説明

ストロボ装置、及びプログラム

【課題】撮影者にとってより適切な露光量で撮影が可能なストロボ装置を提供する。
【解決手段】TTLモードでスレーブモードが設定されている場合、撮影装置による予備発光に応答して、発光開始検出信号S3がアクティブになってから発光停止検出信号S4がアクティブになるまでの間、IGBT作動信号S9をアクティブにすることにより閃光発光を行わせる。撮影装置による本発光が行われた場合には、その本発光によって発光開始検出信号S3がアクティブになった後、ユーザが設定した遅延時間Δtだけ遅延させてIGBT作動信号S9をアクティブにする。その作動信号S9は、発光停止検出信号S4がアクティブになるとインアクティブにする。それにより、本発光時には、閃光発光を行っている期間を撮影装置のそれより短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置による閃光発光に応答した閃光発光が可能なストロボ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影装置の多くは、自然光の光量が不足している状況下でも被写体を適切な光量で撮影が行えるように、ストロボ装置が搭載されている。しかし、搭載されたストロボ装置により補える光量は比較的に小さいのが実情である。このことから、撮影装置による閃光発光に応答した閃光を発光できる、外付けのストロボ装置(以降、撮影装置に搭載されたものと区別するために「スレーブストロボ装置」と記す)が製品化されている。
【0003】
ストロボ装置を搭載した撮影装置の大部分には、赤目防止やオートフォーカス用の測距、及び外光の測光のための閃光発光(予備発光)を1回以上、行い、その後に撮影用の閃光発光(本発光)を行う機能(以降「予備発光機能」と呼ぶ)が用意されている。その機能を用いることにより、ユーザは適切な撮影を容易に行うことができる。TTL(Through The Lens)方式を採用した測光(自動調光機能)では、より適切に適正露出が得られるように露出条件を自動的に設定することができる。
【0004】
撮影装置は、測光(自動調光機能)により、適正露出が得られる発光量を演算し、閃光発光させる発光時間を露出条件として決定する。従来のスレーブストロボ装置は、撮影装置による閃光発光を検出して、その発光が行われている間、閃光発光を行うようにしている(特許文献1)。その閃光発光は、実際には撮影装置による閃光発光の開始より遅れて開始される。このことから、従来のスレーブストロボ装置のなかには、閃光発光の開始が遅れる遅延時間分、撮影装置による閃光発光の停止から遅らせて閃光発光を停止させるものもある(特許文献2)。
【0005】
撮影装置が測光により決定する露光時間(適正露出)は、周知のように、被写体の全体的構成から判断される平均的なものである。しかし、その露光時間は、撮影者(ユーザ)にとって必ずしも適切であるとは限らない。これは、感性は撮影者によって異なる、被写体の全体的構成によって適正露出は変化する、といったことがあるためである。明るさの異なる複数の被写体を撮影する場合では、どの被写体を適切に撮影するのを撮影者が望むかによって適正露出は変化する。特に水中などの特殊な環境条件下では、撮影者が意図した適正露出とは一致しない場合が多い。このようなことから、撮影者にとってより適切な露光量で撮影が行えるようにするためには、自動的に露出条件を決定させる場合であっても、決定されたその条件を撮影者が変更できるようにすることが望ましいと考えられる。
【特許文献1】特開2001−142114号公報
【特許文献2】特開2003−241268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、撮影者にとってより適切な露光量で撮影が可能なストロボ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1、及び第2の態様のストロボ装置は共に、撮影装置による閃光発光に応答した閃光発光が可能なことを前提とし、それぞれ以下の手段を具備する。
第1の態様のストロボ装置は、閃光発光を行う発光手段と、撮影装置による閃光発光を検出するための発光検出手段と、発光検出手段により閃光発光が検出された場合に、該閃光発光の開始が検出されてから予め設定された遅延時間、遅延させて発光手段に閃光発光を開始させる発光制御手段と、を具備する。
【0008】
なお、上記第1の態様では、遅延時間をユーザが設定するための遅延時間設定手段、を具備し、発光制御手段は、遅延時間設定手段により設定された遅延時間、発光手段による閃光発光の開始を遅延させる、ことが望ましい。また、発光制御手段は、撮影装置が閃光発光として、1回以上の予備発光を行った後、本発光を行う場合、発光検出手段が該本発光を検出することにより開始させる閃光発光のみを遅延時間、遅延させる、ことが望ましい。また、発光検出手段により閃光発光の停止が検出された後、予め設定された他の遅延時間、遅延させて発光手段による閃光発光を停止させる、ことが望ましい。
【0009】
第2の態様のストロボ装置は、閃光発光を行う発光手段と、撮影装置による閃光発光を検出するための発光検出手段と、発光検出手段による閃光発光の検出によって発光手段に閃光発光を開始させる発光開始制御手段と、発光開始制御手段が開始させた閃光発光を、発光検出手段によって閃光発光の停止を検出した後、予め設定された遅延時間、経過してから停止させる発光停止制御手段と、を具備する。
【0010】
なお、第2の態様では、遅延時間をユーザが設定するための遅延時間設定手段、を具備し、発光停止制御手段は、遅延時間設定手段により設定された遅延時間、発光手段による閃光発光の停止を遅延させる、ことが望ましい。
【0011】
本発明の第1、及び第2の態様のプログラムはそれぞれ、上記第1、及び第2の態様のストロボ装置が備えた手段を実現させるための機能を搭載している。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、撮影装置による閃光発光の開始が検出された場合に、その開始が検出されてから予め設定された遅延時間、遅延させて発光手段に閃光発光を開始させる。その遅延により、撮影装置が閃光発光を行っている間にストロボ装置の閃光発光によって得られる光量は小さくなる。これは、撮影装置が撮影の際に得られる露光量はより小さくなる方向で微調整できることを意味する。
【0013】
本発明では、撮影装置による閃光発光の停止が検出された場合に、その停止が検出されてから予め設定された遅延時間、遅延させて閃光手段に閃光発光を停止させる。その遅延により、撮影装置が撮影の際に得られる露光量はより大きくなる。これは、その露光量はより大きくなる方向で微調整できることを意味する。
【0014】
上述したようにして、実際に得られる露光量は、閃光発光を開始する際の遅延時間、及びそれを停止させる際の遅延時間の何れにも応じて変化する。それにより、少なくとも何れかの遅延時間の制御によってストロボ装置による閃光発光から撮影装置が得られる実際の露光量を調節することができる。このため、遅延時間の制御を通して、撮影者にとってより適切な露光量での撮影が行えるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態によるストロボ装置(スレーブストロボ装置)の回路構成を説明する図である。
【0016】
そのストロボ装置は、デジタルカメラ等の撮影装置をマスタとして、その撮影装置の閃光発光に応答した閃光発光を行うスレーブストロボ装置である。装置全体はCPU10により制御を行う構成となっている。そのCPU10は、それに内蔵されたROM(例えばPROM)11に格納されたプログラムを実行することにより、その制御を行う。12は内蔵されたハードタイマである。
【0017】
発光部21〜23は、放電管(例えばキセノンフラッシュランプ)、それに高電圧を印加するためのメインコンデンサ、トリガー用のコイル、及び通電制御用のIGBT(Insulated GateBipolar transistor)を備えた閃光発光用回路である。各発光部21〜23は、IGBTドライバー回路24が出力する駆動信号がアクティブ(例えばH)となった場合に閃光発光を行う。CPU10は、ドライバー回路24に出力するIGBT作動信号S9により閃光発光を制御する。
【0018】
電源スイッチ(SW)回路31は、電源/モードスイッチ61への操作により不図示のバッテリからの電流を供給するための回路である。その電源/モードスイッチ61は、電源オフ、TTL(Through The Lens)モード、及びマニュアルモードのうちの何れかを選択するための切替スイッチである。電源スイッチ回路31は、その電源/モードスイッチ61が電源オフ以外の位置とされている場合に電流を供給する。その電流は、DC−DC昇圧回路(以降「昇圧回路」と略記)32により昇圧され、発光部21〜23を構成するメインコンデンサの充電に用いられる。
【0019】
充電電圧監視回路(以降「監視回路」と略記)33は、メインコンデンサの充電状態を監視し、昇圧回路32を制御する。その監視により、メインコンデンサの充電完了を確認した場合には、例えば充電監視信号S2をアクティブにしてその旨をCPU10に通知する。また、昇圧回路32に出力する充電電圧安定化信号S1を介して各発光部21〜23への印加電圧を制御する。それにより、メインコンデンサへの不必要な電流の供給を抑える。
【0020】
光検出回路41は、例えばフォトダイオード等の光を検出できる光検出素子、及びその光検出素子の検出信号から、その光検出素子で受光された光の立ち上がり(受光光量の増大開始)、及びその立ち下がり(受光光量の減少開始)を検出する微分回路を備えたものである。光の立ち上がり、及び立ち下がりは共に、発光開始検出信号S3、及び発光停止検出信号S4をそれぞれアクティブにすることでCPU10に通知される。
【0021】
接続部51は、マスタとなる撮影装置とケーブルで接続するためのものである。その撮影装置には、接続部51を介して、閃光発光が可能か否かを通知するための外部充電完了信号S5が出力される。その撮影装置からは、接続部51を介して、シャッタが完全に開いたことを通知するためのX信号(X接点による信号)S11や、発光期間を通知するためのTTL発光停止信号S12が入力される。
【0022】
上記信号S11、及びS12は、接続部51から変換回路52に出力される。その変換回路52は、信号S11、及びS12をCPU10が取り込める形に変換するためのものである。それにより、信号S11、及びS12は、変換回路52から信号S6、及びS7としてCPU10に出力される。その変換回路52は、信号S11、及びS12から各発光部21〜23の発光を制御するためのIGBT停止信号S8を生成してIGBTドライバー回路24に出力する。このようなことから、接続部51を介して撮影装置と接続されている場合には、ストロボ装置は、撮影装置から出力される信号S11、及びS12によって閃光発光を行うようになっている。
【0023】
TTLモード、及びマニュアルモードのそれぞれでは、サブモードとして、スレーブモード、及びワイヤモードの何れかを選択できるようになっている。サブモード切替スイッチ62は、その選択を行えるように設けられたスイッチである。スレーブモードは光検出回路41による光の検出結果に従って閃光発光を制御するモードであり、ワイヤモードは接続部51を介した撮影装置の接続に対応、つまり接続された撮影装置から出力される信号に応じて動作させるためのモードである。
【0024】
設定スイッチ64は、設定されたモードによって異なる機能が割り当てられるスイッチである。マニュアルモードの設定時には、閃光発光の光量レベルを撮影者(ユーザ)が調整できるように、可変光量調整値の設定スイッチとして機能する。TTLモードのスレーブモード設定時には、撮影装置の閃光発光開始から各発光部21〜23による閃光発光を開始させるまでの遅延時間の設定スイッチとして機能する。設定スイッチ64による可変光量調整値、或いは遅延時間の設定は、その位置を変化させることで行うようになっている。CPU10に設定スイッチ64から出力される信号は、その位置によって変化するようになっている。
【0025】
フォーカスライト71は、閃光発光の発光軸を撮影者が確認できるように用意した、指向性を有する光を発光させるためのものである。CPU10は、フォーカスライトオンーオフ(on−off)スイッチ(以降「オン−オフスイッチ」と略記)63のオン/オフ状態を監視し、そのスイッチ63がオン状態となっている間、フォーカスライト71を点灯させる。
【0026】
充電表示灯72、及びTTL作動確認灯73は何れも例えば複数色の発光が可能なLEDである。CPU10は、バッテリの残量が定めた一定量以上か否かにより、充電表示灯72に異なる色の発光を行わせるようになっている。TTL作動確認灯73には、TTLモードの作動が行われたか否かによって異なる色の発光を行わせるようになっている。
【0027】
図2は、TTLモードでサブモードとしてスレーブモードが設定されている場合の動作を説明するタイミングチャートである。次に図2を参照して、そのようなモード設定時における動作について具体的に説明する。その図2に示す信号S3、S4、及びS9は便宜的に全て、アクティブをHで表している。
【0028】
TTLモードでは、マスタである撮影装置(図中「カメラ」と表記)が予備発光により測光を行うことを想定している。本発光時にスレーブのストロボ装置も閃光発光を行うことから、適正露出となる露光量を撮影装置が適切に算出できるように、CPU10は予備発光により各発光部21〜23に閃光発光を行わせる。予備発光時の閃光発光は、予備発光によって光検出回路41が発光開始検出信号S3をアクティブにしてから発光停止検出信号S4をアクティブにする時間t1だけ、IGBT信号S9をアクティブにすることで行っている。
【0029】
適正露出の露光量を計算し決定する必要もあって、最後の予備発光を行ってから本発光を行うまでの時間t2は、予備発光の時間間隔である時間t1より長い。本実施の形態では、このことに着目し、撮影装置の閃光発光が予備発光か否か判定するようにしている。それにより、直前の閃光発光が行われてから次の閃光発光が行われるまでの時間が予め定めた時間(以降「時間T」と記す)以下であれば予備発光、そうでなければ本発光と見なすようにしている。時間の計時は、ハードタイマ12を用いて、或いは予め定めた時間間隔で発生する割り込み信号により起動させるソフトウェアによって実現させたソフトタイマを用いて行っている。ここではハードタイマ12を用いていると想定する。
【0030】
上述したように、TTLモードでは、設定スイッチ64により遅延時間を設定できるようにしている。その設定は、遅延時間無しを含め、予め定めた遅延時間のなかから一つを撮影者に選択させる形で行わせるようにしている。スレーブモードでは、その設定スイッチ64により撮影者が遅延時間を設定、つまり遅延時間無し以外の遅延時間を設定していた場合、CPU10は、発光開始検出信号S3がアクティブになってから設定された遅延時間Δt経過した後、IGBT作動信号S9をアクティブにする。アクティブにしたIGBT作動信号は、発光停止検出信号S4がアクティブになるのを待ってインアクティブにする。それにより、マスタの撮影装置による本発光期間より遅延時間Δt分、短い期間、各発光部21〜23に閃光発光を行わせる。
【0031】
各発光部21〜23を閃光発光させる期間を遅延時間Δt分、短くしたことにより、実際の露光量は撮影装置が適正露出とする露光量より少なくなる。そのため、撮影装置が適正露出とする露光量が大きい(オーバー)と撮影者が感じる被写体を、その撮影者が適切と考える露光量で撮影させることができる。そのような露光量の設定は、撮影装置の自動調光機能を利用して、つまりその自動調光機能によって適正露出とされた露光量を基準にそれを微調整する形で行えるため、適切と考える露光量を撮影者は容易に設定することができる。
【0032】
図3は、TTLモードでサブモードとしてスレーブモードが設定されている場合にCPU10が実行する発光制御処理を示すフローチャートである。次に図3を参照して、その場合にCPU10が実行する処理について詳細に説明する。
【0033】
先ず、ステップ101では、光検出回路41が発光開始を検出、つまり発光開始検出信号S3がアクティブになるのを待つ。その検出信号S3がアクティブになると、判定はYESとなってステップ102に移行し、撮影装置が本発光を行うことによりその検出信号S3がアクティブになったか否か判定する。
【0034】
CPU10は、検出信号S3がアクティブになると、ハードタイマ12による時間の計時を開始し、次に検出信号S3が再びアクティブになるまでの時間を計時する。このことから、時間の計時を行っていないときの閃光発光(1回目の予備発光に相当)か、或いは計時した時間が時間T以下であった場合、ステップ102の判定はNOとなり、ステップ103で予備発光に応答した閃光発光を各発光部21〜23に行わせた後、上記ステップ101に戻る。そうでない場合には、判定はYESとなってステップ104に移行する。予備発光に応答した閃光発光は、上述したように、発光開始検出信号S3がアクティブになってから発光停止検出信号S4がアクティブになるまでの間、IGBT作動信号S9をアクティブにすることで行われる。
【0035】
ステップ104では、遅延時間が設定されているか否か判定する。設定スイッチ64が遅延時間無し以外の遅延時間Δtを指定する位置になっていた場合、判定はYESとなり、ステップ105でハードタイマ12による時間の計時を開始させた後、ステップ106に移行する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップ107に移行する。
【0036】
ステップ106では、ハードタイマ12により計時した時間が遅延時間Δtと一致するのを待つ。計時時間が遅延時間Δtと一致すると、判定はYESとなってステップ107に移行し、IGBT作動信号S9をアクティブにして、本発光に応答した閃光発光を各発光部21〜23に開始させる。その開始後に移行するステップ108では、光検出回路41が発光停止を検出するのを待つ。それにより、発光停止検出信号S4がアクティブになると、判定はYESとなってステップ109に移行する。
【0037】
ステップ109では、IGBT作動信号S9をインアクティブにして、各発光部21〜23による閃光発光を停止させる。次のステップ110では、ハードタイマ12による時間の計時を停止させる。その後、上記ステップ101に戻る。それにより、撮影装置による次の閃光発光に備える。
【0038】
本実施の形態では、各発光部21〜23による閃光発光の開始を遅延可能とさせることにより、実際の露光量を撮影装置が適正露出とする露光量より小さくできるようにさせている。しかし逆に、撮影装置が適正露出とする露光量がオーバーではなくアンダーのケースも考えられる。このことから、図2に示すように、各発光部21〜23による閃光発光の停止を、撮影装置による閃光発光の停止から遅延可能とさせても良い。各発光部21〜23による閃光発光の開始、及びその停止の何れも遅延可能とさせる場合には、開始における遅延時間Δt、及び停止における遅延時間Δt’をそれぞれ別の設定スイッチにより設定させるようにしても良いが、それらのうちの何れか、或いはその両方を設定スイッチ64により設定できるようにしても良い。
【0039】
それら何れの遅延時間も設定できるようにする場合には、図3に示す発光制御処理の代わりに、図4に示すような発光制御処理をCPU10に実行させれば良い。図4に示す発光制御処理では、図3に示す発光制御処理と同じ、或いは基本的に同じステップの処理には同一の符号を付している。それにより、図3に示す発光制御処理から異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0040】
図4に示す発光制御処理では、光検出回路41が出力する発光停止検出信号S4がアクティブになることでステップ108の判定がYESとなると、次にステップ201に移行して、閃光発光の停止を遅延させる遅延時間Δt’が設定されているか否か判定する。設定スイッチ64が遅延時間無し以外の遅延時間Δt’を指定する位置になっていた場合、判定はYESとなり、ステップ202でハードタイマ12による時間の計時を開始させた後、ステップ203に移行する。そうでない場合には、判定はNOとなってステップ109に移行する。
【0041】
ステップ203では、ハードタイマ12により計時した時間が遅延時間Δt’と一致するのを待つ。計時時間が遅延時間Δt’と一致すると、判定はYESとなってステップ109に移行する。それにより、無し以外の遅延時間Δt’が設定されている場合には、IGBT作動信号S9をアクティブにするタイミングを、撮影装置による閃光発光の停止によって発光停止検出信号S4がアクティブになってからその遅延時間Δt’分、遅延させる。
【0042】
なお、本実施の形態では、遅延時間Δt、及びΔt’の何れも撮影者(ユーザ)に直接、設定させるようにしているが、遅延時間Δt’は自動的に設定させるようにしても良い。その自動的な設定は、例えばストロボ装置に測光機能を搭載させて、その測光機能によって測光した反射光の光量が適正露出と見なす露光量となるタイミングを監視させ、そのタイミングが撮影装置による閃光発光の停止後であった場合に、そのタイミングで各発光部21〜23による閃光発光を停止させることで行わせても良い。そのようにする場合であっても、適正露出と撮影者が考える露光量は撮影者、或いは撮影シーン(被写体の構成)によって異なるのが普通であるから、適正露出と見なすべき露光量を撮影者が変更できるようにすることが望ましい。
【0043】
遅延時間Δtに応じた閃光発光の開始タイミングの遅延、及び遅延時間Δt’に応じた閃光発光の停止タイミングの遅延のうちの少なくとも一方を可能とさせる発光制御は、TTLモードでスレーブモードが設定されている場合に行うようにしているが、他のモード設定時に行えるようにしても良い。その発光制御の対象とさせる本発光は、1回以上の予備発光の後に行われるものとしているが、予備発光が行われないもの、つまり1回目に行われる本発光であっても良い。これらのことから明らかなように、その発光制御は様々な形で幅広く適用させることができる。
【0044】
上述したような発光制御を実現させるようなプログラムは、CD−ROM、DVD、或いはメモリカード等の記録媒体に記録させて配布しても良い。公衆網等の通信ネットワークを介して、そのプログラムの一部、若しくは全部を配信するようにしても良い。そのようにした場合には、ユーザはプログラムを取得して既存の撮影装置、或いは撮影装置として用いることが可能なデータ処理装置等にロードすることにより、その装置に本発明を適用させることができる。このことから、記録媒体は、プログラムを配信する装置がアクセスできるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施の形態によるストロボ装置の回路構成を説明する図である。
【図2】TTLモードでサブモードとしてスレーブモードが設定されている場合の動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】TTLモードでサブモードとしてスレーブモードが設定されている場合にCPU10が実行する発光制御処理を示すフローチャートである。
【図4】TTLモードでサブモードとしてスレーブモードが設定されている場合にCPU10が実行する発光制御処理を示すフローチャートである(他の実施の形態)。
【符号の説明】
【0046】
10 CPU
11 ROM
12 ハードタイマ
21〜23 発光部
24 IGBTドライバー回路
41 光検出回路
61 電源/モード切替スイッチ
62 サブモード切替スイッチ
64 設定スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置による閃光発光に応答した閃光発光が可能なストロボ装置において、
前記閃光発光を行う発光手段と、
前記撮影装置による閃光発光を検出するための発光検出手段と、
前記発光検出手段により前記閃光発光が検出された場合に、該閃光発光の開始が検出されてから予め設定された遅延時間、遅延させて前記発光手段に閃光発光を開始させる発光制御手段と、
を具備することを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
前記遅延時間をユーザが設定するための遅延時間設定手段、を具備し、
前記発光制御手段は、前記遅延時間設定手段により設定された遅延時間、前記発光手段による前記閃光発光の開始を遅延させる、
ことを特徴とする請求項1記載のストロボ装置。
【請求項3】
前記発光制御手段は、前記撮影装置が前記閃光発光として、1回以上の予備発光を行った後、本発光を行う場合、前記発光検出手段が該本発光を検出することにより開始させる閃光発光のみを前記遅延時間、遅延させる、
ことを特徴とする請求項1、または2記載のストロボ装置。
【請求項4】
前記発光制御手段は、前記発光検出手段により前記閃光発光の停止が検出された後、予め設定された他の遅延時間、遅延させて前記発光手段による閃光発光を停止させる、
ことを特徴とする請求項1記載のストロボ装置。
【請求項5】
撮影装置による閃光発光に応答した閃光発光が可能なストロボ装置において、
前記閃光発光を行う発光手段と、
前記撮影装置による閃光発光を検出するための発光検出手段と、
前記発光検出手段による前記閃光発光の検出によって前記発光手段に閃光発光を開始させる発光開始制御手段と、
前記発光開始制御手段が開始させた閃光発光を、前記発光検出手段によって閃光発光の停止を検出した後、予め設定された遅延時間、経過してから停止させる発光停止制御手段と、
を具備することを特徴とするストロボ装置。
【請求項6】
前記遅延時間をユーザが設定するための遅延時間設定手段、を具備し、
前記発光停止制御手段は、前記遅延時間設定手段により設定された遅延時間、前記発光手段による前記閃光発光の停止を遅延させる、
ことを特徴とする請求項5記載のストロボ装置。
【請求項7】
撮影装置による閃光発光に応答した閃光発光が可能なストロボ装置に実行させるプログラムであって、
前記撮影装置による閃光発光を検出するための機能と、
前記検出するための機能により前記閃光発光が検出された場合に、該閃光発光の開始が検出されてから予め設定された遅延時間、遅延させて発光手段に閃光発光を開始させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項8】
撮影装置による閃光発光に応答した閃光発光が可能なストロボ装置に実行させるプログラムであって、
前記撮影装置による閃光発光を検出するための機能と、
前記検出するための機能による前記閃光発光の検出によって発光手段に閃光発光を開始させる機能と、
前記開始させる機能により開始させた閃光発光を、前記検出するための機能によって閃光発光の停止を検出した後、予め設定された遅延時間、経過してから停止させる機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−298880(P2007−298880A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128583(P2006−128583)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(302045912)株式会社シー・アンド・シー (3)
【Fターム(参考)】