説明

ストレージシステムおよびストレージシステムにおけるデータ処理保存方法

【課題】複数のストレージ装置を用いたストレージシステムにおいて、複数のストレージ装置にまたがった記録データを効率的に処理する。
【解決手段】複数のストレージ装置のデータ量を把握し、データ記録処理時の保存データを各ストレージ装置に振り分けて分散処理することで、複数のストレージ装置にまたがった記録データを効率的に処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージ装置を複数用いたストレージシステムにおけるデータ処理保存方法の処理制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ストレージ装置に記録されたデータの処理を行う場合、複数の処理装置をネットワークに接続し、ストレージ装置のデータを複数の処理装置に分散処理させる運用が増えてきている。例えば、ストレージ装置のデータの圧縮処理を行う場合、ネットワークに接続した複数の計算機にデータを分散して圧縮処理をすることで、データ圧縮処理の高速化を図る提案がされている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
一方、近年のストレージシステムでは、複数のストレージ装置を用いてデータを記録するRAID(Redundant Arrays of Independent Disks)などの記録方式や、複数のストレージ装置をあたかも1つのストレージ装置に見せる仮想的なファイルシステム等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3774072号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のストレージシステムの場合は、1つのデータを複数の処理部で分散処理して処理高速化を図っていたが、RAID方式や仮想的なファイルシステム等の、複数のストレージ装置にまたがった記録データを、分散処理する場合の処理方法に関しては考慮されていない。
【0006】
解決しようとする問題点は、複数のストレージ装置で構成されるストレージシステムにおいて、複数のストレージ装置にまたがった記録データを効率的に処理することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
複数のストレージ装置にまたがった記録データを効率的に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、データ処理保存方法の第1の実施例構成を示した図である。
【図2】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、ストレージ制御装置側の動作手順の第1の実施例を示したフローチャート図である。
【図3】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、ストレージ制御装置でユーザーに示されるデータのディレクトリ構成の一例を示す説明図である。
【図4】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、データが実際に各ストレージ装置にそれぞれ存在する例を示した説明図である。
【図5】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、ストレージ制御装置側の処理ストレージ装置の決定の動作手順の一例を示したフローチャート図である。
【図6】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、ストレージ制御装置側の処理するストレージ装置の予測方法の一例を示す説明図である。
【図7】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、ストレージ制御装置側で発行する各ストレージ装置への命令の第1の実施例を示す説明図である。
【図8】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、各ストレージ装置側の動作手順の第1の実施例を示したフローチャート図である。
【図9】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、データ処理保存方法の第2の実施例構成を示した図である。
【図10】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、ストレージ制御装置側の動作手順の第2の実施例を示したフローチャート図である。
【図11】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、ストレージ制御装置側で発行する各ストレージ装置への命令の第2の実施例を示す説明図である。
【図12】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、各ストレージ装置側の動作手順の第2の実施例を示したフローチャート図である。
【図13】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、データ処理保存方法の第3の実施例構成を示した図である。
【図14】本発明のストレージシステムおよびストレージシステムにおける、データ処理保存方法の第4の実施例構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例1は、ストレージ制御端末と各ストレージ装置がネットワークを介して接続されており、各ストレージ装置にある各データを、各ストレージ装置にある読み書き部にて記録媒体に書込み保存処理を行う場合の実施例である。
【0012】
図1は本発明の第1の実施例の構成を示した図で、ストレージ制御装置100と複数のストレージ装置(A〜E)(200〜204)がネットワーク300を介して接続されており、相互にデータ通信が可能である。ストレージ制御装置100はネットワークに接続する複数のストレージ装置(A〜E)(200〜204)を管理・制御することが可能な装置であり、PCなどの制御処理装置である。ストレージ装置(A〜E)(200〜204)はネットワークに接続可能なデータ記録装置であり、読み書き部として光ディスクドライブなどを備えるNAS(Network Attached Storage)などの記録装置である。
【0013】
ストレージ制御装置100側の構成を説明すると、ストレージ制御装置100内のデータ処理部110は、各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)のデータ管理やデータ送受信動作を管理する機能を持ち、CPUなどのLSIやメモリ回路などで構成される。このデータ処理部110は、処理データ振り分け部111と、各ストレージへ指示を出す命令発行部112を備える。ストレージ制御装置100内の表示部120は、ストレージ装置のデータ処理に関する情報をユーザーに提示する部分で、特に処理に関する通知を行うLCDなどの表示装置である。ストレージ制御装置100内の入力部130は、ユーザーからの処理命令を入力する部分で、特にストレージ装置のデータに関する処理命令を入力するキーボードやマウスやタッチパネルなどの入力装置である。ストレージ制御装置100内のデータベース140は、各ストレージ装置の管理情報を記憶する処理を行う部分で、各ストレージ装置のデータに関連する情報を保持する機能を持ち、HDDやメモリなどの記憶装置である。
【0014】
一方、例えばストレージ装置A200側の構成を説明すると、ストレージ装置A200内のデータ処理部210は、データの入出力やデータの処理を行う機能を持ち、CPUなどのLSIやメモリ回路などで構成される。このデータ処理部210は、ストレージ制御装置100からの命令に従って、ネットワークに繋がったストレージ制御装置100からの命令を解析して処理の制御を行う命令解析実行部211を備え、ストレージ制御装置100からの命令に従い、記録部220のデータを送信したり外部からのデータを受信したり読み書き部230にデータを書込んだりする処理を行う。ストレージ装置A200内の記録部220は、データを保存する機能を持つHDDなどのデータ記憶装置である。もちろん、記録部220はストレージ装置内に複数あっても構わない。
【0015】
ストレージ装置A200内の読み書き部230は、光ディスクなどの記録媒体の出し入れが可能で光ディスクなどへのデータを書込みや光ディスクなどからのデータ読み出しが可能な光ディスクドライブやテープドライブやメモリドライブなどの装置である。もちろん、読み書き部230はストレージ装置内に複数あっても構わない。
【0016】
ネットワーク300はLAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワーク環境である。
【0017】
以上のような構成要素で本発明の第1の実施例は構成される。実施例1を図1から図5などをもとにさらに詳しく説明する。
【0018】
まず、ストレージ制御装置100側の処理を図1から図5を用いて説明する。図2はストレージ制御装置100側のフローチャートで、各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)にある光ディスクに書込む時の各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)に動作命令を発行する処理のフローチャートである。
【0019】
ユーザーが図1のストレージ制御装置100の入力部130であるキーボードを操作して、表示部120に表示された図3のようなデータ表示から、例えば図3のディレクトリ1を光ディスクに書込むように動作指示したとする。図3の表示はユーザーに見やすく処理された表示で、実際には複数のストレージ装置にまたがるデータを仮想的にまるで1つのストレージ装置にあるように表示している。実際には図4のように各ファイルがそれぞれ各ストレージ装置に保存されていて、図1のストレージ装置A200の記録部のデータA、ストレージ装置B201のデータB、ストレージ装置C202のデータC、のように各ストレージ装置に散らばっている。今回の実施例の処理はこれらのデータを効率的に光ディスクなどの記録媒体に書込む処理で、各ストレージ装置に散らばっているデータをユーザーが意識することなく実行できてユーザーの利便性を増す効果がある。なお、図1のストレージ装置B〜E(201〜204)は同構成の記載を省略しており、ストレージ装置A200と同様の構成である。
【0020】
ストレージ制御装置100の入力部130からユーザーの開始命令が入力されると(ステップ101:(S101))、動作を開始する。動作開始すると(S101)、まず、ストレージ制御装置100のデータ処理部110は、ユーザーに指定されたデータの把握を行う(S102)。データの把握は、図2や図3および図4でも示したように、データ処理部110で各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)のデータの情報をあらかじめ把握してデータベース140に記憶しておいたり、ネットワーク接続を介して各ストレージ装置のデータ情報を集めたりして把握する。データベース140には各ストレージのデータの管理情報があり、図4のように各ストレージ、データ名、データ量等が把握できる。このデータはネットワーク接続時に入手しても良いし、ストレージ接続時に入手しても良いし、あらかじめネットワーク経由で入手しておいても良い。
【0021】
今回の例ではディレクトリ1を指定したので、図3よりファイル_XX1〜XX4が対象で、図4より各データのデータ量および合計データ量45Gのデータが書込みの対象になることがわかる(S102)。
【0022】
次に分散して書込み処理を行う処理ストレージ装置の決定を行う(S103)。
【0023】
処理ストレージ装置の決定を行う詳しい手順のフローチャートを図5に示す。処理ストレージ装置の判定を開始すると(S201)、まず、処理するストレージ装置を予測する。図6のように、処理対象データが多い順にストレージ装置で書込み可能なデータ容量を積み上げ、処理対象データの容量以上になるところで処理するストレージ装置が予測できる。この例の場合の予測は、各ストレージ装置で書込めるデータ量は、例えばBD(Blu-ray Disc)の光ディスク(容量25Gの場合)に書込む場合、25Gずつの書込み可能容量となるので、ストレージ装置A200で25G、ストレージ装置B201で25Gが可能なので両方で処理対象データの容量以上となる。このため、処理するストレージ装置はストレージ装置A200とストレージ装置B201の読み書き部を使って2枚のBDに書込むことが予測できる。書込み可能容量である光ディスクの記録媒体はストレージ制御装置100の入力部130からユーザーが何の記録媒体で記録するかを指定する。
【0024】
次に、実際にストレージ装置を決定する処理を説明する。
【0025】
処理対象データを最も多く含むストレージ装置を選択し、まず調査する(S203)。
【0026】
これは、データ書込みの際、同じストレージ装置内にあるデータを書込み処理する方法が最も早く書込み処理を行うことができ、処理の高速化につながる効果があるためである。ほかのストレージ装置での書込み処理の場合には、データを転送しなければならず、このデータ伝送処理の負荷の分、処理動作が遅くなることになるため、なるべくデータが存在するストレージ装置とは別のストレージ装置での書込み処理は避けたい。このように、処理対象データの存在するストレージ装置とそのデータ容量より複数あるストレージ装置の中から、処理実行するストレージ装置を決定することで、処理の高速化が図れる。あるいは、最適なデータ配分による記録媒体の節約が図れる。
【0027】
処理対象データを最も多く含むストレージ装置の光ディスクドライブが利用可能かを判定し(S204)、使用できない場合は、考慮する書込みの処理ストレージ装置から除外する(S210)。ディスクドライブの故障やディスクドライブを保持していないストレージ装置の場合は他のストレージ装置のディスクドライブで書込み処理を行わなければならないためである。この処理を入れることで、複数のストレージ装置の中に書込み処理がないストレージ装置がつながっていても、ほかのストレージ装置で書込み処理が可能になるという効果がある。
【0028】
読み書き部が使用できる場合は、ストレージ装置の現在の処理負荷を判定し(S205)、処理負荷が一定値以下でなく書込み処理に支障がある場合は、考慮する書込みの処理ストレージ装置から除外する(S210)。これは例えば、対象のストレージ装置がネットワークに接続した他のストレージ制御装置に動作要求をされていて、データ読み出し等で負荷が多い場合には、今回要求の書込み処理の時間が多くかかってしまうため、他のストレージ装置のディスクドライブで書込み処理を行った方が早いと判断するためである。各ストレージの現在の処理負荷を考慮することにより処理実行するストレージ装置を取捨選択することで、処理負荷がある場合でも書込み処理をなるべく高速に行える効果がある。
【0029】
対象のストレージ装置の処理負荷が一定値以下の場合は(S205)、対象のストレージ装置を書込み処理するストレージに決定し(S206)、まずストレージ装置自身内にある対象データを書込みデータとして割り当てる(S207)。続いて、ストレージ装置自身以外の書込み対象データが割り当てられる場合はそのデータを割り当てる。書込みデータの割り当ては書込み処理する媒体の容量や予想される媒体数を考慮して行う。
【0030】
なお、処理対象データを含むストレージが複数あった場合、つまり、処理対象データが複数のストレージに存在していた場合、S203では、複数のストレージを選択する。S204、S205を経た後に、処理ストレージが1つに決定しない場合は、S206の手順において、ストレージ制御装置が管理している処理ストレージの管理番号の大きいストレージを選択したり、処理ストレージのIPアドレスの数の大きいストレージを選択したりして、1つに決定する。S207、S208を経て処理対象データが残っていれば(S209)、先ほど選択したストレージ以外で処理するストレージを追加で選択するように動作し(S210,203)、処理するストレージを複数設定する。
【0031】
書込みデータの割り当て方法を図3,4の場合の具体的な例で説明すると、まず処理対象データが最も多いストレージ装置A200で自データ分の書込み割り当てをすると、書込み可能容量の25Gのうち、ファイル_XX1の20Gが割り当てられる。ファイル_XX2の10Gはオーバーしてしまうので割り当てられない。次に他データ分の書込み割当てを行うが、ステップ(S202)で処理するストレージを予測しているストレージ装置A200とストレージ装置B201以外に存在する他のデータを割り当てる。この場合、ストレージ装置C202にあるファイル_XX4が5Gで割当て可能であるため割り当てる。これでストレージ装置A200が処理するデータの割当てが決定した。
【0032】
図5のフローチャートに従うと、(S208)の処理が終了し、対象処理データが他にもあるかを判断する(S209)。まだファイル_XX2とファイル_XX3の割当てが残っているため、既に決定したストレージ装置A200は考慮から除外し、次に対象処理データを多く含むストレージ装置B201の処理データ割当てを行う(S203)。(S204)と(S205)は前述したように処理されるがここでは利用に問題ないとして、ストレージ装置B201を処理ストレージに決定して(S206)、データ割当てを行う。ストレージ装置B201自身が持つファイル_XX3(10G)を書込み可能容量(25G)のうちに割当て、次に他データ分のデータファイル_XX2(10G)もストレージ装置B201での書込みに割り当てる。ストレージ装置A200でファイル_XX1とファイル_XX4、ストレージ装置B201でファイル_XX3とファイル_XX2、の割当てか決まり、これで処理対象データの全てが処理するストレージ装置に割り当たった。処理対象データが他にないので(S209)、処理ストレージの判定処理を終了する。
【0033】
以上のようにして、図2の処理ストレージ装置の決定が行われる(S103)。次にストレージ制御装置100は、各ストレージ装置に対してデータ書込みの分散処理を行うように命令を発行する処理を行う(S104)。
【0034】
ストレージ制御装置100は図7のように各ストレージ装置に対して命令を発行する。例えば(1)では、命令先はストレージ装置A200で、命令は書込み処理、書込むデータはファイル_XX1という具合である。同様に(2)では、命令先はストレージ装置A200で、命令はデータ受信書込み処理、データ送受信相手(この場合は受信)はストレージ装置C202、データ受信および書込むデータはファイル_XX2であり、データ送信側のストレージ装置C202には(3)の命令を発行し、命令先はストレージ装置C202で、命令はデータ送信、データ送受信相手(この場合は送信)はストレージ装置A200、データ送信するデータはファイル_XX2である。命令(2)と(3)で、ストレージ装置C202のファイル_XX4をストレージ装置A200に送りストレージ装置A200で記録媒体に書込むという処理を命令している。
【0035】
以下同様に、(4)で、ストレージ装置B201で自身のファイルファイル_XX3を書込み、(5)と(6)でストレージ装置A200のファイル_XX2をストレージ装置B201に送りストレージ装置B201で記録媒体に書込むという処理を命令している。
【0036】
以上のようにして、実施例1のストレージ制御装置100は、各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)に制御命令を送り、各ストレージ装置での書込み動作を実行するように制御することができる。
【0037】
次に、ストレージ装置側の動作処理を図1および図8のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
図1のストレージ制御装置100からネットワーク300を介してストレージ装置200に入力された命令はストレージ装置200のデータ処理部210の命令解析実行部211で命令を解析して動作の制御を行う。図8で、ストレージ装置200のデータ処理部210の命令解析実行部211で命令受信を行うと(S301)、まず入力された命令の解析を行う(S302)。命令の種類がデータ書込みの場合は、データ処理部210は記録部220からデータを読み出して読み書き部230にてデータを書込む処理を行う(S303)。命令の種類がデータ送信の場合は、データ処理部210は記録部220から命令されたデータを読み出して命令の指定ストレージ装置に対してデータを送信する(S304)。命令の種類がデータ受信書込みの場合は、データ処理部210は命令の指定ストレージ装置からデータを受信し(S305)、受信したデータを読み書き部230にて書込む処理を行う(S303)。ストレージ装置200のデータ処理部210の命令解析実行部211は、他の命令が有るか判断して(S306)、ある場合は命令の種類の解析から上記と同様の処理を行う。他の命令がない場合は、実行を終了する。
【0039】
具体的な例を挙げると、前述の図7の命令先がストレージ装置A200の命令が、ストレージ装置A200に入力される。ストレージ装置A200はこの命令に従って、(1)の命令で、ストレージ装置A200が保持するファイル_XX1を記録部220から読み出して読み書き部230に書込む。また、(2)の命令で、ストレージ装置C202よりネットワーク経由でデータ受信したデータを読み書き部230に書込む。また、(6)の命令で、ストレージ装置A200の保持するファイル_XX2を記録部220から読み出してストレージ装置B201にデータ送信を行う。同様にストレージ装置B201では保持するファイル_XX3を読み書き部230で書込み(4)、ストレージ装置A200からのデータであるファイル_XX2をネットワーク経由でデータ受信して読み書き部230で書込み処理する(5)。ストレージ装置C202では、保持するファイル_XX4をネットワーク経由でストレージ装置A200にデータ送信する動作を行う(3)。
【0040】
このように、それぞれの各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)は、ストレージ制御装置100の命令に従って、データの送信や受信を行ったり、光ディスクなどの記録媒体への書込み処理を行ったりすることが可能となる。
【0041】
以上のように、ストレージ制御装置100および各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)が動作することで、各ストレージに点在するデータの効率的な書込み動作が実現可能であり、記録処理の高速化を図ることができる。あるいは、記録媒体の節約を図ることができる。あるいは、ユーザーの利便性を向上することができる。
【実施例2】
【0042】
本実施例2は、ストレージ制御端末と各ストレージ装置がネットワークを介して接続されており、各ストレージ装置にある各データを、各ストレージ装置にある圧縮処理部でデータを圧縮して各ストレージ装置の読み書き部にて記録媒体に書込み保存処理を行う場合の実施例である。
【0043】
図9は本発明の第2の実施例の構成を示した図で、ストレージ制御装置100と複数のストレージ装置(A〜E)(200〜204)がネットワーク300を介して接続されており、相互にデータ通信が可能であるところは、実施例1と同様である。構成としては、ストレージ制御装置100は実施例1と同様である。ストレージ装置(A〜E)(200〜204)側のデータ処理部210に圧縮処理部212と伸張処理部213が有る点が差異である。
【0044】
実施例1では各ストレージに点在するデータを記録媒体に効率よく書込むだけだったが、実施例2では、各ストレージに点在するデータを効率良く圧縮して記録媒体に書込む処理を行う。
【0045】
実施例2を図9から図12などをもとにさらに詳しく説明する。
【0046】
まず、ストレージ制御装置100側の処理を主に図9から図11を用いて説明する。図10はストレージ制御装置100側の、圧縮して記録媒体に書込む時に各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)に動作命令を発行する処理のフローチャートである。
【0047】
図10の処理のフローチャートの命令動作開始(S401)から指定データの把握(S402)は、実施例1の図2の処理のフローチャートの(S101)〜(S102)と同様である。処理ストレージ装置の決定の処理(S403)は、実施例2では圧縮処理を行うため、例えばデータを圧縮して8割にデータを圧縮できると予想するとする。データの割り当ては、今度は図4のファイル_XX1とファイル_XX2の合計30Gは圧縮予想で24Gなので両方ともストレージ装置A200で圧縮・書込みできるデータ割り当てとなる。残りのファイル_XX3とファイル_XX4はストレージ装置B201で書込みする割り当てとなる。
【0048】
次に、各ストレージ装置に命令を発行する(S404)。発行する命令は、例えば図11の(1)〜(3)及び(5)のように各ストレージ装置に圧縮命令を出す(S404)。命令発行後、各ストレージ装置で圧縮を行うので、その圧縮結果を受信する(S405)。圧縮してデータ書込みできる容量に圧縮できていれば結果OKと判断して(S406)、図11の(4)および(6)のように書込むストレージにデータを集めてから、図11の(7)および(8)のようにデータ書込み命令を発行して(S407)、命令動作を終了する(S408)。
【0049】
圧縮結果がNGの場合は(S406)、圧縮結果よりデータ圧縮の予想を修正して処理ストレージ装置の決定処理(S403)からやり直す。このように、データ処理後の結果を判断して処理するストレージ装置を変更し、再実行させることで、確実に処理を実行できるという効果がある。データを分散処理して高速化を図っているため、処理の再実行の場合でも、従来の方法で処理を再実行する場合より高速に処理することができる。
【0050】
以上のようにして命令動作を行う。
【0051】
この説明の例では、各ストレージのデータをそのままデータの有る各ストレージ装置で圧縮してから書込むストレージに移動して書込んでいる。他の方法で、各ストレージのデータを書込むストレージに集めてから圧縮して書込むという方法でも良い。前者の方法は、各ストレージで圧縮処理を行うため、圧縮効率は悪いが圧縮の分散処理や送受信のデータ圧縮を行っているので処理速度の点で有利という効果を持つ。後者の方法は、圧縮前のデータを集めて一括して処理するので送受信データ数が多いこととデータ集中のため分散処理の利点が薄れるので処理速度としては劣るが、データ集中してからのデータ圧縮を行うことが可能であるため容量削減・記録媒体の節約という点で有利になるという効果を持つ。
【0052】
以上のようにして、実施例2のストレージ制御装置100は、各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)に制御命令を送り、各ストレージ装置での圧縮・書込み動作を実行するように制御することができる。
【0053】
次に、実施例2の、ストレージ装置側の動作処理を図9および図12のフローチャートを用いて説明する。例えば、ストレージ装置A200はストレージ制御装置100からの命令を受信すると(S501)、データ処理部210の命令解析実行部211は、まず命令の種類を判断する(S502)。命令の種類がデータ圧縮の場合は、指定データのデータ圧縮を行い(S503)、記録部220に圧縮データを一時保持し(S504)、圧縮結果をストレージ制御装置100に通知する(S505)。命令の種類がデータ受信の場合は、指定のストレージ装置からデータを受信して保持する(S506)。命令の種類がデータ送信の場合は、指定のストレージ装置へデータを送信する(S506)。命令の種類がデータ書込みの場合は、圧縮したデータや受信して保持したデータを読み書き部230で記録媒体に書込む処理をする(S508)。ストレージ制御装置100の命令に従って処理を行い、他の命令が無いと判断したら(S509)、処理を終了する(S510)。
【0054】
具体例を挙げると、図11の(1)〜(3)および(5)の命令でそれぞれのストレージ装置でデータの圧縮を行い、(4)および(6)の命令でストレージ間のデータ移動を行って書込むストレージ装置にデータを移動させて、(7)および(8)の命令で記録媒体への書込みを行う処理をする。
【0055】
実施例2の構成では、圧縮したデータの伸張用に伸張処理部213がストレージ装置A200内に有るが、これは無くても良い。この場合は伸張処理を行う部分がストレージ制御装置100側にあっても良いし、他の装置にあっても良い。
【0056】
以上のように、ストレージ制御装置100および各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)が動作することで、各ストレージに点在するデータの効率的な圧縮・書込み動作が実現可能である。また、データ処理後の結果より処理するストレージ装置を変更して再実行することで、確実に圧縮処理を実行できるという効果がある。あるいは、各ストレージ装置で圧縮処理してからデータを集めて書込むことで処理の高速化を図れる。あるいは、データを集めてからストレージ装置で圧縮処理して書込むことでデータの圧縮効率を高め記録媒体の節約を図ることができる。
【実施例3】
【0057】
本実施例3は、ストレージ制御端末と各ストレージ装置がネットワークを介して接続されており、各ストレージ装置にある各データを、各ストレージ装置にある暗号処理部でデータを暗号化して各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)の読み書き部にて記録媒体に書込み保存処理を行う場合の実施例である。
【0058】
図13は本発明の第3の実施例の構成を示した図で、ストレージ制御装置100と複数のストレージ装置(A〜E)(200〜204)がネットワーク300を介して接続されており、相互にデータ通信が可能であるところは、実施例1および実施例2と同様である。構成としては、ストレージ制御装置100は実施例1と同様である。各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)側のデータ処理部210に暗号処理部214と復号処理部215が有る点が差異である。
【0059】
実施例3では、基本的な動作は、実施例2と同様に行うことで、各ストレージ装置に点在するデータの効率的な暗号化および書込み動作が実現可能である。また、データ処理後の結果より処理するストレージ装置を変更して再実行することで、確実に暗号化処理を実行できるという効果がある。あるいは、各ストレージ装置で暗号化処理してからデータを集めて書込むことで処理の高速化を図ることができる。
【実施例4】
【0060】
本実施例4は、ストレージ制御端末と各ストレージ装置がネットワークを介して接続されており、各ストレージ装置にある各データを、各ストレージ装置にあるデータ変換処理部でデータを変換して各ストレージ装置の読み書き部にて記録媒体に書込み保存処理を行う場合の実施例である。
【0061】
図14は本発明の第4の実施例の構成を示した図で、ストレージ制御装置100と複数のストレージ装置(A〜E)(200〜204)がネットワーク300を介して接続されており、相互にデータ通信が可能であるところは、実施例1〜3と同様である。構成としては、ストレージ制御装置100は実施例1と同様である。各ストレージ装置(A〜E)(200〜204)側のデータ処理部210にデータ変換処理部216が有る点が差異である。
【0062】
実施例4では、基本的な動作は、実施例2や3と同様に行うことで、各ストレージに点在するデータを効率良くデータ変換して記録媒体に書込む処理を行うことが実現可能である。また、データ処理後の結果より処理するストレージ装置を変更して再実行することで、確実にデータ変換処理を実行できるという効果がある。あるいは、各ストレージ装置でデータ変換処理してからデータを集めて書込むことで処理の高速化を図れる。データ変換は、具体的な例を挙げると、映像や音声のデータのフォーマット変換や、静止画の拡大縮小などのピクセル処理などが考えられる。
【0063】
今回、実施例では書込む記録媒体を光ディスク媒体と仮定して説明したが、もちろんテープ媒体やメモリ媒体なども利用が考えられる。そのほかにもHDDなどとして記録容量をHDDの余っている容量と考えて利用することも考えられる。
【0064】
以上のようにして、複数のストレージ装置のデータ量を把握し、データ記録処理時の保存データを各ストレージ装置に振り分けて分散処理することで、ストレージシステムにおける記録媒体に保存する際の記録処理の高速化を図ることができる。あるいは、記録媒体の節約を図ることができる。あるいは、ユーザーの利便性を向上することができる。
【0065】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、システム上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0066】
100 ストレージ制御装置
110 データ処理部
111 処理データ振り分け部
112 命令発行部
120 表示部
130 入力部
140 データベース
200 ストレージ装置A
201 ストレージ装置B
202 ストレージ装置C
203 ストレージ装置D
204 ストレージ装置E
210 データ処理部
211 命令解析実行部
212 圧縮処理部
213 伸張処理部
214 暗号化処理部
215 復号化処理部
216 データ変換処理部
220 記録部
230 読み書き部
300 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが記録されているストレージ装置であって、
前記ストレージ装置を制御する制御部と、
第1のデータが記録されている記録部と、
前記記録部から読み出された前記第1のデータをネットワークを介して他のストレージ装置に送信する送信部と、
他のストレージ装置からネットワークを介して第2のデータを受信する受信部と、
前記受信部により受信した前記第2のデータを記録媒体に記録する書き込み部と、を備えることを特徴とするストレージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のストレージ装置であって、
前記第2のデータが前記記録部に記録されている場合は、前記記録部から前記第2のデータを読み出して、該読み出された第2のデータを前記書き込み部により記録媒体に記録することを特徴とするストレージ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のストレージ装置であって、
前記記録媒体の空き容量に応じて、前記第2のデータを前記書き込み部により記録媒体に記録するかかが決定されることを特徴とするストレージ装置。
【請求項4】
請求項3記載のストレージ装置であって、
前記制御部の処理負荷に応じて、前記第2のデータを前記書き込み部により記録媒体に記録するかかが決定されることを特徴とするストレージ装置。
【請求項5】
請求項1記載のストレージ装置であって、
前記記録部はHDD、前記書き込み部は光ディスク装置であることを特徴とするストレージ装置。
【請求項6】
ネットワークでつながったストレージ制御装置と複数のストレージ装置からなるストレージシステムにおいて、
前記ストレージ制御装置は、データを処理するデータ処理部と、接続した複数のストレージ装置の情報を保持するデータベースと、からなり、
前記ストレージ制御装置のデータ処理部は、接続した複数のストレージ装置の情報から処理対象のデータを各ストレージ装置に処理振り分けを行う処理データ振り分け部と、各ストレージ装置に処理の命令を発行する命令発行部を備え、
前記ストレージ装置は、データを処理するデータ処理部と、データを記憶する記録部と、記録媒体にデータを書込む読み書き部と、からなり、
前記ストレージ装置のデータ処理部は、前記ストレージ制御装置からの命令を解析して実行する命令解析実行部を備えることを特徴とするストレージシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のストレージシステムにおいて、
前記各ストレージ装置は、前記ストレージ制御装置からの命令に従って、前記各ストレージ装置で命令を解析して命令処理の実行やストレージ装置間でのデータの相互授受およびデータの記録媒体への書込み処理を行うことを特徴とするストレージシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のストレージシステムにおいて、
前記各ストレージ制御装置は、処理対象データの存在する前記ストレージ装置とそのデータ容量より、複数ある前記ストレージ装置の中から、処理実行するストレージ装置を決定することを特徴とするストレージシステム。
【請求項9】
請求項6に記載のストレージシステムにおいて、
前記各ストレージ制御装置は、前記ストレージ装置の処理負荷により処理実行するストレージ装置を取捨選択することで、処理の高速化を図ることを特徴とするストレージシステム。
【請求項10】
請求項6に記載のストレージシステムにおいて、
前記各ストレージ制御装置は、前記ストレージ装置のデータ処理後の結果より処理するストレージ装置を変更して再実行することを特徴とするストレージシステム。
【請求項11】
請求項6に記載のストレージシステムにおいて、
前記各ストレージ制御装置は、前記各ストレージ装置でデータを処理してからデータを集めてストレージ装置で書き出す処理を行わせることを特徴とするストレージシステム。
【請求項12】
請求項6に記載のストレージシステムにおいて、
前記各ストレージ制御装置は、データを集めてからストレージ装置で処理して書き出す処理を行うことを特徴とするストレージシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−77115(P2013−77115A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216003(P2011−216003)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】