説明

スニチニブリンゴ酸塩の結晶形の調製方法

本発明は、式(I)のスニチニブリンゴ酸塩の新規な調製方法、その結晶多形を含有する医薬組成物、および様々な癌の治療におけるその医薬組成物の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スニチニブリンゴ酸塩I型の新規な調製方法、その結晶多形を含有する医薬組成物、およびその医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
式(I)で表わされ、化学的にN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド 2(S)−ヒドロキシブタン二酸と称されるスニチニブリンゴ酸塩は、複数の選択された受容体チロシンキナーゼ(RTK)のシグナル伝達経路を標的とし、かつ遮断するチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)である。ATP結合部位の競合的阻害により、スニチニブリンゴ酸塩は、密接に関連する一群のRTKのTK作用を阻害する。この一群のRTKはすべて、人のさまざまな悪性腫瘍、すなわち、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR−1、−2、−3)、血小板由来増殖因子受容体(PDGF−R)、幹細胞因子(KIT)、CSF−1R、Flt3およびRET、に関与している。したがって、スニチニブリンゴ酸塩は、癌および腫瘍の治療に有用であり、現在では、切除不可能および/または転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)、ならびに進行性および/または転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療用に販売されている。
【0003】
【化1】

【0004】
多形は、同じ分子式を共有する別個の固体であるが、各々の多形は別個の物理的特性を有する可能性がある。したがって、単一の化合物がさまざまな多形を生じさせる可能性があり、各々の型は、異なる溶解度プロファイル、異なる融点温度および/または異なるX線回折ピーク等の異なる別個の物理的特性を有している。各々の多形の溶解度は変化する可能性があり、したがって、予測可能な溶解度プロファイルを医薬組成物に与えるには、医薬活性成分(API)の多形の存在を識別することが必須となる。薬剤についての固体状態の形態を、すべての多形を含んで、精査することが望ましい。化合物の多形は、X線回折分光法によって、および赤外分光法等の他の方法によって実験室で識別することができる。加えて、同じ活性医薬成分の多形の特性によって、APIを含有する薬剤組成物の製造に影響があることは医薬の分野においてよく知られている。たとえば、APIの溶解度、安定性、流動性、可鍛性および圧縮性、ならびに薬剤の安全性および効能は、結晶型または多形に依存し得る。
【0005】
スニチニブリンゴ酸塩は、米国特許6573293において初めて記載された。スニチニブの合成方法も本先行技術に記載されている。本先行技術には、スニチニブのL−リンゴ酸塩が記載されている。
【0006】
薬学的に有用な化合物の新しい多形の発見により、医薬品の性能特徴を向上させる新たな機会が得られる。また、製剤研究者が、たとえば、目標とされる放出プロファイルまたは他の所望の特徴を備えた薬剤の投薬形態を計画するのに使用可能な材料も追加される。
【0007】
スニチニブリンゴ酸塩の結晶多形I型およびII型ならびに結晶の調製方法は、先行技術である特許出願WO03/016305に開示されている。この先行技術では、L−リンゴ酸をスニチニブ遊離塩基のメタノール溶液に加えて、メタノールを減圧下、留去して、やや結晶性の橙色固体を得る。この生成物にさらなる溶媒アセトニトリルを加えて、スラリーを得て、そのスラリーを加熱し、冷却することで、結晶形I型を得る。この方法は多工程の方法であり、それによってより複雑になっていることが、当業者には明白であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医薬として有用な化合物の新規な多形の発見に加えて、既知の化合物およびその化合物の結晶形の改良調製方法の開発もまた非常に望まれている。方法の改良が、望む化合物もしくは結晶形の純度向上または、望む化合物もしくは結晶形の製造を容易化に関係するのであれば、それは特に望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要約
本発明者らは、上記の不利な点を解消する、スニチニブリンゴ酸塩の無水I型結晶の調製方法を開発した。特に、本方法は、より単純であり、一般により少数でより少量の溶媒を用いるものであり、この方法によって、方法の費用と複雑度を増加させる追加工程が不要である、99%以上の化学純度のスニチニブリンゴ酸塩I型が提供される。
【0010】
従って、第一の側面で、以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法が提供される:
(i)スニチニブを1またはそれ以上の溶媒と混合する工程;
(ii)工程(i)で得られた混合物にリンゴ酸を加える工程;および
(iii)工程(ii)で生成された混合物から、生じた固体を単離する工程。
【0011】
1つの態様において、工程(i)で1またはそれ以上の溶媒の中でスニチニブをスラリーにする。好ましくは、溶媒は、極性溶媒、例えばプロトン性極性溶媒または非プロトン性極性溶媒およびこれらの混合物から選択される。
【0012】
適したプロトン性極性溶媒には、例えばアルコール、水、カルボン酸、アミンおよびこれらの混合物が含まれる。好ましいプロトン性極性溶媒は、アルコール、好ましくはROH(式中、Rは、置換されていてもよい、アルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される)である。好ましくは、アルコールは、ヒドロキシを1つ有するものである。好ましくは、Rは置換されていてもよいC1〜8アルキル基であり、より好ましくはRは置換されていてもよいC1〜4アルキル基である。好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノールまたはこれらの混合物である。最も好ましくは、アルコールはメタノールである。
【0013】
溶媒がプロトン性極性溶媒である場合、好ましくは工程(i)で、約0.5〜20体積の溶媒、より好ましくは約5〜15体積の溶媒、最も好ましくは約10体積の溶媒の中で、スニチニブをスラリーにする。
【0014】
適した非プロトン性極性溶媒には、例えばテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテル等のエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド(DMSO);アセトニトリル;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチルおよび酪酸メチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、ジエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン;およびこれらの混合物が含まれる。好ましい非プロトン性極性溶媒は、エステル、ケトンおよびこれらの混合物である。適したエステルには、RCOOR(式中、RおよびRは、独立して、置換されていてもよい、アルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される)が含まれる。好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜8アルキル基であり、より好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜4アルキル基である。適したケトンには、RCOR(式中、RおよびRは、独立して、置換されていてもよい、アルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される)が含まれる。好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜8アルキル基であり、より好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜4アルキル基である。最も好ましい非プロトン性極性溶媒は、酢酸エチルおよび/またはアセトンである。
【0015】
溶媒が非プロトン性極性溶媒である場合、好ましくは工程(i)で、約5〜40体積の溶媒、より好ましくは約10〜30体積の溶媒、最も好ましくは約15〜20体積の溶媒の中で、スニチニブをスラリーにする。
【0016】
好ましい態様において、工程(i)で、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒の中でスニチニブをスラリーにする。
【0017】
好ましくは、スニチニブを約0〜100℃でスラリーにし、より好ましくはスニチニブを約5〜50℃でスラリーにし、最も好ましくはスニチニブを約15〜35℃でスラリーにする。その態様において、工程の1またはそれ以上を、約15〜35℃で個々実施することができる。
【0018】
代替的に、工程(i)で1またはそれ以上の溶媒にスニチニブを溶解させる。好ましくは、溶媒は極性溶媒、例えばプロトン性極性溶媒または非プロトン性極性溶媒およびこれらの混合物から選択される。
【0019】
適したプロトン性極性溶媒には、例えばアルコール、水、カルボン酸、アミンおよびこれらの混合物が含まれる。好ましいプロトン性極性溶媒は、アルコール、好ましくはROH(式中、Rは、置換されていてもよい、アルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される)である。好ましくは、アルコールは、ヒドロキシを1つ有するものである。好ましくは、Rは置換されていてもよいC1〜8アルキル基であり、より好ましくはRは置換されていてもよいC1〜4アルキル基である。好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノールまたはこれらの混合物である。最も好ましくは、アルコールはメタノールである。
【0020】
溶媒がプロトン性極性溶媒である場合、好ましくは工程(i)で、約5〜100体積の溶媒、より好ましくは約10〜50体積の溶媒、最も好ましくは約20体積の溶媒に、スニチニブを溶解させる。
【0021】
適した非プロトン性極性溶媒には、例えばテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテル等のエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド(DMSO);アセトニトリル;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチルおよび酪酸メチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、ジエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン;およびこれらの混合物が含まれる。好ましい非プロトン性極性溶媒は、エステル、ケトンおよびこれらの混合物である。適したエステルには、RCOOR(式中、RおよびRは、独立して、置換されていてもよい、アルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される)が含まれる。好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜8アルキル基であり、より好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜4アルキル基である。適したケトンには、RCOR(式中、RおよびRは、独立して、置換されていてもよい、アルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される)が含まれる。好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜8アルキル基であり、より好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜4アルキル基である。最も好ましくは酢酸エチルおよび/またはアセトンである。
【0022】
溶媒が非プロトン性極性溶媒である場合、好ましくは工程(i)で、約10〜200体積の溶媒、より好ましくは約20〜100体積の溶媒に、スニチニブを溶解させる。溶媒がエステルである場合、最も好ましくは、工程(i)で約60体積の溶媒にスニチニブを溶解させる。溶媒がケトンである場合、最も好ましくは、工程(i)で約30体積の溶媒にスニチニブを溶解させる。
【0023】
好ましい態様において、工程(i)で、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒にスニチニブを溶解させる。
【0024】
好ましくは、スニチニブを約0〜200℃で溶解し、より好ましくはスニチニブを約20〜150℃で溶解し、さらにより好ましくはスニチニブを約30〜100℃で溶解し、最も好ましくはスニチニブを約50〜80℃で溶解させる。特に好ましい態様において、スニチニブをほぼ還流温度で溶解させる。
【0025】
本発明の第一の側面のさらに好ましい態様では、工程(ii)で加えられるリンゴ酸はL−またはD−リンゴ酸であり、最も好ましくはL−リンゴ酸である。
【0026】
さらに他の態様において、工程(i)で生成される混合物に添加する前に、好ましくはプロトン性極性溶媒または非プロトン性極性溶媒およびこれらの混合物から選択される1またはそれ以上の溶媒にリンゴ酸を溶解する。好ましくはリンゴ酸を溶解する1またはそれ以上の溶媒は、プロトン性極性溶媒から選択される。リンゴ酸を溶解するのに適したプロトン性極性溶媒には、例えば水およびアルコール、好ましくはROH(式中、Rは、置換されていてもよい、アルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される)が含まれる。好ましくは、アルコールは、ヒドロキシを1つ有するものである。好ましくは、Rは置換されていてもよいC1〜8アルキル基であり、より好ましくはRは置換されていてもよいC1〜4アルキル基である。好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノールまたはこれらの混合物である。より好ましくは、プロトン性極性溶媒は水、メタノールまたはこれらの混合物である。最も好ましくは、プロトン性極性溶媒はメタノールである。
【0027】
代替的に、リンゴ酸を溶解する1またはそれ以上の溶媒は、非プロトン性極性溶媒から選択してもよい。適した非プロトン性極性溶媒には、例えばテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテル等のエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);ジメチルスルホキシド(DMSO);アセトニトリル;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチルおよび酪酸メチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、ジエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン;およびこれらの混合物が含まれる。好ましい非プロトン性極性溶媒は、エステル、ケトンおよびこれらの混合物である。適したエステルには、RCOOR(式中、RおよびRは、独立して、置換されていてもよい、アルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される)が含まれる。好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜8アルキル基であり、より好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜4アルキル基である。適したケトンには、RCOR(式中、RおよびRは、独立して、置換されていてもよい、アルキル、アリールまたはアリールアルキル基から選択される)が含まれる。好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜8アルキル基であり、より好ましくは、RおよびRは、独立して置換されていてもよいC1〜4アルキル基である。最も好ましくはアセトンである。
【0028】
好ましくは、約0.1〜100体積の溶媒にリンゴ酸を溶解させる。より好ましくは、約1〜10体積の溶媒にリンゴ酸を溶解させる。最も好ましくは、約4体積の溶媒にリンゴ酸を溶解させる。
【0029】
さらなる態様において、工程(ii)で、工程(i)で得られた混合物をかき混ぜるか、または超音波をかけながら、好ましくは攪拌してかき混ぜながら、リンゴ酸をスニチニブに加える。
【0030】
本発明の第一の側面のさらに他の態様において、工程(ii)で、リンゴ酸をスニチニブに、1分間当たりリンゴ酸10当量未満の速度で加える。好ましくは、リンゴ酸を1分間当たり1当量未満の速度で加える。より好ましくは、リンゴ酸を1分間当たり0.1当量未満の速度で加える。最も好ましくは、リンゴ酸を1分間当たり0.05当量未満の速度で加える。
【0031】
本発明の第一の側面の好ましい態様において、工程(iii)で単離された生じた固体は、スニチニブリンゴ酸塩I型である。好ましくは、工程(iii)で単離されたスニチニブリンゴ酸塩I型は、化学純度および/または多形純度が95%を超え、好ましくは99%を超え、より好ましくは99.5%を超え、最も好ましくは99.7%を超える。
【0032】
本発明の第二の側面は、以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法に関係する:
(i)リンゴ酸を1またはそれ以上の溶媒と混合する工程;
(ii)工程(i)で得られた混合物にスニチニブを加える工程;および
(iii)工程(ii)で生成された混合物から、生じた固体を単離する工程。
【0033】
本発明の第二の側面の1つの態様において、工程(i)で得られた混合物に添加する前に、1またはそれ以上の溶媒にスニチニブを溶解させるか、またはスラリーにする。1またはそれ以上の溶媒は、本発明の第一の側面の工程(i)でスニチニブをスラリーもしくは溶解するのに適したまたは好ましいものとして列記されたもののいずれかから独立して選択してもよい。
【0034】
例えば、本発明の第二の側面の工程(ii)で、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒の中で、スニチニブをスラリーにしてもよい。
【0035】
本発明の第二の側面でスニチニブをスラリーにする場合は、好ましくは、スニチニブを約0〜100℃でスラリーにし、より好ましくはスニチニブを約5〜50℃でスラリーにし、最も好ましくはスニチニブを約15〜35℃でスラリーにする。
【0036】
溶媒がプロトン性極性溶媒である場合は、好ましくは、本発明の第二の側面の工程(ii)で、約0.5〜20体積の溶媒、より好ましくは約5〜15体積の溶媒、最も好ましくは約10体積の溶媒の中で、スニチニブをスラリーにする。
【0037】
代替的に、溶媒が非プロトン性極性溶媒である場合は、好ましくは、本発明の第二の側面の工程(ii)で、約5〜40体積の溶媒、より好ましくは約10〜30体積の溶媒、最も好ましくは約15〜20体積の溶媒の中で、スニチニブをスラリーにする。
【0038】
代替的に、本発明の第二の側面の工程(ii)で、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒に、スニチニブを溶解させてもよい。
【0039】
本発明の第二の側面でスニチニブを溶解させる場合は、好ましくは、スニチニブを約0〜200℃で溶解させ、より好ましくはスニチニブを約20〜150℃で溶解させ、さらにより好ましくはスニチニブを約30〜100℃で溶解させ、最も好ましくはスニチニブを約50〜80℃で溶解させる。特に好ましい態様において、スニチニブをほぼ還流温度で溶解させる。
【0040】
溶媒がプロトン性極性溶媒である場合は、好ましくは、本発明の第二の側面の工程(ii)で、約5〜100体積の溶媒、より好ましくは約10〜50体積の溶媒、最も好ましくは約20体積の溶媒に、スニチニブを溶解させる。
【0041】
溶媒が非プロトン性極性溶媒である場合は、好ましくは、本発明の第二の側面の工程(ii)で、約10〜200体積の溶媒、より好ましくは約20〜100体積の溶媒に、スニチニブを溶解させる。溶媒がエステルである場合、最も好ましくは、工程(ii)で約60体積の溶媒にスニチニブを溶解させる。溶媒がケトンである場合、最も好ましくは、工程(ii)で約30体積の溶媒にスニチニブを溶解させる。
【0042】
本発明の第二の側面の他の態様において、工程(i)におけるリンゴ酸はL−またはD−リンゴ酸である。好ましくは、リンゴ酸はL−リンゴ酸である。
【0043】
さらに他の態様において、工程(i)で、1またはそれ以上の溶媒にリンゴ酸を溶解させる。1またはそれ以上の溶媒は、本発明の第一の側面の工程(ii)で、リンゴ酸を溶解させるのに適したまたは好ましいものとして列記されたもののいずれかから独立して選択してもよい。好ましくは、リンゴ酸をメタノールに溶解させる。
【0044】
本発明の第二の側面でリンゴ酸を溶解させる場合は、1つの態様において、リンゴ酸を約0〜100℃で溶解させ、より好ましくはリンゴ酸を約5〜50℃で溶解させ、最も好ましくはリンゴ酸を約15〜35℃で溶解させる。代替的な態様において、リンゴ酸を約0〜200℃で溶解させ、より好ましくはリンゴ酸を約20〜150℃で溶解させ、さらにより好ましくはリンゴ酸を約30〜100℃で溶解させ、最も好ましくはリンゴ酸を約50〜80℃で溶解する。特に好ましい態様において、リンゴ酸をほぼ還流温度で溶解させる。
【0045】
好ましくは、本発明の第二の側面でリンゴ酸を溶解させる場合は、約0.1〜100体積の溶媒にリンゴ酸を溶解させる。より好ましくは約1〜10体積の溶媒にリンゴ酸を溶解させる。最も好ましくは約4体積の溶媒にリンゴ酸を溶解させる。
【0046】
本発明の第二の側面のさらなる態様において、工程(ii)で、工程(i)で得られた混合物をかき混ぜるか、または超音波をかけながら、好ましくは攪拌してかき混ぜながら、スニチニブをリンゴ酸に加える。
【0047】
本発明の第二の側面のさらに他の態様において、工程(ii)で、スニチニブをリンゴ酸に、1分間当たりスニチニブ10当量未満の速度で加える。好ましくは、スニチニブを1分間当たり1当量未満の速度で加える。より好ましくは、スニチニブを1分間当たり0.1当量未満の速度で加える。最も好ましくは、スニチニブを1分間当たり0.05当量未満の速度で加える。
【0048】
本発明の第二の側面の好ましい態様において、工程(iii)で単離された生じた固体は、スニチニブリンゴ酸塩I型である。好ましくは、工程(iii)で単離されたスニチニブリンゴ酸塩I型は、化学純度および/または多形純度が95%を超え、好ましくは99%を超え、より好ましくは99.5%を超え、最も好ましくは99.7%を超える。
【0049】
本発明の第一または第二の側面の1つの態様において、工程(ii)におけるリンゴ酸またはスニチニブの添加の後、工程(iii)の単離の前に、混合物を加熱するさらなる工程(ii−a)を行う。好ましくは、混合物を約40〜200℃に加熱し、より好ましくは混合物を約45〜120℃に加熱し、さらにより好ましくは混合物を約50〜80℃に加熱する。特に好ましい態様において、工程(ii−a)で、混合物を溶媒または溶媒の混合物のほぼ還流温度に加熱する。
【0050】
好ましくは、工程(ii−a)で、混合物を約5〜120分間加熱し、より好ましくは混合物を約10〜60分間加熱し、さらにより好ましくは混合物を約15〜30分間加熱する。
【0051】
本発明の第一または第二の他の態様において、工程(ii)におけるリンゴ酸またはスニチニブの添加の後、もし存在すれば、工程(ii−a)における混合物の加熱の後、工程(iii)の単離の前に、混合物を少なくとも5分間放置するという、さらなる工程(ii−b)を行う。好ましくは、混合物を約5〜120分間放置し、より好ましくは混合物を約10〜60分間放置し、さらにより好ましくは混合物を約15〜30分間放置する。
【0052】
好ましくは、工程(ii−b)の間、混合物を約0〜40℃の温度で放置する。より好ましくは、工程(ii−b)の間、混合物を約20〜35℃の温度で放置する。
【0053】
必要に応じて、工程(ii−b)の間、混合物をかき混ぜるか、または超音波をかけ、好ましくは攪拌してかき混ぜる。
【0054】
本発明の第一または第二の代替的な態様において、工程(ii)におけるリンゴ酸またはスニチニブの添加の後、スラリーになるまで混合物を攪拌するという、さらなる工程を行う。好ましい態様において、生じたスラリーを加熱または還流する。好ましくは、生じたスラリーを約40〜200℃に加熱し、より好ましくは生じたスラリーを約45〜120℃に加熱し、さらにより好ましくは生じたスラリーを約50〜80℃に加熱する。特に好ましい態様において、生じたスラリーを溶媒または溶媒の混合物のほぼ還流温度に加熱する。
【0055】
好ましくは、生じたスラリーを約5〜120分間加熱し、より好ましくは生じたスラリーを約10〜60分間加熱し、さらにより好ましくは生じたスラリーを約15〜30分間加熱する。
【0056】
好ましくは、スラリーを約0〜40℃または0〜35℃に放冷する。より好ましくは、スラリーを約15〜35℃に放冷する。
【0057】
好ましくは、スラリーを一定時間攪拌する。好ましくは、一定時間は約5〜120分間であり、より好ましくは一定時間は約10〜60分間であり、さらにより好ましくは一定時間は約15〜30分間である。
【0058】
本発明の第一または第二の特に好ましい態様において、工程(ii)で得られた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型をろ過手法で単離し、いくつかの態様では、好ましくは工程(i)で使用したものと同じ溶媒で、洗浄してもよい。さらに、単離されたスニチニブリンゴ酸塩I型を分解させない条件で、重量が一定になるまで、スニチニブリンゴ酸塩I型を乾燥してもよい。
【0059】
本発明の第三の側面によって、以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法が提供される:
(i)スニチニブを溶媒系(ここで、該溶媒系は、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒を含む)に溶解させる工程;
(ii)工程(i)で得られた溶液にリンゴ酸を加える工程;
(iii)溶液を一定時間攪拌する工程;および
(iv)工程(iii)で生成された混合物から、生じた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を単離する工程。
【0060】
好ましくは、スニチニブを工程(i)からの溶媒系に約0〜200℃で溶解させ、より好ましくはスニチニブを約20〜150℃で溶解させ、さらにより好ましくはスニチニブを約30〜100℃で溶解させ、最も好ましくはスニチニブを約50〜80℃で溶解させる。特に好ましい態様において、スニチニブを工程(i)からの溶媒系に還流条件下、溶解させる。
【0061】
溶媒系がメタノールである場合、本発明の第三の側面の工程(i)で、好ましくはスニチニブを約5〜100体積の溶媒、より好ましくは約10〜50体積の溶媒、最も好ましくは約20体積の溶媒に溶解させる。
【0062】
溶媒系がアセトンおよび/または酢酸エチルである場合、本発明の第三の側面の工程(i)で、好ましくはスニチニブを約10〜200体積の溶媒、より好ましくは約20〜100体積の溶媒に溶解させる。溶媒系が酢酸エチルである場合、工程(i)で、最も好ましくはスニチニブを約60体積の溶媒に溶解させる。溶媒系がアセトンである場合、工程(i)において、最も好ましくはスニチニブを約30体積の溶媒に溶解させる。
【0063】
本発明の第三の側面のさらに好ましい態様において、工程(ii)におけるリンゴ酸はL−またはD−リンゴ酸であり、最も好ましくはL−リンゴ酸である。
【0064】
本発明の第三の側面の特に好ましい態様において、工程(ii)で、リンゴ酸をゆっくりと加える。好ましくは、工程(ii)で、リンゴ酸をスニチニブに、1分間当たりリンゴ酸10当量未満の速度で加える。より好ましくは、リンゴ酸を1分間当たり1当量未満の速度で加える。さらにより好ましくは、リンゴ酸を1分間当たり0.1当量未満の速度で加える。最も好ましくは、リンゴ酸を1分間当たり0.05当量未満の速度で加える。
【0065】
本発明の第三の側面のさらに他の態様において、工程(i)で生成された混合物に加える前に、リンゴ酸を1またはそれ以上の有機溶媒に溶解させる。1またはそれ以上の有機溶媒は、本発明の第一の側面の工程(ii)において、リンゴ酸を溶解するのに適しておりまたは好ましいものとして列記されたもののいずれかから、独立して選択してもよい。好ましくは、リンゴ酸をメタノールに溶解させる。
【0066】
好ましくは、本発明の第三の側面においてリンゴ酸を溶解させる場合は、リンゴ酸を約0.1〜100体積の溶媒に溶解させる。より好ましくは、リンゴ酸を約1〜10体積の溶媒に溶解させる。最も好ましくは、リンゴ酸を約4倍の溶媒に溶解させる。
【0067】
本発明の第三の側面のさらなる態様において、工程(ii)で、工程(i)で得られた混合物をかき混ぜるか、または超音波をかけながら、好ましくは攪拌してかき混ぜながら、リンゴ酸をスニチニブに加える。
【0068】
本発明の第三の側面のさらに好ましい態様において、工程(iii)で得られた溶液を、約40〜200℃、より好ましくは約45〜120℃およびさらにより好ましくは約50〜80℃等の高い温度で攪拌してもよい、本発明の方法が提供される。最も好ましくは、工程(iii)で得られた溶液をほぼ還流温度で攪拌する。好ましくは、工程(iii)で得られた溶液を約5〜120分間、より好ましくは約10〜60分間、さらにより好ましくは約15〜30分間、高い温度で攪拌する。
【0069】
本発明の第三の態様の特に好ましい態様において、工程(iii)で、混合物を約0〜40℃または0〜35℃に放冷する。より好ましくは、スラリーを約15〜35℃に放冷する。最も好ましくは、工程(iii)で、混合物を周囲の温度に放冷する。
【0070】
本発明の第三の側面の1つの態様において、工程(iii)の一定時間は約5〜240分間であり、より好ましくは一定時間は約20〜120分間であり、さらにより好ましくは一定時間は約30〜60分間である。
【0071】
本発明の第三の側面の特に好ましい態様において、工程(iv)で得られた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型をろ過手法で単離し、いくつかの態様では、好ましくは工程(i)で使用したものと同じ溶媒で、洗浄してもよい。さらに、単離されたスニチニブリンゴ酸塩I型を分解させない条件で、重量が一定になるまで、スニチニブリンゴ酸塩I型を乾燥してもよい。好ましくは、約15〜35℃、最も好ましくは約40℃で、好ましくは減圧下、最も好ましくは真空下または部分的な真空下、乾燥を行う。
【0072】
1つの態様において、本発明の第三の側面の工程(iv)で単離されたスニチニブリンゴ酸塩I型は、化学純度および/または多形純度が95%を超え、好ましくは99%を超え、より好ましくは99.5%を超え、最も好ましくは99.7%を超える。
【0073】
本発明の第四の側面によって、以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法が提供される:
(i)スニチニブを溶媒系(ここで、該溶媒系は、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒を含む)の中でスラリーにする工程;
(ii)工程(i)で得られたスラリーにリンゴ酸を加える工程;
(iii)スラリーを一定時間攪拌する工程;および
(iv)生じた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を単離する工程。
【0074】
本発明の第四の側面の特に好ましい態様によって、個々の工程(個別の工程のすべてを含む)の1またはそれ以上を、個別に約0〜100℃、より好ましくは約5〜50℃、および最も好ましくは約15〜35℃で行うことができる方法が提供される。
【0075】
溶媒系がメタノールである場合、本発明の第四の側面の工程(i)において、好ましくは約0.5〜20体積の溶媒、より好ましくは約5〜15体積の溶媒、最も好ましくは約10体積の溶媒の中で、スニチニブをスラリーにする。
【0076】
代替的に、溶媒系がアセトンおよび/または酢酸エチルである場合、本発明の第四の側面の工程(i)において、好ましくは約5〜40体積の溶媒、より好ましくは約10〜30体積の溶媒、最も好ましくは約15〜20体積の溶媒の中で、スニチニブをスラリーにする。
【0077】
さらに好ましい態様において、工程(ii)におけるリンゴ酸はL−またはD−リンゴ酸であり、最も好ましくはL−リンゴ酸である。
【0078】
特に好ましい態様において、工程(ii)で、リンゴ酸を周囲の温度、好ましくは約15〜35℃で加える。
【0079】
本発明の第四の側面の他の態様において、工程(ii)で、リンゴ酸をスニチニブに、1分間当たりリンゴ酸10当量未満の速度で加える。好ましくは、リンゴ酸を1分間当たり1当量未満の速度で加える。より好ましくは、リンゴ酸を1分間当たり0.1当量未満の速度で加える。最も好ましくは、リンゴ酸を1分間当たり0.05当量未満の速度で加える。
【0080】
本発明の第四の側面のさらに他の態様において、工程(i)で生成されたスラリーに添加する前に、リンゴ酸を1またはそれ以上の溶媒に溶解させる。1またはそれ以上の溶媒は、本発明の第一の側面の工程(ii)において、リンゴ酸を溶解するのに適しておりまたは好ましいものとして列記されたもののいずれかから、独立して選択してもよい。好ましくは、リンゴ酸をメタノールに溶解させる。
【0081】
好ましくは、本発明の第四の側面においてリンゴ酸を溶解させる場合は、リンゴ酸を約0.1〜100体積の溶媒に溶解させる。より好ましくは、リンゴ酸を約1〜10体積の溶媒に溶解させる。最も好ましくは、リンゴ酸を約4倍の溶媒に溶解させる。
【0082】
好ましくは、本発明の第四の側面の工程(iii)で、スラリーを、約0〜40℃または0〜35℃で攪拌する。より好ましくはスラリーを約15〜35℃で攪拌する。
【0083】
好ましくは、本発明の第四の側面の工程(iii)の一定時間は約5〜120分間であり、より好ましくは一定時間は約10〜60分間であり、さらにより好ましくは一定時間は約15〜30分間である。
【0084】
本発明の第四の側面の特に好ましい態様において、生じた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型をろ過手法で単離し、いくつかの態様では、好ましくは工程(i)で使用したものと同じ溶媒で、洗浄してもよい。さらに、単離されたスニチニブリンゴ酸塩I型を分解させない条件で、重量が一定になるまで、スニチニブリンゴ酸塩I型を乾燥してもよい。好ましくは、約15〜35℃、最も好ましくは約40℃で、好ましくは減圧下、最も好ましくは真空下または部分的な真空下、乾燥を行う。
【0085】
1つの態様において、本発明の第四の側面の工程(iv)で単離されたスニチニブリンゴ酸塩I型は、化学純度および/または多形純度が95%を超え、好ましくは99%を超え、より好ましくは99.5%を超え、最も好ましくは99.7%を超える。
【0086】
本発明の第五の側面によって、本発明の側面または態様のいずれかによって調製された、スニチニブリンゴ酸塩I型が提供される。好ましくは、スニチニブリンゴ酸塩I型は、化学純度および/または多形純度が95%を超え、好ましくは99%を超え、より好ましくは99.5%を超え、最も好ましくは99.7%を超える。好ましくは、化学純度はHPLCで測定されるものである。好ましくは、多形純度はXRPDまたはDSC、好ましくはXRPDで測定されるものである。
【0087】
本発明の第五の側面の好ましい態様において、スニチニブリンゴ酸塩I型は医薬に使用するためのものである。
【0088】
本発明の第六の側面によって、本発明の第五の側面のスニチニブリンゴ酸塩I型等の、本発明の側面または態様のいずれかによって調製されおよび本明細書に記載されたスニチニブリンゴ酸塩I型を含有する医薬組成物が提供される。好ましくは、医薬組成物は、さらに1またはそれ以上の薬学上許容される賦形剤または希釈剤を含有する。
【0089】
好ましくは、本発明の第五の側面のスニチニブリンゴ酸塩I型または本発明の第六の側面の医薬組成物は、癌の治療に、特に癌および腫瘍の治療に、ならびに最も好ましくは切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療に使用するために、提供される。
【0090】
代替的にまたは加えて、本発明の第五の側面のスニチニブリンゴ酸塩I型または本発明の第六の側面の医薬組成物は、異常なプロテインキナーゼ(PK)活性に関連する疾患の治療に使用するために提供されてもよい。
【0091】
本発明の第七の側面によって、医薬の製造のための、本発明の第五の側面のスニチニブリンゴ酸塩I型の使用が提供される。1つの態様において、該医薬は、腫瘍の治療のためのものである。より好ましくは、該医薬は切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療のためのものである。
【0092】
本発明の第八の側面によって、本発明の第五の側面の式(I)のスニチニブリンゴ酸塩I型を治療上有効な量、それを必要とする患者に投与することを含む、治療方法が、提供される。1つの態様において、該方法は、腫瘍の治療のためのものである。好ましくは、該方法は、癌の治療のためのものである。より好ましくは、該方法は切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療のためのものである。本発明の第八の側面の他の態様において、患者は哺乳動物であり、最も好ましくは患者はヒトである。
【0093】
本発明の第七または第八の側面の代替的または追加の態様において、医薬または方法は、異常なプロテインキナーゼ(PK)活性に関連する疾患の治療のためのものであってよい。
【0094】
疑念を取り除くために、それが実用的である限り、本発明の与えられた側面の態様はいずれも、本発明の同じ側面の他の態様と組み合わせてもよい。加えて、それが実用的である限り、本発明のいかなる側面の好ましいまたはオプションの態様はいずれも、本発明の他のいかなる側面の好ましいまたはオプションの態様としてもみなされるべきであることが、理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明によって調製されたスニチニブリンゴ酸塩I型の粉末X線回折(XRPD)を示す。
【図2】本明細書に全体として参照として組み入れられるWO03/016305に記載されたスニチニブリンゴ酸塩I型の先行技術の粉末X線回折(XRPD)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
発明の詳細な説明
本明細書で用いられる用語“スニチニブ”は、好ましくは遊離塩基を示すが、異なって記載されていない限り、異なる塩、結晶型、アモルファス形等を含むいかなる他の形態を示してもよい。
【0097】
本明細書で用いられるスニチニブリンゴ酸塩のI型結晶はWO03/016305に記載されており、すなわち、約13.2、19.4、24.2および25.5°2θに2θ値を有する粉末X線回折パターンで特徴付けされる。好ましくは、スニチニブリンゴ酸塩のI型結晶は、図1および/または図2に実質的に示されるX線回折パターンを有する。
【0098】
本明細書で用いられる用語“混合物”は、物質のいかなる組合せを示してもよく、例えば、溶液、部分溶液(溶質すべてが溶解していない)、2またはそれ以上の混和性液体の溶液、いかなる種類のスラリーおよび懸濁液はすべて含まれてよい。
【0099】
本発明の目的のために、液体(例えば溶媒)に関する“1体積(Volume)”または“1 vol”は、方法で用いられた場合、スニチニブ1g当たりの該溶媒1mlを示す。
【0100】
本明細書で用いられる用語“周囲の温度”は、約15℃〜約35℃、好ましくは約22℃〜約27℃を示す。
【0101】
本明細書で用いられる“アルキル”基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、または環状基であるか、環状基を含んでいてもよい、一価の飽和炭化水素を意味する。アルキル基は、必要に応じて炭素骨格中に1またはそれ以上のヘテロ原子であるN、OもしくはSを含んでいてもよい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルおよびn−ペンチル基である。好ましくは、アルキル基は直鎖または分岐鎖であり、その炭素骨格中にヘテロ原子を含んではいない。好ましくは、アルキル基は1〜12の炭素原子を有するアルキル基を意味するC−C12アルキル基である。より好ましくは、アルキル基は1〜6の炭素原子を有するアルキル基を意味するC−Cアルキル基である。”アルキレン”基は、同様に2価のアルキル基を意味する。
【0102】
“アルケニル”基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、または環状基であるか、環状基を含んでいてもよい、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する一価の飽和炭化水素を意味する。アルケニル基は、必要に応じて炭素骨格中に1またはそれ以上のヘテロ原子であるN、OもしくはSを含んでいてもよい。アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、1−ブテニルおよび2−ブテニル基である。好ましくは、アルケニル基は直鎖または分岐鎖であり、その炭素骨格中にヘテロ原子を含んではいない。好ましくは、アルケニル基は2〜12の炭素原子を有するアルケニル基を意味するC−C12アルケニル基である。より好ましくは、アルケニル基は2〜6の炭素原子を有するアルケニル基を意味するC−Cアルケニル基である。”アルケニレン”基は、同様に2価のアルケニル基を意味する。
【0103】
“アルキニル”基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、または環状基であるか、環状基を含んでいてもよい、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する一価の飽和炭化水素を意味する。アルキニル基は、必要に応じて炭素骨格中に1またはそれ以上のヘテロ原子であるN、OもしくはSを含んでいてもよい。アルキニル基の例としては、エチニル、プロパルギル、1−ブチニルおよび2−ブチニル基である。好ましくは、アルキニル基は直鎖または分岐鎖であり、その炭素骨格中にヘテロ原子を含んではいない。好ましくは、アルキニル基は2〜12の炭素原子を有するアルキニル基を意味するC−C12アルキニル基である。より好ましくは、アルキニル基は2〜6の炭素原子を有するアルキニル基を意味するC−Cアルキニル基である。”アルキニレン”基は、同様に2価のアルキニル基を意味する。
【0104】
“アリール”基は、一価の芳香族炭化水素を意味する。アリール基は、必要に応じて炭素骨格中に1またはそれ以上のヘテロ原子であるN、OもしくはSを含んでいてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフェナントレニル基である。好ましくは、アリール基はその炭素骨格中にヘテロ原子を含んではいない。好ましくは、アリール基は4〜14の炭素原子を有するアリール基を意味するC−C14アリール基である。より好ましくは、アリール基は6〜10の炭素原子を有するアリール基を意味するC−C10アリール基である。”アリーレン”基は、同様に2価のアリール基を意味する。
【0105】
本発明の目的のため、たとえばアリールアルキルのように、複数の基の組合せが1つの部分として言及される場合、最後に記載される基は、その部分が分子の残りに結合される原子を含む。アリールアルキル基の典型的な例はベンジルである。
【0106】
本発明の目的のため、置換されていてもよいアルキル、アリールまたはアリールアルキル基は、−F、−Cl、−Br、−I、−CF、−CCl、−CBr、−CI、−OH、−SH、−NH、−CN、−NO、−COOH、−Rα−O−Rβ、−Rα−S−Rβ、−Rα−SO−Rβ、−Rα−SO−Rβ、−Rα−SO−ORβ、−RO−SO−Rβ、−Rα−SO−N(Rβ、−Rα−NRβ−SO−Rβ、−RO−SO−ORβ、−RO−SO−N(Rβ、−Rα−NRβ−SO−ORβ、−Rα−NRβ−SO−N(Rβ、−Rα−N(Rβ、−Rα−N(Rβ、−Rα−P(Rβ、−Rα−Si(Rβ、−Rα−CO−Rβ、−Rα−CO−ORβ、−RαO−CO−Rβ、−Rα−CO−N(Rβ、−Rα−NRβ−CO−Rβ、−RαO−CO−ORβ、−RαO−CO−N(Rβ、−Rα−NRβ−CO−ORβ、−Rα−NRβ−CO−N(Rβ、−Rα−CS−Rβ、−Rα−CS−ORβ、−RO−CS−Rβ、−Rα−CS−N(Rβ、−Rα−NRβ−CS−Rβ、−RαO−CS−ORβ、−RαO−CS−N(Rβ、−Rα−NRβ−CS−ORβ、−Rα−NRβ−CS−N(Rβ、−Rβや、−O−、−S−、−NRβ−もしくは−Rα−等の架橋性置換基、または=O、=Sもしくは=NRβ等のπ−結合置換基の1またはそれ以上で置換されてもよい。これに関連して、−Rα−は独立して化学結合、またはC−C10アルキレン、C−C10アルケニレンまたはC−C10アルキニレン基である。−Rβは独立して水素、または無置換のC−Cアルキルまたは無置換のC−C10アリール基である。オプションとしての置換基は、好ましくはオプションとしての置換基で置換された親基における炭素原子の総個数を計算する場合に考慮される。好ましくは、置換されていてもよいアルキル、アリールまたはアリールアルキル基は、架橋性置換基では置換されていない。好ましくは、置換されていてもよいアルキル、アリールまたはアリールアルキル基は、π−結合置換基では置換されていない。好ましくは、置換された基は1個、2個または3個の置換基、より好ましくは1個または2個の置換基、より好ましくは1個の置換基を含む。
【0107】
概略を上述した通り、本発明は、無水で結晶であり、吸湿性がなく、多形的に安定なスニチニブリンゴ酸塩I型の新規な調製方法を提供する。この方法は、先行技術に伴われた問題を回避する有利な特徴を有する。
【0108】
従って、第一の詳細な側面で、以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法が提供される:
(i)スニチニブを1またはそれ以上の溶媒と混合する工程;
(ii)工程(i)で得られた混合物にリンゴ酸を加える工程;および
(iii)工程(ii)で生成された混合物から、生じた固体を単離する工程。
【0109】
1つの態様において、工程(i)で、好ましくはアセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒の中でスニチニブをスラリーにする。もちろん、本発明の必須の特徴は結果として無水スニチニブリンゴ酸塩I型を生成することであり、この段階で用いることのできる可能な溶媒、例えば、エステル、ケトンおよびヒドロキシを有する溶媒が数多く存在することは、理解されるであろう。しかし、スラリーは、冷却条件で、例えば約0〜5℃または約0〜35℃、最も好ましくは約20〜35℃で調製することができる。スラリーは、35℃以上の高い温度で、調製することもできる。1つの方法は、より少ない量のスラリー化溶媒を用いることによる。攪拌および/または還流の時間は、5分間〜数時間まで変わり得る。
【0110】
代替的に、好ましくはアセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒にスニチニブを溶解させる。しかし、多数の溶媒、または混和性溶媒を含む溶媒系であって、スニチニブを溶解させることができるものはいかなるものも、用いることができる。例えば、溶媒の混合物の加熱、攪拌または超音波によるものなど、溶媒への溶解を促進する手段が、数多く存在することは、当業者は理解するであろう。特に好ましい態様において、スニチニブおよび望む溶媒を還流温度に加熱することは、スニチニブの溶解をもたらすための、特に有利な方法であることを、本発明者らは見出した。さらに好ましい態様において、還流時間は、約5分間〜数時間まで変わり得る。または、特に好ましい態様において、スラリーが透明な溶液になる(スニチニブが溶解することを示す)まで、還流時間を継続させる。
【0111】
さらに好ましい態様において、工程(ii)におけるリンゴ酸はL−またはD−リンゴ酸であり、最も好ましくはL−リンゴ酸である。
【0112】
さらに他の態様において、工程(i)で生成された混合物に添加する前に、1またはそれ以上の溶媒、好ましくは有機溶媒、好ましくはメタノールまたは代替的に水もしくはアセトンに、リンゴ酸を溶解させる。もちろん、リンゴ酸を溶解できる溶媒または溶媒の混合物はいずれも、本発明の実施に用いうることは、当業者は認識するであろう。
【0113】
さらなる態様として、工程(ii)で、攪拌しながらリンゴ酸をスニチニブに加える。
攪拌は、約5分間〜数時間、行うことができる。たいていの態様において、スラリーが観察される(望むスニチニブリンゴ酸塩I型が存在することを示す)まで、攪拌を行う。約30分間の攪拌が特に有利であることを、本発明者らは見出した。
【0114】
好ましくは、生じたスラリーは、さらに攪拌および/または還流する。さらなる好ましい態様において、工程(i)または(ii)で生成された混合物を加熱して、その溶液またはスラリーを約15〜35℃に放冷する。この温度は室温を代表していることを、本発明者らは見出した。従って、スニチニブリンゴ酸塩I型を結晶化するためには、さらに温度を下げる現実の必要性がない。しかし、それを望むのであれば、固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を単離する前に、その溶液またはスラリーを、さらに所望の温度に冷却しまたは冷やしてもよい。好ましくは、一定時間スラリーを攪拌する。
【0115】
特に好ましい態様において、工程(iii)で得られた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型をろ過手法で単離し、いくつかの態様では、工程(i)で使用したものと同じ溶媒で、洗浄してもよい。同じ溶媒で洗浄することは、多数の溶媒を用いないことを意味し、従って、本方法の単純性に加わり、請求項記載の発明の有利な点の1つを提供する。
【0116】
単離されたスニチニブリンゴ酸塩I型を分解させず、他の多形への変換を引起さない条件で、重量が一定になるまで、さらにスニチニブリンゴ酸塩I型を乾燥してもよい。減圧下、ロータリーエバポレーターで乾燥することが、約30〜50℃の温度での乾燥に役立つことを、本発明者らは見出した。好ましくは、約40℃で乾燥を行う。ロータリーエバポレーターを真空に近い条件で用いる、ある態様も、特に有利であることが見出された。もちろん、本発明の方法の中で、化合物を単離する理想的な条件を決定することは、当業者の技術一式の中で行われる。
【0117】
本発明の第二の詳細な側面によって、以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法が提供される:
(i)スニチニブを溶媒系(ここで、該溶媒系は、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒を含む)に溶解させる工程;
(ii)工程(i)で得られた溶液にリンゴ酸を加える工程;
(iii)溶液を一定時間攪拌する工程;および
(iv)工程(iii)で生成された混合物から、生じた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を単離する工程。
【0118】
例えば、溶媒の加熱、攪拌または超音波によるものなど、溶媒または溶媒の混合物への固体の溶解を促進する手段が、数多く存在することは、当業者は理解するであろう。特に好ましい態様において、還流下、または加熱後に工程(i)の溶媒系に溶解させたスニチニブは、スニチニブの溶解をもたらすための、特に有利な方法であることを、本発明者らは見出した。さらに好ましい態様において、加熱または還流の時間は、約5分間〜数時間まで変わり得る。または、特に好ましい態様において、スラリーが透明な溶液になる(スニチニブが溶解することを示す)まで、還流時間を継続させる。
【0119】
さらに好ましい態様によって、工程(ii)からのリンゴ酸はL−またはD−リンゴ酸であり、最も好ましくはL−リンゴ酸である。
【0120】
さらに他の態様において、工程(i)で生成された混合物に添加する前に、1またはそれ以上の溶媒、好ましくは有機溶媒、好ましくはメタノールまたは代替的に水もしくはアセトンに、リンゴ酸を溶解させる。もちろん、リンゴ酸を溶解できる溶媒はいずれも、本発明の実施に用いうることは、当業者は認識するであろう。
【0121】
スニチニブの溶解をもたらすように溶液を加熱する、特に好ましい態様において、工程(iii)で得られた混合物を、周囲の温度に、好ましくは約15〜35℃に放冷する。
【0122】
特に好ましい態様において、工程(iv)で得られた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型をろ過手法で単離し、代替的な態様では、工程(i)で使用したものと同じ溶媒で、洗浄してもよい。単離された固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を分解させない条件で、重量が一定になるまで、さらにスニチニブリンゴ酸塩I型を乾燥してもよい。好ましくは、約40℃で減圧下、最も好ましくは真空下または部分的な真空下、乾燥を行う。
【0123】
本発明の第三の詳細な側面によって、以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の代替的な調製方法が提供される:
(i)スニチニブを溶媒系(ここで、該溶媒系は、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒を含む)の中でスラリーにする工程;
(ii)工程(i)で得られたスラリーにリンゴ酸を加える工程;
(iii)スラリーを一定時間攪拌する工程;および
(iv)生じた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を単離する工程。
【0124】
本発明の必須の特徴は結果として無水スニチニブリンゴ酸塩I型を生成することであり、工程(i)の間に用いることのできる可能な溶媒、例えば、エステル、ケトンおよびヒドロキシを有する溶媒が数多く存在することは、理解されるであろう。スラリーは、冷却条件で、例えば約0〜5℃または0〜35℃、最も好ましくは約20〜35℃で調製することができる。スラリーは、35℃以上の高い温度で、調製することもできる。1つの方法は、より少ない量のスラリー化溶媒を用いることによる。攪拌および/または還流の時間は、5分間〜数時間まで変わり得る。
【0125】
特に好ましい態様によって、個々の工程の1またはそれ以上を、約10〜35℃で個々実施する方法が提供される。
【0126】
さらに好ましい態様において、工程(ii)からのリンゴ酸はL−またはD−リンゴ酸であり、最も好ましくはL−リンゴ酸である。
【0127】
特に好ましい態様において、工程(ii)でリンゴ酸を周囲の温度で、好ましくは約15〜35℃で加える。
【0128】
さらに他の態様において、工程(i)で生成された混合物に添加する前に、1またはそれ以上の溶媒、好ましくはメタノールまたは代替的に水もしくはアセトンに、リンゴ酸を溶解させる。もちろん、リンゴ酸を溶解できる溶媒はいずれも、本発明の実施に用いうることは、当業者は認識するであろう。
【0129】
特に好ましい態様において、工程(iv)で得られた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型をろ過手法で単離し、代替的な態様では、工程(i)で使用したものと同じ溶媒で、洗浄してもよい。単離された固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を分解させない条件で、重量が一定になるまで、さらにスニチニブリンゴ酸塩I型を乾燥してもよい。好ましくは、約30〜50℃で、最も好ましくは約40℃で、減圧下、最も好ましくは真空下または部分的な真空下、乾燥を行う。
【0130】
本発明の方法によって、高い純度のスニチニブリンゴ酸塩I型が追加の精製工程または技術の必要がなく、提供される。従って、本発明の側面または態様のいずれかによって調製された、スニチニブリンゴ酸I型が提供される。好ましくは、スニチニブリンゴ酸塩I型は、化学純度および/または多形純度が95%を超え、好ましくは99%を超え、より好ましくは99.5%を超え、最も好ましくは99.7%を超える。好ましくは、化学純度はHPLCで測定されるものである。好ましくは、多形純度はXRPDまたはDSC、好ましくはXRPDで測定されるものである。
【0131】
本発明の第四の詳細な側面によって、本発明の側面および態様のいずれかで調製されおよび本明細書に記載された、スニチニブリンゴ酸塩I型を含有する医薬組成物が提供される。好ましくは、該医薬組成物は、癌の治療に、特に癌および腫瘍の治療に、ならびに最も好ましくは切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療に使用するために、提供される。
【0132】
本発明の医薬組成物は、溶液または懸濁液であってもよいが、好ましくは固形経口投薬形態である。本発明に従った好ましい経口投薬形態としては、錠剤、カプセル等が含まれ、これらは必要に応じてコーティングを施してもよい。錠剤は、直接圧縮、湿式造粒および乾式造粒等の従来の技術に従って、製造することができる。カプセルは、一般に柔らかいシェルまたは堅いシェルで形成され、一般にゼラチン材料から作られる。該シェルの内側に、一般的には本発明に従って、薬学上許容される賦形剤と共にまたは不存在で、散剤、ペレット剤、顆粒剤、ミニ錠剤および錠剤等の多くの組成物の1つの中に製剤化された医薬活性成分が含有される。
【0133】
本発明の医薬組成物は、典型的には、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤を含む群から選択される1またはそれ以上の薬学上許容される従来の賦形剤を含み、任意に着色剤、吸着剤、界面活性剤、膜形成剤および可塑剤から選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含む。
【0134】
固形医薬製剤がコーティング錠の形態である場合、コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロシキプロピルセルロースまたはメタアクリレートポリマー等のフィルム形成剤の少なくとも1つから調製することができ、ポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル等の可塑剤の少なくとも1つ、および色素、充填剤等の膜コーティングにとって慣用的に用いられる、その他の医薬補助物質を任意に含んでもよい。
【0135】
好ましくは、本発明の第四の詳細な側面の医薬組成物は、異常なプロテインキナーゼ(PK)活性に関連する疾患の治療に使用するためのものである。かかる疾患には、糖尿病、肝硬変、アテローム性動脈硬化等の心血管性疾患、血管新生、自己免疫疾患等の免疫疾患、悪性の消化管間質腫瘍(GIST)および転移性である腎細胞癌(MRCC)が含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
本発明の詳細、その目的および利点を、続く限定するものではない実施例によって、一段と詳細に以下に説明する。
【実施例】
【0137】
I型結晶である、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)のL−リンゴ酸塩の調製
実施例1
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)(1当量)を、室温で酢酸エチル(20 vol)の中でスラリーにした。スラリーの生成が観察されるまで、攪拌しながら、L−リンゴ酸(1当量)を1分間当たり0.05当量の速度で加えた。スラリーを室温(20〜35℃)で30分間、攪拌した。その後、スラリーを真空下、ブフナーロートを用いてろ過して、ろ取した固体を酢酸エチル(3 vol)で洗浄した。その後、固体を減圧下、40℃でロータリーエバポレーターで乾燥することで、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)のL−リンゴ酸塩の無水I型結晶を黄色固体として得た。
モル収率=83.30%。
HPLC純度=99.20%。
【0138】
実施例2
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)(1当量)を、還流温度で酢酸エチル(60 vol)に溶解させた。溶液を攪拌しながら、L−リンゴ酸(1当量)をゆっくりと1分間当たり0.05当量の速度で加えた。スラリーの生成が観察された。スラリーを約30分間、還流して、その後、徐々に室温(20〜35℃)まで冷却した。スラリーをこの温度で30分間、攪拌した。その後、スラリーを真空下、ブフナーロートを用いてろ過して、生じたろ取した固体を減圧下、40℃でロータリーエバポレーターで、重量が一定になるまで乾燥することで、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)のL−リンゴ酸塩の無水I型結晶を黄色固体として得た。
モル収率=89.30%。
HPLC純度=99.41%。
【0139】
実施例3
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)(1当量)を、室温で酢酸エチル(15 vol)の中でスラリーにした。攪拌しながら、メタノール(4 vol)に溶解したL−リンゴ酸(1当量)をゆっくりと1分間当たり0.05当量の速度でスラリーに加えた。スラリーの生成が観察された。スラリーを室温で約30分間攪拌して、その後、真空下、ブフナーロートを用いてろ過して、ろ取した固体を酢酸エチル(3 vol)で洗浄した。その後、固体を、40℃でロータリーエバポレーターで、重量が一定になるまで乾燥することで、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)のL−リンゴ酸塩の無水I型結晶を黄色固体として得た。
モル収率=85.14%。
HPLC純度=99.12%。
【0140】
実施例4
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)(1当量)を、還流温度でアセトン(30 vol)に溶解させた。溶液を攪拌しながら、L−リンゴ酸(1当量)をゆっくりと1分間当たり0.05当量の速度で溶液に加えた。スラリーの生成が観察された。スラリーを約15分間、還流して、その後、徐々に室温(20〜35℃)まで冷却した。スラリーを室温で約15〜30分間攪拌し、その後、真空下、ブフナーロートを用いてろ過した。得られたろ取した固体をアセトンで洗浄して、減圧下、40℃でロータリーエバポレーターで、重量が一定になるまで乾燥することで、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)のL−リンゴ酸塩の無水I型結晶を黄色固体として得た。
モル収率=90.90%。
HPLC純度=99.07%。
【0141】
実施例5
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)(1当量)を、室温(25〜30℃)でアセトン(15 vol)の中でスラリーにした。攪拌しながら、メタノール(4 vol)に溶解したL−リンゴ酸(1当量)をゆっくりと1分間当たり0.05当量の速度で混合物に加えた。スラリーの生成が観察された。スラリーを室温で約30分間攪拌して、その後、真空下、ブフナーロートを用いてろ過して、酢酸エチル(3 vol)で洗浄した。ろ取した固体を、減圧下、40℃でロータリーエバポレーターで、重量が一定になるまで乾燥することで、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)のL−リンゴ酸塩の無水I型結晶を黄色固体として得た。
モル収率=90.00%。
HPLC純度=99.37%。
【0142】
実施例6
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)(1当量)を、還流温度でメタノール(20 vol)に溶解させた。溶液を攪拌しながら、L−リンゴ酸(1当量)をゆっくりと1分間当たり0.05当量の速度で溶液に加えた。スラリーの生成が観察された。スラリーを約15分間、還流して、その後、徐々に室温(20〜35℃)まで冷却した。スラリーを室温で約15〜30分間攪拌し、その後、真空下、ブフナーロートを用いてろ過して、メタノール(3 vol)で洗浄した。ろ取した固体を、減圧下、40℃でロータリーエバポレーターで、重量が一定になるまで乾燥することで、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)のL−リンゴ酸塩の無水I型結晶を黄色固体として得た。
モル収率=75.75%。
HPLC純度=99.23%。
【0143】
実施例7
N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)(1当量)を、室温(25〜30℃)でメタノール(10 vol)の中でスラリーにした。攪拌しながら、メタノール(4 vol)に溶解したL−リンゴ酸(1当量)をゆっくりと1分間当たり0.05当量の速度で溶液に加えた。透明な溶液が観察された。約30分間、攪拌を継続して、スラリーの生成が観察された。スラリーを室温で約30分間攪拌して、その後、真空下、ブフナーロートを用いてろ過して、メタノール(3 vol)で洗浄した。その後、ろ取した固体を、減圧下、40℃でロータリーエバポレーターで、重量が一定になるまで乾燥することで、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(スニチニブ)のL−リンゴ酸塩の無水I型結晶を黄色固体として得た。
モル収率=75.75%。
HPLC純度=99.56%。
【0144】
上述の実施例1〜7のいずれかに従って得られたスニチニブリンゴ酸塩の無水I型結晶は、以下の分析的特徴を示す:
IR(KBr)cm-1:3326(broad, N-H), 3231(broad, O-H), 3063, 2927, 1671(C=O), 1654, 1636, 1577, 1475等。
H−NMR(DMSO-d6) ppm:1.12(t, J=7.14Hz, 6H, 2×-CH2CH3), 2.36(m, 2H, -CH2-COOH), 2.44(s, 3H, -CH3), 2.46(s, 3H, -CH3), 2.55(m, 1H, -CHOH-COOH), 2.92(m, 6H, 3×-CH2-), 4.02(m, 2H, -CH2-), 6.86(m, 1H, ビニル水素), 6.94(t, J=10.22Hz, 1H, 芳香族オルト位), 7.64(br s, 1H, -CONH-, D2Oで変化する), 7.73(s, 1H, 芳香族オルト位), 7.78(d, J=9.42Hz, 1H, 芳香族メタ位), 10.92(s, 1H, -CONH-, D2Oで変化する), 13.73(s, 1H, ピロールNH, D2Oで変化する)。
13C−NMR(DMSO-d6) ppm:9.69(2C, 2×-CH2-CH3, DEPT), 10.68と13.46(2C, 2×ピロール-CH3, DEPT), 35.01(1C, -NH-CH2-, DEPT), 40.89(1C, -CHOH-), 46.81(2C, 2×-CH2-CH3, DEPT), 50.57(1C, Et2N-CH2-, DEPT), 66.40(1C, -CH2-COOH, DEPT), 106.06(1C, d, JCF=25.7Hz, Ar-Cメタ位, DEPT), 110.08(1C, d, JCF=8.1Hz, Ar-Cオルト位, DEPT), 112.60(1C, d, JCF=24.9Hz, Ar-Cオルト位, DEPT), 115.04(1C, >NHに隣接する橋頭炭素), 119.90と125.90と134.50と136.96(4C, ピロール), 124.91(1C, =CH-, DEPT), 127.10(1C, d, JCF=9.7Hz, >C=に隣接する橋頭炭素), 130.30(1C, >C=CH-), 158.36(1C, d, JCF=234.4Hz, -CF=), 165.30と169.52(2C, 2×-NH-CO-), 172.21と176.06(2C, 2×-COOH)。
Mass(m/z):(M+l) 399 (100%), [(M+2)+1] 401 (14%)。
XRPD:12.94, 19.15, 23.94, 25.20。
DSC:195℃。
【0145】
上記のXRPDデータおよび図1のスペクトルは、Brucker D8 Advance Instrumentで、X線源としてCuα線を用いて、3〜50°の2θ範囲で、0.5°のステップサイズおよび1秒の時間/ステップで測定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法:
(i)スニチニブを1またはそれ以上の溶媒と混合する工程;
(ii)工程(i)で得られた混合物にリンゴ酸を加える工程;および
(iii)工程(ii)で生成された混合物から、生じた固体を単離する工程。
【請求項2】
工程(i)で、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒の中でスニチニブをスラリーにする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
スニチニブを約15〜35℃でスラリーにする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
工程(i)で、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒にスニチニブを溶解させる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
スニチニブをほぼ還流温度で溶解させる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
工程(ii)におけるリンゴ酸がL−またはD−リンゴ酸である、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項7】
リンゴ酸がL−リンゴ酸である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
工程(i)で得られた混合物に添加する前に、1またはそれ以上の溶媒にリンゴ酸を溶解させる、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項9】
リンゴ酸をメタノールに溶解させる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程(ii)で、リンゴ酸を攪拌しながらスニチニブに加える、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項11】
工程(ii)で、リンゴ酸をスニチニブに、1分間当たりリンゴ酸約0.05当量の速度で加える、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項12】
工程(iii)で単離された生じた固体がスニチニブリンゴ酸塩I型である、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項13】
以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法:
(i)リンゴ酸を1またはそれ以上の溶媒と混合する工程;
(ii)工程(i)で得られた混合物にスニチニブを加える工程;および
(iii)工程(ii)で生成された混合物から、生じた固体を単離する工程。
【請求項14】
工程(i)で得られた混合物に加える前に、1またはそれ以上の溶媒にスニチニブを溶解させるか、またはスラリーにする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒の中で、スニチニブをスラリーにする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
約15〜35℃でスニチニブをスラリーにする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒に、スニチニブを溶解させる、請求項14記載の方法。
【請求項18】
スニチニブをほぼ還流温度で溶解させる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
工程(i)におけるリンゴ酸がL−またはD−リンゴ酸である、請求項13〜18のいずれか記載の方法。
【請求項20】
リンゴ酸がL−リンゴ酸である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
リンゴ酸をメタノールに溶解させる、請求項13〜20のいずれか記載の方法。
【請求項22】
リンゴ酸をほぼ還流温度で溶解させる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
工程(ii)で、スニチニブを攪拌しながらリンゴ酸に加える、請求項13〜22のいずれか記載の方法。
【請求項24】
工程(ii)で、スニチニブを、1分間当たりスニチニブ約0.05当量の速度でリンゴ酸に加える、請求項13〜23のいずれか記載の方法。
【請求項25】
工程(iii)で単離された生じた固体がスニチニブリンゴ酸塩I型である、請求項13〜24のいずれか記載の方法。
【請求項26】
工程(ii)におけるリンゴ酸またはスニチニブの添加の後、工程(iii)の単離の前に、混合物を加熱するさらなる工程(ii−a)を行う、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項27】
工程(ii−a)で、混合物を溶媒または溶媒の混合物のほぼ還流温度に加熱する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
工程(ii−a)で、混合物を約15〜30分間加熱する、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
工程(ii)におけるリンゴ酸またはスニチニブの添加の後、もし存在すれば、工程(ii−a)における混合物の加熱の後、工程(iii)の単離の前に、混合物を少なくとも5分間放置するという、さらなる工程(ii−b)を行う、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項30】
工程(iii)の単離の前、工程(ii−b)の間、混合物を約15〜30分間放置する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
工程(ii−b)の間、混合物を約20〜35℃の温度で放置する、請求項29または30記載の方法。
【請求項32】
工程(ii−b)の間、混合物を攪拌する、請求項29〜31のいずれか記載の方法。
【請求項33】
工程(ii)におけるリンゴ酸またはスニチニブの添加の後、スラリーになるまで混合物を攪拌するという、さらなる工程を行う、請求項1〜25のいずれか記載の方法。
【請求項34】
スラリーを加熱または還流する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
スラリーを約0〜35℃に放冷する、請求項34記載の方法。
【請求項36】
スラリーを一定時間攪拌する、請求項33〜35のいずれか記載の方法。
【請求項37】
工程(iii)で得られた固体のスニチニブリンゴ酸塩をろ過手法で単離する、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項38】
工程(iii)で単離した固体を、工程(i)で使用したものと同じ溶媒で洗浄する、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項39】
好ましくは工程(iii)で単離した固体を分解させない条件で、重量が一定になるまで、当該固体を乾燥する、先行する請求項のいずれか記載の方法。
【請求項40】
減圧下、約40℃で乾燥を行う、請求項39記載の方法。
【請求項41】
以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法:
(i)スニチニブを溶媒系(ここで、該溶媒系は、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒を含む)に高い温度で溶解させる工程;
(ii)工程(i)で得られた溶液にリンゴ酸を加える工程;
(iii)溶液を一定時間攪拌する工程;および
(iv)工程(iii)で生成された混合物から、生じた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を単離する工程。
【請求項42】
スニチニブを工程(i)からの溶媒系に還流条件下、溶解させる、請求項41記載の方法。
【請求項43】
工程(ii)におけるリンゴ酸がL−またはD−リンゴ酸である、請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
工程(ii)におけるリンゴ酸がL−リンゴ酸である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
工程(i)で得られた溶液に添加する前に、リンゴ酸を1またはそれ以上の溶媒に溶解させる、請求項41〜44のいずれか記載の方法。
【請求項46】
リンゴ酸をメタノールに溶解させる、請求項45記載の方法。
【請求項47】
工程(ii)で、攪拌しながら、リンゴ酸をスニチニブに加える、請求項41〜46のいずれか記載の方法。
【請求項48】
工程(iii)で生成された混合物から、生じた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型をろ過で単離する、請求項41〜47のいずれか記載の方法。
【請求項49】
工程(iv)で単離された固体を、工程(i)で使用したものと同じ溶媒で洗浄する、請求項41〜48のいずれか記載の方法。
【請求項50】
好ましくは工程(iv)で単離された固体を分解させない条件で、重量が一定になるまで、当該固体を乾燥する、請求項41〜49のいずれか記載の方法。
【請求項51】
減圧下、約40℃で乾燥を行う、請求項50記載の方法。
【請求項52】
以下の工程を含む、スニチニブリンゴ酸塩I型の調製方法:
(i)スニチニブを溶媒系(ここで、該溶媒系は、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルを含む群から選択される1またはそれ以上の溶媒を含む)の中でスラリーにする工程;
(ii)工程(i)で得られたスラリーにリンゴ酸を加える工程;
(iii)スラリーを一定時間攪拌する工程;および
(iv)生じた固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を単離する工程。
【請求項53】
個々の工程の1またはそれ以上を、個別に約15〜35℃で行う、請求項52記載の方法。
【請求項54】
工程(ii)からのリンゴ酸がL−またはD−リンゴ酸である、請求項52または53記載の方法。
【請求項55】
工程(ii)からのリンゴ酸がL−リンゴ酸である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
工程(i)で得られたスラリーに添加する前に、リンゴ酸を1またはそれ以上の溶媒に溶解させる、請求項52〜55のいずれか記載の方法。
【請求項57】
リンゴ酸をメタノールに溶解させる、請求項56記載の方法。
【請求項58】
工程(ii)で、攪拌しながら、リンゴ酸をスニチニブに加える、請求項52〜57のいずれか記載の方法。
【請求項59】
工程(iv)で、生じた固体をろ過手法で単離する、請求項52〜58のいずれか記載の方法。
【請求項60】
工程(iv)で単離された固体を、工程(i)で使用したものと同じ溶媒で洗浄する、請求項52〜59のいずれか記載の方法。
【請求項61】
好ましくは、工程(iv)で単離された固体のスニチニブリンゴ酸塩I型を分解させない条件で、重量が一定になるまで、当該固体を乾燥する、請求項52〜60のいずれか記載の方法。
【請求項62】
減圧下、約40℃で乾燥を行う、請求項61記載の方法。
【請求項63】
請求項1〜62のいずれか記載の方法で調製された、スニチニブリンゴ酸塩I型。
【請求項64】
以下の化学純度および/または多形純度を有する、請求項63記載のスニチニブリンゴ酸塩I型:
(a)95%を超える;
(b)99%を超える;
(c)99.5%を超える;または
(d)99.7%を超える。
【請求項65】
医薬に使用するための、請求項63または64記載のスニチニブリンゴ酸塩I型。
【請求項66】
腫瘍の治療に使用するための、請求項63〜65のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型。
【請求項67】
癌の治療に使用するための、請求項63〜66のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型。
【請求項68】
切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療に使用するための、請求項63〜67のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型。
【請求項69】
請求項63〜68のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型を含有する医薬組成物。
【請求項70】
腫瘍の治療のための、請求項69記載の医薬組成物。
【請求項71】
癌の治療のための、請求項69または70記載の医薬組成物。
【請求項72】
切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療のための、請求項69〜71のいずれか記載の医薬組成物。
【請求項73】
腫瘍の治療のための医薬の製造のための、請求項63〜68のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型の使用。
【請求項74】
癌の治療のための医薬の製造のための、請求項63〜68のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型の使用。
【請求項75】
切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療のための医薬の製造のための、請求項63〜68のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型の使用。
【請求項76】
請求項63〜68のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型を治療上有効な量、それを必要とする患者に投与することを含む、腫瘍の治療方法。
【請求項77】
請求項63〜68のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型を治療上有効な量、それを必要とする患者に投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項78】
請求項63〜68のいずれか記載のスニチニブリンゴ酸塩I型を治療上有効な量、それを必要とする患者に投与することを含む、切除不可能および/もしくは転移性である悪性の消化管間質腫瘍(GIST)または進行性および/もしくは転移性である腎細胞癌(MRCC)の治療方法。
【請求項79】
患者が哺乳動物である、請求項76〜78のいずれか記載の方法。
【請求項80】
患者がヒトである、請求項79記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−527330(P2011−527330A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517242(P2011−517242)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050818
【国際公開番号】WO2010/004339
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(508116469)ジェネリクス・(ユーケー)・リミテッド (34)
【Fターム(参考)】