ステレオカメラユニットおよびその製造方法、電子情報機器
【課題】簡単な構成で左右2つの撮像部をステレオカメラカバーに容易かつ精度よく取り付けることにより、従来の製造工程で行っていた撮像テストにおけるカメラの歩留まりを上げると共に、その構成部品点数も増加することがなく、部品の小型化を可能にし、製造工数を低減して低コスト化を実現する。
【解決手段】左右の二つの小型カメラ2のそれぞれをステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に公差ゼロで挿入してステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けるステップと、これを段階で3D撮像テストを行うステップと、ステレオカメラカバー3に取り付けられた小型カメラ2の電極と配線用軟質フレキシブル基板4の配線電極とを対応させて小型カメラ2と配線用軟質フレキシブル基板4とを取り付けるステップとを有する。
【解決手段】左右の二つの小型カメラ2のそれぞれをステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に公差ゼロで挿入してステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けるステップと、これを段階で3D撮像テストを行うステップと、ステレオカメラカバー3に取り付けられた小型カメラ2の電極と配線用軟質フレキシブル基板4の配線電極とを対応させて小型カメラ2と配線用軟質フレキシブル基板4とを取り付けるステップとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体からの画像光を光電変換して撮像するCCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子を備えた左右二つの撮像部(小型カメラ)を用いて視差を有する二つの画像を得るステレオカメラユニットおよびその製造方法、このステレオカメラユニットからの左右の撮像信号を合成して立体視画像信号を得る3Dの固体撮像装置を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来のステレオカメラは多岐にわたる商品展開が為されている。従来のステレオカメラにおいて、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子を備えた左右二つの撮像部を用いて、視差を有する二つの画像を得ている。
【0003】
この従来のステレオカメラは、左右に離れた2点で撮影した視点の異なる二枚の画像を左の眼と右の眼で個別に見ることによって、3Dステレオ写真や3Dステレオ動画として立体像を鑑賞することができる。これらの3Dステレオ写真や3Dステレオ動画には長い歴史がある。
【0004】
この3Dステレオ写真において、最も効果を高めた立体画像を得るためには、左の画像と右の画像の位置的な整合性が重要となる。左の画像と右の画像の位置的な整合性、即ち、左右二つの小型カメラの距離や配置角度などが不適切であると、立体画像の効果がなくなったり、見るに堪えない画像が得られてしまう。
【0005】
ここで、従来のステレオカメラユニットについて説明する。
【0006】
図11(a)および図11(b)は、従来のステレオカメラユニットおよびその製造工程を説明するための各部材の斜視図である。
【0007】
図11(a)に示すように、左右二つの小型カメラ101は、製造工程において、まず配線用フレキシブル基盤102に取り付けられる。この際、小型カメラ2の背面の電極との接続においては、左右二つの小型カメラ101のそれぞれに対して熱圧着方式で行われ、そこに、図11(b)に示すようにステレオカメラカバー103を被せる。これによって、従来のステレオカメラユニット100が構成される。
【0008】
従来のステレオカメラユニット100の画像試験方法では、ステレオカメラユニット100が不良の場合に、左右二つの小型カメラ101と、そこに取り付けられた配線用フレキシブル基板4ともどもセットとして不良品とされていた。また、左右二つの小型カメラ101を配線用フレキシブル基板102に取り付けた際に発生する左右の位置的ずれを補正するために強制的にステレオカメラカバー103をはめ込むことにより生じる配線用フレキシブル基板102のゆがみやねじれが原因して、落下試験などにてこの配線用フレキシブル基板102の切断や割れなどが発生していた。
【0009】
図12は、図11の従来のステレオカメラユニット100に対して行う従来の3D撮像テストの実施方法を示す流れ図である。
【0010】
従来の方式について、図12に示すように、左右二つの小型カメラ101の取り付けはそれぞれ、まず、配線用フレキシブル基板102に取り付けられる。配線用フレキシブル基板102は小型カメラ101をハンダで圧着させることが一般的であり、この作業において小型カメラ101のずれが容易に起こり得ることが知られている。配線用フレキシブル基板102の取り付け作業の後に、上記3Dの撮像テストを行い、そのテスト結果で撮像試験がNGとなった場合に、図12のNGで示すようにこのステレオカメラユニット100ごと破棄される。ここで、不良の小型カメラ101のみ交換してももちろん構わないが、ハンダ付けされた配線用フレキシブル基板102から取り外すことは多大な労力と作業時間を有することが容易に想像できる。つまり、従来の3D撮像テストの実施方法については部品の無駄や作業の非効率なところが存在していた。
【0011】
このため、例えば特許文献1、2に提案されているように、左右の撮像素子の光軸を合わせるために左右二つの小型カメラをステレオカメラカバーに取り付ける際に、小型ステレオカメラの位置を調整できるような工夫が為されている。
【0012】
特許文献3に開示されているように左右の撮像素子を機械的な調整を不要とするステレオカメラ構造については左右の小型カメラの調整を底面で行っており、3Dの撮影テストで不合格となった際のカメラの取り換えが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−242521号公報
【特許文献2】特開2006−91177号公報
【特許文献3】国際公開第2006/052024号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、近年の上記従来のステレオカメラについては、既存の携帯電話装置やデジタルカメラと同様に小型化や低コスト化が余儀なくされており、上記撮像面の高精度の取り付けに十分な調整部品と製造コストをかけるのが難しくなってきている。
【0015】
上記撮像面の高精度の取り付、例えば左右二つの小型カメラ間の距離や小型カメラの配置角度の「ずれ」を内部の画像信号処理によって補正する場合には多大な演算処理を必要とする。例えば、小型カメラの配置角度に「ずれ」がある場合には、予めより多くの受光部を持っておいて、「ずれ」た回転角度の方向に受光部を読み出す必要があって演算処理が困難となる。
【0016】
特許文献1、2では、小型ステレオカメラの位置調整は、調整用のねじやばねなど冶具が別途必要となり、作業工程の増加や部品点数の増加により、製造コストの増加や機器の大型化の懸念があった。
【0017】
特許文献3では、3Dの撮影テストで不合格となった際のカメラの取り換えが難しく、著しく作業時間が増加したり、左右二つの小型カメラ共に破棄することになるため、ステレオカメラセットとしての歩留まりが悪化するものと考えられる。また、特許文献3では、撮像素子の天面と小型ステレオカメラの組み品との間の公差が含まれ、3D映像の満足な位置の整合性が得られないという問題が発生することが容易に考えられる。
【0018】
また、小型ステレオカメラの取り付けにおいて、撮像素子位置決め面の構成や撮像素子抑えなどのためにステレオカメラカバー自体が大型化になり、小型のステレオカメラ、例えば携帯電話装置の3Dカメラには不向きであった。
【0019】
また、このような従来のステレオカメラの製造方法において、例えば左右二つの小型カメラを基板にハンダ実装を先に行うために、当該工程での公差が大きく、基板に取り付けた際の左右の位置的整合性の吸収を行うために、上記基板であるフレキシブルプリント基板が撓みを生じたり、撓みを含めた公差を考慮した場合は、前述の左右の撮像素子の光軸が合わずに3Dの品質が低下したり、接着面に不用意な負荷がかかるために落下試験などにおいて基板の割れや切断におよび、歩留まりを下げる要因の一つになっていた。
【0020】
このように、上記のようなステレオカメラについては、二つの撮像部のCCD撮像面の位置をいかに精度よく合致させるかが重要な製造上の課題となっていると共に、ステレオカメラの製造工程において、歩留まり低下や部品点数の増加によって、コスト増加や匡体が大型するという課題があった。
【0021】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、簡単な構成で左右2つの撮像部をステレオカメラカバーに容易かつ精度よく取り付けることにより、従来の製造工程で行っていた撮像テストにおけるカメラの歩留まりを上げると共に、その構成部品点数も増加することがなく、部品の小型化を可能にし、製造工数を低減して低コスト化を実現できるステレオカメラユニットおよびその製造方法、このステレオカメラユニットを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のステレオカメラユニットは、被写体からの画像光を光電変換して撮像する左右二つの固体撮像素子を用いて視差を有する左右二つの画像を得るステレオカメラユニットにおいて、該固体撮像素子を備えた左右二つの小型カメラと、該左右二つの小型カメラがそれぞれ内部に公差ゼロで挿入されて位置決めされているステレオカメラカバー部材と、該左右二つの小型カメラの各裏面の複数の電極にそれぞれ電気的に配線接続する配線用基板とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0023】
また、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるステレオカメラカバー部材の裏側の両側にはそれぞれ、前記左右の小型カメラを位置決めするように、該小型カメラを挿入して嵌め込むためのくぼみ部とこれらの間に連設されたつなぎ部とが一体的に形成されている。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるステレオカメラカバー部材は耐熱性のある金属素材で構成されている。
【0025】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるくぼみ部の底面中央位置に入射光用の穴部が設けられ、該穴部の周りに三角形の3頂点にそれぞれ対応するように突起部が三つ設けられ、該三つの突起部上に、挿入された前記小型カメラの天面が搭載されて、該小型カメラの撮像面が位置決めされている。
【0026】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるくぼみ部の内側面が外側に開くテーパ形状になっている。
【0027】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおける小型カメラの挿入側も、前記くぼみ部のテーパ状の内側面と同形状のテーパ状に形成されて、該くぼみ部と該小型カメラとがそれぞれのテーパで嵌合するようになっている。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるくぼみ部の平面視形状は4角形かまたは、該4角形の角部分を含むように円形状に切り欠きされている。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるステレオカメラカバー部材により、ステレオ画像を得る左右の前記小型カメラの位置的整合性が調整されている。
【0030】
本発明のステレオカメラユニットの製造方法は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する左右二つの固体撮像素子を用いて視差を有する左右二つの画像を得るステレオカメラユニットの製造方法において、該左右の二つの小型カメラのそれぞれを前記ステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入して該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付ける第1取付ステップと、該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた段階で3D撮像テストを行うテストステップと、該ステレオカメラカバー部材に取り付けられた該小型カメラの電極と配線基板の配線電極とを対応させて該小型カメラと該配線基板とを取り付ける第2取付ステップとを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0031】
また、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットの製造方法におけるテストステップにおいて、前記左右二つの小型カメラを駆動するための入力信号を外部からテスト用に用意すると共に、該小型カメラからの出力信号を外部で受けるように、前記ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた部材を脱着可能な結線手段を用いて3D撮像テストを行う。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットの製造方法におけるテストステップにおいて、前記小型カメラが不良の場合に、前記左右2つの小型カメラを破棄することなく、該不良の小型カメラのみを、前記ステレオカメラカバー部材のくぼみ部から取り換える取り換えステップを有する。
【0033】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記ステレオカメラユニットを画像入力デバイスとして撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0034】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0035】
本発明のステレオカメラユニットにおいては、固体撮像素子を備えた左右二つの小型カメラと、左右二つの小型カメラがそれぞれ内部に公差ゼロで挿入されて位置決めされているステレオカメラカバー部材と、左右二つの小型カメラの各裏面の複数の電極にそれぞれ電気的に配線接続する配線用基板とを有している。その製造方法は、左右の二つの小型カメラのそれぞれをステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入してステレオカメラカバー部材に小型カメラを取り付ける第1取付ステップと、ステレオカメラカバー部材に小型カメラを取り付けた段階で3D撮像テストを行うテストステップと、ステレオカメラカバー部材に取り付けられた小型カメラの電極と配線基板の配線電極とを対応させて小型カメラと配線基板とを取り付ける第2取付ステップとを有している。
【0036】
これによって、左右の二つの小型カメラのそれぞれをステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入してステレオカメラカバー部材に小型カメラを取り付けた後に3D撮像テストを行うために、左右2つの撮像部をステレオカメラカバー部材内に公差ゼロで挿入する簡単な構成でステレオカメラカバー部材に小型カメラを容易かつ精度よく取り付けるので、従来の製造工程で行っていた撮像テストにおける小型カメラの歩留まりを上げ得ると共に、その構成部品点数も増加することがなく、部品の小型化を可能にし、製造工数を低減して低コスト化を実現することが可能となる。
【0037】
また、従来のように小型カメラの電極と配線基板の配線電極とが半田接続されていないので、不良となった小型カメラを容易に取り外して良品部分を再利用することが容易に可能となる。
【発明の効果】
【0038】
以上により、本発明によれば、左右2つの撮像部をステレオカメラカバー部材内に公差ゼロで挿入する簡単な構成でステレオカメラカバー部材に小型カメラを容易かつ精度よく取り付けるため、従来の製造工程で行っていた撮像テストにおける小型カメラの歩留まりを上げると共に、その構成部品点数も増加することがなく、部品の小型化を可能にし、製造工数を低減して低コスト化を実現することができる。
【0039】
また、左右の二つの小型カメラのそれぞれをステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入して該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた後に3D撮像テストを行うため、従来のように小型カメラの電極と配線基板の配線電極とが半田接続されていないので、不良となった小型カメラを容易に取り外して良品部分を再利用することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態1におけるステレオカメラユニットの要部構成例を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)〜(d)は、図1のステレオカメラユニットおよびその製造工程を説明するための各部材の斜視図である。
【図3】図1のAA’線断面構成を模式的に示す断面図である。
【図4】図1の小型カメラの構成例を示す斜視図である。
【図5】図1の小型カメラの各部材を分解した分解斜視図である。
【図6】(a)および(b)は、配線用軟質フレキシブル基板を取り付けた図1のステレオカメラユニットを上方から見た平面図である。
【図7】(a)および(b)は、配線用軟質フレキシブル基板を取り付けた従来のステレオカメラユニットを上方から見た平面図である。
【図8】図1のステレオカメラユニットの3D画像テストの実施方法を説明するための流れ図である。
【図9】樹脂固定前のステレオカメラユニットを取り付けて外部から3D画像テストを行うためのソケットを模式的に示す斜視図であって、(a)はステレオカメラユニットをソケットに取り付けてソケットを挟み込んだ状態を示す斜視図、(b)はソケットを開いてステレオカメラユニットを取り出した状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1のステレオカメラユニット1を含む固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図11】(a)および(b)は、従来のステレオカメラユニットおよびその製造工程を説明するための各部材の斜視図である。
【図12】図11の従来のステレオカメラユニットに対して行う従来の3D撮像テストの実施方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明のステレオカメラユニットおよびその製造方法の実施形態1および、このステレオカメラユニットの実施形態1を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の実施形態2について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。
【0042】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1におけるステレオカメラユニットの要部構成例を模式的に示す斜視図である。
【0043】
図1において、本実施形態1のステレオカメラユニット1は、被写体からの画像光を光電変換して撮像するCCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子を備えた左右二つの小型カメラ2と、左右の小型カメラ2がそれぞれ内部に公差ゼロで挿入されて位置決めされた筐体構成(例えばアルミニュウム材などの金属筐体)のステレオカメラカバー3(ステレオカメラカバー部材)と、左右の小型カメラ2の各裏面側の複数の電極(図示せず)にそれぞれ電気的に配線接続する配線用軟質フレキシブル基板4とを有し、左右二つの小型カメラ2からの撮像信号を信号処理部(図示せず)で所定の立体視合成処理をして立体画像を得る。ステレオカメラユニット1と信号処理部(図示せず)により固体撮像装置が構成される。小型カメラ2については詳細に後述するが、ステレオカメラカバー3の左右の丸穴33の内部に各小型カメラ2がそれぞれ収容されている。
【0044】
図2(a)〜図2(d)は、図1のステレオカメラユニット1およびその製造工程を説明するための各部材の斜視図である。
【0045】
図2(a)に示すように、ステレオカメラカバー3の裏側の両端部にはそれぞれ、小型カメラ2をはめ込んで取り付けるためのくぼみ部31(凹部)とこれらの間に連設されたつなぎ部32とを一体的に形成し、ステレオカメラカバー3により左右の小型カメラ2を位置決めして、金属筐体(またはその他の材質の筐体)として一体成形されている。左右の二つのくぼみ部31の位置関係は精度よく形成されている。くぼみ部31(凹部)の底面中央位置に入射光用の穴部33が設けられ、穴部33の周りに正三角形の3頂点にそれぞれ対応するように突起部34が設けられている。この三つの突起部34上に、挿入された小型カメラ2の天面が搭載されて、小型カメラ2のレンズと穴部33との距離が精度よく位置決めされるようになっている。
【0046】
図2(b)に示す左右の二つの小型カメラ2は、裏面の電極21側が上になるように、ステレオカメラカバー3の裏側の両端部に設けられたくぼみ部31(凹部)内に公差ゼロで挿入されて図2(c)に示すようにステレオカメラカバー3に左右の小型カメラ2が精度よく位置決めされて取り付けられる。この場合に、左右二つの小型カメラ2から得られる映像信号(撮像信号)により合成処理して立体画像を生成する工程において、最も効果を高めた立体画像を得るために左右の整合性(位置決め精度:左右の小型カメラ2間の距離精度および、小型カメラ2の回転配置精度)を充分に取った左右の位置関係になるように、小型カメラ2とくぼみ部31(凹部)との間に公差を無くした小型カメラ取付構造となっている。
【0047】
ステレオカメラカバー3のくぼみ部31内への小型カメラ2の挿入は、図3に示すように、くぼみ部31の形状は平面視で4角形状であるが、そのくぼみ部31の底部に近づくほど狭くなるようにくぼみ部31の内側面が外側に開くテーパ形状になっている。一方、小型カメラ2の挿入側も、くぼみ部31のテーパ状の内側面と同形状のテーパ状に形成されて、くぼみ部31と小型カメラ2との嵌合関係の公差を「0」に設定して、精度よくテーパとテーパで嵌合するようになっている。この位置決め精度は、左右の小型カメラ2間の距離精度および、小型カメラ2の回転精度である。なお、このようなテーパ形状は、ここでは、くぼみ部31と小型カメラ2との両方に設けたが、くぼみ部31と小型カメラ2との少なくともいずれかに設けてもよい。また、このようなテーパ形状は、底面まで設けたが、くぼみ部31の内側面の深さ方向中央部まで設け、それよりも底部側はテーパを設けずに小型カメラ2と同様の間口とするかまたは、小型カメラ2の挿入間口よりも多少大きい間口サイズとしてもよい。この場合、くぼみ部31の内側面の深さ方向中央部膨れて開口サイズが狭くなっている。この狭くなった開口サイズ(底面までテーパが付いた場合も含む)と小型カメラ2の外周サイズとの嵌合公差をゼロに設定している。小型カメラ2の外周側万に、くぼみ部31の内側面の深さ方向中央部膨れた部分のリング状の頂部がはまり込むようにリング状の溝部を設けてもよく、小型カメラ2の溝部とくぼみ部31の内側面の膨れた部分とが互いに嵌り込むことにより、ノッチ感覚として挿入完了の確認となる。これらの小型カメラ2の溝部とくぼみ部31の内側面の膨れた部分とは互いに逆の部材に設けられていてもよい。さらに、くぼみ部31の平面視形状は4角形であるが、4角形の角部分が円形状に取り除かれていれば、くぼみ部31に小型カメラ2をより挿入し易くなる。
【0048】
また、二つの小型カメラ2を、ステレオカバー3の左右のくぼみ部31の底面に三つの突起部34まで公差ゼロで挿入して嵌め込むことにより、小型カメラ2の天面、即ち撮像レンズ面の左右および回転位置の整合性が確保されるようになっている。ここで、くぼみ部31に小型カメラ2を挿入後、左右の小型カメラ2のそれぞれの4箇所で樹脂固定(接着剤)することが好ましいが、その固定前に、このステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けた段階で3D撮像テストを行う。
【0049】
この3D撮像テストにおいて、左右二つの小型カメラ2を駆動するための入力信号および映像信号の出力信号を外部からテスト用に用意した容易に脱着が可能な結線を用いてテストを行う。テスト結果の成否において不具合のある少なくとも1つの小型カメラ2を容易に交換することができる。即ち、ステレオカメラカバー3の表側の丸穴33から通して小型カメラ2を突き出すことにより、容易にステレオカメラカバー3から小型カメラ2を取り出すことができる。
【0050】
このテスト終了後、図2(d)に示すように、ステレオカメラカバー3に取り付けた二つの小型カメラ2の各背面、即ち前述の小型カメラ2の入出力信号のための電極21に対して配線軟質フレキシブル基板4(配線基板)の電極部分を対応させて取り付ける。この場合、小型カメラ2の背面の各電極21と配線用軟質フレキシブル基板4の各電極部分を取り付ける際に、熱圧着などの取り付け方法が好ましい。配線用軟質フレキシブル基板4が取り付けられたステレオカメラユニット1は、この後、例えば携帯電話装置などの3Dカメラモジュールとして匡体に取り付けられ、カメラ制御部品としかるべき接続が為される。
【0051】
要するに、本実施形態1のステレオカメラユニット1の製造方法は、左右の二つの小型カメラ2のそれぞれをステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に公差ゼロで挿入してステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けるステップと、これを段階で3D撮像テストを行うステップと、ステレオカメラカバー3に取り付けられた小型カメラ2の電極と配線用軟質フレキシブル基板4の配線電極とを対応させて小型カメラ2と配線用軟質フレキシブル基板4とを取り付けるステップとを有する。
【0052】
ここまで述べたように、従来のステレオカメラに比べて本実施形態1のステレオカメラユニット1では、左右2つの小型カメラ2の位置の整合性を容易かつ確実に確保でき、ステレオカメラカバー3自体の大きさを小型化できると共に、テスト結果が不良となった際の部品の無駄を無くすことができる。
【0053】
図4は、図1の小型カメラ2の構成例を示す斜視図である。図5は、図1の小型カメラ2の各部材を分解した分解斜視図である。
【0054】
図4および図5に示すように、小型カメラ2は、被写体からの入射光をレンズユニット22から取り込んで、撮像素子231によって受光することにより被写体を撮像する。このため、小型カメラ2は、レンズユニット22と、撮像素子231が基板232の表面中央部に形成された撮像部材23とを備えている。上記撮像素子231は、レンズユニット22を通過した入射光を受けて、光を電気信号に変換する撮像素子である。具体例としては、CCD(charge-coupled device)などが挙げられる。変換された電気信号(撮像信号)は、図2(b)の端子21を介して、画像信号処理部が設けられた図示しない画像処理装置に向けて出力される。上記基板232は、一表面中央部に上記撮像素子231を有している。また、上記基板232はレンズ鏡筒221が組み合わされたホルダ部材222と連結している。連結方法としては、レンズ鏡筒221が組み合わされたホルダ部材222と連結している。連結方法としては、上下面にそれぞれホルダの位置決め部と基板232の位置決め部を有している連結用の部材を用いて接着する構成であってもよく、また、連結用の部材を設けずにホルダの下面と基板232の上面を合わせて接着する構成であってもよい。即ち、前述の小型カメラ2の撮像面はレンズユニット22の天面になり、上述の図3の公差を無くして作成されたステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に公差ゼロではめ込むことにより、撮像面の精度(左右の小型カメラ2間の距離精度および、小型カメラ2の回転精度)が確保される。
【0055】
次に、カメラカバー3の小型化について詳細を説明する。
【0056】
図6(a)および図6(b)は、配線用軟質フレキシブル基板4を取り付けた図1のステレオカメラユニット1を上方から見た平面図である。
【0057】
ステレオカメラカバー3に小型カメラ2が公差ゼロで挿入されて取り付けられている。このため、小型カメラ2への配線用フレキシブル基板4の取り付けが理想的な場合(ずれがない場合)を図6(a)に示し、小型カメラ2への配線用フレキシブル基板4の取り付けにずれが生じた場合を図6(b)に示している。図6(b)に示すような「ずれ」が生じていても、その左右の二つの小型カメラ2の整合性(左右の小型カメラ2間の距離精度および、小型カメラ2の回転精度)については確保されており、撮像画像については問題なく良好なものが得られる。
【0058】
これに対して、配線用軟質フレキシブル基板を取り付けた従来のステレオカメラユニットについて図7(a)および図7(b)を用いて説明する。
【0059】
図7(a)および図7(b)は、配線用軟質フレキシブル基板を取り付けた従来のステレオカメラユニットを上方から見た平面図である。
【0060】
従来のステレオカメラユニットでは、左右二つの小型カメラと配線用フレキシブル基板とを先に取り付けた後に、左右二つの小型カメラにカメラカバーが取り付けられる。このため、ステレオカメラカバーの裏面側のくぼみ部(凹部)とこれに嵌合させる小型カメラとの寸法関係がある程度の公差を含んだ大きさが必要とされる。即ち、図7(b)に示すように左右二つの小型カメラと配線用フレキシブル基板との「ずれ」を生じた際を一例に説明すると、左右二つの小型カメラはそれぞれX方向およびY方向に互いに「ずれ」て取り付けられる可能性がある。このため、この「ずれ」た左右二つの小型カメラをカバーするために、ステレオカメラカバーはそのX方向またはY方向の「ずれ」た位置分だけ、ステレオカメラカバーの裏面側のくぼみ部(凹部)の寸法を大きくする必要がある。また、予め公差を考えて大きめに作成されたステレオカメラカバーのくぼみ部(凹部)の大きさよりも「ずれ」が大きかった際には、ステレオカメラカバーに無理に、左右二つの小型カメラを取り付けることにより、配線用フレキシブル基板がゆがんだり、ねじれたりすることが容易に想像ができる。
【0061】
次に、3D撮像テストの実施において、本実施形態1のステレオカメラユニット1ではテスト結果が不良になった際にも、小型カメラ2やステレオカメラカバー3などの部品の無駄をなくすことができることについて、以下に詳細に説明する。
【0062】
図8は、図1のステレオカメラユニット1における3D画像テストの実施方法を説明するための流れ図である。
【0063】
まず、図8に示すように、左右の二つの小型カメラ2は単体特性試験済のものであり、小型カメラ2それぞれをステレオカメラカバー3に公差ゼロで挿入して取り付ける。
【0064】
次に、ステレオカメラカバー3に取り付けた左右の二つの小型カメラ2は、3Dの撮像テストを行うが、撮像に必要な入出力制御信号は、外部からテスト用に用意した容易にステレオカメラユニット1を脱着が可能なソケットを用いる。そのソケットを図9に示している。
【0065】
図9は、樹脂固定前のステレオカメラユニット1を取り付けて外部から3D画像テストを行うためのソケットを模式的に示す斜視図であって、(a)はステレオカメラユニット1をソケットに取り付けて挟み込んだ状態を示す斜視図、(b)はソケットを開いてステレオカメラユニット1を取り出した状態を示す斜視図である。
【0066】
図9(a)および図9(b)に示すように、左右二つの小型カメラ2を駆動するための入力信号を外部からテスト用に用意すると共に、小型カメラ2からの出力信号を外部で受けるように、ステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けた部材を脱着可能な結線手段としてのソケット5を用いて3D撮像テストを行う。このソケット5のふた部分52について、ステレオカメラカバー3から露出している左右二つの小型カメラ2のレンズ面24が外部の様子を撮像出来るように適当な大きさの穴521が明いている。また、ソケット5の底面部51に構成されるくぼみ部511は、その大きさがステレオカメラカバー3が入る充分な大きさを有している。ステレオカメラユニット1の底面部51のくぼみ部511内に、左右二つの小型カメラ2の撮像素子231の裏面の電極21が底面にくるように挿入し、くぼみ部511の底面の電極512と小型カメラ2の電極21とが電気的に接触することにより通電され、外部出力端子513より外部に、各撮像素子231からの撮像信号を出力させることにより3D撮像テストが可能になる。
【0067】
即ち、くぼみ部511の底面の電極512とソケット5内部にて外部出力端子513と電気的結線が施されている。このように、樹脂固定前のステレオカメラユニット1に対して、しかるべき3D撮像テストを行い、そのテスト結果により撮像試験がNGとなった場合、図8の「NG」で示すように不良の小型カメラ2をステレオカメラカバー3の左右の丸穴33から突いて容易に損傷なく取り出すことができる。ステレオカメラカバー3に対して小型カメラ2を交換することができる。ここで不良となった小型カメラ2が左右二つのうちの一つであれば、その不良の小型カメラ2を一つだけ交換すれば、良品の小型カメラ2とステレオカメラカバー3とについては再度流用が可能である。3D撮像試験が良品としてPass した際はそのまま配線用軟質フレキシブル基板4の取り付けを行い、しかるべきステレオカメラユニット1の匡体、例えば後述する3Dカメラ搭載の携帯電話装置などに組み込まれる。
【0068】
以上により、本実施形態1によれば、左右二つの小型カメラ2から映像を得ることができるステレオカメラユニット1であって、左右二つの小型カメラ2を配線するフレキシブル基板4を有し、3Dの映像を精度よく得るために、左右二つの小型カメラ2を固定するためのステレオカメラカバー3を有するステレオカメラユニット1の製造プロセスにおいて、まず、所定の間隔を開けて設置する左右二つの小型カメラ2をステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に挿入して取り付け、ステレオカメラカバー3は立体画像を得る左右の位置的な整合性の調整を行い、左右二つの小型カメラ2のそれぞれの撮像面を天面で固定する。
【0069】
次に、フレキシブルプリント基板4は左右二つの小型カメラ2をステレオカメラカバー3に固定した後で取り付けることにより、その取り付け時に生じる左右二つの小型カメラ2間の公差をより小さくすることができる。
【0070】
これによって、製造公差のばらつきを抑えることにより、より精度の高い左右の撮像素子の光軸合わせが可能となり、良好な立体映像を得ることができる。また、3D撮像テストは小型カメラ2をステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に挿入した後に行い、左右二つの小型カメラ2のいずれかが不良の場合に左右二つの小型カメラ2を全て破棄することなく、不良の小型カメラ2のみを取り換えて歩留まりを軽減することができる。さらに、ステレオカメラカバー3については、ステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けた状態でフレキシブル基板4(または硬質フレキシブル基板)に取り付けができる耐熱性のある金属素材であることが望ましい。
【0071】
したがって、所定の間隔を開けて設置する左右二つのステレオカメラ用小型カメラ2を保護するステレオカメラカバー3に小型カメラ2の撮像面を天面で合わせ、フレキシブルプリント基板4は、ステレオカメラカバー3のくぼみ部31に小型カメラ2を挿入した後に取り付けるため、より精度の高い左右二つの小型カメラ2の光軸合わせを行うことができて、歩留まり低下や部品点数の増加によって、コスト増加や匡体が大型化になることを抑えることができる。
【0072】
このように、配線用軟質フレキシブル基板4が取り付けられたステレオカメラユニット1は、この後、例えば携帯電話装置の3Dカメラモジュールなどとして匡体に取り付けられ、カメラ制御部品としかるべき接続が為される。
【0073】
(実施形態2)
図10は、本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1のステレオカメラユニット1を含む固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0074】
図10において、本実施形態2の電子情報機器90は、上記実施形態1のステレオカメラユニット1からの撮像信号に所定の画像信号処理(ノイズ除去、ホワイトバランス、γ補正、色補間およびマトリクス処理などの信号処理に加えてここで立体合成処理を行ってもよい)をしてカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示部93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信部94と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を印刷用に所定の印刷信号処理(合成された立体視画像信号から左右の一方の画像信号を抜き取るかまたは左右の一方の画像信号を用いてもよい)をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力部95とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示部93と、通信部94と、プリンタなどの画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
【0075】
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
【0076】
したがって、本実施形態3によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力部95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
【0077】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1、2を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1、2に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1、2の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
被写体からの画像光を光電変換して撮像するCCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子を備えた左右二つの撮像部を用いて立体画像を得るステレオカメラユニットおよびその製造方法、このステレオカメラユニットを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の分野において、左右2つの撮像部をステレオカメラカバー部材内に公差ゼロで挿入する簡単な構成でステレオカメラカバー部材に小型カメラを容易かつ精度よく取り付けるため、従来の製造工程で行っていた撮像テストにおける小型カメラの歩留まりを上げると共に、その構成部品点数も増加することがなく、部品の小型化を可能にし、製造工数を低減して低コスト化を実現することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 ステレオカメラユニット
2 小型カメラ
21 電極
22レンズユニット
221 レンズ鏡筒
222 ホルダ部材
23 撮像部材
231 撮像素子
232 基板
24 レンズ面
3 ステレオカメラカバー
31 くぼみ部(凹部)
32 つなぎ部
33 丸穴
34 突起部
4 配線用軟質フレキシブル基板(配線用基板)
5 ソケット(結線手段)
51 底面部
511 くぼみ部
512 電極
52 ふた部分
521 穴
90 電子情報機器
91 固体撮像装置
92 メモリ部
93 表示部
94 通信部
95 画像出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体からの画像光を光電変換して撮像するCCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子を備えた左右二つの撮像部(小型カメラ)を用いて視差を有する二つの画像を得るステレオカメラユニットおよびその製造方法、このステレオカメラユニットからの左右の撮像信号を合成して立体視画像信号を得る3Dの固体撮像装置を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来のステレオカメラは多岐にわたる商品展開が為されている。従来のステレオカメラにおいて、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子を備えた左右二つの撮像部を用いて、視差を有する二つの画像を得ている。
【0003】
この従来のステレオカメラは、左右に離れた2点で撮影した視点の異なる二枚の画像を左の眼と右の眼で個別に見ることによって、3Dステレオ写真や3Dステレオ動画として立体像を鑑賞することができる。これらの3Dステレオ写真や3Dステレオ動画には長い歴史がある。
【0004】
この3Dステレオ写真において、最も効果を高めた立体画像を得るためには、左の画像と右の画像の位置的な整合性が重要となる。左の画像と右の画像の位置的な整合性、即ち、左右二つの小型カメラの距離や配置角度などが不適切であると、立体画像の効果がなくなったり、見るに堪えない画像が得られてしまう。
【0005】
ここで、従来のステレオカメラユニットについて説明する。
【0006】
図11(a)および図11(b)は、従来のステレオカメラユニットおよびその製造工程を説明するための各部材の斜視図である。
【0007】
図11(a)に示すように、左右二つの小型カメラ101は、製造工程において、まず配線用フレキシブル基盤102に取り付けられる。この際、小型カメラ2の背面の電極との接続においては、左右二つの小型カメラ101のそれぞれに対して熱圧着方式で行われ、そこに、図11(b)に示すようにステレオカメラカバー103を被せる。これによって、従来のステレオカメラユニット100が構成される。
【0008】
従来のステレオカメラユニット100の画像試験方法では、ステレオカメラユニット100が不良の場合に、左右二つの小型カメラ101と、そこに取り付けられた配線用フレキシブル基板4ともどもセットとして不良品とされていた。また、左右二つの小型カメラ101を配線用フレキシブル基板102に取り付けた際に発生する左右の位置的ずれを補正するために強制的にステレオカメラカバー103をはめ込むことにより生じる配線用フレキシブル基板102のゆがみやねじれが原因して、落下試験などにてこの配線用フレキシブル基板102の切断や割れなどが発生していた。
【0009】
図12は、図11の従来のステレオカメラユニット100に対して行う従来の3D撮像テストの実施方法を示す流れ図である。
【0010】
従来の方式について、図12に示すように、左右二つの小型カメラ101の取り付けはそれぞれ、まず、配線用フレキシブル基板102に取り付けられる。配線用フレキシブル基板102は小型カメラ101をハンダで圧着させることが一般的であり、この作業において小型カメラ101のずれが容易に起こり得ることが知られている。配線用フレキシブル基板102の取り付け作業の後に、上記3Dの撮像テストを行い、そのテスト結果で撮像試験がNGとなった場合に、図12のNGで示すようにこのステレオカメラユニット100ごと破棄される。ここで、不良の小型カメラ101のみ交換してももちろん構わないが、ハンダ付けされた配線用フレキシブル基板102から取り外すことは多大な労力と作業時間を有することが容易に想像できる。つまり、従来の3D撮像テストの実施方法については部品の無駄や作業の非効率なところが存在していた。
【0011】
このため、例えば特許文献1、2に提案されているように、左右の撮像素子の光軸を合わせるために左右二つの小型カメラをステレオカメラカバーに取り付ける際に、小型ステレオカメラの位置を調整できるような工夫が為されている。
【0012】
特許文献3に開示されているように左右の撮像素子を機械的な調整を不要とするステレオカメラ構造については左右の小型カメラの調整を底面で行っており、3Dの撮影テストで不合格となった際のカメラの取り換えが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−242521号公報
【特許文献2】特開2006−91177号公報
【特許文献3】国際公開第2006/052024号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、近年の上記従来のステレオカメラについては、既存の携帯電話装置やデジタルカメラと同様に小型化や低コスト化が余儀なくされており、上記撮像面の高精度の取り付けに十分な調整部品と製造コストをかけるのが難しくなってきている。
【0015】
上記撮像面の高精度の取り付、例えば左右二つの小型カメラ間の距離や小型カメラの配置角度の「ずれ」を内部の画像信号処理によって補正する場合には多大な演算処理を必要とする。例えば、小型カメラの配置角度に「ずれ」がある場合には、予めより多くの受光部を持っておいて、「ずれ」た回転角度の方向に受光部を読み出す必要があって演算処理が困難となる。
【0016】
特許文献1、2では、小型ステレオカメラの位置調整は、調整用のねじやばねなど冶具が別途必要となり、作業工程の増加や部品点数の増加により、製造コストの増加や機器の大型化の懸念があった。
【0017】
特許文献3では、3Dの撮影テストで不合格となった際のカメラの取り換えが難しく、著しく作業時間が増加したり、左右二つの小型カメラ共に破棄することになるため、ステレオカメラセットとしての歩留まりが悪化するものと考えられる。また、特許文献3では、撮像素子の天面と小型ステレオカメラの組み品との間の公差が含まれ、3D映像の満足な位置の整合性が得られないという問題が発生することが容易に考えられる。
【0018】
また、小型ステレオカメラの取り付けにおいて、撮像素子位置決め面の構成や撮像素子抑えなどのためにステレオカメラカバー自体が大型化になり、小型のステレオカメラ、例えば携帯電話装置の3Dカメラには不向きであった。
【0019】
また、このような従来のステレオカメラの製造方法において、例えば左右二つの小型カメラを基板にハンダ実装を先に行うために、当該工程での公差が大きく、基板に取り付けた際の左右の位置的整合性の吸収を行うために、上記基板であるフレキシブルプリント基板が撓みを生じたり、撓みを含めた公差を考慮した場合は、前述の左右の撮像素子の光軸が合わずに3Dの品質が低下したり、接着面に不用意な負荷がかかるために落下試験などにおいて基板の割れや切断におよび、歩留まりを下げる要因の一つになっていた。
【0020】
このように、上記のようなステレオカメラについては、二つの撮像部のCCD撮像面の位置をいかに精度よく合致させるかが重要な製造上の課題となっていると共に、ステレオカメラの製造工程において、歩留まり低下や部品点数の増加によって、コスト増加や匡体が大型するという課題があった。
【0021】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、簡単な構成で左右2つの撮像部をステレオカメラカバーに容易かつ精度よく取り付けることにより、従来の製造工程で行っていた撮像テストにおけるカメラの歩留まりを上げると共に、その構成部品点数も増加することがなく、部品の小型化を可能にし、製造工数を低減して低コスト化を実現できるステレオカメラユニットおよびその製造方法、このステレオカメラユニットを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のステレオカメラユニットは、被写体からの画像光を光電変換して撮像する左右二つの固体撮像素子を用いて視差を有する左右二つの画像を得るステレオカメラユニットにおいて、該固体撮像素子を備えた左右二つの小型カメラと、該左右二つの小型カメラがそれぞれ内部に公差ゼロで挿入されて位置決めされているステレオカメラカバー部材と、該左右二つの小型カメラの各裏面の複数の電極にそれぞれ電気的に配線接続する配線用基板とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0023】
また、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるステレオカメラカバー部材の裏側の両側にはそれぞれ、前記左右の小型カメラを位置決めするように、該小型カメラを挿入して嵌め込むためのくぼみ部とこれらの間に連設されたつなぎ部とが一体的に形成されている。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるステレオカメラカバー部材は耐熱性のある金属素材で構成されている。
【0025】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるくぼみ部の底面中央位置に入射光用の穴部が設けられ、該穴部の周りに三角形の3頂点にそれぞれ対応するように突起部が三つ設けられ、該三つの突起部上に、挿入された前記小型カメラの天面が搭載されて、該小型カメラの撮像面が位置決めされている。
【0026】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるくぼみ部の内側面が外側に開くテーパ形状になっている。
【0027】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおける小型カメラの挿入側も、前記くぼみ部のテーパ状の内側面と同形状のテーパ状に形成されて、該くぼみ部と該小型カメラとがそれぞれのテーパで嵌合するようになっている。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるくぼみ部の平面視形状は4角形かまたは、該4角形の角部分を含むように円形状に切り欠きされている。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットにおけるステレオカメラカバー部材により、ステレオ画像を得る左右の前記小型カメラの位置的整合性が調整されている。
【0030】
本発明のステレオカメラユニットの製造方法は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する左右二つの固体撮像素子を用いて視差を有する左右二つの画像を得るステレオカメラユニットの製造方法において、該左右の二つの小型カメラのそれぞれを前記ステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入して該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付ける第1取付ステップと、該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた段階で3D撮像テストを行うテストステップと、該ステレオカメラカバー部材に取り付けられた該小型カメラの電極と配線基板の配線電極とを対応させて該小型カメラと該配線基板とを取り付ける第2取付ステップとを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0031】
また、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットの製造方法におけるテストステップにおいて、前記左右二つの小型カメラを駆動するための入力信号を外部からテスト用に用意すると共に、該小型カメラからの出力信号を外部で受けるように、前記ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた部材を脱着可能な結線手段を用いて3D撮像テストを行う。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明のステレオカメラユニットの製造方法におけるテストステップにおいて、前記小型カメラが不良の場合に、前記左右2つの小型カメラを破棄することなく、該不良の小型カメラのみを、前記ステレオカメラカバー部材のくぼみ部から取り換える取り換えステップを有する。
【0033】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記ステレオカメラユニットを画像入力デバイスとして撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0034】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0035】
本発明のステレオカメラユニットにおいては、固体撮像素子を備えた左右二つの小型カメラと、左右二つの小型カメラがそれぞれ内部に公差ゼロで挿入されて位置決めされているステレオカメラカバー部材と、左右二つの小型カメラの各裏面の複数の電極にそれぞれ電気的に配線接続する配線用基板とを有している。その製造方法は、左右の二つの小型カメラのそれぞれをステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入してステレオカメラカバー部材に小型カメラを取り付ける第1取付ステップと、ステレオカメラカバー部材に小型カメラを取り付けた段階で3D撮像テストを行うテストステップと、ステレオカメラカバー部材に取り付けられた小型カメラの電極と配線基板の配線電極とを対応させて小型カメラと配線基板とを取り付ける第2取付ステップとを有している。
【0036】
これによって、左右の二つの小型カメラのそれぞれをステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入してステレオカメラカバー部材に小型カメラを取り付けた後に3D撮像テストを行うために、左右2つの撮像部をステレオカメラカバー部材内に公差ゼロで挿入する簡単な構成でステレオカメラカバー部材に小型カメラを容易かつ精度よく取り付けるので、従来の製造工程で行っていた撮像テストにおける小型カメラの歩留まりを上げ得ると共に、その構成部品点数も増加することがなく、部品の小型化を可能にし、製造工数を低減して低コスト化を実現することが可能となる。
【0037】
また、従来のように小型カメラの電極と配線基板の配線電極とが半田接続されていないので、不良となった小型カメラを容易に取り外して良品部分を再利用することが容易に可能となる。
【発明の効果】
【0038】
以上により、本発明によれば、左右2つの撮像部をステレオカメラカバー部材内に公差ゼロで挿入する簡単な構成でステレオカメラカバー部材に小型カメラを容易かつ精度よく取り付けるため、従来の製造工程で行っていた撮像テストにおける小型カメラの歩留まりを上げると共に、その構成部品点数も増加することがなく、部品の小型化を可能にし、製造工数を低減して低コスト化を実現することができる。
【0039】
また、左右の二つの小型カメラのそれぞれをステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入して該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた後に3D撮像テストを行うため、従来のように小型カメラの電極と配線基板の配線電極とが半田接続されていないので、不良となった小型カメラを容易に取り外して良品部分を再利用することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態1におけるステレオカメラユニットの要部構成例を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)〜(d)は、図1のステレオカメラユニットおよびその製造工程を説明するための各部材の斜視図である。
【図3】図1のAA’線断面構成を模式的に示す断面図である。
【図4】図1の小型カメラの構成例を示す斜視図である。
【図5】図1の小型カメラの各部材を分解した分解斜視図である。
【図6】(a)および(b)は、配線用軟質フレキシブル基板を取り付けた図1のステレオカメラユニットを上方から見た平面図である。
【図7】(a)および(b)は、配線用軟質フレキシブル基板を取り付けた従来のステレオカメラユニットを上方から見た平面図である。
【図8】図1のステレオカメラユニットの3D画像テストの実施方法を説明するための流れ図である。
【図9】樹脂固定前のステレオカメラユニットを取り付けて外部から3D画像テストを行うためのソケットを模式的に示す斜視図であって、(a)はステレオカメラユニットをソケットに取り付けてソケットを挟み込んだ状態を示す斜視図、(b)はソケットを開いてステレオカメラユニットを取り出した状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1のステレオカメラユニット1を含む固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図11】(a)および(b)は、従来のステレオカメラユニットおよびその製造工程を説明するための各部材の斜視図である。
【図12】図11の従来のステレオカメラユニットに対して行う従来の3D撮像テストの実施方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明のステレオカメラユニットおよびその製造方法の実施形態1および、このステレオカメラユニットの実施形態1を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の実施形態2について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。
【0042】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1におけるステレオカメラユニットの要部構成例を模式的に示す斜視図である。
【0043】
図1において、本実施形態1のステレオカメラユニット1は、被写体からの画像光を光電変換して撮像するCCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子を備えた左右二つの小型カメラ2と、左右の小型カメラ2がそれぞれ内部に公差ゼロで挿入されて位置決めされた筐体構成(例えばアルミニュウム材などの金属筐体)のステレオカメラカバー3(ステレオカメラカバー部材)と、左右の小型カメラ2の各裏面側の複数の電極(図示せず)にそれぞれ電気的に配線接続する配線用軟質フレキシブル基板4とを有し、左右二つの小型カメラ2からの撮像信号を信号処理部(図示せず)で所定の立体視合成処理をして立体画像を得る。ステレオカメラユニット1と信号処理部(図示せず)により固体撮像装置が構成される。小型カメラ2については詳細に後述するが、ステレオカメラカバー3の左右の丸穴33の内部に各小型カメラ2がそれぞれ収容されている。
【0044】
図2(a)〜図2(d)は、図1のステレオカメラユニット1およびその製造工程を説明するための各部材の斜視図である。
【0045】
図2(a)に示すように、ステレオカメラカバー3の裏側の両端部にはそれぞれ、小型カメラ2をはめ込んで取り付けるためのくぼみ部31(凹部)とこれらの間に連設されたつなぎ部32とを一体的に形成し、ステレオカメラカバー3により左右の小型カメラ2を位置決めして、金属筐体(またはその他の材質の筐体)として一体成形されている。左右の二つのくぼみ部31の位置関係は精度よく形成されている。くぼみ部31(凹部)の底面中央位置に入射光用の穴部33が設けられ、穴部33の周りに正三角形の3頂点にそれぞれ対応するように突起部34が設けられている。この三つの突起部34上に、挿入された小型カメラ2の天面が搭載されて、小型カメラ2のレンズと穴部33との距離が精度よく位置決めされるようになっている。
【0046】
図2(b)に示す左右の二つの小型カメラ2は、裏面の電極21側が上になるように、ステレオカメラカバー3の裏側の両端部に設けられたくぼみ部31(凹部)内に公差ゼロで挿入されて図2(c)に示すようにステレオカメラカバー3に左右の小型カメラ2が精度よく位置決めされて取り付けられる。この場合に、左右二つの小型カメラ2から得られる映像信号(撮像信号)により合成処理して立体画像を生成する工程において、最も効果を高めた立体画像を得るために左右の整合性(位置決め精度:左右の小型カメラ2間の距離精度および、小型カメラ2の回転配置精度)を充分に取った左右の位置関係になるように、小型カメラ2とくぼみ部31(凹部)との間に公差を無くした小型カメラ取付構造となっている。
【0047】
ステレオカメラカバー3のくぼみ部31内への小型カメラ2の挿入は、図3に示すように、くぼみ部31の形状は平面視で4角形状であるが、そのくぼみ部31の底部に近づくほど狭くなるようにくぼみ部31の内側面が外側に開くテーパ形状になっている。一方、小型カメラ2の挿入側も、くぼみ部31のテーパ状の内側面と同形状のテーパ状に形成されて、くぼみ部31と小型カメラ2との嵌合関係の公差を「0」に設定して、精度よくテーパとテーパで嵌合するようになっている。この位置決め精度は、左右の小型カメラ2間の距離精度および、小型カメラ2の回転精度である。なお、このようなテーパ形状は、ここでは、くぼみ部31と小型カメラ2との両方に設けたが、くぼみ部31と小型カメラ2との少なくともいずれかに設けてもよい。また、このようなテーパ形状は、底面まで設けたが、くぼみ部31の内側面の深さ方向中央部まで設け、それよりも底部側はテーパを設けずに小型カメラ2と同様の間口とするかまたは、小型カメラ2の挿入間口よりも多少大きい間口サイズとしてもよい。この場合、くぼみ部31の内側面の深さ方向中央部膨れて開口サイズが狭くなっている。この狭くなった開口サイズ(底面までテーパが付いた場合も含む)と小型カメラ2の外周サイズとの嵌合公差をゼロに設定している。小型カメラ2の外周側万に、くぼみ部31の内側面の深さ方向中央部膨れた部分のリング状の頂部がはまり込むようにリング状の溝部を設けてもよく、小型カメラ2の溝部とくぼみ部31の内側面の膨れた部分とが互いに嵌り込むことにより、ノッチ感覚として挿入完了の確認となる。これらの小型カメラ2の溝部とくぼみ部31の内側面の膨れた部分とは互いに逆の部材に設けられていてもよい。さらに、くぼみ部31の平面視形状は4角形であるが、4角形の角部分が円形状に取り除かれていれば、くぼみ部31に小型カメラ2をより挿入し易くなる。
【0048】
また、二つの小型カメラ2を、ステレオカバー3の左右のくぼみ部31の底面に三つの突起部34まで公差ゼロで挿入して嵌め込むことにより、小型カメラ2の天面、即ち撮像レンズ面の左右および回転位置の整合性が確保されるようになっている。ここで、くぼみ部31に小型カメラ2を挿入後、左右の小型カメラ2のそれぞれの4箇所で樹脂固定(接着剤)することが好ましいが、その固定前に、このステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けた段階で3D撮像テストを行う。
【0049】
この3D撮像テストにおいて、左右二つの小型カメラ2を駆動するための入力信号および映像信号の出力信号を外部からテスト用に用意した容易に脱着が可能な結線を用いてテストを行う。テスト結果の成否において不具合のある少なくとも1つの小型カメラ2を容易に交換することができる。即ち、ステレオカメラカバー3の表側の丸穴33から通して小型カメラ2を突き出すことにより、容易にステレオカメラカバー3から小型カメラ2を取り出すことができる。
【0050】
このテスト終了後、図2(d)に示すように、ステレオカメラカバー3に取り付けた二つの小型カメラ2の各背面、即ち前述の小型カメラ2の入出力信号のための電極21に対して配線軟質フレキシブル基板4(配線基板)の電極部分を対応させて取り付ける。この場合、小型カメラ2の背面の各電極21と配線用軟質フレキシブル基板4の各電極部分を取り付ける際に、熱圧着などの取り付け方法が好ましい。配線用軟質フレキシブル基板4が取り付けられたステレオカメラユニット1は、この後、例えば携帯電話装置などの3Dカメラモジュールとして匡体に取り付けられ、カメラ制御部品としかるべき接続が為される。
【0051】
要するに、本実施形態1のステレオカメラユニット1の製造方法は、左右の二つの小型カメラ2のそれぞれをステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に公差ゼロで挿入してステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けるステップと、これを段階で3D撮像テストを行うステップと、ステレオカメラカバー3に取り付けられた小型カメラ2の電極と配線用軟質フレキシブル基板4の配線電極とを対応させて小型カメラ2と配線用軟質フレキシブル基板4とを取り付けるステップとを有する。
【0052】
ここまで述べたように、従来のステレオカメラに比べて本実施形態1のステレオカメラユニット1では、左右2つの小型カメラ2の位置の整合性を容易かつ確実に確保でき、ステレオカメラカバー3自体の大きさを小型化できると共に、テスト結果が不良となった際の部品の無駄を無くすことができる。
【0053】
図4は、図1の小型カメラ2の構成例を示す斜視図である。図5は、図1の小型カメラ2の各部材を分解した分解斜視図である。
【0054】
図4および図5に示すように、小型カメラ2は、被写体からの入射光をレンズユニット22から取り込んで、撮像素子231によって受光することにより被写体を撮像する。このため、小型カメラ2は、レンズユニット22と、撮像素子231が基板232の表面中央部に形成された撮像部材23とを備えている。上記撮像素子231は、レンズユニット22を通過した入射光を受けて、光を電気信号に変換する撮像素子である。具体例としては、CCD(charge-coupled device)などが挙げられる。変換された電気信号(撮像信号)は、図2(b)の端子21を介して、画像信号処理部が設けられた図示しない画像処理装置に向けて出力される。上記基板232は、一表面中央部に上記撮像素子231を有している。また、上記基板232はレンズ鏡筒221が組み合わされたホルダ部材222と連結している。連結方法としては、レンズ鏡筒221が組み合わされたホルダ部材222と連結している。連結方法としては、上下面にそれぞれホルダの位置決め部と基板232の位置決め部を有している連結用の部材を用いて接着する構成であってもよく、また、連結用の部材を設けずにホルダの下面と基板232の上面を合わせて接着する構成であってもよい。即ち、前述の小型カメラ2の撮像面はレンズユニット22の天面になり、上述の図3の公差を無くして作成されたステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に公差ゼロではめ込むことにより、撮像面の精度(左右の小型カメラ2間の距離精度および、小型カメラ2の回転精度)が確保される。
【0055】
次に、カメラカバー3の小型化について詳細を説明する。
【0056】
図6(a)および図6(b)は、配線用軟質フレキシブル基板4を取り付けた図1のステレオカメラユニット1を上方から見た平面図である。
【0057】
ステレオカメラカバー3に小型カメラ2が公差ゼロで挿入されて取り付けられている。このため、小型カメラ2への配線用フレキシブル基板4の取り付けが理想的な場合(ずれがない場合)を図6(a)に示し、小型カメラ2への配線用フレキシブル基板4の取り付けにずれが生じた場合を図6(b)に示している。図6(b)に示すような「ずれ」が生じていても、その左右の二つの小型カメラ2の整合性(左右の小型カメラ2間の距離精度および、小型カメラ2の回転精度)については確保されており、撮像画像については問題なく良好なものが得られる。
【0058】
これに対して、配線用軟質フレキシブル基板を取り付けた従来のステレオカメラユニットについて図7(a)および図7(b)を用いて説明する。
【0059】
図7(a)および図7(b)は、配線用軟質フレキシブル基板を取り付けた従来のステレオカメラユニットを上方から見た平面図である。
【0060】
従来のステレオカメラユニットでは、左右二つの小型カメラと配線用フレキシブル基板とを先に取り付けた後に、左右二つの小型カメラにカメラカバーが取り付けられる。このため、ステレオカメラカバーの裏面側のくぼみ部(凹部)とこれに嵌合させる小型カメラとの寸法関係がある程度の公差を含んだ大きさが必要とされる。即ち、図7(b)に示すように左右二つの小型カメラと配線用フレキシブル基板との「ずれ」を生じた際を一例に説明すると、左右二つの小型カメラはそれぞれX方向およびY方向に互いに「ずれ」て取り付けられる可能性がある。このため、この「ずれ」た左右二つの小型カメラをカバーするために、ステレオカメラカバーはそのX方向またはY方向の「ずれ」た位置分だけ、ステレオカメラカバーの裏面側のくぼみ部(凹部)の寸法を大きくする必要がある。また、予め公差を考えて大きめに作成されたステレオカメラカバーのくぼみ部(凹部)の大きさよりも「ずれ」が大きかった際には、ステレオカメラカバーに無理に、左右二つの小型カメラを取り付けることにより、配線用フレキシブル基板がゆがんだり、ねじれたりすることが容易に想像ができる。
【0061】
次に、3D撮像テストの実施において、本実施形態1のステレオカメラユニット1ではテスト結果が不良になった際にも、小型カメラ2やステレオカメラカバー3などの部品の無駄をなくすことができることについて、以下に詳細に説明する。
【0062】
図8は、図1のステレオカメラユニット1における3D画像テストの実施方法を説明するための流れ図である。
【0063】
まず、図8に示すように、左右の二つの小型カメラ2は単体特性試験済のものであり、小型カメラ2それぞれをステレオカメラカバー3に公差ゼロで挿入して取り付ける。
【0064】
次に、ステレオカメラカバー3に取り付けた左右の二つの小型カメラ2は、3Dの撮像テストを行うが、撮像に必要な入出力制御信号は、外部からテスト用に用意した容易にステレオカメラユニット1を脱着が可能なソケットを用いる。そのソケットを図9に示している。
【0065】
図9は、樹脂固定前のステレオカメラユニット1を取り付けて外部から3D画像テストを行うためのソケットを模式的に示す斜視図であって、(a)はステレオカメラユニット1をソケットに取り付けて挟み込んだ状態を示す斜視図、(b)はソケットを開いてステレオカメラユニット1を取り出した状態を示す斜視図である。
【0066】
図9(a)および図9(b)に示すように、左右二つの小型カメラ2を駆動するための入力信号を外部からテスト用に用意すると共に、小型カメラ2からの出力信号を外部で受けるように、ステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けた部材を脱着可能な結線手段としてのソケット5を用いて3D撮像テストを行う。このソケット5のふた部分52について、ステレオカメラカバー3から露出している左右二つの小型カメラ2のレンズ面24が外部の様子を撮像出来るように適当な大きさの穴521が明いている。また、ソケット5の底面部51に構成されるくぼみ部511は、その大きさがステレオカメラカバー3が入る充分な大きさを有している。ステレオカメラユニット1の底面部51のくぼみ部511内に、左右二つの小型カメラ2の撮像素子231の裏面の電極21が底面にくるように挿入し、くぼみ部511の底面の電極512と小型カメラ2の電極21とが電気的に接触することにより通電され、外部出力端子513より外部に、各撮像素子231からの撮像信号を出力させることにより3D撮像テストが可能になる。
【0067】
即ち、くぼみ部511の底面の電極512とソケット5内部にて外部出力端子513と電気的結線が施されている。このように、樹脂固定前のステレオカメラユニット1に対して、しかるべき3D撮像テストを行い、そのテスト結果により撮像試験がNGとなった場合、図8の「NG」で示すように不良の小型カメラ2をステレオカメラカバー3の左右の丸穴33から突いて容易に損傷なく取り出すことができる。ステレオカメラカバー3に対して小型カメラ2を交換することができる。ここで不良となった小型カメラ2が左右二つのうちの一つであれば、その不良の小型カメラ2を一つだけ交換すれば、良品の小型カメラ2とステレオカメラカバー3とについては再度流用が可能である。3D撮像試験が良品としてPass した際はそのまま配線用軟質フレキシブル基板4の取り付けを行い、しかるべきステレオカメラユニット1の匡体、例えば後述する3Dカメラ搭載の携帯電話装置などに組み込まれる。
【0068】
以上により、本実施形態1によれば、左右二つの小型カメラ2から映像を得ることができるステレオカメラユニット1であって、左右二つの小型カメラ2を配線するフレキシブル基板4を有し、3Dの映像を精度よく得るために、左右二つの小型カメラ2を固定するためのステレオカメラカバー3を有するステレオカメラユニット1の製造プロセスにおいて、まず、所定の間隔を開けて設置する左右二つの小型カメラ2をステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に挿入して取り付け、ステレオカメラカバー3は立体画像を得る左右の位置的な整合性の調整を行い、左右二つの小型カメラ2のそれぞれの撮像面を天面で固定する。
【0069】
次に、フレキシブルプリント基板4は左右二つの小型カメラ2をステレオカメラカバー3に固定した後で取り付けることにより、その取り付け時に生じる左右二つの小型カメラ2間の公差をより小さくすることができる。
【0070】
これによって、製造公差のばらつきを抑えることにより、より精度の高い左右の撮像素子の光軸合わせが可能となり、良好な立体映像を得ることができる。また、3D撮像テストは小型カメラ2をステレオカメラカバー3のくぼみ部31内に挿入した後に行い、左右二つの小型カメラ2のいずれかが不良の場合に左右二つの小型カメラ2を全て破棄することなく、不良の小型カメラ2のみを取り換えて歩留まりを軽減することができる。さらに、ステレオカメラカバー3については、ステレオカメラカバー3に小型カメラ2を取り付けた状態でフレキシブル基板4(または硬質フレキシブル基板)に取り付けができる耐熱性のある金属素材であることが望ましい。
【0071】
したがって、所定の間隔を開けて設置する左右二つのステレオカメラ用小型カメラ2を保護するステレオカメラカバー3に小型カメラ2の撮像面を天面で合わせ、フレキシブルプリント基板4は、ステレオカメラカバー3のくぼみ部31に小型カメラ2を挿入した後に取り付けるため、より精度の高い左右二つの小型カメラ2の光軸合わせを行うことができて、歩留まり低下や部品点数の増加によって、コスト増加や匡体が大型化になることを抑えることができる。
【0072】
このように、配線用軟質フレキシブル基板4が取り付けられたステレオカメラユニット1は、この後、例えば携帯電話装置の3Dカメラモジュールなどとして匡体に取り付けられ、カメラ制御部品としかるべき接続が為される。
【0073】
(実施形態2)
図10は、本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1のステレオカメラユニット1を含む固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0074】
図10において、本実施形態2の電子情報機器90は、上記実施形態1のステレオカメラユニット1からの撮像信号に所定の画像信号処理(ノイズ除去、ホワイトバランス、γ補正、色補間およびマトリクス処理などの信号処理に加えてここで立体合成処理を行ってもよい)をしてカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示部93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信部94と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を印刷用に所定の印刷信号処理(合成された立体視画像信号から左右の一方の画像信号を抜き取るかまたは左右の一方の画像信号を用いてもよい)をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力部95とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示部93と、通信部94と、プリンタなどの画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
【0075】
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
【0076】
したがって、本実施形態3によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力部95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
【0077】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1、2を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1、2に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1、2の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
被写体からの画像光を光電変換して撮像するCCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子を備えた左右二つの撮像部を用いて立体画像を得るステレオカメラユニットおよびその製造方法、このステレオカメラユニットを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の分野において、左右2つの撮像部をステレオカメラカバー部材内に公差ゼロで挿入する簡単な構成でステレオカメラカバー部材に小型カメラを容易かつ精度よく取り付けるため、従来の製造工程で行っていた撮像テストにおける小型カメラの歩留まりを上げると共に、その構成部品点数も増加することがなく、部品の小型化を可能にし、製造工数を低減して低コスト化を実現することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 ステレオカメラユニット
2 小型カメラ
21 電極
22レンズユニット
221 レンズ鏡筒
222 ホルダ部材
23 撮像部材
231 撮像素子
232 基板
24 レンズ面
3 ステレオカメラカバー
31 くぼみ部(凹部)
32 つなぎ部
33 丸穴
34 突起部
4 配線用軟質フレキシブル基板(配線用基板)
5 ソケット(結線手段)
51 底面部
511 くぼみ部
512 電極
52 ふた部分
521 穴
90 電子情報機器
91 固体撮像装置
92 メモリ部
93 表示部
94 通信部
95 画像出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する左右二つの固体撮像素子を用いて視差を有する左右二つの画像を得るステレオカメラユニットにおいて、
該固体撮像素子を備えた左右二つの小型カメラと、該左右二つの小型カメラがそれぞれ内部に公差ゼロで挿入されて位置決めされているステレオカメラカバー部材と、該左右二つの小型カメラの各裏面の複数の電極にそれぞれ電気的に配線接続する配線用基板とを有するステレオカメラユニット。
【請求項2】
前記ステレオカメラカバー部材の裏側の両側にはそれぞれ、前記左右の小型カメラを位置決めするように、該小型カメラを挿入して嵌め込むためのくぼみ部とこれらの間に連設されたつなぎ部とが一体的に形成されている請求項1に記載のステレオカメラユニット。
【請求項3】
前記ステレオカメラカバー部材は耐熱性のある金属素材で構成されている請求項1に記載のステレオカメラユニット。
【請求項4】
前記くぼみ部の底面中央位置に入射光用の穴部が設けられ、該穴部の周りに三角形の3頂点にそれぞれ対応するように突起部が三つ設けられ、該三つの突起部上に、挿入された前記小型カメラの天面が搭載されて、該小型カメラの撮像面が位置決めされている請求項2に記載のステレオカメラユニット。
【請求項5】
前記くぼみ部の内側面が外側に開くテーパ形状になっている請求項2に記載のステレオカメラユニット。
【請求項6】
前記小型カメラの挿入側も、前記くぼみ部のテーパ状の内側面と同形状のテーパ状に形成されて、該くぼみ部と該小型カメラとがそれぞれのテーパで嵌合するようになっている請求項2に記載のステレオカメラユニット。
【請求項7】
前記くぼみ部の平面視形状は4角形かまたは、該4角形の角部分を含むように円形状に切り欠きされている請求項2に記載のステレオカメラユニット。
【請求項8】
前記ステレオカメラカバー部材により、ステレオ画像を得る左右の前記小型カメラの位置的整合性が調整されている請求項1に記載のステレオカメラユニット。
【請求項9】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する左右二つの固体撮像素子を用いて視差を有する左右二つの画像を得るステレオカメラユニットの製造方法において、
該左右の二つの小型カメラのそれぞれを前記ステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入して該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付ける第1取付ステップと、
該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた段階で3D撮像テストを行うテストステップと、
該ステレオカメラカバー部材に取り付けられた該小型カメラの電極と配線基板の配線電極とを対応させて該小型カメラと該配線基板とを取り付ける第2取付ステップとを有するステレオカメラユニットの製造方法。
【請求項10】
前記テストステップにおいて、前記左右二つの小型カメラを駆動するための入力信号を外部からテスト用に用意すると共に、該小型カメラからの出力信号を外部で受けるように、前記ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた部材を脱着可能な結線手段を用いて3D撮像テストを行う請求項9に記載のステレオカメラユニットの製造方法。
【請求項11】
前記テストステップにおいて、前記小型カメラが不良の場合に、前記左右2つの小型カメラを破棄することなく、該不良の小型カメラのみを、前記ステレオカメラカバー部材のくぼみ部から取り換える取り換えステップを有する請求項9または10に記載のステレオカメラユニットの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載のステレオカメラユニットを画像入力デバイスとして撮像部に用いた電子情報機器。
【請求項1】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する左右二つの固体撮像素子を用いて視差を有する左右二つの画像を得るステレオカメラユニットにおいて、
該固体撮像素子を備えた左右二つの小型カメラと、該左右二つの小型カメラがそれぞれ内部に公差ゼロで挿入されて位置決めされているステレオカメラカバー部材と、該左右二つの小型カメラの各裏面の複数の電極にそれぞれ電気的に配線接続する配線用基板とを有するステレオカメラユニット。
【請求項2】
前記ステレオカメラカバー部材の裏側の両側にはそれぞれ、前記左右の小型カメラを位置決めするように、該小型カメラを挿入して嵌め込むためのくぼみ部とこれらの間に連設されたつなぎ部とが一体的に形成されている請求項1に記載のステレオカメラユニット。
【請求項3】
前記ステレオカメラカバー部材は耐熱性のある金属素材で構成されている請求項1に記載のステレオカメラユニット。
【請求項4】
前記くぼみ部の底面中央位置に入射光用の穴部が設けられ、該穴部の周りに三角形の3頂点にそれぞれ対応するように突起部が三つ設けられ、該三つの突起部上に、挿入された前記小型カメラの天面が搭載されて、該小型カメラの撮像面が位置決めされている請求項2に記載のステレオカメラユニット。
【請求項5】
前記くぼみ部の内側面が外側に開くテーパ形状になっている請求項2に記載のステレオカメラユニット。
【請求項6】
前記小型カメラの挿入側も、前記くぼみ部のテーパ状の内側面と同形状のテーパ状に形成されて、該くぼみ部と該小型カメラとがそれぞれのテーパで嵌合するようになっている請求項2に記載のステレオカメラユニット。
【請求項7】
前記くぼみ部の平面視形状は4角形かまたは、該4角形の角部分を含むように円形状に切り欠きされている請求項2に記載のステレオカメラユニット。
【請求項8】
前記ステレオカメラカバー部材により、ステレオ画像を得る左右の前記小型カメラの位置的整合性が調整されている請求項1に記載のステレオカメラユニット。
【請求項9】
被写体からの画像光を光電変換して撮像する左右二つの固体撮像素子を用いて視差を有する左右二つの画像を得るステレオカメラユニットの製造方法において、
該左右の二つの小型カメラのそれぞれを前記ステレオカメラカバー部材のくぼみ部内に公差ゼロで挿入して該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付ける第1取付ステップと、
該ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた段階で3D撮像テストを行うテストステップと、
該ステレオカメラカバー部材に取り付けられた該小型カメラの電極と配線基板の配線電極とを対応させて該小型カメラと該配線基板とを取り付ける第2取付ステップとを有するステレオカメラユニットの製造方法。
【請求項10】
前記テストステップにおいて、前記左右二つの小型カメラを駆動するための入力信号を外部からテスト用に用意すると共に、該小型カメラからの出力信号を外部で受けるように、前記ステレオカメラカバー部材に該小型カメラを取り付けた部材を脱着可能な結線手段を用いて3D撮像テストを行う請求項9に記載のステレオカメラユニットの製造方法。
【請求項11】
前記テストステップにおいて、前記小型カメラが不良の場合に、前記左右2つの小型カメラを破棄することなく、該不良の小型カメラのみを、前記ステレオカメラカバー部材のくぼみ部から取り換える取り換えステップを有する請求項9または10に記載のステレオカメラユニットの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載のステレオカメラユニットを画像入力デバイスとして撮像部に用いた電子情報機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−155102(P2012−155102A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13487(P2011−13487)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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