説明

ストローク再生装置及びプログラム

【課題】複数のユーザの手書きストロークを比較できるよう再生することができるストローク再生装置を提供する。
【解決手段】手書きストロークを再生して表示するストローク再生装置は、電子ペン01及び電子ペン02の記入内容を同時に表示するように切り替えた場合の描画アプリの表示形態を示している。閲覧者が、「pen01」のユーザ別表示ボタン503Aが選択されている状態で、さらに「pen02」のユーザ別表示ボタン503Bを選択すると、処理手段は、ユーザ別表示ボタン503A及び503Bを両方とも選択状態にする。処理手段は、ペンID「pen01」のストロークを描画したストローク表示領域501Aの画面上の表示位置をずらすと共に、ストローク表示領域501Bに、ペンID「pen02」のストロークを1度に描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンから情報を受信して処理するストローク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto 社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙とともに使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。ユーザが専用紙上にアノトペンで文字等を書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、ユーザが書き込んだ文字、画像などの記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献2には、通信教育において、受講者ユニット(パーソナル・コンピュータ)が受信した問題の受講者による解答プロセスを動画ファイルとして記録し、この動画ファイルをネットワークを介して指導者ユニット(パーソナル・コンピュータ)に送信し、指導者が再生することができる通信教育システムが記載されており、ディスプレイに受講者の書き込み状況を可視化したグラフを表示し、これを用いて書き込みがある時間帯だけを再生する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2004−145247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、複数のユーザの手書き内容を比較できるように再生する装置がなかった。そこで、本発明は、複数のユーザの手書きストロークを比較できるよう再生することができるストローク再生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点では、手書きストロークを表示手段に再生して表示するストローク再生装置は、複数のユーザの手書きストロークをユーザ毎に並べて前記表示手段に再生させる処理手段を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成により、処理手段は、複数のユーザの手書きストロークをユーザ毎に並べて表示手段に再生させる。そのため、複数のユーザの手書きストロークを比較することができる。
【0008】
本発明の他の観点では、手書きストロークを表示手段に再生して表示するストローク再生装置は、複数のユーザの手書きストロークに関する情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段から上記情報を読み出して、複数のユーザの手書きストロークをユーザ毎に並べて前記表示手段に再生させる処理手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
この構成により、処理手段は、記憶手段から、複数のユーザの手書きストロークに関する情報を読み出して、複数のユーザの手書きストロークをユーザ毎に並べて表示手段に再生させる。そのため、複数のユーザの手書きストロークを比較することができる。
【0010】
また、上記ストローク再生装置において、前記処理手段は、操作に応じて、ストローク単位で再生表示時点を巻き戻し、又は進めるよう構成するとよい。
【0011】
また、上記ストローク再生装置において、前記処理手段は、手書きストローク数と、再生中における再生開始時点からの再生表示済みストローク数とを前記表示手段に表示させるよう構成するとよい。
【0012】
また、上記ストローク再生装置において、前記処理手段は、前記表示手段に、ユーザを選択するためのユーザ別表示ボタンを表示させ、操作により選択されたユーザ別表示ボタンに対応するユーザの手書きストロークを前記表示手段に再生させるよう構成するとよい。
【0013】
本発明に係るプログラムは、上記ストローク再生装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする。このプログラムをコンピュータにインストールすることにより、本発明に係るストローク再生装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のユーザの手書きストロークを比較できるよう再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるストローク再生システムのシステム構成図である。
【図2】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
【図3】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図4】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図5】ストローク再生装置の機能ブロック図である。
【図6】電子ペン1Aの記入内容を描画アプリにより表示した例である。
【図7】再生コントローラの例である。
【図8】指定範囲設定画面の例である。
【図9】電子ペン1Bの記入内容を描画アプリにより表示した例である。
【図10】電子ペン1A及び電子ペン1Bの記入内容を同時に表示した描画アプリの例である。
【図11】電子ペン1Aの記入内容を再生している描画アプリのある時点での表示例である。
【図12】電子ペン1Aの記入内容に指定範囲505Aが指定された場合の描画アプリの例である。
【図13】指定範囲505Aが指定され、指定範囲505Aの再生設定が変更された状態で、電子ペン1Aの記入内容を再生している描画アプリのある時点での表示例である。
【図14】指定範囲505A及び505Bが指定され、指定範囲505A及び505Bの再生設定が変更された状態で、電子ペン1A及び電子ペン1Bの記入内容を再生している描画アプリのある時点での表示例である。
【図15】第1実施形態におけるストローク再生システムによる処理フローである。
【図16】第2実施形態におけるストローク再生システムによる処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0017】
<第1実施形態>
[ストローク再生システムのシステム構成]
図1に示すように、本第1実施形態におけるストローク再生システム10は、解答用紙4と、ユーザが使用する電子ペン1と、電子ペン1から記入情報等を受信して処理するストローク再生装置2とから構成される。また、ストローク再生装置2のディスプレイ(表示手段)の画像をプロジェクター3がスクリーンに映し出すこととしてもよい。
【0018】
[解答用紙]
まず、解答用紙4について説明する。解答用紙4A,4B(4)には、その略全面に後述するドットパターン(コード化パターン)が印刷され、その上に、所属(クラス)や名前を記入する欄、問題、解答欄が印刷されている。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷され、問題や記入欄などは、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。
【0019】
[ドットパターン]
続いて、解答用紙4に印刷されたドットパターン(コード化パターン)について説明する。図2は、解答用紙4に印刷されたドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図2に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、解答用紙4上の位置座標が決定されるよう構成されている。
【0020】
図3(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図3(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、解答用紙4上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンが解答用紙4上のどの位置にあるのか)及びドットパターンアドレス(コード化パターンアドレス)を保持している。図3(b)は、図3(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0021】
[電子ペン]
次に電子ペン1について説明する。図4に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、インクカートリッジ104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。インクカートリッジ104の先端は、ペン先部103となっており、ユーザは、電子ペン1のペン先部103を解答用紙4に当接させて、所属(クラス)や氏名を記入したり、設問の解答を解答欄に記入したりする。
【0022】
バッテリー112は電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1により解答用紙4に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0023】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが電子ペン1で解答用紙4に文字などを書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。
【0024】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、解答用紙4上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103が解答用紙4に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。したがって、解答用紙4の問題や解答欄を印刷したインクは、赤外域に吸収性を持たないため、プロセッサ108は、ドットパターンを認識することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図3(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。
【0025】
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)の解答用紙4上におけるX,Y座標(単に「座標データ」とも呼ぶ)と解答用紙4に固有のドットパターンアドレス(コード化パターンアドレス)とを連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図3(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図3(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データ及びドットパターンアドレスを演算する。そしてプロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ、ドットパターンアドレス及びX,Y座標データとを関連付ける。なお、解答用紙4における6×6のドットパターンは、解答用紙4内で重複することはないため、ユーザが電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置が解答用紙4のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0026】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンID(電子ペン識別情報)と、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、ドットパターンアドレスと、X,Y座標データとを関連付けて、記入情報としてストローク再生装置2へ送信する。通信ユニット111によるストローク再生装置2への送信は、Bluetooth(登録商標)の無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。
【0027】
[ストローク再生装置]
次に、ストローク再生装置2について説明する。ストローク再生装置2は、ハードウェアとして、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、ディスプレイ、マウスやキーボード等で構成される、パーソナルコンピュータ等で構成される。図5は、ストローク再生装置2の機能ブロック図である。ストローク再生装置2は、機能的には、マウスやキーボードといった入力手段21、受信手段22、送信手段23、表示手段24、記憶手段25及び処理手段26を備える。そして、ストローク再生装置2は、電子ペン1から受信した記入情報に基づいて所定の処理を行う。
【0028】
受信手段22は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1から記入情報を受信し、処理手段26に伝送する。送信手段23は、処理手段26の指示による映像信号をプロジェクター3に送信する。プロジェクター3へのデータ送信方式は、有線式であっても無線式であってもよい。なお、プロジェクター3と接続しない場合、送信手段23はなくてもよい。表示手段24は、ディスプレイ等によって構成され、処理手段26によって指示された内容を表示する。
【0029】
記憶手段25は、ROMやRAMといったメモリによって構成される。記憶手段25は、処理手段26の処理命令により、電子ペン1から受信した記入情報をペンID毎に記憶する。また、記憶手段25は、予め、解答用紙4の絵柄の画像情報と座標領域とを対応付けた情報、及び後述する描画アプリ5のプログラムを記憶している。さらに、記憶手段25は、後述するストローク再生に関する通常の再生設定の設定情報及び指定範囲505のストローク再生に関する設定情報を記憶する。
【0030】
処理手段26は、CPU等のプロセッサによって構成され、受信手段22によって電子ペン1から受信した記入情報に基づいて、ストロークを再生して表示手段24に対して表示させたり、表示手段24に表示させる画像と同様の画像をプロジェクター3に投影させるための映像信号を、送信手段23に対してプロジェクター3に送信させたりなどの所定の処理を実行する。具体的に処理手段26は、描画アプリ5を起動して表示手段24に表示させ、描画アプリ5上でストロークを再生する。プロジェクター3は、送信手段23から受信した映像信号に基づいて、表示手段24に表示された画像(映像)と同様の画像をスクリーンに映し出す。
【0031】
[描画アプリケーションによる画面表示]
続いて、ストローク再生装置2が電子ペン1から受信した記入情報に基づいて処理する描画アプリ5の表示形態について説明する。
【0032】
(表示形態1)
図6は、電子ペン1A(ペンID「pen01」)の記入内容を表示した描画アプリ5の表示形態を示している。ストローク再生装置2で記憶手段25に記入情報として記憶したユーザの手書きストロークは、処理手段26によって、解答用紙4の絵柄の画像情報と共に、描画アプリ5のストローク表示領域501上に描画される。描画するストロークが、拡大表示などでストローク表示領域501よりも大きくなる場合、処理手段26は、横スクロールバー及び縦スクロールバーを有効とし、利用者のマウス操作によってストローク表示領域501をスクロールして、ストローク全体を複数回に分けて表示できるようにしても良い。また、描画アプリ5には、画面右部のユーザ表示リスト502に、電子ペン1で解答用紙4に記入した全ユーザがユーザ別表示ボタン503として表示される。図6の表示例では、ペンID「pen01」の電子ペンを使用するユーザに対応するユーザ別表示ボタン503A及びペンID「pen02」の電子ペンを使用するユーザに対応するユーザ別表示ボタン503Bが表示されている。描画アプリ5には、さらに、画面右上部にアプリ終了ボタン504、画面下部に再生コントローラ6が表示される。再生コントローラ6は、ストロークを動画として再生表示する機能に関する実行ボタンを含むコントローラである。
【0033】
ここで、閲覧者がペンID「pen01」のユーザ別表示ボタン503Aを選択(マウスのクリック操作)すると、処理手段26は、ユーザ別表示ボタン503Aを選択状態にし、ユーザ別表示ボタン503Aの左側に「●」を表示する。このとき、選択されていないユーザ別表示ボタン503Bの左側には何も表示しない(図6では破線の「○」で表す)。図6の例ではボタンの選択状態を黒丸「●」、非選択状態を破線の「○」の記号で表示しているが、ボタン全体の色を変えたり、ボタンの表現を凹凸にしたりすることにより、選択/非選択の状態を示すようにしても良い。そして、処理手段26は、記憶手段25に記憶されているペンID「pen01」に対応するストローク情報を呼び出し、ストローク表示領域501Aに、ペンID「pen01」のストロークを表示する。閲覧者がユーザ表示リスト502に表示されたペンID「pen02」のユーザ別表示ボタン503Bを選択すると、処理手段26は、ストローク表示領域501の表示内容を、閲覧者が選択したユーザのストローク情報に切り替える(図9参照)。閲覧者がアプリ終了ボタン504を選択すると、処理手段26は、描画アプリ5を終了する。
【0034】
図7は、再生コントローラ6の例を示している。再生コントローラ6は、再生バー601、再生ポインタ602、再生ボタン603、停止ボタン604、頭出し移動ボタン605、1ストローク戻るボタン606、1ストローク進むボタン607、最後尾移動ボタン608、再生速度設定リスト609、ストローク数表示610及びオプション表示ボタン611で構成されている。次に、再生コントローラ6の各構成要素の機能について説明する。再生バー601は、再生の対象とするストローク数を数直線で示す。再生ポインタ602は、再生バー601上で、開始時点からの経過ストローク数の位置を示す。ドラッグにより移動可能であり、ストローク情報の表示時点を任意に指定できる。再生ボタン603は、再生表示を開始する。停止ボタン604は、再生表示を停止する。頭出し移動ボタン605は、再生表示時点を、開始時点まで巻き戻す。1ストローク戻るボタン606は、再生表示時点を、1ストローク前の時点まで巻き戻す。1ストローク進むボタン607は、再生表示時点を、1ストローク後の時点まで進める。最後尾移動ボタン608は、再生表示時点を、再生終了時点まで進める。再生速度設定リスト609は、プルダウンメニュー方式になっており、初期設定の再生速度を1〜5の5段階(1で最も遅い速度、3で実際の記入速度、5で最も速い速度で再生する)で変更する。再生速度設定リスト609で設定された再生速度は、通常の再生設定の再生速度として記憶手段25に記憶される。ストローク数表示610は、再生開始時点からの経過ストローク数及び再生の対象とするストローク情報の総数を表示する。オプション表示ボタン611は、指定範囲の再生設定画面(ウィンドウ)7をポップアップ表示する。
【0035】
なお、閲覧者が指定範囲を指定していない状態で、再生ボタン603を選択すると、処理手段26は、閲覧者が選択したユーザ(ペンID)のストロークをストローク表示領域501に再生表示させるが、このとき、再生速度設定リスト609で設定された再生速度と、予め設定されている再生ストローク色及び再生ストロークサイズとを通常の再生設定として再生する。
【0036】
図8は、指定範囲の再生設定画面7の例を示している。指定範囲の再生設定画面7は、指定範囲の再生速度設定リスト701、指定範囲の再生ストローク色設定リスト702、指定範囲の再生ストロークサイズ設定リスト703、確定ボタン704及びキャンセルボタン705で構成されている。次に、指定範囲の再生設定画面7の各構成要素の機能について説明する。指定範囲の再生速度設定リスト701は、プルダウンメニュー方式になっており、指定範囲の再生速度を1〜5の5段階で変更する(1で最も遅い速度、3で実際の記入速度、5で最も速い速度で再生する)。指定範囲の再生ストローク色設定リスト702は、プルダウンメニュー方式になっており、指定範囲の再生ストローク色を変更する(描画するストローク色を黒色、赤色、青色などに変更する)。指定範囲の再生ストロークサイズ設定リスト703は、プルダウンメニュー方式になっており、指定範囲の再生ストロークサイズ(pt)を変更する。確定ボタン704は、指定範囲の再生設定画面7の変更内容を確定して記憶手段25に記憶し、指定範囲の再生設定画面7を閉じる。キャンセルボタン705は、指定範囲の再生設定画面7の変更内容をキャンセルし、指定範囲の再生設定画面7を閉じる。
【0037】
(表示形態2)
図9は、図6の表示例から、電子ペン1B(ペンID「pen02」)の記入内容に表示内容を切り替えた場合の描画アプリ5の表示形態を示している。閲覧者がペンID「pen01」のユーザ別表示ボタン503Aを再度選択すると、処理手段26は、ユーザ別表示ボタン503Aを非選択状態にし、ユーザ別表示ボタン503Aの左側の「●」の表示を消して(破線の「○」で表す)、ストローク表示領域501Aに表示していた「pen01」のストロークを画面から消去する。次に、閲覧者がペンID「pen02」のユーザ別表示ボタン503Bを選択すると、処理手段26は、ユーザ別表示ボタン503Bを選択状態にし、ユーザ別表示ボタン503Bの左側に「●」を表示させる。そして、処理手段26は、記憶手段25に記憶されているペンID「pen02」に対応するストローク情報を呼び出し、ストローク表示領域501Bに、ペンID「pen02」のストロークを1度に描画する。また、処理手段26は、再生コントローラ6のストローク数表示610Bに、ペンID「pen02」のストロークの再生開始時点からの経過ストローク数及び再生の対象とするストローク情報の総数を表示させる。このときの経過ストローク数は総数と一致している。
【0038】
(表示形態3)
図10は、図6の表示例から、電子ペン1A(ペンID「pen01」)及び電子ペン1B(ペンID「pen02」)の記入内容を同時に表示するように切り替えた場合の描画アプリ5の表示形態を示している。閲覧者が、「pen01」のユーザ別表示ボタン503Aが選択されている状態で、さらに「pen02」のユーザ別表示ボタン503Bを選択すると、処理手段26は、ユーザ別表示ボタン503A及び503Bを両方とも選択状態にし、共に左側に「●」を表示させる。処理手段26は、ペンID「pen01」のストロークを描画したストローク表示領域501Aの画面上の表示位置をずらすと共に、ストローク表示領域501Bに、ペンID「pen02」のストロークを1度に描画する。処理手段26は、再生コントローラ6のストローク数表示610に、ペンID「pen01」のストロークとペンID「pen02」のストロークとを合計したストロークの再生開始時点からの経過ストローク数/再生の対象とするストローク情報の総数を表示させる。
【0039】
(表示形態4)
図11は、電子ペン1A(ペンID「pen01」)の記入内容を再生表示している描画アプリ5のある時点での表示形態を示している。図6に示したような、電子ペン1A(ペンID「pen01」)の記入内容を表示している状態から、閲覧者が再生コントローラ6の再生ボタン603を選択(マウスのクリック操作)すると、処理手段26は、ペンID「pen01」のストローク情報に対応付けられている時刻情報を参照して、ストロークを解答用紙4Aに記入された順にストローク表示領域501Aに再生表示する。処理手段26は、再生コントローラ6のストローク数表示610Aに、ペンID「pen01」のストロークの再生開始時点からの経過ストローク数「59」及び再生の対象とするストローク情報の総数「245」を表示する。即ち、ペンID「pen01」のストロークの再生対象とするストローク情報の総数は245であり、ストローク表示領域501Aには、59個目までのストロークが表示されている。このとき、再生ポインタ602は、再生バー601上で、59/245の位置にある。
【0040】
(表示形態5)
図12は、電子ペン1A(ペンID「pen01」)の記入内容に指定範囲505Aを指定し、再生速度等を設定する場合の描画アプリ5の表示形態を示している。閲覧者が、ペンID「pen01」のストロークが表示されているストローク表示領域501A上で、カーソルを移動させてドラッグ操作を行うことにより、任意に、指定範囲505Aを指定する。処理手段26は、指定範囲505Aに対応する座標情報を記憶手段25に記憶させると共に、指定範囲505Aを示す矩形を破線で表して表示手段24に表示させる。ここで、閲覧者が、オプション表示ボタン611を選択すると、処理手段26は、指定範囲の再生設定画面7をポップアップ表示させる。閲覧者は、指定範囲の再生設定画面7により、指定した指定範囲505Aの再生設定(再生速度、再生ストローク色及び再生ストロークサイズ)を変更することができる。具体的に、指定範囲の再生設定を、通常よりやや遅い速度「2」、「あか」色、太さ「14pt」と設定する(図8参照)。なお、指定範囲の再生設定は、指定範囲505Aを指定する前に行っても良い。
【0041】
(表示形態6)
図13は、指定範囲505Aが指定され、指定範囲505Aの再生設定が設定された電子ペン1A(pen01)の記入内容を再生表示している描画アプリ5のある時点での表示形態を示している。閲覧者が再生コントローラ6の再生ボタン603を選択することにより、処理手段26は、ストローク表示領域501Aに、ペンID「pen01」のストロークを記入された順に、通常の再生速度、再生ストローク色及び再生ストロークサイズで再生表示する。ストロークの再生が指定範囲505A内のストロークになると、処理手段26は、指定範囲の再生設定画面7で設定された再生速度、再生ストローク色及び再生ストロークサイズで対象となるストロークを再生させる。具体的に、処理手段26は、指定範囲のストロークを速度「2」、「あか」色及び太さ「14pt」で指定範囲505A内のストロークを再生させる。また、処理手段26は、再生コントローラ6のストローク数表示610Aに、ペンID「pen01」のストロークの再生開始時点からの経過ストローク数/再生の対象とするストローク情報の総数を表示させる。
【0042】
(表示形態7)
図14は、指定範囲505A及び505Bが指定され、指定範囲505A及び505Bの再生設定が変更された状態での、電子ペン1A(ペンID「pen01」)及び電子ペン1B(ペンID「pen02」)の記入内容を再生している描画アプリ5のある時点での表示形態を示している。閲覧者が、ペンID「pen01」のストロークが表示されているストローク表示領域501A上で、カーソルを移動させてドラッグ操作を行うことにより、任意に指定範囲505Aを指定すると、処理手段26は、指定範囲505Aに対応する座標情報を記憶手段25に記憶させると共に、指定範囲505Aを破線の矩形で表して表示手段24に表示させる。さらに、処理手段26は、ペンID「pen02」のストロークが表示されているストローク表示領域501B上の同じ範囲を、指定範囲505Bとして自動的に設定して、指定範囲505Bを破線の矩形で表して表示手段24に表示させる。または、閲覧者が新たに任意にドラッグ操作をすることによって指定範囲505Bを指定可能としても良い。閲覧者が再生コントローラ6の再生ボタン603を選択すると、処理手段26は、ストローク表示領域501Aに、ペンID「pen01」のストロークを、ストローク表示領域501Bに、ペンID「pen02」のストロークを、記入された順に通常の再生速度、再生ストローク色及び再生ストロークサイズで再生させる。処理手段26は、ストロークの再生が指定範囲505A内のストロークや505B内のストロークになると、閲覧者が設定した指定範囲の再生速度、再生ストローク色及び再生ストロークサイズで対象となるストロークを再生する。また、処理手段26は、再生コントローラ6のストローク数表示610に、ペンID「pen01」のストロークとペンID「pen02」のストロークとを合計したストロークの再生開始時点からの経過ストローク数、及び再生の対象とするストローク情報の総数を表示させる。
【0043】
[ストローク再生システムによる処理フロー]
次に、本第1実施形態のストローク再生システム10による再生表示の処理フローを、図15を参照して説明する。
【0044】
閲覧者が、再生ボタン603を選択すると、処理手段26は、閲覧者がドラッグ操作により指定範囲505を指定しているか否かを判定する(ステップS101)。処理手段26は、指定範囲505が指定されていないと判定した場合(ステップS101:No)、記憶手段25に記憶された通常の再生設定を読み込む(ステップS102)。次に、処理手段26は、解答用紙4に記入された時刻が早いストロークから順に、読み込んだ再生設定に基づいてストローク表示領域501にストロークを描画する(ステップS103)。ここで、処理手段26は、1個のストロークを描画する毎に次に描画対象とするストロークがあるか否かを判定する(ステップS104)。処理手段26は、次のストロークがあると判定した場合(ステップS104:Yes)、ステップS102に戻り、ステップS102〜S104を繰り返す。処理手段26は、次のストロークがないと判定した場合(ステップS104:No)、処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS101で、指定範囲505が指定されていると判定した場合(ステップS101:Yes)、処理手段26は、現在の描画対象とするストロークが指定範囲505内のストロークであるか否かを判定する(ステップS105)。処理手段26が、描画対象とするストロークが指定範囲505内のストロークであると判定した場合(ステップS105:Yes)、処理手段26は、記憶手段25に記憶された指定範囲505の再生設定を読み込み(ステップS106)、ストローク表示領域501にストロークを指定範囲の再生速度、再生ストローク色及び再生ストロークサイズとなるよう描画する(ステップS107)。一方、ステップS105で、指定範囲505内のストロークでないと判定した場合(ステップS105:No)、処理手段26は、記憶手段25に記憶された通常の再生設定を読み込み(ステップS108)、ストローク表示領域501にストロークを描画する(ステップS107)。そして、処理手段26は、次の描画対象とするストロークがあるか否かを判定し(ステップS109)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS109:Yes)、処理手段26は、ステップS105に戻り、ステップS105〜S109を繰り返す。処理手段26が、次のストロークがないと判定した場合(ステップS109:No)、処理手段26は、処理を終了する。なお、処理手段26は、1個のストロークを描画する毎に、再生コントローラ6のストローク数表示610のうち、ストロークの再生開始時点からの経過ストローク数を更新して表示する。このように、処理手段26は、ストローク表示領域501に電子ペン1のすべてのストロークを連続して描画することで再生表示する。
【0046】
(表示形態1)
次に、図6に示す表示形態1における再生表示の処理を、図15を参照して説明する。ペンID「pen01」のユーザ別表示ボタン503Aが選択されている状態で、閲覧者が再生ボタン603を選択(マウスのクリック操作)すると、処理手段26は、閲覧者がマウスのドラッグ操作により指定範囲505Aを指定しているか否かを判定する(ステップS101)。このとき、処理手段26は、閲覧者は指定範囲505Aを指定していないと判定し(ステップS101:No)、記憶手段25が記憶している通常の再生設定を読み込む(ステップS102)。処理手段26は、ペンID「pen01」で記入されたストロークを記入時刻順に、読み込んだ再生設定に基づいてストローク表示領域501Aに描画する(ステップS103)。そして、処理手段26は、1個のストロークを描画する毎に次のストロークがあるか否かを判定し(ステップS104)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS104:Yes)、処理手段26は、ステップS102に戻り、ステップS102〜S104を繰り返す。このルーチンを全てのストロークを描画するまで245回繰り返し、処理手段26が、次のストロークがないと判定した場合(ステップS104:No)、処理手段26は、処理を終了する。こうして、処理手段26は、ストローク表示領域501AにペンID「pen01」のすべてのストローク245個を連続して描画することで再生表示する。
【0047】
(表示形態2)
次に、図9に示す表示形態2における再生表示の処理を、図15を参照して説明する。ペンID「pen02」のユーザ別表示ボタン503Bが選択されている状態で、閲覧者が再生ボタン603を選択すると、処理手段26は、閲覧者がドラッグにより指定範囲505Bを指定しているか否かを判定する(ステップS101)。このとき、処理手段26は、閲覧者は指定範囲505Bを指定していないと判定し(ステップS101:No)、記憶手段25が記憶している通常の再生設定を読み込む(ステップS102)。処理手段26は、ペンID「pen02」で記入されたストロークをストローク表示領域501Bに描画する(ステップS103)。そして、処理手段26は、次のストロークがあるか否かを判定し(ステップS104)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS104:Yes)、処理手段26は、ステップS102に戻り、ステップS102〜S104を繰り返す。このルーチンを231回繰り返し、処理手段26が、次のストロークがないと判定した場合(ステップS104:No)、処理手段26は、処理を終了する。こうして、処理手段26は、ストローク表示領域501BにペンID「pen02」で記入されたすべてのストロークを描画する。
【0048】
(表示形態3)
次に、図10に示す表示形態3における再生表示の処理を、図15を参照して説明する。ユーザ別表示ボタン503A及びユーザ別表示ボタン503Bが両方選択されている状態で、閲覧者が再生ボタン603を選択すると、処理手段26は、閲覧者がドラッグにより指定範囲505A及び505Bを指定しているか否かを判定する(ステップS101)。このとき、処理手段26は、閲覧者は指定範囲505A及び505Bを指定していないと判定し(ステップS101:No)、記憶手段25が記憶している通常の再生設定を読み込む(ステップS102)。処理手段26は、ペンID「pen01」で記入されたストロークをストローク表示領域501Aに、ペンID「pen02」で記入されたストロークをストローク表示領域501Bに描画する(ステップS103)。そして、処理手段26は、次のストロークがあるか否かを判定し(ステップS104)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS104:Yes)、処理手段26は、ステップS102に戻り、ステップS102〜S104を繰り返す。このルーチンをペンID「pen01」で記入されたストロークについて245回、ペンID「pen02」で記入されたストロークについて231回繰り返し、処理手段26が、次のストロークがないと判定した場合(ステップS104:No)、処理手段26は、処理を終了する。こうして、処理手段26は、各ストローク表示領域501にペンID「pen01」及びペンID「pen02」で記入されたすべてのストロークを描画する。
【0049】
(表示形態4)
次に、図11に示す表示形態4における再生表示の処理を、図15を参照して説明する。ユーザ別表示ボタン503Aが選択されている状態で、閲覧者が再生ボタン603を選択すると、処理手段26は、閲覧者がドラッグにより指定範囲505Aを指定しているか否かを判定する(ステップS101)。このとき、処理手段26は、閲覧者は指定範囲505Aを指定していないと判定し(ステップS101:No)、記憶手段25が記憶している通常の再生設定を読み込む(ステップS102)。処理手段26は、ペンID「pen01」で記入されたストロークをストローク表示領域501Aに描画する(ステップS103)。そして、処理手段26は、次のストロークがあるか否かを判定し(ステップS104)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS104:Yes)、処理手段26は、ステップS102に戻り、ステップS102〜S104を繰り返す。図11は、このルーチンを59回繰り返した時点での描画アプリ5の表示形態を示している。
【0050】
(表示形態5)
図12に示す表示形態5では、閲覧者がストローク表示領域501Aでカーソルを移動させてドラッグ操作を行うことによって指定範囲505Aを指定すると、処理手段26は、指定範囲505Aに対応する座標情報を記憶手段25に記憶させると共に、指定範囲505Aを示す矩形を破線で表して表示手段24に表示させる。さらに、閲覧者がオプション表示ボタン611を選択すると、処理手段26は、指定範囲の再生設定画面7をポップアップ表示させる。そして、閲覧者が指定範囲505Aの再生設定(再生速度、再生ストローク色及び再生ストロークサイズ)を必要に応じて変更して確定ボタン704を選択すると、処理手段26は、その設定情報を指定範囲505A内の再生設定として記憶手段25に記憶させ、指定範囲の再生設定画面7を閉じる。
【0051】
(表示形態6)
次に、図13に示す表示形態6における再生表示の処理を、図15を参照して説明する。指定範囲505Aが指定されると共に指定範囲505Aの再生設定が設定されている状態で、閲覧者が再生ボタン603を選択すると、処理手段26は、閲覧者がドラッグにより指定範囲505Aを指定しているか否かを判定する(ステップS101)。このとき、処理手段26は、閲覧者は指定範囲505Aを指定していると判定し(ステップS101:Yes)、続いて、現在の描画対象とするストロークが指定範囲505A内のストロークであるか否かを判定する(ステップS105)。このとき、処理手段26は、指定範囲505A内のストロークが描画対象となるまでは現在のストロークは指定範囲505A内のストロークでないと判定し(ステップS105:No)、記憶手段25が記憶している通常の再生設定を読み込み(ステップS108)、ペンID「pen01」で記入された指定範囲505A外のストロークをストローク表示領域501Aに通常の再生設定で描画する(ステップS107)。そして、処理手段26は、次のストロークがあるか否かを判定し(ステップS109)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS109:Yes)、処理手段26は、ステップS105に戻り、ステップS105、S108、S107及びS109を繰り返す。
【0052】
処理手段26は、このルーチンを繰り返し、指定範囲505A内のストロークが描画対象になると、処理手段26は、現在のストロークが指定範囲505A内のストロークであると判定し(ステップS105:Yes)、記憶手段25が記憶している指定範囲505Aの再生設定を読み込み(ステップS106)、ペンID「pen01」で記入された指定範囲505A内のストロークをストローク表示領域501Aに指定範囲505Aの再生設定で描画する(ステップS107)。そして、処理手段26は、次のストロークがあるか否かを判定し(ステップS109)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS109:Yes)、処理手段26は、ステップS105に戻り、ステップS105〜S107及びS109を繰り返す。処理手段26は、このルーチンを繰り返し、指定範囲505A外のストロークが描画対象になると、再び、現在のストロークが指定範囲505A内のストロークでないと判定し(ステップS105:No)、ステップS105、S108、S107及びS109を繰り返す。図13は、これらのルーチンを59回繰り返した時点での描画アプリ5の表示形態を示している。
【0053】
この後、処理手段26が再生表示の処理を進めて、次のストロークがないと判定した場合(ステップS109:No)、処理手段26は、処理を終了する。こうして、処理手段26は、ストローク表示領域501AにペンID「pen01」で記入されたすべてのストロークについて、指定範囲505A内外のストロークをそれぞれの再生速度で描画する。
【0054】
(表示形態7)
次に、図14に示す表示形態7における再生表示の処理を、図15を参照して説明する。指定範囲505A及び505Bが指定されると共に、指定範囲505A及び505Bの再生設定が設定された状態で、閲覧者が再生ボタン603を選択すると、処理手段26は、図15に示す処理フローに沿って、各ストローク表示領域501A,501Bへの再生表示ごと別々に処理する。すなわち、処理手段26は、閲覧者がドラッグにより指定範囲505A及び505Bを指定しているか否かを各ストローク表示領域501A,501Bについて各別に判定する(ステップS101)。このとき、処理手段26は、閲覧者は指定範囲505A及び505Bを指定していると判定し(ステップS101:Yes)、各ストローク表示領域501A,501Bについて各別に、現在のストロークが指定範囲505A内ないし指定範囲505B内のストロークであるか否かを判定する(ステップS105)。このとき、処理手段26は、指定範囲505A内のストロークないしは指定範囲505B内のストロークが描画対象となるまでは、現在のストロークは指定範囲505Aないし505Bの内側のストロークでないと判定し(ステップS105:No)、記憶手段25が記憶している通常の再生設定を読み込む(ステップS108)。そして、処理手段26は、現在の描画対象とするストロークがペンID「pen01」で記入された指定範囲505A外のストロークであればストローク表示領域501Aに、ペンID「pen02」で記入された指定範囲505B外のストロークであればストローク表示領域501Bに、通常の再生設定で描画する(ステップS107)。そして、処理手段26は、次のストロークがあるか否かを判定し(ステップS109)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS109:Yes)、処理手段26は、ステップS105に戻り、ステップS105、S108、S107及びS109を繰り返す。
【0055】
処理手段26は、このルーチンを繰り返し、指定範囲505A内のストロークないしは指定範囲505B内のストロークが描画対象になると、処理手段26は、現在のストロークが指定範囲505Aないし505Bの内側のストロークであると判定し(ステップS105:Yes)、記憶手段25が記憶している指定範囲505Aないし505Bの再生設定を読み込む(ステップS106)。そして、処理手段26は、現在の描画対象とするストロークがペンID「pen01」で記入された指定範囲505A内のストロークであればストローク表示領域501Aに、ペンID「pen02」で記入された指定範囲505B内のストロークであればストローク表示領域501Bに、指定範囲505A及び505Bの再生設定で描画する(ステップS107)。そして、処理手段26は、次のストロークがあるか否かを判定し(ステップS109)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS109:Yes)、処理手段26は、ステップS105に戻り、ステップS105〜S107及びS109を繰り返す。
【0056】
処理手段26は、このルーチンを繰り返し、指定範囲505A内のストロークないし指定範囲505B内のストロークが描画対象でなくなると、再び、現在のストロークが指定範囲505A又は505Bの内側のストロークでないと判定し(ステップS105:No)、ステップS105、S108、S107及びS109を繰り返す。図14は、これらのルーチンを各ストローク表示領域501A,501Bについて、合わせて113回繰り返した時点での描画アプリ5の表示形態を示している。
【0057】
この後、処理手段26が処理を進めて、次のストロークがないと判定した場合(ステップS109:No)、処理手段26は、処理を終了する。こうして、処理手段26は、ペンID「pen01」で記入されたすべてのストロークについて、ストローク表示領域501Aに指定範囲505A内外のストロークをそれぞれの再生速度で描画し、同様に、処理手段26は、ペンID「pen02」で記入されたすべてのストロークについて、ストローク表示領域501Bに指定範囲505B内外のストロークをそれぞれの再生速度で描画する。
【0058】
[本第1実施形態のストローク再生システムによる作用効果]
このストローク再生システム10によれば、閲覧者は、ユーザが電子ペン1で解答用紙4に記入した記入内容を手書きストロークとして再生表示することができ、再生途中で再生速度の設定変更をすることなく、自動的に、任意に指定する範囲に記入されたストロークの再生速度を変更して再生することができる。例えば、閲覧者は、解答用紙4のうち特に注意して確認したい範囲を予め指定して、その範囲にユーザが電子ペン1で記入した内容のストローク再生速度を、通常の再生速度より遅くなるように設定することで、ストロークの再生中に再生速度を変更する操作をしなくても、自動的に指定範囲のストローク再生速度が変更されるため、ストローク再生装置2の操作に気を取られることなく、注意して確認したい範囲をじっくりと分析することができ、利便性が向上する。また、確認したい範囲の内外の再生速度をそれぞれ設定することができるので、迅速に全体の記入過程を追いながら、特に確認したい範囲のみをゆっくりと再生することなどが可能となり、作業効率が向上する。また、このストローク再生システム10によれば、閲覧者は、ユーザの記入過程が分かるので、漢字などの筆順指導をすることもできる。また、予め指定した範囲のストロークについて、表示する色や太さも設定することができるため、閲覧者とって、ストロークを認識しやすくことができる。
【0059】
<第2実施形態>
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態と第1実施形態とが同様の部分については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。第2実施形態と第1実施形態とはストローク再生システム10による処理フローのみが異なる。
【0060】
本第2実施形態のストローク再生システム10による再生表示の処理フローを、図16を参照して説明する。
【0061】
閲覧者が、再生ボタン603を選択すると、処理手段26は、通常の再生設定を読み込む(ステップS201)。続いて処理手段26は、閲覧者がマウスのドラッグ操作により指定範囲505を指定しているか否かを判定する(ステップS202)。処理手段26は、指定範囲505が指定されていないと判定した場合(ステップS202:No)、解答用紙4に記入された時刻が早いストロークから順に、通常の再生設定でストローク表示領域501にストロークを描画する(ステップS203)。ここで、処理手段26は、1個のストロークを描画する毎に次に描画対象とするストロークがあるか否かを判定し(ステップS204)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS204:Yes)、処理手段26は、ステップS203に戻り、ステップS203及びS204を繰り返す。次のストロークがないと判定した場合(ステップS204:No)、処理手段26は、処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS202で、指定範囲505が指定されていると判定した場合(ステップS202:Yes)、処理手段26は、指定範囲505の再生設定を読み込む(ステップS205)。続いて処理手段26は、現在の描画対象とするストロークが指定範囲505内のストロークであるか否かを判定する(ステップS206)。指定範囲505内のストロークであると判定した場合(ステップS206:Yes)、処理手段26は、指定範囲505の再生設定でストローク表示領域501にストロークを描画し(ステップS207)、指定範囲505内のストロークでないと判定した場合(ステップS206:No)、処理手段26は、通常の再生設定でストローク表示領域501にストロークを描画する(ステップS208)。そしてステップS207ないしS208の次に、処理手段26は、次のストロークがあるか否かを判定し(ステップS209)、次のストロークがあると判定した場合(ステップS209:Yes)、ステップS206に戻り、ステップS206〜S209を繰り返す。処理手段26は、ステップS209で次のストロークがないと判定した場合(ステップS209:No)、処理を終了する。
【0063】
[本第2実施形態のストローク再生システムによる作用効果]
このストローク再生システム10によれば、処理手段26が、はじめに通常の再生設定を読み込み、指定範囲505が指定されている場合はさらに指定範囲505の再生設定を読み込むように構成することで、1個のストロークの描画ごとに通常の又は指定範囲505の再生設定を読み込む必要がないので、処理手段26や記憶手段25の処理負荷を軽くすることが可能である。
【0064】
<変形例>
上記の実施形態のストローク再生システム10による処理フローでは、指定範囲505を指定あるいは変更したり、指定範囲505の再生設定を設定したりすることは、予め再生表示する前に行うことを前提としていたが、本発明の適用はこれに限られない。閲覧者がストローク再生システム10による処理フローの途中で、ドラッグ操作により指定範囲505を指定したり、又は、オプション表示ボタン611を選択して指定範囲の再生設定画面7をポップアップ表示させ、指定範囲505の再生設定を変更したり、できるようにしてもよい。この場合、例えば、閲覧者によってオプション表示ボタン611が選択されると、処理手段26は、ストロークの再生表示を一旦停止し、指定範囲の再生設定画面7を表示させる。閲覧者が指定範囲505の再生設定を変更し、確定ボタン704を選択すると、処理手段26は、指定範囲505の再生設定を記憶手段25に記憶すると共に、指定範囲の再生設定画面7の表示を消す。そして、処理手段26は、ストロークの再生表示を再開する。このとき、処理手段26は、図15に示す第1実施形態のストローク再生システム10の処理フローではステップS101又はS105に戻り、図16に示す第2実施形態のストローク再生システム10の処理フローではステップS202又はS205に戻り、ストロークの再生を再開することとすればよい。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B(1)…電子ペン
2…ストローク再生装置
3…プロジェクター
4A,4B(4)…解答用紙
5…描画アプリ
501A,501B(501)…ストローク表示領域
502…ユーザ表示リスト
503A,503B(503)…ユーザ別表示ボタン
505A,505B(505)…指定範囲
6…再生コントローラ
603…再生ボタン
609…再生速度設定リスト
610…ストローク数表示
611…オプション表示ボタン
7…指定範囲の再生設定画面
701…指定範囲の再生速度設定リスト
702…指定範囲の再生ストローク色設定リスト
703…指定範囲の再生ストロークサイズ設定リスト
704…確定ボタン
21…入力手段
22…受信手段
23…送信手段
24…表示手段
25…記憶手段
26…処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書きストロークを表示手段に再生して表示するストローク再生装置であって、
複数のユーザの手書きストロークをユーザ毎に並べて前記表示手段に再生させる処理手段を備えることを特徴とするストローク再生装置。
【請求項2】
手書きストロークを表示手段に再生して表示するストローク再生装置であって、
複数のユーザの手書きストロークに関する情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から前記情報を読み出して、複数のユーザの手書きストロークをユーザ毎に並べて前記表示手段に再生させる処理手段と
を備えることを特徴とするストローク再生装置。
【請求項3】
前記処理手段は、操作に応じて、ストローク単位で再生表示時点を巻き戻し、又は進めることを特徴とする請求項1又は2に記載のストローク再生装置。
【請求項4】
前記処理手段は、手書きストローク数と、再生中における再生開始時点からの再生表示済みストローク数とを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のストローク再生装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記表示手段に、ユーザを選択するためのユーザ別表示ボタンを表示させ、操作により選択されたユーザ別表示ボタンに対応するユーザの手書きストロークを前記表示手段に再生させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のストローク再生装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のストローク再生装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−80477(P2013−80477A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232728(P2012−232728)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2009−36544(P2009−36544)の分割
【原出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】