説明

ストロボ装置

【課題】本発明は、レンズ装置の大きさに応じて発光部を最適な位置に配置することができるストロボ装置を提供する。
【解決手段】本発明のレンズ装置10は、カメラ本体12の上面に形成されたホットシュー18に取り付けられる箱型の基部20と、基部20の側部に第1のヒンジ21を介して傾動自在に連結された箱型の第1のストロボ本体部22と、このストロボ本体部22の上部に第2のヒンジ23を介して連結された箱型の第2のストロボ本体部24とから構成される。サイズの小さいレンズ装置12をカメラ本体14に装着した場合は、ストロボ本体部22を基部20に対して水平方向に倒伏させるとともに、ストロボ本体部24をストロボ本体部22に対して水平方向に倒伏させて放電管40を被写体に向ける。一方でサイズの大きいレンズ装置16をカメラ本体14に装着した場合には、ストロボ本体部22を起立させて放電管34を被写体に向け、放電管34のストロボ光がレンズ装置16にケラレないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラに取り付けられるストロボ装置に係り、特にレンズ交換式カメラのレンズ装置の大きさに応じて発光部を最適な位置に配置可能なストロボ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ストロボ装置が内蔵された一眼レフレックスカメラが開示されている。このカメラは、カメラ本体の上部に突出して配置されているファインダ光学系のペンタプリズムよりもストロボ装置を前方に配置されている。また、このストロボ装置は、ヒンジにより起伏可能なアームの先端に発光部が設けられ、使用時にアームを起立させて発光部をカメラ前方に向けて開成する。これにより、前記ペンタプリズムに起因するストロボ光のケラレを防止している。
【0003】
また、カメラ本体の上部に設けられたホットシューを介してストロボ装置をカメラ本体に着脱自在に取り付け、カメラのシャッターの開閉に連動して発光部を発光させる外付けのストロボ装置も知られている。
【特許文献1】特開平11−183973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のストロボ装置では、サイズの小さいレンズ装置から大きいレンズ装置にレンズ装置を交換した際に、その大きいレンズ装置によってストロボ光がケラレるという問題があった。この問題を解消するために特許文献1のカメラでは、ストロボ光がケラレない大型のストロボ装置をカメラ本体に別途取り付けなければならず、また、外付けのストロボ装置においては、ストロボ光がケラレない大型のストロボ装置に交換しなければならなかった。すなわち、従来のストロボ装置では、レンズ装置の大きさに応じた大きさのストロボ装置が必要になるという欠点があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、レンズ装置の大きさに応じて発光部を最適な位置に配置することができるストロボ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、カメラ本体に取り付けられるとともに複数の発光部を有し、各々の発光部が角度調整自在に設けられたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載のストロボ装置は、複数の発光部を備え、これらの発光部が角度調整自在に設けられているので、これらの発光部のうちレンズ装置にストロボ光がケラレない位置にある発光部、又はその位置に所定の発光部を傾けて発光させることにより、レンズ装置の大きさに関係なく1台のストロボ装置で対応することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記目的を達成するために、カメラのストロボ取付部に取り付けられる基部と、前記基部に角度調整自在に連結された第1の発光部と、前記第1の発光部に角度調整自在に連結された第2の発光部とを有することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載のストロボ装置は、第1の発光部及び第2の発光部を備えているので、これらの発光部のうちレンズ装置にストロボ光がケラレない位置にある発光部を発光させることにより、レンズ装置の大きさに関係なく1台のストロボ装置で対応することができる。また、第1の発光部は、基部に角度調整自在に設けられ、第2の発光部は、第1の発光部に角度調整自在に設けられているので、その発光部のストロボ光がケラレない位置に第1の発光部、第2の発光部を傾けて配置することができる。本発明の如く、第1の発光部及び第2の発光部を備えること、基部に第1の発光部を角度調整自在に設けるとともに第1の発光部に第2の発光部を角度調整自在に設けることにより、ストロボ光がケラレないための調整自由度が広がるので、レンズ装置の大きさに応じて発光部を最適な位置に配置することができる。第1及び第2の発光部の角度調整方向は、被写体に向いた方向でもよく、その方向に直交する方向でもよい。
【0010】
請求項3に記載の発明は、カメラのストロボ取付部に取り付けられる基部と、前記基部に角度調整自在に連結された角度調整部材と、前記角度調整部材に角度調整自在に連結された第1の発光部と、前記角度調整部材に角度調整自在に連結された第2の発光部とを有することを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載のストロボ装置は、第1の発光部及び第2の発光部を備えているので、これらの発光部のうちレンズ装置にストロボ光がケラレない位置にある発光部を発光させることにより、レンズ装置の大きさに関係なく1台のストロボ装置で対応することができる。また、第1の発光部は、基部に対して角度調整自在な角度調整部材に角度調整自在に設けられ、第2の発光部は、前記角度調整部材に角度調整自在に設けられているので、その発光部のストロボ光がケラレない位置に第1の発光部、第2の発光部を傾けて配置することができる。本発明の如く、第1の発光部及び第2の発光部を備えること、角度調整部材に第1の発光部及び第2の発光部を角度調整自在に設けることにより、ストロボ光がケラレないための調整自由度が広がるので、レンズ装置の大きさに応じて発光部を最適な位置に配置することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記第1の発光部と前記第2の発光部とは直交されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載のストロボ装置によれば、第1の発光部の傾動方向と第2の発光部の傾動方向とを直交させることにより、ストロボ光がケラレないための調整自由度が広がるので、第1の発光部及び/又は第2の発光部を最適な位置に配置することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2、3又は4のうちいずれか一つに記載の発明において、前記第1の発光部及び/又は第2の発光部を選択的に発光させる選択手段が設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載のストロボ装置によれば、選択手段によって第1の発光部及び/又は第2の発光部を選択的に発光させることにより、すなわち、撮影の際に被写体に向いている第1の発光部又は第2の発光部を発光させることにより、電源の節電化を図ることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1、2、3、4又は5のうちいずれか一つに記載の発明において、通常撮影とバウンス撮影とを切り換える切換手段が設けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項6のストロボ装置によれば、通常撮影はもとよりバウンス撮影時における好適なストロボ光の照射を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明に係るストロボ装置によれば、複数の発光部を備え、これらの発光部を角度調整自在に設けたので、レンズ装置の大きさに応じて発光部を最適な位置に配置することができる。
【0019】
また、本発明に係るストロボ装置によれば、基部に第1の発光部を角度調整自在に設けるとともに第1の発光部に第2の発光部を角度調整自在に設けたので、レンズ装置の大きさに応じて発光部を最適な位置に配置することができる。
【0020】
更に、本発明に係るストロボ装置によれば、角度調整部材に第1の発光部及び第2の発光部を傾動自在に設けたので、レンズ装置の大きさに応じて発光部を最適な位置に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下添付図面に従って、本発明に係るストロボ装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0022】
図1〜図5には、第1の実施の形態のストロボ装置10がそれぞれ示されている。また、図1は、サイズの小さいレンズ装置12が装着されたレンズ交換式カメラのカメラ本体14にストロボ装置10が取り付けられた際の使用形態を示す一部断面図であり、図2は、サイズの大きいレンズ装置が装着されたカメラ本体14にストロボ装置10が取り付けられた際の使用形態を示す一部断面図である。また、図3は、ストロボ装置10の背面図である。
【0023】
図1〜図3に示すようにストロボ装置10は、カメラ本体14の上面に形成されたホットシュー(ストロボ取付部)18に取り付けられる箱型の基部20と、基部20の側部に第1のヒンジ21を介して傾動自在(角度調整自在)に連結された箱型の第1のストロボ本体部22と、このストロボ本体部22の上部に第2のヒンジ23を介して連結された箱型の第2のストロボ本体部24とから構成されている。
【0024】
図3の如く基部20は、その下部にねじ棒26が下方に向けて延設され、ねじ棒26にはホットシュー18に嵌合されるプレート28と、プレート28との間でホットシュー18を挟圧保持するナット30とが設けられている。プレート28をホットシュー18に嵌合させ、ナット30によってホットシュー18を挟圧保持することにより、ストロボ装置10がカメラ本体14に固定されるとともに、ホットシュー18に設けられた接片(不図示)と基部20側に設けられたシンクロ接点32(図4参照)とが導通される。これにより、カメラ本体14のシャッターの開動作に連動してシンクロ接点32がONになり、ストロボ本体部22、24の発光部が発光する。
【0025】
ストロボ本体部22は、図1、図2の如くヒンジ21によって被写体方向に傾動自在となっており、また、ヒンジ21とストロボ本体部22との間に生じている回動抵抗によって、所望の傾斜角度で保持されている。なお、ヒンジ21にクリック機構を設け、このクリック機構によってストロボ本体部22を所望の傾斜角度で保持させてもよい。
【0026】
ストロボ本体部22には、第1の発光部である放電管34が配置される。放電管34は、図2の如くストロボ本体部22を基部20に対して垂直方向に起立させた姿勢において、被写体と対面する側面位置に配置されている。また、放電管34の後方にはリフレクタ36が配置されるとともに前方にはフレネルレンズ38が配置されている。
【0027】
一方、ストロボ本体部22の上部には一対の支持片22A、22Aが突出形成され、この支持片22A、22Aに架け渡されたヒンジ23にストロボ本体部24が傾動自在に取り付けられている。ヒンジ23は、ヒンジ21に対し水平方向において平行に配置され、これによりストロボ本体部24は、ヒンジ23によって被写体方向に傾動自在となっている。また、ストロボ本体部24は、ヒンジ23とストロボ本体部24との間に生じている回動抵抗によって、所望の傾斜角度で保持されている。なお、ヒンジ23にクリック機構を設け、このクリック機構によってストロボ本体部24を所望の傾斜角度で保持させてもよい。
【0028】
ストロボ本体部24には、第2の発光部である放電管40が配置される。放電管40は、図1の如くストロボ本体部24をストロボ本体部22に対して水平方向に倒伏させた姿勢において、被写体と対面する位置に位置される。また、放電管40の後方にはリフレクタ42が配置されるとともに前方にはフレネルレンズ44が配置されている。
【0029】
基部20には、放電管34、40に電力を供給する充電式のバッテリ又は電池46(図4参照)が装填されている。また、基部20の背面には図3の如く、電源スイッチ48、発光選択スイッチ(選択手段)50、バウンス切換スイッチ(切換手段)52、及びネオンランプ54がそれぞれ所定の位置に配置されている。
【0030】
図4に示すストロボ回路図によれば、電源スイッチ48をONにすると、電池46から抵抗56を介してメインコンデンサ58に充電が開始され、規定の電圧まで充電されると、抵抗59を介してネオンランプ54が点灯する。また、この時、第1のトリガー回路60のトリガーコンデンサ(不図示)及び第2のトリガー回路62のトリガーコンデンサ(不図示)にもその容量に応じた電荷が充電される。
【0031】
この充電状態において、カメラ本体14のシャッターが切られると、シンクロ接点32が閉じる。この時、発光選択スイッチ50によって放電管34が選択されている場合、トリガー制御部64は、第1のトリガー回路60のトリガーコンデンサに充填されていた電荷を第1のトリガー回路60のトリガーコイル(不図示)に流し、トリガーコイルの二次側に高電圧を発生させる。この高電圧は、放電管34の管壁に設けられたトリガー電極に加えられ、この結果、放電管34内のクセノンガスが励起されて放電管34内の抵抗が下がるので、メインコンデンサ58に蓄えられた電荷による放電が放電管34内で開始される。これにより、放電管34が発光する。また、シンクロ接点32が閉じた時に、発光選択スイッチ50によって放電管40が選択されている場合には、トリガー制御部64は放電管40が発光するように第2のトリガー回路62を制御する。
【0032】
一方、バウンス切換スイッチ52がバウンス撮影側に切り換えられている場合、トリガー制御部64は、バウンス切換スイッチ52によるバウンス撮影を、発光選択スイッチ50による選択よりも優先させてバウンス撮影を実行する。すなわち、トリガー制御部64は、放電管34、又は双方の放電管34、40を発光するように第1のトリガー回路60、又は双方のトリガー回路60、62を制御する。
【0033】
次に、前記の如く構成されたストロボ装置10の作用について説明する。
【0034】
まず、図1の如くサイズの小さいレンズ装置12をカメラ本体14に装着した場合は、ストロボ本体部22を基部20に対して水平方向に倒伏させるとともに、ストロボ本体部24をストロボ本体部22に対して水平方向に倒伏させて放電管40を被写体に向ける。次に、電源スイッチ48をONにするとともに、発光選択スイッチ50をNo.2(放電管40)側に設定する。なお、この時、バウンス切換スイッチ52はOFF(通常撮影)側に予め切り換えておく。そして、ネオンランプ54が点灯した後、カメラ本体14のシャッターを切る。これにより、放電管40のみが発光し、放電管40のストロボ光がレンズ装置12にケラレることなく被写体に照射される。
【0035】
ところで、図2の如くサイズの大きいレンズ装置16をカメラ本体14に装着した場合であって、図1の倒伏位置にある放電管40ではストロボ光がレンズ装置16にケラレる場合には、ストロボ本体部22を図2の如く起立させて放電管34を被写体に向け、放電管34のストロボ光がレンズ装置16にケラレないようにする。次に、電源スイッチ48をONにするとともに、発光選択スイッチ50をNo.1(放電管34)側に設定する。なお、この時、バウンス切換スイッチ52はOFF側(通常撮影側)に予め切り換えておく。そして、ネオンランプ54が点灯した後、カメラ本体14のシャッターを切る。これにより、放電管34のみが発光し、放電管34のストロボ光がレンズ装置16にケラレることなく被写体に照射される。
【0036】
また、ストロボ本体部24を図2の如く水平位置に倒伏させて放電管40を被写体に向け、発光選択スイッチ50をNo.1.2(放電管34、40)側に設定し、ネオンランプ54が点灯した後、カメラ本体14のシャッターを切ると、双方の放電管34、40が同時に発光するので、ストロボ光の照射距離を伸ばすことができる。
【0037】
一方、バウンス撮影を行う場合には、バウンス切換スイッチ52をON(バウンス撮影)側に切り換える。そして、図5の如くストロボ本体部24をストロボ本体部22に対して被写体側に所定角度傾斜させ、ストロボ本体部24の放電管40を被写体の真上の天井に向ける。この後、シャッターを切ることにより放電管40が発光し、天井によって反射されたストロボ光により被写体が照射されて撮影される。なお、バウンス撮影時に放電管34を同時に発光させてもよい。
【0038】
このように実施の形態のストロボ装置10によれば、二つの放電管34、40を備えているので、放電管34、40のうちレンズ装置12、16にストロボ光がケラレない位置にある放電管34、40を発光させることにより、レンズ装置12、16の大きさに関係なく1台のストロボ装置10で対応することができる。
【0039】
また、ストロボ本体部22は基部20に傾動自在に設けられ、ストロボ本体部24はストロボ本体部22に傾動自在に設けられているので、その放電管34、40のストロボ光がケラレない位置にストロボ本体部22、24を傾けて配置することができる。以上の如く、二つの放電管34、40を備えること、基部20にストロボ本体部22を傾動自在に設けるとともにストロボ本体部22にストロボ本体部24を傾動自在に設けることにより、ストロボ光がケラレないための調整自由度が広がるので、レンズ交換式カメラのレンズ装置12、16の大きさに応じて放電管34、40を最適な位置に配置することができる。
【0040】
また、ストロボ装置10によれば、発光させる放電管34、40を選択するための発光選択スイッチ50を備えているので、撮影の際に被写体に向いている放電管34及び/又は放電管40を発光させることができる。これにより、電池46の節電化を図ることができる。
【0041】
なお、図5に示したカメラ70は、被写体像を撮影レンズを介して固体撮像素子に結像し、被写体像を電子データとして取得するデジタルカメラであり、符号72はカメラ本体、符号74はレンズ鏡胴、符号76はフォーカスリング、符号78は電子ビューファインダ、符号80はスピーカ、符号82はポップアップ式ストロボ、符号84はストロボのポップアップボタンである。また、図6には、図5に示したデジタルカメラ70の斜視図が示され、同図において符号86は撮影レンズ、符号88はシャッターボタン、符号90は撮影モード選択ダイヤル、符号92はコマンドダイヤルである。
【0042】
図6〜図9には、第2の実施の形態に係るストロボ装置100の様々な使用形態が示されている。
【0043】
このストロボ装置100は、図6の如くカメラ本体72のホットシュー18に取り付けられる基部102、基部102にピン103を介して傾動自在に連結された傾動部材104、傾動部材104に第1のヒンジ105を介して傾動自在に連結されるとともに第1の発光部である放電管106を備えた第1のストロボ本体部108、傾動部材104に第2のヒンジ109を介して傾動自在に連結されるとともに第2の発光部である放電管110を備えた第2のストロボ本体部112から構成されている。
【0044】
傾動部材104は、第1の傾動部材104Aと第2の傾動部材104Bとがヒンジ105を介して一体的に連結されて構成されている。傾動部材104Aは、デジタルカメラ70の撮影光軸71と平行に配設されたピン103を介して基部102に傾動自在に連結されている。これにより、傾動部材104は、光軸71に対して直交する方向に傾動され、ピン103と傾動部材104Aとの間に生じている摩擦抵抗によって所定の傾斜角度でその傾斜姿勢が保持される。
【0045】
ヒンジ105は撮影光軸71に対して直交する方向に配設され、これにより、ストロボ本体部108が光軸71に対して直交する方向に傾動される。また、ストロボ本体部108は、ヒンジ105とストロボ本体部108との間に生じている摩擦抵抗によって所定の傾斜角度でその傾斜姿勢が保持される。ストロボ本体部108の放電管106は、ストロボ本体部108の被写体に対面する側面に配設され、その後方にはリフレクタ114が設けられるとともにその前方にはフレネルレンズ116が配置されている。
【0046】
一方、ヒンジ109はヒンジ105に対して直交する方向、且つ光軸71に対して直交する方向に配設され、これにより、ストロボ本体部112が光軸71に対して直交する方向に傾動される。また、ストロボ本体部112は、ヒンジ109とストロボ本体部112との間に生じている摩擦抵抗によって所定の傾斜角度でその傾斜姿勢が保持される。ストロボ本体部112の放電管110の後方にはリフレクタ118が設けられるとともにその前方にはフレネルレンズ120が配置されている。なお、基部102の背面にも、図3に示したストロボ装置10の基部20の如く電源スイッチ、発光選択スイッチ、バウンス切換スイッチ、及びネオンランプがそれぞれ所定の位置に配置されている。
【0047】
次に、前記の如く構成されたストロボ装置100の作用について説明する。
【0048】
まず、図6の如くデジタルカメラ70のレンズ鏡胴74のサイズが小さい場合には、図6の如く傾動部材104を基部102に対して側方に倒伏させるとともに、ストロボ本体部108の放電管106及びストロボ本体部112の放電管110を被写体側にそれぞれ向ける。次に、ストロボ装置100の電源スイッチをONにするとともに、発光選択スイッチをNo.1.2(放電管106、110)側に設定する。なお、この時、バウンス切換スイッチはOFF(通常撮影)側に予め切り換えておく。そして、ネオンランプが点灯すると、デジタルカメラ70のシャッター88を半押ししてピントを自動で合わせた後、シャッター88を全押ししてシャッターを切る。これにより、放電管106、110が同時発光し、放電管106、110のストロボ光がレンズ鏡胴74にケラレることなく被写体に照射される。
【0049】
このストロボ姿勢でバウンス撮影を行う場合には、バウンス切換スイッチをON(バウンス撮影)側に切り換える。そして、図7の如くストロボ本体部108を傾動部材104に対して斜め上方に所定角度傾斜させ、ストロボ本体部108の放電管106を被写体の真上の天井に向ける。この後、シャッターを切ることにより放電管106が発光し、天井によって反射されたストロボ光により被写体が照射される。なお、バウンス撮影時に放電管110を同時に発光させてもよい。
【0050】
次に、ストロボ光の照射距離を伸ばしたい場合、又はサイズの大きいレンズ鏡胴を有するデジタルカメラにストロボ装置100を取り付けた場合には、図8の如く傾動部材104を基部102に対して垂直に起立させるとともに、ストロボ本体部108の放電管106及びストロボ本体部112の放電管110を被写体側にそれぞれ向ける。次に、ストロボ装置100の電源スイッチをONにするとともに、発光選択スイッチをNo.1.2(放電管106、110)側に設定する。なお、この時、バウンス切換スイッチはOFF(通常撮影)側に予め切り換えておく。そして、ネオンランプが点灯すると、デジタルカメラ70のシャッター88を半押ししてピントを自動で合わせた後、シャッター88を全押ししてシャッターを切る。これにより、放電管106、110が発光し、ストロボ光の照射距離が伸びるとともに、放電管106、110のストロボ光がレンズ鏡胴にケラレることなく被写体に照射される。
【0051】
このストロボ姿勢でバウンス撮影を行う場合には、バウンス切換スイッチをON(バウンス撮影)側に切り換える。そして、図9の如くストロボ本体部112を傾動部材104に対して斜め上方に所定角度傾斜させ、ストロボ本体部112の放電管110を被写体の真上の天井に向ける。この後、シャッターを切ることにより放電管110が発光し、天井によって反射されたストロボ光により被写体が照射される。なお、バウンス撮影時に放電管106を同時に発光させてもよい。
【0052】
このように第2の実施の形態のストロボ装置100によれば、二つの放電管106、110を備えているので、これらの放電管106、110のうちレンズ鏡胴にストロボ光がケラレない位置にある発光部を発光させることにより、レンズ鏡胴の大きさに関係なく1台のストロボ装置で対応することができる。
【0053】
また、ストロボ装置108は、基部102に傾動自在な傾動部材104に第1のヒンジ105を介して設けられ、第2のストロボ本体部112は、傾動部材104にヒンジ109を介して傾動自在に設けられているので、放電管106、110のストロボ光がケラレない位置にストロボ本体部108、112を傾けて配置することができる。したがって、ストロボ光がケラレないための調整自由度が広がるので、レンズ鏡胴の大きさに応じて放電管106、110を最適な位置に配置することができる。
【0054】
更に、ストロボ装置100では、ヒンジ105によるストロボ本体部108の傾動方向とヒンジ109によるストロボ本体部112の傾動方向とは直交されているので、ストロボ光がケラレないための調整自由度を更に広げることができ、放電管106、110を更に最適な位置に配置することができる。
【0055】
上記説明では、第1及び第2の発光部を備えたストロボ装置について説明したが、本発明は、複数の発光部を有し、各々の発光部がカメラ本体に角度調整自在に設けられたことを技術思想としている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】サイズの小さいレンズ装置に対する使用形態を示す第1の実施の形態のストロボ装置の一部断面図
【図2】サイズの大きいレンズ装置に対する使用形態を示す第1の実施の形態のストロボ装置の一部断面図
【図3】図1に示したストロボ装置の背面図
【図4】図1に示したストロボ装置の回路図
【図5】バウンス撮影時のストロボ本体部の傾斜姿勢を示した側断面図
【図6】第2の実施の形態のストロボ装置の使用形態を示した斜視図
【図7】第2の実施の形態のストロボ装置の使用形態を示した斜視図
【図8】第2の実施の形態のストロボ装置の使用形態を示した斜視図
【図9】第2の実施の形態のストロボ装置の使用形態を示した斜視図
【符号の説明】
【0057】
10…ストロボ装置、12…レンズ装置、14…カメラ本体、16…レンズ装置、20…基部、21、23…ヒンジ、22、24…ストロボ本体部、32…シンクロ接点、34、40…放電管、36、42…リフレクタ、38、44…フレネルレンズ、46…電池、48…電源スイッチ、50…発光選択スイッチ、52…バウンス切換スイッチ、54…ネオンランプ、58…メインコンデンサ、60…第1のトリガー回路、62…第2のトリガー回路、64…トリガー制御部、70…デジタルカメラ、100…ストロボ装置、102…基部、103…ピン、104…傾動部材、105、109…ヒンジ、106、110…放電管、108、112…ストロボ本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に取り付けられるとともに複数の発光部を有し、各々の発光部が角度調整自在に設けられたことを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
カメラのストロボ取付部に取り付けられる基部と、
前記基部に角度調整自在に連結された第1の発光部と、
前記第1の発光部に角度調整自在に連結された第2の発光部とを有することを特徴とするストロボ装置。
【請求項3】
カメラのストロボ取付部に取り付けられる基部と、
前記基部に角度調整自在に連結された角度調整部材と、
前記角度調整部材に角度調整自在に連結された第1の発光部と、
前記角度調整部材に角度調整自在に連結された第2の発光部とを有することを特徴とするストロボ装置。
【請求項4】
前記第1の発光部と前記第2の発光部とは直交されていることを特徴とする請求項3に記載のストロボ装置。
【請求項5】
前記第1の発光部及び/又は第2の発光部を選択的に発光させる選択手段が設けられていることを特徴とする請求項2、3又は4のうちいずれか一つに記載のストロボ装置。
【請求項6】
通常撮影とバウンス撮影とを切り換える切換手段が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5のうちいずれか一つに記載のストロボ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−162761(P2006−162761A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351208(P2004−351208)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】