説明

ステアリングロック装置

【課題】ステアリングロック状態の不正な解除を防止する。
【解決手段】ステアリングロック装置10では、キーロータ24が「LOCK」位置に配置されてキーロータ24からイグニッションキー28が抜き取られた際に、ロックバー48及びロックスライダ52がロック位置に配置されて、ステアリングシャフトの回転がロックされる。ここで、レバーストッパ54の突出部60がロータケース18の凸部22に係止されて、ロックスライダ52の前方への移動が阻止にされることで、ロックバー48及びロックスライダ52のロック位置からアンロック位置への移動が阻止可能にされている。このため、ロックバー48やロックスライダ52に不正に前方への移動力が作用されても、ロックスライダ52及びロックバー48をロック位置からアンロック位置へ移動させることができず、ステアリングロック状態の不正な解除を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングシャフトの回転をロックするステアリングロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングロック装置としては、キーが挿入されたキーロータが「LOCK」位置に回転されることで、ロックバーがコイルスプリングの付勢力によってスライダーと共に移動されてステアリングシャフトに係合し、ステアリングシャフトの回転がロックされる(ステアリングロック状態にされる)ものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、このようなステアリングロック装置では、ロックバー及びスライダーの少なくとも一方に不正に移動力を作用させても、ロックバー及びスライダーをコイルスプリングの付勢力に抗して移動させることができないようにして、ステアリングロック状態が不正に解除されることを防止できるのが好ましい。
【特許文献1】特開2004−314745公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、ステアリングロック状態の不正な解除を防止できるステアリングロック装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のステアリングロック装置は、キーシリンダに挿入されたキーが操作されることで操作可能にされ、前記キーシリンダに対する前記キーの挿入及び抜取が可能にされた第1操作位置と前記キーシリンダに対する前記キーの挿入及び抜取が規制される第2操作位置とに配置可能にされた操作部材と、移動可能にされ、前記操作部材が第1操作位置に配置されると共に前記キーが前記キーシリンダから抜き取られた際にロック位置に配置されてステアリングシャフトの回転がロックされると共に、前記操作部材が第2操作位置に配置された際にアンロック位置に配置されて前記ステアリングシャフトの回転が許可される移動部材と、前記操作部材が第1操作位置に配置されると共に前記キーが前記キーシリンダから抜き取られた際に前記移動部材のロック位置からアンロック位置への移動を阻止すると共に、前記キーシリンダに前記キーが挿入された際に前記移動部材のロック位置からアンロック位置への移動を許可する阻止手段と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載のステアリングロック装置は、請求項1に記載のステアリングロック装置において、前記阻止手段は、前記移動部材に設けられ、前記操作部材が第1操作位置に配置されると共に前記キーが前記操作部材から抜き取られた際に移動を阻止されて前記移動部材のロック位置からアンロック位置への移動が阻止されると共に、前記操作部材が第1操作位置から第2操作位置に操作される際に前記操作部材によって移動されて前記移動部材がロック位置からアンロック位置へ移動される移動部を有する、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載のステアリングロック装置は、請求項1又は請求項2に記載のステアリングロック装置において、前記操作部材が第1操作位置に配置される際に前記移動部材のアンロック位置からロック位置への移動を許可する許可手段を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載のステアリングロック装置では、キーシリンダに挿入されたキーが操作されることで、操作部材を操作可能にされており、操作部材は、キーシリンダに対するキーの挿入及び抜取が可能にされた第1操作位置と、キーシリンダに対するキーの挿入及び抜取が規制される第2操作位置と、に配置可能にされている。さらに、操作部材が第1操作位置に配置されると共にキーがキーシリンダから抜き取られた際に、移動部材がロック位置に配置されてステアリングシャフトの回転がロックされると共に、操作部材が第2操作位置に配置された際に、移動部材がアンロック位置に配置されてステアリングシャフトの回転が許可される。
【0009】
ここで、操作部材が第1操作位置に配置されると共にキーがキーシリンダから抜き取られた際に、阻止手段が移動部材のロック位置からアンロック位置への移動を阻止する。このため、移動部材に不正に移動力が作用されても、移動部材をロック位置からアンロック位置へ移動させることができず、ステアリングシャフトの回転がロックされた状態(ステアリングロック状態)が不正に解除されることを防止できる。
【0010】
また、キーシリンダにキーが挿入された際に、阻止手段が移動部材のロック位置からアンロック位置への移動を許可する。このため、操作部材が第2操作位置に配置された際に、移動部材をアンロック位置に配置させることができる。
【0011】
請求項2に記載のステアリングロック装置では、移動部材に移動部が設けられており、操作部材が第1操作位置に配置されると共にキーが操作部材から抜き取られた際に、移動部が移動を阻止されて、移動部材のロック位置からアンロック位置への移動が阻止される。
【0012】
ここで、操作部材が第1操作位置から第2操作位置に操作される際に、操作部材によって移動部が移動されて、移動部材がロック位置からアンロック位置へ移動される。このため、簡単な構成で、移動部材をロック位置からアンロック位置へ移動させることかできる。
【0013】
請求項3に記載のステアリングロック装置では、操作部材が第1操作位置に配置される際に、許可手段が移動部材のアンロック位置からロック位置への移動を許可する。このため、移動部材をアンロック位置からロック位置へ移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1実施の形態に係る車両用のステアリングロック装置10が左方から見た断面図にて示されており、図5には、ステアリングロック装置10の主要部が前斜め左方から見た分解斜視図にて示されている。なお、図面では、ステアリングロック装置10の前方を矢印FRで示し、ステアリングロック装置10の上方を矢印UPで示す。
【0015】
本実施の形態に係るステアリングロック装置10は、ロックボディ12を備えている。ロックボディ12の後端下側部には、固定片12Aが形成されており、固定片12Aが車両のステアリングポストの外周部に固定されることで、ロックボディ12がステアリングポストに固定されている。
【0016】
ロックボディ12の上側部分には、略円筒状の収納筒14が形成されており、収納筒14の後面には後壁14Aが設けられている。
【0017】
収納筒14の前側部分には、キーシリンダとしての略円柱状のイグニッションシリンダ16が収納(装着)されている。
【0018】
イグニッションシリンダ16の外周部分には、略円筒状のロータケース18が設けられており、ロータケース18の前端は、収納筒14の前端から前側へ突出されている。ロータケース18の前端は、車両のコラムカバー(図示省略)に配置されており、これにより、イグニッションシリンダ16の前面はコラムカバーから車室内へ向けられている。
【0019】
ロータケース18の下端前部には、略矩形柱状の外スライドピース20が移動可能に貫通されており、外スライドピース20は、ロータケース18によって下方(ロータケース18径方向外側)への移動を係止された状態で、ロータケース18から下方へ突出されている。また、外スライドピース20は、下部の前面が下方へ向かうに従い後方へ向かう方向へ傾斜されると共に、下部の後面が下方へ向かうに従い前方へ向かう方向へ傾斜されている。
【0020】
図6及び図7に詳細に示す如く、ロータケース18の後端には、下端において、断面略逆三角形状の凸部22が一対形成されており、一対の凸部22は、それぞれロータケース18から下方へ突出されると共に、前後方向に並べられている(なお、後側の凸部22の後面はロータケース18の後面を構成している)。凸部22の後面は、阻止手段を構成する阻止面22Aにされており、阻止面22Aは前後方向に垂直にされている。凸部22の前面は、許可手段を構成する許可面22Bにされており、許可面22Bは下方へ向かうに従い後方へ向かう方向へ傾斜されている。
【0021】
ロータケース18内には、略円柱状のキーロータ24が収納されている。キーロータ24内には挿入孔26が形成されており、挿入孔26はキーロータ24の前面から開口されている。キーロータ24は、第1操作位置としての「LOCK」位置に配置されており、キーとしてのイグニッションキー28を挿入孔26内に対し挿入及び抜取可能にされている。キーロータ24は、イグニッションキー28が挿入孔26内に挿入されて回転操作されることで、ロータケース18内において回転可能にされており、これにより、キーロータ24が、第2操作位置としての「ACC」位置、「ON」位置及び「START」位置に配置可能にされている。なお、キーロータ24が「LOCK」位置に配置された際のみイグニッションキー28を挿入孔26内に対し挿入及び抜取可能にされており、キーロータ24が「ACC」位置、「ON」位置及び「START」位置に配置された際にはイグニッションキー28の挿入孔26内に対する挿入及び抜取が規制される。
【0022】
キーロータ24の前部下側には、略U字形枠状の内スライドピース30(図4参照)がキーロータ24径方向へ移動可能に設けられており、内スライドピース30の上部(キーロータ24径方向内側部)は、挿入孔26内に配置されている。内スライドピース30の下側面(キーロータ24径方向外側面)は、キーロータ24の外周面に沿って湾曲されており、内スライドピース30はキーロータ24と一体に回転可能にされている。内スライドピース30はロータケース18の外スライドピース20に対向されており、これにより、イグニッションキー28が挿入孔26内に挿入された状態では、イグニッションキー28が内スライドピース30内に配置されて内スライドピース30の上側(キーロータ24径方向内側)への移動を阻止することで、内スライドピース30が外スライドピース20の上側への移動が阻止する。
【0023】
収納筒14内には、イグニッションシリンダ16の後側において、操作部材としての略円柱状のカムシャフト32が設けられており、カムシャフト32は、前端においてキーロータ24の後部に嵌合されて、キーロータ24と共に「LOCK」位置に配置されている。カムシャフト32はキーロータ24と一体に回転(操作)可能にされており、カムシャフト32はキーロータ24と共に「ACC」位置、「ON」位置及び「START」位置に配置可能にされている。カムシャフト32に対しキーロータ24は後方へ移動可能にされると共に、カムシャフト32の前端とキーロータ24の後部との間には、ロータ付勢手段としての圧縮コイルスプリング34が架け渡されており、圧縮コイルスプリング34はキーロータ24を前方へ付勢している。
【0024】
カムシャフト32の周部には、下部において、平面視断面台形状の凹部36(図2参照)が形成されており、凹部36は前方及び下方へ開放されている。凹部36の右側面は、傾斜面38にされており、傾斜面38は前方へ向かうに従い右方へ向かう方向へ傾斜されている。
【0025】
カムシャフト32内には、凹部36より径方向内側において、回転付勢手段としてのコイルスプリング40が設けられており、コイルスプリング40の一端が収納筒14に係止されると共に、コイルスプリング40の他端がカムシャフト32に係止されることで、カムシャフト32がキーロータ24と共に「START」位置から「ON」位置及び「ACC」位置を介して「LOCK」位置へ向かう方向へ付勢されている。
【0026】
カムシャフト32には、中心軸部分において、連結棒42が設けられており、連結棒42は、カムシャフト32と一体に回転可能にされている。
【0027】
収納筒14の後壁14A後側には、イグニッションスイッチ(図示省略)が固定されている。イグニッションスイッチには、カムシャフト32の連結棒42が接続されており、キーロータ24が回転されてカムシャフト32及び連結棒42が一体に回転されることで、イグニッションスイッチが操作可能にされている。
【0028】
ロックボディ12の下側部分には、収納筒14の下側において連通部としての略断面コ字状の連通筒44が形成されると共に、収納筒14の下側かつ後側において案内部としての略矩形筒状の案内筒46が形成されており、連通筒44内は上側の収納筒14内及び後側の案内筒46内に連通されると共に、案内筒46内はロックボディ12の固定片12Aを介して後側に開放されている。
【0029】
案内筒46内には、ロック部材としての略矩形柱状のロックバー48が嵌合された状態で収納されており、ロックバー48は案内筒46に案内されて前後方向へ移動可能にされている。ロックバー48の前部と連通筒44の内面との間には、ロック付勢手段としての圧縮コイルスプリング50が架け渡されており、ロックバー48が圧縮コイルスプリング50によって後側へ付勢されて後側のロック位置に配置されることで、ロックバー48が固定片12Aからロックボディ12外へ突出されて、ステアリングポストを介してステアリングポスト内のステアリングシャフト(図示省略)に係合されている。これにより、ステアリングシャフトの回転がロックされて、ステアリングシャフトの上端に固定されたステアリングホイールの回転がロックされている。
【0030】
連通筒44内には、移動部材としての柱状のロックスライダ52(プレートロック)が前後方向へ移動可能に収納されている。ロックスライダ52の後端は、ロックバー48の前端に引っ掛けられており、ロックスライダ52は、ロックバー48と一体に前後方向へ移動可能にされて、ロックバー48と共にロック位置に配置されている。
【0031】
図6及び図7に詳細に示す如く、ロックスライダ52の後部には、移動部としてのレバーストッパ54が別体で設けられており、レバーストッパ54は、後部を中心として回動可能にされている。レバーストッパ54とロックスライダ52との間には、阻止手段を構成するストッパ付勢手段としての圧縮コイルスプリング56が架け渡されており、圧縮コイルスプリング56がレバーストッパ54を上側へ回動させる方向へ付勢すると共に、レバーストッパ54の前端がロックスライダ52に係止されることで、レバーストッパ54が略水平に配置されている。
【0032】
レバーストッパ54の後部には、上端において、接触部としての柱状の接触柱58が形成されており、接触柱58はレバーストッパ54から上側へ突出されている。接触柱58には、カムシャフト32の傾斜面38がコイルスプリング40の付勢力によって接触されており、これにより、カムシャフト32が回転を阻止されて、上述の如くキーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置に配置されている。
【0033】
レバーストッパ54の前端近傍には、上端において、断面略三角形状の突出部60が形成されており、突出部60はレバーストッパ54から上方へ突出されている。突出部60の前面は、阻止手段を構成する当接面60Aにされており、当接面60Aは、前後方向に垂直にされて、ロータケース18の凸部22の阻止面22Aに後方において対向している。突出部60の後面は、許可手段を構成する移動面60Bにされており、移動面60Bは下方へ向かうに従い後方へ向かう方向へ傾斜されている。
【0034】
ロックスライダ52の前端には、ロックピース62が別体で設けられており、ロックピース62は、後端及び前後方向中間部においてロックスライダ52に係合されて、後端を略中心とした上側への回動が係止されている。ロックスライダ52には、ロックピース62の後端近傍において、保持付勢手段としての捩りコイルスプリング64の中央部が保持されており、捩りコイルスプリング64は、一端がロックピース62の前側部下側に係止されると共に、他端がロックスライダ52の前端下側に係止されている。これにより、ロックピース62がロックスライダ52に後端を略中心として下側へ回動可能な状態で捩りコイルスプリング64の付勢力によって保持されて、ロックピース62がロータケース18の外スライドピース20下部に後方において対向している。
【0035】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0036】
以上の構成のステアリングロック装置10では、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置に配置されており、ロックスライダ52及びロックバー48がロック位置に配置されてロックバー48がステアリングシャフトに係合されることで、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転がロックされている。
【0037】
また、イグニッションキー28がキーロータ24の挿入孔26内に挿入されて回転操作されることで、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置、「ON」位置及び「START」位置に配置されると共に、カムシャフト32と一体に連結棒42が回転されてイグニッションスイッチが操作される。
【0038】
図2に示す如く、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置から「ACC」位置へ回転される際には、カムシャフト32の傾斜面38が回転されて、レバーストッパ54の接触柱58を前側へ押圧することで、レバーストッパ54が圧縮コイルスプリング56の付勢力に抗して下側へ所定角度回動された状態で前方へ移動されて、ロックスライダ52及びロックバー48が圧縮コイルスプリング50の付勢力に抗して前方へ移動される。このため、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置に配置された際には、ロックバー48及びロックスライダ52が前側のアンロック位置に配置されて、ロックバー48のステアリングシャフトへの係合が解除される。これにより、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転が許可される。
【0039】
さらに、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置から「ACC」位置へ回転される際には、上述の如くレバーストッパ54が下側へ所定角度回動された状態で前方へ移動されることで、レバーストッパ54の突出部60がロータケース18の一対の凸部22(後側の凸部22のみでもよい)を乗り越えて、一対の凸部22の前側に配置される。しかも、上述の如くロックスライダ52が前方へ移動されて、ロックスライダ52前端のロックピース62が捩りコイルスプリング64の付勢力に抗して一時的に後端を略中心として下側へ回動されつつ、ロックピース62の前端がロータケース18の外スライドピース20を乗り越えることで、ロックピース62の前端が外スライドピース20の前側に配置される。
【0040】
また、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置に配置された際には、レバーストッパ54の接触柱58が圧縮コイルスプリング50及び圧縮コイルスプリング56の付勢力によりカムシャフト32の前面32Aに係止される。これにより、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置から「ON」位置を介して「START」位置の範囲に配置される際には、レバーストッパ54の接触柱58がカムシャフト32の前面32Aに係止されて、レバーストッパ54の後方への移動が阻止されることで、ロックバー48及びロックスライダ52が圧縮コイルスプリング50の付勢力に抗してアンロック位置に配置されて、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転の許可が維持される。
【0041】
一方、図3に示す如く、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置から「LOCK」位置へ回転される際には、イグニッションキー28がキーロータ24の内スライドピース30のキーロータ24径方向内側への移動を阻止して、内スライドピース30がロータケース18の外スライドピース20の上側への移動を阻止する。このため、キーロータ24及びカムシャフト32が回転されて、レバーストッパ54の接触柱58のカムシャフト32の前面32Aへの係止が解除されても、ロックスライダ52のロックピース62前端が外スライドピース20に係止されることで、ロックバー48及びロックスライダ52が圧縮コイルスプリング50の付勢力に抗してアンロック位置に配置されて、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転の許可が維持される。
【0042】
さらに、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置から「LOCK」位置へ回転される際には、レバーストッパ54の接触柱58のカムシャフト32の前面32Aへの係止が解除されて、レバーストッパ54が圧縮コイルスプリング56の付勢力により上側へ回動されることで、レバーストッパ54の突出部60の移動面60Bがロータケース18の前側の凸部22(後側の凸部22でもよい)の許可面22Bに接触される。
【0043】
また、図4に示す如く、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置に配置されてキーロータ24の挿入孔26内からイグニッションキー28が抜き取られた際には、内スライドピース30のキーロータ24径方向内側への移動が許可されて、外スライドピース20の上側への移動が許可されることで、外スライドピース20下部前面の傾斜及び圧縮コイルスプリング50の付勢力によって、ロックピース62前端の外スライドピース20への係止が外スライドピース20の上側への移動により解除されて、ロックバー48及びロックスライダ52が後側へ移動される。しかも、レバーストッパ54の突出部60の移動面60B及びロータケース18の凸部22の許可面22Bの傾斜によって、レバーストッパ54が圧縮コイルスプリング56の付勢力に抗して下側へ一時的に回動されることで、レバーストッパ54の突出部60がロータケース18の凸部22に係止されず、ロックスライダ52及びロックバー48の後側への移動が阻止されない。これにより、ロックバー48及びロックスライダ52がロック位置に配置されてステアリングシャフトに係合されることで、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転がロックされる。
【0044】
ここで、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置に配置されてキーロータ24の挿入孔26内からイグニッションキー28が抜き取られた際には、レバーストッパ54の突出部60の当接面60Aがロータケース18の後側の凸部22(前側の凸部22でもよい)の阻止面22Aに係止されて、ロックスライダ52及びロックバー48の前方への移動が阻止にされることで、ロックバー48及びロックスライダ52のロック位置からアンロック位置への移動が阻止可能にされている。このため、ロックバー48やロックスライダ52に不正に前方への移動力が作用されても、ロックスライダ52及びロックバー48をロック位置からアンロック位置へ移動させることができず、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転がロックされた状態(ステアリングロック状態)が不正に解除されることを防止できる。
【0045】
しかも、ステアリングロック状態が不正に解除されることを防止する機能を有するレバーストッパ54は、カムシャフト32の「LOCK」位置から「ACC」位置への回転によって前方へ移動されてロックスライダ52及びロックバー48をロック位置からアンロック位置へ移動させる機能をも有している。このため、簡単な構成にすることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、レバーストッパ54の突出部60の移動面60B及びロータケース18の凸部22の許可面22Bを前後方向に対して傾斜させた構成としたが、レバーストッパ54の突出部60の移動面60B及びロータケース18の凸部22の許可面22Bの何れか一方を前後方向に垂直にした構成としてもよい。
【0047】
[第2の実施の形態]
図8(A)には、本発明の第2実施の形態に係る車両用のステアリングロック装置70の主要部が前方から見た正面図にて示されており、図8(B)には、ステアリングロック装置70の主要部が左方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、ステアリングロック装置70の前方を矢印FRで示し、ステアリングロック装置70の上方を矢印UPで示す。
【0048】
本実施の形態に係るステアリングロック装置70は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0049】
本実施の形態に係るステアリングロック装置70では、上記第1の実施の形態におけるレバーストッパ54が設けられていない。
【0050】
カムシャフト32の凹部36には、底面(カムシャフト32径方向内側面)において、略矩形柱状の突起部72が設けられており、突起部72は、凹部36の左右方向中央において前後方向に沿って配置されると共に、凹部36の後面から離間している。突起部72の後面は、阻止手段を構成する阻止面72Aにされており、阻止面72Aは前後方向に垂直にされている。突起部72の前面は、許可手段を構成する許可面72Bにされており、許可面72Bは下方へ向かうに従い後方へ向かう方向へ傾斜されている。
【0051】
ロックスライダ52の後部には、略矩形柱状の配置孔74が形成されており、配置孔74は、ロックスライダ52の上面から開放されると共に、上端74Aの断面積が他の部分の断面積に比し全周において小さくされている。
【0052】
配置孔74内には、移動部としての略矩形柱状の移動体76が設けられており、移動体76は配置孔74内で上下方向へ移動可能にされている。移動体76の下端には、フランジ部76Aが一体に形成されており、フランジ部76Aは、移動体76の全周から外側に突出されると共に、配置孔74に嵌合されている。移動体76の前面は、阻止手段を構成する当接面76Bにされており、当接面76Bは前後方向に垂直にされている。移動体76の上端後面は、許可手段を構成する移動面76Cにされており、移動面76Cは下方へ向かうに従い後方へ向かう方向へ傾斜されている。
【0053】
配置孔74の下面と移動体76の下面との間には、阻止手段を構成するストッパ付勢手段としての圧縮コイルスプリング78が架け渡されており、圧縮コイルスプリング78が移動体76を上方へ付勢すると共に、移動体76のフランジ部76Aが配置孔74の上端74Aに係止されることで、移動体76がロックスライダ52から上方に突出されて突起部72に後方において対向している。
【0054】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0055】
以上の構成のステアリングロック装置70では、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置に配置されており、ロックスライダ52及びロックバー48がロック位置に配置されてロックバー48がステアリングシャフトに係合されることで、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転がロックされている。
【0056】
また、イグニッションキー28がキーロータ24の挿入孔26内に挿入されて回転操作されることで、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置、「ON」位置及び「START」位置に配置されると共に、カムシャフト32と一体に連結棒42が回転されてイグニッションスイッチが操作される。
【0057】
図9の(A)及び(B)に示す如く、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置から「ACC」位置へ回転される際には、カムシャフト32の傾斜面38が回転されて、ロックスライダ52の移動体76を前側へ押圧することで、移動体76が前方へ移動されて、ロックスライダ52及びロックバー48が圧縮コイルスプリング50の付勢力に抗して前方へ移動される。このため、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置に配置された際には、ロックバー48及びロックスライダ52が前側のアンロック位置に配置されて、ロックバー48のステアリングシャフトへの係合が解除される。これにより、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転が許可される。
【0058】
さらに、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置から「ACC」位置へ回転される際には、カムシャフト32の突起部72が左側へ回転されて、前方へ移動される移動体76が突起部72の右側を通過することで、移動体76が突起部72の前側に配置される。しかも、上述の如くロックスライダ52が前方へ移動されて、ロックスライダ52前端のロックピース62が捩りコイルスプリング64の付勢力に抗して一時的に後端を略中心として下側へ回動されつつ、ロックピース62の前端がロータケース18の外スライドピース20を乗り越えることで、ロックピース62の前端が外スライドピース20の前側に配置される。
【0059】
また、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置に配置された際には、ロックスライダ52の移動体76が圧縮コイルスプリング50の付勢力によりカムシャフト32の前面32Aに係止される。これにより、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置から「ON」位置を介して「START」位置の範囲に配置される際には、ロックスライダ52の移動体76がカムシャフト32の前面32Aに係止されることで、ロックバー48及びロックスライダ52が圧縮コイルスプリング50の付勢力に抗してアンロック位置に配置されて、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転の許可が維持される。
【0060】
一方、キーロータ24及びカムシャフト32が「ACC」位置から「LOCK」位置へ回転される際には、イグニッションキー28がキーロータ24の内スライドピース30のキーロータ24径方向内側への移動を阻止して、内スライドピース30がロータケース18の外スライドピース20の上側への移動を阻止する。このため、キーロータ24及びカムシャフト32が回転されて、ロックスライダ52の移動体76のカムシャフト32の前面32Aへの係止が解除されても、ロックスライダ52のロックピース62前端が外スライドピース20に係止されることで、ロックバー48及びロックスライダ52が圧縮コイルスプリング50の付勢力に抗してアンロック位置に配置されて、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転の許可が維持される。
【0061】
また、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置に配置されてキーロータ24の挿入孔26内からイグニッションキー28が抜き取られた際には、内スライドピース30のキーロータ24径方向内側への移動が許可されて、外スライドピース20の上側への移動が許可されることで、外スライドピース20下部前面の傾斜及び圧縮コイルスプリング50の付勢力によって、ロックピース62前端の外スライドピース20への係止が外スライドピース20の上側への移動により解除されて、ロックバー48及びロックスライダ52が後側へ移動される。しかも、図10の(A)及び(B)、図11に示す如く、ロックスライダ52の移動体76の移動面76C及びカムシャフト32の突起部72の許可面72Bの傾斜によって、移動体76が圧縮コイルスプリング78の付勢力に抗して下方へ一時的に移動されることで、ロックスライダ52の移動体76がカムシャフト32の突起部72に係止されず、ロックスライダ52及びロックバー48の後側への移動が阻止されない。これにより、ロックバー48及びロックスライダ52がロック位置に配置されてステアリングシャフトに係合されることで、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転がロックされる。
【0062】
ここで、図8の(A)及び(B)に示す如く、キーロータ24及びカムシャフト32が「LOCK」位置に配置されてキーロータ24の挿入孔26内からイグニッションキー28が抜き取られた際には、ロックスライダ52の移動体76の当接面76Bがカムシャフト32の突起部72の阻止面72Aに係止されて、ロックスライダ52及びロックバー48の前方への移動が阻止にされることで、ロックバー48及びロックスライダ52のロック位置からアンロック位置への移動が阻止可能にされている。このため、ロックバー48やロックスライダ52に不正に前方への移動力が作用されても、ロックスライダ52及びロックバー48をロック位置からアンロック位置へ移動させることができず、ステアリングシャフト及びステアリングホイールの回転がロックされた状態(ステアリングロック状態)が不正に解除されることを防止できる。
【0063】
しかも、ステアリングロック状態が不正に解除されることを防止する機能を有する移動体76は、カムシャフト32の「LOCK」位置から「ACC」位置への回転によって前方へ移動されてロックスライダ52及びロックバー48をロック位置からアンロック位置へ移動させる機能をも有している。このため、簡単な構成にすることができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、ロックスライダ52の移動体76の移動面76C及びカムシャフト32の突起部72の許可面72Bを前後方向に対して傾斜させた構成としたが、ロックスライダ52の移動体76の移動面76C及びカムシャフト32の突起部72の何れか一方を前後方向に垂直にした構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「LOCK」位置に配置されると共にキーロータにイグニッションキーが挿入された状態を示す左方から見た断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「ACC」位置に配置された状態を示す左方から見た断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「ACC」位置から「LOCK」位置に回転された状態を示す左方から見た断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「LOCK」位置に配置されると共にキーロータにイグニッションキーが抜き取られた状態を示す左方から見た断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るステアリングロック装置の主要部を示す前斜め左方から見た分解斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「LOCK」位置に配置されると共にキーロータに対しイグニッションキーが挿入又は抜き取られた状態の主要部を示す左方から見た側面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「LOCK」位置に配置されると共にキーロータに対しイグニッションキーが挿入又は抜き取られた状態の主要部を示す左方から見た断面図である。
【図8】(A)及び(B)は、本発明の第2の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「LOCK」位置に配置されると共にキーロータに対しイグニッションキーが挿入又は抜き取られた状態の主要部を示す図であり、(A)は、前方から見た正面図であり、(B)は、左方から見た断面図である。
【図9】(A)及び(B)は、本発明の第2の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「LOCK」位置から「ACC」位置に回転される状態の主要部を示す図であり、(A)は、前方から見た正面図であり、(B)は、左方から見た断面図である。
【図10】(A)及び(B)は、本発明の第2の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「LOCK」位置に配置されると共にキーロータからイグニッションキーが抜き取られた際の主要部を示す図であり、(A)は、前方から見た正面図であり、(B)は、左方から見た断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るステアリングロック装置におけるキーロータ及びカムシャフトが「LOCK」位置に配置されると共にキーロータからイグニッションキーが抜き取られた際の主要部を詳細に示す左方から見た断面図である。
【符号の説明】
【0066】
10 ステアリングロック装置
22A 阻止面(阻止手段)
22B 許可面(許可手段)
16 イグニッションシリンダ(キーシリンダ)
28 イグニッションキー(キー)
32 カムシャフト(操作部材)
52 ロックスライダ(移動部材)
54 レバーストッパ(移動部)
56 圧縮コイルスプリング(阻止手段)
60A 当接面(阻止手段)
60B 移動面(許可手段)
70 ステアリングロック装置
72A 阻止面(阻止手段)
72B 許可面(許可手段)
76 移動体(移動部)
76B 当接面(阻止手段)
76C 移動面(許可手段)
78 圧縮コイルスプリング(阻止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーシリンダに挿入されたキーが操作されることで操作可能にされ、前記キーシリンダに対する前記キーの挿入及び抜取が可能にされた第1操作位置と前記キーシリンダに対する前記キーの挿入及び抜取が規制される第2操作位置とに配置可能にされた操作部材と、
移動可能にされ、前記操作部材が第1操作位置に配置されると共に前記キーが前記キーシリンダから抜き取られた際にロック位置に配置されてステアリングシャフトの回転がロックされると共に、前記操作部材が第2操作位置に配置された際にアンロック位置に配置されて前記ステアリングシャフトの回転が許可される移動部材と、
前記操作部材が第1操作位置に配置されると共に前記キーが前記キーシリンダから抜き取られた際に前記移動部材のロック位置からアンロック位置への移動を阻止すると共に、前記キーシリンダに前記キーが挿入された際に前記移動部材のロック位置からアンロック位置への移動を許可する阻止手段と、
を備えたステアリングロック装置。
【請求項2】
前記阻止手段は、前記移動部材に設けられ、前記操作部材が第1操作位置に配置されると共に前記キーが前記操作部材から抜き取られた際に移動を阻止されて前記移動部材のロック位置からアンロック位置への移動が阻止されると共に、前記操作部材が第1操作位置から第2操作位置に操作される際に前記操作部材によって移動されて前記移動部材がロック位置からアンロック位置へ移動される移動部を有する、ことを特徴とする請求項1記載のステアリングロック装置。
【請求項3】
前記操作部材が第1操作位置に配置される際に前記移動部材のアンロック位置からロック位置への移動を許可する許可手段を備えた、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のステアリングロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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