説明

ステントレス支持構造

【課題】ステントレス支持構造の提供。
【解決手段】インサイチュで少なくとも部分的には組み立てられることが可能であるステントレス支持構造が開示される。支持構造は編み込まれたチューブを備えており、該編み込まれたチューブは非常に柔軟であり、伸ばされると、非常に長く、直径が非常に小さく、それにより小さい直径のカテーテルの中での配置を可能にする。支持構造は、超弾性または形状記憶の材料、例えばニチノールの1つ以上の細いストランドで構成されることが好ましい。カテーテルから解放されたときには、支持構造は長手方向のコンパクトな構成に自身を折り返す。次に、支持構造は、折り返しの数が増加するにつれ、かなりの強度を獲得する。この半径方向の強度は、支持ステントに対する必要性を取り除く。支持構造は補綴弁に対する取り付け点を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、Wilsonらによる「Stentless Support Structure」と題される2005年5月27日出願の米国仮特許出願第60/685,349号と、Wilsonらによる「Stentless Support Structure」と題される2005年8月18日出願の米国仮特許出願第60/709,595号とに関連し、これらの優先権の利益を主張する。これらの出願は、本明細書において参考として援用される。本出願はまた、本出願と共に同日に本出願人によって出願された「Intravascular Cuff」と題される米国特許出願第 号と、「Intravascular Cuff」と題される2005年5月27日出願の米国仮特許出願第60/685,433号とを参考として援用する。
【背景技術】
【0002】
経皮的アプローチを使用する心血管手術を開発し、実行することに対する顕著な動きが存在する。例えば、大腿動脈を通して導入される1つ以上のカテーテルの使用を介して、ツールおよびデバイスが、心血管系における所望のエリアに送達され得ることにより、そうしなければ通常は侵襲性の手術的処置を必要とする多数の複雑な処置が行われる。このようなアプローチは、患者が耐える外傷を非常に減少させ、回復期間を顕著に減少させ得る。経皮的アプローチは、開胸手術を行うことに対する代替案として非常に魅力的である。
【0003】
弁の置換手術は、経皮的な解決策が開発されている分野の一例を提供する。多数の病気が、心臓弁の葉状部の肥厚、続く不動または動きの縮小をもたらす。このような不動はまた、弁を通る通路の狭まり、または狭窄症をもたらし得る。狭窄した弁が与える血流に対する増加した抵抗は、ついに心不全をもたらし、最終的には死をもたらす。
【0004】
弁の狭窄または逆流を治療することは、これまで、開胸処置を介した存在する生来の弁の完全な除去、それに続く補綴弁の移植を含んできた。当然、これは非常に侵襲性の処置であり、体に非常に大きい外傷を負わせ、通常、非常な不快感と非常に長い回復期間をもたらす。弁の狭窄または逆流を治療することはまた、非常な熟練と行う才能を必要とする非常に複雑な処置である。
【0005】
歴史的に、このような弁の置換手術は、伝統的な開胸手術を使用して行われており、その場合、胸が開かれ、心臓が止められ、患者は心肺バイパスを配置され、生来の弁が摘出され、置換弁が取り付けられる。一方、提案されている経皮的な弁の置換の代替の方法が、(その全体が本明細書において参考として援用される)Andersonらに発行された特許文献1に開示されている。この特許において、補綴弁が、カテーテルの中に適合するサイズにつぶされたステントの上に取り付けられている。次に、カテーテルが患者の脈管構造に挿入され、つぶれたステントを生来の弁の位置に配置するために動かされる。配備メカニズムが作動され、置換弁を含んだステントを弁尖に対して拡張する。弁の葉状部の支持を有する弁の形状を有するように構成されているステントを含む拡張した構造は、生来の弁の機能を帯び始める。結果として、完全な弁の置換が達成されるが、患者に対する物理的な衝撃を顕著に減少させる。
【0006】
しかしながら、このアプローチには、決定的な短所がある。アンダーソンの特許文献1に開示された経皮的アプローチに関する1つの特定の欠点は、移植後に新たな弁の周辺における漏れを防止することが困難であるということである。生来の弁の組織が管腔の中に残るので、(ステントによって押されて離れ、固定されると)弁組織の接続接合部と融合点とが、補綴弁の周囲の密閉を困難にする強い可能性がある。実用において、これが、多くの場合に、ステント装置の周囲での深刻な血液の漏れを導いた。
【0007】
アンダーソンの特許文献1のアプローチの他の欠点は、補綴弁に対する支持足場としてのステントに対する信頼性に関する。第1に、ステントが拡張するときに、塞栓を形成し得る。第2に、ステントは、一般的に、配備の間または配備の後のいずれかにおいて、ステントが取り除いた塞栓を捕らえることに効果的ではない。第3に、ステントは、一般的に、ステントが配置される生来の管腔の特質に適合せず、ステントの中に収容される補綴弁に弁傍の漏れを被らせる。第4に、ステントは、強度と圧縮性との間でトレードオフを被る。第5に、ステントは、配備されると、引き抜かれ得ない。第6に、ステントの中への弁の包含は、つぶされたステント−弁の複合体の直径を必ず増加させ、脈管構造に送達されなければならない材料の内径を増加させる。
【0008】
第1の欠点に関して、ステントは通常2つのカテゴリー:自己拡張ステントおよび拡張性ステントのうちの1つに分類される。自己拡張ステントは、カテーテルに装填されたときに圧縮され、カテーテルから解放されたときに最初の圧縮されていないサイズに拡張される。これらは一般的にニチノールで造られる。バルーン拡張性ステントは、圧縮されているが緩んだ状態でカテーテルの中に装填される。これらは一般的にステンレス鋼または他の可鍛性の金属から作られる。バルーンは、ステントの中に配置される。配備の際に、カテーテルが引き抜かれ、バルーンが膨らまされ、それによりステントを所望のサイズにまで拡張させる。これらのステントの両方が、拡張の際に、かなりの力を見せる。この力は、通常、血栓を砕きかつ割るために充分であり、それにより複数のアテローム性のプラークを取り除かせ、塞栓にさせる。ステントが狭窄した脈管を治療するために移植されている場合には、ある程度のそのような拡張が望ましい。しかしながら、ステントが単に生来の弁を取り外すために移植されている場合には、より小さい力が、塞栓を形成する機会を減らすために望ましくなり得る。
【0009】
第2の欠点に関して、塞栓が形成される場合には、拡張されたステントは、通常、取り除かれるあらゆる材料を捕らえるために効果的であるにはあまりにも間隔を空けられた部材を有する。多くの場合に、ネットおよび洗浄ポートの使用を含む第2の予防措置が取られなければならない。
【0010】
第3の欠点はステントの相対的不撓性によるものである。ステントは、一般的に、ステントの周りに適合する生来の脈管の弾力的特質に依存する。狭い脈管を開くために使用されるステントは、脈管とステントとの間に密閉を必要としない。しかしながら、生来の弁を取り外し、補綴弁を収容するためにステントを使用するときには、ステントと脈管との間の密閉が、弁傍の漏れを防止するために必要となる。ステントの適合しない特質により、特に狭窄した弁の葉状部を取り外すときに、この密閉は達成することが困難となる。
【0011】
第4の欠点は、圧縮性と強度との間のトレードオフである。ステントは、より厚い部材を用いて製造することによってより強くまたはより大きく作られる。従って、より強いステントは、より弱いステントほど圧縮することができない。弁における使用に適したほとんどのステントは、20Fr、16Fr、さらには14Frのカテーテルのような小さい直径のカテーテルに配置されるには充分に圧縮することができない。より大きい送達カテーテルは、標的エリアに移動させるにはより困難となり、患者に対してさらなる外傷ももたらす。
【0012】
ステントの第5の欠点は、ステントは容易に引き抜くことができないことである。配備されると、ステントは、非弾性の変形(ステンレス鋼)、またはステントを適所に維持するために必要とされる半径方向の力(ニチノール)により、再配置するために、再び圧縮され、カテーテルの中に引き戻され得ない。従って、医師がステントの配備位置または方向に満足しない場合には、医師がその問題を正すために行い得ることはほとんどない。
【0013】
上で列挙された第6の欠点は、ステントの中での弁の結合が、補綴デバイスを送達するために必要とされるシステムのサイズを大幅に増加させる。結果として、脈管構造の中への入口孔のサイズは大きく、多くの場合に、特に、子供、小柄な大人または前から存在する脈管の病気を有する患者における治療から除外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,168,614号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、これらの欠点に対処することが本発明の目的である。特に、漸次的な力を用いて漸次的に拡張し、それにより塞栓の生成を最小化する支持構造を提供することが本発明の目的である。
【0016】
生成されるあらゆる塞栓を捕らえ、それにより塞栓が下流を損傷することを防止する支持構造を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0017】
支持構造が配備される管腔の特質に適合し、それにより弁傍の漏れを防止する支持構造を提供することが本発明のまた別の目的である。
【0018】
非常に小さい直径のカテーテルから配備されることが可能である強固な支持構造を提供することが本発明のさらに別の目的である。
【0019】
送達カテーテルの中に引き戻され、そこから再配備されることが可能である支持構造を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0020】
患者の脈管構造の中にデバイスを送達するために必要とされる空間の量を削減するために、支持構造の最終的な構成の内径から明確に分離されている弁によって送達されるデバイスを提供することが本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、非常に小さい直径の送達カテーテルを介して送達されることが可能である、生来の管腔に対する管状のメッシュの支持構造を提供することによって、上記の目的を達成する。管状のメッシュは、細長いチューブに編み込まれた1つ以上の細いストランドで形成される。ストランドは、繊維、非繊維、多繊維、またはモノフィラメントであり得る。ストランドは形状記憶を帯び、その結果、細長いチューブが所望の折り返された形状に形成され、次に、非常に小さい直径の細長い構成に伸長され得る。小さい直径の細長い構成が非常に小さい直径の送達カテーテルを可能にする。
【0022】
配備の際に、細長いチューブは送達カテーテルからゆっくりと押し出され、細長いチューブは、折り返されて構築された構成を徐々に回復する。チューブは標的の脈管の内部の幾何形状に適合する。さらに、編み込みは脈管壁から解放され得る全ての塞栓を効果的に捕らえる。
【0023】
チューブが送達カテーテルから押され続けると、チューブは構築された構成を回復するので、チューブは自身の上に折り返り始める。チューブが自身の上に折り返ると、各層によって及ぼされる力は加算され、構造を増加的により強固にする。従って、強度の程度を変更することは、細長いデバイスの直径を変化させることなく達成され得る。
【0024】
この折り返されたチューブを使用して、送達カテーテルの中の細長い構成における弁または(フィルタのような)他の構造は、細長いチューブの中にはないが、配備の際には、チューブの中、上または下に配置され得るように、弁は取り付けられ得る。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ステントレス支持構造であって、
第1の構成と第2の構成とを有する管状構造を形成するために編み込まれた少なくとも1つのストランド
を備え、該第1の構成において、該管状構造は、
第1端および第2端と、
該第1端と該第2端との間の細長い本体と
を含み、該第2の構成において、該管状構造は、2つ以上の層を有する該本体の断面を作成する少なくとも1つの折り返しを含む、ステントレス支持構造。
(項目2)
前記少なくとも1つの折り返しは、前記第2の構成において、長手方向に前記本体を縮める、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目3)
前記管状構造は、前記第1の構成において単一の層を備えている、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目4)
前記管状構造は、前記第2の構成において複数の層を備えている、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目5)
前記第1の構成において、前記ステントレス支持構造は、20Frのカテーテルの管腔の中に収容されることが可能である、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目6)
前記第1端は、編み込まれていない端を備えている、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目7)
前記第2端は、折り返された端を備えている、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目8)
前記第1端は、複数の接続取り付け点を備えている、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目9)
前記第1端は、少なくとも1つの接続取り付け点を形成するように結合された複数の編み込まれていないストランドを備えている、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目10)
管状構造を形成するために共に編み込まれた前記複数のストランドは、第1の直径の複数のストランドと、該第1の直径よりも大きい第2の直径の少なくとも1つのファイバとを備えている、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目11)
前記第1端は、複数の接続取り付け点を有するワイヤフォームを備えている、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目12)
前記管状構造の内壁にライニングをさらに備えている、項目1に記載のステントレス支持構造。
(項目13)
前記第1層と前記第2層との間に挟まれたライニングをさらに備えている、項目4に記載のステントレス支持構造。
(項目14)
支持構造を移植する方法であって、
(a)カテーテルの内側における細長い状態の支持構造を、標的部位に経皮的に送達することと、
(b)該支持構造の第1の部分が該標的部位の生来の組織に対して拡張するように、該支持構造に対して該カテーテルを引き込むことと、
(c)第1の折り返しが該第1の部分と該第2の部分との間に作成されるように、該支持構造の第2の部分を該第1の部分の中に前進させることと、
(d)該第2の部分が該第1の部分の内側に対して拡張するまで、該第2の部分に対して該カテーテルを引き込み、それにより複数の層の支持構造を作成することと、
(e)さらなる層が所望される場合には、該ステップ(c)と該ステップ(d)とを繰り返すことと、
(f)該支持構造を解放し、該カテーテルを該標的部位から移動することと
を包含する、方法。
(項目15)
前記ステップ(b)は、前記支持構造の前記第1の部分が、前記標的部位の生来の組織に対して拡張するように、該支持構造に対して前記カテーテルを引き込むことを包含し、該第1の部分は遠位端と近位端とを含み、該遠位端はカフを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記ステップ(b)は、
前記カフが拡張し、前記標的部位の前記生来の組織に接触するまで、前記支持構造に対して前記カテーテルを引き込むことと、
該カフが生来の弁の遠位側に接触するまで、近位方向に向けて該カフを引くことと、
前記第1の部分の該近位側が拡張し、該標的部位の該生来の組織に接触するまで、該支持構造に対して該カテーテルを引き込むことと
を包含する、項目15に記載の方法。
(項目17)
標的部位の生来の組織を支持する方法であって、
該生来の組織を支持するために充分な構造的統合性を欠いている該標的部位に材料を導入することと、
インサイチュで該材料を使用して、支持構造を造ることと
を包含する、方法。
(項目18)
前記生来の組織を支持するために充分な構造的完全性を欠いている前記標的部位に材料を導入することは、編み込まれた細長いメッシュのチューブを導入することを包含する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記編み込まれた細長いメッシュのチューブを導入することは、超弾性および形状記憶からなる群から選択される材料の少なくとも1つのストランドの編み込まれた細長いメッシュのチューブを導入することを包含する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記超弾性および形状記憶からなる群から選択される材料の少なくとも1つのストランドの編み込まれた細長いメッシュのチューブを導入することは、折り返された構成に既に事前形成されている単一のニチノールのストランドの編み込まれた細長いメッシュのチューブを導入することを包含する、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記インサイチュで前記材料を使用して、前記支持構造を造ることとは、前記生来の組織を支持するために充分な構造的完全性が獲得されるまで、自身の上に該材料を折り返すことを包含する、項目17に記載の方法。
(項目22)
前記生来の組織を支持するために充分な構造的完全性が獲得されるまで、自身の上に該材料を折り返すことは、
細長い形式で、該材料を含んでいる前記標的部位に送達カテーテルを導入することと、
第1の長さの該材料を露出させ、それにより該第1の長さの材料が拡張することを可能にすることと、
該第1の長さの内側に、第2の長さの該材料を前進させることと、
該第2の長さの該材料を露出させ、それにより該第2の長さが該第1の長さの内側面に対して拡張することを可能にすることと
を包含する、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記第2の長さの内側に第3の長さの前記材料を前進させることと、
該第3の長さの該材料を露出させ、それにより該第3の長さが該第2の長さの内側面に対して拡張することを可能にすることと
をさらに包含する、項目22に記載の方法。
(項目24)
ステントレス支持構造であって、
第1の構成と第2の構成とを有する管状構造を形成するための編み込まれたストランド
を備え、該第1の構成において、該管状構造は、
第1端および第2端と、
該第1端と該第2端との間の細長い管状本体と
を含み、該第2の構成において、該管状構造は、
該本体を縮め、かつ、伸ばされた構成における該細長い本体の少なくとも2倍の数の層を有する該本体の断面を作成する、少なくとも1つの折り返しを含む、ステントレス支持構造。
(項目25)
支持構造を移植する方法であって、
(a)カテーテルの内側において細長い状態の支持構造を、標的部位に経皮的に送達することと、
(b)該支持構造の第1の部分が該カテーテルの外側に拡張するように、該支持構造に対して該カテーテルを引き込むことと、
(c)第1の折り返しが該第1の部分と該第2の部分との間に作成されるように、該第1の部分の中に該支持構造の第2の部分を前進させることと、
(d)該第2の部分が該第1の部分の内側に対して拡張するまで、該第2の部分に対して該カテーテルを引き込み、それにより複数の層の支持構造を作成することと、
(e)追加の層が所望される場合には、該ステップ(c)と該ステップ(d)とを繰り返すことと、
(f)該支持構造を解放し、該カテーテルを該標的部位から移動することと
を包含する、方法。
(項目26)
前記ステップ(b)は、前記支持構造の前記第1の部分が、前記標的部位の生来の組織に対して拡張するように、該支持構造に対して前記カテーテルを引き込むことを包含し、該第1の部分は遠位端と近位端とを含み、該遠位端はカフを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記ステップ(b)は、
前記カフが拡張し、前記標的部位の前記生来の組織に接触するまで、前記支持構造に対して前記カテーテルを引き込むことと、
該カフが生来のオリフィスの遠位側に接触するまで、近位方向に向けて該カフを引くことと、
前記第1の部分の該近位側が拡張し、該標的部位の該生来の組織に接触するまで、該支持構造に対して該カテーテルを引き込むことと
を包含する、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記支持構造の前記第1の部分が、該カテーテルの外側に拡張するように、前記支持構造に対して前記カテーテルを引き込むことは、該支持構造の該第1の部分が、前記標的部位の生来の組織に対して該カテーテルの外側に拡張するように、該支持構造に対して該カテーテルを引き込むことを包含する、項目25に記載の方法。
(項目29)
前記ステップ(b)は、前記支持構造の前記第1の部分が、弁組織、血管組織、および心臓組織からなる群に属する生来の組織に対して拡張するように、該支持構造に対して前記カテーテルを引き込むことを包含する、項目25に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、細長い構成における、本発明の好適な実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の好適な実施形態の側面図である。
【図3】図3は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図4】図4は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図5】図5は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図6】図6は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図7】図7は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図8】図8は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図9】図9は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図10】図10は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図11】図11は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図12】図12は、送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図13】図13は、本発明の好適な実施形態の斜視図である。
【図14】図14は、図13の好適な実施形態の第1端の図である。
【図15】図15は、図13の好適な実施形態の第2端の図である。
【図16】図16は、本発明の好適な実施形態の側面図である。
【図17】図17は、図16の好適な実施形態の第2端の図である。
【図18】図18は、図16の好適な実施形態の第1端の図である。
【図19】図19は、本発明の好適な実施形態の側面図である。
【図20】図20は、図19の好適な実施形態の第1端の図である。
【図21】図21は、図19の好適な実施形態の第2端の図である。
【図22】図22は、本発明の好適な実施形態の部分的斜視図である。
【図23】図23は、本発明の好適な実施形態の部分的斜視図である。
【図24】図24は、本発明の好適な実施形態の斜視図である。
【図25】図25は、図24の実施形態の横正面図である。
【図26】図26は、図24の実施形態の第2端の図である。
【図27】図27は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図28】図28は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図29】図29は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図30】図30は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図31】図31は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図32】図32は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図33】図33は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図34】図34は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図35】図35は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図36】図36は、生来の弁を表す透明なプラスチックのチューブに対して送達カテーテルから配備される、本発明の好適な実施形態の一連の斜視図である。
【図37】図37は、本発明の好適な実施形態の横正面図である。
【図38】図38は、図37の実施形態の下流側の端面図である。
【図39】図39は、図37の実施形態の上流側の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで図面、まず図1を参照すると、本発明のステントレス支持構造10が伸ばされた構成で示されている。弁支持10は、第1端12と、第2端14と、第1端12と第2端14との間で伸びている細長い管状本体16とを含む。
【0027】
細長い管状本体16は、好適には、一本または複数の網目状ストランド18から形成される。網目状ストランド18は、超弾性または形状記憶の材料、例えば、ニチノールのストランドである。ストランドは、中を通る中央管腔を有するチューブを形成するように編み込まれる。
【0028】
一実施形態において、管状本体16は、自身の上に半分に折り返され、その結果、第2端14は折り返された端となり、第1端12は複数の編み込まれていないストランドを含む。このように管状本体16は二層となる。第1端12の編み込まれていないストランドは集められて結合され、複数の集合端22を形成する。集合端22は支持構造10に補綴弁を取り付けるための接続点として使用され得る(図2を参照)。あるいは図1に示されているように、集合端22は、複数の接続点26を規定するワイヤフォーム24に対する取り付け点として使用され得る。
【0029】
特に、伸ばされた構成における支持構造に弁が取り付けられるときには、弁が、支持構造の中に配置されるよりも、支持構造と長手方向に並列するように、接続点26は配置される。この並列は、繊細な弁を傷つけることなく、支持構造10と弁とが非常に小さいカテーテルの中に詰め込まれることを可能にする。支持構造が折り返されたまたは構築された構成(例えば、図19を参照)をとるときには、この長手方向への並列は維持され得るか、または弁が支持構造の中に折り返され得る。
【0030】
図3〜図6は、第1層30を露出させるために、カテーテル28から現れる第2端14を示す。図7において、第1層30は完全に露出され、構築された構成をとっている。特に、第1層30は、完全に配備されたときには、長手方向に縮む。カテーテル28から現れ始めている第2層32がまた、図7に示されている。第2層がカテーテルを出ると、事前に定められた超弾性の折り目がメッシュを反転させ、その結果、第2の内側層が第1の外側層の中に形成される。あるいは、第1層が脈管構造(例えば、動脈、静脈、弁または心筋)の壁に配備され得る。第2層がカテーテルを出ると、医師は、配備システムを前進させ、メッシュの反転を補助し得る。別の実施形態において、メッシュの支持構造は脈管構造内で前進され得、その結果、メッシュの支持構造は逆方向に配備され(例えば、心室の尖を通ったまたは静脈系からの配備)、その場合、メッシュの反転は配備システムの引き込みまたは収縮の結果として生じる。
【0031】
図10において、第2層32が完全に配備され、第3層34が完全に露出されるが、まだ反転されていない。標的部位に対してカテーテル28をわずかに前進させながら、デバイス10に対してカテーテル28を引き込むことは、第3層34を内側に向けて「はじけ」させ、それにより、図11に見られるように、第2層32の内側面に対して自身を反転させる
図12において、さらなる材料がカテーテル28から排出され、その結果、第3層34が、第2層に対して完全に拡張される。多数のさらなる層がこの方法で達成され得ることと、各層が結果としての支持構造10にさらなる半径方向の強度を加えることとを当業者は認識する。
【0032】
配備プロセス全体を通して、ステントレス支持構造10は、徐々に送達カテーテル28から現れる。この特性はまた、支持構造10を再配置することが所望される場合には、構造10が送達カテーテル28の中に引き戻されることを可能にする。そうすることが引き伸ばされた構成を支持構造10に再び獲得させる。
【0033】
インサイチュで支持構造を作るメカニズムを記述してきたが、ここで、本発明によって可能となる様々な実施形態に注意が向けられ得る。図13〜図15は、多数の層38と、編み込まれていないストランドから形成される多くの集合端22を有する第1端12とを有する支持構造10を示す。一部の集合端22は、3つの接続点26を有するワイヤフォーム24に取り付けられる。培養されたまたは製造されたいずれかの補綴弁36は、ワイヤフォーム24に取り付けられる。図15は支持構造10の内側管腔20を示す。
【0034】
図16〜図18は、より少数の層38とワイヤフォーム24を有し、補綴弁36がワイヤフォーム24に取り付けられている支持構造10を示す。ワイヤフォーム24が取り付けられている第1端12(隠されている)は、配備の際に内側に折り返えるように事前形成されている。従って、支持構造10が構築された構成にあるときに、ワイヤフォーム24と補綴弁36は、支持構造10の内側管腔20に配置される。
【0035】
図19〜図21は、いくつかの層38と、残りの層および折り返される第2端14よりも小さい直径を有するように事前形成された第1端12とを有する支持構造10を示す。第1端12における編み込まれたストランドの終端は、集合端には形成されていない。むしろ、ワイヤフォーム24が編み込みに取り付けられている。補綴弁36はワイヤフォーム24に取り付けられ、端12の外側周囲に配置される縁取り組織40を有する。縁取り組織40は第1端12に接着され得る。
【0036】
図22は、自身の上に折り返されている折り返された端14と、2層の折り返しの間に捕らえられた材料42とを有するステントレス支持構造10を示している。材料42は、ステントレス支持構造10の弁傍の漏れ防止特性と塞栓を捕らえる特性をさらに改善するように提供される。材料42は、織り込まれていない材料、織り込まれたまたは編み込まれた布地、ポリマまたは他の材料から構成され得る。
【0037】
図23は、支持構造10を構成する残りのストランドよりも太いファイバ44を含むステントレス支持構造10を示す。従って、図23は、異なるサイズのストランドが、デバイスの最小の送達サイズに顕著に影響することなく、編み込まれた支持構造10において使用され得ることを示す。様々なサイズのストランドが、長さを改善し、剛性を提供し、弁の取り付け部分を作成し、放射線不透過性のマーカを提供するなどのために使用され得る。
【0038】
図24〜図26は、第1端12を有するステントレス支持構造10を示しており、該第1端12は、折り返された構造10の第1端を越えて伸びないように切り取られた、編み込まれていないストランドを有する。この実施形態は、管腔を作成、保存または拡大するために使用され得る。補綴弁はこの実施形態に取り付けられ得るか、または取り付けられないこともあり得る。
【0039】
ここで図27〜図36を参照すると、ステントレス支持構造10の好適な実施形態の配備手順が示されており、透明な一本の管46が、生来の弁のような生来の脈管の標的位置を示すために使用される。図27において、送達カテーテル28は、標的弁46を越えて前進させられ、ステントレス支持10がカテーテル28から排出され始める。
【0040】
図28において、充分なステントレス支持10が排出されると、すぐに、折り返された端14が自身の上にわずかにカールし始め、カフ48を形成する。図29において、カフ48は、より目に見えるようになり、完全な配備形状をとっている。カフ48は、医師が標的弁46を視覚的または触覚的に配置し、それに対してステントレス支持10をすえるために使用し得る留め金として作用する。カフはまた、標的弁46を通る生来の管腔全体が、ここで支持10によって濾過されることを確実にするように作用する。バルーン拡張性ステントとは異なり、血流は、ステントレス支持構造10の配備によって顕著には抑制されない。第1層30が、多くの第2層32を有するように、カテーテル28から完全に排出されていることが、図29にまた示されている。第1層30は、次の層による強化の前には非常に柔軟であり、任意の形状の標的脈管に適合することができる。第2層32は、まだ第1層30の中に反転していない。
【0041】
図30において、第1層30が配備され、カフ48が弁46に対して作用し、第2層32が反転されている。図31において、第3層34を形成する材料がカテーテル28から排出されるが、第3層34はまだ反転されていない。
【0042】
図32〜図33において、カテーテル28が前進させられ、第3層34が第2層32の中に反転することを可能にする。図32の視点は、第1層30と第2層32によって作成された比較的低いプロフィールと、血流に対してどれだけ低い抵抗が支持構造10によって与えられるかを示す。
【0043】
図34において、第1端12がカテーテル12から現れており、集合端22が現れている。ワイヤフォーム24は、一部の集合端22に取り付けられており、送達カテーテル28からほぼ完全に配備されている。図35〜図36において、支持構造10はカテーテル28から完全に解放されている。図36は、支持構造10の管腔20のサイズを示す。
【0044】
図37〜図39は、メッシュの支持構造102とワイヤフォーム104と弁106を含む、本発明の好適な実施形態100を示す。支持構造102は、2つの独立したワイヤ108で構築されるので、先に記述された支持構造10とはわずかに異なる。編み込みプロセスの完了の際に、ワイヤの2つの自由端はつながれる。従って、ワイヤの自由端はなく、構造は、一層の状態(図示せず)で送達カテーテルの中に装填され得る。図における配備された状態において、支持構造102は一度折り返され、二層のデバイスを形成する。
【0045】
支持構造102は、形状記憶合金、例えば、ニチノールで形成されるのが好ましい。単一のワイヤの構成は、デバイスが、16Fr以下のサイズのカテーテルのような非常に小さいカテーテルに圧縮されることを可能にする。支持構造は2層の配備構造によって剛性を得るが、半径方向の強度は、いくつかの要素の関数であり、従って、幅広く変更され得る。
【0046】
第1に、他の実施形態に関して、半径方向の強度は、支持構造102の配備構成の中により多くの折り返しまたは層を組み込むことによって増加され得る。図37〜図39に示される3層構成が最も好ましい構成である。なぜならば、その3層構成は自身を二度折り返さなければならないだけであり、配備をあまり複雑にしないからである。
【0047】
第2に、強度は、より重いワイヤを使用することによって増加され得る。支持構造102は単一のワイヤから作られ、従って、単一層の構成においてカテーテルの中に装填され得るので、より小さい直径の細長いプロフィールを維持しながら、より大きい直径のワイヤが使用され得る。支持構造102は、0.005インチと0.010インチとの間の直径を有する単一のワイヤを使用して、本発明に従って構築され得る。好適には、ワイヤの直径は、0.007インチと0.008インチとの間である。
【0048】
第3に、強度は編み込み密度を増加させることによって増加され得る。より目の詰まった編み込みがより強い支持をもたらす。
【0049】
第4に、強度はヒートセットパラメータを変更することによって増加され得る。弾性かつ形状記憶の合金、例えば、ニチノールは、ヒートセットされることによって、脈管構造の中で配備形状を獲得する。ワイヤは所望の構成に保持され、所定の期間、所定の温度に加熱される。ワイヤが冷えた後に、ワイヤは新たな構成に設定される。ワイヤが後に形状を損なう場合には、加熱するかまたは単にワイヤを離すと、ワイヤは設定された構成に戻る。超弾性または形状記憶の合金が設定された構成に戻る力は、構成が設定される温度を修正すること、または上げられた設定温度に合金が維持される期間を修正することによって増加され得る。例えば、7分間530℃で、本発明のニチノールの支持構造を設定して、良い結果が得られる。より目の詰まった支持構造は、530℃ではない温度に構造を設定することによって、あるいは7分間ではない期間、530℃で構造を設定することによって、またはその両方で、同じニチノールワイヤを使用して作られ得る。
【0050】
デバイス100は、弁106が取り付けられるワイヤフォーム104を含む。ワイヤフォーム104は、弓形部分110によって分離される接続点109を形成する。弓形部分110は支持構造102の内側面に取り付けられる。接続点109は、弁106の自然で効率的な開閉を容易にする。あるいは、弁の接続点は指示構造の外側面(図示せず)に取り付けられ得る。
【0051】
弁106は、任意の形式の補綴または培養の生体弁であり得る。好適には、図に示されているように、弁106は3つの葉状部を有する弁である。弁106はワイヤフォーム104に縫合されるか、または取り付けられる。好適には、弁106は、縁取り部分112を含むように切断または構築され、該縁取り部分112は配備された構成において支持構造102の長手方向に沿って続く。
【0052】
本発明は特定の実施形態または用途の観点から記述されてきたが、当業者は、本教示の観点から、主張される本発明の精神を逸脱することなく、または主張される本発明の範囲を超えることなく、さらなる実施形態および改変を生成し得る。従って、本明細書における図面および記述は、本発明の理解を容易にするために、例示として提供されており、本発明の範囲を限定すると理解されるべきではないということが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2012−223618(P2012−223618A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−180576(P2012−180576)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【分割の表示】特願2008−513838(P2008−513838)の分割
【原出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(507390561)ハート リーフレット テクノロジーズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】