説明

スピーカ装置

【課題】音域の異なる第1のスピーカ及び第2のスピーカを同軸上に配置したスピーカ装置において、前記第1スピーカからの音波を拡散させるディフューザの一部を着脱可能にし、第1のスピーカからの音波の拡散態様を調整することが出来るスピーカ装置を提供する。
【解決手段】第1のスピーカとしてのウーハ1からの音波を拡散させるディフューザ3は、底が開放された円皿状の拡散板32及び拡散板32のウーハ1側の縁と連設された支持部31からなる。拡散板32は、周縁側の周部板32b及び中央側の中央板32aからなり、中央板32aには周部板32b着脱可能に掛止する掛止部39を設ける。従って拡散板32の周部板32bの着脱により、第1のスピーカからの音波の拡散態様を調整することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音域の異なる第1のスピーカ及び第2のスピーカを同軸上に配置したスピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般のスピーカは一方向へ音波を出力するいわゆる単一指向性スピーカである。これに対して、例えばスピーカからの音波を拡散させるディフューザを設け、前後上下左右の方向へ均等に音波を出力するスピーカを無指向性スピーカという。この無指向性スピーカは、音波の聴取範囲が広く、音の定位が立体的に実現され、聴取者に臨場感を与える。
【0003】
このような無指向性スピーカにおいては、低音域のスピーカ(以下、ウーハという)及び高音域のスピーカ(以下、ツイーターという)を同軸上に配設することにより、音の定位を明確に実現するいわゆる同軸スピーカ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしこのようなスピーカ装置は、箱型形状のスピーカ筺体にスピーカユニットがフレームを介して固定しているので、スピーカユニットからの振動がフレームを介してスピーカ筺体に伝達され、スピーカ筺体からの雑音発生の一大要因になっている。また、スピーカ筺体に伝達された振動は、フレームを介して再びスピーカユニットに伝達され、スピーカユニット全体に不要な振動を発生させるので、結果的には本来の音波の振動に重畳され、音質をさらに劣化させるといった問題がある。
【0005】
このような問題に対しては、振動を吸収する例えばゲルのような緩衝材を介してスピーカユニットをスピーカ筺体に固定したスピーカ装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この場合、スピーカユニットからスピーカ筺体に伝達される振動及び、スピーカ筐体からスピーカユニットに伝達される振動が前記緩衝材に吸収され、これらの振動に邪魔されることなく複雑な音の波形を忠実に再生することができる。
【0006】
一方、使用目的によっては無指向性スピーカ又は単一指向性スピーカを選択する必要がある。つまり、ホール、ロビーなどのような音場空間においては、楽音などの低周波の複雑な波形の再生に忠実した無指向性スピーカが効果的である。その一方で、開放された空間での講演会などにおいては、客席に向けて音波を出力する指向性が強く求められるので無指向性スピーカより単一指向性スピーカが効果的である。
【特許文献1】特開2001−224089号公報
【特許文献2】特開平5−56493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のスピーカ装置はいずれも無指向性のみを有しており、上述のように音質より指向性が求められる場合においてはその使用が制限されるといった問題がある。
【0008】
また、近年普及している薄型ディスプレイは部屋の壁付近に設置されることが多いところ、この薄型ディスプレイとは別体のスピーカも壁付近に設置されることが多い。この場合、壁に反射された音波が本来の音波の振動に重畳され、音質が劣る虞が生じる。従って、スピーカからの音波に所定方向への指向性をもたらせ、壁に反射する音波を低減させる必要があるが、特許文献1及び特許文献2のスピーカ装置はいずれも指向性の調整が出来ず、このような必要に対応することが出来ないといった問題がある。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてされたものであり、その目的は、第1のスピーカ及び第2のスピーカを同軸上に配置したスピーカ装置において、前記第1のスピーカからの音波を拡散させる複数の部分からなるディフューザの複数の部分の一部を着脱可能に固定する固定部を備えることにより、前記ディフューザの一部を取り外すことが出来、第1のスピーカからの音波の拡散態様を調整することが出来るスピーカ装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記第1のスピーカに向けて縮径し、底が開放された皿状の拡散部の前記第1のスピーカ側の周縁部に前記固定部を設けることにより、前記ディフューザの前記一部を取り外した場合は前記拡散部の大部分が取り外されることになり、前記第1のスピーカからの音波の拡散が起こり難くなって単一指向性の特性をもたらすことが出来るスピーカ装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、前記一部の最小内径を、略円筒状をなす前記第2のスピーカの最大外径より大きく構成することにより、前記第2のスピーカを外すことなく前記一部を取り外し、音波の拡散の態様を調整することが出来るスピーカ装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、前記一部の最小内径側の縁部に複数の嵌合突起を設け、前記固定部の前記嵌合突起に対応する位置に複数の嵌合凹部を設け、前記嵌合凹部に前記嵌合突起を嵌脱することにより、必要に応じて前記一部を固定及び取り外し、音波の拡散の態様を調整することが出来るスピーカ装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、前記第2のスピーカからの音波を拡散する第2ディフューザを着脱可能に固着する固着部をディフューザの前記一部に設けることにより、前記一部を着脱することで第2ディフューザが同時に着脱でき、無指向性及び単一指向性間の特性の変換が容易である上、前記第2ディフューザのみを前記一部から取り外し、前記第2ディフューザからの音波の拡散の態様のみを調整することが出来るスピーカ装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、前記第1及び第2のスピーカが保持される筐体と、前記筐体の設置面に対する角度を調整するスタンドとを備えることにより、利用者が必要に応じて前記スピーカ及び前記筐体の設置面に対する角度を調整し、スピーカからの音波の聴取範囲を変えることが出来るスピーカ装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、前記スタンドが前記筐体の設置面からの高さを調整する調整部を備えることにより、利用者が必要に応じて前記筐体の設置面からの高さを調整し、スピーカからの音波の聴取範囲を変えることが出来るスピーカ装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、取り外されたディフューザの前記一部を着脱可能に保持する保持部材を備えることにより、取り外された前記一部の紛失及び破損に備え、取り外されたディフューザの前記一部を常に前記筐体の保持部材に着脱可能に保持することが出来るスピーカ装置を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、漏斗状をなす前記ディフューザを前記第1のスピーカのヨークに取付け、前記ヨークを貫通すると共に、前記ディフューザを非接触状態で貫通する取付軸に前記第2のスピーカを取付けることにより、第1のスピーカからの音波に応じて振動する前記ディフューザの振動が第2のスピーカへ与える影響を低減させ、音の定位をより明確に実現できるスピーカ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るスピーカ装置は、音域の異なる第1のスピーカ及び第2のスピーカを同軸上に配置したスピーカ装置において、前記第1のスピーカからの音波を拡散させる複数の部分からなるディフューザと、該ディフューザの複数の部分のうち一部を着脱可能に固定する固定部とを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、音域の異なる第1のスピーカ及び第2のスピーカを同軸上に配置し、前記第1のスピーカからの音波を拡散させるディフューザが複数の部分からなるように構成する。前記ディフューザには前記固定部を設け、前記固定部を用いて前記ディフューザの複数の部分のうち一部を取り外し、第1のスピーカからの音波の拡散態様を変化させる。
【0020】
本発明に係るスピーカ装置は、前記ディフューザは前記第1のスピーカ及び第2のスピーカの間に設けられ、前記第1のスピーカに向けて縮径し、底が開放された皿状の拡散部を有し、前記固定部は前記拡散部の前記第1スピーカ側の周縁部に設けられていることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、前記ディフューザを前記第1のスピーカ及び第2のスピーカの間に設け、前記固定部を第1のスピーカからの音波を拡散させる前記拡散部の前記周縁部に設ける。従って前記一部を取り外した場合、第1のスピーカからの音波は殆ど拡散されず、単一指向性が得られる。前記一部を取り付けた場合は、第1のスピーカからの音波は拡散され、無指向性が得られる。
【0022】
本発明に係るスピーカ装置は、前記第2のスピーカは略円筒状をなし、前記一部の最小内径は、前記第2のスピーカの最大外径より大きく構成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、取り外される前記一部の最小内径を、略円筒状の前記第2のスピーカの最大外径より大きくなるように構成する。従って、前記一部を取り外す際、前記第2のスピーカを外す必要がなくなる。
【0024】
本発明に係るスピーカ装置は、前記一部は最小内径側の縁部に前記第1のスピーカに向けて複数の嵌合突起が設けられ、前記固定部は前記嵌合突起に対応する位置に複数の嵌合凹部が設けられていることを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、前記一部を取り外す場合は、前記嵌合突起を前記固定部の前記嵌合凹部から外す。一方、前記一部を取り付ける場合は、前記嵌合突起を前記固定部の前記嵌合凹部に嵌め込む。
【0026】
本発明に係るスピーカ装置は、前記第2のスピーカからの音波を拡散する第2ディフューザと、前記ディフューザの前記一部に設けられ、前記第2ディフューザを着脱可能に固着するための固着部とを備えていることを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、前記ディフューザの前記一部に前記固着部を設け、前記第2ディフューザを着脱可能に固着する。従って、利用者が前記ディフューザの一部を取り外すだけで、第2ディフューザも共に取り外され、単一指向性スピーカ装置として使用され得る。また、必要に応じて前記第2ディフューザのみを取り外し、前記第2ディフューザからの音波の拡散の態様のみを調整する。
【0028】
本発明に係るスピーカ装置は、前記第1及び第2のスピーカを保持する筐体と、該筐体に取り付けられ、前記筐体の設置面に対する角度を調整するスタンドとを備えることを特徴とする。
【0029】
本発明にあっては、前記筐体に前記第1及び第2のスピーカを保持させ、前記筐体に前記スタンドを取り付ける。前記スピーカからの音波の聴取範囲の変更などの必要が生じた場合、前記スタンドを用いて設置面に対する前記筐体及びスピーカの角度を調整する。
【0030】
本発明に係るスピーカ装置は、前記スタンドは、前記筐体の設置面からの高さを調整する調整部を備えることを特徴とする。
【0031】
本発明にあっては、前記スタンドの前記調整部を用いて、設置面に対する前記筐体及びスピーカの高さを調整し、スピーカからの音波の聴取範囲を調整する。
【0032】
本発明に係るスピーカ装置は、前記筐体に設けられ、取り外されたディフューザの前記一部を着脱可能に保持する保持部材を備えることを特徴とする。
【0033】
本発明にあっては、単一指向性スピーカ装置としての使用などのために取り外された前記ディフューザの一部を紛失、破損などから保護するため、取り外された前記ディフューザの一部を前記保持部材に保持しておく。
【0034】
本発明に係るスピーカ装置は、前記ディフューザは漏斗状をなし、前記第1のスピーカのヨークに取付けられており、前記ヨークを貫通すると共に、前記ディフューザを非接触状態で貫通し、前記第2のスピーカが取り付けられる取付軸を備えていることを特徴とする。
【0035】
本発明にあっては、前記ディフューザを前記第1のスピーカのヨークに取り付ける。前記ヨークを貫通すると共に、前記ディフューザを非接触状態で貫通する取付軸を備え、該取付軸には前記第2のスピーカを取り付ける。従って第2のスピーカ及びディフューザの相互接触が防止され、第1のスピーカによるディフューザの振動が第2のスピーカへ与える影響が低減される。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、前記第1のスピーカからの音波を拡散させる複数の部分からなるディフューザの複数の部分のうち一部を、着脱可能に固定する固定部を備えているので、前記ディフューザの前記一部を取り外すことが出来、拡散される第1のスピーカからの音波の態様を調整することが出来る。
【0037】
本発明によれば、前記第1のスピーカに向けて縮径し、底が開放された皿状の拡散部の前記第1のスピーカ側の周縁部に前記固定部を設けているので、前記ディフューザの前記一部を取り外すことで前記第1のスピーカからの音波の拡散が起こり難くし、単一指向性の特性をもたらすことが出来る。
【0038】
本発明によれば、前記一部の最小内径を、略円筒状をなす前記第2のスピーカの最大外径より大きく構成しているので、前記第2のスピーカを外さなくても前記一部を取り外すことが出来、音波の拡散態様の調整を容易に行うことが出来る。
【0039】
本発明によれば、前記一部の最小内径側の縁部に複数の嵌合突起を設け、前記固定部の前記嵌合突起に対応する位置に複数の嵌合凹部を設けているので、前記嵌合凹部に前記嵌合突起を嵌脱することにより、容易に前記一部の固定及び取り外し、音波の拡散の態様を調整することが出来る。
【0040】
本発明によれば、前記第2のスピーカからの音波を拡散する第2ディフューザと、前記ディフューザの前記一部に設けられ、前記第2ディフューザを着脱可能に固着する固着部とを備えているので、前記一部を着脱することで第2ディフューザが共に着脱され、無指向性及び単一指向性間の特性の変換が容易になると共に、前記第2ディフューザのみを取り外し、前記第2ディフューザからの音波の拡散の態様のみを調整することも可能である。
【0041】
本発明によれば、前記第1及び第2のスピーカが保持される筐体と、該筐体に取り付けられ、前記筐体の設置面に対する角度を調整するスタンドとを備えているので、利用者が必要に応じて前記スピーカ及び前記筐体の設置面に対する角度を調整し、スピーカからの音波の聴取範囲を変えることが出来る。
【0042】
本発明によれば、前記スタンドが前記筐体の設置面からの高さを調整する調整部を備えているので、利用者が必要に応じて前記筐体の設置面からの高さを調整し、スピーカからの音波の聴取範囲を変えることが出来る。
【0043】
本発明によれば、前記筐体に設けられ、取り外されたディフューザの前記一部を着脱可能に保持する保持部材を備えているので、取り外された前記一部の紛失及び破損に備え、取り外されたディフューザの前記一部を常に前記筐体の保持部材に着脱可能に保持することが出来る。
【0044】
本発明によれば、前記ディフューザを前記第1のスピーカのヨークに取付け、前記ヨークを貫通すると共に、前記ディフューザを非接触状態で貫通する取付軸に前記第2のスピーカを取り付けているので、第1のスピーカからの音波に応じて振動する前記ディフューザの振動により前記第2のスピーカが影響を受けることを低減させ、音の定位をより明確に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態1を、図面を参照して説明する。図1は実施の形態1に係るスピーカ装置の概要を示す模式的斜視図である。スピーカ装置は、筐体5と、該筐体5に保持される第1のスピーカとしてのウーハ1及び第2のスピーカとしてのツイータ2と、ウーハ1に対応するディフューザ3と、ツイータ2に対応する第2ディフューザ4と、スタンド51とから構成されている。
【0046】
筐体5は木材、アルミニウム等の金属、透光性樹脂、またはガラス等から製造され、円筒状を有している。筐体5の一端部には開口が設けられており、他端部である下端部には、複数のスタンド51、51、51が筐体5の外周面にビス止めまたは接着剤等により固定されている。
【0047】
筐体5の前記開口の縁にはウーハ1が載置されている。ディフューザ3、ツイータ2及び第2ディフューザ4は筐体5の長手方向に沿ってウーハ1と同軸上に配設されており、筐体5の前記開口から突出している。
【0048】
ディフューザ3は略漏斗形状をなしており、ウーハ1に向けて漸次縮径する底が開放された円皿状をなし、ウーハ1からの音波を拡散させる拡散板32(拡散部)と、拡散板32をウーハ1と同軸上になるように支持する支持軸31とを備えている。拡散板32は後述する周部板32b(一部)及び中央板32aに二分されており、支持軸31は円管状をなしており、拡散板32の下端に連設されている。ウーハ1からの音波は拡散板32の裏面に沿って拡散される。
【0049】
ツイータ2は、ディフューザ3の上側の中央部にてディフューザ3と接触しないように設けられている。ツイータ2は上半球殻の形状をなす振動部23と、該振動部23の周縁部を保持する円筒状の保持部24とを備えている。
【0050】
ツイータ2の上側には第2ディフューザ4が設けられている。第2ディフューザ4は、複数の連結棒41,41,41,41及び拡散板42を備えている。連結棒41,41,41,41は一端が拡散板32の周縁部に着脱可能に取り付けられており、他端は拡散板42の周縁部に固定されている。従って、連結棒41,41,41,41と拡散板32の周縁部との連結を解除することにより、第2ディフューザ4を取り外すことが可能である。拡散板42は円皿状をなし、ツイータ2からの音波は拡散板42の裏面に沿って拡散される。
【0051】
図2はスピーカ装置の縦断面を示す模式的縦断面図、図3はディフューザ3の周部板32b及び第2ディフューザ4を分離した状態におけるスピーカ装置の縦断面を示す斜視図、図4はディフューザ3の周部板32b及び第2ディフューザ4を分離した状態におけるスピーカ装置の縦断面を示す模式的縦断面図、図5はスピーカ装置を構成する部品の縦断面を示す分解斜視図である。
【0052】
ウーハ1の下端部にはヨーク12が備わり、ヨーク12の上側には円環状のマグネット13が載置されている。また、マグネット13の上側には円環状のトップブレード14を挟んで、ウーハ1の振動板11、コイルボビン16及びダンパ17を収容するフレーム15が配設されている。フレーム15は下側に向けて段階的に縮径する略円筒形状をなしている。振動板11はヨーク12に向けて漸次縮径する円筒状をなしており、マグネット13との反発力により動くコイルボビン16は円管状をなし、振動板11の下端から下側に延出され、フレーム15の底を貫通している。コイルボビン16はマグネット13及びトップブレード14の内径より少し小さい外径及び、後述のセンターポール122より大きい内径を有している。振動板11の周縁には溝部18が周設されており、振動板11の下側にはダンパ17が設けられている。
【0053】
底面視円環状をなすヨーク12は円環状のボトムプレート121を備えており、ボトムプレート121の中心部にはボトムプレート121の内径と等しい内径を有する円筒状のセンターポール122が突設されている。ボトムプレート121及びセンターポール122は同軸上に設けられており、一体成形されている。ボトムプレート121及びセンターポール122の内周面には夫々の内側を貫くネジ溝123が形成されており、ボトムプレート121及びセンターポール122の内側にはネジ孔124が形成されている。ネジ溝123には、後述の取付軸6の下端部のネジ部64及び支持軸31の下端部のネジ部34がそれぞれ螺合されている。すなわち、ネジ孔124の直径と、支持軸31のネジ部34の外径及び取付軸6のネジ部64の直径とが、略同一径である。
【0054】
ボトムプレート121上側にはマグネット13、トップブレード14及びフレーム15が、取付軸6を中心として同軸上に載置されている。コイルボビン16の下部がマグネット13、トップブレード14を貫通しており、コイルボビン16の下部にセンターポール122が挿入されている。
【0055】
コイルボビン16の上端部は上述のように、振動板11に連結されている。振動板11は上側に向けて直径が大きくなり、振動板11の上側の周縁には縦断面視半円形の溝部18が周設される。溝部18の周縁には鍔状の保持板151が周設されている。円筒状の筐体5の前記開口の縁には縦断面視L字型の段部52が周設されており、この段部52にウーハ1の保持板151が載置されている。
【0056】
次に、ディフューザ3について説明する。ディフューザ3は、上述のように拡散板32及び支持軸31からなる。拡散板32のウーハ1側の縁には支持軸31が連設されている。拡散板32は中央板32a及び周部板32b(一部)に二分されており、拡散板32のウーハ1側の周縁部9に設けられた掛止部(固定部)39によって周部板32bが中央板32aに固定されている。周部板32bは拡散板32の周縁側であり、中央板32aは支持軸31の近傍の中央側である。掛止部39は中央板32aに設けられており、掛止部39に対応する被掛止部38が周部板32bに設けられている。被掛止部38は平面視略円環形状をなし、掛止部39は円管状をなしている。周部板32bの上側の縁にはエッジ36が設けられており、周部板32bの下側の縁には被掛止部38が設けられている。中央板32aの上側の縁には掛止部39が設けられており、下端は支持軸31と連設されている。つまり、拡散板32のウーハ1側の周縁部9に設けられている掛止部39から周部板32b(又は被掛止部38)が取り外された場合は、ウーハ1からの音波の拡散が生じにくくなり、単一指向性スピーカ装置としての利用が可能となる。
【0057】
周部板32bは上側に向けて直径が漸次的に大きくなる底が開放された円皿状をなしており、周部板32bの上側の周縁には扁平な上面を有するエッジ36が周設されている。エッジ36の上面の適宜の位置、例えばエッジ36の周縁を4等分する4カ所には略円筒状であって上側が開口された嵌合凹(固着部)35,35,35,35が設けられている。嵌合凹35,35,35,35は連結棒41,41,41,41の下端部と嵌合されている。
【0058】
被掛止部38は、周部板32bの下端から支持軸31の軸方向に沿って立ち上がっている円管状の立ち上がり部38a及び、立ち上がり部38aの端から軸側へ延出されている円環状の鍔部38bを有している。鍔部38bの内径はツイータ2の外径より大径であり、鍔部38bはツイータ2と接触することなく囲むように設けられている。鍔部38bの下面の適宜の位置、例えば鍔部38bの周縁を4等分する4カ所にはウーハ1に向けて複数の嵌合突起38c,38c,38c,38cが設けられている。嵌合突起38c,38c,38c,38cが後述の掛止部39の嵌合凹部39a,39a,39a,39aと嵌合されることにより、周部板32bは中央板32aに掛止される。つまり、嵌合突起38c,38c,38c,38c及び嵌合凹部39a,39a,39a,39aの嵌脱により、ディフューザ3の周部板32bは中央板32aから着脱される。立ち上がり部38a、鍔部38b及び嵌合突起38c,38c,38c,38cは一体成形されている。
【0059】
中央板32aの周縁には、被掛止部38の鍔部38bと対向するように掛止部39を備えている。掛止部39は、中央板32a周縁から支持軸31の軸方向に沿って立ち上がっている円管状をなしており、掛止部39の縁には嵌合突起38c,38c,38c,38cに対応する嵌合凹部39a,39a,39a,39aが設けられている。嵌合凹部39a,39a,39a,39aは上側が開口された略円筒状をなしている。
【0060】
支持軸31は中央板32aの下端と連設されている。支持軸31は外径がセンターポール122の内径より大径である円筒形状をなしている。支持軸31は下端部にネジ部34が設けられており、ネジ部34の外周側にはネジ山が形成されている。ネジ部34はセンターポール122の内側のネジ孔124と螺合する。ネジ部34の上端には外周方向へ延出され、センターポール122の縁と当接する扁平な当接面34aを設けている。つまり、当接面34aとセンターポール122の縁とが当接された場合、ネジ部34とネジ孔124との螺合は終了される。なお、支持軸31及び中央板32aは一体成形されている。
【0061】
次に、取付軸6の構成について説明する。取付軸6は下端部のネジ部64、中間部の案内軸63及び先端部の先端ネジ部62から構成されており、ネジ部64及び先端ネジ部62は外周面にネジ山が設けられている。ネジ部64、案内軸63及び先端ネジ部62の直径は夫々異なっており、ネジ部64、案内軸63及び先端ネジ部62の順に小さくなるよう構成されている。ネジ部64の下端には円環状の平ワッシャ65が設けられており、平ワッシャ65の下側には円柱状のヘッド61が突設されている。ヘッド61、平ワッシャ65、ネジ部64、案内軸63及び先端ネジ部62は同軸上に、一体成形されている。
【0062】
ネジ部64の外周面直径は、センターポール122のネジ孔124との螺合を可能にすべく、センターポール122の内周面直径と略同一となるよう設定されている。取付軸6の軸方向に沿うネジ部64の長さは、支持軸31の軸方向に沿うネジ部34の長さ及びネジ部64の前記長さの和が、センターポール122の長さ方向に沿うネジ孔124の長さと略等しい長さまたはそれ以下になるように構成されている。例えば、センターポール122のネジ孔124の前記長さを5cmとした場合、ネジ部64の前記長さを4cm、支持軸31のネジ部34の前記長さを1cmとすれば良い。
【0063】
案内軸63はネジ部64と先端ネジ部62との間に設けられており、案内軸63の直径は支持軸31の内径より小さく、ディフューザ3の支持軸31及び拡散板32に接触しないように、これらを貫通している。また、先端ネジ部62にはツイータ2が固定されている。これにより、ウーハ1からの音波による支持軸31及び拡散板32の振動が、ツイータ2及びツイータ2が固定されている案内軸63に伝わることがなくなり、ウーハ1からの音波による振動のツイータ2への影響が低減される。なお、取付軸6の軸方向に沿う案内軸63の長さは、取付軸6のネジ部64とネジ孔124との螺合が完了された場合に、ツイータ2がディフューザ3の拡散板32と接することなく先端ネジ部62に固定されることが可能となるように設定すればよい。
【0064】
ツイータ2はディフューザ3を非接触状態で貫通する取付軸6の先端ネジ部62に固定されている。ツイータ2は上半球殻の形状をなす振動部23と、該振動部23の周縁部を保持する円筒状の保持部24と、これらを保持するツイータヨーク21からなる。ツイータヨーク21はツイータ2の下側に設けられ、保持部24の内径より大径の円盤状の受部21b及び、保持部24の内径より小径の円柱状の被取付部21aを有している。被取付部21aは受部21bの中央にて上側に向けて突設されており、被取付部21aは保持部24内に挿入されている。被取付部21aの中心部には取付軸6の先端ネジ部62と螺合するネジ孔22が設けられおり、受部21bの上面の縁部と保持部24の下側の縁とが当接された状態で保持部24がツイータヨーク21に固定されている。被取付部21a及び受部21bは一体成形されている。
【0065】
第2ディフューザ4は、円皿状をなす拡散板42と、拡散板42の周縁に周設された扁平な上下面を有するエッジ43とを備えている。エッジ43下面の適宜の位置、例えばエッジ43の周縁を4等分する4カ所には連結棒41,41,41,41が垂設されている。連結棒41,41,41,41の下端には長さ方向に沿って突起が夫々設けられており、前記突起がディフューザ3のエッジ36に設けられている嵌合凹35,35,35,35に夫々嵌合されている。
【0066】
以下、本発明に係るスピーカ装置の組み立て手順について説明する。ウーハ1の上側からディフューザ3の中央板32a及び支持軸31が挿入される。この際支持軸31のネジ部34がコイルボビン16及びセンターポール122のネジ孔124に合わせて挿入され、回転されることによりセンターポール122のネジ孔124と螺合される。回転と共に支持軸31は下側に進行し、支持軸31の当接面34aにセンターポール122の縁が当接した場合、中央板32a及び支持軸31の固定が完了される。次いで、中央板32aの上端の嵌合凹部39a,39a,39a,39aと、ディフューザ3の周部板32bの下端の嵌合突起38c,38c,38c,38cとが嵌合され、ディフューザ3の固定が完了される。
【0067】
上述のようにディフューザ3をヨーク12のセンターポール122に固定した後に、取付軸6及びツイータ2を取り付ける。取付軸6がヨーク12の下側からネジ孔124を介して挿入される。ヘッド61を回転させることにより、ネジ部64がネジ孔124と螺合せれ、取付軸6は上側に向けて進行する。この際、取付軸6の先端ネジ部62及び案内軸63は上述のようにセンターポール122及び支持軸31の内径より小さい外径を有しているので、センターポール122及び支持軸31の内側と接触することなくこれらを貫通する。
【0068】
ヘッド61の回転による螺合に伴い、取付軸6が上側へ進行し、平ワッシャ65の上面がヨーク12の下面と当接する時点で螺合が完了される。この際、取付軸6のネジ部64は、ヨーク12のネジ孔124と螺合しているが、案内軸63は支持軸31の内側と接触することなく貫通し、先端ネジ部62は支持軸31の上端から突出されることとなる。次いで、取付軸6の先端ネジ部62にツイータ2のネジ孔22が螺合され、ツイータ2が取付軸6に固定される。この際、ツイータ2はディフューザ3と接触していない。ツイータ2がディフューザ3に接触した場合、ディフューザ3を介してウーハ1の音波による振動がツイータ2まで伝わるので、取付軸6はこれらが相互接触しないように長さを設定している。
【0069】
最後に、第2ディフューザ4の連結棒41,41,41,41の下端の突起が、ディフューザ3の嵌合凹35,35,35,35と夫々嵌合される。以上の手順により、ウーハ1、ディフューザ3、取付軸6、ツイータ2及び第2ディフューザ4からなるスピーカユニットが一体化される。これらはウーハ1のヨーク12を下側にして筐体5の前記開口から挿入され、ウーハ1の保持板151を段部52上に載置することにより、本発明に係るスピーカ装置の組み立てが完了する。なお、保持部151と段部52との間に振動吸収用のゲル等を間挿するようにしても良い。
【0070】
実施の形態1においては、複数の嵌合突起38c,38c,38c,38cを有する被掛止部38及び、複数の嵌合凹部39a,39a,39a,39aを有する掛止部39により、ディフューザ3の周部板32bが中央板32aから着脱される場合について説明したが、これに限るものでない。例えば、被掛止部38及び掛止部39が共に円管状をなし、被掛止部38の内径と、掛止部39の外径とが略同一径になるように構成することにより、被掛止部38が掛止部39に嵌脱可能に嵌着させる構成であっても良い。或いは、被掛止部38及び掛止部39が共に円管状であって被掛止部38の内径と、掛止部39の外径とが略同一径をなし、被掛止部38の内周面及び掛止部39の外周面に夫々ネジ溝及びネジ山を設ける構成とすることにより、被掛止部38及び掛止部39を着脱可能に螺合させる構成であっても良い。また、上述のような例に限るものでなく、被掛止部38が掛止部39に着脱可能に固定される構成であれば良い。
【0071】
本発明に係る掛止部39の位置は、漏斗状をなすディフューザ3の軸と、拡散板32とがなす角度に応じて適宜変更しても良い。掛止部39の位置は実施の形態1のものに限定されるものでなく、取り外されるディフューザ3の周部板32bの最小内径がツイータ2の最大外径より少し大きく、ツイータ2を外さずに周部板32bを取り外すことが可能であれば良い。
【0072】
なお、実施の形態1においては筐体5が円筒形状をなすものとして説明するが、これに限るものではなく楕円筒形状のものであっても良い。さらに筒形状に限るものではなく、中空三角柱状、または中空多角柱状のものであっても良い。
【0073】
また、実施の形態1においては連結棒41,41,41,41及び嵌合凹35,35,35,35が夫々4つである場合ついて説明したが、これに限るものでなく、4つ以上又は以下であっても良い。
【0074】
また、実施の形態1においては嵌合突起38c,38c,38c,38c及び嵌合凹部39a,39a,39a,39aが夫々4つである場合について説明したが、これに限るものでなく、4つ以上又は以下であっても良い。
【0075】
また、実施の形態1においては、支持軸31が内部に空洞を有する筒状である場合としたが、これに限るものではなく、取付軸6の案内軸63と接触しない形状であれば他の形状であっても良い。
【0076】
また、実施の形態1においてはネジ部34及びネジ孔124による取り付け方法を例に挙げたが、これに限るものではなく、接着剤等を用いて固定しても良い。
【0077】
また、実施の形態1においては、鍔部38b及び掛止部39に夫々嵌合突起38c,38c,38c,38c及び嵌合凹部39a,39a,39a,39aが設けられ、嵌合突起38c,38c,38c,38c及び嵌合凹部39a,39a,39a,39aが嵌合することにより、周部板32bが中央板32aに掛止される場合について説明したが、これに限るものでない。例えば、鍔部38bに嵌合凹部39a,39a,39a,39aを設け、掛止部39に嵌合突起38c,38c,38c,38cを設ける構成にしても良い。
【0078】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るスピーカ装置は、実施の形態1に係るスピーカ装置と同様に筐体5、ウーハ1、ツイータ2、ウーハ1に係るディフューザ3及びツイータ2に係る第2ディフューザ4から構成されており、詳しい説明は省略する。しかし、実施の形態2に係るスピーカ装置は実施の形態1とは異なり、スタンド7を備えている。
【0079】
図6は実施の形態2に係るスピーカ装置の概要を示す斜視図であり、図7は周部板32b及び第2ディフューザ4が外され、スピーカ装置のウーハ1及びツイータ2の設置面に対する高さ並びに角度が変更された状態の斜視図である。
【0080】
実施の形態2に係るスピーカ装置は、筐体5の外周面の略中間部にスタンド7を設けており、スタンド7によりウーハ1及びツイータ2の設置面に対する高さ並びに角度が調整できるように構成されている(以下、説明の便宜上、設置面側を下側とする)。
【0081】
スタンド7は円板状をなす基盤部71、基盤部71の中央部にて上側に向けて突設されており、筐体5(ウーハ1及びツイータ2)の設置面からの高さを調整する高さ調整部72、筐体5に固定されている被固定部73及び、被固定部73及び筐体5の設置面に対する角度を調整する角度調整部77を備えている。
【0082】
高さ調整部72は、円筒形状をなす案内筒部72a及び案内筒部72aに案内され上下方向に移動する移動部72bを備えている。案内筒部72aは基盤部71に下端が固定されており、内部の空洞を用いて移動部72bの上下移動を案内する。移動部72bは円柱状をなしており、移動部72bの一部は案内筒部72a内に収容されている。案内筒部72aの外周面の上部には、移動部72bを所定位置で固定するための抑止部材76を設けている。抑止部材76はネジ部及び該ネジ部を回転させるためのツマミ部を有しており、案内筒部72aの外周面に設けられたネジ穴(図示せず)に前記ネジ部が螺合されている。抑止部材76は、前記ツマミ部を一方向に回転させることにより、ネジ部の先端が案内筒部72aの内側へ進行して移動部72bの円周面と当接して移動部72bを押圧し、移動部72bの移動を抑止させる。従って、抑止部材76のツマミ部を他方向に回転させた後、移動部72bを上下方向に移動させて筐体5(ウーハ1及びツイータ2)の高さを調整することが出来る。高さの調整後は抑止部材76のツマミ部を一方向に回転させ、高さを固定させる。
【0083】
次いで、角度調整部77及び被固定部73について説明する。移動部72bの上端に設けられた角度調整部77は、回転軸74と、回転軸74を回転可能に軸止している板状の軸止部77aと、回転軸74により回転可能に支持されている2つの被軸支板77b、77cを備えている。被固定部73は筐体5の外周面に倣って湾曲している矩形の板状をなしており、筐体5の外周面に接着剤などにより裏面が固定されている。被固定部73の表面の中央部には被軸支板77b,77cが被固定部73の表面の中央部にて相互対向する状態で所定の間隔を隔てて突設されている。各被軸支板77b,77cは、厚み方向にこれらを貫通する貫通孔を中央部に夫々設けている。軸止部77aは前記間隔より少し小さい厚みを有しており、中央部には厚み方向に貫通する貫通穴を有している。被軸支板77b,77c及び軸止部77aの夫々の貫通孔は、被軸支板77b,77cが軸止部77aを挟む状態で回転軸74より挿通されている。被軸支板77bには後述する回転軸74ネジ部74bと螺合するネジ溝が形成されている。被固定部73及び被軸支板77b,77cは一体成形されている。
【0084】
回転軸74は、ネジ山が形成されているネジ部74b及び、ネジ部74bを回転させるためのツマミ部74aを備えている。ネジ部74bは被軸支板77bと螺合されており、ツマミ部74aは平ワッシャ(図示せず)を介して被軸支板77cの外側に配設されている。ツマミ部74aの回転に従って被軸支板77cの外側は平ワッシャと接離される。
【0085】
ツマミ部74aを一方向に回転させた場合、平ワッシャが軸支板77cと当接する。さらにツマミ部74aを前記一方向に回転させた場合、ツマミ部74aが平ワッシャを介して被軸支板77cを被軸支板77b側へ押し付ける。従って、被軸支板77c及び被軸支板77bは共に、軸止部77aの方向へ夫々撓むようになり、軸止部77aの両面と、被軸支板77c及び被軸支板77bの内側面とが圧接される。この際、回転軸74を軸とする被軸支板77c及び被軸支板77bの回転が抑制され、被固定部73(筐体5)は固定される。一方、ツマミ部74aを他方向に回転させた場合、ツマミ部74aは被軸支板77cから離れる方向に移動され、軸止部77aの両面と、被軸支板77c及び被軸支板77bの内側面との圧接は解消される。従って、回転軸74を軸とする被軸支板77c及び被軸支板77b(被固定部73及び筐体5)の回転が可能となる。つまり、回転軸74のツマミ部74aを前記他方向に回転させ、筐体5(ウーハ1及びツイータ2)の設置面に対する角度を調整し、ツマミ部74a前記一方向に回転させ、筐体5を固定することにより、角度の調整が出来る。
【0086】
上述の実施の形態2においては、被固定部73が筐体5の外周面に固定されている場合について説明したが、これに限るものでなく、被固定部73と、筐体5とを分離可能に設けても良い。例えば、筐体5の円周面の被固定部73と接する位置に凸部を設け、被固定部73の裏面の前記凸部に対応する位置に凹部を設けることにより、被固定部73及び筐体5が分離可能に係止するように構成すれば良い。或いは、筐体5の円周面の被固定部73と接する位置に被挟持部を設け、被固定部73の裏面の前記被挟持部に対応する位置に挟持部を設けることにより、筐体5が被固定部73に分離可能に挟持されるように構成しても良い。
【0087】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0088】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係るスピーカ装置は、実施の形態1に係るスピーカ装置と同様に筐体5、ウーハ1、ツイータ2、ウーハ1に係るディフューザ3及びツイータ2に係る第2ディフューザ4から構成されており、詳しい説明は省略する。しがし、実施の形態3に係るスピーカ装置は実施の形態1とは異なり、外されたディフューザ3の周部板32b及び第2ディフューザ4を一時的に保持する保持部材8を備えている。
【0089】
図8は実施の形態3に係るスピーカ装置の概要を示す模式的斜視図であり、図9は外された周部板32b及び第2ディフューザ4が保持部材8に保持されている状態の模式的斜視図である。
【0090】
保持部材8は略円柱状をなしており、筐体5の上部の外周面に突設されている。円管状の掛止部39の外径と等しい直径を有する保持部材8は、円周面を除く両面の内一面が筐体5の外周面に倣う湾曲面であり、前記一面が筐体5の外周面に固定されている。他面81は扁平であり、他面81には周部板32bの嵌合突起38c,38c,38c,38cに対応する位置に嵌合穴82,82,82,82が設けられている。嵌合突起38c,38c,38c,38cは嵌合穴82,82,82,82に着脱可能に嵌合される。
【0091】
本発明に係るスピーカ装置は、第2ディフューザ4がディフューザ3の周部板32bと連結棒41,41,41,41によって連結されており、利用者は周部板32bを着脱するだけで前記スピーカ装置を単一指向性スピーカ装置又は無指向スピーカ装置としての利用できる。この場合、外れた周部板32b及び第2ディフューザ4は紛失及び破損の虞があるので、周部板32bの嵌合突起38c,38c,38c,38cを保持部材8の嵌合穴82,82,82,82に嵌合させ、周部板32bと共に周部板32bに連結されている第2ディフューザ4も安全に保管される。
【0092】
上述の実施の形態2においては、第2ディフューザ4が連結された周部板32bが保持部材8に保持されることにより、第2ディフューザ4も共に保持される場合について説明したが、これに限るものでなく、第2ディフューザ4のための保持部材を別途に設けても良い。
【0093】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0094】
上述の実施の形態においては、本発明に係るスピーカ装置が円筒形状をなす筐体5を備える場合を例として説明したが、これに限るものでなく、12面体、20面体など多面体形状のスピーカ筐体に複数のスピーカを備える無指向性スピーカ装置においても適用可能であることは言うまでもない。
【0095】
実施の形態1、2及び3においては第1のスピーカ1を低音用のウーハ1、第2のスピーカ2を高音用のツイータ2であるものとして説明するが、これに限るものではなく、超低音用のサブウーハ、中音用のスコーカまたは超高音用のスーパーツイータ等を第1のスピーカ1または第2のスピーカ2に適宜組み合わせて適用しても良い。
【0096】
実施の形態1、2及び3においては通称エンクローザとして円筒状の筐体5を用いた場合について説明したが、これに限るものでない。例えば、エンクローザとして従来の直方体形状の筐体を用いた場合においても、本発明の効果を奏することが可能である。
【0097】
図10はエンクローザとして従来の直方体形状の筐体10を用いた場合における、本発明に係るスピーカ装置の縦断面を示す斜視図である。表示の便宜上、ディフューザ3の周部板32b及び第2ディフューザ4を分離した状態を示している。ウーハ1、ディフューザ3、取付軸6、ツイータ2及び第2ディフューザ4からなるスピーカユニットが、直方体形状の筐体10に固定されている。スピーカユニットは実施の形態1と同様の構成であり、詳しい説明は省略する。
【0098】
筐体10は一側壁の中央部に挿入穴20を設けており、挿入穴20を介して前記スピーカユニットが筐体10内に挿入されている。スピーカユニットの保持板151の裏側が、前記一側壁の表側に接着剤、ネジ(図示せず)などにより固定されている。
【0099】
筐体10の前記一側壁は箱体30によって覆われており、筐体10に臨む箱体30の一側壁は開口されている。箱体30の前記一側壁と対向する他側壁は筐体10の前記一側面と略等しい面積を有しており、箱体30は前記他側壁の中央部に前記スピーカユニットの溝部18の直径より大径の貫通穴30aを有している。貫通穴30aの縁には筐体10に向けて漸次縮径する円管状の音波誘導部30bが延設され、ウーハ1からの音波を誘導する。音波誘導部30bの先端は溝部18の外側の直径と略等しい直径を有しており、溝部18の外側縁の真上に配置されている。箱体30及び音波誘導部30bは一体成形されている。
【0100】
従来の直方体形状の筐体を用いた場合においても、ディフューザ3の周部板32b及び第2ディフューザ4を着脱することにより単一指向性スピーカ装置又は無指向スピーカ装置として利用できる。また、第2ディフューザ4のみを着脱することにより、ツイータ2からの音波のみの拡散態様を調整することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施の形態1に係るスピーカ装置の概要を示す模式的斜視図である。
【図2】スピーカ装置の縦断面を示す模式的縦断面図である。
【図3】ディフューザの周部板及び第2ディフューザを分離した状態におけるスピーカ装置の縦断面を示す斜視図である。
【図4】ディフューザの周部板及び第2ディフューザを分離した状態におけるスピーカ装置の縦断面を示す模式的縦断面図である。
【図5】スピーカ装置を構成する部品の縦断面を示す分解斜視図である。
【図6】実施の形態2に係るスピーカ装置の概要を示す斜視図である。
【図7】スピーカ装置のウーハ及びツイータの設置面に対する高さ並びに角度が変更された状態の斜視図である。
【図8】実施の形態3に係るスピーカ装置の概要を示す模式的斜視図である。
【図9】外された周部板及び第2ディフューザが保持部材に保持されている状態の模式的斜視図である。
【図10】エンクローザとして従来の直方体形状の筐体を用いた場合における、本発明に係るスピーカ装置の縦断面を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0102】
1 ウーハ
2 ツイータ
3 ディフューザ
4 第2ディフューザ
5 筐体
6 取付軸
7 スタンド
8 保持部材
9 周縁部
10 筐体
12 ヨーク
32 拡散板
32b 周部板
35 嵌合凹
38c 嵌合突起
39 掛止部
39a 嵌合凹部
72 高さ調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音域の異なる第1のスピーカ及び第2のスピーカを同軸上に配置したスピーカ装置において、
前記第1のスピーカからの音波を拡散させる複数の部分からなるディフューザと、
該ディフューザの複数の部分のうち一部を着脱可能に固定する固定部と
を備えていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
前記ディフューザは前記第1のスピーカ及び第2のスピーカの間に設けられ、
前記第1のスピーカに向けて縮径し、底が開放された皿状の拡散部を有し、
前記固定部は前記拡散部の前記第1スピーカ側の周縁部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記第2のスピーカは略円筒状をなし、
前記一部の最小内径は、前記第2のスピーカの最大外径より大きく構成されていることを特徴とする請求項2に記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記一部は最小内径側の縁部に前記第1のスピーカに向けて複数の嵌合突起が設けられ、
前記固定部は前記嵌合突起に対応する位置に複数の嵌合凹部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のスピーカ装置。
【請求項5】
前記第2のスピーカからの音波を拡散する第2ディフューザと、
前記ディフューザの前記一部に設けられ、前記第2ディフューザを着脱可能に固着するための固着部と
を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のスピーカ装置。
【請求項6】
前記第1及び第2のスピーカを保持する筐体と、
該筐体に取り付けられ、前記筐体の設置面に対する角度を調整するスタンドと
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のスピーカ装置。
【請求項7】
前記スタンドは、前記筐体の設置面からの高さを調整する調整部を備えることを特徴とする請求項6に記載のスピーカ装置。
【請求項8】
前記筐体に設けられ、取り外されたディフューザの前記一部を着脱可能に保持する保持部材
を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載のスピーカ装置。
【請求項9】
前記ディフューザは漏斗状をなし、前記第1のスピーカのヨークに取付けられており、
前記ヨークを貫通すると共に、前記ディフューザを非接触状態で貫通し、前記第2のスピーカが取り付けられる取付軸を備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載のスピーカ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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