説明

スタンプ式プリンター

【課題】所望の画像データにより形成された画像をスタンプのように瞬時に接触転写できるプリンターを提供すること。
【解決手段】文字情報を含む画像データを受信する受信部と、受信した画像データに基づいて画像をインクで転写部材に印刷するプリントヘッドと、印刷された転写部材の被印刷部分を接触転写可能位置へ移動させる搬送部材とを備え、被印刷部分を所望の記録媒体に接触させることにより前記画像のスタンプ動作が行われるスタンプ式プリンター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンプ式プリンターに関し、特に、記録用紙などに画像を形成するコンパクトサイズの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複合機、またデジタルカメラから写真サイズの印画紙や特殊紙にプリントするプリンターなどは、あらかじめ用意された定型サイズの用紙全体にプリント(印刷)できるようにサイズが大型である。
また、ゴム印で代表される簡易スタンプは、用紙を特定せずにスタンプ(印刷)できるようになっているが、これらスタンプする文字や図はあらかじめ固定されている。
【0003】
これに対し、記録用紙にプリントするプリンターのように、パソコン、携帯電話、デジタルカメラ等からのデータを直接スタンプするコンパクトなものが開発されてきている。
例えば、インクリボンを採用した小型プリンターを印刷したい箇所に置いて、インクリボン上にサーマルヘッドを移動するスタンプ型の熱転写方式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2002−264399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のこのようなスタンプ型プリンターでは、プリンターを印刷したい場所に置いて、内部のサーマルヘッドの稼動中は印刷面に対してプリンターを動かさずに保持しておく必要があり、ゴム印をスタンプするような時間に比べ、はるかに長い保持時間を要する。また、その時間だけ確実に保持しないと満足な印字が得られないという問題がある。
この発明はこのような事情を考慮してなされたもので、任意の画像をゴム印をスタンプするような要領で手軽に印字可能なスタンプ式プリンターを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、文字情報を含む画像データを受信する受信部と、受信した画像データに基づいて画像をインクで転写部材に印刷するプリントヘッドと、印刷された転写部材の被印刷部分を接触転写可能位置へ移動させる搬送部材とを備え、被印刷部分を所望の記録媒体に接触させることにより前記画像のスタンプ動作が行われるスタンプ式プリンターを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、受信した画像データに基づく画像がプリントヘッドから吐出されるインクによって印刷され、印刷された転写部材の被印刷部分が、搬送部材により接触転写可能位置へ搬送される。従って、被印刷部分を所望の記録媒体へ接触させることにより、瞬時にスタンプ動作、つまり、接触転写が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明のスタンプ式プリンターの外観斜視図である。
【図2】この発明のスタンプ式プリンターの使用状態を示す説明図である。
【図3】図1において上部外装を外した斜視図を示す。
【図4】この発明のスタンプ式プリンターの正面から見た断面図である。
【図5】この発明のスタンプ式プリンターの側面から見た断面図である。
【図6】この発明のスタンプ式プリンターの要部斜視図である。
【図7】この発明のスタンプ式プリンターの横断面図である。
【図8】この発明のスタンプ式プリンターの軸受けの構造図である。
【図9】この発明のスタンプ式プリンターの枠体の構造図である。
【図10】この発明のスタンプ式プリンターの保持パネルの構造図である。
【図11】この発明のスタンプ式プリンターの枠体の外面構成を示すための図4対応図である。
【図12】この発明のスタンプ式プリンターにカバーが装着されたときの図11対応図である。
【図13】この発明のスタンプ式プリンターにカバーが装着されたときの図5対応図である。
【図14】この発明のスタンプ式プリンターにカバーが装着されたときのカバーの機能を示す説明図である。
【図15】この発明のスタンプ式プリンターの制御系のブロック図である。
【図16】この発明のスタンプ式プリンターの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明によるスタンプ式プリンターは、文字情報を含む画像データを受信する受信部と、受信した画像データに基づいて画像をインクで転写部材に印刷するプリントヘッドと、印刷された転写部材の被印刷部分を接触転写可能位置へ移動させる搬送部材とを備え、被印刷部分を所望の記録媒体に接触させることにより前記画像のスタンプ動作が行われることを特徴とする。
【0010】
ここで、画像データを受信する受信部とは、例えば、赤外線信号を受光器や、無線信号を受信する受信器などである。
従って、受信部が赤外線受光素子を備え、スタンプ式プリンターが赤外線受光素子を介して画像データを受信してプリントヘッドに印刷を実行させる制御部をさらに備えることが好ましい。
【0011】
また、プリントヘッドは例えば、インク吐出ノズルアレイを有するインクジェットヘッドであり、転写部材はエンドレスベルトからなり、インク吐出ノズルアレイがエンドレスベルトの主走査方向にインクを吐出し、搬送部材がエンドレスベルトを副走査方向に移動させることにより、転写部材への印刷が行われる。
また、所望の記録媒体としては、一般の印刷用紙のみならず、ノートや手帳、名刺、レシート、チラシの裏面、カレンダー、シャツ、ハンカチ、ティッシュなどが挙げられる。
【0012】
この発明のスタンプ式プリンターは、プリントヘッドと転写部材と搬送部材を収容する筐体と、筐体内でプリントヘッドと転写部材と搬送部材を支持する枠体とをさらに備え、筐体は前記接触転写可能位置において被印刷部分を筐体から露出させてもよい。
【0013】
筐体は枠体に支持された上部外装と下部外装からなり、上部外装はとりはずし可能に枠体に支持され、下部外装は前記開口を有するものであってもよい。
下部外装は弾性部材を介して枠体を支持し、弾性部材に抗して枠体を下部外装に対して移動させることにより被印字部分が開口から露出して前記記録媒体への接触が可能であってもよい。
【0014】
筐体に着脱可能に装着され前記開口を覆うカバーをさらに備えてもよい。
また、前記カバーは、筐体に装着されたときに枠体を下部外装に対して移動させない構造を有してもよい。
プリントヘッドと搬送部材を駆動制御する制御部と、制御部にスイッチを介して電力を供給する電源とをさらに備え、前記スイッチは前記カバーの着脱動作に連動して開閉するようにしてもよい。
【0015】
転写部材を清掃する清掃部材をさらに備えてもよい。
転写部材を清掃する清掃部材と、プリントヘッドを駆動する電池とをさらに備え、枠体は清掃部材とプリントヘッドと電池を上部外装内で離脱可能に支持し、上部外装をとりはずすことにより、清掃部材とプリントヘッドと電池とが交換可能であってもよい。
【0016】
印字データの受信が可能なタイミングを表示する表示部をさらに備えてもよい。
転写部材の被印刷部分が接触転写可能位置へ搬送されたことを表示する表示部をさらに備えてもよい。
【0017】
受信した画像データを一時格納する格納部と、格納データをプリントヘッドが転写部材に印刷するよう制御部に指令する手動指令部材をさらに備えてもよい。
制御部は時間を計時する計時部と、所定時間以上指令部材が指令しないとき、格納部の印字データを消去する機能をさらに備えてもよい。
転写部材の被印刷部分の位置を検出する検出器と、検出器の出力に基づいて搬送部材を駆動制御する制御部とをさらに備えてもよい。
【0018】
この発明において、前記カバーと枠体は、前記カバーが筐体に装着されたときに転写部材をプリントヘッドに接触させる機構を備えることが好ましい。
これによって、不使用時に、転写部材をプリントヘッドに密着させてインクの乾燥を防ぎ、ノズルのつまりを抑制することができる。
【0019】
枠体は転写部材をプリントヘッドに対して接触可能に離れて保持する保持部材を備え、カバーは筐体に装着されたときに保持部材を押圧して転写部材をプリントヘッドに接触させるリブを備えてもよい。
【0020】
転写部材と搬送部材が、エンドレスの転写ベルトと、転写ベルトを架設する駆動ローラおよびテンションローラであってもよい。
転写ベルトを裏面から保持する保持部材をさらに備えてもよい。
テンションローラを付勢して転写ベルトに張力を与える備える付勢部材をさらに備えてもよい。
転写ベルトは表面がPFA又はPTFEで被覆されてもよい。
【0021】
以下、図面に示す実施形態に基づいて本発明を詳述する。
図1は、この発明のスタンプ式プリンターを示す斜視図である。図1(a)に示すように、スタンプ式プリンター100は、幅Wが60mm、奥行Dが40mm、高さHが72mmである。スタンプするときには、カバー3を下方へ引いて、図1(b)のようにカバー3を外す必要がある。筐体50は、上部外装1と下部外装2から構成される。
【0022】
なお、カバー3を取付ける場合には、カバー3を下から下部外装2に挿入し、上部外装1をカバー3に押付ける。
それによって、上部外装1の下部外周面の凹部76aに、カバー3の上部外周面の係止部76がスナップアクションで係止する。そして、上部外装1のエッジ1eとカバー3のエッジ3eとが突合わされた状態で、カバー3は上部外装1に固定される。上部外装1には、透明樹脂製の赤外線受光部4があり、下部外装2には、LED発光部5がある。
【0023】
カバー3を外すことで、本体内部の電源が入り、LED発光部5は赤色を1〜2秒点灯後、緑色を連続的に点灯する。緑色点灯後、図示しない携帯端末などから画像データが赤外線で発信されると、赤外線受光部4にそのデータが受信され、受信完了と共にLED発光部5が緑の点滅に変化する。この間の時間、つまりデータ転送に要する時間は約2秒である。緑点滅は、スタンプ動作OKであることを示す。
【0024】
そこで、使用者は図2(a)で示すように上部外装1を手で持ち、用紙Pの所望のスタンプ位置に、下部外装3に付設されているマーク6を基準として位置を合せ、上部外装1を下に押しスタンプする。
この押すストロークは、この実施形態の場合4mmである。図2(b)のように上部外装1を持ち上げると、用紙Pへの印刷は完了し、LED発光部5は再び緑の連続点灯に変化する。
【0025】
スタンプ式プリンター100の上部外装1と下部外装2は後述のようにバネで離された状態にあり、スタンプ式プリンター100を下向きに机の上に置いても4mm以上押さないかぎりスタンプ動作とならない。
【0026】
カバー3(図1)を下部外装2に装着すると、内部の電源は切断され、LED発光部5は消灯する。
また、前述のように、カバー3が装着された状態では、カバー3のエッジ3eと上部外装1のエッジ1eとが突当る構造をとっているため、上部外装1は下部外装2に近づくことはできない。
【0027】
図2(b)にABCの文字のスタンプ画像7を表示しているが、名前、住所等に代表される文字や、写真、地図に代表される画像であってもよい。この実施形態でのプリント可能な縦寸法L1は最大11mm、横寸法L2は最大35mmである。スタンプ式プリンターのサイズを大きくすれば、このプリント可能範囲は大きくすることができる。
【0028】
この発明のプリンターによれば、スタンプする用紙Pは手持ちの手帳や名刺、レシートやチラシの裏紙でもよい。また、壁に掛けたカレンダーの日付に予定をスタンプすることや、シャツやハンカチ、ティッシュにもスタンプ可能である。
下部外装2の手動指令部材としての継続ボタン(LED発光部と兼用)5をスタンプ後に押せば、再度LED発光部は緑色の点滅から緑色の連続点灯に切り替わり、既にスタンプしたデータを再度スタンプすることが可能となる。
【0029】
この動作を繰り返すことによって、同じデータを何回もスタンプすることが可能であり、ゴム印のように使用できる。これはまた、マル秘スタンプや日付スタンプとして利用することができる。
【0030】
また、パソコンや携帯端末に記憶させている宛先データをスタンプ式プリンター100に送信することによって、封筒や葉書に宛先をプリントすることもできる。現在一般的に使われているA4サイズのラベル用紙にプリンターで印刷して、ラベル用紙から宛先ラベルを剥がし、封筒や葉書に貼付けている作業が、この発明のスタンプ式プリンター100によって直接印刷することによって可能となり、ラベル用紙が節約できる。
【0031】
また、携帯電話の液晶表示部に呼び出した写真、地図などの情報を赤外線通信などを介して手帳や名刺などへ印刷したり、パソコンに表示した内容をのし紙などへ印刷することも可能となる。
【0032】
図3は上部外装1を取り除いたスタンプ式プリンター100の斜視図を示す。上部外装1はとりはずし可能に枠体8に支持されている。
下部外装2の上に枠体8が搭載され、その枠体8にリチウム電池9、インクカートリッジ10(プリントヘッド一体型)、クリーナカートリッジ14、およびコントロール基板12が離脱可能に装着されている。いずれも上部からの差込みにより装着される。
【0033】
コントロール基板12には赤外線受光部4を介して画像データを受光する赤外線受光素子13や、後述する制御部160(図15)およびSDRAM32(図15)などが実装されている。
【0034】
図4は、正面から見たスタンプ式プリンター100の断面図である。
スタンプ式プリンター100は、転写部材としての転写ベルト17、搬送部材としての駆動ローラ15およびテンションローラ16、プリントヘッドとしてのインクジェットヘッド30、保持部材としての保持パネル18などを備える。上部外装1は枠体8に離脱可能に装着され係止片60によって係止されている。
【0035】
クリーナカートリッジ14内にクリーナシート11が装填され、弾性的に支持された加圧ローラ59により転写ベルト17に加圧されている。枠体8には、転写ベルト17を駆動する駆動ローラ15およびテンションローラ16が設けられる。ローラ15、16は転写ベルト17を架設し、保持パネル18が転写ベルト17の裏側に設けられる。枠体8の両側に突出するロック爪21,22のボス21a,22aと、下部外装2の内壁から突出するバネ支持片61,62のボス61a,62aとの間に復帰バネ19,20が設けられている。
【0036】
下部外装2は、枠体8に対し復帰バネ19、20により下方向に付勢されている。また、枠体8のロック爪21,22は、下部外装2の抜け止めのストッパーとなっている。保持パネル18上にはステッピングモータ27が設けられ、出力軸ギア58から中継ぎギア57を介して駆動ローラ用ギア56へトルクが伝達される。
【0037】
下部外装2の下面は開放され開口部33となっており、スタンプ動作時に上部外装1を下に押すと転写ベルト17が開口部33から露出するようになっている。また、枠体8にはスタンプスイッチ31が設置され、上部外装1が下降するとスタンプスイッチ31は下部外装2に接触し、スタンプ式プリンター100のスタンプ動作を検出する。
【0038】
図5は、側面から見たスタンプ式プリンター100の断面図である。
【0039】
インクカートリッジ10の下方から4色用のインクジェットヘッド30が転写ベルト17の方へ突出している。インクジェットヘッド30は、転写ベルト17の幅方向(主走査方向)に配列されたインク吐出ノズルアレイを有し、吐出するインクはインクカートリッジ10から供給される。インクジェットヘッド30は、シングルパス方式による主走査方向へのインクの吐出動作と、転写ベルト17の副走査方向への移動動作とにより印刷を行う。なお、印刷時には図5に示すようにインク吐出ノズルと転写ベルト17との間隔Dは1.0mmに保たれている。
【0040】
図6は、転写ベルト17を示す斜視図である。
転写ベルト17は、前述のように駆動ローラ15およびテンションローラ16に架設される。転写ベルト17のエッジには転写ベルト17の位置読み取り用の印刷部29があり、エンコーダセンサー28で読み取られる。
また、印刷部の太字線29aが、転写ベルト17の初期位置(ホームポジション)として、エンコーダセンサー28により読み取られるようになっている。
【0041】
転写ベルト17は、厚さ0.35mmのエチレンテレフタレート(PET)を基材とするエンドレスのベルトである。印刷部29以外の外周面には、PFA又はPTFEのコーティングが30μmmから100μmmの厚さで施され、インクの付着力を軽減させるようにしている。転写ベルト17の強度を増すために無電解メッキからなる金属メッキ、例えばニッケルメッキを基材の表面もしくは裏面に施してもよい。
【0042】
転写ベルト17からインク画像が図2のようにスタンプされる場合、転写ベルト17の中央が弛んで転写不十分になることを防止するため、図4に示すように保持パネル18によって転写ベルト17を裏面から支えるようにしている。また、転写ベルト17は、後述するようにテンションローラ16によってテンションが印加されており、ゆるみが出ないよう配慮されている。これらの対応により、転写する場合の画像転写抜けが防止される。
【0043】
図7はスタンプ式プリンター100横断面図であり、内部に収容された枠体8の構成を示す。
図7に示すように、駆動ローラ15のシャフト67の一端は、駆動ローラ用ギヤ56と軸受け51を貫通し、先端に抜け止め用のEリング67aを備える。また、シャフト67の他端は、軸受け51を貫通し、先端に抜け止め用のEリング67aを備える。
【0044】
同様にテンションローラ16のシャフト68の両端もそれぞれ軸受け51を貫通し、先端に抜け止め用のEリング68aを備える。また、4つの軸受け51はいずれも枠体8と保持パネル18とを共通に貫通して支持されている。
さらに、保持パネル18の上には補助基板23が設置され、補助基板23にはカバー開閉スイッチ26とエンコーダセンサー28が搭載されている。
【0045】
図8は軸受け51の構造図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は(a)のB−B矢視断面図である。これらの図に示すように軸受け51は、上面と左右側面にそれぞれボス51aを備え、正面に突出部51bを備えると共に、シャフトを受入れて支持するための貫通孔51cを備える。
【0046】
図9は枠体8の構造図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)のA−A矢視断面図である。これらの図に示すように枠体8は、一対の軸受貫通孔65,66をそれぞれ前面と後面に備える。
【0047】
軸受け貫通孔65,66には、それぞれ図8に示す軸受け51の突出部51bが貫通し、各軸受け51が枠体8に支持されるようになっている。軸受け貫通孔65は軸受け51の突出部51bを受入れたとき、突出部51bが上下方向に±1mmだけ移動可能な形状とサイズを有する。また、軸受け貫通孔66は軸受け51の突出部51bを受入れたとき、突出部51bが上下方向および左右方向に±1mmだけ移動可能な形状とサイズを有する。
【0048】
また、枠体8は1対のバネ支持片63,64をそれぞれ前面と後面に備え、バネ支持片63,64はバネ固定用のボス63a,64aを有する。さらに、枠体8はボス77aを有するバネ支持片77を前面と後面に、ボス21a,22aを有するロック爪21,22をそれぞれ左右の側面に備える。
【0049】
図10は保持パネル18の構造図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図である。これらの図に示すように保持パネル18の前面と後面にはそれぞれ1対の軸受け貫通孔70と71が形成されている。軸受け貫通孔70と71には図8に示す軸受け51の突出部51bが貫通するようになっている。軸受け貫通孔70は軸受け51の突出部51bがぴったりと嵌入される形状とサイズを有する。また、軸受け貫通孔71は、軸受け51の突出部51bを受入れたとき突出部51bが左右方向に±1mmだけ移動可能な形状とサイズを有する。
【0050】
図10(b)に示すように、保持パネル18は、切欠き穴74を有する。切欠き穴74は、後述するようにカバー開閉スイッチ26(図7)の作動片75(図13)を通過させるために用いられる。また、保持パネル18はステッピングモータ27を取付けるモータ取付け板73と、中継ギア57(図4参照)を回転可能に支持するボス72を備える。
【0051】
なお、図7に示すように、駆動ローラ15のシャフト67の両端を支持する一対の軸受け51は、それぞれ軸受け51の突出部51bが枠体8の軸受け貫通孔65と保持パネル18の軸受け貫通孔70とを同時に貫通した状態で枠体8に支持される。
同様に、テンションローラ16のシャフト68の両端を支持する一対の軸受け51は、それぞれ軸受け51の突出部51bが枠体8の軸受け貫通孔66と保持パネル18の軸受け貫通孔71とを同時に貫通した状態で枠体8に支持される。
【0052】
図11は筐体50に装着された枠体8の外面構成を示すための図4対応図である。同図に示すように、シャフト67を支持する軸受け51の上面のボス51aと、枠体8の外面のバネ支持片64のボス64aとの間に支持された軸受け付勢バネ55が、シャフト67の軸受け51を矢印Y1方向に付勢する。
【0053】
同様に、シャフト68を支持する軸受け51の上面のボス51aと、枠体8の外面のバネ支持片63のボス63aとの間に支持された軸受け付勢バネ52が、シャフト68の軸受け51を矢印Y1方向に付勢する。
シャフト67,68がこの状態にあるとき、インクジェットヘッド30と転写ベルト17とは、図5に示すように間隔D=1mmを有する。
【0054】
また、シャフト68を支持する軸受け51の側面のボス51aと、枠体8の外面のバネ支持片77のボス77aとの間に支持されたベルト付勢バネ54がシャフト68の軸受け51を矢印X方向に付勢する。これによって、テンションローラ16(図4,図6参照)は、矢印X方向に矢印X方向に1〜2mm移動して転写ベルト17に張力(テンション)を印加する。
【0055】
図12と図13は、カバー3がスタンプ式プリンター100に装着されたときの図11対応図と、図5対応図である。カバー3が装着されると、前述のように係止部76が上部外層1に係止し、カバー3が上部外層1に固着される。このとき、カバー3の内底面に立設する4つのリブ53(図1(b)参照)がそれぞれ対応する4つの軸受け51を矢印Y2の方向に押し上げる。
【0056】
これによって、図12,図13に示すように転写ベルト17はインクジェットヘッド30に密着して間隔D=0となり、それによって、インクジェットヘッド30のノズルが閉鎖され、インクの乾燥によるノズルの詰まりが防止される。
また、この時、カバー3の内底面に立設する作動片75が図14に示すようにカバー開閉スイッチ26をOFFさせる。
【0057】
図15は、スタンプ式プリンター100の制御系のブロック図を示す。
図15に示すように、リチウム電池9の電力はカバー開閉スイッチ26を介して制御部60とモータドライバー回路27aに供給される。制御部160は、赤外線受光素子13、継続スイッチ25、エンコーダセンサ28、スタンプスイッチ31からの出力を受けて、プリントヘッド10、LED発光素子24およびモータドライバー回路27aに出力するようになっている。
【0058】
なお、制御部160はCPU、ROM、RAMからなるマイクロコンピュータ160aおよびタイマー160bを備えると共に、赤外線受光素子13から受取った画像データを格納するSDRAM32を備える。また、モータドライバー回路27aは制御部60から制御信号を受けてステッピングモータ27を駆動制御するようになっている。
【0059】
次に、図16に示すフローチャートを用いて、スタンプ式プリンター100の動作を説明する。
カバー3を外すことにより、転写ベルト17とインクジェットヘッド30との間隔D=1mmに開き、カバー開閉スイッチ26がONになり電源が入ると(ステップS1)、初期動作としてステッピングモータ27が回転し、転写ベルト17が駆動して、クリーナカートリッジ14のクリーナシート11により転写ベルト17の清掃が行われる。この清掃期間を使用者に知らせるためにLED発光素子24を赤色で連続的に点灯させる(ステップS2)。転写ベルト17のエンコーダ印刷太字線(ホームポジション)29が、エンコーダセンサー28で、読み取られたかどうか判断する(ステップS3)。
【0060】
読み取られた場合には直ちに、ステッピングモータ27を停止し、LED発光素子24を赤色から緑色に点灯色を変化させ印刷データの受信が可能であることを知らせる(ステップS5)。もし、ステッピングモータ27が電池パワー不足等で、動作不良の場合には、エンコーダセンサー28は一定時間内に転写ベルト17のエンコーダ印刷太字線29が検知できないことから、ステッピングモータ27が停止し、LED発光素子24の赤色の点灯を維持する(ステップS4)。
【0061】
携帯端末などより赤外線データが発信され、赤外線受光素子13が、データを受信完了すると、つまり、受信開始から、2秒が経過すると(ステップS6)、ステッピングモータ27により転写ベルト17を副走査速度で移動させながらインクカートリッジ10のインクジェットヘッド30のインク吐出ノズルアレイからインクを主走査方向に吐出する。それによって、転写ベルト17上に画像データを印刷してインク画像を形成すると共に、SDRAM32に画像データを格納し、LED発光素子24を赤色で点灯させ、インク画像の形成中であることを知らせる(ステップS7)。
【0062】
インクジェットヘッド30から転写ベルト17へのインク画像の形成が完了すると、転写ベルト17は転写側に高速移動し、インク画像が開口部33に対向する位置(接触転写可能位置)で停止する。そして、LED発光素子24を緑色で点滅させスタンプ動作可能であることを使用者に知らせる(ステップS8)。
【0063】
使用者は、スタンプ式プリンター100の開口部33をインク画像を転写したい場所(所望の記録媒体)に合せてスタンプ(接触転写)する。この動作をスタンプスイッチ31が感知すると(ステップS9)、ステッピングモータ27が回転し、転写ベルト17が駆動して、クリーナシート11による転写ベルト17の清掃が行われ、転写ベルト17のエンコーダ印刷太字線29が、エンコーダセンサー28で、読み取られた時点(ホームポジション)で、ステッピングモータ27を停止し、LED発光素子24を緑色の連続点灯に切り替える(ステップS10)。
【0064】
その後、スタンプ動作の間隔がタイマー160aにより計時され、一定時間内(例えば、60秒以内)に継続スイッチボタン5が押されなかった場合(ステップS11)、放置されたと判断し、初期動作に戻ると共に、SDRAM32の画像データは消去される(ステップS12)。使用者が、同じデータを再度スタンプしたい場合は(ステップS11)、前記一定時間内に継続スイッチボタン5を押せば、SDRAM32から画像データが読出されルーチンはステップS7へ戻り、再度スタンプが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1 上部外装
1e エッジ
2 下部外装
3 カバー
3e エッジ
4 赤外線受光部
5 LED発光部 並びに継続スイッチボタン
6 マーク
7 スタンプ画像
8 枠体
9 リチウム電池
10 インクカートリッジ
11 クリーナシート
12 コントロール基板
13 赤外線受光素子
14 クリーナカートリッジ
15 駆動ローラ
16 テンションローラ
17 転写ベルト
18 保持パネル
19 復帰バネ
20 復帰バネ
21 ロック爪
21a ボス
22 ロック爪
22a ボス
23 補助基板
24 LED発光素子
25 継続スイッチ
26 カバー開閉スイッチ
27 ステッピングモータ
28 エンコーダセンサー
29 印刷部
29a 太字線
30 インクジェットヘッド
31 スタンプスイッチ
32 SDRAM
33 開口部
50 筐体
51 軸受け
51a ボス
51b 突出部
52 軸受け付勢バネ
53 リブ
54 ベルト付勢バネ
55 軸受け付勢バネ
56 駆動ローラ用ギア
57 中継ギア
58 出力軸ギア
59 加圧ローラ
60 制御部
60 係止片
61 バネ支持片
61a ボス
62 バネ支持片
62a ボス
63 バネ支持片
63a ボス
64 バネ支持片
64a ボス
65 軸受け貫通孔
66 軸受け貫通孔
67 シャフト
68 シャフト
67a Eリング
68a Eリング
70 軸受け貫通孔
71 軸受け貫通孔
72 ボス
73 モータ取付け板
74 切欠き穴
75 作動片
76 係止部
76a 凹部
77 バネ支持片
77a ボス
100 スタンプ式プリンター
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字情報を含む画像データを受信する受信部と、受信した画像データに基づいて画像をインクジェット方式で転写部材に印刷するプリントヘッドと、印刷された転写部材の被印刷部分を接触転写可能位置へ移動させる搬送部材と、プリントヘッドが転写部材に印刷を行わない時に転写部材をプリントヘッドに接触させる機構とを備え、前記被印刷部分を所望の記録媒体に接触させることにより前記画像のスタンプ動作が行われるスタンプ式プリンター。
【請求項2】
受信部が赤外線受光素子を備え、赤外線受光素子を介して画像データを受信してプリントヘッドに印刷を実行させる制御部をさらに備える請求項1記載のスタンプ式プリンター。
【請求項3】
プリントヘッドはインク吐出ノズルアレイを有するインクジェットヘッドであり、転写部材はエンドレスベルトからなり、インク吐出ノズルアレイがエンドレスベルトの主走査方向にインクを吐出し、かつ、搬送部材がエンドレスベルトを副走査方向に移動させることにより、転写部材への印刷が行われる請求項1記載のスタンプ式プリンター。
【請求項4】
転写部材を清掃する清掃部材をさらに備える請求項1記載のスタンプ式プリンター。
【請求項5】
転写部材の移動位置を検出する検出器と、検出器の出力に基づいて搬送部材を駆動制御する制御部とをさらに備える請求項1記載のスタンプ式プリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−73458(P2011−73458A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3278(P2011−3278)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【分割の表示】特願2009−22657(P2009−22657)の分割
【原出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】