説明

スピーカ装置

【課題】縦筒体を有し、縦筒体の上端から斜め上方向に向かって高品質な再生音の放音を可能にしたスピーカ装置を提供する。
【解決手段】スピーカ装置は、縦筒体2と、縦筒体2の上端に緩衝部材6を介して載置され、スピーカ4を支持する支持部5とを備える。支持部5は、縦筒体2の上端に嵌合する嵌合枠51及びスピーカ4が取り付けられる取付枠52とが非平行となるよう連結部53で連結されており、支持部5により、スピーカ4は、設置面に対して仰角方向に傾斜する。支持部5の底部には、複数の保持部55a、…によって錘取付部55が配置され、錘取付部55には棒状の錘部3が縦筒体2内を軸方向に沿って延びるように取り付けられる。縦筒体2の内壁及び錘部3の表面を覆うように、吸音部材7が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦筒体の上端にスピーカが取り付けられているスピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスピーカ装置においては、スピーカを筐体の前面にネジ等で直接固定する構造が主流である。この従来の構造の場合、スピーカの前面から音波が外部へ放音されると共に、スピーカの背面から筺体内に向けて放音された音波が、筐体の内壁で反射され、反射された音波とスピーカの前面から放音された音波とが共振し不要な振動がスピーカに発生して、再生音の音質が劣化していた。
【0003】
また、箱型形状の筺体にスピーカを直接固定している場合、スピーカの振動が筺体に伝達され板振動を誘発し、さらに板振動による振動がスピーカに伝達されることにより、スピーカ全体に不要な振動を発生させて再生音の音質をさらに劣化させていた。
【0004】
このような問題を解決するために、設置面に縦置きされている縦円筒体の上端に緩衝部材を介してスピーカを配置し、スピーカの背面(下面)に、縦円筒体内を鉛直方向に延びて振動を減衰抑制する棒状の錘を備えて、高品質な再生音を得るスピーカ装置が、特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2001−224089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、このスピーカ装置は、全方位に無指向性で放音し、壁からの反射音とスピーカの前面から放音された音波とが干渉し音質が低下することを防ぐために壁から離して設置する必要がある。これにより、壁付近に設置した状態で壁から画面までの距離を短くすることが可能な薄型ディスプレイと組み合わせて用いた場合に、壁に接近させて設置することが出来ずに薄型ディスプレイの利点を生かせないという問題がある。また、縦円筒体の中心軸線上の上方に向かって主に放音されるため、指向性の強い高音域の音をスピーカ装置の前方に位置する視聴者が聞き取りにくいという問題があった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、スピーカを視聴者に向かって傾斜させるように支持する支持部を備えることにより、スピーカ装置の後方、換言すれば壁に向かう方向への音波の伝播を抑制して壁からの反射音を低減し、壁に近接した状態で設置して使用すること及び視聴者に向かって放音され、視聴者が高音域の音を容易に聞き取ることが可能となるスピーカ装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、支持部と縦筒体との間に緩衝部材を挿設することにより、スピーカの振動が縦筒体に伝達されず、不要な振動を抑制して高品質な再生音を得ることが可能となるスピーカ装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、縦筒体の内壁を覆うよう吸音部材を備えることにより、スピーカの背面から縦筒体に伝播する不要な音波を吸収減衰させて、高品質な再生音を得ることが可能なスピーカ装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、スピーカが取付けられる取付枠が視聴者に対して傾斜するように設けられた支持部を備えることにより、視聴者に向かって高品質な再生音の放音が可能となるスピーカ装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、支持部に縦筒体内を延びる棒状の錘部を備えることにより、スピーカの振動が減衰抑制されて、不要な振動がスピーカに発生することを防ぎ、高品質な再生音を得ることが可能なスピーカ装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、錘部の表面を覆う吸音部材を備えることにより、スピーカの背面から放音する音波が吸収され、スピーカの前面から放音された音波と干渉することを防ぎ、高品質な再生音を得ることが可能なスピーカ装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、支持部が縦筒体の内壁と間隙を有して縦筒体の上端に遊嵌配置され、支持部の連結部を間隙を有して囲繞する曲筒状の化粧部を備えることにより、意匠上好ましい外観を得ると共にスピーカの背面から発生する不要な音波を縦筒体へ伝播させてスピーカの前面から放音された音波と干渉することを防ぎ、高品質な再生音を得ることが可能なスピーカ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るスピーカ装置は、縦筒体と、該縦筒体の上端を覆うように配置されるスピーカとを備えたスピーカ装置において、前記縦筒体の上端に載置されており、前記スピーカを設置面に対して仰角方向に傾斜させるよう支持する支持部を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、スピーカ装置は、縦筒体と、設置面に対して仰角方向に傾斜させるようスピーカを支持する支持部とを備えている。スピーカが取付けられた支持部は、縦筒体の上端に載置され、スピーカの前面から放音された音波は、設置面に対して斜め上方に向かって放音する。これにより、再生音の多くが、スピーカ装置の前方、換言すれば視聴者に向かう方向に伝播する。
【0015】
本発明に係るスピーカ装置は、前記支持部と前記縦筒体との間に緩衝部材が挿設されていることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、支持部と縦筒体との間に挿設された緩衝部材が、スピーカの背面から発生し支持部に伝達する振動を吸収し、支持部から縦筒体に振動が伝達しないように支持部を支持する。
【0017】
本発明に係るスピーカ装置は、前記縦筒体の内壁を覆う吸音部材を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、縦筒体の内壁を覆う吸音部材が、スピーカの背面から放音され縦筒体内を伝播する不要な音波を吸収し減衰させる。
【0019】
本発明に係るスピーカ装置は、前記支持部は、前記スピーカが取付けられる取付枠と、前記縦筒体の上端に嵌合する嵌合枠と、前記取付枠が前記嵌合枠と非平行となるよう連結する連結部とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、支持部は、スピーカが装着される取付枠が設置面に対して非平行となるように連結部により連結され、スピーカは、設置面に対して斜め上方向に傾斜するように配置される。
【0021】
本発明に係るスピーカ装置は、前記支持部は、前記嵌合枠の内側に配置された錘取付部と、該錘取付部から前記嵌合枠に連結する保持部と、前記錘取付部に一端が固定されており、前記縦筒体内に延在する棒状の錘とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、支持部の嵌合枠の内側に錘取付部が配置するように、保持部により錘取付部と嵌合枠の内周面とが連結されている。錘取付部には、縦筒体内を延在する棒状の錘の一端が固定されて、スピーカから支持部に伝達する振動を減衰抑制する。
【0023】
本発明に係るスピーカ装置は、前記錘の表面を覆う吸音部材を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、錘の表面を覆う吸音部材が、スピーカの背面から縦筒体内に伝播する音波を吸収し減衰させる。
【0025】
本発明に係るスピーカ装置は、前記嵌合枠に設けられ、周縁が前記縦筒体の上端に遊嵌する外フランジ部と、前記縦筒体の上端近傍に設けられ、前記外フランジ部を支持する内フランジ部と、前記連結部を間隙を有して囲繞する曲筒状の化粧部とを備えることを特徴とする。
【0026】
本発明にあっては、嵌合枠に設けられた外フランジ部の周縁が、縦筒体の上端に遊嵌する。縦筒体の上端近傍に設けられた内フランジ部が嵌合枠の外フランジ部を支持するように、支持部は、縦筒体の上端近傍の内側に載置される。曲筒状の化粧部は、連結部を間隙を有して覆うことにより、縦筒体の上端から取付枠近傍までを覆う。
【発明の効果】
【0027】
本発明にあっては、スピーカを視聴者に向かって傾斜させるように支持する支持部を備えることにより、後方への音波の伝播を抑制して壁からの反射音を低減し、壁に近接した状態で設置して使用することが可能になると共に、視聴者に向かって放音されて視聴者が高音域の音を容易に聞き取ることが可能となる。
【0028】
本発明にあっては、支持部と縦筒体との間に緩衝部材を挿設することにより、スピーカの振動が縦筒体に伝達されて縦筒体に板振動が発生し、縦筒体の振動がスピーカに再び伝達してスピーカに不要な振動が発生することを防ぎ、高品質な再生音を得ることが可能となる。
【0029】
本発明にあっては、縦筒体の内壁を覆うよう吸音部材を備えることにより、スピーカの背面から縦筒体内に伝播する不要な音波が吸収されて減衰され、縦筒体内の内壁で反射された音波とスピーカの再生音とが共振を引き起こすことを防ぎ、高品質な再生音を得ることが可能となる。
【0030】
本発明にあっては、スピーカが装着される取付枠と縦筒体の上端に嵌合する嵌合枠とが非平行となるように連結部で連結された支持部を備えることにより、スピーカの前面から放音された音波は、斜め上方向に向かい再生音の多くが視聴者に向かって伝播し視聴者が高音域の再生音を容易に聞き取ることが可能となる。
【0031】
本発明にあっては、支持部に縦筒体内を延びる棒状の錘部を備えることにより、支持部の慣性モーメントが増大し、支持部と共にスピーカの不要な振動が減衰抑制され、高品質な再生音を得ることが可能となる。
【0032】
本発明にあっては、錘部の表面を覆う吸音部材を備えることにより、スピーカの背面から縦筒体内に伝播する不要な音波が吸収され、不要な音波とスピーカの前面から放音された音波とが干渉することを防ぎ、高品質な再生音を得ることが可能となる。
【0033】
本発明にあっては、支持部が縦筒体の内壁と間隙を有して縦筒体の上端に遊嵌配置され、支持部の連結部を間隙を有して囲繞する曲筒状の化粧部を備えることにより、意匠上好ましい外観を得ることが可能となる。また、スピーカの背面で発生する音波を縦筒体内に伝播させてスピーカの前面から放音された音波と干渉することを防ぎ、高品質な再生音を得ることが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明に係るスピーカ装置の斜視図であり、図2は、スピーカ装置の構造を示す模式的縦断面図である。本発明に係るスピーカ装置は、設置面に縦置きされた円筒状の縦筒体2を備えており、上端側の内周面に全周にわたって半径方向に突出する内フランジ部21が設けられている。縦筒体2の内フランジ部21には、曲筒状の支持部5が下端を嵌合するように載置され、支持部5の上端には、スピーカ4が取付けられる。
【0035】
図3は、支持部5を示す斜視図である。支持部5は、下端に縦筒体2の内フランジ部21の中央開口と嵌合する環状の嵌合枠51を、上端にスピーカ4が取り付けられる環状の取付枠52を備え、嵌合枠51と取付枠52とが非平行となるよう曲筒状の連結部53で連結されている。嵌合枠51は、縦筒体2の内フランジ部21の開口に間隙を有して遊嵌するよう内フランジ部21の内径寸法よりも若干短い外径を有する。嵌合枠51には、外周面に全周にわたって半径方向逆に突出する外フランジ部54が設けられており、縦筒体2の内壁との間に間隙を有して遊嵌するように縦筒体2の内径寸法よりも若干短い外径を有する。
【0036】
支持部5は、外フランジ部54及び嵌合枠51が、それぞれ縦筒体2の上端及び内フランジ部21の開口に遊嵌し、外フランジ部54が内フランジ部21と当接して支持されることにより、縦筒体2の上端近傍に載置される。図4は、図2のII−II線における模式的断面図である。図4に示すように、支持部5の嵌合枠51の中心に所定の厚みを有する円盤状の錘取付部55が、錘取付部55の外周縁から4本の保持部55a、55a、55a、55aが等間隔に放射線状に延び、嵌合枠51の内周面に連結することにより配置されている。
【0037】
金属等の比重の大きな材料からなる棒状の錘部3は、錘取付部55の中心に形成されたネジ孔に、錘部3の一端に突設されたネジ部が螺着して縦筒体2内を鉛直方向に延びるように取り付けられる。スピーカ4は、円錐台状に成形された振動板と、この振動板を電気信号に応じて振動させる機構とを含み、支持部5の取付枠52に嵌合し、ネジ等によって支持部5に取り付けられる。縦筒体2の内壁及び錘部3の表面には、夫々を覆うように、例えばグラスウール又は薄いフェルト等からなる吸音部材7が設けられている。支持部5の外フランジ部54及び縦筒体2の内フランジ部21との間には、ポリウレタンやゲル材等の圧力分散能力を有する弾性体からなる環状の緩衝部材6が挿設されている。
【0038】
図5は、スピーカ4を示す構造断面図である。図5に示す41及び42は、それぞれ振動部及び磁気回路である。振動部41は、ボイスコイル413が外周に層状に巻回されボイスコイル413に発生した駆動力を振動系に伝達する筒状のボイスコイルボビン412と、ボイスコイルボビン412に取り付けられた振動板411とを有する。磁気回路42は、中央に開口を有するトッププレート421と、トッププレート421の下面に接合され、厚み方向に着磁された環状のマグネット423と、マグネット423の下面に接合されたヨーク424とを有し、外磁型に構成されている。
【0039】
ヨーク424は、ボトムプレート424aと、ボトムプレート424aの上面中央から起立しトッププレート421の開口部の内周面との間にボイスコイル413と協働して振動板411を駆動するための磁力を発生する磁気ギャップ422を形成するセンターポール424bとを有する。さらに、スピーカ4は、トッププレート421の上面に接合されたフレーム43及び、内周部がボイスコイルボビン412の上端部に接合され、外周部がフレーム43に接合されたダンパー44を備えている。なお、振動板411の内周部は、ダンパ44と同様にボイスコイルボビン412の上端部に接合されており、外周部は、ロール状のエッジ411aを介してフレーム43に支えられている。
【0040】
スピーカ4には、防塵及び振動板411を保護するためのメッシュ円板状のスピーカカバー45が、振動板411を覆うように設けられている。化粧部1は、スピーカ装置の外見を意匠上、好ましいものにするために設けられており、支持部5の連結部53を間隙を有して覆うように曲筒形状を有している。化粧部1の下端部は、縦筒体2の上端の内径及び外径寸法と、それぞれ略同一の内径及び外径を有し、化粧部1の下端及び縦筒体2の上端には、互いに嵌合するように環状の段部が、それぞれ設けられており、これらの段部が互いに嵌合して化粧部1は、縦筒体2の上端に取り付けられる。
【0041】
これにより、化粧部1は、取付枠52の周縁及び連結部53を間隙を有して囲繞する。以上の構成によって、スピーカ4の磁気ギャップ422中に保持されたボイスコイル413が電気信号に応じて振動し、ボイスコイル413を支持しているボイスコイルボビン412がボイスコイル413に発生した駆動力を振動系に伝達することで振動板411が振動して、電気信号に応じた音が発生する。振動板411の前面から放音された音波は、スピーカカバー45及び化粧部1の上端の開口を介して設置面に対して斜め上方向に伝播する。
【0042】
振動板411の背面から放音される音波は、支持部5の内部を嵌合枠51に向かって伝播し、保持部55a、55a、…間の隙間を通過して縦筒体2内に伝播する。縦筒体2内に伝播した音波は、縦筒体2の内壁及び錘部3の表面を覆うように設けられた吸音部材7によって吸収されて減衰する。また、スピーカ4に発生した不要な振動は、フレーム43を介して支持部5に伝達するが、緩衝部材6により減衰抑制される。これにより、スピーカ4の背面から発生した不要な音波が縦筒体2の内壁に到達し、縦筒体2に不要な板振動を起こすことを防ぐと共に縦筒体2の内壁で反射した音波がスピーカ4に到達しスピーカ4に不要な振動を発生させることを防ぐ。
【0043】
錘部3は、支持部5の慣性モーメントを増大させることにより、スピーカ4から支持部5に伝達される不要な振動を減衰抑制する。これにより、不要な振動が縦筒体2へ伝達されることを抑制し、縦筒体2に伝達された場合に生じる板振動がスピーカ4に大きな振動を引き起こすことを防ぐ。これらの不要な音波及び振動の抑制により、高品質な再生音を得ることが可能となる。また、支持部5により、設置面に対して斜め上方向に放音されるようにスピーカ4が取り付けられるため、スピーカ装置を、図2の白抜矢印方向に視聴者が位置するようにスピーカ装置を設置する場合に、白抜矢印方向逆に位置する壁に接近して設置することが可能となる。
【0044】
図6は、支持部5の他の形状例を示す斜視図である。支持部8は、図3で示す曲筒状の連結部53の代わりに、嵌合枠81が取付枠82に対して仰角方向に傾斜するよう屈曲した4本の棒状の連結部83、83、83、83で連結された構造を有する。この場合、化粧部1は、スピーカ装置の外見を意匠上、好ましいものにするためだけでなく、スピーカ4の背面から放音される不要な音波を縦筒体2の内部に伝播させる作用も有する。連結部83、83、…は4本に限るものではなく、3本以下又は5本以上でも良い。
【0045】
嵌合枠81の中心に所定の厚みを有する円盤状の錘取付部85が、錘取付部85の外周縁から4本の保持部85a、85a、85a、85aが等間隔に放射線状に延び、嵌合枠81の内周面に連結することにより配置されている。錘部3は、錘取付部85の中心に形成されたネジ孔に、縦筒体2内を鉛直方向に延びるように取り付けられる。
【0046】
嵌合枠81には、外周面に全周にわたって半径方向逆に突出する外フランジ部84が設けられており、縦筒体2の内壁との間に間隙を有して遊嵌するように縦筒体2の内径寸法よりも若干短い外径を有する。支持部8は、外フランジ部84及び嵌合枠81が、それぞれ縦筒体2の上端及び内フランジ部21の開口に遊嵌し、外フランジ部84が内フランジ部21と当接して支持されることにより、縦筒体2の上端近傍に載置される。
【0047】
縦筒体2の下端は、吸音材で覆われた底面で塞がれた構造にすると良い。また、縦筒体2の下端は、開口とし、開口面と設置面とを所定の距離を離れた状態で支持する支持台を設けても良い。この場合、縦筒体2内の吸音部材7で吸収されずに残った音波は縦筒体2の下端の開口から外に向けて伝播することにより、縦筒体2が底部を有する場合に生じる縦筒体2の底部において反射した音波が、スピーカ4に伝播してスピーカの前面から放音された音波と干渉することを防ぐことが可能となる。
【0048】
図2に示すようにスピーカ4の軸方向及び縦筒体2の軸方向とがなす角度をθとする。θが増大するにつれ、スピーカ4から発生する再生音は、より図中白抜矢印方向、換言すれば視聴者に向かう方向に伝播し、視聴者は、より容易に聞き取ることが可能となる。しかしながら、支持部5の重心位置は、嵌合枠51の開口の中心から図2中の白抜矢印方向に移動するため、θが大きい場合、重量バランスが大きく崩れて支持部5に不要な振動が起こる虞があり、高音質の再生音を得るには好ましくない虞がある。
【0049】
そこで、角度θが大きくなるに従い、嵌合枠51の中央開口の中心から図2の白抜矢印方向逆に所定量変位した位置に錘取付部55を設けて錘部3を取り付け、支持部5の重心位置が、嵌合枠51の開口の略中心に位置するように調整しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るスピーカ装置を示す斜視図である。
【図2】スピーカ装置の構造を示す模式的縦断面図である。
【図3】支持部を示す斜視図である。
【図4】図2のII−II線における模式的断面図である。
【図5】スピーカを示す構造断面図である。
【図6】支持部の他の形状例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 化粧部
2 縦筒体
3 錘部
4 スピーカ
5 支持部
6 緩衝部材
7 吸音部材
21 内フランジ部
51 嵌合枠
52 取付枠
53 連結部
54 外フランジ部
55 錘取付部
55a 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦筒体と、該縦筒体の上端を覆うように配置されるスピーカとを備えたスピーカ装置において、
前記縦筒体の上端に載置されており、
前記スピーカを設置面に対して仰角方向に傾斜させるよう支持する支持部を
備えていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
前記支持部と前記縦筒体との間に緩衝部材が挿設されていることを
を特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記縦筒体の内壁を覆う吸音部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記支持部は、
前記スピーカが取付けられる取付枠と、
前記縦筒体の上端に嵌合する嵌合枠と、
前記取付枠が前記嵌合枠と非平行となるよう連結する連結部と
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のスピーカ装置。
【請求項5】
前記支持部は、
前記嵌合枠の内側に配置された錘取付部と、
該錘取付部から前記嵌合枠に連結する保持部と、
前記錘取付部に一端が固定されており、前記縦筒体内に延在する棒状の錘と
を備えることを特徴とする請求項4に記載のスピーカ装置。
【請求項6】
前記錘の表面を覆う吸音部材を備えることを特徴とする請求項5に記載のスピーカ装置。
【請求項7】
前記嵌合枠に設けられ、周縁が前記縦筒体の上端に遊嵌する外フランジ部と、
前記縦筒体の上端近傍に設けられ、前記外フランジ部を支持する内フランジ部と、
前記連結部を間隙を有して囲繞する曲筒状の化粧部と
を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のスピーカ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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