説明

ステー

【課題】インストルメントパネルの先端の撓み、天面の振動を防止し、ステアリング振動を抑制できるステーを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかるステー150は、車両のインストルメントパネル110の裏側の空間にて複数の部材を連結することにより連結された部材間の位置関係を維持するステー150において、インストルメントパネル110の裏側で車幅方向に延び両端が車体に固定されたステアリングサポートメンバ120に取付けられた一端部151と、一端部151からダッシュパネル210に向けて車両前方に延びダッシュパネル210に取付けられた中間部153と、中間部153からインストルメントパネル110の車両前方側の先端部112に向けて上方に延長され先端部112に取付けられた他端部152とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルの裏側の空間に差し渡され、連結された部材間の位置関係を維持するステーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両には、補強あるいは支持部材として、車両を構成する部材間を連結するスティフナ(ステー)が取付けられている。車両を構成する部材としては、ステアリングを支持し、両端が車体ボディの側壁に固定されたステアリングサポートメンバや、車両のエンジンルームと車室内とを区画するダッシュパネル等がある。
【0003】
例えば特許文献1には、一端をステアリングサポートメンバに固定して、他端をダッシュパネルに強固に固定したステーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4238110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、フロントウインドガラスを水平に近くなる方向により傾斜させるというデザイン上の要請から、エンジンルームと居住空間とを区画する内装部品(インストルメントパネル。以下「インパネ」と略称することもある)の意匠面(天面)が車両前後方向に長くなる傾向にある。インストルメントパネルは、成形後に保管され、例えば保管場所から運搬された後に、車体ボディに搭載される。
【0006】
車両前後方向に長いインストルメントパネルは、保管および運搬中に、自重により先端が撓み変形してしまうことがある。この変形したインストルメントパネルが車体ボディに搭載されると、組付け性や外観性(見栄え)が損なわれるという問題があった。
【0007】
また、インストルメントパネルの天面は、車両前後方向だけでなく、車幅方向にも長い。このため、走行中に、インストルメントパネルの先端が撓む、あるいはインストルメントパネルの天面が振動することで、インストルメントパネルと、インストルメントパネル内にレイアウトされたインパネ部品とが接触して、異音が発生するという問題があった。
【0008】
さらに、エンジン振動および路面(特に、悪路)から車体ボディが受ける振動が、車体を通じて伝播することがあり、ステアリング操作時に、乗員に違和感を与えるステアリング振動が発生するという問題があった。
【0009】
特許文献1に記載されたステーでは、単に、ステアリングサポートメンバとダッシュパネルとの間を連結しているに過ぎず、上記インストルメントパネルに起因する各問題を考慮していない。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み、インストルメントパネルの先端の撓み、天面の振動を防止し、ステアリング振動を抑制できるステーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかるステーの代表的な構成は、車両のインストルメントパネルの裏側の空間にて複数の部材を連結することにより連結された部材間の位置関係を維持するステーにおいて、インストルメントパネルの裏側で車幅方向に延び両端が車体に固定されたステアリングサポートメンバに取付けられた一端部と、一端部からダッシュパネルに向けて車両前方に延びダッシュパネルに取付けられた中間部と、中間部からインストルメントパネルの車両前方側のパネル先端部に向けて上方に延長されパネル先端部に取付けられた他端部とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、一端部がステアリングサポートメンバに取付けられたステーは、ダッシュパネルに取付けられた中間部からさらに延長されて、他端部がインストルメントパネルのパネル先端部に取付けられている。このため、ステーは、ステアリングサポートメンバ、ダッシュパネルおよびインストルメントパネルと共に閉断面を形成して、インストルメントパネルのパネル先端部を強固に支持できる。このため、インストルメントパネルのパネル先端部の撓み変形、および、インストルメントパネルの天面の振動を防止できる。また、ステアリングサポートメンバから延びるステーをダッシュパネルだけでなく、インストルメントパネルとも締結点を持たせることで、ステアリングサポートメンバの車体ボディへの固定がより強固になり、ステアリングサポートメンバが支持するステアリングにエンジン振動およびボディが受ける振動の伝播を抑制する効果が高まり、ステアリング振動の抑制につながる。さらに、ステーの一端部および他端部が取付けられた状態で、中間部をダッシュパネルにボルトで締結すれば、締結の際にステーの回転が防止されて、組付け性を改善できる。
【0013】
一端部は、ステアリングサポートメンバに着脱可能な取付手段で取付けられているとよい。これにより、以下の組付け手順を実現できる。すなわち、ハーネスの取り付けられたステアリングサポートメンバをインストルメントパネルに固定した後に、空調ダクト等のインパネ部品をステアリングサポートメンバに固定する。その後に、ステーの一端部をステアリングサポートメンバに着脱可能に取付けて、他端部をインストルメントパネルに固定して、さらに中間部をダッシュパネルに取付ける。
【0014】
一方、一端部がステアリングサポートメンバに溶接された既存のステーでは、まず、ステーをステアリングサポートメンバに溶接する。その後、ステーの他端部とインストルメントパネルとの隙間を介して、ハーネスやインパネ部品をステアリングサポートメンバに固定していた。しかし、この固定作業では、ハーネスはステーの溶接位置によりレイアウト可能な位置が限られたり、既に溶接されているステーが邪魔でインパネ部品の組付けに手間がかかり、作業性が損なわれていたりしていた。
【0015】
これに対して、本発明による上記構成では、インパネ部品をステアリングサポートメンバに固定した後に、ステーの一端部をステアリングサポートメンバに着脱可能に取付ける。このようにステーを取り付ける前にインパネ部品を取付可能であるので、インパネ部品の組付け作業性を向上できる。
【0016】
中間部と他端部との間に、屈曲部を有するとよい。これにより、インストルメントパネルが保管や運搬中に自重により変形していた場合であっても、屈曲部によりステーを多少撓ませることで、ステーの他端部をインストルメントパネルに組付けることができる。つまり、インストルメントパネルの変形に伴う組付け誤差を吸収して、ステーの他端部をインストルメントパネルのパネル先端部に容易に組付けることができる。また、組付け後には、屈曲部を起点としてステーが元の形状に戻るような復元力が生じる。このため、変形したインストルメントパネルを変形前の状態に戻すことが可能となり、見栄えが損なわれない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インストルメントパネルの先端の撓み、天面の振動を防止し、ステアリング振動を抑制できるステーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態におけるステーを含むユニットおよびユニットが車体前部に搭載される状態を説明する図である。
【図2】図1のユニットの分解斜視図である。
【図3】図2のユニットの組立て途中の状態を説明する図である。
【図4】図1のユニットを裏側から見た図である。
【図5】図1のユニットが車体前部に搭載された状態を車幅方向から見た側面図である。
【図6】図1のユニットが搭載された車体前部をエンジンルーム側から見た図である。
【図7】図5のステーの組付けを説明する図である。
【図8】比較例のステーが取付けられたユニットを説明する図である。
【図9】図5のステーが撓んだ状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
図1は、本実施形態におけるステーを含むユニットおよびユニットが車体前部に搭載される状態を説明する図である。図1(a)は、ユニットを表側から見た状態およびユニットが搭載される車体前部を車両後方側から見た状態を示す図である。図1(b)は、図1(a)のユニットが車体前部に搭載された状態を示す図である。図2は、図1のユニットの分解斜視図である。図3は、図2のユニットの組立て途中の状態を説明する図である。図4(a)は、図1(a)のユニットを裏側から見た図である。図4(b)は、図4(a)の点線で囲んだ領域を示す拡大図である。ここで、ユニットの表側とは、ユニットが車体前部に搭載された状態で車室内側に位置する側であり、同じく裏側とは、エンジンルーム側に位置する側である。
【0021】
ユニット100は、図1(a)に示すように、車体ボディ200の車体前部に車両後方側から搭載される。車体ボディ200は、車室内とエンジンルームとを区画するダッシュパネル210を有する。ユニット100は、図1(b)に示すように、車体ボディ200に搭載された状態で、ダッシュパネル210の車室内側に位置している。
【0022】
ユニット100は、図1および図2に示すように、インストルメントパネル110と、ステアリングサポートメンバ120と、インパネ部品であるハーネス130および空調ダクト140と、ステー150とを含み、これらの各部材を組付けて一体化される。
【0023】
各部材の組付けは、図2および図3の点線の矢印で示すように、インストルメントパネル110の裏側から、インストルメントパネル110に、ハーネス130が組付けられているステアリングサポートメンバ120を固定した後に、空調ダクト140をステアリングサポートメンバ120およびインストルメントパネル110に固定し、その状態で(図3参照)、ステー150を組付けることで行われる。なお、ステー150の組付けについては後述する。
【0024】
インストルメントパネル110は、車体前部と居住空間とを仕切る内装部品であり、内部にはインパネ部品であるハーネス130および空調ダクト140などが配設される。また、インストルメントパネル110は、図示しないフロントウインドガラスを水平に近くなる方向により傾斜させるというデザイン上の要請から、天面111が車両前後方向に長くなる傾向にある。さらに、インストルメントパネル110の天面111は、車両前後方向だけでなく、車幅方向にも長い形状を有する。
【0025】
ステアリングサポートメンバ120は、不図示のステアリングを支持する部材であり、インストルメントパネル110の裏側で車幅方向に延びていて、両端に設けられたブラケット121、122(図2参照)を介してボルト等で車体ボディ200の側壁に固定される。また、ステアリングは、ステアリングサポートメンバ120に設けられたブラケット123にボルト等で締結(固定)され、支持される。本実施形態では、ステー150を組付けるための形状がステアリングを支持するブラケット123に設けられているもので示す。
【0026】
ステー150は、車両のインストルメントパネル110の裏側の空間にて複数の部材を連結することにより、この連結された部材間の位置関係を維持する板状部材であって、部材間を連結する支持部材あるいは補強部材としての役割を果たす。ステー150は、図2〜図4に示すように、一端部151、他端部152および中間部153(後述)を含む。一端部151は、図4に示すように、ブラケット123を介してステアリングサポートメンバ120に締付ボルト161で着脱可能に締結(固定)されている(図4(b)参照)。他端部152は、中間部153からインストルメントパネル110のパネル先端部(先端部112)に向けて上方に延長されていて、インストルメントパネル110の先端部112に締付スクリュー162で固定されている。ここで先端部112とは、インストルメントパネル110の天面111の車両前方側に位置していて、天面111の自重による撓み変形が生じ易い前端部等を含む領域をいう。
【0027】
次に、図5および図6を参照して、ユニット100が車体ボディ200に搭載された状態について詳述する。図5は、ユニット100が車体ボディ200に搭載された状態を車幅方向から見た側面図である。但し、説明の便宜上、インパネ部品であるハーネス130および空調ダクト140は図示を省略している。図6(a)は、図5の状態で車体前部をエンジンルーム170側から見た正面図である。図6(b)は、図6(a)の点線で囲んだ領域を示す拡大図である。なお、ユニット100には、複数の固定点が設定されるが、ステー150に関する固定点以外は、図示を省略している。
【0028】
ステー150の中間部153は、図5に示すように、一端部151からダッシュパネル210に向けて車両前方に延びていて、ダッシュパネル210に取付けられている。ステー150は、一端部151および他端部152が、それぞれステアリングサポートメンバ120およびインストルメントパネル110の先端部112に固定された状態で、中間部153がエンジンルーム170側に突出している。また、中間部153は、ダッシュパネル210の上部側にエンジンルーム170側から締付ボルト163で固定されている(図5および図6参照)。
【0029】
つまり、ステー150は、図5に示すように、ステアリングサポートメンバ120とダッシュパネル210とを、一端部151と中間部153とで連結するだけでなく、中間部153からインストルメントパネル110の先端部112に向けて他端部152が延長されている。さらに、ステー150の他端部152は、インストルメントパネル110の先端部112と締結されている。
【0030】
したがって、ステー150は、インストルメントパネル110、ダッシュパネル210およびステアリングサポートメンバ120と共に、ループ状の閉断面180を構成していて、これらの各部材をより強固に支持している。
【0031】
図7は、ユニット100を車体ボディ200(ダッシュパネル210)に組付ける際のステー150の組付けの様子を説明する図である。図7(a)は、図5のユニット100をエンジンルーム170側から見た斜視図である。図7(b)は、図7(a)の正面図である。但し、図7では、説明の便宜上、ハーネス130および空調ダクト140だけでなく、ダッシュパネル210も省略している。
【0032】
ステー150の車体ボディ200への組付けは、インストルメントパネル110、ステアリングサポートメンバ120、ハーネス130および空調ダクト140が一体化された後で行われる(図3参照)。まず、ステー150の一端部151を、インストルメントパネル110に締付ボルト161で着脱可能に固定する。次に、ステー150の他端部152を、インストルメントパネル110の先端部112に締付スクリュー162で固定することで、ユニット100を組立てる。そして最後に、組立てたユニット100を車体前部に搭載して、ステー150の一端部151と他端部152とが既に固定されている状態で、図7(b)の矢印で示すように、エンジンルーム170側から締付ボルト163で、ステー150の中間部153をダッシュパネル210(車体ボディ200の一部)に固定する。
【0033】
次に、図8を参照して比較例の従来のステーについて説明する。図8(a)および図8(b)は、比較例のステーを含むユニットを、車幅方向から見た側面およびエンジンルーム170側から見た正面をそれぞれ示す図であり、本実施形態を示す図5および図7(b)にそれぞれ対応している。但し、上述したダッシュパネル210、インパネ部品であるハーネス130や空調ダクト140は省略している。さらに、図8では、本実施形態に示す部材と同一部材には同一符号を付し、説明を適宜省略する。
【0034】
比較例の従来のステー20は、ステアリングサポートメンバ120と上述のダッシュパネル210との間を連結する部材であり、一端部21がステアリングサポートメンバ120に溶接されていて、他端部22がダッシュパネル210に締付ボルト31で固定されている。つまり、従来のステー20は、一端部21が溶接されている点、他端部22がダッシュパネル210に固定されていて、インストルメントパネル110の先端部112を支持していない点で、本実施形態におけるステー150と異なる。
【0035】
ここで、インストルメントパネル110は、上述したように、天面111が車両前後方向にも車幅方向にも長い。このため、インストルメントパネル110は、成形後の保管や運搬の際に、自重により先端が撓み変形してしまう場合や、走行中に先端が撓む、あるいは天面111が振動する場合がある。
【0036】
従来のステー20は、一端部21と他端部22とで、ステアリングサポートメンバ120とダッシュパネル210との間を支持するだけで、インストルメントパネル110の先端部112を支持していないため、先端部112とステー20の他端部22との間には図中に点線で示す隙間40がある。したがって、従来のステー20では、インストルメントパネル110の先端部112が自重により撓み変形して、ユニット10の組付け性や、外観性(見栄え)が損なわれる。また、インストルメントパネル110での走行中の先端部112の撓みや天面111の振動により、インストルメントパネル110とインパネ部品とが接触して異音が発生することがある。
【0037】
次に、ステー20を含む従来のユニット10のステー部の車体ボディへの組立てについて説明する。まず、ステー20の一端部21をステアリングサポートメンバ120に溶接する。その後、ステー20が溶接されたステアリングサポートメンバ120にハーネス130を組付ける。ハーネス130が組付けられたステアリングサポートメンバ120は、インストルメントパネル110の裏側から、インストルメントパネル110に固定していた。続いて、隙間40を介して、空調ダクト140などのインパネ部品をステアリングサポートメンバ120に固定して、ユニット10を組立てる。その後に、組立てたユニット10を車体前部に搭載して、図8(b)の矢印41で示すように、締付ボルト31をエンジンルーム170側から、ステー20の他端部22をダッシュパネル210に固定する。
【0038】
従来のステー20を含むユニット10では、インパネ部品であるハーネス130や空調ダクト140をステアリングサポートメンバ120に固定する際に、ステー20の一端部21がステアリングサポートメンバ120に既に溶接されているために、上述の隙間40を通過させたり、インストルメントパネル110とステー20との隙間を車幅方向から通したりする必要がある。このため、ステー20が邪魔になり、手間がかかることで作業性が損なわれていた。また、ステー20の他端部22を締結ボルト31で固定する際には、ステー20がステアリングサポートメンバ120との一点での片持ちの固定構造となっている。このため、ステー20は、図8(b)の矢印42で示すように、締付け回転方向に逃げてしまい、組付け性が損なわれる可能性がある。
【0039】
これに対して、本実施形態におけるステー150は、一端部151と中間部153とで、ステアリングサポートメンバ120とダッシュパネル210とを連結した上で、インストルメントパネル110の先端部112に向けて延長した他端部152を、インストルメントパネル110の先端部112に締結した構造となっている。また、ステー150は、インストルメントパネル110の先端部112、ダッシュパネル210およびステアリングサポートメンバ120と共に、閉断面180を形成している。
【0040】
したがって、本実施形態におけるステー150は、車両前後方向および車幅方向に長いインストルメントパネル110の天面111の先端部112を強固に支持するので、自重によるインストルメントパネル110の先端部112の撓みや、天面111の振動を防止できる。このため、ユニット100の組付け性や見栄えが損なわれることがなく、また、異音などの問題の発生も防止できる。更に、ステアリングを支持しているステアリングサポートメンバ120をこのステー150を通じて、車体ボディ200およびインストルメントパネル110と強固に固定できるため、乗員に違和感を与えるステアリング振動の伝播を抑制し易くなる。
【0041】
また、ステー150の一端部151は、ステアリングサポートメンバ120に着脱可能に取付けられている。このため、作業者は、ユニット100の組付けの際に、ステアリングサポートメンバ120にインパネ部品を固定した後で、ステー150の取付けを行うことができ、インパネ部品の固定の際に、ステー150が邪魔になることがなく、手間がかからず、作業性が損なわれることがない。
【0042】
さらに、ステー150の中間部153は、ステー150の一端部151および他端部152が固定された状態でダッシュパネル210に締結されるので、この際に、ステー150が締付け回転方向への逃げを防止でき、組付け性を向上できる。
【0043】
続いて、図9を参照して、ステー150が撓んだ状態について説明する。ステー150には、図9(a)に示すように、ダッシュパネル210との締結点である中間部153と、中間部153からインストルメントパネル110の先端部112まで延長させた他端部152との間に、屈曲部154が形成されている。ステー150は、弾性変形する金属製の部材であり、図9(b)に示すように、屈曲部154が撓んでいない本来の状態(実線)から、撓んだ状態152a(2点鎖線)になり得る。
【0044】
ここで、インストルメントパネル110の先端部112が、保管や運搬中に自重により撓み変形すると、ステー150の他端部152が固定されるべき位置がずれてしまう事態が生じる。しかし、作業者が、屈曲部154を撓ませた状態152aとすることで、仮にインストルメントパネル110の先端部112が撓み変形していたとしても、位置のずれ(組付け誤差)を吸収して、ステー150の他端部152とインストルメントパネル110の先端部112とを容易に固定できる。
【0045】
さらに、屈曲部154が撓んだ状態152aで、ステー150の他端部152とインストルメントパネル110の先端部112とが固定された場合には、ステー150は、屈曲部154を起点にして、実線で示す本来の状態に戻ろうとする復元力が生じる。ステー150は、この復元力により、インストルメントパネル110の先端部112を、撓み変形する前の状態に戻すことができる。
【0046】
したがって、屈曲部154が形成されたステー150によれば、インストルメントパネル110の先端部112の撓み変形に伴う組付け誤差を吸収できると共に、見栄えが損なわれることも防止できる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、車両を構成する部材間を連結するステーとして利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
100…ユニット、110…インストルメントパネル、111…天面、112…先端部、120…ステアリングサポートメンバ、130…ハーネス、140…空調ダクト、150…ステー、151…一端部、152…他端部、153…中間部、154…屈曲部、161…締付ボルト、162…締付スクリュー、163…締結ボルト、180…閉断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルの裏側の空間にて複数の部材を連結することにより該連結された部材間の位置関係を維持するステーにおいて、
前記インストルメントパネルの裏側で車幅方向に延び両端が車体に固定されたステアリングサポートメンバに取付けられた一端部と、
前記一端部からダッシュパネルに向けて車両前方に延び該ダッシュパネルに取付けられた中間部と、
前記中間部から前記インストルメントパネルの車両前方側のパネル先端部に向けて上方に延長され該パネル先端部に取付けられた他端部とを備えることを特徴とするステー。
【請求項2】
前記一端部は、前記ステアリングサポートメンバに着脱可能な取付手段で取付けられていることを特徴とする請求項1に記載のステー。
【請求項3】
前記中間部と前記他端部との間に、屈曲部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のステー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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