説明

スパイラルコンタクタ、及びその製造方法

【課題】 先端部の上面に鏡面状平面を備えたスパイラル状接触子と、やはり接続面に鏡面状平面を備えた接続端子とを安定的に接合するスパイラルコンタクタを提供する。
【解決手段】 根元2bから先端中心に向かって渦巻状に形成され、渦巻状の中心に先端部2aを有する凸形のスパイラル状接触子2A、2B、2Cにおいて、スパイラル状接触子の根元を互いに120°位相をずらした位置に配置して、根元2bから渦巻きの中心に向けて立ち上がり、中心を同一として互いに併行して渦巻状に配設された3個のスパイラル状接触子が先端で合流して先端を一体とした3重渦巻きスパイラル状接触子2の先端部2aの上面を鏡面処理した鏡面状平面2aaを備え、鏡面状平面2aa同士を対面させて重ね合わせることによって生成される金属接合部を備えるスパイラルコンタクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3個のスパイラル状接触子が先端で合流して先端部を一体とした3重渦巻きスパイラル状接触子の先端部の上面を鏡面処理し、この鏡面状平面と、接続面が鏡面処理された接続端子といろんな周辺環境において金属接合するスパイラルコンタクタ、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の2重渦巻きスパイラル状接触子の概略を示す概略図である。図9に示すように、渦巻きの中心に先端を有する凸形のスパイラル状接触子32は、中心を同一として互いに併行して渦巻状に配設された2個のスパイラル状接触子32が先端で合流して一体としており、このスパイラル状接触子32の根元32bを互いに対向した位置に配置して、根元32bから渦巻きの中心に向けて立ち上がり、渦巻きの中心で互いに合流する先端32aを備え、スパイラル状接触子32の先端の位置に、上方へ突起した少なくとも1つの凸部32dを備え、この凸部32dが半球形状、四角錐台形状、三角錐台形状、円錐台形状、及び角錐台形状などに形成されている。
【0003】
渦巻きの中心に先端を有する凸形のスパイラル状接触子32を備えたスパイラルコンタクタの製造方法は、Cu箔34を用意し、このCu箔34の表面に少なくとも1つの凹部34aをスパイラル状接触子32の先端32dの位置に形成する第1工程と、Cu箔34の表面にフォトレジスト35を貼付もしくは塗布し、その上方からスパイラル状接触子32のパターンを有するフォトマスク36を被せ、このフォトマスク36の上方から光を照射して露光する第2工程と、フォトマスク36のパターンを形成するようにフォトレジスト35を現像する第3工程と、さらに上方からCu箔34の露出面に金属メッキ37を施し、スパイラル状接触子32を成形する第4工程と、フォトレジスト35を除去する第5工程と、Cu箔34の裏面にフォトレジスト35を貼付もしくは塗布し、穴を開けるためのフォトマスク46を被せ、このフォトマスク46に光を照射して露光・現像する第6工程と、アニールフォーミングする第9工程と、実装基板48上のランドにスパイラル状接触子を固着する第10工程とを含む。これによって、さまざまな形状の接続端子にも接続可能であるとともに、スパイラル状接触子が接続端子と接触して、スパイラル状接触子を先端から順に押し下げるときにスパイラル状接触子の先端部に設けられた少なくとも1つの鋭い突起が接続端子とねじり動作を伴いながら接触し、微小円を描くことによって、優れた電気接続性を有する(特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2008―79940号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スパイラル状接触子を接続端子に対し、強く加圧して電気的な接続特性を向上させるのではなく、接触子と接続端子、接続端子同士、又は接触子同士を接合させて電気的特性の向上を図る必要がある。
本発明は、前記課題を解決するために創案されたものであり、先端部の上面に鏡面状平面を備えたスパイラル状接触子と、やはり接続面に鏡面状平面を備えた接続端子とを安定的に接合するスパイラルコンタクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明のスパイラルコンタクタは、根元から先端中心に向かって渦巻状に形成され、前記渦巻状の中心に先端を有する凸形のスパイラル状接触子において、前記スパイラル状接触子の根元を互いに120°位相をずらした位置に配置して、前記根元から渦巻きの中心に向けて立ち上がり、前記中心を同一として互いに併行して渦巻状に配設された3個の前記スパイラル状接触子が先端で合流して一体とした3重渦巻きスパイラル状接触子の前記先端の上面を鏡面処理した鏡面状平面を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のスパイラルコンタクタであって、前記先端の上面には柱が設けられ、前記柱の上面が鏡面処理された鏡面状平面を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のスパイラルコンタクタであって、前記柱は、円柱であることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載のスパイラルコンタクタであって、前記柱は、角柱であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のスパイラルコンタクタであって、前記3重渦巻きスパイラル状接触子と、この3重渦巻きスパイラル状接触子と電気的に接触して接続する、接続面が鏡面処理されたランド状の接続端子を少なくとも一対設け、前記一対の3重渦巻きスパイラル状接触子の鏡面状平面と前記接続端子の鏡面状平面同士を対面させて重ね合わせることによって生成される金属接合部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項1または請求項2に記載のスパイラルコンタクタであって、前記3重渦巻きスパイラル状接触子を少なくとも一対設け、前記一対の3重渦巻きスパイラル状接触子の鏡面状平面同士を対面させて重ね合わせることによって生成される金属接合部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る発明のスパイラルコンタクタの製造方法は、根元から先端中心に向かって渦巻状に形成され、前記渦巻状の中心に先端を有する凸形のスパイラル状接触子を備え、前記中心を同一として互いに併行して渦巻状に配設された3個の前記スパイラル状接触子が先端で合流して一体とした3重渦巻きスパイラル状接触子を備えたスパイラルコンタクタの製造方法であって、Cu箔を用意し、前記Cu箔の表面にフォトレジストを貼付もしくは塗布し、その上方から前記スパイラル状接触子のパターンを有するフォトマスクを被せ、このフォトマスクの上方から光を照射して露光する第2工程と、前記フォトマスクのパターンを形成するように前記フォトレジストを現像する第3工程と、さらに上方から前記Cu箔の露出面に金属材を施し、前記スパイラル状接触子を成形する第4工程と、前記フォトレジストを除去する第5工程と、前記Cu箔の裏面にフォトレジストを貼付もしくは塗布し、穴を開けるためのフォトマスクを被せ、このフォトマスクに光を照射して露光・現像する第6工程と、アニールフォーミングする第9工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載のスパイラルコンタクタの製造方法であって、前記スパイラル状接触子の製造方法において、前記第2工程の前に、前記Cu箔の表面に少なくとも1つの凹部を、前記スパイラル状接触子の先端の位置に形成する第1工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、先端部の上面に鏡面状平面を備えたスパイラル状接触子と、やはり接続面に鏡面状平面を備えた接続端子とを密着させて接合することができる。また、3個のスパイラル状接触子の根元を互いに120°位相をずらした位置に配置して3重巻きスパイラル状接触子としたことによって、3個のバネ追従性が良好となり、互いの鏡面状平面をさらに安定的に密着させて接合することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、スパイラル状接触子の先端部上面に専用の接合面として柱を設け、その柱の上面を鏡面状平面としたことによって、接続端子の形状に左右されることなく、接合面の形状の自由度を拡大することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、柱の形状を円柱としたことによって、接合相手の接合面と効率的に接合することができるとともに、その接合面が狭くても容易に接合することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、柱の形状を角柱としたことによって、接合相手の接合面と効率的に接合することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、3重渦巻きスパイラル状接触子の鏡面状平面と接続端子の鏡面状平面とを対面させて重ね合わせることによって、鏡面状平面同士が密着して金属接合が発生し、電気的に強固に接合することができる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、3重渦巻きスパイラル状接触子の鏡面状平面と3重渦巻きスパイラル状接触子の鏡面状平面とを対面させて重ね合わせることによって、鏡面状平面同士が密着して金属接合が発生し、電気的に強固に接合することができる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、精度が良く、バネ追従性に優れた3重渦巻きスパイラル状接触子を容易に製造することができる。
【0020】
請求項8に係る発明によれば、柱を備え、精度が良く、優れた電気的特性と優れたバネ追従性を備えた3重渦巻きスパイラル状接触子を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るスパイラルコンタクタおよびその製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態を説明するための3重渦巻きスパイラル状接触子を示し、(a)は、3重渦巻きスパイラル状接触子を示す平面図、(b)は、(a)に示すA―A線の断面であり、先端部に柱を設けた自然体では凸形状の3重渦巻きスパイラル状接触子の断面図、(c)は、同じく(a)に示すA―A線の断面であり、先端部に柱を設けないタイプの3重渦巻きスパイラル状接触子の断面図である。
【0022】
図1(a)(b)に示すように、根元2bから先端中心に向かって渦巻状に形成され、渦巻状の中心に先端を有する凸形のスパイラル状接触子2A、2B、2Cにおいて、スパイラル状接触子2A、2B、2Cの根元A、根元B、根元Cを互いに120°角度をずらした位置に配置して、根元A、根元B、根元Cから渦巻きの中心に向けて立ち上がり、中心を同一として互いに併行して渦巻状に配設された3個のスパイラル状接触子2A、2B、2Cが先端で合流して一体とした3重渦巻きスパイラル状接触子2の先端部2aの上面を鏡面処理した鏡面状平面2aaを備えている。
また、図1の(c)に示すように、先端部2aの上面には柱2dを設けても良く、このとき、柱2dの上面が鏡面処理された鏡面状平面2daを備える。なお、柱2dの形状はは、円柱や角柱を用いたが、上面がフラットであれば他の形状の柱でも構わない。
このように、柱の形状を円柱としたことによって、接合相手の接合面と効率的に接合することができるとともに、その接合面が狭くても容易に接合することができる。
【0023】
図2は、図1の(a)に示すA―A線の断面であり、いろんな種類の3重渦巻きスパイラル状接触子2の断面図を示している。(a)(b)は、先端部2aの上面に柱を設けた自然体では凸形状の3重渦巻きスパイラル状接触子2の断面図、(c)(d)は、先端部に柱を設けないタイプの3重渦巻きスパイラル状接触子2の断面図である。また、(a)(c)は、スパイラル状接触子2A、2B、2Cの厚さが一定で、先端部2aから根元2bに行くに従って幅が広くなっている。また、(b)(d)は、スパイラル状接触子2A、2B、2Cの幅が一定で、先端部2aから根元2bに近づけば近づく程に板厚が厚くなっている。
なお、スパイラル状接触子を形成するコア材はニッケル(Ni)基材であり、表面にはAuメッキが施されている。
【0024】
次に、スパイラルコンタクタの製造方法を説明する。
図3は、本発明に係るスパイラルコンタクタの製造方法の工程図である。
図3に示すように、スパイラルコンタクタ1は、根元2bから先端中心に向かって渦巻状に形成され、渦巻状の中心に先端部2aを有する3個の凸形のスパイラル状接触子2A、2B、2Cを備え、中心を同一として互いに併行して渦巻状に配設されている。この3個のスパイラル状接触子2A、2B、2Cが先端で合流して一体とした3重渦巻きスパイラル状接触子2を備えている。
【0025】
第1工程では、金属板4を用意し、この金属板4の表面に1つの凹部4aをスパイラル状接触子の先端の位置に来るように形成する。なお、金属板4はCu箔が好適であるので、以下、金属板4はCu箔4と記載する。Cu箔4の厚みは、箔状であり、例えば、0.08mmとしたが、これに限定されるものではない。
第2工程は、Cu箔4の表面にフォトレジスト5を貼付もしくは塗布し、その上方から3重巻きスパイラル状接触子2のパターンを有するフォトマスク6を被せ、このフォトマスク6の上方から光を照射して露光する。これによって、柱2dが形成される。このフォトマスク6の形状は、スパイラル形状接触子2の部分を黒塗りにした模様になっている。また、白黒逆のパターンを用いた方法でも構わない。
【0026】
第3工程は、フォトマスク6のパターンを形成するようにフォトレジスト5を現像する。
第4工程は、さらに上方からCu箔4の露出面に金属材7a、7bを施し、3重巻きスパイラル状接触子2を成形する。ここでの金属材7は、表層にCu材を施したニッケル合金、又は表層にCu材を施したニッケル合金メッキが好適である。なお、金属材は、例えば、ニッケルNi合金メッキを用いたが、これに限定されるものではない。
第5工程は、フォトレジスト5を除去する。
第6工程は、Cu箔4の裏面にフォトレジスト5を貼付もしくは塗布し、穴を開けるためのフォトマスク6´を被せ、このフォトマスク6´に光を照射して露光・現像する。
第7工程は、Cu箔4の裏面からCu箔4にエッチングで穴4cを開ける。
第8工程は、Cu箔4の裏面のフォトレジスト5を除去し、上面2dをCMP法によって、表面粗さ0.2nm程度に鏡面処理する。
【0027】
図4は、本発明に係る製造方法の工程図であり、図3に示す第8工程に続く工程を示している。図4に示すように、第9工程では、上下反転させたスパイラル状接触子2の渦巻きの中心を一方から凸形工具10で押し上げて凸形に変形させた状態でアニールフォーミングする。
詳細には、スパイラル状接触子2の下方に凸形工具10を配置し、スパイラル状接触子2を下方から凸形工具10で押し上げて凸形に変形させた状態でアニールフォーミングして成形を安定させ、すなわち、凸状に変形したスパイラル状接触子2が加熱及び焼鈍されて凸形状に成形される。このアニールフォーミングは、例えば、250℃で加熱し、焼きなまし処理を行い、内部応力を除去する。ここで加熱温度は250℃としたが、250℃前後を含むものとし、さらにこれに限定されるものではない。
第10工程は、アニールフォーミングが完了するとともに、凸形工具10を取り外した状態である。
第11工程は、3重巻きスパイラル状接触子2を、表面に導電性のランド8aを有する実装基板8に位置決め固定する。この後、Cu箔4をエッチング除去する。
【0028】
図5は、電気的接合を行うための位置決めを示す概略図である。
図5の(a)は、本発明に係るスパイラルコンタクタを用いて、スパイラル状接触子と接続端子との接触状態を示している。
図5の(a)に示すように、3重巻きスパイラル状接触子2は、表面に導電性のランド8aを有する実装基板8に位置決め固定されている。
図5の(b)は、本発明に係るスパイラルコンタクタを用いて、3重巻きスパイラル状接触子2と3重巻きスパイラル状接触子2との接触状態を示している。
図5の(b)に示すように、一方の3重巻きスパイラル状接触子2は、表面に導電性のランド8aを有する実装基板8に位置決め固定され、例えば、他方の3重巻きスパイラル状接触子2も、表面に導電性のランド8aを有する実装基板8に位置決め固定されている。
【0029】
図6は、本発明に係るスパイラルコンタクタを用いて、接続端子側のランド上に設けられた3重巻きスパイラル状接触子2と、実装基板上に設けられた3重巻きスパイラル状接触子2との接触状態を示している。
図6に示すように、一方の3重巻きスパイラル状接触子2´は、表面に導電性のランド状の接続端子11aに位置決め固定され、他方の3重巻きスパイラル状接触子2も、表面に導電性のランド8aを有する実装基板8に位置決め固定されている。
【0030】
図7は、図5および図6に示す接触状態から接合が完了して、同時に金属接合が完了した状態を示す概略図である。(a)はスパイラル状接触子と接続端子との金属接合状態、(b)は3重巻きスパイラル状接触子2と3重巻きスパイラル状接触子2との金属接合状態、(c)は接続端子側のランド上に設けられた3重巻きスパイラル状接触子2と、実装基板上に設けられた3重巻きスパイラル状接触子2との金属接合状態を示している。
図7の(a)に示すように、3重巻きスパイラル状接触子2の鏡面状平面2daは、ランド状の接続端子11aと密着する。これによって拡散接合が起って金属接合部2e(図8参照)が生成され、電気的に強固に接合することができる。
次に、図7の(b)に示すように、これらの3重渦巻きスパイラル状接触子2の鏡面状平面2da同士を対面させて密着させ重ね合わせることによって、鏡面状平面2da同士が密着して金属接合部2e(図8参照)が生成され、電気的に強固に接合することができる。
また、図7の(c)に示すように、ランド状の接続端子11aに鏡面処理を施し難い場合には、3重巻きスパイラル状接触子2´を接続端子11aに予め半田リフローなどで接合しておき、3重巻きスパイラル状接触子2、2´同士の鏡面状平面2da、2da´同士を対面させて密着させ重ね合わせることによって金属接合部2eを生成して、電気的に強固に接合させることができる。
【0031】
図8は、拡散接合の様子を示す概略図である。ここで拡散接合について簡単に説明する。拡散接合とは、JISの定義では、「母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じさせない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法」となっている。
このような拡散接合の特徴は、材料的に溶融溶接が極めて困難とされている金属や、異種金属の接合ができること、面接合ができることである。
すなわち、接合すべき金属の接合面同士を著しい変形を伴わずに加圧、加熱し、接合面を横切って接合界面の原子を拡散させて接合する。この際、表面の凹凸や、酸化膜や、汚染層が接合阻害要因となるため、加圧による塑性変形量、加熱による拡散速度および表面処理の厳しい管理が求められるが、接合温度や接合時間どの条件コントロールによって接合材料間の相互拡散を抑制することによって精密な接合ができる。
【0032】
鏡面状平面2aa、2daは、CMP法により精密な鏡面研磨を施し精密鏡面仕上げとし、さらにCu材をスパッタリングしている。その表面粗さ(面粗度)は0.2nmとしている。面粗度が0.2nmでは無加圧でも金属接合が可能であり、常圧常温で鏡面状平面同士を密着させ重ね合わせることで、電気的に強固に接合される。
なお、面粗度が0.2〜10nmでは圧力を数MPa〜数十MPa程度にあげることによって電気的に強固に接合する。一旦接合できると、環境変化に関係なく半永久的に電気的な接合が維持される。
また、100℃以下の低温、真空中や不活性ガス中ではさらに金属接合が起こり易くなる。
また、鏡面状平面は、研磨を特徴とするものではなく、スパッタ処理、メッキ処理、エッチング処理、電気的加工処理など、鏡面状平面を生成できるものではあれば良い。
【0033】
このように、スパイラル状接触子のバネ性によって接合面同士が相手に迎合して、互いの接合面の平行精度を補うように働くことができることによって、鏡面状平面同士を密着させ重ね合わせることができる。これによって、鏡面状平面同士の接合面に適正な圧力をスパイラル状接触子から与えられて金属融合を起こさせる。
また、スパイラル状接触子の圧力は、スパイラル状接触子の断面を太くして、さらに巻き数を少なくすることで、従来のプローブに比べて大きくなり、鏡面状平面同士が強く加圧されて金属接合生成に好適である。
したがって、さらに、このスパイラル状接触子を用いることによって、接触圧が限定した領域になるので、総荷重が小さくて済み、例えば、4万ピンなどの例もあるように接続箇所が多くなるとその荷重は極めて大きくなるが、スパイラル状接触子では個々の接合荷重が小さく総荷重も軽減される。また、すべての接点で金属接合が振動や熱膨張にも耐え得る。
【0034】
以上、好ましい実施の形態を説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することの無い範囲内において適宜変更が可能なものである。例えば、スパイラル状接触子の渦巻きは3個として、3重巻きスパイラル状接触子として説明したが、2重巻きでも、4重巻きでも構わない。なお、3重巻きが最も容易にスパイラル状接触子の接合面の平行度が得られて最適である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態を説明するための3重渦巻きスパイラル状接触子を示し、(a)は、3重渦巻きスパイラル状接触子を示す平面図、(b)は、(a)に示すA―A線の断面であり、先端部に柱を設けた自然体では凸形状の3重渦巻きスパイラル状接触子の断面図、(c)は、同じく(a)に示すA―A線の断面であり、先端部に柱を設けないタイプの3重渦巻きスパイラル状接触子の断面図である。
【図2】図1の(a)に示すA―A線の断面であり、いろんな種類の3重渦巻きスパイラル状接触子2の断面図を示している。
【図3】本発明に係るスパイラルコンタクタの製造方法の工程図である。
【図4】本発明に係る製造方法の工程図であり、図3に示す第8工程に続く工程を示している。
【図5】接触子と接続端子の接触を示す概略図であり、(a)は、本発明に係るスパイラルコンタクタを用いて、スパイラル状接触子と接続端子との接触状態を示し、(b)は、本発明に係るスパイラルコンタクタを用いて、3重巻きスパイラル状接触子2と3重巻きスパイラル状接触子2との接触状態を示している。
【図6】本発明に係るスパイラルコンタクタを用いて、接続端子側のランド上に設けられた3重巻きスパイラル状接触子2と、実装基板上に設けられた3重巻きスパイラル状接触子2との接触状態を示す概略図である。
【図7】図5および図6に示す接触状態から金属接合が完了した状態を示す概略図である。(a)はスパイラル状接触子と接続端子との金属接合状態、(b)は3重巻きスパイラル状接触子2と3重巻きスパイラル状接触子2との金属接合状態、(c)は接続端子側のランド上に設けられた3重巻きスパイラル状接触子2と、実装基板上に設けられた3重巻きスパイラル状接触子2との金属接合状態を示している。
【図8】拡散接合の様子を示す図である。
【図9】従来の2重渦巻きスパイラル状接触子の概略を示す概略図である。
【符号の説明】
【0036】
1 スパイラルコンタクタ
2 スパイラル状接触子
2a 先端部
2aa 鏡面状平面
2b 根元
2c 渦巻き部
2d 柱
2da 鏡面状平面
4 Cu箔
5 フォトレジスト
6、6´ フォトマスク
7 金属メッキ
8 実装基板
9 ペースト
10 凸形工具
11 電子部品
11a 接続端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
根元から先端中心に向かって渦巻状に形成され、前記渦巻状の中心に先端を有する凸形のスパイラル状接触子において、前記スパイラル状接触子の根元を互いに120°位相をずらした位置に配置して、前記根元から渦巻きの中心に向けて立ち上がり、前記中心を同一として互いに併行して渦巻状に配設された3個の前記スパイラル状接触子が先端で合流して先端を一体とした3重渦巻きスパイラル状接触子の先端部の上面を鏡面処理した鏡面状平面を備えることを特徴とするスパイラルコンタクタ。
【請求項2】
前記先端の上面には柱が設けられ、前記柱の上面が鏡面処理された鏡面状平面を備えることを特徴とする請求項1に記載のスパイラルコンタクタ。
【請求項3】
前記柱は、円柱であることを特徴とする請求項2に記載のスパイラルコンタクタ。
【請求項4】
前記柱は、角柱であることを特徴とする請求項2に記載のスパイラルコンタクタ。
【請求項5】
前記3重渦巻きスパイラル状接触子と、この3重渦巻きスパイラル状接触子と電気的に接触して接続する、接続面が鏡面処理されたランド状の接続端子とを少なくとも一対設け、前記3重渦巻きスパイラル状接触子と前記接続端子との鏡面状平面同士を対面させて重ね合わせることによって生成される金属接合部を少なくとも一対備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスパイラルコンタクタ。
【請求項6】
前記3重渦巻きスパイラル状接触子を少なくとも一対設け、前記一対の3重渦巻きスパイラル状接触子の鏡面状平面同士を対面させて重ね合わせることによって生成される金属接合部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスパイラルコンタクタ。
【請求項7】
根元から先端中心に向かって渦巻状に形成され、前記渦巻状の中心に先端を有する凸形のスパイラル状接触子を備え、前記中心を同一として互いに併行して渦巻状に配設された3個の前記スパイラル状接触子が先端で合流して先端を一体とした3重渦巻きスパイラル状接触子のスパイラルコンタクタの製造方法であって、
Cu箔を用意し、前記Cu箔の表面にフォトレジストを貼付もしくは塗布し、その上方から前記スパイラル状接触子のパターンを有するフォトマスクを被せ、このフォトマスクの上方から光を照射して露光する第2工程と、
前記フォトマスクのパターンを形成するように前記フォトレジストを現像する第3工程と、
さらに上方から前記Cu箔の露出面に金属材を施し、前記スパイラル状接触子を成形する第4工程と、
前記フォトレジストを除去する第5工程と、
前記Cu箔の裏面にフォトレジストを貼付もしくは塗布し、穴を開けるためのフォトマスクを被せ、このフォトマスクに光を照射して露光・現像する第6工程と、
アニールフォーミングする第9工程と、
を含むことを特徴とするスパイラルコンタクタの製造方法。
【請求項8】
前記スパイラル状接触子の製造方法において、前記第2工程の前に、前記Cu箔の表面に少なくとも1つの凹部を、前記スパイラル状接触子の先端の位置に形成する第1工程を含むことを特徴とする請求項7に記載のスパイラルコンタクタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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