説明

ストッパ装置

【課題】簡単に設置することができるとともに、設置スペースを大きく確保する必要のないストッパ装置を提供する。
【解決手段】ストッパ装置10は、回転軸92を有するモータユニット90と、搬送路上を搬送されるワークに当接することにより、ワークの搬送を停止させるワーク当接部33を有し、回転軸92の回転運動に連動して、ワーク当接部33が搬送路に交わる第1位置と、搬送路に交わらない第2位置との間を移動するロッド30と、モータユニット90を制御することにより、ロッド30を移動させるコントローラ100と、を有する。これにより、ストッパ装置10は、コントローラ100を有しているため、ストッパ装置とコントローラとを、別々に設置する必要がなく、設置作業を簡単なものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や電子部品等を生産する工場に設置されているコンベアベルトには、ワークを停止させるために、ストッパ装置が用いられる。例えば、下記特許文献1には、モータの回転軸の回転によってロッドを上昇させて、搬送されるワークをロッドの先端で停止させるストッパ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−255769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のストッパ装置には、このストッパ装置とは別体に構成されたコントローラが、ケーブル等を介して接続されている。そのため、ストッパ装置とコントローラとを、ワークの搬送路近傍にそれぞれ設置した上で、これらをケーブルで接続しなければならず、設置作業が煩雑になってしまうおそれがあった。また、設置スペースを大きく確保する必要があった。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、簡単に設置することができるとともに、設置スペースを大きく確保する必要のないストッパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明のストッパ装置は、
回転軸を有するモータと、
搬送路上を搬送されるワークに当接することにより、前記ワークの搬送を停止させるワーク当接部を有し、前記回転軸の回転運動に連動して、前記ワーク当接部が前記搬送路に交わる第1位置と、前記搬送路に交わらない第2位置との間を移動するロッドと、
前記モータを制御することにより、前記ロッドを移動させる制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0007】
前記ストッパ装置は、
前記モータと、前記制御手段とを収納する筐体を有していてもよい。
【0008】
前記ストッパ装置は、
前記回転軸からトルクが伝達されることにより回転するねじ軸と、
前記ねじ軸の回転運動に伴って直線運動するナットを有するアーム部と、
を有し、
前記ナットの直線運動によって、前記ロッドは、前記第1位置と前記第2位置との間を移動してもよい。
【0009】
前記ストッパ装置は、
前記アーム部に対して、前記ロッドが揺れ動くように、前記ロッドと前記アーム部とを接続する弾性部材を有していてもよい。
【0010】
前記弾性部材は、コイルばねから構成されていてもよい。
【0011】
前記ストッパ装置は、
前記モータの前記回転軸から、前記ねじ軸へ伝達されるトルクを遮断するクラッチユニットを有していてもよい。
【0012】
前記クラッチユニットは、
電磁コイルを備えるステータと、
前記ステータに回転可能に支持されるロータと、
前記電磁コイルが励磁状態となった場合には、前記電磁コイルに引き寄せられて、前記ロータと密着し、前記ロータとともに回転するアーマチュアと、
を有し、
前記ロータは、前記回転軸と前記ねじ軸とのいずれか一方に連結され、
前記アーマチュアは、前記回転軸と前記ねじ軸とのいずれか他方に連結されていてもよい。
【0013】
前記ストッパ装置は、
前記ロッドを、前記第2位置から前記第1位置の方へ付勢する付勢手段を有し、
前記電磁コイルが非励磁状態となった場合に、前記付勢手段は、前記ロッドを、前記第1位置に移動させてもよい。
【0014】
前記ねじ軸と前記ナットとの間には、複数のボールが配置されることにより、
前記ねじ軸及び前記ナットは、ボールねじから構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ストッパ装置は、コントローラを有しているため、ストッパ装置とコントローラとを、別々に設置する必要がなく、設置作業を簡単なものとすることができる。また、ストッパ装置を全体としてコンパクトにすることができ、これにより、設置スペースを大きく確保する必要もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るストッパ装置を示す斜視図である。
【図2】ストッパ装置の断面図である。
【図3】筐体を外したストッパ装置の分解断面図である。
【図4】ロッド及びジョイントアーム等を示す断面図である。
【図5】ワーク当接部の斜視図である。
【図6】(A)は、ワーク当接部の動作を説明するための断面図(その1)である。(B)は、ワーク当接部の動作を説明するための断面図(その2)である。
【図7】ストッパ装置の使用例を示す断面図である。
【図8】(A)は、ストッパ装置の動作を説明するための断面図(その1)である。(B)は、ストッパ装置の動作を説明するための断面図(その2)である。
【図9】(A)は、ワーク当接部の動作を説明するための断面図(その1)である。(B)は、ワーク当接部の動作を説明するための断面図(その2)である。
【図10】ロッドの動作を説明するための断面図である。
【図11】(A)は、ワーク当接部の動作を説明するための断面図(その3)である。(B)は、ワーク当接部の動作を説明するための断面図(その4)である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るストッパ装置を示す断面図である。
【図13】(A)は、クラッチユニットの動作を説明するための断面図(その1)である。(B)は、クラッチユニットの動作を説明するための断面図(その2)である。
【図14】(A)は、第2実施形態に係るストッパ装置の動作を説明するための断面図(その1)である。(B)は、第2実施形態に係るストッパ装置の動作を説明するための断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係るストッパ装置10について、図1〜11を参照しながら説明する。なお、理解を容易にするため、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0018】
ストッパ装置10は、コンベアベルト上を搬送されるワークを所定位置で停止させるために用いられる。ストッパ装置10は、図1に示すように、筐体20と、筐体20から+Z方向に先端が突出するように配置され、Z軸方向を往復移動するロッド30とを有している。ロッド30が、下死点の位置(第2位置)から、+Z方向に上昇して、上死点の位置(第1位置)に移動した場合に、ロッド30の先端がワークに当接する。また、ストッパ装置10は、図2及び図3に示すように、コイルばね40、支持ユニット50、ジョイントアーム60、ねじ軸70、支持ユニット80、モータユニット90、コントローラ100を有している。これらの各部品は、筐体20内に収納されている。
【0019】
筐体20は、図1及び図2に示すように、+Z側及び−Z側に開口が形成された角筒状に形成されている。筐体20は、例えば、アルミニウム合金からなる。筐体20の+Z側の開口には、支持ユニット50が、取り付けられており、筐体20の−Z側の開口には、ベース21が、取り付けられている。支持ユニット50及びベース21は、それぞれ複数のボルトの締結によって、筐体20に固定されている。また、ベース21の下面(−Z側の面)には、図2に示すように、コネクタ22、23が形成されている。コネクタ22は、例えば、電源を供給するために用いられる。コネクタ23は、例えば、ティーチングペンダントを接続するために用いられる。
【0020】
ロッド30は、図4に示すように、ロッド本体31と、ロッド本体31内に収納されたショックアブソーバ32と、ロッド本体31の+Z側の先端に配置されたワーク当接部33と、ロッド本体31の下端(−Z側の端部)に固定されたボルト41とを有している。
【0021】
ロッド本体31は、略円筒状の部材で、支持ユニット50に対して、Z軸方向に往復移動可能に配置されている。また、ロッド本体31には、ショックアブソーバ32を挿入するための挿入孔31aと、コイルばね40を挿入するための凹部31bと、挿入孔31aと凹部31bとを連通する貫通孔31cとが形成されている。貫通孔31cの内周面は、雌ねじ面から構成されている。
【0022】
ショックアブソーバ32は、ワーク当接部33がワークに当接したときに生じる衝撃を緩和する。ショックアブソーバ32は、例えば、油圧式のショックアブソーバから構成される。ショックアブソーバ32の上端には、偏角アダプタ34が配置されている。偏角アダプタ34は、ワークがワーク当接部33に当接したときの衝撃の力を、Z軸方向の力に変換するとともに、その力をショックアブソーバ32に伝達する。
【0023】
ワーク当接部33は、図5及び図6に示すように、レバーブラケット35と、レバー36と、ローラ37と、レバーロック金具38とを有している。
【0024】
レバーブラケット35は、ロッド本体31の+Z側の先端部に固定されている。また、レバーブラケット35は、+Z方向に突出する一対の突出部35a,35bを有している。突出部35a,35bには、X軸方向に貫通する円形の孔が形成されている。
【0025】
レバー36は、略三角柱状に形成され、レバーブラケット35の突出部35aと突出部35bとの間に配置されている。レバー36の上端部(+Z側の端部)及び下端部(−Z側の端部)には、それぞれX方向に貫通する円形の孔が形成されている。このレバー36の下端部に形成された孔と、突出部35a,35bに形成された孔とに、レバーピン36aが挿入されている。これにより、レバー36は、レバーブラケット35に対して、X軸回りに回動可能に支持される。また、レバー36とレバーブラケット35とには、スプリング39が取り付けられている。スプリング39の一端は、レバー36のレバーピン36aに固定されている。スプリング39の他端は、レバーブラケット35の−Y側の面に固定されている。
【0026】
ローラ37は、円板状に形成され、コンベアベルトの搬送路上を搬送されるワークに当接する。ローラ37は、例えば、ポリアセタール樹脂等の樹脂材料又は金属材料からなる。また、ローラ37の中心には、孔が形成されている。この孔と、レバー36の上端部(+Z側の端部)に形成された孔とに、ローラピン37aが挿入されている。これにより、ローラ37は、レバー36に対して、X軸回りに回動可能に支持される。
【0027】
レバーロック金具38は、ワークとの当接によって回転方向R1回りに回動したレバー36が、ショックアブソーバ32の反発力等によって、回転方向R1とは逆方向の回転方向R2回りに回動しないように、レバー36を係止する。レバーロック金具38は、レバーブラケット35にねじ38aによって固定されている。レバーロック金具38は、図6(A)に示すように、回転方向R1回りに回動するレバー36の端部36bを摺動させて案内する案内面38bと、案内面38bの下方に形成された被係合部38cと、を有している。また、レバー36の端部36b近傍には、被係合部38cに係合する係合部36cが形成されている。そして、図6(B)に示すように、レバー36が回転方向R1回りに回動した場合に、レバー36の係合部36cは、レバーロック金具38の被係合部38cに係合する。この係合によって、レバー36が、ショックアブソーバ32の反発力等によって、いったん回転方向R1に回動した後に、回転方向R2回りに回動することを制限する。また、レバーロック金具38は、ロッド30が下方(−Z方向)に移動した場合に、支持ユニット50に接触する当接部38dを有している。
【0028】
ボルト41は、図4に示すように、雄ねじ部42と、首部43と、頭部44とから構成されている。ボルト41の雄ねじ部42は、ロッド本体31の貫通孔31cに、−Z側からねじ込まれている。また、首部43は、その外径が、ロッド本体31の凹部31bの内径よりも小さく形成されており、これにより、首部43と凹部31bとの間には、所定のクリアランスが形成される。このクリアランスには、コイルばね40の一部が配置されている。
【0029】
コイルばね40は、ジョイントアーム60に対して、ロッド30がXY平面に平行に揺れ動くように、ロッド30とジョイントアーム60とを接続する。このコイルばね40は、圧縮コイルばねから構成されている。コイルばね40の上端(+Z側の端部)は、首部43と凹部31bとの間に形成されたクリアランスに挿入され、ロッド本体31の凹部31b内の+Z側の面に接触する。
【0030】
支持ユニット50は、図2及び図3に示すように、ロッド30をZ軸方向に往復移動可能に支持する。この支持ユニット50は、フレーム51と、フレーム51の上部(+Z側の端部)に取り付けられたカバー52、53とを有している。
【0031】
フレーム51は、略角筒状に形成されている。このフレーム51は、例えば、アルミニウム合金を押出成形することにより形成される。
【0032】
カバー52は、シリンダー部52aと、シリンダー部52aの+Z側の端部から径方向に張り出したフランジ部52bとから構成されている。このシリンダー部52aには、ダストシール54を介して、ロッド本体31が挿入されている。このダストシール54により、ロッド本体31は、カバー52に対して、Z軸方向に移動可能に配置される。また、ロッド本体31の外周面と、シリンダー部52aの内周面との間には、所定のクリアランスが形成される。また、フランジ部52bの上面には、シート55が配置されている。このシート55は、例えば、金属からなり、ロッド30が−Z方向に移動してきた場合に、レバーロック金具38の当接部38dに当接する。
【0033】
ジョイントアーム60は、図4に示すように、ねじ軸70の回転運動を、ロッド30の直線運動に変換する。ジョイントアーム60は、ジョイントアーム本体61と、ジョイントアーム本体61に取り付けられたナット62と、ナット62を固定するナット押さえ部材63とを有している。
【0034】
ジョイントアーム本体61は、両端に形成された2つの円筒部と、これらの円筒部を連結する連結部とから構成されている。ジョイントアーム本体61は、例えば、鋳造により、一体成形される。
【0035】
ジョイントアーム本体61の−Y側の端部に形成された円筒部には、貫通孔61aが形成されている。貫通孔61aは、Z軸方向を貫通しているとともに、座ぐり部が形成されている。この座ぐり部には、コイルばね40の下端(−Z側の端部)が配置される。この座ぐり部に、コイルばね40が配置されることにより、コイルばね40がロッド30を上方(+Z方向)に押し上げる。また、ロッド30を上方(+Z方向)に押し上げることにより、ボルト41の頭部44が、ジョイントアーム本体61の下面(−Z側の面)に接触する。また、貫通孔61aは、その内径が、ボルト41の首部43の外径よりも大きく形成されている。
【0036】
ジョイントアーム本体61の+Y側の端部に形成された円筒部にも、貫通孔61bが形成されている。貫通孔61bは、貫通孔61aと同様に、Z軸方向を貫通している。この貫通孔61bには、上側(+Z側)から、ナット62が嵌め込まれる。さらに、このナット62は、上側(+Z側)からナット押さえ部材63によって押さえられ、ボルトによって締結される。これにより、ナット62は、ジョイントアーム本体61に固定される。
【0037】
上述のように構成されたジョイントアーム60とロッド本体31との間には、コイルばね40が配置される。ロッド30は、図4を参照するとわかるように、このコイルばね40により、ジョイントアーム60に直接接触せずに、ジョイントアーム60に対して浮動する。また、ジョイントアーム本体61に形成された貫通孔61aと、ボルト41の首部43との間には、所定のクリアランスが形成されている。このクリアランスによって、ロッド30は、ジョイントアーム60に対して、XY平面に平行に揺れ動くことが可能になる。
【0038】
ねじ軸70は、図2及び図3に示すように、外周面が螺旋状のねじ面から構成されているねじ軸本体71と、ねじ軸本体71の−Z側に形成された首部72と、この首部72の−Z側に形成された頭部73とから構成される。ねじ軸本体71には、ジョイントアーム60のナット62が取り付けられる。ねじ軸本体71とナット62とは、ボールねじではなく、台形ねじ等のすべりねじから構成されている。また、頭部73には、モータユニット90の出力軸92と接続するための孔73aが形成されている。
【0039】
支持ユニット80は、ねじ軸70を回転可能に支持する。支持ユニット80には、Z軸方向に貫通する貫通孔80aが形成されている。この貫通孔80aには、ベアリング81が嵌め込まれている。ベアリング81は、ベアリング押さえ部材82によって固定されている。このベアリング81内には、ねじ軸70の首部72が配置される。これにより、ねじ軸70が、支持ユニット80に回転可能に支持される。
【0040】
モータユニット90は、モータ91と、モータ91を収納するモータハウジングと、ケーブルとを有する。
【0041】
モータ91は、例えば、ステッピングモータであり、出力軸92、ロータ、ステータ、エンコーダ、減速器等を有している。モータ91には、コントローラ100からケーブルを介して電力が供給される。モータ91に電力が供給されることによって、モータ91のロータが回転する。このロータの回転運動は、例えば、減速器によって所定の減速比で減速され、出力軸92に出力される。出力軸92は、ねじ軸70の頭部73に形成された孔73aに嵌めこまれる。また、ねじ軸70の頭部73には、回り止めピン74が、−Y方向に挿入される。この回り止めピン74の先端が、出力軸92の外周面に当接することにより、出力軸92は、ねじ軸70とともに回転するように接続される。
【0042】
コントローラ100は、図1及び図2に示すように、筐体20内の底部近傍に配置され、モータユニット90に電力を供給するとともに、モータ91を制御する。コントローラ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、記憶部、入力部、及び上記各部を相互に接続するシステムバスを含んで構成されている。このコントローラ100は、複数の配線を介して、モータユニット90のモータ91に接続されており、これにより、コントローラ100からの電力や制御信号が供給される。また、コントローラ100は、複数の配線を介して、ベース21に形成されたコネクタ22、23に接続されている。これにより、商用電源からの電力や、外部機器からの信号が供給される。
【0043】
上述のストッパ装置10は、図7に示すように、複数のコンベアローラ151を含んで構成されるコンベアベルト150の下方に設置される。このとき、ストッパ装置10の筐体20内には、コントローラ100が収納されているため、ストッパ装置10のみが、コンベアベルト150の下方に設置される。このコンベアベルト150上には、ワーク200が+Y方向に搬送される。また、ストッパ装置10のベース21に形成されたコネクタ22には、ケーブル101が接続される。このケーブル101を介して、コントローラ100に、電源が供給される。また、ベース21に形成されたコネクタ23には、ケーブル102が接続される。このケーブル102によって、コントローラ100とティーチングペンダントとが接続される。ストッパ装置10の動作の内容は、このティーチングペンダントによって設定され、コントローラ100の記憶部に記憶される。コントローラ100のCPUは、記憶部からプログラムやデータを読み出して、プログラムの実行等を行う。
【0044】
上述のように構成された本実施形態に係るストッパ装置10の動作を、図8〜図11を用いて説明する。ストッパ装置10の動作は、例えば、コントローラ100の記憶部に記憶されたプログラムをCPUが実行することで、開始され又は進行する。
【0045】
先ず、ロッド30が、図8(A)に示す下死点の位置(第2位置)から、図8(B)に示す上死点の位置(第1位置)に移動するまでの動作について説明する。
【0046】
ロッド30が、図8(A)に示すように、下死点の位置にある場合、コントローラ100は、モータ91の出力軸92を、例えば、所定の方向に回転(正転)させる。出力軸92が回転することで、出力軸92に固定されたねじ軸70が、出力軸92とともに回転(正転)する。そして、ねじ軸70の回転運動に伴って、ナット62は、図8(B)に示すように、例えば、+Z方向に直線運動をする。これにより、ジョイントアーム60が、上方(+Z方向)に移動する。
【0047】
ジョイントアーム60が、上方(+Z方向)に移動すると、コイルばね40とともに、ロッド30も上方(+Z方向)に移動する。やがて、ロッド30は、上死点の位置まで移動する。ロッド30が、上死点の位置まで移動することにより、図9(A)に示すように、ロッド30のワーク当接部33が、搬入されるワーク200の搬送路と交わる位置まで移動する。
【0048】
搬入されるワーク200に当接すると、図9(B)に示すように、レバー36が、レバーピン36a回りに回動する。そのため、このレバー36の回動によって、ワーク200とワーク当接部33とが当接したときの衝撃力が、偏角アダプタ34を介して、ショックアブソーバ32に伝達される。これにより、ショックアブソーバ32が、ワーク200に当接したときの衝撃を緩和する。
【0049】
また、ワーク200とワーク当接部33とが当接したときの衝撃力が、比較的大きい場合には、レバー36は、大きく回動する。この場合、レバー36の回動に伴って、レバー36の係合部36cは、レバーロック金具38の被係合部38cに係合する。この係合によって、レバー36が、ショックアブソーバ32の反発力等によって、逆方向に回動してしまうことを防ぐ。
【0050】
また、コイルばね40により、ロッド30は、ジョイントアーム60に対して浮動するように配置されているため、Y軸方向に衝撃が加わると、図10に示すように、ロッド30が、XY平面に平行に揺れ動く。これにより、コイルばね40が、Y軸方向の衝撃を吸収する。
【0051】
次に、ロッド30が、図8(B)に示す上死点の位置(第1位置)から、図8(A)に示す下死点の位置(第2位置)に移動するまでの動作について説明する。
【0052】
ロッド30が、上死点の位置にある場合、図8(A)及び図8(B)を参照するとわかるように、コントローラ100は、モータ91の出力軸92を、例えば、所定の方向とは反対の方向に回転(逆転)させる。出力軸92が回転することで、出力軸92に固定されたねじ軸70が出力軸92とともに回転(逆転)する。そして、ねじ軸70の回転運動に伴って、ナット62は、例えば、−Z方向に直線運動をする。これにより、ジョイントアーム60が、下方(−Z方向)に移動する。ジョイントアーム60が、下方(−Z方向)に移動すると、ロッド30も下方(−Z方向)に移動する。
【0053】
ロッド30が、下方(−Z方向)に移動していくと、図11(A)に示すように、レバーロック金具38の当接部38dが、支持ユニット50の上面(+Z側の面)に当接する。詳しくは、レバーロック金具38の当接部38dは、支持ユニット50の上面に配置されたシート55に当接する。この当接によって、レバーロック金具38は、レバーロック金具38を支持するねじ38a回りの回転方向R2回りに若干回動する。レバーロック金具38が回動すると、図11(B)に示すように、レバー36の係合部36cの、レバーロック金具38の被係合部38cへの係合が外れる。この係合が外れると、スプリング39の弾性回復によって、レバーピン36a回りの回転方向R2回りに回動する。これにより、レバー36の係合部36cと、レバーロック金具38の被係合部38cとは、非係合状態となる。
【0054】
さらに、ロッド30が、下方(−Z方向)に移動していくと、やがて、図8(A)に示す下死点の位置まで移動する。ロッド30が下死点の位置まで移動すると、ワーク当接部33は、このコンベアベルト150上のワーク200の搬送路からずれた位置まで移動する。これによって、ワーク200は、ストッパ装置10によって停止されることなく、+Y方向に搬送される。
【0055】
以上、説明したように、本第1実施形態に係るストッパ装置10は、コントローラ100を有している。このため、ストッパ装置10とコントローラ100とを、別々に設置する必要がなく、設置作業を簡単なものとすることができる。また、設置スペースを大きく確保する必要もなくなる。
【0056】
また、ストッパ装置10のコントローラ100は、筐体20内に収納されている。このため、ストッパ装置とコントローラとが、別体であるものと比較して、装置全体をコンパクト化することができる。また、ストッパ装置10のユーザが、ストッパ装置10を設置するときに、ストッパ装置とコントローラとを接続するケーブルを、別途、用意する必要もなくなる。
【0057】
また、本第1実施形態に係るストッパ装置10においては、コイルばね40により、ロッド30が、ジョイントアーム60に対して浮動するように配置されている。このため、Y軸方向に衝撃が加わっても、ロッド30が、XY平面に平行に揺れ動いて、Y軸方向の衝撃を吸収することができる。
【0058】
例えば、上記特許文献1のように、ロッド30が、ジョイントアーム60に対して浮動するように配置されていないストッパ装置において、ロッドに対してY軸方向に衝撃が加わった場合、この衝撃が、ジョイントアームを介して、ねじ軸等に伝わってしまうおそれがある。ひいては、例えば、ねじ及びナットからなるねじ要素の機構部分やモータ等が破損してしまうおそれがある。しかしながら、ストッパ装置10においては、コイルばね40により、ロッド30が、ジョイントアーム60に対して浮動するように配置されていることから、ロッド30が、XY平面に平行に揺れ動いて、Y軸方向の衝撃を吸収することができる。これにより、ストッパ装置10の内部の部品に負荷が加わることがなく、部品の破損を防止することができる。
【0059】
また、ねじ軸本体71とナット62とは、ボールねじではなく、台形ねじ等のすべりねじから構成されている。このため、外部からの力が、ロッド30に加わった場合においても、この加わった力の勢いにより、ロッド30が、所定の位置から移動してしまうことを防ぐことができる。例えば、ねじ軸本体71とナット62とが、ボールねじから構成されている場合は、ボールねじナットが、ボールねじ軸に対して円滑に移動する。このため、ロッドに加わった力の勢いにより、ボールねじナットが移動してしまうおそれがある。さらには、ワーク200を停止させるために、上死点の位置(第1位置)にあるロッド30が、下死点の位置(第2位置)にまで移動してしまい、停止させるはずのワーク200を通過させてしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態においては、ねじ軸本体71とナット62とは、台形ねじ等のすべりねじから構成されていることから、ワーク200がロッド30に当接したときの勢いにより、ロッド30が、所定の位置から移動してしまうことを防ぐことができる。また、ワーク200を停止させるために、上死点の位置(第1位置)にあるロッド30が、下死点の位置(第2位置)にまで移動してしまい、停止させるはずのワーク200を通過させることもない。
【0060】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態に係るストッパ装置10Aについて、図12〜図14を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成については、同一の符号を用いる。
【0061】
ストッパ装置10Aは、第1実施形態に係るストッパ装置10と同様に、図12に示すように、筐体20と、ロッド30と、コイルばね40と、支持ユニット50と、ジョイントアーム60と、ねじ軸70と、支持ユニット80と、モータユニット90と、コントローラ100とを有している。また、ストッパ装置10Aは、上記各部品に加えて、クラッチユニット110とコイルばね120とをさらに有している。
【0062】
クラッチユニット110は、モータユニット90の出力軸92のトルクを、ねじ軸70に伝達したり、遮断したりする。クラッチユニット110は、図13(A)及び図13(B)に示すように、内部に電磁コイル111aが収納されたステータ111と、ステータ111に対して回転可能に支持されたロータ112と、ロータ112の下方に配置されたアーマチュア113とを有している。
【0063】
ステータ111は、支持ユニット80の下方に固定されている。ステータ111の内部に収納された電磁コイル111aは、コントローラ100によって、励磁される。
【0064】
ロータ112は、ねじ軸70のねじ軸本体71に連結されている。これにより、ロータ112は、ねじ軸70とともに回転する。
【0065】
アーマチュア113は、モータユニット90のモータ91の出力軸92に接続されている。これにより、アーマチュア113は、出力軸92とともに回転する。また、アーマチュア113は、ステータ111の電磁コイル111aが励磁されている場合には、この電磁コイル111aに引き寄せられて、上方(+Z方向)に移動して、ロータ112と密着する。アーマチュア113とロータ112とが密着することにより、アーマチュア113は、ロータ112とともに回転する。
【0066】
コイルばね120は、ロッド本体31の下端に固定されたボルト41の下方に配置されている。コイルばね120は、圧縮コイルばねから構成され、ロッド30を、ジョイントアーム60とともに、上方(+Z方向)に付勢する。
【0067】
また、本第2実施形態のストッパ装置10Aにおいては、第1実施形態のストッパ装置10とは異なり、ジョイントアーム60のナット62と、ねじ軸70のねじ軸本体71との間に、複数の剛性の球体が介在されている。剛性の球体と、ナット62と、ねじ軸本体71とにより、ボールねじが構成される。この剛性の球体の介在によって、ナット62は、ねじ軸本体71上を円滑に移動する。
【0068】
上述のように構成されたストッパ装置10Aにおいては、コントローラ100に電源が供給されている場合、図13(A)に示すように、このコントローラ100によって、電磁コイル111aが励磁されて、アーマチュア113を引き寄せる。このため、アーマチュア113が上方(+Z方向)に移動して、ロータ112と密着する。アーマチュア113とロータ112とが密着することにより、アーマチュア113は、ロータ112とともに回転する。そして、アーマチュア113が、ロータ112とともに回転するため、アーマチュア113に連結されているモータ91の出力軸92のトルクが、ロータ112に連結されているねじ軸70に伝達される。これにより、モータ91の出力軸92が、ねじ軸70とともに回転する。
【0069】
次に、コントローラ100への電源の供給が停止された場合には、図13(B)に示すように、このコントローラ100によって、電磁コイル111aが励磁されなくなる。このため、アーマチュア113とロータ112とは密着しなくなり、モータ91の出力軸92のトルクの伝達が遮断される。これにより、モータ91の出力軸92が回転しても、ねじ軸70のねじ軸本体71は回転しなくなる。
【0070】
クラッチユニット110によって、モータ91の出力軸92のトルクの伝達が遮断されると、図14(A)及び図14(B)に示すように、コイルばね120が、ロッド30を押し上げて、上死点の位置(第1位置)まで移動させる。ロッド30が上死点の位置まで移動すると、ロッド30とともに、ジョイントアーム60のナット62も、上方(+Z方向)に移動する。そして、ナット62の直線運動に伴って、ねじ軸70が、所定の方向に回転運動をする。このとき、クラッチユニット110によって、ねじ軸70のトルクが、モータ91の出力軸92に伝達されないようになっているため、ねじ軸70が空回りする。また、ナット62、ねじ軸本体71等が、ボールねじから構成されているため、ナット62は、ねじ軸本体71上を円滑に移動する。
【0071】
以上、説明したように、本第2実施形態に係るストッパ装置10Aは、クラッチユニット110及びコイルばね120を有している。このため、コントローラ100への電源の供給が停止された場合には、クラッチユニット110が、モータ91の出力軸92のトルクの伝達を遮断するとともに、コイルばね120が、ロッド30を押し上げて、上死点の位置(第1位置)まで移動させる。これにより、停電等により、コントローラ100への電源の供給が一時的に停止された場合においても、ストッパ装置10Aは、コンベアベルト150上を搬送されるワーク200を、確実に停止させることができる。
【0072】
また、ねじ軸本体71とナット62とは、ボールねじから構成されている。このため、コイルばね120が、ロッド30を押し上げた場合に、ストッパ装置10Aは、ジョイントアーム60を、ねじ軸70に沿って円滑に移動させることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等によって限定されるものではない。
【0074】
例えば、本実施形態においては、コントローラ100は、筐体20内に収納されているが、これに限らず、コントローラ100をコントローラハウジングに収納して、このコントローラハウジングを、筐体20の側面や底面に固定してもよい。
【0075】
また、ロッド30が、XY平面に平行に揺れ動くように、ロッド30とジョイントアーム60とは、コイルばね40によって接続されている。しかしながら、これに限らず、ゴム等の弾性の素材からなる部材によって接続されていてもよい。
【0076】
また、本第2実施形態のクラッチユニット110は、電磁コイル111aを有する電磁クラッチから構成されているが、これに限らず、電磁クラッチ以外のクラッチから構成されていてもよい。
【0077】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0078】
10、10A ストッパ装置
20 筐体
21 ベース
22、23 コネクタ
30 ロッド
31 ロッド本体
31a 挿入孔
31b 凹部
31c 貫通孔
32 ショックアブソーバ
33 ワーク当接部
34 偏角アダプタ
35 レバーブラケット
35a、35b 突出部
36 レバー
36a レバーピン
36b 端部
36c 係合部
37 ローラ
37a ローラピン
38 レバーロック金具
38a ねじ
38b 案内面
38c 被係合部
38d 当接部
39 スプリング
40 コイルばね(弾性部材)
41 ボルト
42 雄ねじ部
43 首部
44 頭部
50 支持ユニット
51 フレーム
52、53 カバー
52a シリンダー部
52b フランジ部
54 ダストシール
55 シート
60 ジョイントアーム(アーム部)
61 ジョイントアーム本体
61a、61b 貫通孔
62 ナット
63 ナット押さえ部材
70 ねじ軸
71 ねじ軸本体
72 首部
73 頭部
73a 孔
74 回り止めピン
80 支持ユニット
80a 貫通孔
81 ベアリング
82 ベアリング押さえ部材
90 モータユニット
91 モータ
92 出力軸(回転軸)
100 コントローラ(制御手段)
101、102 ケーブル
110 クラッチユニット
111 ステータ
111a 電磁コイル
112 ロータ
113 アーマチュア
120 コイルばね(付勢手段)
150 コンベアベルト
151 コンベアローラ
200 ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するモータと、
搬送路上を搬送されるワークに当接することにより、前記ワークの搬送を停止させるワーク当接部を有し、前記回転軸の回転運動に連動して、前記ワーク当接部が前記搬送路に交わる第1位置と、前記搬送路に交わらない第2位置との間を移動するロッドと、
前記モータを制御することにより、前記ロッドを移動させる制御手段と、
を有することを特徴とするストッパ装置。
【請求項2】
前記モータと、前記制御手段とを収納する筐体を有することを特徴とする請求項1に記載のストッパ装置。
【請求項3】
前記回転軸からトルクが伝達されることにより回転するねじ軸と、
前記ねじ軸の回転運動に伴って直線運動するナットを有するアーム部と、
を有し、
前記ナットの直線運動によって、前記ロッドは、前記第1位置と前記第2位置との間を移動することを特徴とする請求項1又は2に記載のストッパ装置。
【請求項4】
前記アーム部に対して、前記ロッドが揺れ動くように、前記ロッドと前記アーム部とを接続する弾性部材を有することを特徴とする請求項3に記載のストッパ装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、コイルばねから構成されていることを特徴とする請求項4に記載のストッパ装置。
【請求項6】
前記モータの前記回転軸から、前記ねじ軸へ伝達されるトルクを遮断するクラッチユニットを有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のストッパ装置。
【請求項7】
前記クラッチユニットは、
電磁コイルを備えるステータと、
前記ステータに回転可能に支持されるロータと、
前記電磁コイルが励磁状態となった場合には、前記電磁コイルに引き寄せられて、前記ロータと密着し、前記ロータとともに回転するアーマチュアと、
を有し、
前記ロータは、前記回転軸と前記ねじ軸とのいずれか一方に連結され、
前記アーマチュアは、前記回転軸と前記ねじ軸とのいずれか他方に連結されていることを特徴とする請求項6に記載のストッパ装置。
【請求項8】
前記ロッドを、前記第2位置から前記第1位置の方へ付勢する付勢手段を有し、
前記電磁コイルが非励磁状態となった場合に、前記付勢手段は、前記ロッドを、前記第1位置に移動させることを特徴とする請求項7に記載のストッパ装置。
【請求項9】
前記ねじ軸と前記ナットとの間には、複数のボールが配置されることにより、
前記ねじ軸及び前記ナットは、ボールねじから構成されていることを特徴とする請求項8に記載のストッパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−100156(P2013−100156A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243987(P2011−243987)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(391008515)株式会社アイエイアイ (107)
【Fターム(参考)】