説明

スピンドルモータ

【課題】薄型化を実現しつつモータからディスクへの振動伝達をより抑制することができるスピンドルモータを提供する。
【解決手段】ディスクを回転させるスピンドルモータ1において、ディスクを載置するロータフレーム16の上面の外側円周上に、ロータフレーム16の他の面よりも低い段差部を設け、制振用のターンテーブルクッション17を段差部の上面に貼り付ける。これにより、段差部に貼り付けるターンテーブルクッション17の厚みを増やすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CDやDVD、Blu−rayといった円形の記録媒体であるディスクに対してデータの記録、読み出しを行うディスク駆動装置において、ディスクを回転させるスピンドルモータが知られている。
【0003】
このスピンドルモータとしては、例えばDCブラシレスモータが用いられ、記録媒体を装着するためのターンテーブルと、ターンテーブルを回転駆動する駆動部とを備えている。
【0004】
駆動部は、ロータフレームと、ロータフレームを回転自在に支持するロータの回転軸と、ロータの回転軸の周囲に配置されたステータとを有している。ターンテーブルはロータと同期回転が必要なため、ターンテーブルは中心部の回転軸に圧入・接着等での固定、あるいは、ロータフレームに直接に締結・固定されている。
【0005】
特許文献1には、ターンテーブルのディスク載置面防滑部の面振れ精度だけでなく面粗度と平面度も高精度に仕上げる技術が開示されている。
【0006】
また、ディスクへの振動伝達を抑制する制振材として用いるターンテーブルクッション(以下「TTクッション」という)が知られるが、このTTクッションは、制振材の役割のほか、ディスク面と接触するためスリップ防止の役割も果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−12194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、スピンドルモータの薄型化が進むなかで、モータの高さ、および、調芯リングの高さは、搭載されるドライブの薄型化に伴い、制約を受ける。そのなかで、ディスクの振動を抑制する要求も高まり、制振部品であるTTクッションの厚型化が必要となる。
【0009】
TTクッションを厚くするにはロータの位置を下げればよいが、特性上、マグネット及び巻線の構成を変えることは性能ダウンを招き、またこれらを変更しない場合、ロータ下部と巻線、あるいは軸受ホルダーの隙間がなくなり、干渉する虞がある。
【0010】
特許文献1に記載の発明では、ディスク載置面防滑部を削って切り出すようにしているが、この場合、その切り出しにより制振性は低下してしまう。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、薄型化を実現しつつモータからディスクへの振動伝達をより抑制することができるスピンドルモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、ディスクを回転させるスピンドルモータにおいて、前記ディスクを載置するロータフレームの上面の外側円周上に、該ロータフレームの他の面よりも低い段差部を設け、制振用のターンテーブルクッションを前記段差部の上面に貼り付けて成ることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記段差部の上面に貼り付けた前記ターンテーブルクッションの上面は、前記ロータフレームの上面の前記段差部以外の面よりも、上方に突出していることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、ディスクを回転させるスピンドルモータのロータフレームにおいて、前記ディスクを載置する上面の外側円周上に、該ロータフレームの他の面よりも低い段差部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、薄型化を実現しつつもモータからディスクへの振動伝達をより抑制することができるスピンドルモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるスピンドルモータの一実施の形態を示す図であって、スピンドルモータを回転軸位置で切断してその左側を示す側断面図である。
【図2】図1に示したロータフレーム16の段差Cについて拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明によるスピンドルモータの一実施の形態を示す図であって、スピンドルモータを回転軸位置で切断してその左側を示す側断面図である。
【0019】
このスピンドルモータ1はロータ15及びステータ11を有して成る。ロータ15の上面はターンテーブルとしての役割を果たすものであり、回転軸であるシャフト19は、上面にディスク(不図示)を載置するロータフレーム16の中央に直接圧入等により固定されている。また、ロータフレーム16の内周には、円周方向に多極着磁されたリング状のロ−タマグネット21が圧入又は接着により固定されている。シャフト19は、例えば含油軸受である軸受20によって軸支される。
【0020】
一方、ステータ11は、例えば珪素鋼板を積層して形成されたステータコア12に絶縁部材を介してステ−タコイル13を巻回して構成される。
【0021】
このスピンドルモータ1は取付板10に取り付けられる。また、ロータフレーム16の中央には、ディスクの中心と回転中心とを一致させる調芯リング18を有する。
【0022】
また、ディスクを載置するロータフレーム16の上面の外側円周上には、ロータフレーム16の他の面よりも低い段差部16a(図2参照)を設け、制振用のTTクッション17をこの段差部16aの上面に貼り付けている。TTクッション17の上面は、ロータフレーム16の上面のうち段差部16a以外の面よりも、上方に突出している。
【0023】
図2は、図1に示したロータフレーム16の段差Cについて拡大して示す図である。
【0024】
本実施の形態のスピンドルモータ1は、薄型化を実現しつつもモータからディスクへの振動伝達をより抑制する為に、TTクッション17の厚みを増やすこととし、全高を増やすことなく、ロータフレーム16に段差部16aを設けて、TTクッション17の厚みを増やすことを可能としている。
【0025】
スピンドルモータとしてはモータサイズとして、取付板10から、TTクッション17の上面までの高さAに制約があり、さらに、TTクッション17の上面から調芯リング18の上面までの高さBに制約がある。本実施の形態では、この制約を受けながら、モータからディスクへの振動伝達を抑制する為に、TTクッションの厚みを増やすことに着目し、モータフレームに高さCを有する段差部16aを設けた。これにより、段差部16aに貼り付けるTTクッション17の厚みを増やすことができる。
【0026】
以上、説明した本発明によれば、モータ内部の構造を変更することなく、容易に、TTクッションの厚みを増すことができ、ディスクに伝わる振動の抑制効果を高めることが可能となる。
【0027】
また、本発明によれば、ロータフレームに段差部を設けることにより、この段差部を位置決めに用いて、TTクッションの貼り付けが容易になる。
【0028】
また、本発明によれば、TTクッションの貼り付けの際に、貼り付け位置がずれたとしても、TTクッションが段差部の肩に乗り上げてしまうため、水平方向から見て容易に識別することができる。
【0029】
以上、本発明を説明したが、本発明は、この説明に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で数々の変形および組み合わせが出来ることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
1 スピンドルモータ
10 取付板
11 ステータ
12 ステータコア
13 コイル
15 ロータ
16 ロータフレーム
16a 段差部
17 ターンテーブルクッション(TTクッション)
18 調芯リング
19 シャフト
20 軸受
21 マグネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを回転させるスピンドルモータにおいて、
前記ディスクを載置するロータフレームの上面の外側円周上に、該ロータフレームの他の面よりも低い段差部を設け、制振用のターンテーブルクッションを前記段差部の上面に貼り付けて成ることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項2】
前記段差部の上面に貼り付けた前記ターンテーブルクッションの上面は、前記ロータフレームの上面の前記段差部以外の面よりも、上方に突出していることを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
ディスクを回転させるスピンドルモータのロータフレームにおいて、
前記ディスクを載置する上面の外側円周上に、該ロータフレームの他の面よりも低い段差部を設けたことを特徴とするスピンドルモータのロータフレーム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−226808(P2012−226808A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94576(P2011−94576)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(504257302)ミネベアモータ株式会社 (112)
【Fターム(参考)】