説明

スプライスボックスの構造

【課題】施工性が向上するスプライスボックスの構造を提供することを目的としている。
【解決手段】スプライスボックスにテンションメンバ押さえ2を取り付け、テンションメンバ押さえ2にテンションメンバを到達させるための挿通口13と、テンションメンバ押さえ2を固定する固定ねじを差し込みねじ締め作業を行うための差し込み穴を設けたベース5でテンションメンバ押さえ2を被覆して固定し、ベース5上に融着トレイ1、光通信線用部材を配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信に用いる光通信線の接続を行う融着トレイ、光通信線を収納誘導するための部材を収納して構成されるスプライスボックスの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、融着トレイ31や光アダプタ32等の器具や、光通信線の余長を収納するためのワイヤサドル33、ケーブルクランプ34、テンションメンバ押さえ35等の部材は、ベース36に載置固定し、ベース36をスプライスボックスの本体37に取り付けていた。例えばベース36の略中央部に融着トレイ31を配置し、その近傍にテンションメンバ押さえ35を取り付ける。融着トレイ31やテンションメンバ押さえ35の邪魔にならない場所にワイヤサドル33を設け、そこに光コード等の余長を巻きつけ収納していた。
【非特許文献1】カワムララックカタログNO.10 2006年6月1日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のような器具の配置では、テンションメンバ押さえ自体が邪魔であり、芯線を融着トレイへ誘導しにくいという欠点があった。また、テンションメンバ押さえが余長収納の邪魔になる虞があった。テンションメンバ押さえを避けて余長収納スペースを設けなくてはならず、配置の仕方によっては、キャビネットのサイズが大きくなってしまうことがあった。テンションメンバ押さえから突出するテンションメンバに先端を突出しないような長さにカットしたり、先端をテープ等で養生する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで本発明は、スプライスボックスの施工性向上を目的とし、その構造は、スプライスボックスにテンションメンバ押さえを取り付け、テンションメンバ押さえにテンションメンバを到達させるための挿通口と、テンションメンバ押さえを固定する固定ねじを差し込みねじ締め作業を行うための差し込み穴を設けたベースでテンションメンバ押さえを被覆して固定し、ベース上に融着トレイ、光通信線用部材を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係るスプライスボックスの構造は、スプライスボックスにテンションメンバ押さえを取り付け、テンションメンバ押さえにテンションメンバを到達させるための挿通口と、テンションメンバ押さえを固定する固定ねじを差し込みねじ締め作業を行うための穴を設けたベースでテンションメンバ押さえを被覆して固定し、ベース上に融着トレイ、光通信線用部材を配置したため、テンションメンバ押さえが配線の邪魔にならず、施工性の向上を図ることができる。テンションメンバ押さえはベース上にないので、ベース上のスペースは配線スペースとして利用でき、スプライスボックスの寸法を小さくすることができ、取り付け場所が制限されず、製造コストも抑えることができる。テンションメンバ押さえはベース下に収められるため、たとえテンションメンバが長くても、ベースに被覆され、養生等の処理も不要となり施工性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に係るスプライスボックスの構造を図1〜図5の添付図面に基いて説明する。
【0007】
スプライスボックスには、光通信に用いられる光通信線を接続する融着トレイ1や、光アダプタ(図示せず)等の機器を配置したり、光通信線の余長を収納したりするスペースが設けられる。スプライスボックスに収納される機器は他に、スプライスボックスへ入線されるケーブルを固定するケーブルクランプ(図示せず)、ケーブルから伸びているテンションメンバを固定するテンションメンバ押さえ2、光ファイバの余長を巻き取るためのワイヤサドル3等がある。スプライスボックスは、機器を配置する基台4と基台4前面を施蓋する扉(図示せず)とから本体を構成する。機器類はベース5にねじ止め等により固定し、ベース5を基台4に取り付け収納する。
【0008】
基台4にはベース5を固定するための固定穴6と共に、テンションメンバ押さえ2を取り付けるための取り付け穴7を設ける。テンションメンバ押さえ2は取り付け穴7に対向する位置に挿通孔8を設けており、テンションメンバを通す差し込み口9と抜き出し口10とを設ける。差し込み口9近傍にはねじ11が設けられ、ねじ11を締め付けることによりテンションメンバを固定するものである。テンションメンバ押さえ2は、挿通孔8を取り付け穴7に対向させ、それぞれにねじ12を挿通し締め付け基台5に固定する。
【0009】
機器を配置するベース5の側面にはケーブルを引き入れるための挿通口13を設ける。ベース5には融着トレイ1やワイヤサドル3等を配置し、テンションメンバ押さえ2を被覆しながら基台4に固定する。ベース5の上面には、テンションメンバ押さえ2の挿通孔8に対向する位置に差し込み穴14を設ける。差し込み穴14は、差し込むねじ11の頭径より大きく、ねじ11を表面から通すことができるような大きさとする。
【0010】
ケーブルは、基台4にケーブルクランプにより固定され、テンションメンバは、ベース5の側面の穴13からベース5下へ差し込み、テンションメンバ押さえ2の差し込み口9から抜き出し口10へ差し込む。差し込み口9のところで、ベース5の差し込み穴14にドライバ等の工具を差し込みねじを締め付け、テンションメンバを固定する。
【0011】
テンションメンバを固定するねじは、テンションメンバの径が小さくても締められる長さにする。また、ベースの高さは、テンションメンバの径が大きくてもねじ頭がベースから突出しない寸法とする。
【産業上の利用可能性】
【0012】
テンションメンバは、従来ベース上に固定されていたため、テンションメンバの先端を安全に保護するため養生する必要があったが、本発明では、テンションメンバの先端は、ベース下に収納されているため、触れることがないので、養生も不要で作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るスプライスボックスの基台を示す説明図である。
【図2】本発明に係るスプライスボックスのテンションメンバ押さえを示す説明図である。
【図3】図1の基台に図2のテンションメンバ押さえを取り付けた状態を示す説明図である。
【図4】本発明に係るスプライスボックスの機器を取り付けた状態のベースを示す説明図である。
【図5】図3の基台に図4のベースを取り付けた状態を示す説明図である。
【図6】従来のスプライスボックスの構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1 融着トレイ
2 テンションメンバ押さえ
3 ワイヤサドル
4 基台
5 ベース
6 固定穴
7 取り付け穴
8 挿通孔
9 差し込み口
10 抜き出し口
11 ねじ
12 ねじ
13 挿通口
14 差し込み穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信に用いる光通信線の接続を行う融着トレイ、前記光通信線を収納誘導するための部材を収納して構成されるスプライスボックスの構造であって、該スプライスボックスにテンションメンバ押さえを取り付け、該テンションメンバ押さえにテンションメンバを到達させるための挿通口と、前記テンションメンバ押さえを固定する固定ねじを差し込みねじ締め作業を行うための差し込み穴を設けたベースで前記テンションメンバ押さえを被覆して固定し、前記ベース上に前記融着トレイ、光通信線用部材を配置したことを特徴とするスプライスボックスの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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