説明

ステロール類の晶析方法およびそのシステム

【課題】 連続式の晶析方法において、溶媒中の水分量を精度良く制御し、ステロール類の結晶を高収率で得る方法を提供する。
【解決手段】 ステロール類を含有する有機溶媒溶液を、上部に冷却部を設けた塔型晶析装置に装置下部より連続的に供給し、上部冷却部にてステロール類を結晶化し、沈降させると同時にステロール類が結晶化した後の有機溶媒溶液を上部流出部から流出させる操作において、流出した有機溶媒溶液の一部を水と接触混合させた後、装置内に戻す。溶媒中の水分量を精度良く制御できるとともに、ろ過性の良いステロール類の凝集結晶を高収率で得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステロール類の晶析方法およびそのシステムに関する。より詳細には、ステロール類を塔型晶析装置を用いて連続的に晶析をおこなう方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ステロール類は、ビタミンやステロイド化合物の前駆物質として知られる有用な物質である。例えば、エルゴステロールは菌類に含有されるステロールの一種で、ビタミンD2の前駆体である。これらステロール類は、生物の細胞より抽出、精製して製造されており、多くの場合、精製には晶析(再結晶操作)が用いられている(例えば、非特許文献1参照。)
晶析操作としては、溶液を徐々に冷却することにより結晶を析出させる冷却晶析法、溶媒を蒸発させることにより結晶を析出させる蒸発晶析法、あるいは溶液に精製対象となる溶質の溶解度が低い溶媒を添加する貧溶媒晶析法などが知られている。また、晶析に用いられる装置としては、冷却用のジャケットと撹拌装置を備えたバッチ式の晶析槽のほか、塔型晶析装置を用いる連続式の晶析方法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
例えば、エルゴステロールの晶析では冷却晶析法が用いられることが多いが、その際には連続式の晶析方法が用いることができることが知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、非水溶性の溶媒を用い、途中で水を供給することによってろ過性の良い凝集結晶を高い収率で得ることのできる方法があり、同方法についても、連続式の晶析方法を用いることができることが知られている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、気相部を加湿することで非水溶性の溶媒に水を供給する。
【0004】
連続式の晶析方法を利用するその他の分野として、例えばビスフェノールAを含有する晶析材料を連続晶析する装置についての技術がある(特許文献3参照)。具体的には、母液の一部を晶析装置に循環させることにより、母液に対する無駄な加熱を防止して冷却器の入口−出口の温度差を抑制する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−80493号公報
【特許文献2】国際公開第2004/046163号パンフレット
【特許文献3】特開2004−168750号公報
【非特許文献1】大矢晴彦監修、「高純度化技術大系 第3巻 高純度物質製造プロセス」、フジ・テクノシステム、P.429(1997)
【非特許文献2】J.W.Mullin,"Crystallization(Third Edition)",Butterworth-Heinemann(1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2によれば、加湿による水の供給であるから、液相が一時的に不均一となることで目的以外の結晶が生じてしまうという状態を防ぐことができるという効果がある。また、特許文献3によれば、母液の一部を循環させて冷却器の入口−出口の温度差を抑制することができるから、過飽和度を低減して伝熱面でのスケールの堆積を抑制させることができるという効果がある。したがって、それらの文献に記載された技術によれば、連続晶析の対象物質について一定の回収率の向上を期待することができる。
【0006】
なお、特許文献3においては、水を供給することによってろ過性の良い凝集結晶を得る点については考慮されていない。一方、特許文献2に記載されている気相部を加湿する方法では、溶媒中の水分量の厳密なコントロールが困難である。
【0007】
他方、本願の発明者は、ステロール類の晶析に関して、回収率の向上と併せて、液相中の水分量の制御を容易に行うことができ、かつ、液相が不均一となって目的以外の結晶が生じてしまう状態を防ぐための方法および装置についての更なる改良を試みた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は塔型晶析装置を用いたステロール類の連続晶析方法に関して種々の実験検討をおこなった結果、溶媒に精度良く水分を供給する方法を見いだし、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。本発明によるステロール類の晶析方法およびそのシステムは、塔型晶析装置より流出した有機溶媒溶液の一部を水と接触混合させた後、装置内に戻すことを特徴とするものである。
(1)本発明のステロール類の晶析方法は、
(a)ステロール類を含有する有機溶媒溶液を塔型晶析装置の装置下部より連続的に供給し、(b)前記塔型晶析装置の上部に設けた冷却部にて前記ステロール類を結晶化させて沈降させ、(c)前記装置下部からその結晶化させたステロール類を回収する、ステロール類の晶析方法において、さらに、(d)ステロール類が結晶化した後の前記有機溶媒溶液を前記塔型晶析装置の上部に設けた流出部から流出させ、(e)前記流出させた有機溶媒溶液の少なくとも一部を水と接触混合させた後、再度前記塔型晶析装置内に導入することを特徴とする。
【0009】
本発明は、好ましくは、さらに以下の1または複数の特徴を有する。
(2)本発明の前記有機溶媒は、さらに、比重0.9以下の非水溶性の有機溶媒であることを特徴とする。
(3)本発明の前記有機溶媒は、さらに、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはこれらの混合物であることを特徴とする。
(4)本発明の前記流出した有機溶媒溶液を接触させる水は、さらに、40〜80℃の温水であることを特徴とする。
(5)本発明の前記流出した有機溶媒のうち、装置内に戻す液量の割合は、さらに、流出液量の3%〜30%であることを特徴とする。
(6)本発明の晶析システムは、(a)装置下部に設けられた、ステロール類を含有する有機溶媒溶液を連続的に供給するための供給部、(b)装置上部に設けられた、前記ステロール類を結晶化させて沈降させるための冷却部、(c)装置下部に設けられた、前記結晶化させたステロール類を回収するための回収部、(d)装置上部に設けられた、ステロール類が結晶化した後の前記有機溶媒溶液を前記装置から流出させる流出部、を備えた塔型晶析装置を含んでおり、前記晶析システムは、さらに、(e)装置の外部に接続された、前記流出させた有機溶媒溶液の少なくとも一部を水と接触混合させた後に再度、前記装置内に導入する外部還流部を備えたことを特徴とする。
(7)本発明の前記(e)外部還流部は、さらに、
(e−1)前記混合物の温度を制御する温度制御部および/または、
(e−2)前記混合物を装置内に導入する流量を制御する流量制御部、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溶媒中の水分量を精度良く制御でき、それによってろ過性の良いステロール類の凝集結晶を高い回収率で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のステロール類の晶析方法および晶析システムを、以下の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
1.ステロール類
本発明で用いるステロール類としては、コレステロール、デスモステロール、7−デヒドロコレステロール、α−シトステロール、β−シトステロール、ジヒドロ−β−シトステロール、γ−シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、22−ジヒドロエルゴステロール等が挙げられる。以下の説明では、本発明の「ステロール類」の一実施形態としてエルゴステロールを例示する。
【0013】
2.晶析システム
本発明で用いられる塔型晶析装置の一例を図1に示す。エルゴステロールを含有する有機溶媒溶液は、装置下部に備えられた本発明の「供給部」の一実施形態としてのノズル1より供給される。供給された液は上部に設けられた冷却部2を通過する際に冷却され、エルゴステロールが析出、沈降する。冷却部2は、冷却用のジャケットを備えている。冷却水は、冷却水入口18から流入してジャケット内を通過し、冷却水出口16より流出する。エルゴステロール析出のための冷却は、冷却水による方法に限らず、その他の電気的な方法等を利用することも可能である。冷却部2については壁面への結晶の付着を防止するために、必要に応じてかきとり板付きの撹拌装置を備えることもできる。撹拌機は、撹拌機モーター10によって制御される。
【0014】
冷却部で生成した結晶は、装置内を沈降する際に供給液と向流接触し溶解、再結晶を繰り返して精製された後、装置下部に沈降する。結晶はスラリーとしてノズル3より払い出され、固液分離装置4にて結晶が回収される。ノズル3および/または固液分離装置4は、本発明の「回収部」の一実施形態として機能する。
【0015】
一方、エルゴステロール(またはその一部)が除かれた液は、本発明の「流出部」の一実施形態としての上部ノズル(または液出口ノズル)5より流出する。流出した溶液は次工程に送られるが、その一部の溶液12は混合槽6に入り、水14と接触混合される。混合の手段は、例えば撹拌機モーター20を通じた撹拌動作等によって行うことができる。これにより、溶媒は水を溶解する。その後、混合槽6に入った混合後の溶液はポンプ7により再び装置内に戻される。この操作により、装置内に水が供給される。混合槽6(上部ノズル5から混合槽6への接続も含む)およびポンプ7(ポンプ7から装置内への接続も含む)は、本発明の「外部還流部」の一実施形態として機能する。
【0016】
3.有機溶媒
本発明の有機溶媒としては、結晶が装置内を沈降する際に精製度を高め、かつその形状をろ過性の良い凝集結晶とするために適切なものを使用することができる。有機溶媒の例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、またはこれらの混合物が挙げられる。適切な有機溶媒は、例えば晶析の対象となるステロール類、必要な精製度、または必要な結晶の形状等に基づいて選択することできる。
【0017】
実施形態では、比重0.9以下の非水溶性の有機溶媒を例示する。具体的にはヘキサン、ヘプタン、オクタン、またはこれらの混合物を挙げることができ、より好ましくはヘキサンである。その他、有機溶媒としては、後述するような適切な結晶の形状が取得可能となる点で、水の飽和溶解度が温度40〜80℃において数百ppm程度のものが好ましい。具体的には、例えば好ましくは100から1000ppm、より好ましくは100から500ppmの飽和溶解度が好ましい。
【0018】
4.外部還流部における制御
混合槽6において、流出した有機溶媒溶液と接触させる水は、低温であると有機溶媒に十分に水を含有させることができないと同時に、混合槽内で溶液中のエルゴステロールが析出するという問題を生じる。一方、高温であるとより多く有機溶媒に水を含有させ、装置内に戻すことができるが、装置内の水分量が多くなりすぎるとエルゴステロールの結晶形状が針状に変化してしまう問題を生じる。また、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの非水溶性の有機溶媒は水と共沸点を持つ。ヘキサンでは約61℃、ヘプタンでは約79℃、オクタンでは約90℃である。共沸点を越えると、混合槽内の水が蒸発により失われるため、好ましくない。従って、混合槽内で有機溶媒と接触させる水は40〜80℃の温水であることが好ましいが、より好ましい値は溶媒により異なる。例えばヘキサンの場合は上記の共沸点より低い、40〜60℃がより好ましい値となる。
【0019】
装置に供給される水の量は、水の温度と装置内に戻す溶液の量とによって精度良く制御することができる。水の温度制御方法は特に限定されないが、例えば混合槽を、電気ヒーター、温水等の温度制御用部品の利用によって温度制御可能なジャケット付きにする等により達成される。それら温度制御用部品および/または温度制御可能なジャケット(またはそのジャケット付きの混合槽6)は、本発明の「温度制御部」の一実施形態として機能する。
【0020】
混合槽を経て装置内に戻るエルゴステロール溶液の量は、少な過ぎると装置内に供給する水の量が不足する。また多過ぎると装置から流出する液量が減少することになり、装置の能力が低下する。そのため、流出液量の3%〜30%が好ましく、より好ましくは5〜15%である。装置内に戻すエルゴステロール溶液の流量の制御方法として、実施形態ではポンプ7を利用する方法を例示する。ポンプ7は、本発明の「流量制御部」の一実施形態として機能する。「流量制御部」の実施形態として、ポンプ7に限らず、例えば流量制御弁、または流量制御バルブ等の当業者に周知の手段を利用してもよい。
【0021】
装置に供給するエルゴステロール溶液の濃度は、使用する溶媒によって異なるが、例えばヘキサンを用いる場合には、0.5〜20g/L、好ましくは2〜10g/Lである。
【0022】
エルゴステロール溶液の供給速度は、装置の容量と滞留時間に応じて適宜定めればよい。滞留時間が短すぎると析出した結晶はうまく沈降せず、あるいは析出が不十分なまま装置を通過してしまう。逆に滞留時間が長すぎると装置が大きくなりすぎるという問題が生じる。本発明における適切な平均滞留時間としては10分〜5時間、好ましくは30分〜2時間である。
【実施例】
【0023】
以下、図1に例示する塔型晶析装置を利用した場合の本発明の実施例を説明する。
【0024】
(実施例1)
温度60℃、濃度3g/Lのエルゴステロール/ヘキサン溶液を内径40mm、高さ630mm、上端冷却部長さ210mmの塔型晶析装置に連続的に供給し、エルゴステロールの晶析をおこなった。晶析装置の操作は、冷却部ジャケット(冷却部2)温度2℃、晶析装置の撹拌機モーター撹拌回転速度60rpm、ノズル1からの液供給速度10ml/分、平均滞留時間約60分でおこなった。上部ノズル5から流出した液は、混合槽6にて40℃の温水と接触混合させた。混合槽6内には、所望の晶析操作中に無くならない程度の十分な量の水を蓄積させておくものとするが、必要に応じて混合槽6内に水を追加してもよい。この接触混合により、エルゴステロール/ヘキサン溶液は水を溶解する。溶解する水分量は、エルゴステロール/ヘキサン溶液の飽和溶解度に基づいて決定されうる。
【0025】
混合槽6内で接触混合された水分を含むエルゴステロール/ヘキサン溶液を、ポンプ7の動作を利用して1ml/分で冷却部2の下端より装置内に戻した。装置内に戻す水分量は、エルゴステロール/ヘキサン溶液の温度とポンプ7の動作とによって精度良く制御することができる。
【0026】
約1時間連続運転後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度を、後述する条件にてHPLCで測定したところ、0.67g/L(エルゴステロール重量/エルゴステロールヘキサン溶液量)であり、この時点でのエルゴステロールの回収率は78%(=100×(3−0.67)/3)と計算された。さらに2時間連続運転後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、0.99g/Lであり、67%(=100×(3−0.99)/3)のエルゴステロールが回収されていることがわかった。なお、同時点は運転後3時間の時点であり、装置内でのエルゴステロール/ヘキサン溶液の滞留時間によれば、一般に装置の運転が安定するものと予想される時間である。さらに30分後、液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、1.00g/Lであり、安定的に運転されていることが確認できた。なお、得られたエルゴステロールの結晶は凝集結晶であった。
(HPLC測定条件)
カラム:ナカライテスク COSMOSIL 5C18−MS
250mm×4.6mmI.D.
カラム温度:35℃
移動相:メタノール
送液速度:1.0ml/min
検出器:UV検出器 検出波長282nm
(実施例2)
実施例2では、上部ノズル5から流出した液と接触混合させる温水の温度を50℃としたほかは、実施例1と同様にしてエルゴステロールの晶析をおこなった。約1時間連続運転後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度をHPLCで測定したところ、0.62g/Lであり、この時点での回収率は79%(=100×(3−0.62)/3)と計算された。さらに2時間連続運転後、液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、0.84g/Lであり、72%(=100×(3−0.84)/3)のエルゴステロールが回収されていることがわかった。さらに30分後、液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、0.86g/Lであり、安定的に運転されていることが確認できた。なお、得られた結晶は凝集結晶であった。
【0027】
(比較例1)
比較例1として、上部ノズル5から流出した液を装置に戻さないほかは、実施例1と同様にしてエルゴステロールの晶析をおこなった。約1時間連続運転後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度をHPLCで測定したところ、1.01g/Lであり、この時点での回収率は66%(=100×(3−1.01)/3)と計算された。さらに2時間連続運転後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、1.23g/Lであり、回収率は59%(=100×(3−1.23)/3)と低かった。さらに30分後、上部ノズル5の液出口のエルゴステロール濃度を測定したところ、1.32g/Lとなっており、回収率は56%(=100×(3−1.32)/3)まで低下していた。得られた結晶は形状がはっきりせず、溶液を白濁させた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態としての塔型晶析装置の構成を示すものである。
【符号の説明】
【0029】
1 液入口ノズル
2 冷却部
3 スラリー出口ノズル
4 固液分離装置
5 液出口ノズル
6 混合槽
7 ポンプ
10 撹拌機モーター
12 溶液
14 水
16 冷却水出口
18 冷却水入り口
20 撹拌機モーター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ステロール類を含有する有機溶媒溶液を塔型晶析装置の装置下部より連続的に供給し、
(b)前記塔型晶析装置の上部に設けた冷却部にて前記ステロール類を結晶化させて沈降させ、
(c)前記装置下部からその結晶化させたステロール類を回収する、
ステロール類の晶析方法において、さらに、
(d)ステロール類が結晶化した後の前記有機溶媒溶液を前記塔型晶析装置の上部に設けた流出部から流出させ、
(e)前記流出させた有機溶媒溶液の少なくとも一部を水と接触混合させた後、再度前記塔型晶析装置内に導入すること、
を特徴とするステロール類の晶析方法。
【請求項2】
有機溶媒が比重0.9以下の非水溶性の有機溶媒であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
有機溶媒がヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
流出した有機溶媒溶液と接触させる水が40〜80℃の温水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
流出した有機溶媒のうち、装置内に戻す液量の割合が流出液量の3%〜30%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステロール類を晶析するための塔型晶析装置を含む晶析システムであって、
塔型晶析装置は、
(a)装置下部に設けられた、ステロール類を含有する有機溶媒溶液を連続的に供給するための供給部、
(b)装置上部に設けられた、前記ステロール類を結晶化させて沈降させるための冷却部、
(c)装置下部に設けられた、前記結晶化させたステロール類を回収するための回収部、
(d)装置上部に設けられた、ステロール類が結晶化した後の前記有機溶媒溶液を前記装置から流出させる流出部、
を備えており、
前記晶析システムは、さらに、
(e)装置の外部に接続された、前記流出させた有機溶媒溶液の少なくとも一部を水と接触混合させた後に再度、前記装置内に導入する外部還流部、
を備えたことを特徴とする晶析システム。
【請求項7】
請求項6における前記(e)外部還流部は、さらに、
(e−1)前記混合物の温度を制御する温度制御部および/または、
(e−2)前記混合物を装置内に導入する流量を制御する流量制御部、
を備えたことを特徴とする晶析システム。


【図1】
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【公開番号】特開2006−305450(P2006−305450A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130215(P2005−130215)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】