スパウト付包装容器
【課題】内容物の充填時に空気の混入(空気溜まり)を抑制する、空気混入を非常に少なくできる袋状容器を提供すること。
【解決手段】可とう性を備えた袋状の容器体2に筒状のスパウト3を装着した袋状容器において、容器体2の上部のシール縁4を側部のシール縁と大きい鈍角で交わる下り傾斜のシール縁41とすることにより、典型的には、容器体2上部のシール縁4の形状が直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状の形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器1。
【解決手段】可とう性を備えた袋状の容器体2に筒状のスパウト3を装着した袋状容器において、容器体2の上部のシール縁4を側部のシール縁と大きい鈍角で交わる下り傾斜のシール縁41とすることにより、典型的には、容器体2上部のシール縁4の形状が直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状の形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウト付包装容器に関し、具体的には内容物を充填する際、容器内部の空気の残留を少なくでき、また封入された容器内部に存在するガス量を効果的に低減することができる、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器に関する。
また本発明は、飲料用水素含有水を前記スパウト付き包装容器に充填・密封した飲料用水素含有水製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体飲料や流動性を有する食品等を収容する容器として、プラスチック製の飲み口(スパウト)付きのアルミラミネート・フィルムなどで出来た袋状の包装容器(パウチ容器)がある。
こうしたスパウト付容器とは、可とう性を備えた袋状の容器体に筒状のスパウトを装着した袋状容器であり、所謂「チアパック」と呼ばれているものである。
【0003】
さて、一般に密封容器に充填された製品は、内容物が飲食物である場合はとりわけ、内容物の品質保持が重要であり、例えば充填時や製造後の保管時に混入する空気による品質劣化の防止が重要な事項とされている。このため、内容物の空気との接触を避け、その保存性を高めるための種々の製品が既に提案されている。
例えば容器についての提案としては、袋状容器体に気密性の高い素材を採用した、注出口付き袋(特許文献1)、注出具(スパウト)に気密性の高い素材を採用した、ガスバリアー性および/ないし遮光性を有する注出具と該注出具を備えた注出具付き包装袋(特許文献2)、或いは、キャップに気密性の高い素材のカバーの採用を図った、パウチ用スパウトのシール構造(特許文献3)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−179078号公報
【特許文献2】特開2001−213455号公報
【特許文献3】特開2001−130609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような、これまで提案された製品、例えば袋状容器体やスパウトやキャップのカバーに気密性の高い素材を採用した製品(特許文献1〜特許文献3など)は、充填後(製品完成後)の空気の混入を抑えられたとしても、この方法では充填時の空気の混入を抑えることはできない。
特に、本発明の包装容器の充填対象とする水素含有水にあっては、空気と接触することで空気が水素含有水に溶解して水素含有水中の水素濃度が低下し、ひいては水素含有水としての品質低下が生じ得る。すなわち、水素含有水が充填・密封された容器内において、空気の残留量をできる限り少なくすることが、水素含有水製品の品質保持のためには重要な事項であると考えられる。
しかしながら、包装容器としてスパウト付の袋状容器を採用した場合において、袋状容器内への内容物の充填時における空気の混入・残留を防止するための特別な容器はこれまでの特許出願において提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、斯かる観点より改良考案されたものである。本発明者らは鋭意検討を進めた
結果、所謂「チアパック」と呼ばれる可とう性を備えた袋状の容器体に筒状のスパウトを装着した袋状容器において、容器体上部のシール縁の形状を改良することにより、内容物の充填時に空気の混入(空気溜まり)を抑制し、空気混入を非常に少なくできる袋状容器を見出し、以下の本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、
可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備える、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器であって、
袋状の容器体が、正面シート及び背面シートと、これら正面シート及び背面シートの間に折り畳まれて挟まれた左側面シート及び右側面シートを有し、
正面シートの右側縁と右側シートの前側縁、右側シートの後側縁と背面シートの右側縁、背面シートの左側縁と左側シートの後側縁、並びに左側シートの前側縁と正面シートの左側縁とが夫々ヒートシールされることによってまち部を有する袋状に形成されてなり、
前記スパウトは、正面シートと背面シートの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とのヒートシールにより装着されてなり、
ここで、
スパウトと正面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の正面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シートの上縁部と右側シート又は左側シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
また、スパウトと背面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の背面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シートの上縁部と右側シート又は左側シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
そして、スパウトと正面シートとのヒートシール部から正面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、及び正面シートの左側縁シール部に延びるシール縁、並びに、スパウトと背面シートとのヒートシール部から背面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、及び背面シートの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器に関する。
【0008】
あるいは本発明は、
可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備える、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器であって、
袋状の容器体が、正面シート及び背面シートと、これら正面シート及び背面シートの間に折り畳まれて挟まれた底面シートを有し、
正面シートの右側縁と背面シートの右側縁、正面シートの左側縁と背面シートの左側縁、正面シートの下側縁と底面シートの前側縁、並びに背面シートの下側縁と底面シートの後側縁とが夫々ヒートシールされることによって袋状に形成されてなり、
前記スパウトは、正面シートと背面シートの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とのヒートシールにより装着されてなり、
ここで、
スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の正面シート及び背面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シートの上縁部と背面シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
そして、スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から正面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から正面シートの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器に関する。
【0009】
これらスパウト付包装容器において、前記スパウトがバリアスパウト、バリアキャップ
付きのスパウト又はバリアキャップ付きのバリアスパウトであることが好ましい。
【0010】
また本発明は、飲料用水素含有水が前記スパウト付き包装容器に充填・密封されてなる飲料用水素含有水製品に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスパウト付包装容器は、内容物を充填時に包装容器内に混入する空気量を、従来のスパウト付容器と比べて格段に抑えることができる。
このため、該容器を液体飲料や流動性を有する食品等の、特に水素含有水の収納容器として採用した場合、充填時の容器内部への混入空気量が非常に少ないことから、長期間保管後も水素含有水の溶存水素濃度の変化が少なく、品質の安定した製品を消費者に供給することが可能となる。
さらに、本発明のスパウト付包装容器は、内容物が充填された後には、容器を押圧することにより容易にスパウトから内容物を排出することができる。
【0012】
また前述のスパウト付包装容器を用いて、製造された本発明の飲料用水素含有水製品は、容器内に存在するガス量が非常に少ないことから、長期間保管後も水素含有水の溶存水素濃度の変化が少なく、品質の安定した水素含有水を消費者に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明のスパウト付容器の一形態(ガゼットタイプ)を表す正面図(a)及び斜視図(b)である。
【図2】図2は、本発明のスパウト付包装容器の一形態(スタンドタイプ)を表す正面図(a)及び斜視図(b)である。
【図3】図3(a)は、図1又は図2のスパウト付包装容器に適用され得るスパウトの一形態を表す斜視図であり、図3(b)〜(e)はスパウトの種々の形態を表す正面図である。
【図4】図4(a)〜(d)は、本発明のスパウト付包装容器のシール縁の種々の形態を示す正面図である。
【図5】図5(a)〜(e)は、本発明のスパウト付包装容器のシール縁の他の形態を示す正面図である。
【図6】図6(a)〜(b)は、本発明のスパウト付容包装器のシール縁の更に他の形態を示す正面図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、シール縁が略S字曲線状に形成されている各種の本発明のスパウト付包装容器の上縁部の拡大図である。
【図8】図8は、従来のスパウト付包装容器の一形態(ガゼットタイプ)を表す正面図(a)及び斜視図(b)である。
【図9】図9(a)は、図1(a)のA−A’線にて切断したスパウト付包装容器の断面図であり、図9(b)は、図8(a)のB−B’線にて切断したスパウト付包装容器の断面図であり、そして図9(c)は、図9(b)の一部分を拡大して示す斜視図である。
【図10】図10(a)乃至図10(g)は、本発明のスパウト付包装容器に、飲料用水素含有水を充填密封する工程の一連の流れを示す工程図である。
【図11】図11は、図10の工程図において、スパウト付包装容器に水素含有水の充填を開始(図10(b))する前に、前記充填ノズルの流路を変更調整してスパウト付包装容器の内部を吸引する工程(図11(a))、そしてその後、再び充填ノズルの流路を変更調整して水素含有水を充填する工程(図11(b))を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、様々な健康障害の改善を期待できるとして注目されている水素溶解水(単に水素水ともいう)の新規な製造方法として、原料となる水から残存ガスを脱気し、次いで得られた脱気水及び加圧された水素ガスをガス透過膜モジュールに導入して水素ガスを脱気水に溶解させる工程を閉じられた系において繰り返し実施することにより、得られる水素水において溶存水素濃度をより効率的に高めることができる方法を、特許出願において開示している(特願2009−123310号明細書)。
この方法によれば、水中の気体を脱気した後、加圧水素ガスを溶解させることで飽和濃度に近い高濃度の水素含有水を得ることができるが、仮に得られた水素含有水が空気と一たび接触するならば、空気が水素含有水に再び溶解して水素含有水中の水素濃度が低下し、ひいては水素含有水としての品質低下が生じ得る。すなわち、水素含有水を容器に充填する際、空気の容器内への混入を防ぎ、水素含有水が充填・密封された容器内において、空気の残留量をできる限り少なくすることが、水素含有水製品の品質保持のためには重要な事項であると考えられる。
しかしながら、上記水素含有水を収納する容器として採用したスパウト付包装容器は、そもそも、スパウト内部やスパウトと袋状容器体との装着部分近傍に空気が溜まりやすい構造を有しており、また、水素含有水を高速充填させた場合、水素含有水が空気を抱き込みながら容器に充填されやすいという傾向があった。
【0015】
そこで本発明者らは、水素含有水などの液体飲料や流動性を有する食品等の充填時に不可避といえる空気の混入を出来るだけ抑制できる方策を検討したところ、容器体のシール縁の形状を改良することにより、空気溜まりの空気溜まり量を著しく減少することができるところのスパウト付包装容器を見出した。
すなわち、上部のシール縁が側部のシート縁とほぼ直角に交わる従来の容器とは異なり、容器体の上部のシール縁を側部のシール縁と大きい鈍角で交わる下り傾斜のシール縁とすることにより、好ましくは、その下り傾斜のシール縁は局所的にも空気溜まりが生じにくい形状のシール縁、典型的には、直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のシール縁とすることにより、空気溜まりの形成を従来のスパウト付容器よりも格段に防止でき、内容物の充填時に、これまでよりも混入空気量がはるかに少ないスパウト付容器となることを見出した。
なお、本発明者らは、容器に充填する内容物を水素含有水を想定して本発明を完成させたものであるが、当然ながら、内容物の品質保持の効果が得られることから、本発明はゼリー飲料をはじめとする様々な液体飲料や流動性を有する食品等の収納容器にも同様に適用される。従って、これらの収納容器として、本発明のスパウト付包装容器は有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明のスパウト付包装容器は水素含有水を充填するためのものであって、可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備えてなる。
【0017】
本発明において、スパウト付包装容器とは、可とう性を備えた袋状の容器体に筒状のスパウトを装着した袋状容器、所謂「チアパック」の形態の容器をさす。
このような容器体としては、例えばアルミラミネートフィルム製の容器体、所謂パウチ容器が気密性が高いことから好ましく用いられる。パウチ容器の形状としては、ガゼットタイプ(まち付き)、又はスタンドタイプ(まち無し)等が挙げられる。
また、上記包装容器において使用するスパウトとしては、バリア材を使用して製造されたバリアスパウトや、同じくバリア材を使用したバリアキャップ付きのスパウト、或いはバリアキャップ付きのバリアスパウトを用いることが望ましい。
上記包装容器の製品容量は特に限定されないが、例えば100ml乃至2,000ml、特に150ml乃至500ml、好ましくは180ml乃至300ml程度の容量の包装容器を好適に使用できる。なお本明細書において「製品容量」とは、製品が流通・販売
される際の規格容量(適正充填量とも称する)であり、包装容器に充填できる最大容量(以降、本明細書において「最大容量」と称する)より数%〜10%程度、より少ないものとなっている。
【0018】
本発明のスパウト付容器の一例として、ガゼットタイプの包装容器を図1に、スタンドタイプの包装容器を図2に、並びにこれら包装容器に使用できるスパウトの一例を図3に示す。
【0019】
図1に示すように、ガゼットタイプのスパウト付包装容器1は、内容物(水素含有水)を充填すると箱状(直方体状)の形状となる(図1(b))。この包装容器は、アルミラミネートシートを熱溶着して袋状に成形してなる容器体2と、樹脂製のスパウト3から構成される。なお図1では省略されているが、スパウト3の開口部を封止する樹脂製のキャップが備え付けられる。
容器体2は、正面シート21a、背面シート21bと、これら両シートの間に2つに折り畳まれて挟まれた右側面シート21cおよび左側面シート21dから構成される。
そして容器体2は、正面シート21aの右側縁と右側シート21cの前側縁、右側シート21cの後側縁と背面シート21bの右側縁、背面シート21bの左側縁と左側シート21dの後側縁、並びに左側シート21dの前側縁と正面シート21aの左側縁とが夫々ヒートシールされることによって底部22、まち部23を有する袋状に形成される。
また、スパウト3は、正面シート21aと背面シート21bの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とヒートシールされることにより装着されている。
ここで、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから、該ヒートシール部24aより下方の正面シート21aのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と右側シート21c又は左側シート21dの上縁部がそれぞれヒートシールされている。また、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから、該ヒートシール部24bより下方の背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シート21bの上縁部と右側シート21c又は左側シート21bの上縁部がそれぞれヒートシールされている。
そして、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから正面シート21aの右側縁シール部に延びるシール縁、及び正面シート21aの左側縁シール部に延びるシール縁、並びに、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから背面シート21bの右側縁シール部に延びるシール縁、及び背面シート21bの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする。
なお、図1(b)に示すように、正面シート21aの上縁部と右側シート21cの上縁
部のヒートシールされた部分と、背面シート21bの上縁部と右側シート21cの上縁部のヒートシールされた部分とを重ね合わせ、溶着固定していてもよく、同様に、正面シート21aの上縁部と左側シート21dの上縁部のヒートシールされた部分と、背面シート21bの上縁部と左側シート21dの上縁部のヒートシールされた部分とを重ね合わせ、溶着固定していてもよい。
【0020】
また図2に示すようにスタンドタイプのスパウト付包装容器1においては、容器体2は正面シート21a、背面シート21bと、これら両シートの間に2つに折り畳まれて挟まれた底面シート21eから構成される。
そして容器体2は、正面シート21aの右側縁と背面シート21bの右側縁、正面シート21aの左側縁と背面シート21bの左側縁、正面シート21aの下側縁と底面シート21eの前側縁、並びに背面シート21bの下側縁と底面シート21eの後側縁とが夫々ヒートシールされることによって、底部22を有して袋状に形成される。
また、前記スパウト3は、正面シート21aと背面シート21bの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とヒートシールされることにより装着されている。
そして、スパウト3と正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部214から、該ヒートシール部より下方の正面シート21a及び背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と背面シート21bの上縁部がそれぞれヒートシールされている。
そして、スパウト3と正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部24から正面シート21a(及び背面シート21b)の右側縁シール部に延びるシール縁、スパウトと正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部24から正面シート21a(及び背面シート21b)の左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする。
【0021】
図3(a)に示すように、スパウト3は、内容物の導入口を為すストロー部31、内容物の充填口且つ吸引口となる口部32が備えられている。該口部32の下部外周には、キャップが着脱自在に螺着できるようにするための雄ネジ部33が形成され、さらにその下方には、キャップを係合させるための突起部38が形成されている。さらにその下方には、充填装置に送り込まれる際、容器の供給時にガイドレールに嵌合させるためのフランジ37が形成されている。なお、図には示されていないが、スパウト3の開口部を封止するキャップの内周には、口部32の雄ネジ部33に螺合する雌ネジ部が形成されている。また、口部32の先端には、内容物を充填した後に、開口部を封止するシール材が設けられ得、これにより加圧加熱殺菌しても口部32から内容物が漏れ出るのを防ぐことができる。これらのシール材は合成樹脂フィルムと金属箔とをラミネートしたフィルム等により形成され、口部32の先端開口部にヒートシールなどの手段により溶着される。
そしてフランジ37の下方には、容器体2に熱溶着させるための熱溶着部34が設けられている。またストロー部31の上方には、孔36が設けられ、これにより内容物を容易に吸い出すことができる。そして、孔36形成部分の強度補強並びに、スパウト3を容器体2に安定して配置するための耳部35が上記熱溶着部34に連続して下方に伸びるように形成されている。
【0022】
スパウトにおけるストロー部の長さは、図3(b)〜(e)に示すように様々であり得る。すなわち、ストロー部31の長さは、孔36形成部分の強度補強等のために設けられた耳部35より下方に伸びた長さの形態(図3(b))、該耳部35の下端とストロー部31の下端が同程度の長さの形態(図3(c))、孔36形成部分と同程度の長さの形態(図3(d))、並びに熱溶着部34と同程度の長さの形態(図3(e))等、種々であってよい。
【0023】
前述したとおり、本発明は容器体上部のシール縁の形状に特徴がある。
図4(a)〜(d)は、スパウトと正面シート及び/又は背面シートのヒートシール部から、正面シート(及び/又は背面シート)の右側シール部又は左側シール部に延びるシール縁41の形状が、直線状(図4(a))、凸曲線状(図4(b))、凹曲線状(図4(c))、又は略S字曲線状(図4(d))である場合の一例を示す図である。
また図5(a)〜(d)に示すように、該シール縁41は、スパウト3の熱溶着部34の下端に連なるように形成されていてもよく、この場合のシール縁41の形状として、例えば直線状(図5(a))、凸曲線状(図5(b))、凹曲線状(図5(c))、略S字曲線状(図5(d))が挙げられる。また、直線状かつ凸曲線状のシール縁41(図5(e))とすることもできる。
なお、図6(a)及び図6(b)に示すように、容器体2のシール縁4の上部を、シール縁41と同様の傾斜に形成することもできる。
図4〜図6は本発明における容器体上部のシール縁の形状の一例を示す図であって、ここに挙げた様々な形状を種々に組合せた形状のシール縁とすることも可能である。
【0024】
ここで図4〜図6に示すように、本発明におけるシール縁41の形状は、スパウトと正面シート及び/又は背面シートのヒートシール部から、正面シート(及び/又は背面シート)の右側シール部又は左側シール部に、継続的に傾斜して延びている点を特徴とする。すなわち、図4(b)の角αに示すように、右側シール部又は左側シール部に対してシール縁41が鈍角に、少なくとも90°以上の、好ましくは100°以上の角度を有して交わるようにしたことを特徴とする。
これにより、右側シール部又は左側シール部とシール縁41の接点近傍において、空気が溜まるような隙間の発生を抑制することできる。
一方、図8に示すような従来のチアパックの包装容器においては、図8(a)の角βにに示すように、右側シール部又は左側シール部に対してシール縁42はほぼ90°の角度を有して交わっており、シール縁42はいわば台形波の一部(最大山から最小谷までの半周期)の形状を有している。
【0025】
図7に、前記シール縁41が略S字曲線状に形成されている場合のシール縁41の拡大図を示す。
これによると、略S字曲線状の一例として、変曲点fで分割できる2つの円弧の曲率半径R、R’が等しい場合(図7(a))、変曲点fで分割できる2つの円弧の曲率半径R、R’が異なる場合(図7(b))、変曲点fで分割できる2つの円弧R、R’の間に直線部Lが含まれる場合(図7(c))などを挙げることができる。
ここで、略S字曲線状を形成する円弧の曲率半径R、R’の大きさや、直線部を有する場合の直線部Lの長さは包装容器の大きさによって適宜決定されるが、好ましくは曲率半径R、R’の大きさは5〜50mmであり、また、直線部Lの長さは0.1〜0.5mmである。
なお本図(図7(a)、(b))においては、略S字曲線状のシール縁41はスパウト装着部分に近いところから山→谷の形状を有して右側シール部又は左側シール部と交わっているが、この形状は、スパウト装着部分に近いところから谷→山の形状を有していても良い。また、スパウト装着部分に近いところから山→谷→山というように複数の凹凸形状を有して右側シール部又は左側シール部と交わっていてもよく、或いは、山と直線、谷と直線が組み合わされた形状のシール縁となっていてもよい。
【0026】
なお、本発明のスパウト付包装容器は、空気溜まりが生じにくい構造を有しているが、さらに下記に示すような容器を密封するタイミングに合わせて容器内に残存する空気を排出する充填方法を採用することにより、容器内に残存する空気をより減少させることができる。
すなわち、内容物(水素含有水)を充填したスパウト付包装容器の側面を押圧して容器に溜まっていた空気を内容物と共に排出させると同時に、すなわち内容物を排出させながらスパウトの開口部の密封を行うことで、従来の充填方法より容器内に残存する空気量を減少させることができる。
【0027】
そして本発明は、前記スパウト付包装容器に充填・密封されてなる飲料用水素含有水製品にも関する。
詳細には、前記スパウト付き包装容器において袋状の容器体としてガゼットタイプの容器体(図1に示す包装容器参照)を使用した場合、そして該容器の製品容量が250ml未満の場合には該容器中のガス量は7ml未満、好ましくは5ml未満であり、また、該容器の製品容量が250ml以上500ml以下の場合には該容器中のガス量は9ml未満、好ましくは7ml未満である、飲料用水素含有水製品に関する。
あるいは、前記スパウト付き包装容器において袋状の容器体としてスタンドタイプの容器体(図2に示す包装容器参照)を使用した場合、そして該容器の製品容量が250ml未満の場合には該容器中のガス量は3ml未満、好ましくは2.5ml未満であり、又は該容器の製品容量が250ml以上500ml以下の場合には該容器中のガス量は4ml
未満で、好ましくは3ml未満である、飲料用水素含有水製品に関する。
なお、製造された飲料用水素含有水製品において容器中に存在するガスとは、製品製造時に混入した空気並びに水素含有水から気化した水素などが含まれる。
【実施例】
【0028】
本発明の望ましい実施形態をさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0029】
実施例1:ガゼットタイプのスパウト付包装容器
図1に示すガゼットタイプのスパウト付包装容器を以下の通り製造した。
略長方形状をなす正面シート21a、背面シート21bの両側面に、細長い右側面シート21c、左側面シート21dを2つ折にして夫々挟み込んだ。次に正面シート21aの右側縁と右側シート21cの前側縁、右側シート21cの後側縁と背面シート21bの右側縁、背面シート21bの左側縁と左側シート21dの後側縁、並びに左側シート21dの前側縁と正面シート21aの左側縁とが夫々ヒートシールし、底部22、まち部23を形成し、袋状とした。
そして、正面シート21aと背面シート21bの上縁略中央部にスパウト3を差し込み、スパウト3と共に正面シート21aと背面シート21bをヒートシールし、ヒートシール部24a、24bを形成した。
ここで、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから、該ヒートシール部24aより下方の正面シート21aのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と右側シート21c又は左側シート21dの上縁部をヒートシールし、また、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから、該ヒートシール部24bより下方の背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シート21bの上縁部と右側シート21c又は左側シート21bの上縁部をそれぞれヒートシールした。
ここで、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから、該ヒートシール部24aより下方の正面シート21aのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と右側シート21c又は左側シート21dの上縁部をそれぞれヒートシールし、また、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから、該ヒートシール部24bより下方の背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シート21bの上縁部と右側シート21c又は左側シート21bの上縁部をそれぞれヒートシールしてシール縁41を形成した。
このとき、シール縁41の形状、すなわち、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから正面シート21aの右側縁シール部に延びるシール縁、及び正面シート21aの左側縁シール部に延びるシール縁、並びに、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから背面シート21bの右側縁シール部に延びるシール縁、及び背面シート21bの左側縁シール部に延びるシール縁の形状が直線状となるように、シール縁41を形成した。
【0030】
比較例1:従来のガゼットタイプのスパウト付包装容器
比較例1として、市販されている従来のガゼットタイプのスパウト付包装容器を用意した(図8)。図8(a)に示すように、シール縁4の上部側のシール縁42の形状は直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のいずれでもなく、台形波の一部(最大波から最小値までの半周期)の形状を有していた。
【0031】
ここで、図1(a)に示す実施例1のスパウト付包装容器をA−A’線で切断した断面図を図9(a)に、図8(a)の比較例1のスパウト付包装容器をB−B’線で切断した断面図を図9(b)及び図9(c)に示す。
図9(a)に示すように、実施例1のスパウト付包装容器の場合、内容物を充填したと
想定して膨らませたところ、のシール縁41に沿って容器体2が膨み、シール縁41の周辺には空気溜まりとなるような隙間は形成されなかった。
一方、図9(b)及びその一部の拡大図である図9(c)に示すように、比較例1のスパウト付包装容器を同様に膨らませたところ、空気溜まりとなるような隙間43の形成が見られた。
【0032】
実施例2:スタンドタイプのスパウト付包装容器
図2に示すスタンドタイプのスパウト付包装容器を以下の通り製造した。
略長方形状をなす正面シート21a、背面シート21bの下側部に、底面シート21eを2つ折にして挟み込んだ。次に正面シート21aの右側縁と背面シート21bの右側縁、正面シート21aの左側縁と背面シート21bの左側縁、正面シート21aの下側縁と底面シート21eの前側縁、並びに背面シート21bの下側縁と底面シート21eの後側縁とを夫々ヒートシールして底部22を形成し、袋状とした。
そして、正面シート21aと背面シート21bの上縁略中央部の差込口24にスパウト3を差し込み、スパウト3と共に正面シート21aと背面シート21bをヒートシールし、ヒートシール部24を形成した。
さらに、スパウト3と正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部214から、該ヒートシール部より下方の正面シート21a及び背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と背面シート21bの上縁部をそれぞれヒートシールしてシール縁41を形成した。
このとき、シール縁41の形状、すなわち、スパウト3と正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部24から正面シート21a(及び背面シート21b)の右側縁シール部に延びるシール縁、スパウトと正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部24から正面シート21a(及び背面シート21b)の左側縁シール部に延びるシール縁の形状が直線状となるように、シール縁41を形成した。
【0033】
比較例2:従来のスタンドタイプのスパウト付包装容器
比較例2として、市販されている従来のスタンドタイプのスパウト付包装容器を容易した。比較例1と同様に、シール縁4の上部側のシール縁42は直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のいずれでもなく、台形波の一部(最大山から最小谷までの半周期)の形状を有していた。
【0034】
[空気混入試験]
次に、実施例1及び実施例2、並びに比較例1及び比較例2のスパウト付包装容器を用い、実際に内容物(水素含有水)を充填して充填製品(以下、水素含有水製品と称する)を製造し、該製品の容器中への空気の混入量を測定した。
【0035】
本試験で使用した水素含有水は、本発明者らが先の特許出願(特願2009−123310号明細書)において開示された方法により、好適に製造できる。
すなわち、(1)浄化装置において原料となる水をろ過及び浄化し、得られた浄化水を脱気装置に送る浄化工程と、(2)前記脱気装置に供給された浄化水を脱気し、得られた脱気水を水素溶解装置に送る脱気工程と、(3)前記水素溶解装置に供給された脱気水に水素ガスを溶解させ、得られた水素溶解水を殺菌装置に送る水素溶解工程と、(4)前記殺菌装置に供給された水素溶解水を殺菌し、得られた水素含有水を充填装置に送る殺菌工程と、(5)前記充填装置に供給された水素含有水を密封容器に充填し、充填された水製品を加熱殺菌装置に送る充填工程と、(6)前記加熱殺菌装置に送られた水製品を加熱殺菌する加熱殺菌工程、とを含み、前記水素溶解装置が、ガス透過膜によって水室と気体室とに区画され、水室に前記脱気水を通過させ、一方気体室に水素ガスを加圧して供給することにより、水素ガスを前記脱気水に溶解させるガス透過膜モジュールを備えてなり、そして工程(4)で得られた水素含有水の一部を工程(2)の脱気装置に戻し、工程(2)
乃至工程(4)の間で水循環させることによる方法により、水素含有水を製造した。
実施例1及び実施例2並びに比較例1及び比較例2のスパウト付包装容器を用いて、上述の方法にて得られた水素含有水を充填した製品を作製したところ、実施例1及び実施例2の容器を用いた充填製品は、比較例1及び比較例2の容器を用いた充填製品に比べ、容器内への空気の混入を抑制することができた。
【0036】
前記(5)充填工程は特に限定されず従来の充填装置・充填方法を採用できるが、例えば図10に示す工程図に従って行うことにより、水素含有水製品の容器中への空気の混入を抑制することができる。下記実施例3〜実施例6において採用した充填方法を以下に示す。
まず、スパウト付包装容器1を用意し(図10(a))、充填装置の充填ノズル5を通してスパウト3開口部から水素含有水の充填を開始した(図10(b))。このとき、図11に示すように、水素含有水の充填を開始する前に、前記充填ノズル5の流路を変更調整してスパウト付包装容器1の内部を吸引(図11(a))した後、再び充填ノズル5の流路を変更調整して水素含有水を充填する(11(b))ことにより、容器と充填ノズルの嵌合を密なものとする共に、容器内、特にスパウト内の空気を排出させた。
水素含有水の充填は、水素含有水がスパウト付包装容器1から溢れ出る程度まで実施し(図10(c))、その後充填ノズル5をスパウト3の開口部から取り除いた(図10(d))。
次に、スパウト付包装容器1の側面を押圧具8により押圧し、容器内部から水素含有水を押出し(図10(e))、水素含有水が容器から溢れ出している間にスパウト3の開口部を、取付ノズル9を用いてキャップ10にて密封した(図10(f)、(g))。
【0037】
実施例3:水素含有水製品の製造及び空気混入試験(1)
実施例1及び比較例1のスパウト付包装容器を用い水素含有水製品を製造した。これら容器の適正充填量は200mlである。
上記実施例1のスパウト付包装容器に、水素含有水を容器からわずかに溢れる程度まで(充填容量:約220ml)充填した。ここで用いたスパウトは、熱溶着部の下端からの長さが60mmのもの(図3(b)参照)を使用した。
その後、包装容器の対向する側面を同時に押圧し、容器内に残存する空気を少量の水素含有水と共に排出し、水素含有水が排出している間に充填包装機を用いてスパウト開口部をシール・キャップし、その後85℃、30分間加熱殺菌し、水素含有水製品を製造した。
なお、押圧の際の圧力を調整することにより、水素含有水の充填量(約220ml)に対する水素含有水の排出量が約3%又は約10%となる製品を、それぞれ10個ずつ製造した。
また、比較例1のスパウト付包装容器(スパウトの熱溶着部の下端からの長さ:60mm)を用い、水素含有水充填後に押圧せずにそのままスパウト開口部をシール・キャップ・加熱殺菌した製品を10個製造した。
【0038】
製造した各水素含有水製品への混入空気量の測定は以下のように行った。
メスシリンダーを水で完全に満たし、水で満たした100Lの水槽に水没させ、逆さ向きにした。製造した各水素含有水製品を該水槽に水没させ、水中でキャップを開封し、内容物を押出し、排出された空気をメスシリンダーで回収した。メスシリンダーの目盛より混入空気量(ml)を測定し、その平均値を測定した。
得られた結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例4:水素含有水製品の製造及び空気混入試験(2)
実施例3で使用したガゼットタイプの包装容器(実施例1及び比較例1)に替えて、実施例2及び比較例2のスパウト付包装容器を用い水素含有水製品を製造した。これら容器の適正充填量は180mlである。
上記実施例2のスパウト付包装容器に、水素含有水が容器からわずかに溢れる程度まで(約200ml)充填した。ここで用いたスパウトは、熱溶着部の下端(図2参照)からの長さが60mmのものを使用した。
その後、包装容器の対向する側面を同時に押圧し、容器内に残存する空気を少量の水素含有水と共に排出し、水素含有水が排出している間に充填包装機を用いてスパウト開口部をシール・キャップし、その後85℃、30分間加熱殺菌し、水素含有水製品を製造した。
なお、押圧の際の圧力を調整することにより、水素含有水の充填量(約200ml)に対する水素含有水の排出量が約1%又は約5%となる製品を、それぞれ10個ずつ製造した。
また、比較例2のスパウト付包装容器(スパウトの熱溶着部の下端からの長さ:60mm)を用い、水素含有水充填後に押圧せずにそのままスパウト開口部をシール・キャップ・加熱殺菌した製品を10個製造した。
製造した各水素含有水製品への混入空気量の測定を実施例3と同じ手順で行った。
結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
実施例5:水素含有水製品の製造及び空気混入試験(3)
実施例3で使用した各スパウト付包装容器において、熱溶着部の下端(図2参照)からの長さが12mmのスパウト(図3(c)参照)を使用した以外は、実施例3と同様に水素含有水製品を製造した。
製造した各水素含有水製品への混入空気量の測定を実施例3と同じ手順で行った。
結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
実施例6:水素含有水製品の製造及び空気混入試験(4)
実施例3で使用したスパウト付包装容器において、熱溶着部の下端(図2参照)からの長さが5mmのスパウト(図3(d)参照)を使用した以外は、実施例3と同様に水素含有水製品を製造した。
製造した各水素含有水製品への混入空気量の測定を実施例3と同じ手順で行った。
結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】
実施例3〜実施例6に示すように、実施例1及び実施例2で製造した本発明のスパウト付包装容器を用いて製造された水素含有水製品は、比較例1及び比較例2の従来のスパウト付き包装容器と比べて、容器内に残存する空気量をはるかに低く抑えることができた。
【符号の説明】
【0047】
1 スパウト付包装容器
2 容器体
21a 正面シート
21b 背面シート
21c 右側面シート
21d 左側面シート
21e 底面シート
22 底部
23 まち部
24(24a、24b) ヒートシール部
3 スパウト
31 ストロー部
32 口部
33 雄ネジ部
34 熱溶着部
35 耳部
36 孔
37 フランジ
38 突起部
4 シール縁
41、42 シール縁
43 隙間
5 充填ノズル
6 水素含有水タンク
7 吸引ポンプ
8 押圧具
9 取付ノズル
10 キャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウト付包装容器に関し、具体的には内容物を充填する際、容器内部の空気の残留を少なくでき、また封入された容器内部に存在するガス量を効果的に低減することができる、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器に関する。
また本発明は、飲料用水素含有水を前記スパウト付き包装容器に充填・密封した飲料用水素含有水製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体飲料や流動性を有する食品等を収容する容器として、プラスチック製の飲み口(スパウト)付きのアルミラミネート・フィルムなどで出来た袋状の包装容器(パウチ容器)がある。
こうしたスパウト付容器とは、可とう性を備えた袋状の容器体に筒状のスパウトを装着した袋状容器であり、所謂「チアパック」と呼ばれているものである。
【0003】
さて、一般に密封容器に充填された製品は、内容物が飲食物である場合はとりわけ、内容物の品質保持が重要であり、例えば充填時や製造後の保管時に混入する空気による品質劣化の防止が重要な事項とされている。このため、内容物の空気との接触を避け、その保存性を高めるための種々の製品が既に提案されている。
例えば容器についての提案としては、袋状容器体に気密性の高い素材を採用した、注出口付き袋(特許文献1)、注出具(スパウト)に気密性の高い素材を採用した、ガスバリアー性および/ないし遮光性を有する注出具と該注出具を備えた注出具付き包装袋(特許文献2)、或いは、キャップに気密性の高い素材のカバーの採用を図った、パウチ用スパウトのシール構造(特許文献3)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−179078号公報
【特許文献2】特開2001−213455号公報
【特許文献3】特開2001−130609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような、これまで提案された製品、例えば袋状容器体やスパウトやキャップのカバーに気密性の高い素材を採用した製品(特許文献1〜特許文献3など)は、充填後(製品完成後)の空気の混入を抑えられたとしても、この方法では充填時の空気の混入を抑えることはできない。
特に、本発明の包装容器の充填対象とする水素含有水にあっては、空気と接触することで空気が水素含有水に溶解して水素含有水中の水素濃度が低下し、ひいては水素含有水としての品質低下が生じ得る。すなわち、水素含有水が充填・密封された容器内において、空気の残留量をできる限り少なくすることが、水素含有水製品の品質保持のためには重要な事項であると考えられる。
しかしながら、包装容器としてスパウト付の袋状容器を採用した場合において、袋状容器内への内容物の充填時における空気の混入・残留を防止するための特別な容器はこれまでの特許出願において提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、斯かる観点より改良考案されたものである。本発明者らは鋭意検討を進めた
結果、所謂「チアパック」と呼ばれる可とう性を備えた袋状の容器体に筒状のスパウトを装着した袋状容器において、容器体上部のシール縁の形状を改良することにより、内容物の充填時に空気の混入(空気溜まり)を抑制し、空気混入を非常に少なくできる袋状容器を見出し、以下の本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、
可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備える、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器であって、
袋状の容器体が、正面シート及び背面シートと、これら正面シート及び背面シートの間に折り畳まれて挟まれた左側面シート及び右側面シートを有し、
正面シートの右側縁と右側シートの前側縁、右側シートの後側縁と背面シートの右側縁、背面シートの左側縁と左側シートの後側縁、並びに左側シートの前側縁と正面シートの左側縁とが夫々ヒートシールされることによってまち部を有する袋状に形成されてなり、
前記スパウトは、正面シートと背面シートの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とのヒートシールにより装着されてなり、
ここで、
スパウトと正面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の正面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シートの上縁部と右側シート又は左側シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
また、スパウトと背面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の背面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シートの上縁部と右側シート又は左側シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
そして、スパウトと正面シートとのヒートシール部から正面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、及び正面シートの左側縁シール部に延びるシール縁、並びに、スパウトと背面シートとのヒートシール部から背面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、及び背面シートの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器に関する。
【0008】
あるいは本発明は、
可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備える、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器であって、
袋状の容器体が、正面シート及び背面シートと、これら正面シート及び背面シートの間に折り畳まれて挟まれた底面シートを有し、
正面シートの右側縁と背面シートの右側縁、正面シートの左側縁と背面シートの左側縁、正面シートの下側縁と底面シートの前側縁、並びに背面シートの下側縁と底面シートの後側縁とが夫々ヒートシールされることによって袋状に形成されてなり、
前記スパウトは、正面シートと背面シートの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とのヒートシールにより装着されてなり、
ここで、
スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の正面シート及び背面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シートの上縁部と背面シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
そして、スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から正面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から正面シートの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器に関する。
【0009】
これらスパウト付包装容器において、前記スパウトがバリアスパウト、バリアキャップ
付きのスパウト又はバリアキャップ付きのバリアスパウトであることが好ましい。
【0010】
また本発明は、飲料用水素含有水が前記スパウト付き包装容器に充填・密封されてなる飲料用水素含有水製品に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスパウト付包装容器は、内容物を充填時に包装容器内に混入する空気量を、従来のスパウト付容器と比べて格段に抑えることができる。
このため、該容器を液体飲料や流動性を有する食品等の、特に水素含有水の収納容器として採用した場合、充填時の容器内部への混入空気量が非常に少ないことから、長期間保管後も水素含有水の溶存水素濃度の変化が少なく、品質の安定した製品を消費者に供給することが可能となる。
さらに、本発明のスパウト付包装容器は、内容物が充填された後には、容器を押圧することにより容易にスパウトから内容物を排出することができる。
【0012】
また前述のスパウト付包装容器を用いて、製造された本発明の飲料用水素含有水製品は、容器内に存在するガス量が非常に少ないことから、長期間保管後も水素含有水の溶存水素濃度の変化が少なく、品質の安定した水素含有水を消費者に供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明のスパウト付容器の一形態(ガゼットタイプ)を表す正面図(a)及び斜視図(b)である。
【図2】図2は、本発明のスパウト付包装容器の一形態(スタンドタイプ)を表す正面図(a)及び斜視図(b)である。
【図3】図3(a)は、図1又は図2のスパウト付包装容器に適用され得るスパウトの一形態を表す斜視図であり、図3(b)〜(e)はスパウトの種々の形態を表す正面図である。
【図4】図4(a)〜(d)は、本発明のスパウト付包装容器のシール縁の種々の形態を示す正面図である。
【図5】図5(a)〜(e)は、本発明のスパウト付包装容器のシール縁の他の形態を示す正面図である。
【図6】図6(a)〜(b)は、本発明のスパウト付容包装器のシール縁の更に他の形態を示す正面図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、シール縁が略S字曲線状に形成されている各種の本発明のスパウト付包装容器の上縁部の拡大図である。
【図8】図8は、従来のスパウト付包装容器の一形態(ガゼットタイプ)を表す正面図(a)及び斜視図(b)である。
【図9】図9(a)は、図1(a)のA−A’線にて切断したスパウト付包装容器の断面図であり、図9(b)は、図8(a)のB−B’線にて切断したスパウト付包装容器の断面図であり、そして図9(c)は、図9(b)の一部分を拡大して示す斜視図である。
【図10】図10(a)乃至図10(g)は、本発明のスパウト付包装容器に、飲料用水素含有水を充填密封する工程の一連の流れを示す工程図である。
【図11】図11は、図10の工程図において、スパウト付包装容器に水素含有水の充填を開始(図10(b))する前に、前記充填ノズルの流路を変更調整してスパウト付包装容器の内部を吸引する工程(図11(a))、そしてその後、再び充填ノズルの流路を変更調整して水素含有水を充填する工程(図11(b))を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、様々な健康障害の改善を期待できるとして注目されている水素溶解水(単に水素水ともいう)の新規な製造方法として、原料となる水から残存ガスを脱気し、次いで得られた脱気水及び加圧された水素ガスをガス透過膜モジュールに導入して水素ガスを脱気水に溶解させる工程を閉じられた系において繰り返し実施することにより、得られる水素水において溶存水素濃度をより効率的に高めることができる方法を、特許出願において開示している(特願2009−123310号明細書)。
この方法によれば、水中の気体を脱気した後、加圧水素ガスを溶解させることで飽和濃度に近い高濃度の水素含有水を得ることができるが、仮に得られた水素含有水が空気と一たび接触するならば、空気が水素含有水に再び溶解して水素含有水中の水素濃度が低下し、ひいては水素含有水としての品質低下が生じ得る。すなわち、水素含有水を容器に充填する際、空気の容器内への混入を防ぎ、水素含有水が充填・密封された容器内において、空気の残留量をできる限り少なくすることが、水素含有水製品の品質保持のためには重要な事項であると考えられる。
しかしながら、上記水素含有水を収納する容器として採用したスパウト付包装容器は、そもそも、スパウト内部やスパウトと袋状容器体との装着部分近傍に空気が溜まりやすい構造を有しており、また、水素含有水を高速充填させた場合、水素含有水が空気を抱き込みながら容器に充填されやすいという傾向があった。
【0015】
そこで本発明者らは、水素含有水などの液体飲料や流動性を有する食品等の充填時に不可避といえる空気の混入を出来るだけ抑制できる方策を検討したところ、容器体のシール縁の形状を改良することにより、空気溜まりの空気溜まり量を著しく減少することができるところのスパウト付包装容器を見出した。
すなわち、上部のシール縁が側部のシート縁とほぼ直角に交わる従来の容器とは異なり、容器体の上部のシール縁を側部のシール縁と大きい鈍角で交わる下り傾斜のシール縁とすることにより、好ましくは、その下り傾斜のシール縁は局所的にも空気溜まりが生じにくい形状のシール縁、典型的には、直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のシール縁とすることにより、空気溜まりの形成を従来のスパウト付容器よりも格段に防止でき、内容物の充填時に、これまでよりも混入空気量がはるかに少ないスパウト付容器となることを見出した。
なお、本発明者らは、容器に充填する内容物を水素含有水を想定して本発明を完成させたものであるが、当然ながら、内容物の品質保持の効果が得られることから、本発明はゼリー飲料をはじめとする様々な液体飲料や流動性を有する食品等の収納容器にも同様に適用される。従って、これらの収納容器として、本発明のスパウト付包装容器は有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明のスパウト付包装容器は水素含有水を充填するためのものであって、可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備えてなる。
【0017】
本発明において、スパウト付包装容器とは、可とう性を備えた袋状の容器体に筒状のスパウトを装着した袋状容器、所謂「チアパック」の形態の容器をさす。
このような容器体としては、例えばアルミラミネートフィルム製の容器体、所謂パウチ容器が気密性が高いことから好ましく用いられる。パウチ容器の形状としては、ガゼットタイプ(まち付き)、又はスタンドタイプ(まち無し)等が挙げられる。
また、上記包装容器において使用するスパウトとしては、バリア材を使用して製造されたバリアスパウトや、同じくバリア材を使用したバリアキャップ付きのスパウト、或いはバリアキャップ付きのバリアスパウトを用いることが望ましい。
上記包装容器の製品容量は特に限定されないが、例えば100ml乃至2,000ml、特に150ml乃至500ml、好ましくは180ml乃至300ml程度の容量の包装容器を好適に使用できる。なお本明細書において「製品容量」とは、製品が流通・販売
される際の規格容量(適正充填量とも称する)であり、包装容器に充填できる最大容量(以降、本明細書において「最大容量」と称する)より数%〜10%程度、より少ないものとなっている。
【0018】
本発明のスパウト付容器の一例として、ガゼットタイプの包装容器を図1に、スタンドタイプの包装容器を図2に、並びにこれら包装容器に使用できるスパウトの一例を図3に示す。
【0019】
図1に示すように、ガゼットタイプのスパウト付包装容器1は、内容物(水素含有水)を充填すると箱状(直方体状)の形状となる(図1(b))。この包装容器は、アルミラミネートシートを熱溶着して袋状に成形してなる容器体2と、樹脂製のスパウト3から構成される。なお図1では省略されているが、スパウト3の開口部を封止する樹脂製のキャップが備え付けられる。
容器体2は、正面シート21a、背面シート21bと、これら両シートの間に2つに折り畳まれて挟まれた右側面シート21cおよび左側面シート21dから構成される。
そして容器体2は、正面シート21aの右側縁と右側シート21cの前側縁、右側シート21cの後側縁と背面シート21bの右側縁、背面シート21bの左側縁と左側シート21dの後側縁、並びに左側シート21dの前側縁と正面シート21aの左側縁とが夫々ヒートシールされることによって底部22、まち部23を有する袋状に形成される。
また、スパウト3は、正面シート21aと背面シート21bの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とヒートシールされることにより装着されている。
ここで、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから、該ヒートシール部24aより下方の正面シート21aのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と右側シート21c又は左側シート21dの上縁部がそれぞれヒートシールされている。また、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから、該ヒートシール部24bより下方の背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シート21bの上縁部と右側シート21c又は左側シート21bの上縁部がそれぞれヒートシールされている。
そして、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから正面シート21aの右側縁シール部に延びるシール縁、及び正面シート21aの左側縁シール部に延びるシール縁、並びに、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから背面シート21bの右側縁シール部に延びるシール縁、及び背面シート21bの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする。
なお、図1(b)に示すように、正面シート21aの上縁部と右側シート21cの上縁
部のヒートシールされた部分と、背面シート21bの上縁部と右側シート21cの上縁部のヒートシールされた部分とを重ね合わせ、溶着固定していてもよく、同様に、正面シート21aの上縁部と左側シート21dの上縁部のヒートシールされた部分と、背面シート21bの上縁部と左側シート21dの上縁部のヒートシールされた部分とを重ね合わせ、溶着固定していてもよい。
【0020】
また図2に示すようにスタンドタイプのスパウト付包装容器1においては、容器体2は正面シート21a、背面シート21bと、これら両シートの間に2つに折り畳まれて挟まれた底面シート21eから構成される。
そして容器体2は、正面シート21aの右側縁と背面シート21bの右側縁、正面シート21aの左側縁と背面シート21bの左側縁、正面シート21aの下側縁と底面シート21eの前側縁、並びに背面シート21bの下側縁と底面シート21eの後側縁とが夫々ヒートシールされることによって、底部22を有して袋状に形成される。
また、前記スパウト3は、正面シート21aと背面シート21bの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とヒートシールされることにより装着されている。
そして、スパウト3と正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部214から、該ヒートシール部より下方の正面シート21a及び背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と背面シート21bの上縁部がそれぞれヒートシールされている。
そして、スパウト3と正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部24から正面シート21a(及び背面シート21b)の右側縁シール部に延びるシール縁、スパウトと正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部24から正面シート21a(及び背面シート21b)の左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする。
【0021】
図3(a)に示すように、スパウト3は、内容物の導入口を為すストロー部31、内容物の充填口且つ吸引口となる口部32が備えられている。該口部32の下部外周には、キャップが着脱自在に螺着できるようにするための雄ネジ部33が形成され、さらにその下方には、キャップを係合させるための突起部38が形成されている。さらにその下方には、充填装置に送り込まれる際、容器の供給時にガイドレールに嵌合させるためのフランジ37が形成されている。なお、図には示されていないが、スパウト3の開口部を封止するキャップの内周には、口部32の雄ネジ部33に螺合する雌ネジ部が形成されている。また、口部32の先端には、内容物を充填した後に、開口部を封止するシール材が設けられ得、これにより加圧加熱殺菌しても口部32から内容物が漏れ出るのを防ぐことができる。これらのシール材は合成樹脂フィルムと金属箔とをラミネートしたフィルム等により形成され、口部32の先端開口部にヒートシールなどの手段により溶着される。
そしてフランジ37の下方には、容器体2に熱溶着させるための熱溶着部34が設けられている。またストロー部31の上方には、孔36が設けられ、これにより内容物を容易に吸い出すことができる。そして、孔36形成部分の強度補強並びに、スパウト3を容器体2に安定して配置するための耳部35が上記熱溶着部34に連続して下方に伸びるように形成されている。
【0022】
スパウトにおけるストロー部の長さは、図3(b)〜(e)に示すように様々であり得る。すなわち、ストロー部31の長さは、孔36形成部分の強度補強等のために設けられた耳部35より下方に伸びた長さの形態(図3(b))、該耳部35の下端とストロー部31の下端が同程度の長さの形態(図3(c))、孔36形成部分と同程度の長さの形態(図3(d))、並びに熱溶着部34と同程度の長さの形態(図3(e))等、種々であってよい。
【0023】
前述したとおり、本発明は容器体上部のシール縁の形状に特徴がある。
図4(a)〜(d)は、スパウトと正面シート及び/又は背面シートのヒートシール部から、正面シート(及び/又は背面シート)の右側シール部又は左側シール部に延びるシール縁41の形状が、直線状(図4(a))、凸曲線状(図4(b))、凹曲線状(図4(c))、又は略S字曲線状(図4(d))である場合の一例を示す図である。
また図5(a)〜(d)に示すように、該シール縁41は、スパウト3の熱溶着部34の下端に連なるように形成されていてもよく、この場合のシール縁41の形状として、例えば直線状(図5(a))、凸曲線状(図5(b))、凹曲線状(図5(c))、略S字曲線状(図5(d))が挙げられる。また、直線状かつ凸曲線状のシール縁41(図5(e))とすることもできる。
なお、図6(a)及び図6(b)に示すように、容器体2のシール縁4の上部を、シール縁41と同様の傾斜に形成することもできる。
図4〜図6は本発明における容器体上部のシール縁の形状の一例を示す図であって、ここに挙げた様々な形状を種々に組合せた形状のシール縁とすることも可能である。
【0024】
ここで図4〜図6に示すように、本発明におけるシール縁41の形状は、スパウトと正面シート及び/又は背面シートのヒートシール部から、正面シート(及び/又は背面シート)の右側シール部又は左側シール部に、継続的に傾斜して延びている点を特徴とする。すなわち、図4(b)の角αに示すように、右側シール部又は左側シール部に対してシール縁41が鈍角に、少なくとも90°以上の、好ましくは100°以上の角度を有して交わるようにしたことを特徴とする。
これにより、右側シール部又は左側シール部とシール縁41の接点近傍において、空気が溜まるような隙間の発生を抑制することできる。
一方、図8に示すような従来のチアパックの包装容器においては、図8(a)の角βにに示すように、右側シール部又は左側シール部に対してシール縁42はほぼ90°の角度を有して交わっており、シール縁42はいわば台形波の一部(最大山から最小谷までの半周期)の形状を有している。
【0025】
図7に、前記シール縁41が略S字曲線状に形成されている場合のシール縁41の拡大図を示す。
これによると、略S字曲線状の一例として、変曲点fで分割できる2つの円弧の曲率半径R、R’が等しい場合(図7(a))、変曲点fで分割できる2つの円弧の曲率半径R、R’が異なる場合(図7(b))、変曲点fで分割できる2つの円弧R、R’の間に直線部Lが含まれる場合(図7(c))などを挙げることができる。
ここで、略S字曲線状を形成する円弧の曲率半径R、R’の大きさや、直線部を有する場合の直線部Lの長さは包装容器の大きさによって適宜決定されるが、好ましくは曲率半径R、R’の大きさは5〜50mmであり、また、直線部Lの長さは0.1〜0.5mmである。
なお本図(図7(a)、(b))においては、略S字曲線状のシール縁41はスパウト装着部分に近いところから山→谷の形状を有して右側シール部又は左側シール部と交わっているが、この形状は、スパウト装着部分に近いところから谷→山の形状を有していても良い。また、スパウト装着部分に近いところから山→谷→山というように複数の凹凸形状を有して右側シール部又は左側シール部と交わっていてもよく、或いは、山と直線、谷と直線が組み合わされた形状のシール縁となっていてもよい。
【0026】
なお、本発明のスパウト付包装容器は、空気溜まりが生じにくい構造を有しているが、さらに下記に示すような容器を密封するタイミングに合わせて容器内に残存する空気を排出する充填方法を採用することにより、容器内に残存する空気をより減少させることができる。
すなわち、内容物(水素含有水)を充填したスパウト付包装容器の側面を押圧して容器に溜まっていた空気を内容物と共に排出させると同時に、すなわち内容物を排出させながらスパウトの開口部の密封を行うことで、従来の充填方法より容器内に残存する空気量を減少させることができる。
【0027】
そして本発明は、前記スパウト付包装容器に充填・密封されてなる飲料用水素含有水製品にも関する。
詳細には、前記スパウト付き包装容器において袋状の容器体としてガゼットタイプの容器体(図1に示す包装容器参照)を使用した場合、そして該容器の製品容量が250ml未満の場合には該容器中のガス量は7ml未満、好ましくは5ml未満であり、また、該容器の製品容量が250ml以上500ml以下の場合には該容器中のガス量は9ml未満、好ましくは7ml未満である、飲料用水素含有水製品に関する。
あるいは、前記スパウト付き包装容器において袋状の容器体としてスタンドタイプの容器体(図2に示す包装容器参照)を使用した場合、そして該容器の製品容量が250ml未満の場合には該容器中のガス量は3ml未満、好ましくは2.5ml未満であり、又は該容器の製品容量が250ml以上500ml以下の場合には該容器中のガス量は4ml
未満で、好ましくは3ml未満である、飲料用水素含有水製品に関する。
なお、製造された飲料用水素含有水製品において容器中に存在するガスとは、製品製造時に混入した空気並びに水素含有水から気化した水素などが含まれる。
【実施例】
【0028】
本発明の望ましい実施形態をさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0029】
実施例1:ガゼットタイプのスパウト付包装容器
図1に示すガゼットタイプのスパウト付包装容器を以下の通り製造した。
略長方形状をなす正面シート21a、背面シート21bの両側面に、細長い右側面シート21c、左側面シート21dを2つ折にして夫々挟み込んだ。次に正面シート21aの右側縁と右側シート21cの前側縁、右側シート21cの後側縁と背面シート21bの右側縁、背面シート21bの左側縁と左側シート21dの後側縁、並びに左側シート21dの前側縁と正面シート21aの左側縁とが夫々ヒートシールし、底部22、まち部23を形成し、袋状とした。
そして、正面シート21aと背面シート21bの上縁略中央部にスパウト3を差し込み、スパウト3と共に正面シート21aと背面シート21bをヒートシールし、ヒートシール部24a、24bを形成した。
ここで、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから、該ヒートシール部24aより下方の正面シート21aのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と右側シート21c又は左側シート21dの上縁部をヒートシールし、また、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから、該ヒートシール部24bより下方の背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シート21bの上縁部と右側シート21c又は左側シート21bの上縁部をそれぞれヒートシールした。
ここで、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから、該ヒートシール部24aより下方の正面シート21aのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と右側シート21c又は左側シート21dの上縁部をそれぞれヒートシールし、また、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから、該ヒートシール部24bより下方の背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シート21bの上縁部と右側シート21c又は左側シート21bの上縁部をそれぞれヒートシールしてシール縁41を形成した。
このとき、シール縁41の形状、すなわち、スパウト3と正面シート21aとのヒートシール部24aから正面シート21aの右側縁シール部に延びるシール縁、及び正面シート21aの左側縁シール部に延びるシール縁、並びに、スパウト3と背面シート21bとのヒートシール部24bから背面シート21bの右側縁シール部に延びるシール縁、及び背面シート21bの左側縁シール部に延びるシール縁の形状が直線状となるように、シール縁41を形成した。
【0030】
比較例1:従来のガゼットタイプのスパウト付包装容器
比較例1として、市販されている従来のガゼットタイプのスパウト付包装容器を用意した(図8)。図8(a)に示すように、シール縁4の上部側のシール縁42の形状は直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のいずれでもなく、台形波の一部(最大波から最小値までの半周期)の形状を有していた。
【0031】
ここで、図1(a)に示す実施例1のスパウト付包装容器をA−A’線で切断した断面図を図9(a)に、図8(a)の比較例1のスパウト付包装容器をB−B’線で切断した断面図を図9(b)及び図9(c)に示す。
図9(a)に示すように、実施例1のスパウト付包装容器の場合、内容物を充填したと
想定して膨らませたところ、のシール縁41に沿って容器体2が膨み、シール縁41の周辺には空気溜まりとなるような隙間は形成されなかった。
一方、図9(b)及びその一部の拡大図である図9(c)に示すように、比較例1のスパウト付包装容器を同様に膨らませたところ、空気溜まりとなるような隙間43の形成が見られた。
【0032】
実施例2:スタンドタイプのスパウト付包装容器
図2に示すスタンドタイプのスパウト付包装容器を以下の通り製造した。
略長方形状をなす正面シート21a、背面シート21bの下側部に、底面シート21eを2つ折にして挟み込んだ。次に正面シート21aの右側縁と背面シート21bの右側縁、正面シート21aの左側縁と背面シート21bの左側縁、正面シート21aの下側縁と底面シート21eの前側縁、並びに背面シート21bの下側縁と底面シート21eの後側縁とを夫々ヒートシールして底部22を形成し、袋状とした。
そして、正面シート21aと背面シート21bの上縁略中央部の差込口24にスパウト3を差し込み、スパウト3と共に正面シート21aと背面シート21bをヒートシールし、ヒートシール部24を形成した。
さらに、スパウト3と正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部214から、該ヒートシール部より下方の正面シート21a及び背面シート21bのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シート21aの上縁部と背面シート21bの上縁部をそれぞれヒートシールしてシール縁41を形成した。
このとき、シール縁41の形状、すなわち、スパウト3と正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部24から正面シート21a(及び背面シート21b)の右側縁シール部に延びるシール縁、スパウトと正面シート21a及び背面シート21bとのヒートシール部24から正面シート21a(及び背面シート21b)の左側縁シール部に延びるシール縁の形状が直線状となるように、シール縁41を形成した。
【0033】
比較例2:従来のスタンドタイプのスパウト付包装容器
比較例2として、市販されている従来のスタンドタイプのスパウト付包装容器を容易した。比較例1と同様に、シール縁4の上部側のシール縁42は直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のいずれでもなく、台形波の一部(最大山から最小谷までの半周期)の形状を有していた。
【0034】
[空気混入試験]
次に、実施例1及び実施例2、並びに比較例1及び比較例2のスパウト付包装容器を用い、実際に内容物(水素含有水)を充填して充填製品(以下、水素含有水製品と称する)を製造し、該製品の容器中への空気の混入量を測定した。
【0035】
本試験で使用した水素含有水は、本発明者らが先の特許出願(特願2009−123310号明細書)において開示された方法により、好適に製造できる。
すなわち、(1)浄化装置において原料となる水をろ過及び浄化し、得られた浄化水を脱気装置に送る浄化工程と、(2)前記脱気装置に供給された浄化水を脱気し、得られた脱気水を水素溶解装置に送る脱気工程と、(3)前記水素溶解装置に供給された脱気水に水素ガスを溶解させ、得られた水素溶解水を殺菌装置に送る水素溶解工程と、(4)前記殺菌装置に供給された水素溶解水を殺菌し、得られた水素含有水を充填装置に送る殺菌工程と、(5)前記充填装置に供給された水素含有水を密封容器に充填し、充填された水製品を加熱殺菌装置に送る充填工程と、(6)前記加熱殺菌装置に送られた水製品を加熱殺菌する加熱殺菌工程、とを含み、前記水素溶解装置が、ガス透過膜によって水室と気体室とに区画され、水室に前記脱気水を通過させ、一方気体室に水素ガスを加圧して供給することにより、水素ガスを前記脱気水に溶解させるガス透過膜モジュールを備えてなり、そして工程(4)で得られた水素含有水の一部を工程(2)の脱気装置に戻し、工程(2)
乃至工程(4)の間で水循環させることによる方法により、水素含有水を製造した。
実施例1及び実施例2並びに比較例1及び比較例2のスパウト付包装容器を用いて、上述の方法にて得られた水素含有水を充填した製品を作製したところ、実施例1及び実施例2の容器を用いた充填製品は、比較例1及び比較例2の容器を用いた充填製品に比べ、容器内への空気の混入を抑制することができた。
【0036】
前記(5)充填工程は特に限定されず従来の充填装置・充填方法を採用できるが、例えば図10に示す工程図に従って行うことにより、水素含有水製品の容器中への空気の混入を抑制することができる。下記実施例3〜実施例6において採用した充填方法を以下に示す。
まず、スパウト付包装容器1を用意し(図10(a))、充填装置の充填ノズル5を通してスパウト3開口部から水素含有水の充填を開始した(図10(b))。このとき、図11に示すように、水素含有水の充填を開始する前に、前記充填ノズル5の流路を変更調整してスパウト付包装容器1の内部を吸引(図11(a))した後、再び充填ノズル5の流路を変更調整して水素含有水を充填する(11(b))ことにより、容器と充填ノズルの嵌合を密なものとする共に、容器内、特にスパウト内の空気を排出させた。
水素含有水の充填は、水素含有水がスパウト付包装容器1から溢れ出る程度まで実施し(図10(c))、その後充填ノズル5をスパウト3の開口部から取り除いた(図10(d))。
次に、スパウト付包装容器1の側面を押圧具8により押圧し、容器内部から水素含有水を押出し(図10(e))、水素含有水が容器から溢れ出している間にスパウト3の開口部を、取付ノズル9を用いてキャップ10にて密封した(図10(f)、(g))。
【0037】
実施例3:水素含有水製品の製造及び空気混入試験(1)
実施例1及び比較例1のスパウト付包装容器を用い水素含有水製品を製造した。これら容器の適正充填量は200mlである。
上記実施例1のスパウト付包装容器に、水素含有水を容器からわずかに溢れる程度まで(充填容量:約220ml)充填した。ここで用いたスパウトは、熱溶着部の下端からの長さが60mmのもの(図3(b)参照)を使用した。
その後、包装容器の対向する側面を同時に押圧し、容器内に残存する空気を少量の水素含有水と共に排出し、水素含有水が排出している間に充填包装機を用いてスパウト開口部をシール・キャップし、その後85℃、30分間加熱殺菌し、水素含有水製品を製造した。
なお、押圧の際の圧力を調整することにより、水素含有水の充填量(約220ml)に対する水素含有水の排出量が約3%又は約10%となる製品を、それぞれ10個ずつ製造した。
また、比較例1のスパウト付包装容器(スパウトの熱溶着部の下端からの長さ:60mm)を用い、水素含有水充填後に押圧せずにそのままスパウト開口部をシール・キャップ・加熱殺菌した製品を10個製造した。
【0038】
製造した各水素含有水製品への混入空気量の測定は以下のように行った。
メスシリンダーを水で完全に満たし、水で満たした100Lの水槽に水没させ、逆さ向きにした。製造した各水素含有水製品を該水槽に水没させ、水中でキャップを開封し、内容物を押出し、排出された空気をメスシリンダーで回収した。メスシリンダーの目盛より混入空気量(ml)を測定し、その平均値を測定した。
得られた結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例4:水素含有水製品の製造及び空気混入試験(2)
実施例3で使用したガゼットタイプの包装容器(実施例1及び比較例1)に替えて、実施例2及び比較例2のスパウト付包装容器を用い水素含有水製品を製造した。これら容器の適正充填量は180mlである。
上記実施例2のスパウト付包装容器に、水素含有水が容器からわずかに溢れる程度まで(約200ml)充填した。ここで用いたスパウトは、熱溶着部の下端(図2参照)からの長さが60mmのものを使用した。
その後、包装容器の対向する側面を同時に押圧し、容器内に残存する空気を少量の水素含有水と共に排出し、水素含有水が排出している間に充填包装機を用いてスパウト開口部をシール・キャップし、その後85℃、30分間加熱殺菌し、水素含有水製品を製造した。
なお、押圧の際の圧力を調整することにより、水素含有水の充填量(約200ml)に対する水素含有水の排出量が約1%又は約5%となる製品を、それぞれ10個ずつ製造した。
また、比較例2のスパウト付包装容器(スパウトの熱溶着部の下端からの長さ:60mm)を用い、水素含有水充填後に押圧せずにそのままスパウト開口部をシール・キャップ・加熱殺菌した製品を10個製造した。
製造した各水素含有水製品への混入空気量の測定を実施例3と同じ手順で行った。
結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
実施例5:水素含有水製品の製造及び空気混入試験(3)
実施例3で使用した各スパウト付包装容器において、熱溶着部の下端(図2参照)からの長さが12mmのスパウト(図3(c)参照)を使用した以外は、実施例3と同様に水素含有水製品を製造した。
製造した各水素含有水製品への混入空気量の測定を実施例3と同じ手順で行った。
結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
実施例6:水素含有水製品の製造及び空気混入試験(4)
実施例3で使用したスパウト付包装容器において、熱溶着部の下端(図2参照)からの長さが5mmのスパウト(図3(d)参照)を使用した以外は、実施例3と同様に水素含有水製品を製造した。
製造した各水素含有水製品への混入空気量の測定を実施例3と同じ手順で行った。
結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】
実施例3〜実施例6に示すように、実施例1及び実施例2で製造した本発明のスパウト付包装容器を用いて製造された水素含有水製品は、比較例1及び比較例2の従来のスパウト付き包装容器と比べて、容器内に残存する空気量をはるかに低く抑えることができた。
【符号の説明】
【0047】
1 スパウト付包装容器
2 容器体
21a 正面シート
21b 背面シート
21c 右側面シート
21d 左側面シート
21e 底面シート
22 底部
23 まち部
24(24a、24b) ヒートシール部
3 スパウト
31 ストロー部
32 口部
33 雄ネジ部
34 熱溶着部
35 耳部
36 孔
37 フランジ
38 突起部
4 シール縁
41、42 シール縁
43 隙間
5 充填ノズル
6 水素含有水タンク
7 吸引ポンプ
8 押圧具
9 取付ノズル
10 キャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備える、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器であって、
袋状の容器体が、正面シート及び背面シートと、これら正面シート及び背面シートの間に折り畳まれて挟まれた左側面シート及び右側面シートを有し、
正面シートの右側縁と右側シートの前側縁、右側シートの後側縁と背面シートの右側縁、背面シートの左側縁と左側シートの後側縁、並びに左側シートの前側縁と正面シートの左側縁とが夫々ヒートシールされることによってまち部を有する袋状に形成されてなり、
前記スパウトは、正面シートと背面シートの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とのヒートシールにより装着されてなり、
ここで、
スパウトと正面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の正面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シートの上縁部と右側シート又は左側シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
また、スパウトと背面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の背面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シートの上縁部と右側シート又は左側シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
そして、スパウトと正面シートとのヒートシール部から正面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、及び正面シートの左側縁シール部に延びるシール縁、並びに、スパウトと背面シートとのヒートシール部から背面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、及び背面シートの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器。
【請求項2】
可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備える、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器であって、
袋状の容器体が、正面シート及び背面シートと、これら正面シート及び背面シートの間に折り畳まれて挟まれた底面シートを有し、
正面シートの右側縁と背面シートの右側縁、正面シートの左側縁と背面シートの左側縁、正面シートの下側縁と底面シートの前側縁、並びに背面シートの下側縁と底面シートの後側縁とが夫々ヒートシールされることによって袋状に形成されてなり、
前記スパウトは、正面シートと背面シートの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とのヒートシールにより装着されてなり、
ここで、
スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の正面シート及び背面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シートの上縁部と背面シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
そして、スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から正面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から正面シートの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器。
【請求項3】
前記スパウトがバリアスパウト、バリアキャップ付きのスパウト又はバリアキャップ付きのバリアスパウトである、請求項1又は請求項2記載のスパウト付包装容器。
【請求項4】
飲料用水素含有水を請求項1に記載のスパウト付包装容器に充填・密封されてなる飲料用水素含有水製品。
【請求項5】
飲料用水素含有水を請求項2に記載のスパウト付包装容器に充填・密封されてなる飲料用水素含有水製品。
【請求項1】
可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備える、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器であって、
袋状の容器体が、正面シート及び背面シートと、これら正面シート及び背面シートの間に折り畳まれて挟まれた左側面シート及び右側面シートを有し、
正面シートの右側縁と右側シートの前側縁、右側シートの後側縁と背面シートの右側縁、背面シートの左側縁と左側シートの後側縁、並びに左側シートの前側縁と正面シートの左側縁とが夫々ヒートシールされることによってまち部を有する袋状に形成されてなり、
前記スパウトは、正面シートと背面シートの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とのヒートシールにより装着されてなり、
ここで、
スパウトと正面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の正面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シートの上縁部と右側シート又は左側シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
また、スパウトと背面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の背面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、背面シートの上縁部と右側シート又は左側シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
そして、スパウトと正面シートとのヒートシール部から正面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、及び正面シートの左側縁シール部に延びるシール縁、並びに、スパウトと背面シートとのヒートシール部から背面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、及び背面シートの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器。
【請求項2】
可とう性を備えた袋状の容器体と、スパウトとキャップとを備える、水素含有水を充填するためのスパウト付包装容器であって、
袋状の容器体が、正面シート及び背面シートと、これら正面シート及び背面シートの間に折り畳まれて挟まれた底面シートを有し、
正面シートの右側縁と背面シートの右側縁、正面シートの左側縁と背面シートの左側縁、正面シートの下側縁と底面シートの前側縁、並びに背面シートの下側縁と底面シートの後側縁とが夫々ヒートシールされることによって袋状に形成されてなり、
前記スパウトは、正面シートと背面シートの間に挿入された状態で両シートの上縁略中央部とのヒートシールにより装着されてなり、
ここで、
スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から、該ヒートシール部より下方の正面シート及び背面シートのヒートシールされた右側縁又は左側縁までに亘って、正面シートの上縁部と背面シートの上縁部がそれぞれヒートシールされ、
そして、スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から正面シートの右側縁シール部に延びるシール縁、スパウトと正面シート及び背面シートとのヒートシール部から正面シートの左側縁シール部に延びるシール縁が、それぞれ直線状、凸曲線状、凹曲線状又は略S字曲線状のうちのいずれかの形状をなすことを特徴とする、スパウト付包装容器。
【請求項3】
前記スパウトがバリアスパウト、バリアキャップ付きのスパウト又はバリアキャップ付きのバリアスパウトである、請求項1又は請求項2記載のスパウト付包装容器。
【請求項4】
飲料用水素含有水を請求項1に記載のスパウト付包装容器に充填・密封されてなる飲料用水素含有水製品。
【請求項5】
飲料用水素含有水を請求項2に記載のスパウト付包装容器に充填・密封されてなる飲料用水素含有水製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−240959(P2011−240959A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114459(P2010−114459)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(501233282)株式会社シェフコ (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(501233282)株式会社シェフコ (3)
【Fターム(参考)】
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