説明

スパッタリング装置

【課題】スパッタリングカソードの装着作業性と成膜の均一性を確保することができるスパッタリング装置を提供する
【解決手段】本発明の実施形態に係るスパッタリング装置は、ターゲットユニット21を空間部19に対して着脱操作する際、リブ18と対向するターゲット部31を、リブ18と対向する第1の状態からリブ18と対向しない第2の状態へ変換可能な変換機構を備える。これにより、ターゲットユニット21の着脱の際、ターゲット部31とリブ18との干渉を防止でき、良好な作業性を確保することができる。また、空間部19に収容された基板の表面に対してターゲット部31〜33の連続性あるいは配置対称性が確保されるため、基板全面に対する成膜の均一性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば分割構造のチャンバを備えるスパッタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリング装置は、真空中で薄膜を形成する成膜装置のひとつとして広く産業界で使用されている。スパッタリング装置は、真空チャンバと、真空チャンバの内部に設置されたターゲットとを備えている。ターゲットは、真空チャンバ内で形成されたプラズマ中のイオンによりスパッタされ、当該スパッタ作用によってターゲット表面から飛び出した粒子は、基板上に堆積させられる。これにより、ターゲットの構成材料からなる薄膜が基板上に形成される。
【0003】
ターゲットは、バッキングプレートやマグネットユニットなどと同様に、スパッタリングカソードの一部として構成される。スパッタリングカソードは、真空チャンバから取り出されることで、メンテナンスやターゲットの交換が行われる。このため、真空チャンバの一側面には、スパッタリングカソードをチャンバ内部へ設置するための開口が形成されており、この開口を介してスパッタリングカソードをチャンバ内部から出し入れするようにしている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、近年における基板の大型化に伴って、真空チャンバも大型化してきている。例えば、基板の縦及び横の寸法は、第10世代では、2850mm×3250mm程度であり、第11世代では、3200mm×3700mm程度になることが予想されている。真空チャンバの大型化は、製作コスト上の問題、設置作業性の問題、輸送上の問題を招く。
【0005】
そこで、真空チャンバを分割構造にすることで上記問題の解決を図ることが知られている。例えば下記特許文献2には、真空チャンバの本体を複数のチャンバ片で構成し、各チャンバ片の接合面に形成されたフランジ部を相互に接合することで、大型の真空チャンバを製造する方法が記載されている。この真空チャンバは、複数本のボルトによって相互に接合される上記フランジ部の間に装着されたシール部材によって、内部の密閉性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−328120号公報
【特許文献2】特開2006−137995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
分割構造の真空チャンバにおいては、その分割領域のシール性を確保するため、各チャンバ片の接合面の間にシール部材を介在させる必要がある。したがって、スパッタリングカソードの着脱に利用される開口が分割されると、シール部材が装着されるチャンバ片の接合端部が上記開口を横切るように位置するため、真空チャンバに対するスパッタリングカソードの着脱に困難を極めることとなる。
【0008】
一方、上記開口の分割構造に対応させて、スパッタリングカソードをも分割構造にすることも可能である。しかし、スパッタリングカソードを分割構造にすると、基板表面に対するターゲットの連続性あるいは配置対称性が損なわれることで、基板全面に対して均一な成膜性が得られない場合がほとんどである。
【0009】
なお、分割構造でない真空チャンバにおいても上記開口の形成によってチャンバの強度を確保できない場合は、上記開口を分割するように補強用の構造体(リブ)が形成されることが多い。このような場合も、上述と同様な問題を有することになる。
【0010】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、スパッタリングカソードの装着作業性と成膜の均一性を確保することができるスパッタリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るスパッタリング装置は、チャンバと、第1のターゲットユニットと、第2のターゲットユニットと、変換機構とを具備する。
上記チャンバは、開口と、上記開口を第1の開口部と第2の開口部とに分割するリブとを含む第1の側面を有する。上記第1及び第2の開口部は、第1の方向に沿って配列される。上記チャンバは、内部に空間部を形成する多面体形状である。
上記第1のターゲットユニットは、上記第1の方向に沿って第1の間隔で配列された複数のターゲット部を有する。上記複数のターゲット部は、上記第1の側面と直交する第2の方向において上記リブと対向するように上記空間部に配置された第1のターゲット部を含む。上記第1のターゲットユニットは、上記第1の開口部を介して上記空間部へ着脱自在に設置される。
上記第2のターゲットユニットは、上記第1の方向に沿って上記第1の間隔で配列された複数のターゲット部を有する。上記複数のターゲット部は、上記第2の方向において上記リブと対向するように、上記第1のターゲット部に対して上記第1の間隔をおいて上記空間部に配置された第2のターゲット部を含む。上記第2のターゲットユニットは、上記第2の開口部を介して上記空間部へ着脱自在に設置される。
上記変換機構は、上記第2の方向において上記第1及び第2のターゲット部が上記リブと対向する第1の状態と上記リブと対向しない第2の状態とを有する。上記変換機構は、上記空間部に対する上記第1及び第2のターゲットユニットの着脱時に上記第1及び第2のターゲット部をそれぞれ上記第1の状態から上記第2の状態へ変換させるためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態によるスパッタリング装置の概略構成を示す平面視断面図である。
【図2】上記スパッタリング装置のチャンバの構成を示す分解斜視図である。
【図3】上記スパッタリング装置の一方のスパッタリングカソードの概略構成を示す要部断面図である。
【図4】上記スパッタリング装置の一方のスパッタリングカソードの構成を示す要部斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態によるスパッタリング装置の概略構成を示す平面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置は、チャンバと、第1のターゲットユニットと、第2のターゲットユニットと、変換機構とを具備する。
上記チャンバは、開口と、上記開口を第1の開口部と第2の開口部とに分割するリブとを含む第1の側面を有する。上記第1及び第2の開口部は、第1の方向に沿って配列される。上記チャンバは、内部に空間部を形成する多面体形状である。
上記第1のターゲットユニットは、上記第1の方向に沿って第1の間隔で配列された複数のターゲット部を有する。上記複数のターゲット部は、上記第1の側面と直交する第2の方向において上記リブと対向するように上記空間部に配置された第1のターゲット部を含む。上記第1のターゲットユニットは、上記第1の開口部を介して上記空間部へ着脱自在に設置される。
上記第2のターゲットユニットは、上記第1の方向に沿って上記第1の間隔で配列された複数のターゲット部を有する。上記複数のターゲット部は、上記第2の方向において上記リブと対向するように、上記第1のターゲット部に対して上記第1の間隔をおいて上記空間部に配置された第2のターゲット部を含む。上記第2のターゲットユニットは、上記第2の開口部を介して上記空間部へ着脱自在に設置される。
上記変換機構は、上記第2の方向において上記第1及び第2のターゲット部が上記リブと対向する第1の状態と上記リブと対向しない第2の状態とを有する。上記変換機構は、上記空間部に対する上記第1及び第2のターゲットユニットの着脱時に上記第1及び第2のターゲット部をそれぞれ上記第1の状態から上記第2の状態へ変換させるためのものである。
【0014】
上記スパッタリング装置は、第1及び第2のターゲットユニットを空間部に対して着脱操作する際、変換機構によって、第1及び第2のターゲット部を、上記リブと対向する第1の状態から上記リブと対向しない第2の状態への変換操作が可能である。したがって、上記スパッタリング装置によれば、第1及び第2のターゲットユニットの着脱の際、上記第1及び第2のターゲット部とリブとの干渉を防止でき、良好な作業性を確保することができる。
【0015】
また、第1及び第2のターゲットユニットが空間部に装着されると、第1及び第2のターゲット部は、第1の間隔をおいて配列されることが可能である。したがって、各ターゲットユニットの複数のターゲット部は、空間部において一方向に等間隔で配列されることが可能となるため、空間部に収容された基板の表面に対してターゲット部の連続性あるいは配置対称性が確保される。したがって、上記スパッタリング装置によれば、基板全面に対する成膜の均一性を確保することができる。
【0016】
チャンバの開口を分割するリブは、当該開口の形成によって低下したチャンバの強度を高めるための補強用リブであってもよい。上記チャンバを分割構造とした場合、上記リブは、各チャンバブロックの接合部で構成されてもよい。
【0017】
例えば、上記チャンバは、第1のチャンバブロックと、第2のチャンバブロックとを含んでいてもよい。上記第1のチャンバブロックは、上記第1の開口部を有する上記第1の側面と、第3の開口部が形成された第2の側面を有する。上記第2のチャンバブロックは、上記第2の開口部を有する上記第1の側面と、第4の開口部が形成された第3の側面を有する。上記第2のチャンバブロックは、上記第3の側面が上記第2の側面と接合されることで、上記第3及び第4の開口部を含む内部空間を上記空間部として形成する。
一方、上記リブは、第1の端縁部と、第2の端縁部との接合構造を有する。上記第1の端縁部は、上記第1の開口部と上記第2の側面との間に形成される。上記第2の端縁部は、上記第2の開口部と上記第3の側面との間に形成される。
これにより、分割構造を有するチャンバに対して、ターゲットユニットの装着性及び成膜均一性を確保することが可能となる。
【0018】
上記分割構造のチャンバを有するスパッタリング装置において、上記第1のターゲット部は、上記第1の状態において上記第1の端縁部と対向してもよく、上記第2のターゲット部は、上記第1の状態において上記第2の端縁部と対向してもよい。
これにより、第1及び第2の開口部に対して第1及び第2のターゲットユニットを適正に装着することが可能となる。
【0019】
上記変換機構の一実施形態として、上記変換機構は、上記第1及び第2の方向にそれぞれ直交する第3の方向に平行な回動軸を有していてもよい。この場合、上記変換機構は、上記回動軸のまわりへ上記第1及び第2のターゲット部を回動させることで、上記第1及び第2のターゲット部を上記第1の状態から上記第2の状態へ変換させることができる。
これにより、簡単な構成で上記変換機構を構成することができる。
【0020】
上記変換機構の他の実施形態として、上記変換機構は、上記第1及び第2のターゲット部を上記第1の方向にスライドさせるガイド部を有していてもよい。この場合、上記ガイド部により上記第1及び第2のターゲット部をスライドさせることで、上記第1及び第2のターゲット部を上記第1の状態から上記第2の状態へ変換させることができる。
これによっても、上記変換機構の構成の簡素化を図ることができる。
【0021】
上記スパッタリング装置は、第1のマグネットユニットと、第2のマグネットユニットと、移動機構とをさらに具備してもよい。
上記第1のマグネットユニットは、上記第1のターゲットユニットの背面側に対向し、上記第1の方向に沿って第2の間隔で配列された複数のマグネット部を有する。上記第1のマグネットユニットは、上記第1の開口部を介して上記空間部へ着脱自在に設置される。
上記第2のマグネットユニットは、上記第2のターゲットユニットの背面側に対向し、上記第1の方向に沿って第2の間隔で配列された複数のマグネット部を有する。上記第2のマグネットユニットは、上記第2の開口部を介して上記空間部へ着脱自在に設置される。
上記移動機構は、上記第1及び第2のマグネットユニットを上記第1及び第2の方向に移動させる。
【0022】
マグネットユニットは、各ターゲット部の表面に磁場を形成するための磁気回路を構成する。これにより、マグネトロン型スパッタリング装置が構成される。上記移動機構により、各マグネットユニットがターゲットユニットに対して上記第1の方向に移動自在であるため、ターゲット部表面のエロージョン領域を拡張してターゲット部の長寿命化を図ることが可能となる。また、上記移動機構により、ターゲットユニットとマグネットユニットとの間の対向距離が可変となるため、装着時における第1及び第2のターゲット部の状態変化の際にこれらターゲット部とマグネット部との間の干渉を防止することができる。
【0023】
上記第1及び第2のマグネットユニットは、上記第2の方向において上記第3又は第4の開口部の内方に位置する第1の位置と、上記第3又は第4の開口部の内方に位置しない第2の位置とを有していてもよい。上記移動機構は、上記空間部に対する上記第1及び第2のマグネットユニットの着脱時に上記第1及び第2のマグネットユニットを上記第1の位置から前記第2の位置へ移動させるようにしてもよい。
これにより、チャンバに対する第1及び第2のマグネットの着脱時、チャンバのリブと各マグネットユニットとの干渉を防止して、マグネットユニットの装着作業性を確保することができる。
【0024】
上記移動機構は、第1の移動ユニットと、第2の移動ユニットとを有してもよい。上記第1の移動ユニットは、上記第1のマグネットユニットを上記第1及び第2の方向に移動させる。上記第2の移動ユニットは、上記第2のマグネットユニットを上記第1及び第2の方向に移動させる。
これにより、第1及び第2のマグネットユニットをそれぞれ個別に移動制御することが可能となる。
【0025】
上記スパッタリング装置は、第1の支持プレートと、第2の支持プレートとをさらに具備してもよい。上記第1の支持プレートは、上記第1のターゲットユニットと、上記第1のマグネットユニットと、上記第1の移動ユニットとを共通に支持し、上記第1の開口部に対して着脱自在に取り付けられる。上記第2の支持プレートは、上記第2のターゲットユニットと、上記第2のマグネットユニットと、上記第2の移動ユニットとを共通に支持し、上記第2の開口部に対して着脱自在に取り付けられる。
これにより、第1及び第2のターゲットユニット、マグネットユニット及び移動ユニットのそれぞれを一組としてチャンバに対して一括的に着脱することが可能となり、着脱作業性を向上させることができる。
【0026】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置の概略構成を示す平面視断面図である。図示するスパッタリング装置100は、チャンバ1と、チャンバ1の内部に設置されたスパッタリングカソード2A及び2Bとを備えている。なお、図においてx方向及びy方向はそれぞれ直交する水平方向を示し、z方向は鉛直方向を示している。
【0028】
本実施形態のスパッタリング装置100は、基板を略直立させた姿勢で成膜する縦型スパッタリング装置として構成されている。スパッタリング装置100は、基板をチャンバ内で静止させながら成膜する静止成膜方式でもよいし、基板をチャンバ内で移動させながら成膜する移動成膜方式であってもよい。本実施形態のスパッタリング装置100は、チャンバ1の両側に他の真空処理室(成膜室、熱処理室、ロードロック室など)が接続されたインライン式の真空処理装置におけるスパッタ室として構成されている。
【0029】
[チャンバの構成]
先ず、チャンバ1の構成について説明する。
【0030】
チャンバ1は、第1のチャンバブロック10Aと第2のチャンバブロック10Bとの接合構造を有する。図2は、チャンバ1の分解斜視図である。チャンバ1は、第1のチャンバブロック10Aと、第2のチャンバブロック10Bと、シールリング10Cとを有する。
【0031】
第1及び第2のチャンバブロック10A、10Bは、例えばステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属材料で構成されており、打ち抜き加工、プレス加工、溶接等の工程を経ることによって多面体形状に形成されている。本実施形態では、第1及び第2のチャンバブロックはそれぞれ同等の大きさの直方体形状(六面体)を有しているが、形状はこれに限られない。
【0032】
第1のチャンバブロック10Aは、背面開口部11Aw(第1の開口部)が形成された背面11A(第1の側面)と、内側面開口部12Aw(第3の開口部)が形成された内側面12A(第2の側面)と、外側面開口部13Awが形成された外側面13Aとを有する。背面11Aには第1のスパッタリングカソード2Aが取り付けられ、内側面12Aには第2のチャンバブロック10Bが接続される。外側面13Aには、外側面開口部13Awを開閉するゲートバルブが接続される。第1のチャンバブロック10Aの前面14A、上壁面15A及び底壁面16Aはいずれも閉塞面であるが、メンテナンス用の開閉扉などが設けられていてもよい。
【0033】
第2のチャンバブロック10Bは、背面開口部11Bw(第2の開口部)が形成された背面11B(第1の側面)と、内側面開口部12Bw(第4の開口部)が形成された内側面12B(第3の側面)と、外側面開口部13Bwが形成された外側面13Bとを有する。背面11Bには第2のスパッタリングカソード2Bが取り付けられ、内側面12Bには第1のチャンバブロック10Aが接続される。外側面13Bには、外側面開口部13Bwを開閉するゲートバルブが接続される。第2のチャンバブロック10Bの前面14B、上壁面15B及び底壁面16Bはいずれも閉塞面であるが、メンテナンス用の開閉扉などが設けられていてもよい。
【0034】
第1のチャンバブロック10Aの内側面12Aと、第2のチャンバブロック10Bの内側面12Bとが、シールリング10Cを介して相互に接合されることで、チャンバ1が構成される。各チャンバブロック10A、10Bの内側面12A、12Bは、各々の内側面開口部12Aw、12Bwの周囲にシールリング10Cが装着される環状の溝(図2において側面12A側の溝17Aのみ図示)を有している。第1及び第2のチャンバブロック10A、10Bは、各々の背面11A、11Bが同一面となるように接合され、複数本のボルト部材を用いて一体化される。
【0035】
各チャンバブロック10A、10Bは溶接によって一体接合されてもよい。この場合、シールリング10Cの装着を省略することも可能である。
【0036】
なお図示せずとも、チャンバ1は、スパッタガス等のプロセスガスを空間部19へ導入するためのガス導入通路、空間部19を真空排気するための真空ポンプと連絡する排気ポート、チャンバ内部の各種駆動系に対する電力などの供給系統などを備えている。
【0037】
以上のように構成されるチャンバ1は、背面11A、11B(以下単に「背面11」ともいう。)側に、図においてx方向に配列された2つの開口部11Aw及び11Bwを有する。これらの開口部11Aw、11Bwの間は、z方向に延在する構造体(リブ)18が存在する。構造体18は、チャンバ1の背面11に形成された1つの開口を2つの開口部に分割するように形成される。構造体18は、第1のチャンバブロック10A側の第1の端縁部18Aと、第2のチャンバブロック10B側の第2の端縁部18Bとの接合体で構成される。第1の端縁部18Aは、背面11Aと内側面12Aとの間に位置する、第1のチャンバブロック10Aの一辺部に形成される。第2の端縁部18Bは、背面11Bと内側面12Bとの間に位置する、第2のチャンバブロック10Bの一辺部に形成される。
【0038】
また、以上のように構成されるチャンバ1は、内部に空間部19を有する。空間部19は、内側面開口部12Aw、12Bwを介して結合される第1及び第2のチャンバブロック10A、10Bの空間部の総和に相当する。空間部19には、成膜すべき基板Sを略直立した状態に保持し、かつ、空間部19内をx方向に移動自在なキャリアCの搬送機構(図示略)と、第1のスパッタリングカソード2Aと、第2のスパッタリングカソード2Bとがそれぞれ設けられている。
【0039】
基板Sは、典型的には、ガラス基板である。空間部19に搬送される基板Sのx方向の長さ(幅)は、チャンバ1の幅よりも小さいが、各チャンバブロック10A、10Bの幅よりも大きい。したがって、図1に示すように、基板Sは、空間部19において、開口部12Aw及び12Bwを貫通するように配置される。
【0040】
[スパッタリングカソードの構成]
次に、第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bの構成について説明する。
【0041】
第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bはそれぞれ同等の構成を有しており、ターゲットユニット21と、マグネットユニット22と、移動ユニット23とを備えている。
【0042】
ターゲットユニット21は、複数のターゲット部31、32及び33と、ターゲットベース30とを有する。ターゲットベース30は、枠状に形成されており、複数のターゲット部31〜33を支持する。ターゲット部31〜33は、x方向に幅方向、z方向に長さ方向を有する短冊形状であり、成膜材料で構成されたスパッタリングターゲットと、バッキングプレートとを含む。ターゲット部31〜33は、x方向に等間隔に配列されている。なお、ターゲット部の形状、大きさ、配列数は、上記の例に限定されない。
【0043】
マグネットユニット22は、複数のマグネット部41、42及び43と、マグネットベース40とを有する。マグネットベース40は、複数のマグネット部41〜43を支持する。マグネット部41〜43は、x方向に幅方向、z方向に長さ方向を有するE型の永久磁石材料からなり、ターゲット部31〜33の背面側に対向して配置されている。マグネット部41〜43は、x方向に等間隔に配列されている。
【0044】
移動ユニット23は、マグネットユニット22をターゲットユニット21に対してx方向、y方向及びz方向に移動させるためのものである。移動ユニット23は、マグネットユニット22のx方向への移動をガイドする第1のガイドベース231xと、マグネットユニット22のz方向への移動をガイドする第2のガイドベース231zと、マグネットユニット22のy方向への移動をガイドする第3のガイドベース231yとを有する。
【0045】
また、移動ユニット23は、マグネットユニット22をx方向及びz方向へ駆動する第1の駆動源233と、マグネットユニット22をy方向へ駆動する第2の駆動源234とを有する。第1の駆動源233及び第2の駆動源234は、それぞれ、支持プレート24に取り付けられている。第1の駆動源233は、第1のガイドベース231xを貫通してマグネットベース40に接続される駆動軸233aを有し、この駆動軸233aを介してマグネットユニット22をx方向及びz方向へ移動させる。駆動軸233aは、第2の駆動源234によるマグネットユニット22のy方向への移動に伴って、y方向へ進退自在に構成されている。第2の駆動源234は、第3のガイドベースzに接続される駆動軸234aを有し、この駆動軸234aを介してマグネットユニット22をy方向へ移動させる。
【0046】
支持プレート24は、第3のガイドベース231y、第2のガイドベース231z及び第1のガイドベース231xを介して、マグネットユニット22を支持している。また、支持プレート24は、支持部材25を介して、ターゲットユニット21を支持している。したがって、ターゲットユニット21、マグネットユニット22及び移動ユニット23は、支持プレート24に共通に支持されている。なお、支持部材25は、ターゲットユニット21の各ターゲット部31〜33に対する電力や冷却媒などの供給経路を兼ねていてもよい。
【0047】
以上のように構成されるターゲットユニット21、マグネットユニット22、移動ユニット23及び支持プレート24は、第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bについて共通に構成されている。第1のスパッタリングカソード2Aは、チャンバ1の第1の開口部11Awを介して空間部19へ設置され、第2のスパッタリングカソード2Bは、チャンバ1の開口部11Bwを介して空間部19へ設置される。第1のスパッタリングカソード2Aの支持プレート24は、第1のチャンバブロック10Aの背面11Aにシール部材を介して複数本のボルト部材によって固定される。第2のスパッタリングカソード2Bの支持プレート24は、第2のチャンバブロック10Bの背面11Bにシール部材を介して複数本のボルト部材によって固定される。これにより、開口部11Aw及び11Bwは閉塞され、空間部19の密閉性が確保される。
【0048】
次に、スパッタリングカソード2A、2Bの構成の詳細について、スパッタリングカソード2A、2Bの動作とともに説明する。ここでは、第1のスパッタリングカソード2Aについて説明するが、第2のスパッタリングカソード2Bも同様に構成されているものとする。
【0049】
図3は、第1のスパッタリングカソード2Aの動作形態を示す図である。図4は、チャンバ1に対する第1のスパッタリングカソード2Aの着脱作業の様子を示す要部の斜視図である。図3及び図4においては、ターゲットユニット21を支持プレート24に固定する支持部材25の図示は省略している。ターゲットユニット21を構成する複数のターゲット部31〜33のうち内方側(リブ18A側)に位置するターゲット部31は、z方向に延在する軸部311(回動軸)を有しており、この軸部311のまわりに回動自在に構成されている。ターゲット部31は、図3において二点鎖線で示す通常姿勢(第1の姿勢)と、実線で示す非通常姿勢(第2の姿勢)とを有する。ターゲット部31の軸部311は、ターゲットベース30の側端部に形成された溝部301に係合している。ターゲットベース30に対する軸部311の係合状態は、軸部311の両端近傍位置においてターゲットベース30に固定されたストッパ312によって維持されている。
【0050】
通常姿勢では、ターゲット部31は、他のターゲット部32、33と同様に被スパッタ面がチャンバブロック10Aの前面14Aに対向する回動位置にある。基板Sに対するスパッタ成膜時は、ターゲット部31は当該通常姿勢をとる。通常姿勢において、ターゲット部31の一部は、チャンバブロック10Aの内側面開口部12Awの内方に位置しており、y方向においてチャンバブロック10Aの端縁部18A(リブ18)に対向する。
【0051】
一方、ターゲット部31の非通常姿勢は、ターゲット部31の被スパッタ面がチャンバブロック10Aの外側面13Aに対向する回動位置に設定される。この非通常姿勢において、ターゲット部31は、内側面開口部12Awの内方には位置しておらず、したがって、y方向においてチャンバブロック10Aの端縁部18A(リブ18)と対向していない。上記非通常姿勢は、チャンバブロック10Aに対するスパッタリングカソード2Aの着脱時に上記通常姿勢から変換される(変換機構)。図示せずとも、ターゲットユニット21は、ターゲット部31の通常姿勢と非通常姿勢をそれぞれ固定するロック機構を備えている。ターゲット部31の姿勢の変換は、作業者による手動で行われてもよいし、別途駆動源を用いて自動的に行われてもよい。
【0052】
第2のスパッタリングカソード2Bも、上述と同様の構成を有している。第2のスパッタリングカソードにおいては、複数のターゲット部31〜33のうち内方側(リブ18B側)に位置するターゲット部31が、ターゲットベース30に対して回動可能な軸部311を有している(図1参照)。第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bのそれぞれのターゲット部31が通常姿勢にあるとき、これらターゲット部31の間隔は、ターゲット部31〜33の配置間隔と同等の大きさに設定されている。
【0053】
マグネットユニット22は、図3において二点鎖線で示す通常位置(第1の位置)と、実線で示す非通常位置(第2の位置)とを有する。マグネットユニット22の位置の変換は、移動ユニット23によって行われる。
【0054】
通常位置において、マグネットユニット22は、各マグネット部41〜43がターゲットユニット21に対して所定の距離離間して対向する高さ位置に設定される。マグネットユニット22は、通常位置において、各ターゲット部31〜33の表面から所定強さの磁場を形成する磁気回路として構成され、基板Sとターゲット部31〜33との間にスパッタガスのマグネトロン放電を形成する。また、マグネットユニット22は、通常位置において、その内方側が内側面開口部12Awの内方に位置しており、y方向においてチャンバブロック10Aの端縁部18A(リブ18)と対向している。
【0055】
一方、マグネットユニット22の非通常位置は、ターゲットユニット21に対して上記通常位置から後方側へ所定距離遠ざかった位置に設定される。当該所定距離は、ターゲット部31の通常姿勢から非通常姿勢への回動時に、マグネットユニット22がターゲット部31と干渉しない距離であれば特に限定されない。また、この非通常位置において、マグネットユニット22は、内側面開口部12Awの内方には位置しておらず、したがって、y方向においてチャンバブロック10Aの端縁部18A(リブ18)と対向していない。上記非通常位置は、チャンバブロック10Aに対するスパッタリングカソード2Aの着脱時に上記通常位置から変更される。
【0056】
[スパッタリングカソードの着脱操作]
次に、チャンバ1に対する第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bの着脱操作について説明する。
【0057】
チャンバ1に対して第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bを取り付ける際、図4に示すように、各ターゲットユニット21のターゲット部31は非通常姿勢に変換され、マグネットユニット22は非通常位置に移動される。したがって、第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bは、チャンバ1の2つの開口部11Aw、11Bw間に位置するリブ18と干渉することなく、空間部19へ装着されることが可能となる。第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bは、各々の支持プレート24が複数本のボルト部材を用いてチャンバの背面11A、11Bへ接合されることによって、空間部19内に設置される。
【0058】
第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bが空間部19に設置された後、ターゲット部31は、軸部311のまわりへの回動操作によって、非通常姿勢から通常姿勢へ変換される。ターゲット部31が通常姿勢へ変換された後、マグネットユニット22は、移動ユニット23によるx、y方向への移動操作によって、非通常位置から通常位置へ移動される。このとき、移動ユニット23によるマグネットユニット22のz方向への移動操作が含まれてもよい。これにより、スパッタリングカソード2A、2Bは、チャンバ1の内部において、図1に示したような形態をとる。これにより、スパッタリングカソード2A、2Bの個々のターゲットユニット21だけでなく、全ターゲットユニット21において全てのターゲット31〜33がx方向に沿って等間隔に配置される。
【0059】
したがって、第1のスパッタリングカソード2Aのターゲット部31と第2のスパッタリングカソード2Bのターゲット部31の離間距離よりも、チャンバ1のリブ18の幅が大きい場合であっても、装着時において各ターゲット部31とリブ18との干渉を防止することができる。これにより、チャンバ1に対するスパッタリングカソード2A、2Bの良好な装着作業性が確保される。
【0060】
また、本実施形態によれば、各ターゲット部31〜33がそれぞれ等間隔に配置されているので、空間部19内へ搬送された基板Sに対して、ターゲット部31〜33の連続性あるいは配置対称性が確保される。したがって、基板Sの全面に対する成膜の均一性を確保することができる。
【0061】
なお、スパッタ成膜時において、通常位置にあるマグネットユニット22を移動ユニット23の駆動によってx方向へ揺動させるようにしてもよい。これにより、ターゲット部31〜33の表面に形成されるエロージョン領域を拡張でき、ターゲット部31〜33の使用効率を高めて、ターゲット部31〜33の高寿命化を図ることができる。マグネットユニット22の揺動は、移動ユニット23により各スパッタリングカソード2A、2Bごとに独立して制御してもよいし、スパッタリングカソード2A、2B間で同期駆動されてもよい。
【0062】
一方、ターゲット部31〜33の交換など、スパッタリングカソード2A、2Bのメンテナンス時は、チャンバ1の空間部19を大気圧に調整した後、チャンバ1からスパッタリングカソード2A、2Bが取り外される。この場合、通常位置にあるマグネットユニット22を非通常位置へ移動させた後、ターゲット部31を通常姿勢から非通常姿勢へ変換する。これにより、スパッタリングカソード2A、2Bをチャンバ1から取り外す際、チャンバ1のリブ18とマグネットユニット22及びターゲット部31との干渉が防止される。したがって、チャンバ1からスパッタリングカソード2A、2Bを容易に取り外すことが可能となる。
【0063】
以上のように、本実施形態のスパッタリング装置によれば、第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bの着脱の際、各スパッタリングカソード2A、2Bのターゲット部31とチャンバ1のリブ18との干渉を防止でき、良好な作業性を確保することができる。また、成膜時において、各スパッタリングカソード2A、2Bのターゲット部31〜33を等間隔に配列することができるため、基板Sが大型基板である場合においても良好な成膜均一性を確保することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、ターゲット部31の姿勢を変換するための変換機構を上述のようにターゲットベース30に対するターゲット部31の回動機構によって実現しているため、当該変換機構の構成の簡素化を図ることができる。
【0065】
さらに、本実施形態によれば、ターゲットユニット21、マグネットユニット22及び移動ユニット23を支持プレート24によって共通に支持する構成を採用しているため、スパッタリングカソード2A、2Bのユニット化でき、チャンバ1に対する着脱作業性の効率化を図ることができる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本実施形態のスパッタリング装置の概略構成を示す平面視断面図である。なお、図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0067】
本実施形態のスパッタリング装置200は、チャンバ1と、チャンバ1の内部に設置されたスパッタリングカソード2A及び2Bとを備えている。本実施形態のスパッタリングカソード2A、2Bにおいては、ターゲットユニット21のターゲット部31の姿勢変換機構が上述の第1の実施形態と異なっている。
【0068】
本実施形態では、ターゲットユニット21を構成する複数のターゲット部31〜33のうち内方側(リブ18A側)に位置するターゲット部31は、z方向に延在する軸部313を有している。軸部313は、ターゲットベース30の側部に形成された長孔303(ガイド部)に係合しており、x方向へスライド自在に構成されている。長孔303は、x方向に長手方向を有する。
【0069】
ターゲット部31は、図5において二点鎖線で示す通常位置(第1の姿勢)と、実線で示す非通常位置(第2の姿勢)とを有する。通常位置では、ターゲット部31は、他のターゲット部32とターゲット部33との間隔と同等の間隔をもって、ターゲット部32と隣接する。基板Sに対するスパッタ成膜時は、ターゲット部31は当該通常位置をとる。通常位置において、ターゲット部31の一部は、チャンバブロック10Aの内側面開口部12Awの内方に位置しており、y方向においてチャンバブロック10Aの端縁部18A(リブ18)に対向する。
【0070】
一方、ターゲット部31の非通常位置は、ターゲット部31が、これと隣接するターゲット部32と近接した位置に設定される。この非通常位置において、ターゲット部31は、内側面開口部12Awの内方には位置しておらず、したがって、y方向においてチャンバブロック10Aの端縁部18A(リブ18)と対向していない。上記非通常位置は、チャンバブロック10Aに対するスパッタリングカソード2Aの着脱時に上記通常位置から変換される(変換機構)。通常位置と非通常位置との間のターゲット部31の位置変換は、長孔303の長手方向に沿った軸部313のスライド操作によって行われる。ターゲット部31の位置変換は、作業者による手動で行われてもよいし、別途駆動源を用いて自動的に行われてもよい。図示せずとも、ターゲットユニット21は、ターゲット部31の通常位置と非通常位置をそれぞれ固定するロック機構を備えている。
【0071】
第2のスパッタリングカソード2Bも、上述と同様の構成を有している。第2のスパッタリングカソードにおいては、複数のターゲット部31〜33のうち内方側(リブ18B側)に位置するターゲット部31が、ターゲットベース30に対してスライド可能な軸部を有している。第1及び第2のスパッタリングカソード2A、2Bのそれぞれのターゲット部31が上記通常位置にあるとき、これらターゲット部31の間隔は、ターゲット部32とターゲット部33の配置間隔と同等の大きさに設定されている。
【0072】
以上のように構成される本実施形態のスパッタリング装置200においても、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。これにより、チャンバ1に対するスパッタリングカソード2A、2Bの良好な着脱作業性と、スパッタ成膜時における良好な均一性を確保することができる。また、ターゲット部31の姿勢を変換するための変換機構を上述のようにターゲットベース30に対するターゲット部31のスライド機構によって実現しているため、当該変換機構の構成の簡素化を図ることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0074】
例えば以上の実施形態では、チャンバ1が第1のチャンバブロック10Aと第2のチャンバブロック10Bとの接合構造を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限られず、単独のチャンバブロックで構成されてもよい。この場合、スパッタリングカソードの装着用開口が補強用のリブで複数に分割されているようなチャンバ構造に対して、本発明は適用可能である。
【0075】
チャンバ1に装着されるスパッタリングカソードの数は2つに限られず、その開口部の数に合わせてスパッタリングカソードの装着数を設定することができる。この場合、各スパッタリングカソードは、水平方向に限られず、鉛直方向にも配列させてもよい。
【0076】
マグネットユニット22を直線移動させる移動ユニット23は、スパッタリングカソード2A、2Bについて共通に構成することも可能である。この場合、スパッタリングカソード2A、2Bの支持プレートを共通化して、これらスパッタリングカソードを単独のモジュールとして構成することも可能である。
【0077】
また、以上の実施形態では、インライン式のスパッタリング装置を例に挙げて説明したが、これに限られず、枚葉式スパッタリング装置にも本発明は適用可能である。また、成膜形式も縦型に限られず、基板を水平方向に横臥させた姿勢で成膜する横型スパッタリング装置にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 チャンバ
2A 第1のスパッタリングカソード
2B 第2のスパッタリングカソード
10A 第1のチャンバブロック
10B 第2のチャンバブロック
11Aw、11Bw 背面開口部
18 リブ
18A 第1の端縁部
18B 第2の端縁部
19 空間部
21 ターゲットユニット
22 マグネットユニット
23 移動ユニット
24 支持プレート
31〜33 ターゲット部
41〜43 マグネット部
100、200 スパッタリング装置
303 長孔
311、313 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口と、前記開口を第1の開口部と第2の開口部とに分割するリブとを含み、前記第1及び第2の開口部が第1の方向に沿って配列された第1の側面を有し、内部に空間部を形成する多面体形状のチャンバと、
前記第1の側面と直交する第2の方向において前記リブと対向するように前記空間部に配置された第1のターゲット部を含む、前記第1の方向に沿って第1の間隔で配列された複数のターゲット部を有し、前記第1の開口部を介して前記空間部へ着脱自在に設置される第1のターゲットユニットと、
前記第2の方向において前記リブと対向するように、前記第1のターゲット部に対して前記第1の間隔をおいて前記空間部に配置された第2のターゲット部を含む、前記第1の方向に沿って前記第1の間隔で配列された複数のターゲット部を有し、前記第2の開口部を介して前記空間部へ着脱自在に設置される第2のターゲットユニットと、
前記第2の方向において前記第1及び第2のターゲット部が前記リブと対向する第1の状態と前記リブと対向しない第2の状態とを有し、前記空間部に対する前記第1及び第2のターゲットユニットの着脱時に前記第1及び第2のターゲット部をそれぞれ前記第1の状態から前記第2の状態へ変換させるための変換機構と
を具備するスパッタリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスパッタリング装置であって、
前記チャンバは、
前記第1の開口部を有する前記第1の側面と、第3の開口部が形成された第2の側面を有する第1のチャンバブロックと、
前記第2の開口部を有する前記第1の側面と、第4の開口部が形成された第3の側面を有し、前記第3の側面が前記第2の側面と接合されることで、前記第3及び第4の開口部を含む内部空間を前記空間部として形成する第2のチャンバブロックとを含み、
前記リブは、前記第1の開口部と前記第2の側面との間に形成される第1の端縁部と、前記第2の開口部と前記第3の側面との間に形成される第2の端縁部との接合構造を有する
スパッタリング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスパッタリング装置であって、
前記第1のターゲット部は、前記第1の状態において前記第1の端縁部と対向し、
前記第2のターゲット部は、前記第1の状態において前記第2の端縁部と対向する
スパッタリング装置。
【請求項4】
請求項1に記載のスパッタリング装置であって、
前記変換機構は、前記第1及び第2の方向にそれぞれ直交する第3の方向に平行な回動軸を有し、前記回動軸のまわりへ前記第1及び第2のターゲット部を回動させることで、前記第1及び第2のターゲット部を前記第1の状態から前記第2の状態へ変換させる
スパッタリング装置。
【請求項5】
請求項1に記載のスパッタリング装置であって、
前記変換機構は、前記第1及び第2のターゲット部を前記第1の方向にスライドさせるガイド部を有し、前記ガイド部により前記第1及び第2のターゲット部をスライドさせることで、前記第1及び第2のターゲット部を前記第1の状態から前記第2の状態へ変換させる
スパッタリング装置。
【請求項6】
請求項2に記載のスパッタリング装置であって、
前記第1のターゲットユニットの背面側に対向し、前記第1の方向に沿って第2の間隔で配列された複数のマグネット部を有する、前記第1の開口部を介して前記空間部へ着脱自在に設置される第1のマグネットユニットと、
前記第2のターゲットユニットの背面側に対向し、前記第1の方向に沿って第2の間隔で配列された複数のマグネット部を有する、前記第2の開口部を介して前記空間部へ着脱自在に設置される第2のマグネットユニットと、
前記第1及び第2のマグネットユニットを前記第1及び第2の方向に移動させる移動機構とをさらに具備する
スパッタリング装置。
【請求項7】
請求項6に記載のスパッタリング装置であって、
前記第1及び第2のマグネットユニットは、前記第2の方向において前記第3又は第4の開口部の内方に位置する第1の位置と、前記第3又は第4の開口部の内方に位置しない第2の位置とを有し、
前記移動機構は、前記空間部に対する前記第1及び第2のマグネットユニットの着脱時に前記第1及び第2のマグネットユニットを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させる
スパッタリング装置。
【請求項8】
請求項7に記載のスパッタリング装置であって、
前記移動機構は、
前記第1のマグネットユニットを前記第1及び第2の方向に移動させる第1の移動ユニットと、
前記第2のマグネットユニットを前記第1及び第2の方向に移動させる第2の移動ユニットとを有する
スパッタリング装置。
【請求項9】
請求項8に記載のスパッタリング装置であって、
前記第1のターゲットユニットと、前記第1のマグネットユニットと、前記第1の移動ユニットとを共通に支持し、前記第1の開口部に対して着脱自在に取り付けられる第1の支持プレートと、
前記第2のターゲットユニットと、前記第2のマグネットユニットと、前記第2の移動ユニットとを共通に支持し、前記第2の開口部に対して着脱自在に取り付けられる第2の支持プレートとをさらに具備する
スパッタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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