説明

ストーカ式燃焼装置

【課題】ストーカユニットの火格子の熱膨張を効果的に吸収し、安定して処理物を燃焼することができるストーカ式燃焼装置を提供する。
【解決手段】ストーカ式燃焼装置は、炉の幅方向に並べて配置される複数のストーカユニット2と、隣接するストーカユニット2の間に配置された境界ブロック10とを備え、投入された処理物Wを燃焼する。境界ブロック10は、ストーカユニット2の火格子4,5の端面に対向するサイドプレート11と、サイドプレート11の上部に配置される上部プレート12と、サイドプレート11を火格子4,5の端面に弾性的に押圧する押圧部13とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストーカ式燃焼装置に係り、特に炉の幅方向に並べて配置される複数のストーカユニットと、これらのストーカユニットの間に配置された境界ブロックとを備えたストーカ式燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、炉の幅方向に複数のストーカユニットを並べて配置し、隣接するストーカユニットの間に境界ブロックを配置した横列往復動ストーカ式燃焼装置が知られている。このような横列往復動ストーカ式燃焼装置においては、ストーカユニットの火格子の熱膨張を吸収して、火格子と炉壁との間および火格子と境界ブロックとの間に隙間が生じないようにする必要がある。
【0003】
固定式の境界ブロックが用いられる場合には、境界ブロックと火格子との間に冷間初期隙間を確保することにより、その両側に位置する火格子の熱膨張を吸収することが多い。すなわち、固定式境界ブロックを用いる場合には、焼却炉が停止している冷間時に火格子と境界ブロックとの間に初期隙間が形成されるように境界ブロックを配置し、この初期隙間により火格子の熱膨張を吸収するようにしている。
【0004】
しかしながら、このような初期隙間を形成した場合、焼却炉の立ち上げ時にこの初期隙間に異物が噛み込み、立ち上げ完了後も隙間が保持されてしまうことがある。このような場合には、燃焼空気が部分的に吹き出してしまい、燃焼が不均一となってしまう。また、上記初期隙間に異物が噛み込むと、焼却炉の運転時に想定した熱膨張吸収量を確保することができず、火格子が拘束されて動作不良が生じたり、火格子と境界ブロックとの接触面に異常摩耗が生じたりする。
【0005】
また、炉内の領域によって火格子の熱膨張量が異なる場合には、領域ごとの熱膨張量に応じて冷間初期隙間の大きさを変更する必要がある。このため、上述した固定式境界ブロックを用いた場合には、領域ごとに異なる幅の火格子を用意する必要がある。また、熱膨張を吸収する機能を有する境界ブロックを用いた場合であっても、領域ごとに熱膨張吸収量を調整できない構造であれば、火格子の熱膨張量の大きいところでは境界ブロックのサイドプレートの摩耗が激しくなり、熱膨張量の小さいところではサイドプレートと火格子との間に隙間が生じる。このため、燃焼空気の部分吹き出しにより燃焼が不均一となってしまう。
【0006】
また、上述した境界ブロックとこれを支持する支持梁は、隣接するストーカユニットの間に配置されるため、これらの設置場所は極めて狭い限られたスペースになる。これは、境界ブロックがごみを移送する機能を有していないので、境界ブロックに広い面積(または幅)をとると、ごみが境界ブロックの範囲で滞留してしまうため、境界ブロックの面積(または幅)をできる限り狭くする必要があるからである。したがって、境界ブロックをコンパクトな構造にしないと、これに冷却装置を付加することが難しい。また、境界ブロックの支持梁も炉内の伝熱により高温となるため、支持梁の強度保持と熱膨張による他の部品への熱応力発生の低減のために、これらを冷却する必要が生じる。したがって、コンパクトな構造でその内部を効果的に冷却できる境界ブロックが要望されている。
【0007】
また、境界ブロックは1次燃焼空気による冷却効果が少ない位置に設けられることから、高温に曝されやすく構成部品の高温腐食が短期間で進行し、部品交換を余儀なくされる。また、熱膨張を吸収する機能を有する境界ブロックの場合には、境界ブロックの内部も高温となるため、熱膨張を吸収する機能を長期間保持することが困難である。さらに、炉内の各領域によって温度が異なるため、境界ブロックを冷却する冷却空気の噴出量の分配を適切に行わないと冷却の過不足が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−173920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、隣接するストーカユニットの間に配置される境界ブロックを効果的に冷却し、長期間安定して処理物を燃焼することができるストーカ式燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、隣接するストーカユニットの間に配置される境界ブロックを効果的に冷却し、長期間安定して処理物を燃焼することができるストーカ式燃焼装置が提供される。このストーカ式燃焼装置は、炉の幅方向に並べて配置される複数のストーカユニットと、隣接する上記ストーカユニットの間に配置された境界ブロックとを備え、投入された処理物を燃焼する。上記境界ブロックは、上記ストーカユニットの火格子の端面に対向し上記処理物の搬送方向に沿って分割された、互いに対向するサイドプレートと、上記サイドプレートの上部に配置される上部壁と、上記サイドプレートと上記上部壁とで囲まれて配置され、上記対向するサイドプレートのうちの一方を上記火格子の端面に弾性的に押圧する押圧部とを備え、上記押圧部は、分割された上記一方のサイドプレートの1枚に対して少なくとも1つ設けられている。ストーカ式燃焼装置は、上記境界ブロックの内部に形成される冷却流路と、上記冷却流路に冷却用の空気を供給する空気供給流路と、上記冷却流路を流通した空気を外部に排出する空気排出流路とを備えている。
【0011】
本発明の一参考例によれば、隣接するストーカユニットの間に配置される境界ブロックを効果的に冷却し、長期間安定して処理物を燃焼することができる処理物の燃焼方法が提供される。この方法によれば、炉の幅方向に並べて配置される複数のストーカユニットと、隣接する上記ストーカユニットの間に配置された境界ブロックとを備えたストーカ式燃焼装置を用い、上記境界ブロックの内部に形成される冷却流路に冷却用の空気を供給して上記境界ブロックを冷却しつつ処理物を燃焼する。
【0012】
本発明の他の参考例によれば、ストーカユニットの火格子の熱膨張を効果的に吸収し、安定して処理物を燃焼することができるストーカ式燃焼装置が提供される。このストーカ式燃焼装置は、炉の幅方向に並べて配置される複数のストーカユニットと、隣接する上記ストーカユニットの間に配置された境界ブロックとを備え、投入された処理物を燃焼する。上記境界ブロックは、上記ストーカユニットの火格子の端面に対向する側壁と、上記側壁の上部に配置される上部壁と、上記側壁を上記火格子の端面に弾性的に押圧する押圧部とを備えている。
【0013】
本発明の他の参考例によれば、ストーカユニットの火格子の熱膨張を効果的に吸収し、安定して処理物を燃焼することができる処理物の燃焼方法が提供される。この方法によれば、炉の幅方向に並べて配置される複数のストーカユニットと、隣接する上記ストーカユニットの間に配置された境界ブロックとを備えたストーカ式燃焼装置を用い、上記ストーカユニットの火格子の端面に対向する上記境界ブロックの側壁を該火格子の端面に弾性的に押圧しつつ処理物を燃焼する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ストーカユニットの火格子の熱膨張を効果的に吸収し、安定して処理物を燃焼することができる。また、隣接するストーカユニットの間に配置される境界ブロックを効果的に冷却し、長期間安定して処理物を燃焼することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態におけるストーカ式燃焼装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1のストーカ式燃焼装置における境界ブロックの一部を示す斜視図である。
【図4】図3の境界ブロックを示す垂直断面図である。
【図5】図3の境界ブロックを示す水平断面図である。
【図6】図1のストーカ式燃焼装置における冷却空気の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るストーカ式燃焼装置の実施形態について図1から図6を参照して詳細に説明する。なお、図1から図6において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態におけるストーカ式燃焼装置(焼却炉)の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、ストーカ式燃焼装置(焼却炉)は、焼却炉の両側に設けられた炉側壁1(図1では片方のみを示す)と、これらの炉側壁1の間に幅方向に沿って並行に配置される3つのストーカユニット2とを備えている。
【0018】
図2は、図1の部分拡大図である。図2に示すように、それぞれのストーカユニット2は、ストーカフレーム3に固定されており、複数の可動火格子4と固定火格子5を備えている。これらの可動火格子4および固定火格子5は、投入される処理物(ごみ)Wの流れ方向に沿って交互に階段状に配列されている。
【0019】
可動火格子4および固定火格子5の下方には油圧シリンダ6が設置されており、この油圧シリンダ6が動作することによって、可動火格子4がごみWの流れ方向に往復動するようになっている。このような可動火格子4の往復動に伴って、ごみホッパ(図示せず)から投入されたごみWを攪拌しつつ順次下流に送りながら炉内で燃焼させるようになっている。
【0020】
図1に示すように、ストーカユニット2と炉側壁1との間には、可動火格子4および固定火格子5の熱膨張を吸収可能なシールブロック7が設置されている。このようなシールブロック7の構造としては、例えば特開2001−173920号公報に開示された構造を用いることができる。また、隣接するストーカユニット2の間には、可動火格子4および固定火格子5の熱膨張を吸収可能な境界ブロック10が設置されている。
【0021】
図3は図1のストーカ式燃焼装置における境界ブロック10の一部を示す斜視図、図4は図3の境界ブロック10を示す垂直断面図、図5は水平断面図である。図3に示すように、境界ブロック10は、ごみWの搬送方向に沿って分割された複数のブロックユニット100から構成されている。
【0022】
図3から図5に示すように、それぞれのブロックユニット100は、ストーカユニット2の火格子4,5の端面に対向する側壁としての2枚のサイドプレート11と、サイドプレート11の上部に配置される上部壁としての上部プレート12と、サイドプレート11をストーカユニット2の火格子4,5の端面に弾性的に押圧する押圧部13とを有している。境界ブロック10の下方には、補強プレート14が溶接固定された支持梁15が配置されており、境界ブロック10は補強プレート14を介して支持梁15に支持されている。なお、支持梁15はストーカフレーム3に固定されている(図2参照)。
【0023】
図4に示すように、サイドプレート11は、上端から内方に突出する上部突出部21と、下端から内方に突出する下部突出部22とを有している。上部プレート12の下部には、サイドプレート11の上部突出部21が嵌合する溝23が形成されている。このようにサイドプレート11の上部突出部21と上部プレート12の溝23とが嵌合しているため、上部プレート12は上方向に外れない構造となっている。なお、上部プレート12は、ストーカユニット2の長手方向(ごみWの搬送方向)にスライド自在に構成されており、上部プレート12自身の熱膨張を吸収できるようになっている。また、境界ブロック10は定期的に短期間で点検整備を行う必要があるが、ボルト等により固定する方法では点検整備に時間を要するため、本実施形態では、整備や点検のときには、下流側のブロックユニット100の上部プレート12から順次スライドさせることにより、これらを容易に取り外すことが可能になっている。
【0024】
図4および図5に示すように、サイドプレート11の下部突出部22には、炉の幅方向に延びる長孔31が形成されており、この長孔31には植込みボルト32が挿通される。図4に示すように、植込みボルト32は、支持梁15上の補強プレート14に取り付けられており、この植込みボルト32にナット33を嵌めることによりサイドプレート11が支持梁15に取り付けられる。ここで、ナット33は、サイドプレート11が長孔31を介して炉の幅方向にスライドできる程度に緩く締結される。これにより、サイドプレート11は、ストーカユニット2の火格子4,5の熱膨張に応じて容易に炉の幅方向にスライドするようになっている。
【0025】
図4に示すように、押圧部13は、サイドプレート11をストーカユニット2の火格子4,5の端面に押圧する押圧板41と、押圧板41を付勢する弾性体としてのコイルスプリング42と、コイルスプリング42を挿通させた管部43と、管部43が取り付けられた固定部材44と、コイルスプリング42の端部を支持する支持板45とを含んでいる。固定部材44は支持梁15に対して位置決め固定されている。このような構成により、コイルスプリング42を介してサイドプレート11がストーカユニット2の火格子4,5の端面に対して弾性的に押圧されるようになっている。
【0026】
また、図5に示すように、支持板45は、2本の調整ボルト46を介して固定部材44に取り付けられており、これらの調整ボルト46をスパナなどの工具で回転させることで支持板45と固定部材44との間の距離を調整できるようになっている。これにより、コイルスプリング42の付勢力を調整して火格子4,5に対するサイドプレート11の押圧力を調整することができるようになっている。
【0027】
このような構成により、焼却炉の停止時(冷間時)であっても、調整ボルト46により圧縮されたコイルスプリング42により、境界ブロック10のサイドプレート11がストーカユニット2の火格子4,5の端面に密着することになる。したがって、冷間時および炉の立ち上げ時に異物の噛み込みを防止して、吹き抜けのない均一で安定した燃焼空気の供給を実現することができ、ストーカ式燃焼装置における安定燃焼を実現することができる。また、ストーカユニット2の火格子4,5の熱膨張を確実に吸収できるので、熱膨張に伴う幅方向の熱応力による火格子4,5の動作の拘束や火格子4,5とサイドプレート11の異常摩耗という問題を解消して、長期に安定した運転を可能とし、摩耗部品の交換周期を延ばすことができる。
【0028】
1枚のサイドプレート11に対しては少なくとも1つ以上の押圧部13が設けられており、ブロックユニット100の2枚のサイドプレート11に対して合計で2つ以上の押圧部が設けられている。これらの押圧部はごみWの搬送方向に沿って交互に配置されている。それぞれの押圧部13における調整ボルト46の締め付け量を調整することによって、2枚のサイドプレート11に対して均一な押圧力を実現できるようになっている。さらに、押圧部の設置個数は、1枚のサイドプレート11に対して2つが好ましい。また、上述したように、境界ブロック10は複数のブロックユニット100から構成されているため、炉内を複数の領域(例えば乾燥領域・燃焼領域・後燃焼領域など)に分けて、それぞれの領域ごとにサイドプレート11の押圧力を調整することもできる。すなわち、炉内の各領域で火格子4,5の熱膨張量が異なるため、それぞれの領域ごとに火格子4,5の熱膨張量に見合うようにコイルスプリング42の付勢力を調整することで、サイドプレート11の異常摩耗とサイドプレート11と火格子4,5と間の隙間が生じることによる燃焼空気の部分噴吹き出しの問題を解決することができる。
【0029】
ここで、境界ブロック10は、上述したサイドプレート11の熱膨張吸収動作を吸収できる構造を有していないと、サイドプレート11の動作が拘束され、異常摩耗が発生するおそれがある。このため、本実施形態では、境界ブロック10のサイドプレート11の上部突出部21と上部プレート12との間に水平方向の隙間24を形成している。この隙間24は、サイドプレート11の熱膨張吸収量を考慮して設定されており、隙間24により上部プレート12がサイドプレート11の熱膨張吸収動作を拘束することがないようになっている。
【0030】
図4に示すように、境界ブロック10を支持する支持梁15の断面形状は中空角形になっており、支持梁15の内部には冷却用の空気を流通させる流路(空気供給流路)50が形成されている。また、図5に示すように、境界ブロック10の底部には、支持梁15内部の空気供給流路50に連通する複数の通気孔34が形成されている。境界ブロック10のサイドプレート11および上部プレート12により形成される空間は、空気供給流路50から通気孔34を通って供給される冷却用の空気が流通する冷却流路51となっている。通気孔34の寸法は、必要な冷却用空気の量に応じて設計される。なお、本実施形態では、境界ブロック10の底部から冷却空気を冷却流路51に導入しているが、これに限られず、例えば境界ブロック10の上部から冷却空気を冷却流路51に導入してもよい。
【0031】
図6は、ストーカ式燃焼装置における冷却空気の流れを示す模式図である。図6に示すように、ストーカ式燃焼装置は、上述した支持梁15内部の空気供給流路50に接続された外部空気供給流路52と、外部空気供給流路52に冷却用の空気を送る送風機53と、空気供給流路50に供給される空気の量を調整する風量調整ダンパ54と、上述した境界ブロック10の内部に形成される冷却流路51を流通した空気が排出される空気排出流路55と、空気排出流路55に接続された外部空気排出流路56とを有している。
【0032】
冷却空気は、送風機53により吸い込まれ、風量調整ダンパ54により風量が調整された後、外部空気供給流路52を通って支持梁15内部の空気供給流路50に導入される。この空気供給流路50内の冷却空気は、それぞれのブロックユニット100の通気孔34から境界ブロック10の内部の冷却流路51に吐出される。この冷却空気は、境界ブロック10内部の冷却流路51を流れて境界ブロック10内部のコイルスプリング42や管部43などを冷却しながら、空気排出流路55に導かれる。空気排出流路55に導入された空気は、外部空気排出流路56を通って例えば燃焼空気用の送風機(図示せず)の吸込側に導かれ、燃焼空気として使用される。
【0033】
上述したように、境界ブロック10のサイドプレート11の上部突出部21と上部プレート12との間には火格子4,5の熱膨張を吸収するために隙間24が形成されているが、このような隙間24があると、冷却流路51内の冷却空気が炉内に漏れて炉内の温度が低下することが考えられる。また、境界ブロック10はごみや焼却灰に接触する位置に設けられているため、ごみや焼却灰が境界ブロック10の内部に侵入し、サイドプレート11の熱膨張吸収動作を阻害し、通気孔34や冷却流路51を閉塞するといった重大な問題が発生することも考えられる。したがって、本実施形態では、図4に示すように、サイドプレート11の上部突出部21と上部プレート12との間の隙間24にシール部材25を配置し、境界ブロック10の冷却流路51を確実にシールすることで、冷却空気の炉内への漏れこみや焼却灰の境界ブロック10内への侵入を防止している。このため、サイドプレート11の熱膨張に対する動作を潤滑に行い、通気孔や冷却流路51の閉塞などを防止して、長期にわたり安定した機能を維持することができる。また、冷却空気を境界ブロック10の構成部品に確実に接触させて冷却効果を高め、境界ブロック10の構成部品の耐久性を高めることができる。
【0034】
ここで、境界ブロック10の冷却後の空気をそのまま炉内に供給するとすれば、炉内に空気が供給される場所が境界ブロック10の周囲に限られるため、1次燃焼空気として燃焼に寄与できる量が少なくなる。したがって、過剰空気として炉内を冷却するほか、ガス量を増加させるといった弊害をもたらす。このため、本実施形態では、冷却空気を境界ブロック10の冷却流路51から空気排出流路55を通って炉の外部へ導いて、境界ブロック10の内部から炉内へ漏れる空気を少なくしている。これにより、過剰空気による炉内の冷却やガス量の増加といった弊害を防止することができ、燃焼空気量の制御に影響を与えることなく、長期にわたり安定した燃焼を維持することができる。
【0035】
また、本実施形態では、支持梁15の内部を空気供給流路50として用いているため、ストーカ式燃焼装置内の限られたスペースを有効に活用することができ、また、支持梁15の冷却も併せて行える。さらに、境界ブロック10の内部の冷却流路51に冷却空気を供給しているため、境界ブロック10内のコイルスプリング42やその他の構成部品を確実に冷却することができる。また、温度の異なる炉内の複数の領域ごとに、該温度に応じて境界ブロック10の通気孔の寸法(径)を設定して冷却空気を適切に分配することで、境界ブロック10内のコイルスプリング42を効果的に冷却してその機能を長期間にわたって確保でき、また境界ブロック10の構成部品の耐久性を高めることができる。
【0036】
上述したように、本実施形態においては、弾性体としてのコイルスプリング42の押圧力により、境界ブロック10のサイドプレート11をストーカユニット2の火格子4,5の端面に弾性的に押圧しているため、火格子4,5の端面と境界ブロック10のサイドプレート11との間のシール性が向上し、上述した燃焼空気の部分吹き抜けや不燃物などの噛み込みを防止することができる。したがって、長期にわたって安定した燃焼空気の供給を行うことができる。また、火格子4,5の熱膨張を確実に吸収して、火格子4,5の熱膨張による駆動抵抗を減少することができる。したがって、駆動力の低減、火格子4,5の機械的安定性の向上、ストーカフレーム3の負荷の軽減、火格子4,5およびサイドプレート11の摩耗軽減を実現することができ、ストーカ式燃焼装置の耐用年数を格段に延ばすことが可能となる。
【0037】
また、境界ブロック10の内部の冷却流路51に冷却空気を流通させているので、境界ブロック10を確実に冷却することができる。また、サイドプレート11の上部突出部21と上部プレート12との間の隙間24にシール部材25を配置しているので、冷却空気の炉内への漏れこみを防止し、冷却空気を1次または2次空気として再利用(循環使用)することができる。したがって、従来のストーカ式燃焼装置に比べてより安定した燃焼制御ができ、部分的な高負荷燃焼と過加熱を避けて、火格子4,5およびサイドプレート11における高温腐食の進行を抑制することができる。
【0038】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
W ごみ(処理物)
1 炉側壁
2 ストーカユニット
4 可動火格子
5 固定火格子
10 境界ブロック
11 サイドプレート
12 上部プレート
13 押圧部
14 補強プレート
15 支持梁
21 上部突出部
22 下部突出部
23 溝
24 隙間
25 シール部材
31 長孔
32 植込みボルト
33 ナット
34 通気孔
41 押圧板
42 コイルスプリング
43 管部
44 固定部材
45 支持板
46 調整ボルト
50 空気供給流路
51 冷却流路
52 外部空気供給流路
53 送風機
54 風量調整ダンパ
55 空気排出流路
56 外部空気排出流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉の幅方向に並べて配置される複数のストーカユニットと、隣接する前記ストーカユニットの間に配置された境界ブロックとを備え、投入された処理物を燃焼するストーカ式燃焼装置であって、
前記境界ブロックは、
前記ストーカユニットの火格子の端面に対向し前記処理物の搬送方向に沿って分割された、互いに対向するサイドプレートと、
前記サイドプレートの上部に配置される上部壁と、
前記サイドプレートと前記上部壁とで囲まれて配置され、前記対向するサイドプレートのうちの一方を前記火格子の端面に弾性的に押圧する押圧部とを備え、
前記押圧部は、分割された前記一方のサイドプレートの1枚に対して少なくとも1つ設けられており、
前記ストーカ式燃焼装置は、
前記境界ブロックの内部に形成される冷却流路と、
前記冷却流路に冷却用の空気を供給する空気供給流路と、
前記冷却流路を流通した空気を外部に排出する空気排出流路と、
を備えたことを特徴とするストーカ式燃焼装置。
【請求項2】
前記境界ブロックは、前記サイドプレートの上部に配置される上部プレートを有し、
前記サイドプレートおよび前記上部プレートにより形成される空間を前記冷却流路としたことを特徴とする請求項1に記載のストーカ式燃焼装置。
【請求項3】
前記サイドプレートは、上端から内方に突出する突出部を有し、
前記上部プレートは、前記サイドプレートの突出部を嵌合させる溝を有することを特徴とする請求項2に記載のストーカ式燃焼装置。
【請求項4】
前記サイドプレートの突出部と前記上部プレートとの隙間にシール部材を配置したことを特徴とする請求項3に記載のストーカ式燃焼装置。
【請求項5】
内部に前記空気供給流路が形成され、前記境界ブロックを支持する支持梁をさらに備えた請求項1から4のいずれか一項に記載のストーカ式燃焼装置。
【請求項6】
前記境界ブロックは、前記支持梁の内部の前記空気供給流路から該境界ブロックの内部の前記冷却流路に前記冷却用の空気を導入する通気孔を有することを特徴とする請求項5に記載のストーカ式燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−242127(P2011−242127A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151862(P2011−151862)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【分割の表示】特願2005−352192(P2005−352192)の分割
【原出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】