説明

スピーカ付きアンプ

【課題】楽器用スタンドやマイクロホン用スタンド専用の設置スペースを不要とし、省スペース化を図る。
【解決手段】電子打楽器やマイクロホン用として使用されるスピーカ付きアンプ10が、電子打楽器用スタンドやマイクロホン用スタンドを取り付け可能なスタンド取り付け部を具備する。スタンド取り付け部は例えばスタンドの支柱を挿入可能な穴16と、穴16に挿入された支柱を固定する固定用ねじ18とよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は楽器やマイクロホン用として使用されるスピーカ付きアンプに関する。
【背景技術】
【0002】
入力信号を増幅し、スピーカから放音する機能を有するスピーカ付きアンプは、用途に応じて各種形態・大きさのものがある。例えば、電子楽器の演奏等において使用されるスピーカ付きアンプは、低音再生等においても良好な特性が得られるように一般に構成されており、その結果、比較的大きく、かつ重量のあるものとなっていた。
【0003】
特許文献1にはこのような電子楽器用のスピーカ付きアンプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3102077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば電子打楽器等の演奏を行う場合には、電子打楽器は一般に楽器用スタンドに取り付けられて使用され、よって楽器用スタンドを設置するためのスペースが必要となり、かつスピーカ付きアンプを設置するためのスペースも必要となっていた。
【0006】
このように楽器用スタンド及びスピーカ付きアンプ双方に設置用のスペースが必要となることは、例えば限られた狭いスペースで演奏を行いたい場合に大きな問題となり、この問題に対する解決策が望まれていた。
【0007】
この発明の目的は、この問題に鑑み、楽器やマイクロホン用としてスピーカ付きアンプが楽器やマイクロホンと共に設置されて使用される場合において、従来に比し、省スペース化を図ることができるようにしたスピーカ付きアンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明によれば、楽器やマイクロホン用として使用されるスピーカ付きのアンプは、楽器用スタンドやマイクロホン用スタンドを取り付け可能なスタンド取り付け部を具備する。
【0009】
請求項2の発明では請求項1の発明において、スタンド取り付け部は楽器用スタンドやマイクロホン用スタンドの支柱を挿入可能な穴と、穴に挿入された支柱を固定する固定用ねじとよりなる。
【0010】
請求項3の発明では請求項1又は2の発明において、スピーカ付きアンプの筺体にスタビライザが取り付けられているものとされる。
【0011】
請求項4の発明では請求項3の発明において、スタビライザは筐体の底面に、その底面の大きさより大とされて取り付けられた板よりなる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、スピーカ付きアンプに楽器用スタンドやマイクロホン用スタンドを取り付けることができるため、楽器用スタンドやマイクロホン用スタンド専用の設置スペースは不要となり、よってその分、省スペース化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】Aはこの発明によるスピーカ付きアンプの一実施例を示す斜視図、BはAに示したスピーカ付きアンプをスピーカ側から見た斜視図、Cはスタンド取り付け部の詳細を説明するための図。
【図2】図1に示したスピーカ付きアンプに楽器用スタンド及び電子打楽器が取り付けられた状態を示す斜視図。
【図3】演奏者の演奏状態の一例を説明するための図。
【図4】この発明によるスピーカ付きアンプの他の実施例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【0015】
図1はこの発明によるスピーカ付きアンプの一実施例の外観を示したものである。筐体11の上面11aには凹部12が形成されており、この凹部12内に取っ手13が設けられている。取っ手13は比較的大きく、かつ重量のあるスピーカ付きアンプ10を持ち運ぶ際に使用される。
【0016】
筐体11の一側面11bには図1Bに示したようにスピーカ14が配設されており、このスピーカ14が配設されている筐体11の側面11bにはスピーカ14を覆うようにパンチングメタル15が取り付けられている。図1Bではパンチングメタル15は詳細図示を省略し、ハッチングを付して示している。
【0017】
筐体11の外面には上記のような構成に加え、操作つまみや入力端子等が配置された操作部が設けられている。操作部はこの例では図1Aにおいて筐体11の背面側に位置しており、隠れて見えない。
【0018】
筐体11の上面11aにはスピーカ14が位置する側面11bと反対側の側面11c寄りに、所要の深さを有する穴16が設けられている。筐体11の側面11cには穴16の深さ方向に配列されて穴16と連通するようにねじ穴17が2箇所に設けられ、2つのねじ穴17には図1Cに示したように固定用ねじ18がそれぞれ螺合されて取り付けられている。
【0019】
この例ではこれら穴16と2本の固定用ねじ18とによって楽器用スタンドやマイクロホン用スタンドを取り付けることができるスタンド取り付け部が構成されている。なお、穴16には図1Cに示したようにキャップ19が取り付けられ、スタンド取り付け部を使用しない時(スタンドを取り付けない時)は穴16はキャップ19によって蓋される。
【0020】
一方、筐体11の底面11dには板21が取り付けられている。板21は筐体11の底面11dの大きさより大とされている。この板21は図1に示したように立った状態となっているスピーカ付きアンプ10の転倒を防止し、安定な姿勢を維持するためのスタビライザとして機能する。
【0021】
板21は例えばねじ止めにより筐体11の底面11dに取り付け固定される。なお、床に設置した際のすべりを防止すべく、板21の下面には例えばゴムシートを周縁部に貼り付けたり、あるいはゴム足を取り付けておくことが好ましい。
【0022】
図2は上記のような構成とされたスピーカ付きアンプ10に楽器用スタンド30が取り付けられ、さらに楽器用スタンド30に電子打楽器40が取り付けられた状態を示したものである。
【0023】
楽器用スタンド30は床に設置するための三脚を備えた楽器用スタンドの一部(バスケット部)に相当するもので、図2中、31は高さ調整用の蝶ねじを示し、32は角度調整用の蝶ねじを示す。また、33はアームを示し、34は3つのアーム33を開閉するためのナットを示す。蝶ねじ31,32は支柱35に配列されて位置されている。なお、蝶ねじ31より下の支柱は図2では隠れて見えない。
【0024】
スピーカ付きアンプ10に対する楽器用スタンド30及び電子打楽器40の取り付けは以下の手順で行われる。
(1)穴16に取り付けてあるキャップ19を外し、2本の固定用ねじ18を楽器用スタンド30の支柱が穴16に通るようにゆるめる。
(2)楽器用スタンド30の蝶ねじ31より下の支柱を穴16に挿入する。
(3)2本の固定用ねじ18を締め付け、穴16に挿入された支柱をねじの先端で押圧して固定する。
(4)電子打楽器40を楽器用スタンド30に乗せ、ナット34を回して3つのアーム33で電子打楽器40を挟み込んで固定する。
(5)蝶ねじ31,32で電子打楽器40の高さと角度を調整する。
【0025】
以上により、スピーカ付きアンプ10に対する楽器用スタンド30及び電子打楽器40の取り付けが完了する。
【0026】
以上説明したように、この例ではスピーカ付きアンプ10に楽器用スタンド30を搭載して取り付けることができるものとなっており、よって楽器用スタンド30専用のスペースは不要となり、その分、省スペース化を図ることができる。また、上述したようにスタビライザとして機能する板21を取り付けることにより、安定性が確保され、転倒を防止することができる。
【0027】
図3は図2に対し、電子打楽器40の向きを変え、演奏者がスピーカ付きアンプ10に腰掛けて演奏する様子を示したものであり、図3中、二点鎖線は演奏者が腰掛けている状態を示す。演奏者はこのようにスピーカ付きアンプ10に腰掛けた状態で楽器用スタンド30に取り付けられた電子打楽器40を演奏することもできる。この場合、スピーカ付きアンプ10のそばに設置した椅子に演奏者が腰掛けて演奏する場合に比べ、さらに省スペース化を図ることも可能となる。
【0028】
図4は板21に替え、筐体11の底面11dの周囲に位置するように、筐体11にL金具22を複数取り付けた例を示したものであり、スタビライザとしてこのようにL金具22を取り付ける構成としてもよい。L金具22の床との接触面にはすべり防止用のゴムシート等を貼り付けておくのが好ましい。
【0029】
上述した例では電子打楽器40が楽器用スタンド30に取り付けられているが、他の電子楽器を取り付けてもよく、例えばシンセサイザ等を取り付ける形態であってもよい。また、スピーカ付きアンプにマイクロホン用スタンドを取り付け、マイクロホン用として(ボーカル用として)スピーカ付きアンプを使用してもよい。
【0030】
なお、スタンド取り付け部は上述した例では筐体11の上面11aに設けた穴16と固定用ねじ18とによって構成されているが、これに限定されるものではなく、スタンドの支柱を安定に固定できる構造であればよい。また、例えばスタンド取り付け部を複数具備するものとしてもよい。
【0031】
スタビライザとしては筐体11に板21やL金具22を取り付ける構成に限らず、例えば筐体11の回りに複数の脚を設けるといった構成も採用することができる。
【符号の説明】
【0032】
10,10´ スピーカ付きアンプ 11 筐体
13 取っ手 14 スピーカ
16 穴 18 固定用ねじ
19 キャップ 21 板
22 L金具 30 楽器用スタンド
31,32 蝶ねじ 33 アーム
34 ナット 35 支柱
40 電子打楽器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器やマイクロホン用として使用されるスピーカ付きのアンプであって、
楽器用スタンドやマイクロホン用スタンドを取り付け可能なスタンド取り付け部を具備することを特徴とするスピーカ付きアンプ。
【請求項2】
請求項1記載のスピーカ付きアンプにおいて、
前記スタンド取り付け部は前記楽器用スタンドや前記マイクロホン用スタンドの支柱を挿入可能な穴と、
前記穴に挿入された前記支柱を固定する固定用ねじとよりなることを特徴とするスピーカ付きアンプ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のスピーカ付きアンプにおいて、
前記スピーカ付きアンプの筺体にスタビライザが取り付けられていることを特徴とするスピーカ付きアンプ。
【請求項4】
請求項3記載のスピーカ付きアンプにおいて、
前記スタビライザは前記筐体の底面に、その底面の大きさより大とされて取り付けられた板よりなることを特徴とするスピーカ付きアンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−220508(P2012−220508A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82440(P2011−82440)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000130329)株式会社コルグ (111)
【Fターム(参考)】