説明

スティフナー及びスティフナー作製用接着剤

【課題】ポリイミドフィルム相互間の接着力が強く、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性にも優れ、高難燃性を示すポリイミド積層体スティフナーを提供する。
【解決手段】(1)1分子あたり、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、(2)カルボキシル基変性アクリロニトリル・ブタジエンゴム、(3)(a)脂肪族ポリアミンと(b)第1級アミノ基を有するポリアミドアミンとが、重量比で(a)/(b)=100/10〜50であるエポキシ樹脂の硬化剤を含む接着剤により複数のポリイミドフィルム7、7を接着してスティフナーを作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント回路基板(以下「FPC基板」という)の強度を保持するために、FPC基板に接着させて使用されるスティフナー(支持板あるいは補強板)、特に複数枚のポリイミドフィルム(以下「PIフィルム」という)を接着剤により貼り合わせて形成されたPIフィルム積層体スティフナー及びこのスティフナーを作製するために用いられる接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
単層又は複層のPIフィルムの片側又は両側に加熱硬化型の接着剤を設けたフィルムの代表的な例をあげると、「カバーレイフィルム」や「TAB(Tape Automated Bonding)用フィルム」が挙げられる。これらのフィルムに用いられている接着剤は、図1(a)に示されるように、PIフィルムからなる基材フィルム1上に塗布された後乾燥されて半硬化状態(Bステージ)の接着剤層2とされている。そして、この接着剤層2の表面には、通常更にセパレーター3が積層されている。この積層物は、使用前においては半硬化状態とされた接着剤層を有する形態で保管されている。他の形態のPIフィルムの接着剤層としては、接着剤ワニスをガラスクロスなどの補強基材に含浸させ、乾燥させて得られたプリプレグが挙げられる。プリプレグも、接着剤はBステージの状態で保管される。そして、図1(b)に示されるように、これらカバーレイフィルムやTAB用フィルムの基材フィルム1を、接着層2(接着剤あるいはプリプレグからなる)を介してFPC基板4などの対象物に重ね合わせ、加熱、加圧することにより、基材フィルム1がFPC基板4などの対象物に接着される。また、図2に示されるように、銅箔などの金属箔6とPIフィルム1とを接着剤5により接着したFPC基板も知られているが、これらの接着においては、金属箔とPIフィルムとを貼合せた後、加熱エージングを行うことが必要である。
【0003】
ところで、FPC基板は、通常基板の厚みが薄い(例えば、12.5〜100μm)。しかし基板の厚みが薄いと、スイッチ部やコネクター部において不都合が起き易い。このため、従来、図3に示すように、この不都合の起き易い部分あるいはこの不都合の起き易い部分をも含むPIフィルムからなるFPC基板を、加熱硬化型の接着剤(ボンディングシートという)を介してスティフナーなどの支持体に固定することが行われている。この場合、1〜3MPaの圧力下において150〜180℃で15〜45分、加熱、加圧することが一般的な接着条件である。このFPC基板を支持するあるいは補強するために使用されるスティフナーとしては、一般的には単層のPIフィルムが用いられている。厚さ225μm以下の単層PIフィルムは、広く一般的に市販されており、この市販の単層PIフィルムがスティフナーとして使用されている。これら単層PIフィルムの代表的なものを挙げると、カプトン HまたはVタイプ(東レ・デュポン(株)製)、ユーピレックス Sタイプ(宇部興産(株)製)、アピカル AHまたはNPIタイプ((株)カネカ製)などの商品名で市販されているPIフィルムが挙げられる。単層のPIフィルムは、各商品によりその硬さや腰(Stiffness)が一定である。しかし、用途によっては、同じ厚さであっても、単層のものより硬さや腰の軟らかい特性を有するものが要求される場合があるが、単層PIフィルムではこの要求に応えられない。
【0004】
これに対し、図3に示すような、複層のPIフィルム7、7及び接着剤層8からなる積層PIフィルムでは、薄いPIフィルムを用い、必要とされる硬さや腰を有する接着剤を用いることによって、これらの要求に合ったものを製造することができる。また、150μm乃至225μmのPI単層フィルムを用いる場合には、製膜時の加熱、キュアーに多大の時間が掛かるために、これら単層での厚物の製造は製造コストの上昇並びに単位時間当たりの製造数が限られ、需要に対応できない場合がある。さらに、PIフィルムとして225μm以上の厚さが要求される場合もあり、これら種々の要求に対応するには、複数のPIフィルムを接着剤により接着したPIフィルム積層体を作製することが必要とされる。なお、図3には2層のPIフィルムからなる積層PIフィルムが示されているが、PIフィルムは3層以上とされてもよい。
【0005】
PIフィルム積層体を作製するために用いられる接着剤、特にFPC基板の支持または補強に用いられるPIフィルム積層スティフナーを作製するために、PIフィルム接着用の接着剤に要求される特性としては、例えば次の(イ)〜(ホ)の如き特性が挙げられる。
【0006】
(イ)PIフィルムに対する接着強度が大きいこと、例えば、エージングにより、所定の強度に達した状態で、JIS K−6854「接着剤の剥離接着強さ試験方法」T形剥離法による剥離強度が5.8N/cm以上の接着強度であること。
一般に、PIフィルムと銅箔との張り合わせであるFPC基板では、銅箔の接着力は、180°ピール法による10N/cm以上の強度が通常であるが、これは、金属箔などの硬いフィルムを180°ピールする際には、PIフィルム同士のT形剥離法より2〜3倍の接着力が要求されるためである。
【0007】
(ロ)耐熱性が有ること。
これは、FPC基板と一体化されたスティフナーはリフロー工程を経ることが通常であり、このため、最低260℃で10〜30秒、好ましくは290℃で30秒の加熱において、異常な反りや接着剤の泡吹き(ブリスター)、更には大きな強度劣化がないことが要求されることによる。
【0008】
(ハ)接着剤自身に可とう性があること。
スティフナーはFPC基板と共に打ち抜かれることも多く、この打ち抜き時にバリや衝撃によるPIフィルム同士の剥離がないことが要求される。このとき、バリの発生やPIフィルム同士の剥離を起こさないようにするには、接着剤自身に可とう性が必要とされる。
【0009】
(ニ)耐湿強度があること。
PIフィルムは、他のプラスチックフィルムに比べ吸湿性が高いため、高温高湿度下で使用される場合、急激な強度低下が起きる。このような強度低下がない、すなわち、40℃、90%R.H.環境下で72時間放置された後においても、(イ)と同一の試験法で2N/cm以上の接着強度があることが必要とされる。
【0010】
(ホ)ハロゲン化合物や低分子オルガノシロキサン等、環境上又は、他の部品に悪影響を与える物質は含まないこと。
【0011】
従来、PIフィルムの接着においては、例えば、シリコン、アクリル系、ゴム系などの粘着剤とそれぞれ適宜選択された硬化剤とからなる接着剤を用いPIフィルムを接着する方法がある。しかし、この接着剤は、高温時に粘着剤のはみ出しや、高温凝集力の低下が大きく、高温状態とされる用途での使用に耐えるものでない。また、ポリエステル又はポリウレタン系樹脂とポリイソシアネート硬化剤とからなるドライラミネート接着剤等も知られているが、これらも耐熱性の点で問題がある。従来の技術で耐熱性を有する接着剤としては、エポキシ樹脂及びその共重合物、ポリイミド樹脂及びその共重合物、シロキサン変性樹脂、ポリマレイド樹脂、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)及びそのカルボキシル基変性樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイド−トリアジン樹脂などがある。この中で、例えば、エポキシ樹脂とポリアミン系硬化剤のみからのものは、屈曲性や耐衝撃強度が劣るものの、更に他の樹脂を混合することにより可とう性を付与できる。このエポキシ樹脂とポリアミン系硬化剤と他の樹脂との混合物は、充分な接着強度が得られるため、有用な接着剤として数多くの報告がなされている。FPC基板用途では貼合側の一方が金属箔であるために、エポキシ樹脂との接着性がよいが、PIフィルム同士の接着では、接着剤非塗布側のPIフィルムとの接着性が劣り、FPC基板用途の接着剤をPIフィルム同士の接着剤として直ちに用いることはできない。
【0012】
エポキシ系接着剤の例を更に具体的に示すと、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤としてイミダゾール系誘導体と芳香族カルボン酸を使用するもの(例えば、特許文献1参照)、エポキシ樹脂の硬化剤として、芳香族アミンとジシアンジアミドを併用するもの(例えば、特許文献2参照)、エポキシ接着剤の硬化剤として、アミン類などの一般的な硬化剤を用い、更にイミダゾール化合物や多価金属のほうフッ化物の硬化促進剤を含むもの(例えば、特許文献3参照)、エポキシ樹脂の硬化剤として、ジシアンジアミドとイミダゾール系硬化剤を、所定の混合比率と所定の添加量で用いるもの(例えば、特許文献4参照)、エポキシ樹脂の硬化剤として、芳香族第一級ジアミンと、カルボキシル基含有NBRの硬化剤として加硫剤を添加したもの(例えば、特許文献5参照)などがある。しかしながら、これらは、PIフィルム同士を貼り合わせるための接着剤として用いる場合には、接着力の点や、貼り合わせた後、加熱キュアリングが必要とされるという問題があり、しかも何れの接着剤も対湿度性が劣るため、PIフィルム積層体スティフナーの接着剤としては有用でない。
【0013】
【特許文献1】特開2002−20714号公報
【特許文献2】特開平7−316525号公報
【特許文献3】特開平4−197746号公報
【特許文献4】特開平3−263894号公報
【特許文献5】特開昭58−202583号公報
【0014】
さらに、エポキシ樹脂と共にポリイミド樹脂及びポリイミド変性樹脂を用いるもの(例えば、特許文献6、7など参照)では、後工程での高温エージング(一般には、120℃×2時間+200℃×1時間)が必要なこと、また溶剤としてN−メチルピロリドンやN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等、高沸点(例えば、150℃以上)のものを用いる必要があるため、溶剤を完全に気化させるには乾燥に高温が必要とされる。130℃以上の高温で乾燥を行うと、乾燥時にエポキシ樹脂とポリアミン樹脂の硬化が促進され、タックフリーになる。このため、ポリイミド樹脂及びポリイミド変性樹脂は、積層体スティフナー形成用接着剤の樹脂としては適していない。
【特許文献6】特開2003−27014号公報
【特許文献7】特開2003−27034号公報
【0015】
また、シロキサン又は、変性シロキサン樹脂(例えば、特許文献8、9など参照)についてみると、オルガノシロキサンは、加熱されると、遊離した低分子のシロキサンがFPC基板の接点部に付着し、これにより絶縁不良が起る可能性が高い。このため、オルガノシロキサンは、積層体スティフナー形成用接着剤樹脂として適していない。一方、シロキサンの共重合物は絶縁不良を起こし難いが、完全な硬化に130℃以上の高温を必要とするという難点がある。
【特許文献8】特開2003−73459号公報
【特許文献9】特開2002−69419号公報
【0016】
さらに、ポリマレイド樹脂(例えば、特許文献10、11などを参照)、ポリアミド樹脂及びその共重合化合物(例えば、特許文献12、13などを参照)などもあるが、いずれも硬化に高温(130℃以上)を必要とする、すなわち加熱の二次加工が必要とされるため、前記のスティフナーの必要具備条件をみたすものでない。
【特許文献10】特開2000−265149号公報
【特許文献11】特開平10−158363号公報
【特許文献12】特開2002−321300号公報
【特許文献13】特開2002−161205号公報
【0017】
このように、従来知られた接着剤は、いずれもPIフィルム積層体スティフナーを形成するための接着剤として要求される特性を満足するものではなく、いずれも何らかの問題点を有するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記従来の問題点を有さないPIフィルム積層体スティフナー作製用接着剤並びにこの接着剤を用いて製造されたPIフィルム積層体スティフナーを提供することを目的とするものである。
具体的には、本発明は、PIフィルム上に接着剤を塗布し、オンラインで他のPIフィルムをラミネートでき、その後は15℃〜35℃の常温経時により硬化し、したがって、接着剤塗布後の後工程での加熱エージングを必要とすることなく所定の接着力を有する接着剤を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、高温高湿下の雰囲気(例えば、40℃、90%R.H.で72時間)でも良好な接着力を示すとともに、接着剤自身硬化後に可とう性を有し、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性に優れたPIフィルム積層体スティフナーを作製するために用いられる接着剤を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、環境上あるいは他の部品に悪影響を与える物質を含まないPIフィルム積層体スティフナーを形成するための接着剤を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、強固に一体化され、耐熱性、耐湿性に優れた、任意の厚み及び腰の強さを有するPIフィルム積層体スティフナーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明においては、以下の(i)乃至(iv)に記載のスティフナー作製用接着剤及びスティフナーにより、上記目的が達成される。
【0020】
(i)複数のポリイミドフィルムを接着してスティフナーを作製するために用いられる接着剤において、該接着剤が下記成分(1)〜(3)を含むことを特徴とするスティフナー作製用接着剤。
(1)1分子あたり、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂。
(2)カルボキシル基変性アクリロニトリル・ブタジエンゴム。
(3)(a)脂肪族ポリアミンと(b)第1級アミノ基を有するポリアミドアミンとが、重量比で(a)/(b)=100/10〜50であるエポキシ樹脂の硬化剤。
【0021】
(ii)上記成分(1)のエポキシ樹脂は当量値が100〜250g/eq.であり、また上記成分(3)の第1級アミノ基を有するポリアミドアミン及び脂肪族ポリアミンはアミン価が200〜500であることを特徴とする上記(i)に記載のスティフナー作製用接着剤。
【0022】
(iii)複数のポリイミドフィルムが接着剤により接着されてなるスティフナーにおいて、該接着剤が下記成分(1)〜(3)を含む接着剤であることを特徴とするスティフナー。
(1)1分子あたり、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂。
(2)カルボキシル基変性アクリロニトリル・ブタジエンゴム。
(3)(a)脂肪族ポリアミンと(b)第1級アミノ基を有するポリアミドアミンとが、重量比で(a)/(b)=100/10〜50であるエポキシ樹脂の硬化剤。
【0023】
(iv)上記成分(1)のエポキシ樹脂は当量値が100〜250g/eq.であり、また上記成分(3)の第1級アミノ基を有するポリアミドアミン及び脂肪族ポリアミンはアミン価が200〜500であることを特徴とする上記(iii)に記載のスティフナー。
【0024】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
PIフィルム同士を接着する接着剤に要求される品質としては、前記(イ)〜(ホ)の特性と、製造上必要とされる樹脂の特性がある。接着剤は樹脂成分とその他の成分、及び希釈溶剤から成り、PIフィルム上にそれら混合物を一定量塗布し、乾燥炉で溶剤を揮発せしめた後、オンラインで他のPIフィルムをラミネートし、巻き取りの形態で常温エージング、又は60℃以下での72時間以内のエージングにより、所定の接着強度とされる。なお、製造時にラミネートの貼合ロールを50℃〜120℃に加熱してもよい。
【0025】
一方、樹脂の特性として、溶剤が揮発した後は、タックが充分にあり(JIS Z 0237,14.傾斜式ボールタック、傾斜角度20°、40℃でNo.2以上)、ラミネート時に気泡が入らないことが必要である。微少でも気泡が接着剤中に混入した状態で硬化したものは、リフロー時に気泡が成長して、ブリスターを発生し、使用に耐えない。また、製造上必要とされる樹脂の特性としては、塗料とした場合にコーティングが可能な粘度(100から5000mPa・s)を示すこと、乾燥時に硬化が起こり難いこと、後工程で圧力や加熱を必要とすることなく、常温(15℃〜35℃)経時で硬化反応が進み、1週間以内に所定の接着力になることが要求される。
【0026】
以上の目的に適う樹脂系としては、エポキシ樹脂及びその硬化剤と、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタン樹脂或いはポリビニルブチラール樹脂などとの混合物が挙げられる。また、カルボキシル基変性NBRとビスフェノールA型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤、その他物質を含む接着剤は既に報告されているが、従来知られたエポキシ系接着剤は、使用時に加熱、加圧(通常は、15〜25MPaの圧力と160℃〜180℃で20〜40分)を行って硬化させる必要があるため、スティフナー用の接着剤の必要品質を満たすものでない上、特に、高温高湿度雰囲気下(40℃以上、90%R.H.以上)に於いて接着力の低下が大きいという問題を有している。
【0027】
本発明は、既存のカルボキシル基変性NBRとエポキシ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤では得られなかった、高温高湿度雰囲気下に置かれたスティフナーの接着力を改良するために、エポキシ樹脂、カルボキシル基変性NBR、エポキシ樹脂硬化剤の種類、混合比などの検討を重ねた結果、特定の組成の接着剤を用いることにより、オンラインでラミネートされたスティフナーは、加熱エージングすることなく、常温放置で所定の接着力が得られ、且、高温高湿度雰囲気下においても、接着強度の劣化が少ないスティフナーを作ることができることを見出し、この知見に基づいてなされたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明において接着剤の成分(1)として用いられる1分子あたり2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂としては、1分子あたり2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂であれば何れのものをも用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、従来、エポキシ系接着剤の樹脂成分として用いられているエポキシ樹脂である、例えばグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。より具体的には、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール(A型、F型)、臭素化ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビフェニル型、ナフタレン型、フェノールノボラック型、オルトクレゾールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型、トリスヒドロキシメタン型(3官能基)、テトラフェノールエタン型(4官能基)エポキシ樹脂などが挙げられる。また、グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型エポキシ樹脂などが挙げられる。さらに、グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルシアヌレート、アミノフェノール型、アニリン型エポキシ樹脂などが挙げられる。その他、環状脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂環式アセタール型、脂環式アジペート型、脂環式カルボキシレート型、ビニルシクロヘキセン型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0029】
本発明において用いられる、1分子あたり2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂としては、常温で粘度(パスカル秒)が100〜70,000mPa・s(JIS K5400,SB型粘度計による。測定温度25℃)のものが好ましいものである。半固形のものや軟化点が90℃以上のものは好ましいものとはいえない。なお、上記の種類で、グリシジルアミン型エポキシ樹脂は耐熱性が高く、剛直性があるが、骨格中に3級アミンが存在するため、樹脂の保存性が悪いので好ましいものとはいえない。さらに、グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、粘性が低すぎること、及び、エステル結合を有するため、耐水性に問題があることから、好ましいものとはいえない。フェノール及びクレゾールノボラック型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、耐熱性及びPIフィルムに対する接着性に優れているが、分子量の高いものは、溶剤乾固後、タックがなくなり、常温硬化での接着力が劣る。常温経時で比較的短時間(数時間から数日)で硬化するビスフェノール型、及び、フェノールノボラック型がよい結果であったが、重合度(又は、分子量)の高低、或いは、エポキシ当量値の高低により、接着強度や対衝撃性が異なってくる。例えば、エポキシ当量値が100g/eq.より低いものは、塗布時の乾燥工程で加温されるため、粘度が著しく低下し、PIフィルム上の塗布液が流動するためにフィッシュアイなどが生じやすく、厚さの均一性の高い塗布膜を得るのが難しくなる。一方、エポキシ当量値が2000g/eq.より高いと、軟化点が高すぎ、乾燥後に他のPIフィルムとラミネートする際に充分なタックがなく、気泡の抱き込みやラミネート後のPIフィルム(特に被貼合側)に対する接着力が充分でない。また、グリシジルイソシアヌレートは、脂肪族アミンと併用することで、耐熱性(対リフロー性)が上がるが、溶剤系の塗料に添加する場合は低沸点溶剤(例えばメチルエチルケトン(MEK))に溶解しなければならない制約がある上、溶解度が常温で約2%と難溶性なので僅かな量しか添加出来ない。
【0030】
以上のことから、本発明において好ましく用いられる1分子あたり2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂など、より好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂で、粘度が100〜70,000mPa・s(JIS K5400,SB型粘度計による。測定温度25℃)を有し、エポキシ当量が100〜2000g/eq.、より好ましくは100〜250g/eq.の、1分子あたり2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。これらエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、アラルダイト AER250、260、ECN1299、EPN1180(旭ケミカルズ(株)製)、エピコート 802、815、819、154、180S65(ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON 8505(大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。これらは単独で、あるいは必要に応じて二種以上併用して用いることができる。
【0031】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、付加重合型、例えば、ポリアミン、イミダゾール化合物、酸無水物など多種のものが知られている。本発明においては、これらの硬化剤のうち、(a)第1級アミノ基を有するポリアミドアミンと(b)脂肪族ポリアミンとを併用することにより、はじめて本発明の目的が達成できるものである。
【0032】
本発明においてエポキシ樹脂硬化剤として用いられるポリアミドアミンは、分子中にアミド結合及び第1級アミノ基を有する化合物で、例えば、従来からエポキシ樹脂の硬化剤として用いられている任意の第1級アミノ基を有するポリアミドアミンを用いることができる。ポリアミドアミンは、主としてダイマー酸とポリアミンの縮合により生成し、分子中に反応性の第一及び第二アミノ基を有するものであり、ダイマー酸とポリアミンのモル比、脂肪酸組成中のモノマー酸/ダイマー酸/トリマー酸の比率、ポリマーの種類、官能基量等によりポリアミドの分子量、粘度、アミン価等は変化する。このような重合脂肪酸系ポリアミドアミンは市販のポリアミドアミン系硬化剤の大部分を占めている。このような重合脂肪酸系ポリアミドアミンは、重合脂肪酸部位と親水性のアミノ基を含むため、界面活性能を有し、固体表面に配向する性質を示す。そのため、接着性に優れた硬化被膜を形成することができ、また、重合脂肪酸分子中の大きな炭化水素部位は、内部可塑化効果によりエポキシ硬化物に柔軟性を与えると共に硬化収縮による応力の緩和に寄与する。第1級アミノ基を有するポリアミドアミンとしては、例えば、下記一般式(1)で示されるポリアミドアミンが挙げられる。
【0033】
【化1】

【0034】
上記式中、Rはカルボン酸の残基を表し、R2はポリカルボン酸の残基を表し、R1及びR3はポリアミンの残基を表し、nは0又は1以上の整数を、mはRの価数を示し、1以上の整数である。より具体的には、Rは例えばモノマー酸、ダイマー酸等の残基であり、R2は二塩基酸、例えばセバシン酸等の残基である。またアミンとしては、ポリエチレンポリアミンなどが用いられてもよい。
【0035】
本発明において好ましく用いられるポリアミドアミンの市販品としては、トーマイド225X(富士化成工業(株)製)、サンマイド#315(三和化学工業(株)製)などが好ましいものとして例示される。その他、前記ポリアミド形成用アミンあるいは酸を2種以上用いて重縮合してなる共重合ポリアミド、その他に、ポリアミドイミド(無水トリメリット酸と芳香族ジアミンとの反応物)等が挙げられる。これら第1級アミノ基を有するポリアミドアミンは、単独で、あるいは必要に応じて二種以上を併用することができる。ポリアミドアミンとしては、例えば下記式(2)で表されるものも例示できる。
【0036】
【化2】

【0037】
また、同じく本発明においてエポキシ樹脂硬化剤として用いられる脂肪族ポリアミンは、分子内に2個以上のアミノ基(第1級あるいは第2級アミノ基)を有する脂肪族化合物であり、例えば、従来からエポキシ樹脂の硬化剤として用いられている任意の脂肪族ポリアミンを用いることができる。脂肪族ポリアミンの代表的な化合物は下記一般式(3)あるいは(4)で表される化合物が代表的なものとして挙げられる。
【0038】
【化3】

【0039】
(式中、R4は、置換基を有していてもよい脂肪族残基を表し、R5及びR6は、同一でも異なっていてもよい、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、rは2以上の整数を、またsは1以上の整数を表す。)
【0040】
このような脂肪族ポリアミンとしては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのエチレンジアミン誘導体が挙げられる。また本発明においては、脂肪族ポリアミンは、下記一般式(5)で表されるアミン−エポキシアダクトと脂肪族ポリアミンとの混合物である「内在アミンアダクト」をも含むものである。
【0041】
【化4】

【0042】
(式中、Rは置換基を有してもよい脂肪族残基を表す。)
【0043】
これら本発明で用いられる脂肪族ポリアミンの市販品としては、フジキュアー4025、フジキュアー4030(いずれも富士化成工業(株)製)などが好ましいものとして例示される。これら脂肪族ポリアミンは単独で、あるいは必要に応じて二種以上併用して用いることができる。
【0044】
上記二種のアミンを併用する理由は、脂肪族ポリアミン単独では、常温放置によっては接着剤の凝集力が充分得られず、このため希望する接着力が得られず、また第1級アミノ基を有するポリアミドアミン単独では、硬化後の対湿度性が劣ることによる。また本発明においては、脂肪族ポリアミン:第1級アミノ基を有するポリアミドアミンが重量比で、100:10〜50、好ましくは、100:15〜30である場合、高接着力で、且つ、耐湿度性、対リフロー性に優れたものが得られる。脂肪族ポリアミンに対するポリアミドアミンの重量比率が前記より大きいと、耐湿度接着力(40℃、90%R.H.で72時間後の接着力)が急激に低下し、また、重量比率が前記より小さいとPIフィルム同士の接着力が充分発現出来ない。また脂肪族ポリアミン及び第1級アミノ基を有するポリアミドアミンのアミン価が何れも200〜500、より好ましくは200〜400である場合には、硬化速度が速く、好ましい。又、或るエポキシ当量であるエポキシ樹脂に対するポリアミンの使用量は、そのアミン価から反応当量値が決定されるが、実際には、反応当量値よりポリアミンの割合がやや多い方がPIフィルムに対する接着性が良く、一方、多すぎると、リフローの加熱条件で泡吹きを生じ易くなる。なお、硬化剤として用いられるアミン類としては、1分子中当たり2個以上の第1級アミノ基を有する、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン等のポリアミン類、ベンジルジメチルアミン(BDMA)や4.4´−ジアミノジフェニルスルフォン酸、4.4´−ジアミノフェニルメタンも知られているが、これら他のアミンは、本発明の目的が阻害されない範囲であれば上記2種のアミンと共に使用することができる。
【0045】
また、他の硬化剤として、液状酸無水物、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA),メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)、無水メチルナジック酸や、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物などが知られている。これらは、硬化反応を充分行うには、高温と長い時間が必要であるので、本発明においては硬化剤として用いることは好ましくない。さらに、他の硬化剤として、イミダゾール化合物、例えば、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−アルキル−4−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−アルキルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−アルキルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシル−5−メチルイミダゾール、5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等も知られているが、これらは後工程での加熱が必要であるため、本発明において硬化促進剤として添加することは可能であるが、用いても効果は少ない。同じく潜在型のジシアンアミドなども、後工程で加熱が必要であるため、本発明における硬化剤としては好ましいものではない。
【0046】
他方、グリシジルイソシアヌレートは、耐熱強度(リフロー条件の温度で加熱した後の接着強度)を上げる効果があるが、有機溶剤に対する溶解度が低い。例えば、室温でMEKに2%、DMFに14%程度しか溶解せず、高沸点のDMFは、本用途に適さない。又、微粉末に粉砕したグリシジルイソシアヌレートを添加することも可能であるが、PIフィルムをラミネート後、微細な突起としてPIフィルム表面に出るため、この方法は、本用途に相応しくない。芳香族トリカルボン酸(例えば、2,4−ベンゼントリカルボン酸、三菱化学(株)製 F−TMA)は、耐湿度接着力の向上の効果は低いが、耐熱強度を上げるため、適宜添加してもよい。
【0047】
本発明においては、接着剤中に更に成分(2)のカルボキシル基変性NBRが含まれる。このカルボキシル基変性NBRは、アクリロニトリル・ブタジエンゴム分子中にカルボキシル基を有するものであり、例えばアクリロニトリルとブタジエンとを共重合させた共重合樹脂の末端基をカルボキシル化した共重合樹脂や、アクリロニトリル及びブタジエンとカルボキシル基を含有した単量体との共重合樹脂が挙げられる。カルボキシル基を含有した単量体としては、メタクリル酸などが挙げられる。アクリロニトリル、ブタジエン及びメタクリル酸からなるカルボキシル基変性NBRは、下記一般式で示されるものである。
【0048】
【化5】

【0049】
(式中、x、y及びzは繰り返し単位数を表し、いずれも1以上の整数である。なお、繰り返し単位はランダム配列であってよい。)
【0050】
カルボキシル基変性NBRの市販品としては、Nipol 1072J(日本ゼオン(株)製)、ハイカーCTBN、ハイカーCTBNX、ハイカー1072(いずれもグッドリッチ社製)などが例示される。アクリロニトリル・ブタジエンゴムは、PIフィルムに対する接着性が良好であり、また柔軟性に富んだ樹脂であるので、対衝撃強度の点で優れている。更に、塗工乾燥時に、高温であってもレベリング性の高い、均一な造膜が可能であり、塗膜のハジキやフィッシュアイを生じ難い。このため、エポキシ樹脂やその硬化剤と併用すると非常に効果的である。アクリロニトリル・ブタジエンゴムのうち、結合アクリロニトリル平均含有重量%が42.5%を越す高アクリロニトリルタイプのものは、溶剤溶解性に劣り、他方、20%以下の低アクリロニトリル量タイプは充分な接着力と対湿度性が得られ難い。このため、アクリロニトリル・ブタジエンゴムの結合アクリロニトリル量(%)は、20〜40%が望ましい。そして、カルボキシル基変性NBRでは、これらの特性に加え、より耐熱性、強度のある接着層が得られる。なお、カルボキシル基変性NBRはポリアミン系エポキシ硬化剤と反応して塗料増粘を起こし易いため、使用に当たってはこの点に留意することが必要である。ただし、この増粘の度合いは、希釈溶剤により薄め、固形分を低くすることで対処できる。
【0051】
これら成分(1)〜(3)に加え、本発明の接着剤においては、必要に応じ、硬化促進剤として、3フッ化ホウ素モノメチルアミンなど、ホウ素、亜鉛、ニッケルのホウフッ化物を使用することができる。
【0052】
さらに、接着剤中に、SiO2、CaCO3、Al23などの無機顔料を添加することで、接着剤の凝集力を向上させることは一般に良く知られている。本発明においても、これら無機顔料を添加することにより、接着剤の凝集力を向上させることができる。
【0053】
本発明において使用されるポリイミドフィルムは、従来スティフナーあるいはフレキシブルプリント基板の材料として用いられているポリイミドフィルムの何れであってもよい。ポリイミドフィルムは、通常芳香族テトラカルボン酸あるいはその二無水物、例えばピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを極性溶媒中にて反応させ、ポリアミド酸フィルムを生成し、さらに熱的又は化学的に脱水しイミド化することとにより得られる。芳香族ジアミンの例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどを挙げることができる。市販品としては、先にも示したカプトン HまたはVタイプ(東レ・デュポン(株)製)、ユーピレックス Sタイプ(宇部興産(株)製)、アピカル AHまたはNPIタイプ((株)カネカ製)などが例示される。
【0054】
本発明において、接着剤用の塗料の調整は、コーティング方式、塗工機の種類、塗工速度などに応じ適宜行われる。特に、塗料粘度は塗膜のムラ、引き筋、フィッシュアイやハジキと密接な関係があるので、これらが起きないような粘度とされる。塗料作製の際の希釈有機溶媒についても、沸点の大きく異なる共溶剤を用いると、塗布ムラが発生し易いので、塗布ムラの発生が起らないような溶剤を選択して使用することが好ましい。塗料の作製は、例えば、回転羽根であるディゾルバーで塗料成分を混合撹拌することにより行えばよい。
【0055】
PIフィルムへの接着剤塗料の塗布方法としては、従来知られた何れの方法であってもよいが、塗布の際には、均一の厚さが得られることが最も重要である。また、塗りスジや塗料の気泡が塗布皮膜に残らないことも必要である。コーターとしては、例えば、3本リバースコーターやコンマコーター、ロールコーター、メイヤーバーコーター、クローズドエッジコーター、パイプコーター、スロットダイコーター、マイクログラビアコーター等が挙げられるが、クローズドエッジコーターやスロットダイコーターなどのクローズドシステムのコーターヘッドを持つものが望ましい。コーターにより接着剤塗料が塗布されたPIフィルムは、乾燥炉で乾燥された後、他のPIフィルムと貼合(ラミネート)される。この時の貼合ローラーは40℃〜120℃程度迄加熱できるものがよい。加熱ローラーを用いての貼合せにより、エアー噛み(貼合時の空気の混入)を防止することができることから、加熱ローラーの使用は効果的である。
【0056】
乾燥条件は、製品の性能と密接な関係がある。本発明のスティフナーの接着剤塗布工程では、低温度で塗料中の有機溶剤を蒸発、乾固せしめる必要がある。高温乾燥(例えば、130℃、1分以上)では、塗料中のエポキシ樹脂と硬化剤の反応が乾燥炉内で促進され、その結果、接着強度(特に、被貼合側のPIフィルムと接着剤の接着強度)が急激に低下するためである。また、乾燥が70℃以下の温度であると、未乾燥の溶媒が残り、接着剤の凝集力を著しく低下させ、希望する接着力が出ない。したがって、乾燥温度は、80〜100℃、乾燥時間は、1〜3分が好ましい。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものでない。
なお、以下の各例においては、接着剤の接着力、耐熱性、耐熱試験後の接着力、耐湿度接着力、耐衝撃性、難燃性は、いずれも下記試験方法により行われた。
【0058】
(1)接着力
JIS K−6854「接着剤の剥離接着強さ試験方法」T形剥離法、剥がし速度100mm/分に準拠する。破断は、カプトン300Hの切断であり、約7.8N/cmで破断する。
【0059】
(2)耐熱試験
ハンダ表面が260℃(耐熱テスト1)、及び、290℃(耐熱テスト2)の状態に保たれたハンダ溶融槽のハンダ溶融表面上に試料を置き、30秒後取り出す。
試験試料を3枚(N=3)とし、以下の基準により耐熱性の評価を行った。
○: 3点共異常なし
△: 3点中2点に異常はなく、1点のみブリスターなどの異常が発生
×: 3点中2点以上にブリスターなどの異常が発生
【0060】
(3)耐熱試験後の接着力
上記(2)の耐熱試験経過後の試料を、上記(1)の接着力の試験方法により測定する。
260℃で30秒経過後の接着力を耐熱接着力1、290℃で30秒経過後の接着力を耐熱接着力2とした。
【0061】
(4)耐湿度接着力
40℃、90%R.H.の条件下で72時間経過した後の試料を、上記(1)の試験と同様の方法により試験する。
【0062】
(5)耐衝撃試験
デュポン式衝撃値である(JIS K−5400に準拠し、測定温度25℃、荷重500g、高さ40cmの条件で行う。)。
【0063】
(6)難燃性試験
UL94V−0試験(ASTM D5025に基づく内径9.5±0.3mmガスバーナー及び、8900Kcal/m3の可燃ガス使用)に依る。UL94V−0合格品をUL94V−0とする。
【0064】
実施例1
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量184〜194g/eq.;ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828)100重量部、第1級アミノ基を有するポリアミドアミン(アミン価 340;富士化成工業(株)製、トーマイド225X)15重量部、脂肪族ポリアミン(アミン価 225;富士化成工業(株)製、フジキュアー4025)85重量部、カルボキシル変性NBR樹脂のメチルエチルケトン10%溶液(日本ゼオン(株)製、1072J液)700重量部を、回転羽根を持つ攪拌機で15分撹拌した後、30分放置し、脱泡して、接着剤Aを製造した。
【0065】
得られた接着剤Aを、アプリケーターバーにより、PIフィルム(膜厚75μm、東レ・デュポン(株)製 カプトン300H)上に所定の厚さにコートし、ギアー老化試験機(乾燥機)にて、90℃、1.5分間、乾燥した。乾燥された被塗布PIフィルムは、80℃の熱プレート板上で、シリコンローラーにてPIフィルム(カプトン300H)と4Kgの圧力で貼合された。この時、接着剤の厚さは、Dry(乾燥厚)25μmであった。これらは、常温で1週間放置した後、以下の物性試験(接着力の試験、耐熱試験、耐熱試験後の接着力試験、耐湿度接着力試験、耐衝撃試験、難燃性試験)にかけ、接着剤の接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表1に示す。
【0066】
比較例1
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量184〜194g/eq.;ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828)100重量部、第1級アミノ基を有するポリアミドアミン(アミン価 340;富士化成工業(株)製、トーマイド225X)100重量部、カルボキシル変性NBR樹脂のメチルエチルケトン10%溶液(日本ゼオン(株)製、1072J液)700重量部を、回転羽根を持つ攪拌機で15分撹拌した後、30分放置し、脱泡して、接着剤Bを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例1と同様に試験し、接着剤Bの接着力、耐熱性、耐湿性を調べた。結果を表1に示す。
【0067】
比較例2
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量184〜194g/eq.;ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828)に代えて、フェノール/ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量175〜182g/eq.;旭化成ケミカルズ(株)製、EPN1180)を用い、また第1級アミノ基を有するポリアミドアミンとして、富士化成工業(株)製、トーマイド225Xに代えて、アミン価が350の三和化学工業(株)製、サンマイド#315を用いることを除き、比較例1と同様にして、接着剤Cを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例1と同様に試験し、接着剤Cの接着力、耐熱性、耐湿性を調べた。結果を表1に示す。
【0068】
比較例3
第1級アミノ基を有するポリアミドアミン(アミン価 340;富士化成工業(株)製、トーマイド225X)100重量部に代えて、脂肪族ポリアミン/芳香族ポリアミン=50〜70%/30〜50%(アミン価 445)の富士化成工業(株)製、フジキュアー6300の80重量部を用いることを除き、比較例1と同様にして、接着剤Dを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例1と同様に試験し、接着剤Dの接着力、耐熱性、耐湿性を調べた。結果を表1に示す。
【0069】
比較例4
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量184〜194g/eq.;ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828)に代えて、フェノール/ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量175〜182g/eq.;旭化成ケミカルズ(株)製、EPN1180)を用い、また第1級アミノ基を有するポリアミドアミン(アミン価 340;富士化成工業(株)製、トーマイド225X)に代えて、脂肪族ポリアミン(アミン価 225;富士化成工業(株)製、フジキュアー4025)を用いることを除き、比較例1と同様にして、接着剤Eを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例1と同様に試験し、接着剤Eの接着力、耐熱性、耐湿性を調べた。結果を表1に示す。
【0070】
比較例5
第1級アミノ基を有するポリアミドアミン(アミン価 340;富士化成工業(株)製、トーマイド225X)の量を5重量部とし、また脂肪族ポリアミン(アミン価 225;富士化成工業(株)製、フジキュアー4025)の量を95重量部とすることを除き、実施例1と同様にして、接着剤Fを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例1と同様に試験し、接着剤Fの接着力、耐熱性、耐湿性を調べた。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
上記表1から、硬化剤として第1級アミノ基を有するポリアミドアミンを単独で用いた場合(比較例1及び2)には、耐湿度接着力が著しく劣り、硬化剤として脂肪族ポリアミンと芳香族ポリアミンを共に用いる場合(比較例3)及び脂肪族ポリアミンを単独で用いる場合(比較例4)には、接着力が不充分の上、耐熱性(リフロー、260℃及び290℃で30秒)の点でも劣っている。更に、硬化剤として第1級アミノ基を有するポリアミドイミン及び脂肪族ポリアミンを共に用いる場合においても、その割合が本発明の範囲(第1級アミノ基を有するポリアミドアミン:脂肪族ポリアミン=100:10〜50(重量比))内にない場合(比較例5)には、接着力が不充分の上、耐熱性(リフロー、260℃及び290℃で30秒)も劣ることが分かる。
【0073】
実施例2
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180〜200g/eq.;旭化成エポキシ(株)製、AER260)100重量部、第1級アミノ基を有するポリアミドアミン(アミン価 340;富士化成工業(株)製、トーマイド225X)20重量部、脂肪族ポリアミン(アミン価 225;富士化成工業(株)製、フジキュアー4025)80重量部、カルボキシル変性NBR樹脂のメチルエチルケトン10%溶液(日本ゼオン(株)製、1072J液)700重量部を、回転羽根を持つ攪拌機で15分撹拌した後、30分放置し、脱泡して、接着剤Aを製造した。
【0074】
得られた接着剤Gを、アプリケーターバーにより、PIフィルム(膜厚75μm、東レ・デュポン(株)製 カプトン300H)上に所定の厚さにコートし、ギアー老化試験機(乾燥機)にて、90℃、1.5分間、乾燥した。乾燥された被塗布PIフィルムは、80℃の熱プレート板上で、シリコンローラーにてPIフィルム(カプトン300H)と4Kgの圧力で貼合された。この時、接着剤の厚さは、Dry25μm(乾燥厚)であった。これらは、常温で1週間放置した後、物性試験(接着力、耐熱試験、耐熱試験後の接着力、耐湿度接着力、耐衝撃試験、難燃性試験)にかけ、接着剤の接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表2に示す。
【0075】
実施例3
第1級アミノ基を有するポリアミドアミン(アミン価 340;富士化成工業(株)製、トーマイド225X)の量を30重量部とし、また脂肪族ポリアミン(アミン価 225;富士化成工業(株)製、フジキュアー4025)の量を70重量部とすることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Hを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様にして試験し、接着剤Hの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表2に示す。
【0076】
比較例6
第1級アミノ基を有するポリアミドアミン(アミン価 340;富士化成工業(株)製、トーマイド225X)の量を10重量部とし、また脂肪族ポリアミン(アミン価 225;富士化成工業(株)製、フジキュアー4025)の量を90重量部とすることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Iを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様にして試験し、接着剤Jの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表2に示す。
【0077】
比較例7
第1級アミノ基を有するポリアミドアミン(アミン価 340;富士化成工業(株)製、トーマイド225X)の量を40重量部とし、また脂肪族ポリアミン(アミン価 225;富士化成工業(株)製、フジキュアー4025)の量を60重量部とすることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Jを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様にして試験し、接着剤Jの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表2に示す。
【0078】
実施例4
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180〜200g/eq.;旭化成エポキシ(株)製、AER260)に代えて、フェノール/ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量172〜178g/eq.;ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート152)を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Kを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Kの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表2に示す。
【0079】
実施例5
更にグリシジルイソシアヌレートの5%テトラヒドロフラン(THF)溶液(四国化成工業(株)製、TEPIC−S)150重量部を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Lを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Lの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表2に示す。
【0080】
実施例6
更に2−ウンデシルイミダゾールの5%メチルエチルケトン溶液(四国化成工業(株)製、キュアゾール C−11Z)250重量部を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Mを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Mの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表2に示す。
【0081】
【表2】

【0082】
表2から、実施例2及び3のように、ポリアミドアミン/脂肪族アミンの比率が100/15〜30にあるときは、全てのテスト項目を満足するものであり、比較例6のように脂肪族アミンの比率が前記の範囲より高い場合には、接着力が劣る上、耐湿度接着力も劣り、また比較例7のように、前記脂肪族アミンの比率が前記の範囲より低い場合には、耐湿度接着力が劣っている。更に実施例5及び6の結果から、本発明の接着剤に、更にイソシアヌレート系の架橋剤あるいはイミダゾール系硬化剤が添加される場合には、耐湿度接着力の更なる向上が図られることが分かる。
【0083】
実施例7
更にSiO2(日本シリカ工業(株)製、ニップシール E150K、平均粒径4.5μm)5重量部を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Nを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Nの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表3に示す。
【0084】
実施例8
更にSiO2(日本シリカ工業(株)製、ニップシール E150K、平均粒径4.5μm)10重量部を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Oを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Oの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表3に示す。
【0085】
実施例9
更にSiO2(日本シリカ工業(株)製、ニップシール E150K、平均粒径4.5μm)20重量部を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Pを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Pの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表3に示す。
【0086】
実施例10
更にAl23(昭和電工(株)製、ハイジライト H−32、平均粒径8μm)5重量部を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Qを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Qの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表3に示す。
【0087】
実施例11
更にAl23(昭和電工(株)製、ハイジライト H−32、平均粒径8μm)10重量部を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Rを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Rの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表3に示す。
【0088】
実施例12
更にAl23(昭和電工(株)製、ハイジライト H−32、平均粒径8μm)20重量部を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Sを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Sの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表3に示す。
【0089】
実施例13
更に2,4−ベンゼントリカルボン酸の5%メチルエチルケトン溶液(三菱化学(株)製、F−TMA)250重量部を用いることを除き、実施例2と同様にして、接着剤Sを製造した。
得られた接着剤の物性を実施例2と同様に試験し、接着剤Sの接着力、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性、難燃性を調べた。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
表3から、ポリアミドアミン/脂肪族アミンの比率が100/15〜30にあるときは、シリカあるいはアルミナなどの充填剤が更に用いられる場合(実施例7〜12)にも優れた結果が得られ、また酸架橋剤が更に添加された場合には、耐湿度接着力の向上した接着剤が得られることが分かる。
【0092】
[発明の効果]
以上詳しく述べたように、本発明の接着剤は、ポリイミド間の接着の際に優れた特性を示し、後工程で加熱キュアーすることなく、高接着力、耐湿度接着力、に優れた接着剤が得られる。また本発明の接着剤により、後工程で加熱キュアーすることなく、ポリイミドフィルム間の接着強度が高いスティフナーを形成することができ、得られたポリイミドスティフナーは、PIフィルム相互間の接着力が強く、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性にも優れ、高難燃性を示すと言う極めて優れた特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】片面に接着剤層を設けたポリイミドフィルム(a)及びポリイミドフィルムが貼り合わされたフレキシブルプリント基板(b)の断面模式図である。
【図2】銅箔とポリイミドフィルムを貼り合わせたフレキシブルプリント基板の断面模式図である。
【図3】2枚の薄いポリイミドフィルムを貼り合わせたスティフナーの断面模式図である。
【符号の説明】
【0094】
1 基材フィルム
2、5、8 接着剤層
3 セパレーター
4 フレキシブルプリント基板
6 銅箔
7 ポリイミドフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポリイミドフィルムを接着してスティフナーを作製するために用いられる接着剤において、該接着剤が下記成分(1)〜(3)を含むことを特徴とするスティフナー作製用接着剤。
(1)1分子あたり、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂。
(2)カルボキシル基変性アクリロニトリル・ブタジエンゴム。
(3)(a)脂肪族ポリアミンと(b)第1級アミノ基を有するポリアミドアミンとが、重量比で(a)/(b)=100/10〜50であるエポキシ樹脂の硬化剤。
【請求項2】
上記成分(1)のエポキシ樹脂は当量値が100〜250g/eq.であり、また上記成分(3)の第1級アミノ基を有するポリアミドアミン及び脂肪族ポリアミンはアミン価が200〜500であることを特徴とする請求項1記載のスティフナー作製用接着剤。
【請求項3】
複数のポリイミドフィルムが接着剤により接着されてなるスティフナーにおいて、該接着剤が下記成分(1)〜(3)を含む接着剤であることを特徴とするスティフナー。
(1)1分子あたり、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂。
(2)カルボキシル基変性アクリロニトリル・ブタジエンゴム。
(3)(a)脂肪族ポリアミンと(b)第1級アミノ基を有するポリアミドアミンとが、重量比で(a)/(b)=100/10〜50であるエポキシ樹脂の硬化剤。
【請求項4】
上記成分(1)のエポキシ樹脂は当量値が100〜250g/eq.であり、また上記成分(3)の第1級アミノ基を有するポリアミドアミン及び脂肪族ポリアミンはアミン価が200〜500であることを特徴とする請求項3記載のスティフナー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−131787(P2006−131787A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323449(P2004−323449)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(591054761)株式会社ウノン技研 (5)
【Fターム(参考)】