説明

ストロボ装置

【課題】発光部の調光の設定を簡単な操作で行うことができる簡易かつ安価な写真撮影用のストロボ装置を提供する。
【解決手段】ストロボ装置1の電源オン後、電源をオンオフするためのメインスイッチ4によって発光部の調光の設定を行う構成とし、装置構成の簡略化及び操作の容易化を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真撮影用のストロボ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的操作が簡単で安価なストロボ装置では、反射光に応じて自動的に発光量を調節する自動調光機能(オートストロボ機能)を備えたものが広く用いられている。しかしながら、撮影目的の多様化にともない、写真効果の観点から撮影者自身が発光量を調節することを望む場合も多く、比較的操作が簡単で安価なストロボ装置に調光補正機能が付加されることが強く望まれている。
【0003】
ストロボ装置の操作に関する従来技術としては、例えば、操作部に主電源スイッチと、光量比の調節等の各種機能設定を行うためのジョグダイアルとを備えたストロボの操作パネル機構が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−258821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のようなストロボ装置では、調光の設定を行うためのジョグダイヤルを、電源のオンオフ操作を行うためのスイッチとは別に設けてあるので、電源オン後に速やかに調光の設定を実行することができず、また、装置コストも嵩むという課題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、発光部の調光の設定を簡単な操作で行うことができる簡易かつ安価なストロボ装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、写真撮影用のストロボ装置であって、電源をオンオフするための操作ボタンを備え、電源オンの後、前記操作ボタンによって調光の設定を行う構成とする。
【0008】
上記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記調光の設定は、前記操作ボタンの押下回数に応じて光量のレベルを段階的に変更することで実行される構成とすることができる。
【0009】
上記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記操作ボタンの押下時間の長さにより、前記電源のオンオフ操作と前記調光の設定操作とを識別する構成とすることができる。
【0010】
上記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記光量のレベルを表示する表示ランプを更に備えた構成とすることができる。
【0011】
上記課題を解決するためになされた第5の発明は、前記表示ランプは、多色LEDであり、前記光量のレベルに応じて異なる色を発光する構成とすることができる。
【0012】
上記課題を解決するためになされた第6の発明は、前記表示ランプは、前記光量のレベルに応じて点灯または点滅を行う構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記第1の発明によれば、電源をオンオフするための操作ボタンによって調光の設定を行うようにしたので、簡易かつ安価な構成でありながら発光部の調光の設定を簡単な操作で行うことが可能となるという優れた効果を奏する。特に、電源オン後に速やかに調光の設定を実行することができるという利点がある。上記第2の発明によれば、一の操作ボタンで光量のレベルの変更を迅速かつ容易に実行することが可能となる。上記第3の発明によれば、一の操作ボタンで異なる2つの操作を容易に実行することが可能となる。上記第4の発明によれば、使用者が光量のレベルを容易に視認可能となり、操作性が向上する。上記第5及び第6の発明によれば、簡易な構成により、光量のレベルの表示ランプを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1及び図2は、それぞれ本発明に係るストロボ装置の正面図及び背面図である。
【0016】
このストロボ装置1は、下部に設けられた接続部2を介して図示しないカメラのホットシューに取り付け、正面側の発光部3を被写体に向けて発光させて写真撮影に用いるものである。ストロボ装置1の背面側には、電源のオンオフに用いるメインスイッチ(操作ボタン)4と、発光部3の光量のレベルを表示する多色LED(Light Emitting Diode)からなる表示LED5とが設けてある。また、ストロボ装置1の内部には、発光の電源としてのバッテリ6が収められている。
【0017】
後述するように、このストロボ装置1は、電源をオンオフするためのメインスイッチ4によって発光部3の調光の設定を行うことを可能としている。これにより、簡易かつ安価な構成でありながら発光部3の調光の設定を簡単な操作で行うことができる。特に、電源オン後に速やかに調光の設定を実行することができるという利点がある。また、操作用のスイッチの配置スペースを低減し、装置の小型化を図ることができる。
【0018】
図3は、ストロボ装置の概略構成を示すブロック図である。ストロボ装置1は、装置動作を統括的に制御するマイクロコンピュータからなる主制御部11と、装置動作に関する各種条件設定(光量のレベル等)を記録するEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)からなるメモリ12と、主制御部11からの制御命令に基づき、発光部3を構成するキセノン管13の発光動作を行わせる発光回路14とを主として備える。
【0019】
主制御部11は、装置動作の制御において、使用者によるメインスイッチ4の操作に応じて、電源のオンオフまたは発光部3の調光の設定を行う。この調光の設定は、主制御部11が、周知の調光方式に基づき光量レベルを段階的に変更することによって実行される。
【0020】
また、メインスイッチ4の操作に関し、主制御部11は、使用者によるメインスイッチ4の押下時間の長さにより、使用者の操作が電源のオンオフ操作であるか調光の設定操作であるかを識別する。本実施形態では、主制御部11は、メインスイッチ4が継続して押下された時間が2秒以上場合(以下、「長押し」という。)、その操作を電源のオンオフ操作として認識し、また、メインスイッチ4が継続して押下された時間が0.3秒未満である場合(以下、「短押し」という。)、その操作を調光の設定操作として認識する。
【0021】
発光回路14は、バッテリ6の電力から高電圧を生成する昇圧回路21と、発光に要する電気エネルギを蓄積するメインコンデンサ22と、主制御部11からの発光命令に基づきキセノン管13の発光を開始させるトリガを印加するトリガ回路23とを有している。この発光回路14は、従来のストロボ装置の場合と同様の構成を有しており、ここでは説明を省略するが、例えば、メインコンデンサ22の充電電圧の計測回路やキセノン管13の発光を停止するための発光停止回路等を含むものとする。
【0022】
次に、上記構成のストロボ装置における発光動作の詳細について、特に電源のオンオフ及び調光の設定に主眼をおいて説明する。
【0023】
図4及び図5は、ストロボ装置の発光動作の流れを示すフロー図である。
【0024】
ストロボ装置1を使用する際には、まず、使用者がメインスイッチ4を長押しすることより(ST101)、電源オンする(ST102)。これにより、主制御部11は、バッテリ6からメインコンデンサ22への充電を開始させる(ST103)。このとき、表示LED5は黄色点滅し、充電中であることを表示する。
【0025】
充電が完了すると(ST104:Yes)、主制御部11は、光量レベルを初期値(ここでは、0Ev(Exposure value))に設定する(ST105)。このとき、表示LED5は緑色点滅し、光量レベルが初期値であることを表示する。
【0026】
その後、使用者によりメインスイッチ4が短押しされると(ST106:Yes)、光量レベルが一段階変更される(ST107)。この光量レベルは、例えば、図6に示すように、メインスイッチが短押しされる毎に、0Ev(初期値)→−0.5Ev→−1.0Ev→+0.5Ev→+1.0Ev→0Evと順次変更させるように設定することができる。
【0027】
また、このとき、表示LED5の表示を、緑色点灯→青色点滅→青色点灯→赤色点滅→赤色点灯→緑色点灯と変化させることができる。これにより、液晶による数値表示等を必要とせずに、単一の表示LED5により、光量のレベルの表示を実現することが可能となる。
【0028】
その後、主制御部11は発光動作が完了したか否かを判定し(ST108)、発光動作が完了した場合、再びST103に戻って充電を開始する。また、ST106において、メインスイッチ4が全く操作されないか、或いは短押しの条件(0.3秒未満)を満たさない場合、上記と同様に発光動作が完了したか否かが判定される(ST108)。
【0029】
上記処理において、ST102の電源オン後、使用者によりメインスイッチ4が長押しされた場合、全ての処理は中止され、図5に示す電源オフの処理が実行される。
【0030】
図5に示すように、メインスイッチ4が長押しされると(ST201:Yes)、主制御部11は、使用者が電源オフの操作を行ったと認識する。そこで、主制御部11は、表示LED5を消灯させ(ST202)、電源オフを実行する(ST203)。
【0031】
なお、メインスイッチ4が一定時間操作されない場合、ST201で長押しされた場合と同様の処理を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るストロボ装置の正面図
【図2】本発明に係るストロボ装置の背面図
【図3】ストロボ装置の構成を示すブロック図
【図4】ストロボ装置の発光動作の流れを示すフロー図
【図5】ストロボ装置の発光動作の流れを示すフロー図
【図6】光量レベルの変更に関する説明図
【符号の説明】
【0033】
1 ストロボ装置
3 発光部
4 メインスイッチ(操作ボタン)
5 表示LED(表示ランプ)
11 主制御部
13 キセノン管
14 発光回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真撮影用のストロボ装置であって、
電源をオンオフするための操作ボタンを備え、
電源オンの後、前記操作ボタンによって調光の設定を行うことを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
前記調光の設定は、前記操作ボタンの押下回数に応じて光量のレベルを段階的に変更することで実行されることを特徴とする請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項3】
前記操作ボタンの押下時間の長さにより、前記電源のオンオフ操作と前記調光の設定操作とを識別することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のストロボ装置。
【請求項4】
前記光量のレベルを表示する表示ランプを更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のストロボ装置。
【請求項5】
前記表示ランプは、多色LEDであり、前記光量のレベルに応じて異なる色を発光することを特徴とする請求項4に記載のストロボ装置。
【請求項6】
前記表示ランプは、前記光量のレベルに応じて点灯または点滅を行うことを特徴とする請求項4に記載のストロボ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−310063(P2008−310063A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158110(P2007−158110)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(506075344)日清工業有限公司 (8)
【Fターム(参考)】