説明

スチームサウナ機能付き浴室暖房機

【課題】暖房機本体2内に蒸気発生手段10を備え、蒸気発生手段で発生させた水蒸気を浴室内に供給するサウナ機能付き浴室暖房機であって、蒸気発生手段は、熱源機で加熱された熱媒体を供給するフィンチューブ型の熱交換器11と、熱交換器に水をかける噴霧ノズル13とで構成されるものにおいて、給水圧の高い地域で長期間使用しても熱交換器のフィンが削れることのないようにする。
【解決手段】熱交換器11は起立姿勢で配置され、熱交換器11の上方に衝突板12が設けられる。そして、噴霧ノズル13から衝突板12に向けて水が噴霧され、この水が衝突板12を介して熱交換器11に上方から降りかかるようにする。また、衝突板12の噴霧ノズル13の配置部とは反対側の側部12aは、熱交換器11のフィン11aの上端に接し、熱交換器11のチューブ11bが貫通するフィン11aの幅方向位置でフィン11aの上端から衝突板12が立ち上がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房機本体内に蒸気発生手段を備え、蒸気発生手段で発生させた水蒸気を浴室内に供給するスチームサウナ機能付き浴室暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浴室暖房機として、特許文献1記載のものが知られている。このもので蒸気発生手段は、熱源機で加熱された熱媒体を供給するフィンチューブ型の熱交換器と、熱交換器に水をかける噴霧ノズルとで構成されており、噴霧ノズルから噴霧された水が熱交換器で加熱されて気化し、水蒸気が発生する。
【0003】
ここで、上記従来例のものでは、噴霧ノズルから熱交換器に向けて水を直接噴霧するようにしている。ところで、給水圧は通常0.2MPa程度であるが、地域によっては給水圧が0.7MPaもの高水圧になることがある。そして、給水圧の高い地域で長期間使用すると、熱交換器のアルミニウム製のフィンが噴霧される水の勢いで削れてしまい、加湿能力が低下したり、削り落ちたアルミニウム片による排水管の詰まり等の弊害を生ずる。
【特許文献1】特開2006−109869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、給水圧の高い地域で長期間使用しても熱交換器のフィンが削れることのない耐久性に優れたスチームサウナ機能付き浴室暖房機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、暖房機本体内に蒸気発生手段を備え、蒸気発生手段で発生させた水蒸気を浴室内に供給するスチームサウナ機能付き浴室暖房機であって、蒸気発生手段は、熱源機で加熱された熱媒体を供給するフィンチューブ型の熱交換器と、熱交換器に水をかける噴霧ノズルとで構成されるものにおいて、熱交換器は起立姿勢で配置され、熱交換器の上方に衝突板が設けられ、噴霧ノズルから衝突板に向けて水が噴霧され、この水が衝突板を介して熱交換器に上方から降りかかるようにしたことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、噴霧ノズルから衝突板に向けて水を噴霧するため、熱交換器には勢いのなくなった水が降りかかる。その結果、給水圧の高い地域で長期間使用しても、熱交換器のフィンが削れることはない。更に、衝突板に当たった水がフィンの上端に降りかかるため、フィンの上端から下端までの全高さを気化のための加熱部として有効活用でき、水蒸気が効率良く発生する。
【0007】
また、本発明において、衝突板の噴霧ノズルの配置部とは反対側の側部は、熱交換器のフィンの上端に接し、熱交換器のチューブが貫通するフィンの幅方向位置でフィンの上端から衝突板が立ち上がることが望ましい。ここで、衝突板に当たった水は衝突板を伝ってフィンの上端の衝突板の立ち上がり箇所に流下する。そして、チューブが貫通するフィンの幅方向位置に衝突板の立ち上がり箇所が合致していれば、フィンを伝って流下する水がチューブ内に流れる熱媒体の熱で効率良く加熱気化され、水蒸気の発生効率が一層向上する。
【0008】
また、本発明においては、熱交換器のフィンの積層方向を横方向として、噴霧ノズルは、衝突板に向けて横方向に広がる扇状に水を噴霧するように構成されることが望ましい。これによれば、噴霧ノズルから扇状に噴霧された水が衝突板に当たって更に横方向に広がって熱交換器に降りかかる。従って、1個の噴霧ノズルで熱交換器の横方向広範囲に水をかけることができる。
【0009】
尚、噴霧ノズルから衝突板に向けて横方向に広がる扇状に水を噴霧すると、給水圧が高いときには、衝突板で水が横方向に広がり過ぎて、熱交換器の横方向外端のフィンに多量の水が流下し、水蒸気の発生効率が低下してしまう。そのため、衝突板に、熱交換器の横方向外端のフィンから横方向内方に所定距離離れた部分に位置させて、下方に突出する突条を設けておくことが望ましい。これによれば、衝突板で水が横方向に過度に広がることを突条で抑制して、水蒸気の発生効率が低下することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照して、1は浴室の天井部に設置する浴室暖房機を示している。浴室暖房機1の暖房機本体2の下面には、浴室内に露出するカバー3が設けられている。カバー3には、固定ルーバ4a付きの吸込み口4と、可変ルーバ5a付きの吹出し口5とが形成されている。
【0011】
暖房機本体2内には、吸込み口4と吹出し口5とを連通する通風路6と、通風路6を介して浴室の空気を循環させる循環ファン7とが設けられると共に、循環ファン7より上流側(吸込み口4側)の通風路6の部分に位置させて、通風路6に流れる空気を加熱するフィンチューブ型の熱交換器8が設けられている。熱交換器8には、図外の給湯暖房熱源機の暖房部で加熱された熱媒体(水、不凍液等)が供給される。そして、循環ファン7の作動により吸込み口4から通風路6に吸込まれた浴室の空気が熱交換器8で加熱され、温風となって吹出し口5から浴室内に送風される。
【0012】
また、暖房機本体1内の上部には、熱交換器8と循環ファン7との間の通風路6の部分に対しドレンパン9で仕切られたバイパス通風路6aが画成されており、吸込み口4からの空気の一部がバイパス通風路6aを介して循環ファン7に吸引されるようにしている。そして、バイパス通風路6aに蒸気発生手段10を設置している。
【0013】
蒸気発生手段10は、給湯暖房熱源機の暖房部で加熱された熱媒体を供給するフィンチューブ型の熱交換器11を備えている。熱交換器11は、フィン11aの長手方向が上下方向に沿う起立姿勢で、ドレンパン9の空気の流れ方向下流側の端部上に配置されている。フィン11aはアルミニウム製である。そして、フィン11aに、熱媒体が流れるチューブ11bが空気の流れ方向上流側と下流側の2列で上下複数段に貫通している。
【0014】
熱交換器11の上方には、ステンレス製の衝突板12が設けられている。また、熱交換器11よりも空気の流れ方向上流側に噴霧ノズル13を設け、給湯暖房熱源機の給湯部で加熱された水(湯)を噴霧ノズル13から衝突板12に向けて噴霧するようにしている。そして、噴霧ノズル13から噴霧された水が衝突板12を介して熱交換器11に上方から降りかかるようにしている。尚、衝突板12に当たった水の一部は跳ね返るが、大部分の水は衝突板12を伝って流下する。
【0015】
このように本実施形態では、噴霧ノズル13から衝突板12に向けて水を噴霧するため、熱交換器11には勢いのなくなった水が降りかかる。その結果、給水圧の高い地域で長期間使用しても、熱交換器11のフィン11aが削れることはない。また、衝突板12に当たった水がフィン11aの上端に降りかかるため、フィン11aの上端から下端までの全高さを気化のための加熱部として有効活用でき、水蒸気が効率良く発生する。更に、噴霧ノズル13からの水を熱交換器11に直接かけるものに比し、水の当たり音による騒音が小さくなると共に、熱交換器11の周囲に飛び散る水量も少なくなる。
【0016】
発生した水蒸気は、バイパス通風路6aに流れる空気と一緒に循環ファン7に吸込まれる。そして、温風と共に水蒸気が吹出し口5から浴室内に供給され、浴室内が高温多湿のスチームサウナ状態になる。
【0017】
また、本実施形態では、衝突板12の噴霧ノズル13の配置部とは反対側の側部、即ち、空気の流れ方向下流側の側部12aが、熱交換器11のフィン11aの上端の空気の流れ方向下流側の部分に接している。そして、空気の流れ方向下流側に位置するチューブ11bが貫通するフィン11aの幅方向位置で衝突板12がフィン11aの上端から斜め上方に立ち上がるようにしている。また、衝突板12の空気の流れ方向下流側の側部12aの外端には、フィン11aの空気の流れ方向下流側を向く側縁に沿って下方に屈曲する屈曲部12bが形成されている。
【0018】
ここで、衝突板12に当たった水は衝突板12を伝ってフィン11aの上端の衝突板12の立ち上がり箇所に流下する。そして、上記の如くチューブ11bが貫通するフィン11aの幅方向位置に衝突板12の立ち上がり箇所が合致していれば、フィン11aを伝って流下する水がチューブ11bからの熱で効率良く加熱気化され、水蒸気の発生効率が一層向上する。また、衝突板12に屈曲部12bが形成されているため、噴霧ノズル13からの水の噴霧方向が下方にずれたり、衝突板12が組み立て誤差でフィン11aの上端から浮き上がったりした場合にも、噴霧した水が熱交換器11を素通りして浴室BR内に飛び出すことを防止できる。
【0019】
また、本実施形態では、フィン11aの積層方向を横方向として、図2に示す如く、噴霧ノズル13から衝突板12に向けて横方向に広がる扇状に水が噴霧されるようにしている。これによれば、噴霧ノズル13から扇状に噴霧された水が衝突板12に当たった後に更に横方向に広がって熱交換器11に降りかかる。従って、1個の噴霧ノズル13で熱交換器11の横方向広範囲に水をかけることができる。
【0020】
尚、噴霧ノズル13から衝突板12に向けて横方向に広がる扇状に水を噴霧すると、給水圧が高いときには、衝突板12で水が横方向に広がり過ぎて、熱交換器11の横方向外端のフィン11aに多量の水が流下し、水蒸気の発生効率が低下してしまう。そこで、本実施形態では、衝突板12に、熱交換器11の横方向外端のフィン11aから横方向内方に所定距離(例えば、10〜25mm)離れた部分に位置させて、下方に突出する突条12cを絞り加工で形成している。これによれば、衝突板12で水が横方向に過度に広がることを突条12cで抑制して、水蒸気の発生効率が低下することを防止できる。
【0021】
また、ドレンパン9の横方向一側部には、排水用の樋部9aが形成されている。そして、ドレンパン9に、熱交換器11の配置部の横方向両側部から空気の流れ方向上流側に向かって横方向内方に屈曲してのびる一対のガイド壁9bを立設し、熱交換器11で気化せずに流下した水をガイド壁9bとドレンパン9の上面に付けた傾斜とで樋部9aに導くようにしている。
【0022】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、噴霧ノズル13を衝突板12に向けて横方向に広がる扇状に水を噴霧するものに構成しているが、複数の噴霧ノズルを横方向に並設して、各噴霧ノズルから横方向の限られた範囲に水を噴霧することも可能である。但し、上記実施形態のように噴霧ノズル13を構成すれば、噴霧ノズル13の個数を削減することができ、有利である。
【0023】
また、上記実施形態では、バイパス通風路6aに蒸気発生手段10を設けているが、バイパス通風路6aを省略し、暖房用の熱交換器8の上方に衝突板を設けて、噴霧ノズルから衝突板に向けて噴霧された水が衝突板を介して暖房用の熱交換器8に上方から降りかかるようにしてもよい。また、上記実施形態では、蒸気発生用の熱交換器11を、フィン11aの長手方向が上下方向に沿う鉛直な起立姿勢で配置しているが、フィン11aの長手方向が上下方向に対し若干傾斜した非鉛直な起立姿勢で熱交換器11を配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態の浴室暖房機の断面図。
【図2】実施形態の浴室暖房機に備える蒸気発生手段の斜視図。
【符号の説明】
【0025】
1…浴室暖房機、2…暖房機本体、10…蒸気発生手段、11…熱交換器、11a…フィン、11b…チューブ、12…衝突板、12a…衝突板の噴霧ノズルの配置部とは反対側の側部、12c…突条、13…噴霧ノズル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房機本体内に蒸気発生手段を備え、蒸気発生手段で発生させた水蒸気を浴室内に供給するスチームサウナ機能付き浴室暖房機であって、蒸気発生手段は、熱源機で加熱された熱媒体を供給するフィンチューブ型の熱交換器と、熱交換器に水をかける噴霧ノズルとで構成されるものにおいて、
熱交換器は起立姿勢で配置され、熱交換器の上方に衝突板が設けられ、噴霧ノズルから衝突板に向けて水が噴霧され、この水が衝突板を介して熱交換器に上方から降りかかるようにしたことを特徴とするスチームサウナ機能付き浴室暖房機。
【請求項2】
前記衝突板の前記噴霧ノズルの配置部とは反対側の側部は、前記熱交換器のフィンの上端に接し、熱交換器のチューブが貫通するフィンの幅方向位置でフィンの上端から衝突板が立ち上がることを特徴とする請求項1記載のスチームサウナ機能付き浴室暖房機。
【請求項3】
前記熱交換器のフィンの積層方向を横方向として、前記噴霧ノズルは、前記衝突板に向けて横方向に広がる扇状に水を噴霧するように構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のスチームサウナ機能付き浴室暖房機。
【請求項4】
前記衝突板に、前記熱交換器の横方向外端のフィンから横方向内方に所定距離離れた部分に位置させて、下方に突出する突条が設けられていることを特徴とする請求項3記載のスチームサウナ機能付き浴室暖房機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−117047(P2010−117047A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288916(P2008−288916)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】