TriSyl(登録商標)シリカヒドロゲル粒子の説明は、米国特許5,336,794、5,231,201、4,939,115、4,734,226、及び4,629,588(これらのそれぞれの内容は、全て、参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。
【0014】
I.油のような流体を処理するのに好適な装置:
本発明は、処理前の流体と比較して少ない不純物を有する濾過流体を製造するために、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)、例えば油を処理するのに好適な装置に関する。本発明の装置は、食用油の製造において特に有用である。1つの代表的な態様においては、本発明の装置は、脱色ユニットとインラインで、(i)脱色ユニットの前に配置されており、互いに並列の2以上の脱色前フィルター;及び(ii)脱色ユニットの後に配置されており、互いに並列で、2以上の脱色前フィルターと直列の1以上の脱色後フィルター;を含む、スタッガード濾過システムを含む。本発明の装置は、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を多数の吸着剤粒子と接触させて、流体内の不純物の量を減少させるのに好適な混合容器、乾燥器、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)貯蔵容器、1以上のフローバルブ、及びプロセス制御装置など(但し、これらに限定されない)の、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)の処理装置において典型的に見られる複数の更なる装置構成要素を更に含んでいてよい。本発明の1つの代表的な装置を図1に示す。
【0015】
図1に示されるように、代表的な装置300は、以下の構成要素:導入流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)貯蔵容器301;吸着剤粒子貯蔵容器303;混合容器305中又は乾燥器307中への導入流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)の流速を制御するためのバルブ302;混合容器305中への吸着剤粒子の流速を制御するためのバルブ304;乾燥器307中への流体/吸着剤粒子混合物の流速を制御するためのバルブ306;任意のフィルター315、316、又は317中、或いは脱色ユニット310中への乾燥流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)の流速を制御するためのバルブ308;任意のフィルター315、316、又は317から脱色ユニット310中への濾過流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)の流速を制御するためのバルブ309;クレー貯蔵容器311;脱色ユニット310中へのクレーの流速を制御するためのバルブ312;フィルター315、316、317、或いはこれらの任意の組み合わせ中への脱色流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)の流速を制御するためのバルブ313、331、332、及び333、並びにポンプ324、325、及び326;フィルター315、316、317、或いはこれらの任意の組み合わせ中への乾燥流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)の流速を制御するためのバルブ314、331、332、及び333、並びにポンプ324、325、及び326;フィルター315、316、及び317のそれぞれから、脱色ユニット310又は処理流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)貯蔵ユニット321への濾過流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)の流速を制御するためのバルブ318、319、及び320;脱臭工程等のような更なる処理のために代表的な装置300から排出する処理流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)の流速を制御するためのバルブ322;及び、更なる流体処理装置(例えば脱臭器等)に向けて流体を代表的な装置300から排出して送るためのポンプ323;を含む。図1においては4つのポンプを示しているが、代表的な装置300は、実際には更なるポンプ(例えば、それぞれのフィルターのため、及び/又はそれぞれの三方フローバルブのためのポンプ)を含んでいてもよい。
【0016】
図1に示す代表的な装置300はスタッガード濾過システムを含む1つの可能な装置に過ぎず、全ての装置において種々の構成の変更が可能であることを留意すべきである。例えば、代表的な装置300においては示されていないが、本発明の装置は2つ以上のフィルターを含んでいてよく、典型的には3〜15個のフィルターを含み、それぞれは図1の代表的な装置300において示されるようにスタッガード濾過システム内に配置される。本発明は、ここで記載するスタッガード濾過システムを含む任意の装置に関することを留意すべきである。
【0017】
代表的な装置300(及び本発明の任意の他の装置)において述べられているように、導入流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)は、(1)脱色ユニット310を通して処理する前に、バルブ308、314、331、332、及び333、並びにポンプ324、325、及び326を経由して、1以上の代表的なフィルター315、316、及び317を通して;及び(2)脱色ユニット310を通して処理した後に、バルブ308、309、313、331、332、及び333、並びにポンプ324、325、及び326を経由して、1以上の代表的なフィルター315、316、及び317を通して;処理することができる。代表的な装置300(及び本発明の任意の他の装置)の構成によって、脱色ユニット310の前後の流体の流れに関する柔軟性を向上させて、フロープロセスにおける任意の障害を最小にするようにすることができる。例えば、代表的な装置300においては、フィルター315、316、及び317の任意の2つを脱色前フィルターとして用い(例えば、バルブ314によってフィルター315及び316に向かうがフィルター317へは向かわない流体の流れを与える)、一方、フィルター315、316、及び317の任意の1つを脱色後フィルターとして用いて(例えば、バルブ313によってフィルター317に向かうがフィルター315及び316には向かわない流体の流れを与える)、フロープロセスの脱色前濾過段階における任意の潜在的な障害を最小にするようにすることができる。
【0018】
本発明の1つの代表的な態様においては、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理するのに好適な装置は、脱色ユニット;並びに、脱色ユニットとインラインであり、脱色ユニットの前に配置されており、互いに並列の2以上の脱色前フィルター;及び、脱色ユニットの後に配置されており、互いに並列で、2以上の脱色前フィルターと直列の1以上の脱色後フィルター;を含むスタッガード濾過システムを含む。望ましくは、スタッガード濾過システムは、1:1より大きい脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を有する。本明細書において用いる「脱色ユニットの前」という句は、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を、所定のプロセスフロー工程中において脱色ユニットに通す「前」にフィルターに通すように脱色ユニットとインラインで構成されているフィルターを記載するように用いる。本明細書において用いる「脱色ユニットの後」という句は、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を、所定のプロセスフロー工程中において脱色ユニットに通した「後」にフィルターに通すように脱色ユニットとインラインで構成されているフィルターを記載するように用いる。
【0019】
図1に示されるように、脱色ユニット310、及び脱色ユニット310とインラインのスタッガード濾過システムを含む代表的な装置300は、(1)流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を多数の吸着剤粒子と接触させて流体内の不純物の量を減少させるのに好適な、脱色ユニット310及びスタッガード濾過システムとインラインの混合容器305;(2)混合容器305、脱色ユニット310、及びスタッガード濾過システムとインラインの乾燥器307;及び(3)混合容器305、脱色ユニット310、スタッガード濾過システム、及び乾燥器307とインラインの流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)貯蔵容器321;を更に含んでいてよい。更に、図1において示されるように、代表的な装置300は、また、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を、スタッガード濾過システムを通る異なる経路に沿って1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程に送ることのできる1以上のフローバルブ(例えば、フローバルブ308、309、313、314、318、319、及び320)を含んでいてもよい(以下に更に説明する)。
【0020】
図1には示されていないが、代表的な装置300は、装置内の1以上のフローバルブを開閉して、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を、スタッガード濾過システムを通る異なる経路に沿って1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ送るようにすることができるプロセス制御装置を更に含んでいてよい。他のプロセス制御装置(図示せず)を用いて、所定の装置の全体の1以上の位置において1以上の流体流をインラインでリアルタイムで監視する(例えば、所定の流体流中のコンタミナントの濃度、流体流の温度、流体流の色など);所定の装置の全体の1以上の位置(例えば、フィルター315、316、及び317の1以上)における圧力の増加を監視する;所定の装置の全体の1以上の位置における流体の流速を測定する;1以上のポンプを起動及び停止する;装置の不調(例えば、漏れ、又は通常よりも過度に高い圧力)の場合には自動停止を与える;など(しかしながらこれらに限定されない)の複数のプロセス制御機能を与えることができる。
【0021】
II.流体を処理する方法:
本発明は更に、図1に示される代表的な装置300におけるようなスタッガード濾過システムを用いて流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理する方法に関する。1つの代表的な態様においては、スタッガード濾過システムを用いて流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理する方法は、互いに並列の2以上の脱色前フィルターに流体を通し;互いに並列で、2以上の脱色前フィルターと直列の1以上の脱色後フィルターを通して油を濾過する;ことを含む。スタッガード濾過システムは、1:1以上の脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を有していてよい。本明細書において用いる「1つ又は複数の脱色前フィルター」という用語は、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を、所定のプロセスフロー工程中において脱色ユニットに通す前に1以上のフィルターに通すように脱色ユニットとインラインに構成されている1以上のフィルターを記載するように用いる。本明細書において用いる「1つ又は複数の脱色後フィルター」という用語は、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を、所定のプロセスフロー工程中において脱色ユニットに通した後に1以上のフィルターに通すように脱色ユニットとインラインに構成されている1以上のフィルターを記載するように用いる。
【0022】
この代表的な態様においては、本方法は、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理する公知の方法において典型的に用いられる複数の更なるプロセス工程を更に含んでいてもよい。好適な更なるプロセス工程としては、流体乾燥工程(例えば、揮発分除去工程)、吸着剤粒子を用いる不純物除去工程、脱色工程、流体貯蔵工程、及び脱臭工程を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明方法における1以上の好適な工程の説明を以下に与える。
【0024】
A.食用油の製造におけるような流体を処理するための工程:
以下の工程を用いて、本発明方法にしたがって流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理することができる。
【0025】
1.新しいクレーによる処理工程:
本発明方法は、望ましくは、流体から色を除去する目的で有効量の新しいクレーを流体流中に導入する(又は、流体流が通過する脱色器中に導入する)、1以上の新しいクレーによる処理工程を含む。代表的な新しいクレーによる処理工程を、図2A〜2Fの代表的な方法400において示す。所定の新しいクレーによる処理工程中においては、クレー貯蔵容器311から新しいクレーを流体流中に投入(又は脱色ユニット310中に導入)して、1以上の脱色後フィルター(例えばフィルター315、316、及び317の1以上)の入口表面の少なくとも一部、望ましくは入口表面全体に新しいクレーの層を形成する。本明細書において代表的な方法400の「プロセスフロー工程1」とも称する図2Aにおいて示されるように、導入流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)は、混合容器305を迂回して乾燥器307を通して送られる。流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)は、乾燥器307から脱色ユニット310の前の位置に送られ、ここで新しいクレーがクレー貯蔵容器311から流体流中に投入される。次に、クレーを含む流体流は、脱色ユニット310に送られ、次に脱色後フィルター315に通して送られる。この時点において、脱色後フィルター315は新しい層で被覆される。フィルター315から排出された後、流体は、処理流体貯蔵ユニット321に送られる。フィルター315から排出される脱色流体は、流体貯蔵ユニット321を迂回して、脱臭工程(図示せず)のような他のプロセス工程に直接送ることができることを留意すべきである。
【0026】
上記に記載したような新しいクレーによる処理工程は、図2A〜2Fに示すプロセスフロー工程のそれぞれにおいて行われることを留意すべきである。例えば、新しいクレーの層は、プロセスフロー工程1及び4においては脱色後フィルター315;プロセスフロー工程2及び5においては脱色後フィルター316;並びに、プロセスフロー工程3及び6においては脱色後フィルター317;の入口表面の少なくとも一部(望ましくは入口表面全体)の上に適用する。新しいクレーによる処理工程は、上記に記載し図2A〜2Fにおいて示すように、脱色後フィルターを脱色前フィルターに変換するプロセス中の1工程である。
【0027】
所定の新しいクレーによる処理工程中に用いる新しいクレーの量は、脱色/濾過後流体において顧客が求める色の仕様によって定まる。例えば、任意の他の流体処理工程の前の流体流の最初の新しいクレーによる処理では、典型的には、処理流体に対する新しいクレーの比較的高い投入比が必要である。これに対して、吸着剤処理工程(下記に記載)及び予備濾過工程(即ち上記に記載の新しいクレーによる処理工程中に形成された消費/使用されたクレー被覆フィルターによる流体/吸着剤混合物の濾過)では、この段階での処理流体が非常に清浄であるならば、比較的低い新しいクレーの投入量が必要である。
【0028】
2.吸着剤処理工程:
本発明方法においては、望ましくは、1種類以上の不純物(例えば、リン脂質、石鹸、微量金属、又はこれらの組み合わせ)のレベルを流体中において所望のレベルに減少させるために、処理しうる流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を吸着剤粒子と接触させる。典型的には、吸着剤処理工程によって、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)中のリンの量を、約10ppm未満(又は約9ppm未満、又は約8ppm未満、又は約7ppm未満、又は約6ppm未満、又は約5ppm未満、又は約4ppm未満、又は約3ppm未満、又は約2ppm未満、又は約1ppm未満)に減少させる。例えば、食用油の製造においては、流体中のリンの量を1ppmより低い値に減少させる。代表的な吸着剤処理工程を図2B〜2F(これは、本明細書においてそれぞれ「プロセスフロー工程2〜6」とも称する)に示す。
【0029】
本発明のこの工程においては、任意の商業的に入手できる吸着剤粒子を、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)と接触させるために用いることができる。商業的に入手できる吸着剤粒子としては、W.R. Grace (Columbia, MD)から商業的に入手できるTriSyl(登録商標)吸着剤ヒドロゲル粒子が挙げられるが、これらに限定されない。TriSyl(登録商標)吸着剤ヒドロゲル粒子の説明は、米国特許5,336,794、5,231,201、4,939,115、4,734,226、及び4,629,588(それぞれの内容はその全てを参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。
【0030】
この工程においては、制御量の吸着剤粒子を、吸着剤粒子貯蔵容器303を介して流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)中に導入し、混合容器305内で流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)と混合する。流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)中のリンの量を所望のレベル(例えば、食用油の製造においては通常は1ppm未満)に減少させるために、有効量の吸着剤粒子を用いる。流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)中のリンの量を所望のレベルに減少させるのに必要な吸着剤粒子の有効量は、用いる吸着剤粒子のタイプ、出発流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)、及び処理流体に関して顧客が求める仕様によって異なる。
【0031】
本発明の1つの望ましい態様においては、有効量のW.R. Grace (Columbia, MD)から商業的に入手できるTriSyl(登録商標)吸着剤ヒドロゲル粒子を用いる。例えば、食用油の製造において脱ガムトリグリセリド中のリンの量を減少させるために有効量のTriSyl(登録商標)吸着剤ヒドロゲル粒子を用いることを開示しているヨーロッパ特許出願EP−0185182−A1及びEP−05707424−A1(それぞれの内容はその全てを参照として本明細書中に包含する)を参照。TriSyl(登録商標)吸着剤ヒドロゲル粒子の優れた吸着特性のために、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)中のリンの量を所望のレベルに減少させるために必要なTriSyl(登録商標)吸着剤ヒドロゲル粒子の濃度(例えば、流体の質量又は体積に対する吸着剤粒子の質量の比)はより小さいことが見出された。
【0032】
典型的には、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)は、流体からリン脂質、微量金属、及び石鹸を有効に除去するために、大気圧(又は低真空)下で、約15分〜約45分の範囲の時間、吸着剤粒子と(例えば、混合容器305内で)混合する。幾つかの態様においては、吸着剤粒子を用いる流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)からのリンの有効な除去は、約15分〜約20分の範囲の時間(例えば、最初の接触から乾燥工程の開始までの全混合時間)内で行われる。
【0033】
吸着剤粒子と接触させる前に、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を所望の温度に予備加熱することができる。流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を予備加熱するために任意の従来の熱交換器(図示せず)を用いることができる。1つの代表的な態様においては、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を、約60℃〜約90℃の範囲、望ましくは約80℃の所望の温度に予備加熱する。
【0034】
混合工程に続いて、流体/吸着剤粒子混合物は、典型的には、乾燥器307内で乾燥して、流体から揮発性成分を除去する。流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)/吸着剤粒子混合物が乾燥して、流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)中のリン及び他の不純物の量が所望のレベルに減少したら、図2B〜2Fにおいて示されるように、流体/吸着剤粒子混合物を、濾過工程を通して更に処理する。
【0035】
3.脱色前濾過工程:
代表的な方法400(例えば図2B)のプロセスフロー工程2において示されるように、吸着剤粒子から流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を分離するために、乾燥流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)/吸着剤粒子混合物を脱色前フィルター315に送る。図2A〜2Bにおいて示されるように、プロセスフロー工程2の脱色前フィルター315は、前の工程であるプロセスフロー工程1からの、新しいクレーで予め被覆された脱色後フィルター315である。脱色前フィルター315(並びに、フィルター316及び317)のために、プレッシャーリーフフィルター、プレートフレームフィルター、キャンドルフィルター、及びメンブレンフィルターなど(しかしながらこれらに限定されない)の任意のタイプのフィルターを用いることができる。
【0036】
流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)から分離したら、吸着剤粒子/消費したクレーは、従来の廃棄技術を用いて廃棄することができる。図2B(及び図2C〜2F)において示されるように、脱色前濾過工程に続いて、得られる吸着剤処理流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を、脱色ユニット310に導入する前に吸着剤処理流体流中にクレー貯蔵容器311から新しいクレーを導入することによって更に処理することができる。次に、クレーを含む吸着剤処理流体流を、脱色ユニット310に、及び脱色後フィルター316を通して送る。この時点において、上記に記載したように、脱色後フィルター316は、脱色後フィルター316の入口表面の少なくとも一部(望ましくは入口表面全体)に沿って新しいクレーの層で被覆される。(脱色後フィルター316は、下記に記載する次のプロセスフロー工程であるプロセスフロー工程3において脱色前フィルターになる)
脱色後フィルター316から排出された後、吸着剤処理流体は処理流体貯蔵ユニット321に送る。上述したように、脱色後フィルター316から排出される脱色流体は、流体貯蔵ユニット321を迂回して、脱臭工程(図示せず)のような他のプロセス工程に直接送ることができる。
【0037】
4.脱色工程:
図1〜2Fにおいて示されるように、本発明方法においては、1以上のコンタミナントを除去し、及び/又は流体の色を向上させるために、流体を代表的な脱色ユニット310のような脱色ユニットに通す。任意の通常の脱色ユニットを本発明において用いることができる。
【0038】
5.脱色後濾過工程:
図2A〜2Fにおいて示されるように、本発明方法においては、流体を、脱色ユニットを通して、そして次に1以上の脱色後フィルターを通して処理する。代表的な方法400のプロセスフロー工程3(例えば図2C)において示されるように、導入流体を、例えばプロセスフロー工程2において上記に記載したように吸着剤処理及び乾燥する。次に、吸着剤処理され乾燥した流体を、2つの被覆され消費されたクレーフィルターを用いて吸着剤粒子から流体を分離するために、平行の脱色前フィルター315及び316(プロセスフロー工程1及び2において形成される)を通して送る。上述したように、任意のタイプのフィルターをこの工程において用いることができる。
【0039】
プロセスフロー工程3(例えば図2C)において示されるように、脱色前フィルター315及び316から排出される吸着剤処理流体は、脱色ユニット310に導入する前に、新しいクレーをクレー貯蔵容器311から吸着剤処理流体流中に導入することによって更に処理する。図2A〜2Fにおいて示される代表的な方法400では、脱色ユニット310の前に新しいクレーを流体中に導入することが記載されているが、新しいクレーは、また、或いはその代わりに、脱色ユニット310に直接加えることもできる。次に、クレーを含む吸着剤処理流体流は、脱色ユニット310に、且つ脱色後フィルター317を通して送って、上記に記載したような形態で脱色後フィルター317を新しいクレーの層で被覆するようにする。(脱色後フィルター317は、以下に説明するように、次のプロセスフロー工程であるプロセスフロー工程4において脱色前フィルターになる。)
脱色後フィルター317から排出された後、吸着剤処理流体は、図2Dの処理流体貯蔵ユニット321に送る。上述したように、脱色後フィルター317から排出される脱色流体は、流体貯蔵ユニット321を迂回して、脱臭工程(図示せず)のような他のプロセス工程に直接送ることができる。
【0040】
代表的な方法400のプロセスフロー工程4(例えば図2D)において示されるように、導入流体は、上記に(即ちプロセスフロー工程2及び3中において)記載のように吸着剤処理及び乾燥する。次に、吸着剤処理され乾燥した流体は、予め被覆されたフィルターを用いて吸着剤粒子から流体を分離するために、並列の脱色前フィルター316及び317を通して送られる。脱色前フィルター316及び317から排出される吸着剤処理流体は、脱色ユニット310に導入する前(又は後)に、新しいクレーをクレー貯蔵容器311から吸着剤処理流体流中に導入することによって更に処理する。
【0041】
次に、吸着剤処理流体流を、脱色ユニット310、及び今は脱色後フィルターとして機能するフィルター315を通して送る。この時点において、脱色後フィルター315は、上記に記載のように脱色後フィルター315の入口表面の少なくとも一部(望ましくは、入口表面全体)に沿って新しいクレーの層で再び被覆される(脱色後フィルター315は、以下に記載する次のプロセスフロー工程であるプロセスフロー工程5において脱色前フィルターになる)。脱色後フィルター315から排出された後、吸着剤処理流体は、処理流体貯蔵ユニット321に送られる(図2E)。上述したように、脱色後フィルター315から排出される脱色流体は、流体貯蔵ユニット321を迂回して、脱臭工程(図示せず)のような他のプロセス工程に直接送ることができる。
【0042】
代表的な方法400のプロセスフロー工程5(例えば図2E)において示されるように、導入流体は、上記に(即ちプロセスフロー工程2、3、及び4中において)記載のように吸着剤処理及び乾燥する。次に、吸着剤処理され乾燥した流体は、最も最近にクレー被覆された2つのフィルター(即ち脱色前フィルター315及び317)を用いて吸着剤粒子から流体を分離するために脱色前フィルター315及び317を通して送る。脱色前フィルター315及び317から排出される吸着剤処理流体は、上記に議論したように、脱色ユニット310に導入される前(又は後)に、新しいクレーをクレー貯蔵容器311から吸着剤処理流体流中に導入することによって更に処理する。
【0043】
次に、吸着剤処理流体流は、脱色ユニット310、及び今は脱色後フィルターとして機能するフィルター316を通して送る。この時点において、脱色後フィルター316は、上記に記載のように脱色後フィルター316の入口表面の少なくとも一部(望ましくは、入口表面全体)に沿って新しいクレーの層で再び被覆される(脱色後フィルター316は、以下に記載する次のプロセスフロー工程であるプロセスフロー工程6において脱色前フィルターになる)。脱色後フィルター316から排出された後、吸着剤処理流体は、処理流体貯蔵ユニット321に送る(図2F)。上述したように、脱色後フィルター316から排出される脱色流体は、流体貯蔵ユニット321を迂回して、脱臭工程(図示せず)のような他のプロセス工程に直接送ることができる。
【0044】
代表的な方法400のプロセスフロー工程6(例えば図2F)において示されるように、導入流体は、上記に(即ちプロセスフロー工程2、3、4、及び5中において)記載のように吸着剤処理及び乾燥する。次に、吸着剤処理され乾燥した流体は、最も最近に被覆された2つのフィルター(即ち脱色前フィルター315及び316)を用いて吸着剤粒子から流体を分離するために脱色前フィルター315及び316を通して送られる。脱色前フィルター315及び316から排出される吸着剤処理流体は、上記に議論したように、脱色ユニット310に導入される前(又は後)に、新しいクレーをクレー貯蔵容器311から吸着剤処理流体流中に導入することによって更に処理する。
【0045】
次に、吸着剤処理流体流は、脱色ユニット310、及び今は脱色後フィルターとして機能するフィルター317を通して送る。この時点において、脱色後フィルター317は、脱色後フィルター317の入口表面の少なくとも一部(望ましくは、入口表面全体)に沿って新しいクレーの層で再び被覆される(脱色後フィルター317は、以下に記載する次のプロセスフロー工程であるプロセスフロー工程4において脱色前フィルターになる)。
【0046】
脱色後フィルター317から排出された後、吸着剤処理流体は、処理流体貯蔵ユニット321に送られる。上述したように、脱色後フィルター317から排出される脱色流体は、流体貯蔵ユニット321を迂回して、脱臭工程(図示せず)のような他のプロセス工程に直接送ることができる。この段階において、流体は、所望の処理流体(例えば、流体の色及び/又は品質が処理流体に関して顧客が要求する仕様を満足するか又はこれを上回るる)を与えるように処理されている。
【0047】
本発明の1つの代表的な態様においては、一定容量の流体(例えば、油、脂肪、又は同様の流体)を処理する方法は、スタッガード濾過システムによる2以上の完全なサイクルを含む(即ち、プロセスフロー工程1〜6を1回用い、次にプロセスフロー工程4〜6を1回以上用いる)。例えば、代表的な方法400におけるような3フィルターシステムにおいては、比較的大容量の流体を、プロセスフロー工程1〜6を1回、次にプロセスフロー工程4〜6を1回以上用いて、最小数のフィルター洗浄工程(以下に記載する)で、システム内に流体障害を形成せずに処理することができる。
【0048】
上記において示されるように、プロセスフロー工程1〜6を含む代表的な方法400は、フィルターA、B、及びC(それぞれフィルター315、316、及び317によって表される)を用いる(例えば、各フィルターはインラインで運転中である)逐次プロセスフロー工程n及び(n+1)として一般的に表される逐次プロセスフロー工程を含む。代表的な方法400は、プロセスフロー工程n中においてはフィルターA及びBが脱色前フィルターでフィルターCが脱色後フィルターであり、プロセスフロー工程(n+1)中においてはフィルターB及びCが脱色前フィルターでフィルターAが脱色後フィルターであるようなローテーションフロー構成を含む。本発明方法においては、開示されたスタッガード濾過システムにおける1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ、少なくとも1つの脱色後フィルターが脱色前フィルターになる。
【0049】
代表的な方法400のスタッガード濾過システムにおける脱色後フィルター状態から脱色前フィルター状態、及びその逆の所定のフィルターのローテーションを、下表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1において示されるように、代表的な方法400は、1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程に進み、所定のフィルターは、脱色後フィルターから、脱色前フィルター1、脱色前フィルター2へと変化し、洗浄後に脱色後フィルターに戻るなどの変換が行われる。更に、表1において示されるように、代表的な方法400のような3フィルタースタッガードフィルターシステムにおいては、プロセスサイクルは3つのプロセスフロー工程、即ち、プロセスフロー工程3〜5を含み、これを任意の所望の回数繰り返す。
【0052】
3つの脱色前フィルター及び2つの脱色後フィルターを用いる5フィルタースタッガードフィルターシステムにおいては、下表2に示すような同様のローテーションを行う。
【0053】
【表2】

【0054】
表2において示されるように、プロセスが1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程に進むと、所定のフィルターは、脱色後フィルター1から、脱色後フィルター2、脱色前フィルター1、脱色前フィルター2、脱色前フィルター3へと変化し、そして洗浄後には脱色後フィルター1に戻るなどのように変化する。更に、表2において示されるように、3つの脱色前フィルター及び2つの脱色後フィルターを用いる5フィルタースタッガードフィルターシステムにおいては、プロセスサイクルは5つのプロセスフロー工程、即ちプロセスフロー工程3〜7を含み、これは処理する導入流体の体積によって任意の所望の回数繰り返される。
【0055】
本発明方法においては、製造ラインにおける潜在的な障害を最小にするように、脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を変化させることができる。典型的には、脱色前フィルター対脱色後フィルターの比は、約1:1以上である。他の態様においては、脱色前フィルター対脱色後フィルターの比は、約1.1:1より大きく、又は約2.0:1より大きく、或いはそれより大きい。脱色前フィルター対脱色後フィルターの比は、任意の比であってよく、典型的には脱色後フィルターと比較してより多い脱色前フィルターがスタッガード濾過システムにおいて存在する比であることを理解すべきである。更に、スタッガード濾過システムは、任意の数のインラインフィルター(例えば、インラインの脱色前フィルター及び脱色後フィルターの合計数)を含んでいてよいことを理解すべきである。典型的には、インラインフィルターの数は、約3〜約20のフィルター、より通常には約3〜約15のフィルターの範囲であり、脱色前フィルター対脱色後フィルターの比は少なくとも1.1:1である。
【0056】
6.フィルター洗浄工程:
上記に記載の代表的な工程に加えて、本発明方法は、1以上のフィルター(例えば、315、316、及び317)を洗浄して堆積物をフィルターから除去するフィルター洗浄工程を更に含んでいてよい。上記に記載したように、時間が経つと、スタッガード濾過システムにおいて用いられているそれぞれのフィルターにおいて、フィルターの入口側の上に新しいクレー及び吸着剤粒子の堆積物が形成し始める。周期的に、所定のフィルターを洗浄して、フィルターから堆積物を除去する。殆どの場合において、フィルターは、フィルターを取り外さずにインラインで洗浄し、上記に記載のようにスタッガード濾過システムにおいて再び用いる。
【0057】
1つの代表的な態様においては、流体を処理する方法は、スタッガード濾過システムにおいてその後に使用するために1以上の脱色前フィルターを洗浄することを含む。本発明の濾過システムのスタッガード構成、及び1つのプロセスフロー工程から次の工程への流体流のローテーションが与えられれば、本発明のフィルター洗浄の頻度は最小のレベルに保持される。
【0058】
1つの代表的な態様においては、3フィルタースタッガードフィルターシステムにおいて所定のフィルターを洗浄する工程は、フィルターを脱色前フィルター2として用いた後に行う。例えば、この代表的な態様においては、本方法は、所定のフィルターが、脱色後フィルターから、脱色前フィルター1、脱色前フィルター2へと変化し、次に洗浄されるプロセスフロー工程を含んでいてよい。フィルターを洗浄した後、フィルターは脱色後フィルターとして戻され、上記記載のように用いられる。
【0059】
5フィルタースタッガードフィルターシステムにおいては、フィルター洗浄工程は、望ましくは、フィルターを脱色前フィルター3として用いた後に行う。例えば、本方法は、所定のフィルターが、脱色後フィルター1から、脱色後フィルター2、脱色前フィルター1、脱色前フィルター2、脱色前フィルター3へと変化し、次に洗浄されるプロセスフロー工程を含んでいてよい。上記に記載したように、フィルターを洗浄した後、フィルターは、脱色後フィルター1として戻され、上記記載のように用いられる。
【0060】
7.他の可能なプロセス工程:
流体を処理する方法は、プロセス中における油のような流体の品質及び/又は色を監視し、且つ他のプロセスパラメーター(例えば、圧力、温度等)を監視し;フローバルブを調節してスタッガードフィルターシステムにおける流体の経路を変更し;1以上のポンプを起動/停止して、スタッガードフィルターシステムを通る流体流を調節し;システム内の1以上のフィルターの入口表面上に堆積する吸着剤粒子からクレーを分離し;クレー及び/又は吸着剤粒子を廃棄し;必要に応じて損傷を受けたか又は使用できないフィルターを交換する;ための任意の数のプロセス制御工程など(しかしながらこれらに限定されない)の複数の更なる工程を更に含んでいてよい。
【0061】
上記で議論したように、流体を処理するための典型的な方法においては、本方法は、望ましくは、1以上のフローバルブ(及び1以上のポンプ)を調節して、1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ、スタッガード濾過システムを通る異なる経路に沿って流体を流す(即ち、例えば表1〜2において示されるように、スタッガード濾過システムを通してフローをローテーションさせる)工程を更に含む。
【0062】
B.スタッガード濾過システムを用いて油を処理するための代表的な方法:
本発明によって油を処理する1つの代表的な方法を、図3A〜3Eに示す。図3A〜3Eにおいて示される代表的な方法10は、食用油の製造におけるような油を処理する方法を包含するが、代表的な方法10を用いて、油、脂肪、トリグリセリド;油−、脂肪−、及びトリグリセリド−含有流体;油、脂肪、トリグリセリド、食用油、及びバイオディーゼル燃料に転化させることのできる油−、脂肪−、及びトリグリセリド−前駆体流体;など(しかしながらこれらに限定されない)の任意の流体を処理することができることを留意すべきである。
【0063】
図3Aにおいて示されるように、代表的な方法10は、ブロック11において開始し、工程13に進み、ここで導入油を提供する。代表的な方法10は、工程13から工程15に進み、ここで乾燥器(例えば、乾燥器307)を通して油を処理する。代表的な方法10は、工程15から工程17に進み、ここで例えば油の色を調節するために新しいクレーを油流に加える。代表的な方法10は、工程17から工程19に進み、ここで脱色ユニット(例えば、脱色ユニット310)を通してクレー/油混合物を処理する。
【0064】
代表的な方法10は、工程19から工程21に進み、ここで1以上の脱色後フィルター(例えば、図2Aに示すフィルター315)を通してクレー含有油を濾過して、1以上の脱色後フィルターの入口表面の少なくとも1部の上に新しいクレーの層を与える。工程21において1を超える脱色後フィルターを通してクレー含有油を濾過する場合には、脱色後フィルターは互いに並列に配置する。
【0065】
工程21において油を1以上の脱色後フィルターに通したら、代表的な方法10は判断ブロック23に進む。判断ブロック23においては、この時点で脱色油を貯蔵するかどうかの決定を操作者によって行う。判断ブロック23において脱色油を貯蔵するという決定がなされたら、代表的な方法10は工程25に進み、ここで脱色油を貯蔵する。貯蔵された脱色油は、その後に更に処理(例えば脱臭等)することができる。判断ブロック23においてこの時点では脱色油を貯蔵しないという決定がなされたら、代表的な方法10は工程27に進み、ここで脱色油を直ちに更に処理(例えば脱臭等)する。
【0066】
代表的な方法10は、工程27から判断ブロック29に進み、ここで更に多くの導入油を処理するかどうかの決定をプロセス制御装置又は操作者によって行う。判断ブロック29においてこれ以上の導入油を処理しないという決定がなされたら、代表的な方法10は工程31に進み、代表的な方法10は終了する。判断ブロック29において更に多くの導入油を処理するという決定がなされたら、代表的な方法10は工程33に進み、ここで更なる導入油(例えば、更に多くの工程13の導入油)を提供する。
【0067】
代表的な方法10は、工程33から図3Bに示される工程35に進み、ここで油から所望量の不純物を除去するように有効量の吸着剤を導入油に加える。典型的には、吸着剤の有効量は、油及び吸着剤の合計重量を基準として約0.01重量%〜約1.0重量%である。代表的な方法10は、工程35から工程37に進み、ここで、混合容器(例えば混合容器305)内において吸着剤と油を互いに接触させ、所望の時間混合する。代表的な方法10は、工程37から工程38に進み、ここで乾燥器(例えば乾燥器307)を通して吸着剤/油混合物を処理する。代表的な方法10は、工程38から工程39に進み、ここで、工程21において被覆された1つ又は複数のフィルターを通して油を濾過する。この工程においては、1以上の被覆フィルターが1つ又は複数の脱色前フィルターとして機能し、油から吸着剤粒子を濾過する。1つ又は複数の脱色前フィルター(例えば、図2Bに示すフィルター315)は、互いに並列に配置される。
【0068】
工程39において1以上の脱色前フィルターに通した後、代表的な方法10は工程41に進み、ここで新しいクレーを油流に加える。代表的な方法10は、工程41から工程43に進み、ここで、脱色ユニットを通してクレー/油混合物を処理する。代表的な方法10は、工程43から工程45に進み、ここで、脱色油を1以上の更なる脱色後フィルターに通して、1以上の更なる脱色後フィルター(例えば図2Bに示すフィルター316)の入口表面の少なくとも一部の上に新しいクレーの層を与える。工程45において1を超える更なる脱色後フィルターを通してクレー含有油を濾過する場合には、更なる脱色後フィルターは互いに並列で、工程39の脱色前フィルターと直列に配置する。
【0069】
工程45において脱色油を1以上の更なる脱色後フィルターに通したら、代表的な方法10は判断ブロック47に進む。判断ブロック47においては、脱色油をこの時点で貯蔵するかどうかの決定をプロセス制御装置又は操作者によって行う。判断ブロック47において脱色油を貯蔵するという決定がなされたら、代表的な方法10は工程49に進み、ここで脱色油を更に処理(例えば脱臭等)するまでの間貯蔵する。判断ブロック47において脱色油をこの時点では貯蔵しないという決定がなされたら、代表的な方法10は工程51に進み、ここで脱色油を直ちに更に処理(例えば脱臭等)する。
【0070】
代表的な方法10は、工程51から図3Cに示す判断ブロック53に進み、ここで更に多くの導入油を処理するかどうかの決定を操作者によって行う。判断ブロック53においてこれ以上の導入油を処理しないという決定がなされたら、代表的な方法10は工程55に進み、ここで代表的な方法10は終了する。判断ブロック53において更に多くの導入油を処理するという決定がなされたら、代表的な方法10は工程57に進み、ここで更なる導入油(例えば、更に多くの工程13の導入油)を提供する。
【0071】
代表的な方法10は、工程57から工程59に進み、ここで上記に記載のように油から所望量の不純物を除去するように有効量の吸着剤を導入油に加える。代表的な方法10は、工程59から工程61に進み、ここで、接触容器(例えば混合容器305)内で吸着剤と油を混合させる。代表的な方法10は、工程61から工程63に進み、ここで乾燥器を通して吸着剤/油混合物を処理する。代表的な方法10は、工程63から工程65に進み、ここで、所望の脱色前フィルター対脱色後フィルターの比(例えば1.5:1〜2:1)に相当するように最大数の工程21及び45において形成された脱色前フィルターに油を通す。脱色前フィルター(例えば、図2Cに示すフィルター315及び316)は、互いに並列で、残りの脱色後フィルター(例えば、図2Cに示すフィルター317)と直列である。
【0072】
代表的な方法10は、工程65から工程67に進み、ここで新しいクレーを油に加える。代表的な方法10は、工程67から工程69に進み、ここで、脱色ユニットを通してクレー/油混合物を処理する。代表的な方法10は、工程69から工程71に進み、ここで脱色油を残りのインライン脱色後フィルター(例えば、図2Cに示すフィルター317)に通して、システム中のインラインフィルターの残りの入口表面の少なくとも一部の上に新しいクレーの層を与える。
【0073】
工程71において油を残りのインライン脱色後フィルターに通した後、代表的な方法10は図3Dに示す判断ブロック73に進む。判断ブロック73においては、脱色油をこの時点においてその後の更なる処理(例えば脱臭等)まで貯蔵するかどうかの決定をプロセス制御装置及び/又は操作者によって行う。判断ブロック73において脱色油を貯蔵するという決定がなされたら、代表的な方法10は工程75に進み、ここで脱色油を貯蔵する。判断ブロック73において油を貯蔵しないという決定がなされたら、代表的な方法10は工程77に直接進み、脱色油を更に処理(例えば脱臭等)する。
【0074】
代表的な方法10は、工程77から判断ブロック79に進み、ここで、更に多くの導入油を処理するかどうかの決定を操作者によって行う。判断ブロック79においてこれ以上の導入油を処理しないという決定がなされたら、代表的な方法10は工程81に進み、ここで代表的な方法10は終了する。判断ブロック79において更に多くの導入油を処理するという決定がなされたら、代表的な方法10は判断ブロック83に進む。判断ブロック83においては、システムにおいて最も古い現時点での脱色前フィルターを洗浄するかどうかの決定を行う。言い換えれば、脱色前フィルターとして最も長い時間運転した脱色前フィルター(例えば、表2に示す脱色前フィルター3)を洗浄するか否かの決定を行う。判断ブロック83において、システムにおいて最も古い現時点での脱色前フィルターを洗浄するという決定がなされたら、代表的な方法10は工程85に進み、ここでフィルターを洗浄する。典型的には、フィルターは、システムからフィルターを取り外さずにインラインで洗浄する。代表的な方法10は、工程85から工程87に進み、ここで、洗浄したフィルターをシステムにおいて脱色後フィルターとして用いる。代表的な方法10は、工程87から工程89に進み、ここで更なる導入油(例えば、更に多くの工程13の導入油)を提供する。
【0075】
判断ブロック83に戻り、判断ブロック83において、システムにおいて最も古い現時点での脱色前フィルターを洗浄しないという決定がなされたら、代表的な方法10は工程89に直接進む。代表的な方法10は、工程89から図3Eに示す工程91に進み、ここで、有効量の吸着剤を導入油に加える。代表的な方法10は、工程91から工程93に進み、ここで、接触容器内において吸着剤と油を所望の時間混合する。代表的な方法10は、工程93から工程95に進み、ここで、乾燥器を通して吸着剤/油混合物を処理する。代表的な方法10は、工程95から工程97に進み、ここで、所望の脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を保持しながら、脱色前フィルターの従前の組(例えば工程65において用いた脱色前フィルターの組)と異なる、互いに並列の脱色前フィルターの新しい組を通して導入油を送る。工程65において用いた1つの脱色前フィルターが工程97においては現時点では脱色後フィルターであり、フィルターが上記記載のスタッガード濾過システムを用いてローテーションされるという点で、工程97における脱色前フィルターの組は工程65における脱色前フィルターの組と異なる。例えば表1〜2を参照。
【0076】
代表的な方法10は、工程97から工程99に進み、ここで、これらのプロセスフロー工程のそれぞれの連続的な回において、(1)脱色前フィルター及び脱色後フィルターの新しい組が、上記記載のスタッガード濾過システムを用いるフィルターローテーションシステムによって脱色前フィルター及び脱色後フィルターの従前に用いた組と異なり;(2)工程85において洗浄した任意のフィルターを脱色後フィルターの新しい組における脱色後フィルターとして用いる;ように上記記載の工程67〜97を繰り返す。
【0077】
代表的な方法10が工程67〜97で進行する間の幾つかの時点において、判断ブロック79において、これ以上の導入油を処理しないという決定を行う。この時点において、代表的な方法10は工程81に進み、ここで代表的な方法10は終了する。
【0078】
上記記載の本発明のスタッガードフィルターシステム及び方法は、任意の数のインラインフィルター(即ち、脱色後フィルターと組み合わせた脱色前フィルター)を含む流体処理システムにおいて用いることができることを留意すべきである。所定の流体処理システム内のインラインフィルターの数にかかわらず、処理流体に所望の色を与えるために上記に記載のように新しいクレーを用い、これにより1以上のインラインの被覆脱色後フィルターを与える。更に、所定のプロセスフロー工程(例えばプロセスフロー工程n)から次のプロセスフロー工程(例えばプロセスフロー工程n+1)へフィルターをローテーションすることで、それぞれのインラインの被覆脱色後フィルターは、その後、1以上の連続したプロセスフロー工程のための脱色前フィルターとして用いられ、場合によっては洗浄後に再び1以上の連続したプロセスフロー工程のための脱色後フィルターとして用いられる。上記で議論したように、望ましくは、プロセスの1以上のプロセスフロー工程中において、1:1以上で、典型的には少なくとも1.1:1の脱色前フィルター対脱色後フィルターの所望の比の合計数のインラインフィルターを用いる。
【0079】
III.スタッガード濾過システムを用いて製造される流体:
本発明は、更に、上記記載の本発明方法によって製造される流体にも関する。上記記載の方法を用いて製造することのできる好適な流体としては、油、脱色油、脂肪、食用油、バイオディーゼル燃料、及び同様の物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
1つの代表的な態様においては、開示された方法及び装置を用いて食用油を製造する。1つの代表的な態様においては、スタッガード濾過システムを用いて食用油を製造する方法は、プロセスフロー工程中にスタッガード濾過システムに油を通して、油を(i)互いに並列の2以上の脱色前フィルターA及びB、及び(ii)互いに並列(2以上が存在する場合)で、2以上の脱色前フィルターと直列の1以上の脱色後フィルターに通し;少なくとも1つの脱色後フィルターCが脱色前フィルターになる次のプロセスフロー工程中にスタッガード濾過システムに油を通す;ことを含む。少なくとも1つの脱色後フィルターCが脱色前フィルターになる次のプロセスフロー工程中においては、典型的には、脱色前フィルターA及びBの少なくとも1つが脱色後フィルターになる。望ましくは、フィルターA、B、及びCの全てを用いる全てのプロセスフロー工程中において、スタッガード濾過システムは脱色後フィルターよりも多い脱色前フィルターを含む。上記で議論したように、典型的には、脱色前フィルター対脱色後フィルターの比は1:1以上であるが、少なくとも1.1:1、又は2.0:1程度の高さ、或いはこれ以上であってもよい。
【0081】
スタッガード濾過システムを用いて食用油を製造する方法は、更に、以下:
(1)油の色を調節するために流体流中に新しいクレーを導入する;
(2)1以上の脱色後フィルターを、それぞれのフィルターの入口表面の少なくとも一部(望ましくは入口表面全体)に沿って新しいクレーの層で被覆する;
(3)油を乾燥して、油から揮発性成分(例えば水)を除去する;
(4)油を吸着剤粒子と接触させて、リン脂質、石鹸、微量金属、又はこれらの組み合わせを含む1種類以上の不純物を油から除去する;
(5)油を1以上の脱色前フィルターA及びBに通した後で、油を1以上の脱色後フィルターCに通す前に、油を脱色する;
(6)1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ、スタッガード濾過システムを通る異なる経路に沿って油を流す(表1〜2を参照)ように、1以上のフローバルブを調節する;
(7)脱色前フィルター、典型的には、最も長い時間用いた脱色前フィルターを洗浄する;
(8)洗浄した脱色前フィルターを、スタッガード濾過システムにおいて始めに脱色後フィルターとして用いる;
(9)必要な場合には損傷を受けたか又は使用できないフィルターを交換する;
(10)脱色油を貯蔵する;及び
(11)脱色油を脱臭工程のように更に処理する;
の1以上の工程を含んでいてもよい。
【0082】
1つの望ましい態様においては、スタッガード濾過システムを用いて食用油を製造する方法は、上記記載の工程(1)〜(11)のそれぞれを含む。本明細書において開示した代表的な方法の全体にわたって用いるものとしてTriSyl(登録商標)吸着剤粒子を記載しているが、他の吸着剤粒子を開示された方法において用いることができることを理解すべきである。しかしながら、TriSyl(登録商標)吸着剤粒子は、開示された方法において用いるのに最も望ましい吸着剤粒子である。
【0083】
本発明を限られた数の態様によって説明したが、これらの特定の態様は本明細書において記載され特許請求されている発明の範囲を制限することを意図するものではない。更なる修正、均等物、及び変更が可能であることは、本明細書中の代表的な態様を検討することにより当業者に明らかである。実施例及び明細書の残りの部分における全ての部及びパーセントは、他に特定しない限り重量基準である。更に、明細書又は特許請求の範囲において示す全ての数値範囲、例えば特定の特性の組、測定値の単位、条件、物理的状態、又は割合を示すものは、明らかに、言及するか又は他の方法で示すかかる範囲内に含まれる全ての数、並びにそのように示されている全ての範囲内の数の全ての部分集合を文字通り含むものであると意図される。例えば、下限R及び上限Rを用いて数値範囲が開示されている場合には常に、この範囲内に含まれる任意の数Rが具体的に開示されている。特に、この範囲内の次式の数R:R=R+k(R−R)(式中、kは1%の増分で1%〜100%の範囲の変数であり、例えばkは、1%、2%、3%、4%、5%、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である)が具体的に開示されている。更に、上記で算出されるRの任意の二つの値によって表される任意の数値範囲も、具体的に開示されている。本明細書において示し記載したものに加えて、本発明の任意の修正は、上記の記載及び図面から当業者に明らかとなろう。かかる修正は、特許請求の範囲内に包含されると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列の2以上の脱色前フィルターに流体を通し;そして
互いに並列で、2以上の脱色前フィルターと直列の1以上の脱色後フィルターを通して流体を濾過する;
工程を含み、スタッガード濾過システムが1:1より大きい脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を有する、スタッガード濾過システムを用いて流体を処理する方法。
【請求項2】
新しいクレーを流体中に導入することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流体を乾燥して、流体から揮発性成分を除去することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
流体を吸着剤粒子と接触させて、流体から1種類以上の不純物を除去することを更に含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
1種類以上の不純物が、リン脂質、石鹸、微量金属、又はこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
通過工程の後で濾過工程の前に流体を脱色することを更に含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
濾過工程の後に脱色流体を貯蔵することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
スタッガード濾過システムを通す2以上のプロセスフロー工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
逐次プロセスフロー工程n及び(n+1)、並びにフィルターA、B、及びCを含み、プロセスフロー工程n中においては、フィルターA及びBは脱色前フィルターで、フィルターCは脱色後フィルターであり、プロセスフロー工程(n+1)中においては、フィルターB及びCは脱色前フィルターで、フィルターAは脱色後フィルターであるようになっている、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
スタッガード濾過システムにおいて1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ、少なくとも1つの脱色後フィルターが脱色前フィルターになる、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
スタッガード濾過システムを通る異なる経路に沿って1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ流体が流れるように1以上のフローバルブを調節することを更に含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
最も長い時間の間スタッガード濾過システムにおいて用いられた脱色前フィルターを洗浄することを更に含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
プロセスフロー工程中にスタッガード濾過システムに流体を通して、流体を(i)互いに並列の2以上の脱色前フィルターA及びB、並びに(ii)2以上の脱色前フィルターと直列で、1より多い脱色後フィルターCが存在する場合には脱色後フィルターCは互いに並列である1以上の脱色後フィルターに通すようにし;そして
少なくとも1つの脱色後フィルターCが脱色前フィルターになる次のプロセスフロー工程中に、流体をスタッガード濾過システムに通す;
工程を含む、スタッガード濾過システムを用いて流体を処理する方法。
【請求項14】
脱色前フィルターA及びBの少なくとも1つを洗浄した後に脱色前フィルターA及びBの少なくとも1つが脱色後フィルターになる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
流体を吸着剤粒子と接触させて、リン脂質、石鹸、微量金属、又はこれらの組み合わせを含む1種類以上の不純物を流体から除去し;
流体を2以上の脱色前フィルターA及びBに通した後で、流体を1以上の脱色後フィルターCに通す前に流体を脱色し;
新しいクレーを流体中に導入し;
スタッガード濾過システムを通る異なる経路に沿って1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ導入流体が流れるように1以上のフローバルブを調節し;そして
1以上の脱色前フィルターを、スタッガード濾過システムにおいて脱色後フィルターとしてその後に使用するために洗浄する;
工程の1以上を更に含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
流体を吸着剤粒子と接触させて、リン脂質、石鹸、微量金属、又はこれらの組み合わせを含む1種類以上の不純物を流体から除去し;
流体を2以上の脱色前フィルターA及びBに通した後で、流体を1以上の脱色後フィルターCに通す前に流体を脱色し;
新しいクレーを流体中に導入し;
スタッガード濾過システムを通る異なる経路に沿って1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ導入流体が流れるように1以上のフローバルブを調節し;そして
1以上の脱色前フィルターを、スタッガード濾過システムにおいて脱色後フィルターとしてその後に使用するために洗浄する;
工程を更に含む、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
フィルターA、B、及びCの全てを用いる全てのプロセスフロー工程中において、スタッガード濾過システムが脱色後フィルターよりも多い脱色前フィルターを含む、請求項13〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
吸着剤粒子がTriSyl(登録商標)吸着剤粒子を含む、請求項4、5、15、又は16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
脱色前フィルター対脱色後フィルターの比が約1.1:1より大きい、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
脱色前フィルター対脱色後フィルターの比が約2.0:1より大きい、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
連続プロセスである、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
流体が油である、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
食用油を製造するための方法である、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
脱色ユニット;並びに
該脱色ユニットとインラインで、
脱色ユニットの前に配置されており、互いに並列の2以上の脱色前フィルター;及び
脱色ユニットの後に配置されており、2以上の脱色前フィルターと直列で、1より多い脱色後フィルターが存在する場合には互いに並列の1以上の脱色後フィルター;
を含み;
1:1より大きい脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を有するスタッガード濾過システム;
を含む、流体を処理するのに好適な装置。
【請求項25】
脱色ユニット及びスタッガード濾過システムとインラインで、流体を多数の吸着剤粒子と接触させて流体内の不純物の量を減少させるのに好適な混合容器;
混合容器、脱色ユニット、及びスタッガード濾過システムとインラインの乾燥器;及び
混合容器、脱色ユニット、スタッガード濾過システム、及び乾燥器とインラインの流体貯蔵容器;
を更に含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
スタッガード濾過システムを通る異なる経路に沿って1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ導入流体を送ることのできる1以上のフローバルブ;
を更に含む、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項27】
装置内の1以上のフローバルブを開閉して、スタッガード濾過システムを通る異なる経路に沿って1つのプロセスフロー工程から次のプロセスフロー工程へ流体を送るようにすることができるプロセス制御装置;
を更に含む、請求項24〜26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
流体が油である、請求項24〜27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
装置が食用油を製造するために用いられるものである、請求項24〜28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
脱色ユニット;並びに
該脱色ユニットとインラインで、
脱色ユニットの前に配置されており、互いに並列の2以上の脱色前フィルター;及び
脱色ユニットの後に配置されており、2以上の脱色前フィルターと直列で、1より多い脱色後フィルターが存在する場合には脱色後フィルターは互いに並列である1以上の脱色後フィルター;
を含むスタッガード濾過システム;
を含む、流体を処理するのに好適な装置。
【請求項31】
スタッガード濾過システムが1:1より大きい脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を有する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
互いに並列の2以上の脱色前フィルターに流体を通し;そして
互いに並列で、2以上の脱色前フィルターと直列の1以上の脱色後フィルターを通して流体を濾過する;
工程を含む、スタッガード濾過システムを用いて流体を処理する方法。
【請求項33】
スタッガード濾過システムが1:1より大きい脱色前フィルター対脱色後フィルターの比を有する、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【公表番号】特表2010−501689(P2010−501689A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525985(P2009−525985)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007595
【国際公開番号】WO2008/025552
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(500445446)グレース・ゲーエムベーハー・ウント・コムパニー・カーゲー (12)
【Fターム(参考)】