説明

スピーカ構造及びスピーカ装置

【課題】ものに装着して共鳴させることができるスピーカ構造を提供する。
【解決手段】スピーカ構造1は、磁気回路部2に第一の磁石22を配設し、伝達部6の蓋板62に、第一の磁石22により発生する磁気と反発するように配設された第二の磁石63を配設する。第一の磁石22及び第二の磁石63から発生する反発しあう磁気を利用して、ボビン31を磁気回路部2から離れる方向に付勢するとともに、第一の磁石及び第二の磁石から発生する反発しあう磁気により形成された反発磁気回路部Yにボイスコイル32を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ものを共鳴させることができるスピーカ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスピーカ構造として、特許文献1に記載されるものがあった。
【0003】
上記のスピーカ構造は、センターポールとトッププレートとの間に形成される磁気ギャップ内にボイスコイルを装着するに際し、ボイスコイルのボビンをダンパ及び振動板とで垂直状態に保持するとともに、ボビン内の上端部に軽量かつ小型のリング状のマグネットを取り付け、マグネットと反発する極性を有するリング状のマグネットをセンターポールの上面に設けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−233381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したスピーカ構造では、振動板と連動するボイスコイルの動きを抑制し、ボイスコイルのボビンを保持するためのエッジやダンパの負担を軽減することによって最低共振周波数を大幅に低減させていた。
【0006】
しかし、いわゆる平面バッフル型と呼ばれる、板にスピーカを装着して音を鳴らすものに適用しても十分な性能を発揮できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、ものに装着して共鳴させることができるスピーカ構造及びスピーカ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明では、磁気回路部に、第一の磁石を備え、伝達部に、第一の磁石により発生する磁気と反発するように配設された第二の磁石を備えている。このことより、ボイスコイルが、第一の磁石及び第二の磁石から発生する反発しあう磁気により、磁気回路部から離れる方向に付勢され、第一の磁石及び第二の磁石から発生する反発しあう磁気により形成される反発磁気回路部に移動して、反発磁気回路部の磁気により駆動されることになる。
【0009】
そして、反発磁気回路部では、第一の磁石及び第二の磁石から発生する磁気が反発しあうので磁束密度が高くなる。磁束密度の高い位置にボイスコイルが配置されるので、ボイスコイルの駆動力が大きくなり、伝達部から共鳴体に伝えられるラウドネス(音の大きさ)を高めることが出来る。
【0010】
請求項2記載の発明のように、伝達部を、ボビンの磁気回路部側と反対側に配設された筒状のパイプ部と、パイプ部の磁気回路部側と反対側の端部を閉塞して第二の磁石が配設される蓋板と、を備えるようにすれば、共鳴体が磁性体である場合に、伝達部との着接が容易となる。
【0011】
請求項3記載の発明では、パイプ部を、ボビンに対して軸方向に沿って摺動可能に形成して、パイプ部とボビンとを組み付けた軸方向の長さを調節可能に形成している。
【0012】
ここで、一端が閉塞したパイプでは、パイプ内の空気は、閉じた端部を節、開いた端部を腹とする基本振動の共鳴を起こす。したがって、パイプの長さの4倍が共振周波数(基本振動)の波長となる。
【0013】
よって、共鳴体の共振周波数が本願発明のスピーカ構造と合わない場合には、パイプ部の軸方向の長さとボビンの軸方向との長さをあわせた長さを、共鳴体の共振周波数と合うように調節することができる。
【0014】
請求項4記載の発明では、伝達部を、ボビンの磁気回路部側と反対側の端部に配設された支持プレートと、支持プレートに装着された第二の磁石と、第二の磁石と摺接するとともに磁気回路部と反対側に延びる金属製の振動伝達片と、振動伝達片の第二の磁石と摺接する側と反対側に配設され共鳴体と着接する蓋部材と、振動部を磁気回路部側とは反対側から覆い振動伝達片が挿通する非磁性体のキャップと、キャップの前記振動伝達片が挿通された孔の周辺に配設され、振動エネルギーの内部損失が前記振動伝達片より多い弾性部材と、を備えるようにしている。
【0015】
金属製の振動伝達片は、振動エネルギーの内部損失が少ないため、高周波数の共振が鋭くなる。よって、金属製振動伝達片より振動エネルギーの内部損失が多い弾性部材をキャップの振動伝達片が挿通された孔の周辺に配設することで、振動伝達片の共振を減少させることができる。
【0016】
請求項5記載の発明のように、請求項1、2、3又は4のいずれかに記載のスピーカ構造と、所定範囲内に侵入した人を検出する検出手段と、検出手段が検出した侵入信号によりスピーカ構造を作動させる演算制御手段と、伝達部から伝えられた振動を音として放射する共鳴体と、を備えるようにスピーカ装置を構成すれば、人が近づいたときにのみスピーカ構造が作動するので、消費電力の削減ができるとともに、スピーカ装置を音源として認識していない人を驚愕させるのでディスプレイとして広告効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスピーカ構造では、磁束密度の高い位置にボイスコイルが配置されて、ボイスコイルの駆動力が大きくなり、伝達部から共鳴体に伝えられるラウドネス(音の大きさ)が高まるので、ものに装着してそのものを共鳴させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明における第一の実施形態のスピーカ構造の(a)断面図であり、(b)S−S断面図である。
【図2】図1における磁束の流れを表した断面図である。
【図3】本発明におけるスピーカ構造の第二の実施形態の断面図である。
【図4】スピーカ装置にスピーカ構造が装着された状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明におけるスピーカ構造の第一の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、図1(a)における上下を、上下方向とする。
【0020】
スピーカ構造1は、コーン型スピーカをベースにして、図1に示すように、磁気回路部2により駆動されボイスコイル32が巻回されるボビン31を有する駆動部3と、駆動部3と連結され音を放射する振動部4と、駆動部3及び振動部4を支持する支持部5と、駆動部3と連接して図示しない共鳴体100に振動を伝える伝達部6と、磁気回路部2を収納するフレーム7と、を備えている。
【0021】
磁気回路部2は、中心部に円柱状のセンターポール21aを有する磁性材料からなるボトムプレート21と、ボトムプレート21上に配設される円環状の第一の磁石22と、第一の磁石22の上端面に接して配設された磁性材料からなる円環状のトッププレート23と、を有している。
【0022】
駆動部3は、非磁性材料からなる円筒状のボビン31と、ボビン31の外側に巻かれたボイスコイル32と、を有している。
【0023】
振動部4は、コーン紙で形成され、ボビン31と後述するエッジ51に支持された円環状の振動板41を有している。
【0024】
支持部5は、フレーム7の外縁部と、振動板41とを連結するエッジ51と、フレーム7とボビン31とを連結する図示しないダンパと、を有している。
【0025】
伝達部6は、ボビン31の上側に配設されたフェノール樹脂製で筒状のパイプ部61と、パイプ部61の上側の端部を閉塞して第二の磁石63が配設されるフェノール樹脂製の蓋板62と、を備えている。
【0026】
パイプ部61は、外筒部61aと、外筒部61aより小径に形成された内筒部61bと、を有している。外筒部61aと、内筒部61bとの間には、ボビン31が摺動可能な程度の隙間を有している。
【0027】
蓋板62は、円盤状に形成され外筒部61a及び内筒部61bの上端部に装着されている。蓋板62の下面には、センターポール21aと対向する位置であって、第一の磁石22からセンターポール21aを介して発生する磁気G1と反発するように(対向する端面の極性が同じとなるように)第二の磁石63が、配設されている。
【0028】
外筒部61aと、内筒部61bとの間に、ボビン31の上端部が挿入され接着剤8により接着されて、パイプ部61とボビン31とを組み付けた軸方向の長さ(組付け長H1とする)4倍が共鳴体100の共振周波数(基本振動)の波長となるように形成されている。
【0029】
フレーム7は、非磁性材料からなり、円筒状で上側が開口して下側が閉塞し磁気回路部2が収納される内ケース71と、内ケース71の外側に装着される筒状の外ケース72と、を有している。
【0030】
スピーカ構造1の作用について説明する。第一の磁石22からセンターポール21aを介して発生する磁気G1は、第二の磁石63により発生する磁気G2と反発するので、図2に示すように、磁気回路部2に対して、伝達部6及び振動部4が上側に引っ張り上げられるとともに、磁束が上下方向において密集して磁束密度が高くなる反発磁気回路部Yが形成される。そして、その反発磁気回路部Yに、ボビン31に回装されたボイスコイル32が位置することになるので、磁気G1および磁気G2を有効に利用することが可能となりボイスコイル32に大きな駆動力を与える。
【0031】
スピーカ構造1の使用方法としては、図4に示すように、支持フレーム101に平板状の共鳴体100を取り付ける。所定範囲X内に侵入した人Pを検出する検出手段として人感センサ103を、共鳴体100に取り付ける。人感センサ103が検出した侵入信号によりスピーカ構造1を作動させる演算制御手段104を人感センサ103と接続して共鳴体100に取り付ける。演算制御手段104をスピーカ構造1と接続して、共鳴体100にスピーカ構造1を取り付けたスピーカ装置90として使用する。
【0032】
スピーカ装置90から所定範囲X内に侵入した人Pを人感センサ103が検出したら、演算制御手段104に信号を送り、演算制御手段104は、スピーカ構造1に作動信号を送り、スピーカ構造1が作動する。伝達部6から共鳴体100に振動が伝わり、共鳴体100から音が放射される。
【0033】
スピーカ構造1では、磁気回路部2に、第一の磁石22を備え、伝達部6の蓋板62に、第一の磁石22からセンターポール21aを介して発生する磁気G1と反発するように配設された第二の磁石63を備えている。
【0034】
このことより、ボイスコイル32が、第一の磁石22からセンターポール21aを介して発生する磁気G1及び第二の磁石63から発生する磁気G2により反発しあい、磁気回路部2から離れる方向に付勢され、第一の磁石22からセンターポール21aを介して発生する磁気G1及び第二の磁石63から発生する磁気G2が反発しあうことにより形成される反発磁気回路部Yに移動して、反発磁気回路部Yの磁気により駆動されることになる。
【0035】
そして、反発磁気回路部Yでは、第一の磁石22からセンターポール21aを介して発生する磁気G1及び第二の磁石63から発生する磁気G2が反発しあうので磁束密度が高くなる。磁束密度の高い位置にボイスコイル32が配置されるので、ボイスコイル32の駆動力が大きくなり、伝達部6から共鳴体100に伝えられるラウドネス(音の大きさ)を高めることが出来る。
【0036】
また、伝達部6を、ボビン31の磁気回路部2側と反対側に配設された筒状のパイプ部61と、パイプ部61の磁気回路部2側と反対側の端部を閉塞して第二の磁石63が配設される蓋板62と、を備えるようにすれば、共鳴体100が磁性体である場合に、伝達部6との着接が容易となる。
【0037】
また、パイプ部61を、ボビン31と軸方向に沿って摺動可能に形成して、パイプ部61とボビン31とを組み付けた組付け長H1を調節可能に形成している。
【0038】
ここで、一端が閉塞したパイプでは、パイプ内の空気は、閉じた端部を節、開いた端部を腹とする基本振動の共鳴を起こす。したがって、パイプの長さの4倍が共振周波数(基本振動)の波長となる。
【0039】
よって、共鳴体100の共振周波数が本願発明のスピーカ構造1と合わない場合には、図1に示したように、パイプ部61とボビン31とを組み付けた組付け長H1を、共鳴体100の共振周波数と合うように組付け長H2に調節することができる。(図1において調節した後の状態を二点鎖線で示している。)
スピーカ構造1の使用方法に示したように、スピーカ構造1と、所定範囲X内に侵入した人Pを検出する人感センサ103と、人感センサ103が検出した侵入信号によりスピーカ構造1を作動させる演算制御手段104と、伝達部6から伝えられた振動を音として放射する共鳴体100と、を備えるようにスピーカ装置90を構成すれば、人Pが近づいたときにのみスピーカ構造1が作動するので、消費電力の削減ができるとともに、スピーカ装置90を音源として認識していない人Pを驚愕させるのでディスプレイとして広告効果を高めることができる。
【0040】
また、ボイスコイル32が、第一の磁石22からセンターポール21aを介して発生する磁気G1及び第二の磁石63から発生する磁気G2が反発しあうことにより、磁気回路部2から離れる方向に付勢されるので、ボイスコイル32のボビン31を保持するためのエッジ51や図示しないダンパー(スティフネスが小さくてすむ)の負担を軽減させ、最低共振周波数を大幅に低減することができ、低音域を良好に再生できる。
【0041】
本発明におけるスピーカ構造の第二の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0042】
スピーカ構造1Aにおいてはドーム型スピーカをベースにして、図3に示すように、磁気回路部2Aにより駆動されボイスコイル32Aが巻回されるボビン31Aを有する駆動部3Aと、駆動部A3と連結され音を放射する振動部4Aと、振動部4Aを支持する支持部5Aと、駆動部3Aと連接して図示しない共鳴体100に振動を伝える伝達部6Aと、磁気回路部2Aを収納するフレーム7Aと、を備えている。
【0043】
磁気回路部2Aは、磁性材料からなる円盤状のトッププレート23Aと、トッププレート23Aの下側に配設される円盤状の第一の磁石22Aと、トッププレート23Aと第一の磁石22Aとが収納される磁性材料からなるボトムフレーム24Aと、有している。ボトムフレーム24Aは、円筒状で上側が開口して下側が閉塞し開口縁部から径方向外側に延びる円環状のフランジ部241Aを有し、フランジ部241Aからさらに径方向外側に突出する複数の係合部242Aで後述する係合フレーム721Aと係合されている。
【0044】
駆動部3Aは、非磁性材料からなる円筒状のボビン31Aと、ボビン31Aの外側に巻かれたボイスコイル32Aと、を有している。
【0045】
振動部4Aは、コーン紙で形成され、ボビン31Aと後述するエッジ51Aに支持された長円環状の振動板41Aを有している。
【0046】
支持部5Aは、後述するフレーム7Aの内フレーム72Aの外縁部と、振動板41Aとを連結するエッジ51Aを有している。
【0047】
フレーム7Aは、上側が開口した矩形箱状の外フレーム71Aと、外フレーム71A内に配設され振動板41Aとエッジ51Aを介して連結される矩形枠状の内フレーム72Aと、を有している。内フレーム72Aは、下側に延びてボトムフレーム24Aの係合部242Aと係合する複数の係合フレーム721Aを有している。
【0048】
伝達部6Aは、ボビン31Aの上端部に配設された支持プレート62Aと、支持プレート62Aに装着された第二の磁石63Aと、第二の磁石63Aと摺接するとともに磁気回路部2Aと反対側に延びる金属製の振動伝達片65Aと、振動伝達片65Aの第二の磁石63Aと摺接する側と反対側に配設された蓋部材64Aと、振動部4Aを磁気回路部2A側とは反対側から覆い振動伝達片65Aが挿通する非磁性体のキャップ61Aと、キャップ61Aの後述する天板部612Aの振動伝達片65Aが挿通された後述する挿通孔613Aの周辺に配設され、振動エネルギーの内部損失が振動伝達片65Aより多い弾性部材66Aと、を備えている。
【0049】
キャップ61Aは、外フレーム71Aと対向するとともに、外フレーム71Aの上側に配設され振動部4Aを覆う非磁性材料からなり下側が開口した矩形箱状に形成され、側壁部611Aと、天板部612Aとを有している。天板部612Aの中央部には、挿通孔613Aが形成されている。
【0050】
支持プレート62Aは、磁性材料からなりボビン31Aの上部を閉塞するように配設されている。支持プレート62Aの上側には、第二の磁石63Aが磁気回路部2Aの第一の磁石22Aから発生する磁気G1と反発するように(対向する端面の極性が同じとなるように)配設されている。
【0051】
振動伝達片65Aは、第二の磁石63Aと摺接して他の部分より大径に形成された大径部651Aと、キャップ61Aの挿通孔613Aを挿通して上端部に蓋部材64Aが装着される小径部652Aと、を有している。振動伝達片65Aは、第二の磁石63Aの上側の端面と摺接可能に配設されている。
【0052】
蓋部材64Aは、非磁材料からなり下側が開口した円筒箱状に形成され、外側の外筒部641Aと、軸心付近が下側に突出して振動伝達片65Aと螺合する内筒部642Aと、内筒部642Aと外筒部641Aと連結して共鳴体100と着接される当接部643Aと、を有している。
【0053】
弾性部材66Aは、ゴムが用いられ、キャップ61Aの天板部612Aの下側に配設される板ゴム661Aと、上側に配設される環状ゴム662Aと、を備えている。板ゴム661Aは、振動伝達片65Aの大径部651Aと、キャップ61Aの天板部612Aの下側の端面との間に、ワッシャ67を介して配設されている。環状ゴム662Aは、振動伝達片65Aの小径部652Aに外装され蓋部材64Aの内筒部642Aの下端面と、キャップ61Aの上側の端面との間に、配設されている。
【0054】
スピーカ構造1Aの作用は、スピーカ構造1と同様であるので、説明は、省略する。
【0055】
スピーカ構造1Aでは、伝達部6Aを、ボビン31Aの上端部に配設された支持プレート62Aと、支持プレート62Aに装着された第二の磁石63Aと、第二の磁石63Aと摺接するとともに磁気回路部2Aと反対側に延びる金属製の振動伝達片65Aと、振動伝達片65Aの第二の磁石63Aと摺接する側と反対側に配設された蓋部材64Aと、振動部4Aを磁気回路部2A側とは反対側から覆い振動伝達片65Aが挿通する非磁性体のキャップ61Aと、キャップ61Aの後述する天板部612Aの振動伝達片65Aが挿通された後述する挿通孔613Aの周辺に配設され、振動エネルギーの内部損失が振動伝達片65Aより多い弾性部材66Aと、を備えるようにしている。
【0056】
金属製の振動伝達片65Aは、振動エネルギーの内部損失が少ないため、高周波数の共振が鋭くなる。よって、金属製の振動伝達片65Aより振動エネルギーの内部損失が多い弾性部材66Aを、キャップ61Aの天板部612Aの振動伝達片65Aが挿通された挿通孔613A周辺に配設することで、振動伝達片65Aの共振を減少させることができる。
【0057】
第一の実施形態において、伝達部6のパイプ部61は、フェノール樹脂製を用いているが、共鳴体100に音を伝達できるものであればこれにはこだわらない。例えば、縦弾性係数/密度の高い又は固有音響抵抗値の高い、合成樹脂あるいは金属を用いることができる。
【0058】
また、スピーカ装置90についても上記の態様に限定されない。例えば、家具、マネキン人形、太鼓等の物品や壁等を共鳴体100としてスピーカ構造1又は1Aを装着してスピーカ装置90とすることができる。
【0059】
スピーカ構造1ではコーン型、スピーカ構造1Aではドーム型のスピーカをベースにしているが、これらにはこだわらない。すべての動電変換方式のスピーカをベースとすることができる。
【0060】
また、弾性部材66Aは、キャップ61Aの天板部612Aの下側及び上側に配設しているが、振動伝達片65Aの共振を減少させることができるのであれば、これにはこだわららない。キャップ61Aの天板部612Aの下側又は上側のみに配設してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1、1A スピーカ構造
2、2A 磁気回路部
22、22A 第一の磁石
3、3A 駆動部
31、31A ボビン
32、32A ボイスコイル
4、4A 振動部
5、5A 支持部
6、6A 伝達部
61 パイプ部
61A キャップ
62A 支持プレート
63、63A 第二の磁石
64A 蓋部材
65A 振動伝達片
66A 弾性部材
90 スピーカ装置
100 共鳴体
G1 磁気
G2 磁気
X 所定範囲
Y 反発磁気回路部
H1 組付け長
H2 組付け長
P 人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気回路部により駆動されボイスコイルが巻回されるボビンを有する駆動部と、該駆動部と連結され音を放射する振動部と、前記振動部を支持する支持部と、前記駆動部と連接して共鳴体に振動を伝える伝達部と、を備えるスピーカ構造であって、
前記磁気回路部は、第一の磁石を備え、
前記伝達部は、前記第一の磁石により発生する磁気と反発するように配設された第二の磁石を備え、
前記ボイスコイルが、前記第一の磁石及び前記第二の磁石から発生する反発しあう磁気により、前記磁気回路部から離れる方向に付勢され、前記第一の磁石及び前記第二の磁石から発生する反発しあう磁気により形成される反発磁気回路部に移動して、前記反発磁気回路部の磁気により駆動されることを特徴とするスピーカ構造。
【請求項2】
前記伝達部は、前記ボビンの前記磁気回路部側と反対側に配設された筒状のパイプ部と、
該パイプ部の前記磁気回路部側と反対側の端部を閉塞して前記第二の磁石が配設される蓋板と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のスピーカ構造。
【請求項3】
前記パイプ部が、前記ボビンに対して軸方向に沿って摺動可能に形成され、前記パイプ部と前記ボビンとを組み付けた軸方向の長さを調節可能に形成されていることを特徴とする請求項2記載のスピーカ構造。
【請求項4】
前記伝達部が、
前記ボビンの前記磁気回路部側と反対側の端部に配設された支持プレートと、
前記支持プレートに装着された前記第二の磁石と、
前記第二の磁石と摺接するとともに前記磁気回路部と反対側に延びる金属製の振動伝達片と、
前記振動伝達片の前記第二の磁石と摺接する側と反対側に配設され共鳴体と着接する蓋部材と、
前記振動部を前記磁気回路部側とは反対側から覆い前記振動伝達片が挿通する非磁性体のキャップと、
前記キャップの前記振動伝達片が挿通された孔の周辺に配設され、振動エネルギーの内部損失が前記振動伝達片より多い弾性部材と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のスピーカ構造。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4のいずれかに記載のスピーカ構造と、
所定範囲内に侵入した人を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した侵入信号により前記スピーカ構造を作動させる演算制御手段と、
前記伝達部から伝えられた振動を音として放射する前記共鳴体と、
を備えていることを特徴とするスピーカ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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