説明

スパッタリングシステム

【課題】均一なスパッタリング及び蒸着効果を得ることができるスパッタリングシステムを提供する。
【解決手段】スパッタリングシステムは、互いに対向するターゲット10,20,30,40を持つスパッタ装置1,2が並列に配され、スパッタ装置の間の両側からガス供給管50,60によりガスが供給され、また、スパッタ装置の両側の開口を通じて2つの蒸着基板71,81に対する薄膜蒸着が同時に行われ、プラズマ領域が、ターゲットが互いに対向する空間に限定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリングシステムに係り、より詳細には、互いに対向するターゲットを持つスパッタ装置が互いに並列に配され、スパッタ装置間の両側から、ガス供給管によりターゲットの対向する空間にガスが供給されることによって、均一なスパッタリング及び蒸着効果を得ることができるスパッタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
金属膜または透明導電膜などの無機膜を成膜する代表的な方法として、スパッタリング方法が知られている。
【0003】
スパッタリング方法は、真空容器内にArガスなどの希ガスを導入し、スパッタリングターゲットを含むカソードに直流(Direct Current:DC)電力または高周波(Radio Frequency:RF)電力を150V以上の高圧で供給して、グロー放電を通じて成膜する方法である。
【0004】
このようなスパッタリング方法は、TFT(Thin Film Transistor) LCD(Liquid Crystal Display)や、有機電界発光表示装置などの平板表示装置、または各種電子デバイス製作工程の成膜工程で代表的に使われる方法であって、広範囲な応用範囲を持つドライプロセス技術として知られている。
【0005】
プラズマソースとして使われる不活性ガス(Arなど)がイオン化すれば、ターゲット表面に衝撃を与えて物質を蒸気化させ、リフレクション現象が発生することもある。また、酸化物系列の物質をスパッタリングする時には、酸素の陰イオンなどがカソードでの強い反撥力により、大きいエネルギーを持って蒸着基板に到達することもある。また、スパッタリング方法によれば、粒子が数eV以上の高いエネルギー状態を持つので、大きい運動エネルギーを持つ粒子が蒸着基板に到達する場合、基板表面を損傷させるか、または基板表面に形成された薄膜をスパッタリングすることもある。
【0006】
特に、有機電界発光表示装置の上部電極を形成するか、または有機薄膜トランジスタの電極を形成するなどの目的で有機膜上に無機膜をスパッタリングする場合、スパッタリング工程中に発生する100eV以上の高いエネルギーを持つ粒子が、前記有機膜と衝突して前記有機膜に損傷を加える。
【0007】
このような問題点を解決するために、ターゲットと蒸着基板との間に特定レベルの電位を持つグリッドを配することによって、イオンの接近を遮断するか、または蒸着基板にバイアス電圧を印加してプラズマの影響を最小化しようとする試みがあるが、改善の余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、基板に薄膜を効果的に蒸着させるスパッタリングシステムを提供するところにある。
【0009】
本発明の他の目的は、複数の基板に同時に薄膜を蒸着できるスパッタリングシステムを提供するところにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、発生する高いエネルギーを持つ粒子の基板衝突を抑制して、基板に形成された有機層のような薄膜層の損傷を防止できるスパッタリングシステムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に関するスパッタリングシステムは、互いに対向するように配される第1ターゲット及び第2ターゲット、並びに前記第1ターゲットと第2ターゲットとのそれぞれの背面に配されて磁場を発生させる磁場発生部を備える第1スパッタ装置と、前記第1ターゲットの側方と前記第2ターゲットの側方とにそれぞれ配され、互いに対向するように配される第3ターゲット及び第4ターゲット、並びに前記第3ターゲットと第4ターゲットとのそれぞれの背面に配されて磁場を発生させる磁場発生部を備える第2スパッタ装置と、前記第1ターゲットと第3ターゲットとの間で、前記第2ターゲット及び第4ターゲットに向けてガスを排出する第1ガス供給管と、前記第2ターゲットと第4ターゲットとの間で、前記第1ターゲットと第3ターゲットに向けてガスを排出する第2ガス供給管と、第1蒸着基板を支持し、前記第1ターゲットと第2ターゲットとの外側エッジに向かって配される第1基板支持部と、第2蒸着基板を支持し、前記第3ターゲットと第4ターゲットとの外側エッジに向かって配される第2基板支持部と、を備える。
【0012】
本発明において、前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとの配置は、前記第1基板支持部に向かう前記第1ターゲットと第2ターゲットとの外側エッジが最も近く設定され、前記第3ターゲットと前記第4ターゲットとの配置は、前記第2基板支持部に向かう前記第3ターゲットと第4ターゲットとの外側エッジが最も近く設定されるようにしてもよい。
【0013】
本発明において、前記第1ターゲットと第2ターゲットとは、前記第1基板支持部に向かう方向へ行くほど互いに近づくように傾いて配され、前記第3ターゲットと第4ターゲットとは、前記第2基板支持部に向かう方向へ行くほど互いに近づくように傾いて配されるようにしてもよい。
【0014】
本発明において、前記磁場発生部は、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットのそれぞれの背面のエッジに配される外側磁石部を備えるようにしてもよい。
【0015】
本発明において、前記磁場発生部は、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットのそれぞれの背面の中心部位に配される中心磁石部を備えるようにしてもよい。
【0016】
本発明において、前記外側磁石部は、前記中心磁石部より強い磁場を発生させるようにしてもよい。
【0017】
本発明において、前記磁場発生部は、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットと、前記外側磁石部との間に配されて、磁場を偏向させるヨークプレートをさらに備えるようにしてもよい。
【0018】
本発明において、前記ヨークプレートは、前記外側磁石部の前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットの背面に向かう端部を取り囲む凹溝を備えるようにしてもよい。
【0019】
本発明において、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットは、その表面の傾いた角度を調整できるように配されるようにしてもよい。
【0020】
本発明において、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットのそれぞれのエッジの前方に配されて、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットに対して放電を引き起こすシールド部をさらに備えるようにしてもよい。
【0021】
本発明において、前記シールド部は、前記第1蒸着基板及び第2蒸着基板に蒸着される物質と同じ物質を含むようにしてもよい。
【0022】
本発明において、前記シールド部と、第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットとには、DC電圧、パルスDC電圧、及びRF電圧からなる群から選択された一つの電圧が印加されるようにしてもよい。
【0023】
本発明において、前記第1基板支持部及び前記第2基板支持部は複数が並列に配され、前記第1スパッタ装置及び前記第2スパッタ装置に対して移動可能であるようにしてもよい。
【0024】
本発明において、前記第1基板支持部及び前記第2基板支持部は複数が並列に配され、前記第1スパッタ装置及び前記第2スパッタ装置は、前記第1基板支持部及び前記第2基板支持部に対して移動可能であるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のスパッタリングシステムは、互いに対向するターゲットを持つスパッタ装置が並列に配され、スパッタ装置の間の両側からガス供給管によりガスが供給されるので、蒸着基板に均一な蒸着がなされうる。また、スパッタ装置の両側の開口を通じて2つの蒸着基板に対する薄膜蒸着が同時に行われうる。また、プラズマ領域が、ターゲットが互いに対向する空間に限定されうるので、高いエネルギーを持つ粒子の蒸着基板への衝突が抑制され、基板の損傷が大きく低減する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に関するスパッタリングシステムの構成要素の配置関係を概略的に示した概念図である。
【図2】本発明の他の実施形態に関するスパッタリングシステムの構成要素の配置関係を概略的に示した概念図である。
【図3】図1及び図2のスパッタリングシステムで、加速粒子がターゲットに衝突する作用を示した説明図である。
【図4】本発明に対する比較例として製作されたスパッタリングシステムの磁場配置を示した模式図である。
【図5】図1に対応したスパッタリングシステムの磁場配置を示した模式図である。
【図6】図2に対応したスパッタリングシステムの磁場配置を示した模式図である。
【図7】図4ないし図6のスパッタリングシステムのターゲット表面での磁場サイズを比較したグラフである。
【図8】図4ないし図6のスパッタリングシステムのターゲット表面での垂直方向の磁場サイズを比較したグラフである。
【図9】図4ないし図6のスパッタリングシステムのターゲット表面での水平方向の磁場サイズを比較したグラフである。
【図10】図5及び図6のスパッタリングシステムの対向するターゲット間の中心での磁場のサイズを示したグラフである。
【図11】図4ないし図6のスパッタリングシステムのターゲットに対する磁場入射角度を示したグラフである。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に関するスパッタリングシステムの構成要素の配置関係を概略的に示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面の実施形態を通じて、本発明に関するスパッタリングシステムの構成と作用を詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に関するスパッタリングシステムの構成要素の配置関係を概略的に示した概念図である。
【0029】
図1に示した実施形態に関するスパッタリングシステムは、第1ターゲット10、第2ターゲット20及び磁気力発生部35を備える第1スパッタ装置1と、第3ターゲット30、第4ターゲット40及び磁気力発生部35を備える第2スパッタ装置2と、第1ガス供給管50と、第2ガス供給管60と、第1基板支持部70と、第2基板支持部80とを備える。
【0030】
前述したスパッタリングシステムは、図面に図示されていないが、外部空気と遮断されたチャンバー内に配されうる。チャンバーは、第1スパッタ装置1及び第2スパッタ装置2、並びに第1基板支持部70及び第2基板支持部80の構成要素の外郭を取り囲んで真空ポンプ(図示せず)と連結されることによって、その内部が真空状態に維持されうる。
【0031】
第1スパッタ装置1は、互いに対向するように配される第1ターゲット10及び第2ターゲット20と、第1ターゲット10及び第2ターゲット20のそれぞれの背面に配されて磁場を発生させる磁場発生部35とを備える。
【0032】
第2スパッタ装置2は第1スパッタ装置1と同じ構成を持つが、互いに対向するように配される第3ターゲット30及び第4ターゲット40と、第3ターゲット30及び第4ターゲット40のそれぞれの背面に配されて磁場を発生させる磁場発生部35を備える。第3ターゲット30は第1ターゲット10の側方に配され、第4ターゲット40は第2ターゲット20の側方に配される。
【0033】
第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40は、第1蒸着基板71及び第2蒸着基板81に蒸着される物質を含む。例えば、有機発光ディスプレイ装置の製造に当たっては、第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40は、有機発光ディスプレイ装置の薄膜トランジスタのソースもしくはドレイン電極、またはゲート電極などを形成するためのアルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)などの多様な金属やこれらの合金を含むことができ、有機発光膜のアノード電極または共通電極などの成膜材料であるITO(Indium−Tin Oxide)、IZO(Indium−Zinc Oxide)、IO(Indium Oxide)、ZnO、TZO(Tin−Zinc Oxide)、AZO、GZOなどを含むこともできる。
【0034】
第1ガス供給管50は、第1ターゲット10と第3ターゲット30との間に配されて、供給ノズル51を通じて第2ターゲット20及び第4ターゲット40に向けてガスを排出する。第2ガス供給管60は、第2ターゲット20と第4ターゲット40との間に配されて、供給ノズル61を通じて第1ターゲット10及び第3ターゲット30に向けてガスを排出する。
【0035】
第1ガス供給管50及び第2ガス供給管60により供給されるガスは、Kr、Xe、Ar、またはArとOとの混合ガスを含むことができる。
【0036】
第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40のエッジの前方にはシールド部91が配されうる。シールド部91は接地されてアノードの機能を果たす。第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40は、それぞれ電源部5の負(−)の電圧を印加されることでカソードの機能を果たす。シールド部91はスパッタ物質と同じ物質を含むことができ、これによって汚染を防止する。
【0037】
図面には、電源部5にDC電源が使われると図示されたが、本発明はこれに限定されず、RF電源またはDCパルス電源などを使用してもよい。
【0038】
第1スパッタ装置1及び第2スパッタ装置2は、第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40のそれぞれの背面に配されて磁場を発生させる磁場発生部35を備える。磁場発生部35は、第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40のそれぞれの背面のエッジに配される外側磁石部31を備えることができる。
【0039】
外側磁石部31は、第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40(以下では、これらの構成要素をターゲット10、20、30、40と称することができる)のそれぞれの背面のエッジを取り囲むリング状に製造できる。
【0040】
磁場発生部35は、第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40のそれぞれの背面の中心部位に配される中心磁石部32をさらに備えることができる。中心磁石部32は、例えば、棒磁石状に製造されうる。外側磁石部31は、中心磁石部32より強い磁力を持つように製造されうる。
【0041】
外側磁石部31及び中心磁石部32の磁極配置方向は、第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40の表面に対して概略垂直な方向に設定される。また第1ターゲット10の背面に配された磁場発生部35と、第2ターゲット20の背面に配された磁場発生部35との磁極配置方向は、第1ターゲット10と第2ターゲット20とを連結する磁界を形成するように互いに逆の方向に設定される。
【0042】
図1に図示されたように、第1ターゲット10の背面の外側磁石部31及び中心磁石部32は、図面の下側に向かう方向がN極を持ち、第2ターゲット20の背面の外側磁石部31及び中心磁石部32は、図面の上側に向かう方向がS極を持つ。
【0043】
これと同様に、第3ターゲット30の背面に配された磁場発生部35と、第4ターゲット40の背面に配された磁場発生部35との磁極配置方向は、第3ターゲット30と第4ターゲット40とを連結する磁界を形成するように互いに逆の方向に設定される。
【0044】
磁場発生部35は、ヨークプレート33をさらに備えることができる。ヨークプレート33は板状であり、第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40のそれぞれと外側磁石部31との間に配される。ヨークプレート33は、外側磁石部31及び中心磁石部32により磁性を帯びることができる物質からなることが望ましい。すなわち、ヨークプレート33は、鉄、コバルト、ニッケル及びこれらの合金のうちいずれか一つを含んで強磁性体になりうる。
【0045】
ヨークプレート33は、外側磁石部31及び中心磁石部32により形成された磁場の方向を、ターゲットの表面に垂直な方向になるように偏向させて磁場を均一にする機能を果たす。ヨークプレート33の作用により、第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40の表面に対して垂直に形成された磁場の配置形態は後述する。
【0046】
ヨークプレート33は、外側磁石部31の第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40の背面に向かう端部を取り囲む凹溝33aを備えることができる。このように、ヨークプレート33がターゲット10、20、30、40の端部を取り囲むことによって、ターゲット10、20、30、40のエッジ部分での磁界が強く形成されるので、プラズマ領域をターゲット10、20、30、40の間の空間に制限できる。
【0047】
外側磁石部31及び中心磁石部32は、フェライト系、ネオジム系(例えば、ネオジム、鉄、ホウ素など)磁石やサマリウムコバルト系磁石などの強磁性体からなりうる。
【0048】
ターゲット10、20、30、40と磁場発生部35とシールド部91とは、一側に開口部が形成されたケース92により取り囲まれうる。ターゲット10、20、30、40は、ケース92の開口部を通じて外部に露出されるように配され、ケース92の前面ではターゲット10、20、30、40のエッジの前方にシールド部91が配されうる。
【0049】
第1スパッタ装置1の外側には、第1ターゲット10及び第2ターゲット20の外側エッジに向かうように第1基板支持部70が配される。第1基板支持部70は、第1蒸着基板71を支持する。
【0050】
第2スパッタ装置2の外側にも、第3ターゲット30及び第4ターゲット40の外側エッジに向かうように第2基板支持部80が配される。第2基板支持部80は、第2蒸着基板81を支持する。
【0051】
カソードのターゲット10、20、30、40に電源部5の負電圧を印加して放電させれば、放電により生成された電子がArガスと衝突することによって、Arイオンを生成してプラズマが発生する。プラズマは、磁場発生部35により発生した磁界により、第1ターゲット10と第2ターゲット20との間の空間及び第3ターゲット30と第4ターゲット40との間の空間内に制限されうる。プラズマは、γ−電子、陰イオン、陽イオンなどを含むことができる。
【0052】
第1スパッタ装置1及び第2スパッタ装置2で発生したプラズマ内の電子は、対向するターゲット10、20、30、40の間の磁気力線に沿って回動しつつ高密度プラズマを形成させると同時に、ターゲット10、20、30、40にかかった負の電圧により往復動しつつ高密度プラズマを維持できる。
【0053】
プラズマ内で形成されるか、または印加された電圧によって形成されたあらゆる電子やイオンは、磁気力線に沿って回動し、同様にγ−電子、陰イオン、陽イオンなどの電荷を帯びたイオン粒子も磁気力線に沿って往復動するため、100eV以上の高いエネルギーを持つ電荷を帯びた粒子は反対側ターゲットに加速されて、ターゲット10、20、30、40間の空間内に形成されたプラズマ内に制限される。
【0054】
この時、ターゲット10、20、30、40のうちいずれか一つのターゲットでスパッタリングされた粒子のうち高いエネルギーを持つ粒子は、反対側ターゲットに加速されて第1蒸着基板71及び第2蒸着基板81上に影響を与え難く、比較的低いエネルギーを持つ中性粒子の拡散によって薄膜形成が行われうる。
【0055】
第1スパッタ装置1と第2スパッタ装置2との間で、第1ターゲット10と第3ターゲット30との間に配された第1ガス供給管50と、第2ターゲット20と第4ターゲット40との間に配された第2ガス供給管60とにより、ターゲット10、20、30、40が取り囲む空間に向かってガスが均一に供給されるので、プラズマ形成が均一になって、第1蒸着基板71及び第2蒸着基板81で良好な蒸着結果を得ることができる。
【0056】
したがって、従来のスパッタリング装置を利用する場合に比べてプラズマによる損傷、すなわち、高いエネルギーを持つ粒子の衝突による基板の損傷を防止すると共に、基板上に良質の薄膜を形成できる。
【0057】
また第1スパッタ装置1及び第2スパッタ装置2をいずれも駆動することで、2つの蒸着基板71、81に対する薄膜形成工程を同時に行えるので、生産速度が大きく向上するという長所がある。
【0058】
図2は、本発明の他の実施形態に関するスパッタリングシステムの構成要素の配置関係を概略的に示した概念図である。
【0059】
図2に示した実施形態に関するスパッタリングシステムに備えられた構成要素は図1のスパッタリングシステムと同一であるので、同じ符号を利用して図示した。
【0060】
図2のスパッタリングシステムでは、第1ターゲット10及び第2ターゲット20の相対的な配置と、第3ターゲット30及び第4ターゲット40の相対的な配置とが変形された。第1基板支持部70に向かう第1ターゲット10及び第2ターゲット20の外側エッジが最も近く設定される。すなわち、第1ターゲット10及び第2ターゲット20は、第1基板支持部70に向かう方向へ行くほど互いに近づくように、第1ターゲット10と第2ターゲット20のうち、少なくとも一つが傾いて配される。
【0061】
第2基板支持部80に向かう第3ターゲット30及び第4ターゲット40の外側エッジも最も近く設定される。すなわち、第3ターゲット30と第4ターゲット40とは第2基板支持部80に向かう方向へ行くほど互いに近づくように、第3ターゲット30と第4ターゲット40のうち、少なくとも一つが傾いて配される。
【0062】
このように、第1ターゲット10と第2ターゲット20とが第1蒸着基板71の方向へ行くほど互いに近づくように傾き、第3ターゲット30と第4ターゲット40とが第2蒸着基板81の方向へ行くほど互いに近づくように傾くことで、さらに確実にプラズマ領域をターゲット10、20、30、40の間の空間に制限できる。
【0063】
第1ターゲット10、第2ターゲット20、第3ターゲット30及び第4ターゲット40は、その表面の傾いた角度を調整するように配されうる。このために、ターゲット10、20、30、40を支持するケース92が、例えば、モータ(図示せず)などの駆動手段により回転可能に配されうる。したがって、ケース92を回転させることによって、磁場発生部35により発生する磁場の関係を考慮して、ターゲット10、20、30、40の傾斜角を最適に調整することができる。
【0064】
図3は、図1及び図2のスパッタリングシステムで、加速粒子がターゲットに衝突する作用を示した説明図である。
【0065】
図3の(a)部分では、図1のスパッタリングシステムでのように、互いに概略平行に配されたターゲット10aに加速粒子がθの入射角で衝突すれば、ターゲット10aからターゲット物質の粒子を放出するか、または弾性あるいは非弾性の衝突をして散乱されることによって、ターゲット10aの表面に垂直な線に対してcosθの粒子フローを生成させる。この時、ターゲット10aから飛び出す角度がターゲット10aの外側に向かうようになるので、蒸着基板側に加速粒子が進む可能性がある。
【0066】
図3の(b)部分では、図2のスパッタリングシステムのように、蒸着基板に向かう方向である外側に向かっていくほどターゲットが互いに近づくように、ターゲット10bが傾いて配される。ターゲット10bの表面がスパッタ装置の中心に向かうように傾いているので、加速粒子が同じ入射角θをなしてターゲット10bに衝突する場合にも、図3の(a)に図示されたターゲット10aに衝突した場合に比べてスパッタ装置の中心に向かうように、偏って散乱される。
【0067】
加速粒子がターゲット10bの表面で大きいエネルギーを持って散乱されるとしても、スパッタ装置から外側に抜け出る確率が大きく低減するので、高いエネルギーを持つ粒子の衝突による基板の損傷をより確実に防止できる。したがって、このような構造を持つ本発明の実施形態に関するスパッタリングシステムを利用する場合、大面積の基板でも損傷を与え難いスパッタリング工法を実現できる。
【0068】
図4は、本発明に対する比較例として製作されたスパッタリングシステムの磁場配置を示した模式図である。図4の比較例は、図1及び図2に示された実施形態に関するスパッタリングシステムと比較するために製作されたスパッタリングシステムであって、第1スパッタリング装置及び第2スパッタリング装置を並列に配して、2つの蒸着基板に対する薄膜形成工程を進めることができる本発明の実施形態とは異なって一つのスパッタリング装置を利用したシステムである。
【0069】
互いに対向するターゲット101、102の間の空間にプラズマ領域を制限するために、ターゲット101、102の背面に配された磁石110、120の配列及び磁気力の強度を最適化したとしても、ターゲット101、102の表面で大きいエネルギーを持って飛び出した粒子は、蒸着基板103に到達できる。またターゲット101、102の間に形成されたプラズマ領域で発生した加速粒子がターゲット101、102の左右方向に拡散できるため、ターゲット101、102の全体消耗量のうち一部のみ薄膜の形成に利用されるという制限が存在する。
【0070】
図5は、図1のスパッタリングシステムの磁場配置を示した模式図である。
【0071】
図5のスパッタリングシステムでは、第1スパッタ装置1及び第2スパッタ装置2を並列に配して、第1ターゲット10と第2ターゲット20との間の開口を通じて第1蒸着基板71に薄膜を形成し、第3ターゲット30と第4ターゲット40との間の開口を通じ第2蒸着基板81に薄膜を形成できる。
【0072】
このように、2つのスパッタ装置を並列に配して両側の開口を使用すれば、材料の使用効率が理論的に100%に向上できる。また2枚の蒸着基板に対して同時に蒸着作業を行えるので、設備構成面や製造工程時間(TACT TIME)の低減側面でも非常に有利である。
【0073】
図6は、図2のスパッタリングシステムの磁場配置を示した模式図である。
【0074】
2つのスパッタ装置を並列に配する時には、隣接する磁石により、スパッタリング装置が隣り合う中央部分で磁束密度が増大して、一つのターゲット表面で磁場の歪みが発生しうる。したがって、このような現象を防止するために磁石の機械的な大きさや磁性の強度を調節せねばならない。
【0075】
図6は、図2に示された実施形態に関するスパッタリングシステムが、図5のターゲット10、20、30、40のエッジで発生しうる問題点を補完するということを示す。
【0076】
ターゲット10、20、30、40を傾くように配することによって、蒸着基板71、81に向かうターゲット10、20、30、40の外側エッジ部分を互いに近く位置させ、磁石の配列及びサイズを最適化すれば、図6のような磁束密度を得ることができる。
【0077】
図4や図5のスパッタリングシステムでの磁束密度に比べて、図6では、磁束密度を高めることができる。これによって、プラズマ領域を、スパッタリングシステムのターゲット10、20、30、40が互いに対向する空間により制限させることができる。
【0078】
これによってターゲットスパッタ収率を増大させて蒸着率を高めることができる。また、ターゲット10、20、30、40のエッジでの磁束密度が増大するため、プラズマから流出される加速粒子の流出程度を極小化できる。
【0079】
また対向するターゲットの表面が平行でないため、ターゲット表面から飛び出した高エネルギーの粒子が蒸着基板71、81に影響を与える確率がほぼ0に近い。
【0080】
図7は、図4ないし図6のスパッタリングシステムのターゲット表面での磁場サイズを比較したグラフであり、図8は、図4ないし図6のスパッタリングシステムのターゲット表面での垂直方向の磁場サイズを比較したグラフであり、図9は、図4ないし図6のスパッタリングシステムのターゲット表面での水平方向の磁場サイズを比較したグラフであり、図10は、図5及び図6のスパッタリングシステムの対向するターゲット間の中心での磁場サイズを示したグラフである。
【0081】
図7ないし図10に示したスパッタリングシステムは、NbFeB系列の同じ磁石を使用して磁場を測定したものであって、‘Single’と表示されたグラフは、図4の実験例に対応し、‘Double’と表示されたグラフは、図5の実施形態に対応する二重構造のスパッタリングシステムであり、‘Modified’と表示されたグラフは、図6の実施形態に対応する改善された二重構造のスパッタリングシステムである。
【0082】
図6の実施形態に対応する‘Modified’スパッタリングシステムでは、エッジに配される外側磁石部のサイズを、中央に位置した中心磁石部のサイズの半分にして最適化した場合である。
【0083】
図7のグラフを説明すれば、ターゲット表面での磁場のサイズは、図4の実験例のスパッタリングシステムの場合より、図6の実施形態の改善された二重構造のスパッタリングシステムの場合が大きいことが分かる。これは、ターゲットの中央に磁石を追加し、ターゲットを傾くように配して外側エッジの外側磁石部が近づいたためである。
【0084】
またターゲットを取り囲む磁性体ヨークプレート構造を利用することによって、エッジ部分での垂直成分の磁場サイズを大きくすることができる。そして、図5の実施形態の二重構造のスパッタリングシステムで、ターゲットが平行に配されていないとしても、最適化した磁石配列を設計することによってターゲット表面での磁場を一定に維持できるということが分かり、これから、ターゲットの浸食跡(erosion profile)が全域にわたって発生することが予測できる。
【0085】
図8を説明すれば、垂直方向の磁場成分が大きいので、図4の実験例の単一構造スパッタリングシステム及び図5の実施形態の二重構造スパッタリングシステムに比べて、図6の実施形態の改善されたスパッタリングシステムでスパッタ率が増大し、その結果、蒸着率も増大すると期待される。
【0086】
図9は図4ないし図6の場合におけるターゲット表面の水平方向の磁場の大きさを比較したグラフであるが、垂直方向の磁場とは違って、水平方向の磁場は別に差がない。
【0087】
図10を説明すれば、図5の実施形態の二重構造スパッタリングシステムに比べて、図6の実施形態の改善されたスパッタリングシステムでの磁場がさらに大きいということが分かる。これは、ターゲットが平行でなく、外側のエッジに向かうほど近づくように配された効果、及びターゲットの中央に磁石をさらに配列することによって得られる結果である。
【0088】
強い磁場はプラズマ内のイオンを強く拘束できるので、加速されたイオンはターゲットが対向する空間でさらに強く密集されうる。これにより、プラズマの密度をさらに高めることができ、蒸着基板側に流出されるイオンを孤立させることができる。
【0089】
図11は、図1及び図2のスパッタリングシステムのターゲットに対する磁場入射角度を示したグラフである。
【0090】
一般的に、スパッタリング時に加速粒子の入射角が60°付近である時、スパッタ率が大きくなる。図11のグラフを通じて分かるように、図4の実験例の単一構造スパッタリングシステムや図5の実施形態の二重構造スパッタリングでは、ターゲットのエッジ領域でスパッタ率が高く、このために不均一な浸食が発生する虞がある。ターゲットのエッジに位置した磁石をターゲットの側面方向ではない背面方向に配する場合には、中央部の浸食率が増大する。
【0091】
しかし、エッジでの磁束密度を強くしてターゲット中央部にさらに磁石を配列すれば、ターゲットの全域にわたって磁束の入射角を低めることができ、これによりターゲット浸食を全域にわたって均一にすることができるという長所がある。
【0092】
図12は、本発明のさらに他の実施形態に関するスパッタリングシステムの構成要素の配置関係を概略的に示した概念図である。
【0093】
図12に示した実施形態に関するスパッタリングシステムは、図2の実施形態に関するスパッタリングシステムと全体的な構成が類似しているが、複数の第1基板支持部70、73が並列に配され、複数の第2基板支持部80、83が並列に配される。第1基板支持部70、73及び第2基板支持部80、83のそれぞれは、第1スパッタ装置1及び第2スパッタ装置2に対して矢印A方向に沿って移動自在に配される。
【0094】
このような構成によれば、まず第1蒸着基板71及び第2蒸着基板81についての成膜工程を行った後、成膜が完了すれば、第1基板支持部70、73及び第2基板支持部80、83を移動させて、次の第1蒸着基板72及び第2蒸着基板82についての成膜工程を行える。したがって、本実施形態に関するスパッタリングシステムは、複数の蒸着基板についての成膜工程を連続的に行えるので、量産が容易な長所がある。
【0095】
本発明は、前述したように基板支持部70、73、80、83を移動自在に配する構成により限定されるものではなく、これを変形できる。例えば、複数の第1基板支持部70、73を並列に配し、複数の第2基板支持部80、83を並列に配するが、基板支持部70、73、80、83に対して第1スパッタ装置1及び第2スパッタ装置2を、矢印B方向に沿って移動自在に配置できる。
【0096】
これにより、第1蒸着基板71及び第2蒸着基板81についての成膜工程が完了すれば、第1スパッタ装置1及び第2スパッタ装置2を、次の第1蒸着基板72及び第2蒸着基板82の位置に移動させて成膜工程を連続的に行える。
【0097】
また、第1スパッタ装置1と第2スパッタ装置2との全部を同時に駆動させる必要はなく、例えば、第1スパッタ装置1のみに電圧を印加し、第2スパッタ装置2に対する電圧は遮断することによって、一側の蒸着基板71、72に対してのみ成膜工程を進めて装備運転の効率性を向上させることができる。
【0098】
単一構造を持つ従来のスパッタリングシステムでは1方向の開口を活用するため、ターゲットの材料使用率が最大1/2であるが、本発明の二重構造スパッタリングシステムによれば、両方向を使用するので、理論的に100%に至る材料使用率を期待することができる。また、同時に2個の蒸着基板に対する成膜工程の進行が可能であって、製造にかかる工程時間(TACT TIME)を最大半分に短縮できるという長所がある。
【0099】
また図2などに示された実施形態と同様に、対向するターゲットを平行とならないように一定角度を与えて、蒸着基板に向かうスパッタ装置の開口でターゲットを互いに近づけることで、ターゲットの外側エッジでの磁場を大きくすることができる。これによって、プラズマの領域をスパッタリングシステムの内側に制限させることができて、蒸着基板の損傷を防止できる。したがって、有機膜が蒸着された基板などの損傷を抑制して無機膜及び電極を形成できる。
【0100】
対向するターゲットの方向がスパッタリングシステムの中心に向かうように傾斜を与えれば、ターゲット表面で高いエネルギーを持って反射される粒子をスパッタリングシステムの内部空間に制限でき、これにより、基板表面の強い衝撃などを防止して損傷が抑制されるスパッタリングを具現できる。
【0101】
また、傾いて対向するターゲットの配置と共に磁石配列及び磁場のサイズを最適化すれば、磁場の歪みを防止してスパッタリングシステム内部の磁束密度を増大させることができる。これによってプラズマの密度を高めることができるので、良好な蒸着率を得ることができる。
【0102】
本発明のスパッタリングシステムは、一般的なFPDの電極及び無機膜の形成だけでなく、OLEDの電極形成において損傷の抑制された大面積の蒸着工法が可能なため、設備の設計及び配置が容易であり、大型化の実現に適している。また蒸着基板の損傷を抑制するので、有機電界発光素子の薄膜封止工程に活用でき、損傷の抑制されたAl、SiNxなどのバリアー蒸着に使用でき、よって大面積の薄膜封止の実現が可能である。
【0103】
本発明は前述した実施形態を参考までに説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求の範囲により定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、スパッタリングシステム関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0105】
1 第1スパッタ装置、
2 第2スパッタ装置、
5 電源部、
10 第1ターゲット、
10a ターゲット、
10b ターゲット、
20 第2ターゲット、
30 第3ターゲット、
31 外側磁石部、
32 中心磁石部、
33 ヨークプレート、
33a 凹溝、
35 磁気力発生部、
40 第4ターゲット、
50 第1ガス供給管、
51 供給ノズル、
60 第2ガス供給管、
61 供給ノズル、
70、73 第1基板支持部、
71、72 第1蒸着基板、
80、83 第2基板支持部、
81、82 第2蒸着基板、
91 シールド部、
92 ケース、
101、102 ターゲット、
103 蒸着基板、
110、120 磁石。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように配される第1ターゲット及び第2ターゲット、並びに前記第1ターゲットと第2ターゲットとのそれぞれの背面に配されて磁場を発生させる磁場発生部を備える第1スパッタ装置と、
前記第1ターゲットの側方と前記第2ターゲットの側方とにそれぞれ配され、互いに対向するように配される第3ターゲット及び第4ターゲット、並びに前記第3ターゲットと第4ターゲットとのそれぞれの背面に配されて磁場を発生させる磁場発生部を備える第2スパッタ装置と、
前記第1ターゲットと第3ターゲットとの間で、前記第2ターゲット及び第4ターゲットに向けてガスを排出する第1ガス供給管と、
前記第2ターゲットと第4ターゲットとの間で、前記第1ターゲットと第3ターゲットに向けてガスを排出する第2ガス供給管と、
第1蒸着基板を支持し、前記第1ターゲットと第2ターゲットとの外側エッジに向かって配される第1基板支持部と、
第2蒸着基板を支持し、前記第3ターゲットと第4ターゲットとの外側エッジに向かって配される第2基板支持部と、を備える、スパッタリングシステム。
【請求項2】
前記第1ターゲットと前記第2ターゲットとの配置は、前記第1基板支持部に向かう前記第1ターゲットと第2ターゲットとの外側エッジが最も近く設定され、前記第3ターゲットと前記第4ターゲットとの配置は、前記第2基板支持部に向かう前記第3ターゲットと第4ターゲットとの外側エッジが最も近く設定されることを特徴とする、請求項1に記載のスパッタリングシステム。
【請求項3】
前記第1ターゲットと第2ターゲットとは、前記第1基板支持部に向かう方向へ行くほど互いに近づくように傾いて配され、前記第3ターゲットと第4ターゲットとは、前記第2基板支持部に向かう方向へ行くほど互いに近づくように傾いて配されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスパッタリングシステム。
【請求項4】
前記磁場発生部は、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットのそれぞれの背面のエッジに配される外側磁石部を備えることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のスパッタリングシステム。
【請求項5】
前記磁場発生部は、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットのそれぞれの背面の中心部位に配される中心磁石部を備えることを特徴とする、請求項4に記載のスパッタリングシステム。
【請求項6】
前記外側磁石部は、前記中心磁石部より強い磁場を発生させることを特徴とする、請求項5に記載のスパッタリングシステム。
【請求項7】
前記磁場発生部は、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットと、前記外側磁石部との間に配されて、磁場を偏向させるヨークプレートをさらに備えることを特徴とする、請求項4〜6のうちのいずれか1つに記載のスパッタリングシステム。
【請求項8】
前記ヨークプレートは、前記外側磁石部の前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットの背面に向かう端部を取り囲む凹溝を備えることを特徴とする、請求項7に記載のスパッタリングシステム。
【請求項9】
前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットは、その表面の傾いた角度を調整できるように配されることを特徴とする、請求項2又は3に記載のスパッタリングシステム。
【請求項10】
前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットのそれぞれのエッジの前方に配されて、前記第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットに対して放電を引き起こすシールド部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載のスパッタリングシステム。
【請求項11】
前記シールド部は、前記第1蒸着基板及び第2蒸着基板に蒸着される物質と同じ物質を含むことを特徴とする、請求項10に記載のスパッタリングシステム。
【請求項12】
前記シールド部と、第1ターゲット、第2ターゲット、第3ターゲット、及び第4ターゲットとには、直流電圧、パルス直流電圧、及び高周波電圧からなる群から選択された一つの電圧が印加されることを特徴とする、請求項10又は11に記載のスパッタリングシステム。
【請求項13】
前記第1基板支持部及び前記第2基板支持部は複数が並列に配され、前記第1スパッタ装置及び前記第2スパッタ装置に対して移動可能であることを特徴とする、請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載のスパッタリングシステム。
【請求項14】
前記第1基板支持部及び前記第2基板支持部は複数が並列に配され、前記第1スパッタ装置及び前記第2スパッタ装置は、前記第1基板支持部及び前記第2基板支持部に対して移動可能であることを特徴とする、請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載のスパッタリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−140710(P2011−140710A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187187(P2010−187187)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】