説明

スチールコード被覆用ゴム組成物、スチールコード/ゴム複合体及び空気入りタイヤ

【課題】初期接着性、接着耐久性及び耐疲労性の向上と、軽量化とを実現できるスチールコード被覆用ゴム組成物、該ゴム組成物及びスチールコードからなるスチールコード/ゴム複合体、並びに、該スチールコード/ゴム複合体を有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】ゴム成分と、平均粒子径が1〜50μmのγ−ポリグルタミン酸とを含有するスチールコード被覆用ゴム組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールコード被覆用ゴム組成物と、該ゴム組成物及びスチールコードからなるスチールコード/ゴム複合体と、該スチールコード/ゴム複合体を有する空気入りタイヤとに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用タイヤやコンベアベルト等のゴム製品においては、その性能を向上させるために、スチールコードが補強材として使用されている。特に、自動車用タイヤについては、走行時の発熱により、スチールコードとゴム組成物とを接着する接着層が破壊されれば、タイヤ故障の原因となるおそれがある。したがって、スチールコードとゴムとの接着性を向上させる技術が望まれている。
【0003】
一般的に、スチールコードには、ゴム組成物に対する接着性を高めるとともに、その補強効果を高めるために、黄銅メッキが施されている。また、スチールコードを被覆するゴム組成物には、スチールコードに対する接着性を高めるため、接着促進剤として、有機酸コバルト塩が配合されている。ゴム組成物に配合する有機酸コバルト塩の量を多くすることにより、加硫直後の接着性、すなわち初期接着性を向上することができる。しかしながら、この場合、ゴム成分の熱劣化と、それに起因する水分の発生とが促進され、接着耐久性が劣化しやすくなるという問題があった。
【0004】
また、初期接着性を向上させるためには、適量の水分が必要であることが知られている。しかしながら、上述したように、ゴム組成物中の水分量が増加すると、接着耐久性が劣化しやすくなる。このように、従来の方法では、初期接着性及び接着耐久性を同時に向上させることは困難であった。
【0005】
ところで、特許文献1には、ゴム組成物におけるシリカ等の白色充填剤の分散性を向上させる技術として、アミノ酸を使用する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、スチールコードに対するゴム組成物の初期接着性及び接着耐久性を向上させるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−19098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、初期接着性、接着耐久性及び耐疲労性の向上と、軽量化とを実現できるスチールコード被覆用ゴム組成物、該ゴム組成物及びスチールコードからなるスチールコード/ゴム複合体、並びに、該スチールコード/ゴム複合体を有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記問題を解決する方法として、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)をゴム組成物に配合する方法に着目した。γ−PGAは、水分を補足することができるとともに、一度補足した水分を放出しにくいという性質を有する。したがって、γ−PGAをゴム組成物に添加すると、加硫工程でγ−PGAから放出された少量の水分により、初期接着性を向上することができる。また、ゴム成分の熱劣化時に発生する水分をγ−PGAが捕捉することにより、接着耐久性を向上することができる。このように、γ−PGAをゴム組成物に配合することにより、初期接着性及び接着耐久性を同時に向上させることができる。また、γ−PGAは、天然素材を原料としているため、環境に対する負荷が小さいという利点も有している。
【0009】
また、本発明者らが検討した結果、γ−PGAの平均粒子径が1〜50μmであれば、γ−PGAがゴム組成物を補強し、ゴム組成物の耐疲労性が向上することを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、ゴム成分と、平均粒子径が1〜50μmのγ−ポリグルタミン酸とを含有するスチールコード被覆用ゴム組成物に関する。
【0011】
上記ゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対して、γ−ポリグルタミン酸を1〜30質量部含有することが好ましい。
【0012】
上記ゴム組成物は、有機酸コバルト塩を含有することが好ましい。
【0013】
本発明はまた、上記スチールコード被覆用ゴム組成物とスチールコードとからなるスチールコード/ゴム複合体に関する。
【0014】
本発明はまた、上記スチールコード/ゴム複合体を有する空気入りタイヤに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ゴム組成物に配合されたγ−PGAが、加硫工程で水分を放出するとともに、ゴム成分の熱劣化時に発生する水分を捕捉することにより、スチールコードに対するゴム組成物の初期接着性及び接着耐久性を向上させることができる。また、配合されたγ−PGAの平均粒子径が1〜50μmであることから、γ−PGAがゴム組成物を補強し、ゴム組成物の耐疲労性を向上させることができる。更に、γ−PGAの比重が小さいことにより、ゴム組成物の軽量化を実現することができる。このように、本発明のゴム組成物は、初期接着性、接着耐久性及び耐疲労性に優れているため、タイヤの耐久性を向上させることができる。また、本発明のゴム組成物は、従来と比較して軽量化を実現することができるため、低発熱性を向上し、燃費性能を改善することができる。
【0016】
本発明のスチールコード/ゴム複合体は、上記特徴を有するゴム組成物でスチールコードが被覆されていることから、ベルト、ブレーカー、カーカス等に好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、平均粒子径が1〜50μmのγ−PGAとを含有する。これにより、ゴム組成物の初期接着性、接着耐久性及び耐疲労性を向上するとともに、軽量化を実現することができる。
【0018】
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムを用いることができる。これらジエン系ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ゴムの強度、低発熱性を向上できるという点から、NRを用いることが好ましい。
【0019】
NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。80質量%未満であると、ゴムの強度が悪化する傾向がある。
【0020】
γ−PGAとしては、例えば、市販品を凍結粉砕し、粉体にしたものを用いることができる。γ−PGAは、直鎖型であってもよいが、より保水性能に優れた架橋型であることが好ましい。架橋型ポリグルタミン酸としては、例えば、日本ポリグル(株)製のものを使用することができる。また、γ−PGAは、L体及びD体のいずれかのみで構成されていてもよいし、L体及びD体の両方で構成されていてもよい。
【0021】
γ−PGAの重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果を奏する範囲で、特に制限はないが、例えば、10000〜2000000程度が好ましい。
なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した値である。
【0022】
γ−PGAの平均粒子径は、50μm以下であり、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。γ−PGAの平均粒子径が50μm以下であれば、γ−PGAがゴム組成物を補強し、ゴム組成物の耐疲労性が向上する。一方、γ−PGAの平均粒子径が50μmを超えると、γ−PGAが破壊現象の起点となり、ゴム組成物の強度及び耐疲労性が低下するおそれがある。また、γ−PGAの平均粒子径は、1μm以上であり、5μm以上であることが好ましく、8μm以上であることがより好ましい。γ−PGAの平均粒子径が1μm未満の場合、γ−PGAがゴム組成物を補強する効果が低下し、それに伴い、ゴム組成物の耐疲労性を充分に向上させることができないおそれがある。
【0023】
本明細書において、γ−PGAの平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて算出している。
【0024】
γ−PGAの平均粒子径は、凍結粉砕を行う際の条件、例えば、温度、粉砕手段(ハンマー、回転刃等)の回転速度、粉砕時間等を変更することにより、適宜調整することができる。
【0025】
γ−PGAの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることが更に好ましい。30質量部を超えると、ゴム組成物の耐疲労性を充分に向上できないおそれがある。γ−PGAの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。1質量部未満の場合、γ−PGAがゴム組成物の初期接着性、接着耐久性及び耐疲労性を充分に向上させることができないおそれがある。
【0026】
本発明のゴム組成物には、有機酸コバルト塩を含有することが好ましい。有機酸コバルト塩は、スチールコードとゴム成分とを架橋する性質を有する。したがって、有機酸コバルト塩をゴム組成物に配合することにより、スチールコードに対するゴム組成物の初期接着性を向上させることができる。また、有機酸コバルト塩は、ゴム組成物への配合量を多くすると、ゴム成分の熱劣化と、それに起因する水の生成とが促進され、接着耐久性が劣化しやすくなるという問題があった。これに対し、本発明は、有機酸コバルト塩によって生成された水を、γ−PGAによって捕捉することができるため、上記問題を効果的に解決することができる。
【0027】
有機酸コバルト塩としては、例えば、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ホウ素3ネオデカン酸コバルト等を用いることができる。なかでも、コスト削減と性能向上とを両立できるという点から、ステアリン酸コバルトを用いることが好ましい。
【0028】
有機酸コバルト塩の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、コバルトに換算して好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、最も好ましくは0.8質量部以上である。0.1質量部未満では、スチールコードに対するゴム組成物の初期接着性を充分に向上することができないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下である。3質量部を超えると、ゴム成分の熱劣化と、それに起因する水分の発生とが顕著になり、ゴム組成物の接着耐久性が低下するおそれがある。
【0029】
本発明のゴム組成物には、酸化亜鉛を含有することが好ましい。酸化亜鉛を配合する場合、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。1質量部未満では、ゴム成分とスチールコードとの接着反応性が低下し、初期接着性及び接着耐久性が悪化するおそれがある。また、酸化亜鉛の含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。15質量部を超えると、酸化亜鉛の分散性が悪くなり、初期接着性及び接着耐久性が悪化するおそれがある。
【0030】
本発明のゴム組成物には、これまで説明してきた成分以外にも、ゴム工業で一般的に使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、シリカ等の充填剤、ステアリン酸等の加硫促進助剤、各種老化防止剤、オゾン劣化防止剤、ワックス、オイル等の軟化剤、硫黄又は硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0031】
使用できるカーボンブラックとしては、タイヤ工業において一般的な材料を使用でき、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等が挙げられるが、HAFを好適に用いることができる。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができる。
【0032】
カーボンブラックを配合する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。30質量部未満では、スチールコードに対する初期接着性や接着耐久性が劣る傾向がある。また、該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。100質量部を超えると、カーボンブラックの分散性が悪化するおそれがある。
【0033】
本発明では、加硫剤として硫黄を好適に使用できる。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
【0034】
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは4質量部以上である。1質量部未満では、スチールコードに対する初期接着性や接着耐久性が劣る傾向がある。また、該含有量は、好ましくは8質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。8質量部を超えると、接着耐久性及び耐疲労性の向上効果が充分に得られないおそれがあるだけでなく、ゴム中に溶解しない硫黄分がゴム表面に析出(ブルーミング)しやすくなり、ムーニー粘度が高くなりやすいシリカ配合のゴム混練り時の厳密な温度管理が必要となり、生産性が悪化するおそれがある。
【0035】
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロール等で加硫剤(硫黄)及び加硫促進剤以外の前記各成分を混練りし、その後、得られた混練り物に加硫剤(硫黄)及び加硫促進剤を添加して、混練りし、加硫する方法等により製造できる。
【0036】
本発明のスチールコード/ゴム複合体に用いられるスチールコードとしては、とくに制限はないが、たとえば、1×n構成の単撚りスチールコード、k+m構成の層撚りスチールコード等があげられる。ここで、1×n構成の単撚りスチールコードとは、n本のフィラメントを撚りあわせて得られる1層の撚りスチールコードのことである。また、k+m構成の層撚りスチールコードとは、撚り方向、撚りピッチの異なる2層構造を持ち、内層にk本のフィラメント、外層にm本のフィラメントを有するスチールコードのことである。nは1〜27の整数、kは1〜10の整数、mは1〜3の整数である。スチールコードの表面は、ゴム組成物に対する初期接着性を向上させるため、黄銅(真鍮)、Zn等でメッキすることが好ましい。
【0037】
本発明のスチールコード/ゴム複合体は、スチールコードをゴムにより被覆して得られるタイヤの部材(例えば、ベルト、ブレーカー、カーカス)に好適に使用できる。本発明のスチールコード/ゴム複合体を、スチールコードをゴムにより被覆して得られるタイヤの部材に使用した場合、初期接着性、接着耐久性及び耐疲労性が向上するため、該複合体を使用した空気入りタイヤの耐久性が向上する。また、空気入りタイヤの軽量化を図ることができるため、低燃費性能を向上でき、環境に対する負荷を小さくできる。
【0038】
本発明の空気入りタイヤは、以下に示す工程によって得ることができる。
まず、スチールコードを上記ゴム組成物で被覆してから、ベルト等の部材の形状に成形する。次に、成形した部材を他のタイヤ部材と貼りあわせることにより、未加硫タイヤを調製する。その後、未加硫タイヤを加硫することにより、本発明の空気入りタイヤを得ることができる。
【実施例】
【0039】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0040】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴム:RSS#3
γ−PGA:市販品
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN339(NSA:88m/g)
クレー:竹原化学(株)製のユニオンクレーRC−1
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸コバルト:大日本インキ化学工業(株)製のCOST
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C
90%不溶性硫黄:三新化学工業(株)製のサンフェルEX
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDZ
γ−PGAは、凍結粉砕して粉体にしてから使用した。凍結粉砕の条件を調節することにより、平均粒子径が異なる3種類のγ−PGA(10、25、100μm)を調製した。
【0041】
実施例1〜3及び比較例1〜3
表1に示す配合比に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、90%不溶性硫黄及び加硫促進剤以外の材料を7分間混練りし、混練り物を得た。次に、表1に示す配合比に従い、オープンロールを用いて、混練り物、90%不溶性硫黄及び加硫促進剤を100℃で2分間混練りし、シート状の未加硫ゴム組成物を得た。
【0042】
(初期接着性)
黄銅メッキ(Cu:63質量%,Zn:37質量%)したスチールコード(1×5構成、素線径0.25mm)を12.5mm間隔で平行に並置した。次に、並置したスチールコードの両面にシート状の未加硫ゴム組成物を圧着してから、160℃で20分間加硫することにより、測定試料(加硫後のゴム組成物とスチールコードとからなるスチールコード/ゴム複合体)を作製した。測定試料の厚さは12.5mmであった。
ASTM−D−2229に準拠して、測定試料からスチールコードを引抜いたときの引抜き力を測定した。この測定結果を初期接着性の指標とした。表1においては、比較例1の値を100として指数表示している。数値が大きいほど初期接着性が良好であることを示している。
【0043】
(接着耐久性)
初期接着性を評価する場合と同様の方法で作製した測定試料を、劣化処理(100℃に保った大気雰囲気下で7日間放置)し、ゴム組成物の部分を劣化させた。その後、ASTM−D−2229に準拠して、測定試料からスチールコードを引抜いたときの引抜き力を測定した。この測定結果を接着耐久性の指標とした。表1においては、比較例1の値を100として指数表示している。数値が大きいほど接着耐久性が良好であることを示している。
【0044】
(耐疲労性)
未加硫ゴム組成物を160℃で20分間加硫し、2cm×2cm×2mmの大きさに分割することにより、測定試料(加硫後のゴム組成物)を作製した。この測定試料のトルエン膨張率(測定試料をトルエン中に24時間浸漬させたときの体積変化)を測定した。同様に、100℃に保った大気雰囲気下で7日間放置した測定試料(劣化処理後)のトルエン膨張率を測定し、それらの比(劣化処理後/劣化処理前)を耐疲労性の指標とした。表1においては、比較例1の値を100として指数表示している。数値が大きいほど耐疲労性が良好である(疲労の度合いが小さい)ことを示している。
【0045】
(軽量化性)
未加硫ゴム組成物を160℃で20分間加硫することにより、測定試料(加硫後のゴム組成物)を作製した。この測定試料の比重を基に、軽量化性を評価した。表1においては、比較例1の値を100として指数表示している。数値が小さいほど軽量化が達成されていることを示している。
【0046】
【表1】

【0047】
表1の結果から、クレーを配合すると、初期接着性及び接着耐久性は改善されるが、耐疲労性及び軽量化性が低下するのに対し(比較例2)、特定の平均粒子径のγ−PGAを配合する本発明の方法では、初期接着性及び接着耐久性のみならず、耐疲労性及び軽量化性も改善されることがわかる(実施例1〜3)。また、平均粒子径が100μmのγ−PGAを配合した場合には、初期接着性能、接着耐久性及び軽量化性は改善されるが、耐疲労性が低下した(比較例3)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と、
平均粒子径が1〜50μmのγ−ポリグルタミン酸と
を含有するスチールコード被覆用ゴム組成物。
【請求項2】
前記ゴム成分100質量部に対して、γ−ポリグルタミン酸を1〜30質量部含有する請求項1記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
【請求項3】
有機酸コバルト塩を含有する請求項1又は2記載のスチールコード被覆用ゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物とスチールコードとからなるスチールコード/ゴム複合体。
【請求項5】
請求項4記載のスチールコード/ゴム複合体を有する空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2011−32325(P2011−32325A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177984(P2009−177984)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】