説明

スプライス部位AFLP

本発明は、AFLPフィンガープリントの情報含有量を増大するためのスプライス部位特異的プライマーの使用に、およびスプライス部位特異的フィンガープリントのための方法に、および保存されたスプライス部位配列に基づいて遺伝子領域をターゲットするための方法に属する。本発明は、さらに、本発明の方法によって得られたスプライス部位特異的断片の、PCRアッセイ法への転換を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、スプライス部位を含むか、または関係する核酸配列を同定および解析するための方法に関する。特に、本発明は、このようなスプライス部位に関係する多型に基づいて核酸配列を同定および解析するための方法を、保存されたスプライス部位配列に基づいて遺伝子領域をターゲットするための方法を提供し、本発明の方法によって得られたスプライス部位特異的な断片のPCRアッセイ法への転換のための方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
植物育種家は、より高い収率およびより良好な品質を有する新たな多様性を作製するためにたえず努力を行っている。多くの場合に、改善される形質は、実際の評価または選択を行うことができる前に栄養生長期が必要である。例えば、育種家がより優れた貯蔵寿命またはより高い色素含量を持つトマト果実を選択したい場合、果実の実際の観察を行うことができる前に、少なくとも(実生段階から)2月を要する。これは、もちろんメロンにおいても同じであり、アブラナなどのいくつかの農業種についてもさらにあてはまる。後者の場合において、油成分は、種子の収穫の準備ができたときにのみ決定することができる。同様の考察は、ヒトなどの動物などのその他の生物体にも適用される。
【0003】
分離集団において所望の特徴を有する適切な株の同定を促進するために、分子生物学者は、遺伝マーカー系をセットアップし、所望の遺伝組成をもつ植物を間接的に選抜することができる。これは、理想的な場合には、実生からのDNAを解析して、所望の形質が植物開発のより後期段階において存在するどうかを決定することを意味する。想定される形質は、ウイルス、真菌などに対する優良な形質だけでなく、耐性でもある。耐性マーカーの場合、育種家は、良好な交雑について試験するために、疾患試験または天然の侵襲にそれほど依存されない。好ましくは指定した目的に適した遺伝マーカーを作製するために満たされる基準は、視覚化されるDNA配列が望ましい対立遺伝子に(密接に)リンクされており、かつ耐性遺伝子の場合、耐性と感受性対立遺伝子(多型)との間を区別することである。多形DNA配列の視覚化は、RFLP、AFLP、RAPD、および,マイクロサテライトその他などの当該技術分野において既知の種々の方法を使用して行うことができる。全てのこれらの技術は、特定の遺伝子の特異的な対立遺伝子にリンクした任意の生物体に由来するDNA配列の変化を視覚化するという最終目標に関する。関心対象の対立遺伝子と多形DNAのカップリング(関連)の程度により、マーカーの適合性(すなわち、形質についての予測値)を決定する。特定の遺伝子のための最終的なマーカーは、特定の遺伝子座位自体における多型である。
【0004】
本明細書において以前に述べたとおり、その後に、RFLP、AFLP、RAPD、ミクロサテライトその他などの核酸配列を解析するための種々の方法が、当該技術分野において公知である。たいてい、このような技術は、核酸から作製された制限酵素断片の混合物の核酸の1つまたは複数の部分のPCRなどによる増幅を含む。次いで、こうして得られた増幅された混合物を、たとえば増幅された断片の1つまたは複数を検出することによって解析する。たとえば、増幅された断片は、ゲル電気泳動などによって長さまたは分子量の相違に基づいて分離して、その後、増幅された断片を、たとえばラベルされた増幅断片のオートラジオグラフィーまたはブロッティング、続くハイブリダイゼーションによって視覚化してもよい。生じるバンドのパターンは、(DNA)フィンガープリントといわれる。
【0005】
通常DNAフィンガープリント法では、密接に関連した種、亜種、多様性、栽培品種、品種、または個体のフィンガープリントが比較される。このような関連したフィンガープリントは、同一であること、または非常に似ていること、すなわち多数の対応した、従って、あまり情報価値のないバンドを含み得る。2つの関連したDNAフィンガープリント間の相違は、ゲノム内のDNA多型を反映する遺伝マーカーといわれる。これらは、増幅された断片-すなわちバンド-であり、これは、フィンガープリントにおいて、またはに対して、および/またはフィンガープリントのサブセットに対して独特である。フィンガープリントにおけるこのような多形断片の存在もしくは非存在、またはこれらのパターンは、遺伝マーカーとして使用することができる。このような遺伝マーカーは、例えば特異的な種、亜種、多様性、栽培品種、品種または個体を同定するため;特異的な遺伝形質のおよび/または特異的な遺伝子の存在または非存在を確認するため;および/または疾患の状態を決定するために使用することができる。DNAフィンガープリント法、DNA多型、遺伝子タイピング、PCR、および同様の増幅技術、並びにその中で使用される技術および材料に関するさらなる議論については、とりわけ以下に述べる従来技術、並びに標準的ハンドブックにおいて参照がなされる。
【0006】
一つの DNAフィンガープリント技術は-これが解析される配列についての事前の知識を必要としないという点で有利であり-選択的な制限酵素断片増幅またはAFLPである。一般に、AFLPは、以下の工程を含む:
(a)核酸、特にDNAまたはcDNAを、(1つまたは複数の特異的な制限エンドヌクレアーゼで消化して、DNAを一連の対応する制限酵素断片に断片化する工程;
(b)こうして得られた制限酵素断片を、その一端が制限酵素断片の末端の一方または両方と適合性である二本鎖合成オリゴヌクレオチド・アダプターと結合して、これによりする開始DNAをタグの付いた制限酵素断片を産生する工程;
(c)タグの付いた制限酵素断片を、ハイブリダイズ条件下で1つまたは複数のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させる工程;
(d)プライマーとハイブリダイズしたタグの付いた制限酵素断片をPCRまたは同様の技術によって、プライマーがハイブリダイズした開始DNAの制限酵素断片に沿ってハイブリダイズしたプライマーのさらなる伸長を生じさせるように増幅する工程;および、
(e)こうして得られた増幅され、または伸張されたDNA断片を検出し、同定し、または回収する工程。
【0007】
こうして得られたAFLP-フィンガープリントは、AFLPテンプレートおよび開始DNA内のこれらの制限酵素部位にすぐ隣接したヌクレオチドの調製のために使用される制限酵素部位(サブセット)の配列変化についての情報を提供する。
【0008】
関連した個体に由来するAFLP-フィンガープリントを比較することによって、再び、たとえば先に述べた目的のための多形断片(AFLP-マーカーとも称する)を検出すること/同定することができる。
【0009】
AFLP、その利点、その態様、並びにそこで使用される技術、酵素、アダプター、プライUS6,045,994、EP-B-0 534 858、EP 976835、およびEP 974672、WO01/88189、およびVos et al. Nucleic Acids Research, 1995、23、4407-4414に参照がなされる。
【0010】
基礎的AFLP技術(基礎的AFLP)は、核酸配列(DNAまたはcDNA)のランダムなサブセット中の多型を同定および解析するための非常に効率的な技術であり、基礎的AFLPは、特定の配列特性を持つ選択されたサブセットを増幅することができる識別因子を何ら含まない。例えば、基礎的AFLPは、コード領域と非コード領域との間を区別することができない。また、基礎的AFLPは、ゲノムを表す遺伝子領域などのゲノムの特異的または所定の切片(イントロンおよびエキソン配列)と関係するAFLPマーカーを特異的に同定することができない。
【0011】
本発明の目的のうちの1つは、核酸配列を同定および/または解析する方法を提供することである。また、本発明の目的は、スプライス部位に基づいたか、もしくはスプライス部位に位置する多型の同定または解析のための改善されたか、または改変された方法を提供して、これに基づいてマーカーを同定し、および解析することである。AFLP技術(の一部)の使用を含む、このような方法を提供することは、特に本発明の目的である。
【発明の開示】
【0012】
本発明の詳細
本発明は、多型の解析のための方法に属する。本方法は、調査下でゲノムのスプライス部位配列を有するか、またはコードする部位が濃縮されている可能性のある多型の同定または決定を提供する。本方法は、特に、イントロンおよびエキソンの存在にリンクされた多型およびフィンガープリントに対し、遺伝子に対してより密接にリンクされるか、または少なくとも指標となる多型およびフィンガープリントを提供することに向けられる。本方法は、イントロン-エキソン境界線におけるヌクレオチド配列の構造的な特徴に基づく。本方法は、また、AFLP技術(の一部)に基づく。
【0013】
一般に、上記の本発明の目的は、核酸が解析される方法、より詳細には、核酸に由来する1つまたは複数のアダプターに結合された制限酵素断片が、少なくとも1つのプライマー(スプライス部位プライマー、スプライス部位特異的なプライマー、またはS3Pプライマーと本明細書に示してある)を使用して解析される方法によって達成される。S3Pプライマーは、好ましくはスプライス部位境界(イントロン-エキソン接合、スプライシングジャンクション、イントロン-エキソン境界線)をターゲットし、標的核酸に存在する保存されたスプライス部位配列モチーフにハイブリダイズする(およびここから伸張をプライムする)ように優先して設計される。従って、上記目的は、核酸−特に、核酸から生じた1つまたは複数のアダプターに結合した制限酵素断片−を少なくとも1つのS3Pプライマーで増幅し、次いでこうして得られた、遺伝子配列/断片の濃縮された増幅混合物を解析することによって達成される。
【0014】
発明の詳細な説明
その最も幅広い範囲において、本発明は、核酸配列を解析する際における、少なくとも1つのS3Pプライマーの使用を含む。特に、本発明は、核酸配列を解析する際における、もう一つのプライマーと組み合わせたS3Pプライマーの使用、または一方のプライマーがS3Pプライマーである核酸配列を解析する際における2つのプライマーの使用を含む。より具体的には、本発明は、スプライス部位に関連した多型/マーカー(の存在または非存在)に関して核酸配列を解析する際における、S3Pプライマーの使用を含む。
【0015】
スプライス部位に関連した多型またはマーカーは、一般に核酸内における、たとえば核酸内の1つまたは複数の特異的な部位におけるスプライス部位の存在および/または非存在によって生じ、および/または関連する任意の多型またはマーカーを意味する。また、本発明のスプライス部位に関連した多型の下では、AFLP技術に関係した多型が理解される。AFLPにおいて、多型は、大部分が制限エンドヌクレアーゼの認識部位内に位置する。したがって、S3PプライマーおよびAFLPプライマーを使用することによって得られた多形断片は、(スプライス部位または使用する制限エンドヌクレアーゼの認識部位における)多型の位置を問わず、スプライス部位に関連した多形断片であると考えられる。通常、本発明において、解析される核酸のこのような部位における多型の存在または非存在(たとえば、このような部位における異なるスプライス部位の存在)は、異なる多形断片、たとえば異なるサイズおよび/または長さの増幅された断片に対応するバンド(いわゆる、断片長多型)を生じることとなる。
【0016】
遺伝子のコード配列(エキソン)は、DNAの非コード範囲(イントロン)によって頻繁に中断されている。イントロンは、一般に前駆体RNAの一部として転写され、その後、スプライシングと呼ばれる切断-ライゲーション・プロセスによって除去される。イントロンの構造的な特徴およびスプライシングのための根底にある機構は、異なる種類のイントロンを分類するための基礎を形成する。正確なスプライシングのための構造的な特徴は、イントロンとエキソンとの間の境界(接合点)でも見いだされる。接合部は、比較的短いコンセンサス配列にわたってよく保存されていた。イントロン-エキソン接合部の保護に依拠することによって、特定の末端をあらゆるイントロンに割り当てることが可能性である。接合部は、図2Aに示されるコンセンサス配列に合致するように整列させることができる。図2Aの中の添字は、解析される多数のイントロンの中のそれぞれのコンセンサス位置における指定された塩基のパーセント存在(あるいは、塩基の型(N= A、C、T、G、Py =ピリミジン塩基、Pu =プリン塩基)を示す。高い保存は、推定される接合部のすぐイントロン内に見いだされるだけである。これにより、GT....ATとして一般的なイントロンの配列を同定する。このような方法で定義されるイントロンは、ジヌクレオチドGTで始まり、ジヌクレオチドAGで終わるので、接合部は、たいていGT-AG規則(RNAの実際の配列は、もちろん、GU-AGである)に合致するように記載されている。2つの部位は、異なる配列を有し、そしてこれらがイントロン方向に末端を定義する点に注意する。これらは、一般にイントロンに沿って左から右へ進行して、すなわち左(または5')および右(または3')スプライス部位として名づけられる。時に、これらは、ドナーおよびアクセプター部位と呼ばれる。コンセンサス部位は、インビボおよびインビトロでスプライシングを防げる点突然変異によって、スプライシングにおいて認識される部位に関係する。GT-AG規則は、多くの(全てではないにしても)真核生物の核内遺伝子のスプライス部位を記載する。これは、RNAからイントロンをスプライスするための共通の機構があることを意味する。ミトコンドリア、葉緑体、およびその他の細胞小器官のイントロンについて、その他のコンセンサス配列が公知であり、本発明にも同様に適用することができる。
【0017】
従って、図2に視覚化したとおり、イントロンは、通常一方の末端(ここでは、5'末端)にジヌクレオチドGTを、および遠位末端(ここでは、3'末端)にジヌクレオチドAGを含む。これは、いわゆるGT-AG規則であるLewin, Genes VI, Oxford university press 1998, ISBN 0 19 8577788 pp. 885-920; Lewin, Genes IV, Oxford university press 1990, ISBN 0 0198542682 page 578-609を参照されたい)。GT-AG規則は、多くの真核生物の核遺伝子のスプライス部位に記載されている。また、イントロンの5'末端(したがって、エキソンにおいて)、2つのヌクレオチドが高度に保存されており、多くの場合5'-AG-3'である。GTジヌクレオチドの3'側(したがって、イントロンにおいて)では、四ヌクレオチド5'-AAGT-3'として高い保存を見ることができる。まとめると、これは、イントロンの5'側で、2つのヌクレオチドをエキソン内で8ヌクレオチド延長することにより、同定することができることを意味する。これらの8ヌクレオチドは、真核生物の全体にわたって高相同性で同定することができる。当該技術分野において、異なる界の中では、特に種のレベルでは、保護の程度が非常に高いことをことが予想される。3'境界で(イントロンにおいて)も、配列の保護が観察され(Lewin 1998, 1990を参照されたい)、同様の観察は、イントロン・エキソン接合部の3'末端にも適用される。
【0018】
イントロン・エキソン接合部のこれらのコンセンサス配列を用いて、これらのコンセンサス配列を含む断片の選択的増幅が可能なプライマーをデザインすることができる。これにより、スプライス部位接合部を含む断片の選択的増幅ができ、したがって遺伝子に関連した断片の選択的増幅ができる。それ故、選択的に増幅された断片のサブセットは、遺伝子に直接関連があるマーカーについての増大された量の情報を含む。これは、RAPD、AFLPなどの従来の技術と対照的であり、主に無名の(ターゲットされていない)関心対象のもの自体の配列および遺伝子または対立遺伝子でない。
【0019】
様々な形のイントロンが、異なるコンセンサス配列を有する異なるスプライス部位を生じる。これらの例は、Singer & Berg, Genes and Genomes, 1991, University Science Books ISBN 063202879-6 pp 556 ff. ; T. Cech, Cell 44 (1986), 207; T. Cech, Int. Rev. of Cytology 93 (1985) 3; CR Cantor and CL Smith, Genomics, John Wiley & Sons, New York, pp. 530 ff.; T. Brown, Genomes, 1999, Bios Scientific publishers ISBN 1859962017, pp. 212-219に記載されているものである。これらの引用例において利用できる一般化された知識、並びにスプライス部位構造およびコンセンサス構造を記載している多数のその他の刊行物に記載に基づいて、当業者は、本発明に使用することができる適切なスプライス部位特異的プライマーをデザインすることができる。また、配列内の推定上のスプライス部位の同定のためには、NetPLAntgene [http://www.cbs.dtu.dk/services/NetPGene]; BDGP [http://www.fruitfly.org/seq_tools/splice.html];およびGenio [http://genio.informatik.uni-stuttgart.de/GENIO/splice/]などから入手可能な種々のコンピュータプログラムがある。
【0020】
表1は、位置および/またはコンセンサス配列と共に様々なタイプのスプライス部位を開示する。^は、スプライス部位、W= AまたはT;M= AまたはC;R= AまたはG;Y= CまたはT;K= GまたはT;S= GまたはC;H= A、CまたはT;B= C、GまたはT;V= A、CまたはG;D= A、GまたはT;N= A(C)G、またはTを示し、nは、複数のヌクレオチドを示す。このヌクレオチド命名法は、本出願の全体にわたって使用される。不変の塩基(コンセンサス配列)には下線を引いてある。塩基は、これらがRNAに存在するものとして示してある。
【0021】
表1。スプライス部位:イントロン型
【表1】

【0022】
ツイントロン(twintrons)などのその他のイントロン(すなわち、D. W. Copertino and R. B. Hallick, "Group II and group III introns of twintrons: potential relationships to nuclear pre-mRNA introns". TIBS (1993) 18:467-471; or. R. G. Drager and R. B. Hallick, "A complex twintron is excised as four individual introns". Nucl. Acids Res. (1993) 21:2389-2394に記載されたものなどのイントロン内のイントロンも本発明の範囲内である。
【0023】
本発明の方法は、非限定の図1に略図を例示してある。図1において、S3Pプライマーは(1)として示してあり、増幅される核酸-以下に標的DNAともいわれる-は、(2)として示してある。標的DNA内/上に存在するスプライス部位(の配列)は、(3)として示してあり、スプライス部位のイントロン部分を(3A)と、およびスプライス部位のエキソン部分を(3B)と示してある。図1において図式的に示したとおり、S3Pプライマー(1)は、標的DNA(2)の配列の一部に対して相補的であり(であることが企図される)、少なくともスプライス部位配列(3)の一部を含む。好ましくは、S3Pプライマーは、−たとえば増幅の間に−標的DNA(2)(これは、S3Pプライマー(1)の伸張のためのテンプレートとして役立つ)に沿って3'-方向にS3Pプライマー(1)の伸張が可能なように、スプライス部位(3Aと3Bとの間)の接合部を含む。また、図1に図式的に示したとおり、S3Pプライマー(1)は、本質的に、図1に(4)および(5)としてそれぞれ示された2つの部分(すなわち3'-部分および5'-部分)を含むものとみなしてもよい。S3Pプライマー(1)の3'部分(4)の一部は、本質的にイントロン(3A)(の配列の一部)と、特にイントロン区域のコンセンサス配列の一部に相補的である(であることが企図される)。S3Pプライマー(1)の5'部分第(5)は、エキソンに対して、特にエキソン配列(3B)のコンセンサス配列に対して相補的である(であることが企図される)。
【0024】
S3Pプライマー(1)は、S3Pプライマー(1)が相補であるスプライス部位(3)(の配列)が標的核酸に存在するときに、少なくともこれがスプライス部位(3)とハイブリダイズして、標的核酸(2)に沿ってS3Pプライマー(1)を伸張することができる。当業者であれば、S3Pプライマーが、センス鎖の、または非センス鎖のいずれかのスプライス部位配列に対して相補的であってもよい配列を含むことを理解するであろう。通常、本発明において使用されるS3Pプライマー(1)は、合計8〜20の間のヌクレオチド、特に12〜16の間のヌクレオチドを含む。これらのうちで2〜10の間のヌクレオチド、特に4〜8の間のヌクレオチド、好ましくは5〜7の間のヌクレオチドは、S3Pプライマー(1)の3'部分(4)、すなわちスプライス部位(のイントロン由来するモチーフ)に対して相補的である部分を形成すると考えられる。4〜10の間のヌクレオチド、特に6〜8の間のヌクレオチドは、S3Pプライマー(1)の5'部分(5)、すなわちエキソン領域の部分を形成すると考えられる。S3Pプライマーは、保存されたスプライス部位境界配列またはスプライス部位境界配列の少なくとも一部、好ましくはコンセンサス配列の少なくとも50%、より好ましくはコンセンサス配列の、少なくとも60%、70%、80%、90%、特に95%、および最も好ましくは100%を含むプライマーである。一つの態様において、スプライス部位特異的またはS3Pプライマーは、イントロンのGT...AGコンセンサス・モチーフに由来し、かつGT...AGコンセンサス・モチーフの一部にアニールすることができる区域を、好ましくは図2Aに図示したようなエキソンのコンセンサス・ヌクレオチドの1つまたは複数と組み合わせて含むプライマーである。好ましい態様において、S3Pプライマーは、少なくともオリゴヌクレオチド断片GTを含む。より好ましくは、S3Pプライマーは、少なくともオリゴヌクレオチド断片X1X2GTを含み、式中、Xは、A、C、T、またはGを表す。好ましくは、X1はAである。好ましくは、X2は、Gである。さらなる好ましい態様において、S3Pプライマーは、少なくともオリゴヌクレオチド断片GTX3X4X5X6を含み、式中Xは、A、C、T、またはGを表す。好ましくは、X3はAである。好ましくは、X4はAである。好ましくは、X5はGである。好ましくは、X6はTである。
【0025】
より多くの好ましい態様において、プライマーは、オリゴヌクレオチド断片X1X2GTX3X4X5X6を含む。X1〜X6(また、可変ヌクレオチドとしても示される)は、互いに独立して、選択することができ、したがって、断片ANGTNNNTを含むプライマーは、本発明の範囲内である点に留意されたい。好ましいスプライス部位プライマーは、一般化されたコンセンサス配列AGGTAAGT、より好ましくは5ヌクレオチド、特に好ましくは6ヌクレオチド、特に好ましくは7ヌクレオチドの間にから選択される少なくとも4ヌクレオチドを含む。これは、この態様に従ったプライマーが、たとえば以下の構造を含むことができることを意味する:ANGTNNGTまたはNNGTNNGT。最も特に好ましくは、プライマーが一般化されたコンセンサス配列AGGTAAGTを含む。
【0026】
本明細書に上記で概説したようなプライマーのデザインおよびバリエーションのための指針に基づいて、当業者であれば、表1において概説されるか、またはさもなければ文献において確認されるコンセンサス配列についての例に基づいて、その他のコンセンサス配列を有するスプライス部位のためのスプライス部位特異的なプライマーをデザインすることができる。
【0027】
スプライス部位は、ゲノム内に変性された形態で存在する可能性があるので、S3Pプライマーのセットを使用することも有用であろう。このようなセットは、複数のS3Pプライマーを含む。好ましくは、セットは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の異なるS3Pプライマーを含む。好ましくは、このようなセットは、10以上、20、30、40、またはさらに50以上の異なるS3Pプライマー含む。セットのそれぞれのプライマーは、セットのその他のプライマーに由来するそのヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ、および最も好ましくは4つ以上において異なる。セットの各々のプライマーは、前に本明細書に概説したとおりのS3Pプライマーについての一般的な構造に従う。このようなセットは、例えば一定の種について、コンセンサス配列が知られていないか、または通常よりも多くのバリエーションを含む場合に遊離である。
【0028】
S3Pプライマーのこのようなセット内で、プライマーは、独立して多様であることができ、可変ヌクレオチドを自由に選択することができる。好ましくは、S3Pプライマーセット内のバリエーションは、セット内の2つのプライマー間のX1〜X6の変化によって提供することができる。たとえば、セット内の第1のプライマーについては、X1はAであり、セット内の第2のプライマーについては、X1はTであり、この場合、プライマーの残りの配列は、第1および第2のプライマーと同一である。
【0029】
本発明の好ましいスプライシング部位のうちの1つは、エキソン内のA(64)G(78);
イントロンの5'末端のG(100)T(100)A(62)A(68)G(84)T(63);
イントロンの3'末端の12PyNC(65)A(100)G(100)として示すことができる平均構造(average structure )を含む。数値は、スプライス部位のそれぞれのコンセンサス位置における指定された塩基のパーセント存在または塩基の型を示す。これは、スプライス部位のセットの全体にわたって、異なる生物体またはゲノムに由来するかにかかわらず、スプライス部位のコンセンサス配列が、統計学的に平均であることを意味する。値100は、それぞれのスプライス部位がそのヌクレオチドを含むか、または言い換えると、特異的ヌクレオチドが、この種のスプライス部位を、その配置で100%の存在を有することを意味する。100%未満の値、たとえば62%は、調査された型のスプライス部位の広範な数の中のその型のスプライス部位のその位置に変化があることを意味する。その統計学的平均から、最も共通のヌクレオチドは、62%の存在を有する。余割合は、その他のヌクレオチドに分配される。従って、A(62)は、平均して、スプライス部位の62%がスプライス部位のその特定の位置にAを含むことを意味する。その他の38%は、C、G、またはTに分配することができる。割合は、特異的なゲノムがターゲットされるときは異なっていてもよく、従って調整することができる。S3Pプライマーのセットは、上記のスプライス部位の平均的構造に基づいて合成してもよい。したがって、平均的5'イントロン構造に基づくS3Pプライマーの好ましいセットは、セット内のプライマーのスプライス部位配列に対応する区域の最初の(すなわち、大部分は5')位置において、ヌクレオチドの64%がAであり、ヌクレオチドの12%がGであり、ヌクレオチドの12%がTであり、ヌクレオチドの12%がCであり、第2番目の位置において、ヌクレオチドの78%がGであり、ヌクレオチドの7.33%がAであり、ヌクレオチドの7.33%がTであり、ヌクレオチドの7.33%がCであり、S3Pプライマーセットのさらなる位置について、その他である組成物を有してもよい。したがって、平均的3'イントロン構造に基づくS3Pプライマーの好ましいセットは、セット内のプライマーのスプライス部位配列に対応する区域の最初の12(すなわち、大部分は5')位において、ピリミジンの50/50混合物が存在し、13番目の位置において等量のA、G、C、およびTが存在し、第14番目の位置においてヌクレオチドの65%がCであり、ヌクレオチドの11.66%がAであり、ヌクレオチドの11.66%がGであり、かつヌクレオチドの11.66%がCその他である組成物を有してもよい。S3Pプライマーのこれらの組成物において、上述した割合は、例として使用するだけであり、当業者によって順応させてもよく、特に、3つの異なる少数ヌクレオチドの割合は、必ずしも同じであるというわけではない。平均的3'イントロン構造に基づく好ましいS3Pプライマーは、最初の12位のヌクレオチドにおいて、これらの相補物内に、ピリミジンを模倣する縮重塩基、すなわちC/T混合物、またはプリンを模倣する縮重塩基、すなわちA/G混合物を含む、ヌクレオチド類似体が存在する組成物を有する。このような類似体は、たとえばKong and Brown (1989, Nucl. Acids Res 17: 10373-383; 1992, Nucl. Acids Res 20: 5149-52)によって記載されているPおよびK塩基(それぞれピリミジンおよびプリンを模倣する)を含む。平均5'および3'スプライス部位構造またはこれらの相補物に基づいた配列を有するS3Pプライマー内の区域の長さは、上記の通りである。S3Pプライマーのセットをデザインするときに、プライマーのスプライス部位特異的な部分の平均組成は、この分布に、または少なくとも70、80、または90%対応することが好ましい。その他のスプライス部位が、ターゲットされるときには、関心対象のゲノムの全体にわたってスプライス部位の平均組成を考慮して同様のプライマーセットをデザインすることができることに留意されたい。
【0030】
本発明のS3Pプライマーは、スプライス部位のコンセンサス配列の部分であるヌクレオチド以外のその他のヌクレオチドを含んでもよい点に留意されたい。これらのヌクレオチドは、3'末端もしくは5'末端またはコンセンサス配列の区域間などのGTまたはAG コンセンサス配列の一部を形成しないS3Pプライマーの任意の位置(および、ちょうどX1-X6位置以外)に位置することができる。あるいは、コンセンサス配列のヌクレオチドX1-6の1つまたは複数を、イノシンなどのいわゆる汎用ヌクレオチド類似体によって置換してもよく、および/またはこれらはLNA、PNAsなどを含んでいてもよい。
【0031】
スプライス部位は、2つの経路、すなわち配向によって(エキソンからイントロンに、またはイントロンからエキソンに)アプローチすることができ、従って2つの異なるプライマーをデザインすることができる。当業者であれば、エキソンからイントロンの配向では、S3Pプライマーがスプライス部位配列のセンス鎖に対して相補的である配列を有し、またイントロンからエキソンへの配向では、S3Pプライマーがスプライス部位配列の非センス鎖に対して相補的である配列を有するということが分かるであろう。これらの2つの異なるプライマーの使用は、異なる(フィンガープリント)結果に至り、それ故、異なる多型の決定または同定に至る可能性がある。両タイプのプライマー(エキソンからイントロンに、またはイントロンからエキソンに)は、S3Pプライマーのセットに存在してもよい。
【0032】
S3Pプライマーは、従来の伸長技術によって伸張して、制限酵素断片の直線的または指数関数的な増幅を生じさせることができる。これらの例には、鎖置換増幅(Strand Displacement Amplification (SDA)その他がある。好ましくは、指数増幅技術が使用される。特に、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)に基づく増幅技術が使用される。PCRは、一般に少なくとも2つのプライマーを使用する。本発明において、これは、PCRが使用されるときに、S3Pプライマーに加えて、第2またはさらなるプライマーを使用することを意味する。第2またはさらなるプライマーは、ランダムなプライマーであってもよく、またはプライマーは、(レトロ)トランスポゾン、NBS領域、ミクロサテライトまたは第2のスプライス部位などの特異的な標的配列に対して向けられる。あるいは、プライマーは、イントロン内に存在するその他の保存配列に対して向けることができる。これらの例は、保存された領域であり、この場合、エステル転移反応の間に、アデノシンの2'炭素に付着したヒドロキシルが反応を促進して投げなわ構造を形成する。酵母において、このような保存された領域は、TACTAAC領域として公知である。あるいは、プライマーは、AFLPプライマーなどのアダプターに結合された制限酵素断片のアダプターに対して向けることができる。好ましくは、第2のプライマーは、第2のS3PプライマーまたはAFLPプライマー、より好ましくは、S3Pプライマーである。
【0033】
本発明の代わりの態様において、核酸配列を解析するために使用されるプライマーの1つまたは複数は、(レトロ)トランスポゾンまたはNBS領域などの特異的な標的配列に結合すること、またはこれに対して向けることができる。このプライマーは、一つ以上のAFLPプライマー、S3Pプライマー、またはランダム・プライマーと組み合わせることができる。
【0034】
本発明の特定の好ましい態様において、PCR増幅に使用される第2のプライマーは、AFLPプライマーである。本発明の原理を図示するために、第2のプライマーとしてのAFLPプライマーと、S3Pプライマーとの組み合わせを本明細書において使用してある。本発明の主旨から逸脱することなく、第2のプライマーとして、上述した第2のプライマーいずれを使用することができることも明確に留意されたい。従来技術は、S3PプライマーおよびAFLPプライマーの両者の使用を含む、はスプライス部位に関連した多型またはマーカーを解析するための方法を記載しておらず、またが示唆しない。
【0035】
本発明に使用されるAFLPプライマーは、図1において(7)として示され、これは、以下の点で本質的に従来のAFLPプライマーと同じである:−たとえば増幅の間に−標的DNA(3)(これは、AFLPプライマー(7)の伸張のためのテンプレートとして役立つ)に沿って3'方向にAFLPプライマー(7)の伸張が可能なように、標的DNA(2)に連結されたアダプター(の配列)(図1において(8)として示してある)に対して(少なくとも)相補的である点。最も好ましくは、AFLPのように、プライマーは、その3'末端に、-図1の(9)として示した-多くのいわゆる選択的な塩基/核酸を含み、これは、標的DNA(2)において、アダプター(8)の3'末端と直接隣接する塩基/ヌクレオチド(の同じ数)に対して相補的である(であることが企図される)。S3Pプライマー(1)およびAFLPプライマー(7)を用いて、標的核酸(2)を、たとえば図1において矢印によって示した通りに増幅する。特に、増幅の間に、S3Pプライマー(1)は、たとえば効果的/指数関数的増幅がかのうなように、(二重鎖)標的DNA(2)の一方の鎖に沿って延長され、AFLPプライマーは、(二重鎖)標的DNA(2)の他方の鎖に沿って延長される。次いで、こうして得られた増幅産物/断片の混合物を、たとえばさらに以下に記載されているとおりに、増幅産物/断片の少なくとも1つ、本質的に全てまでを検出すること/可視化することによって解析してもよい。
【0036】
一つの局面において、本発明は、核酸配列(本明細書において、標的核酸とも称する)を増幅する際における、S3PプライマーおよびAFLPプライマー(の組み合わせ)の使用に関する。本発明の本局面において、および図1に関して、標的核酸は、通常、図1の(11)として示したとおり、アダプター(8)およびアダプターがこれに結合されたさらなる核酸配列を含むが、これに限定されない。特に、本発明の本局面において、標的核酸(2)に存在するさらなる核酸配列(11)は、制限酵素断片であってもよい。例えば、さらなる核酸(11)は、制限エンドヌクレアーゼでの制限による開始DNA−ゲノムDNA、またはBAC DNA、コスミドDNAもしくはプラスミドDNAなどの組換えDNA(さらに以下に記載されているとおり)を含むが、これらに限定されない−に由来する制限酵素断片であってもよいが、本発明は、その最も広い意味において、これらに限定されない。加えて、標的核酸(2)は、通常DNA配列、特に二重鎖DNA配列であろうが、本発明は、その最も広い意味において、またこれらに限定されない。
【0037】
標的核酸(2)は、単一のアダプター(8)を含んでもよいが、通常は2つのアダプター(8)、たとえば、それぞれが標的核酸に存在する制限酵素断片(11)一端に結合したものを含む。加えて、2つのアダプター(8)が存在するときに、これらは同じでもよく、または異なっていてもよい。
【0038】
標的核酸(2)は、このような標的核酸の混合物の一部であってもよい。例えば、標的核酸がアダプターに結合され制限酵素断片を含むときは、これは、このようなアダプターに結合された制限酵素断片の混合物の一部であってもよい。このような混合物は、例えば制限酵素断片の混合物にアダプターを結合することによって得てもよく、これは、たとえばEP 0 534 858含むが、これらに限定されない従来技術に記載したようにそれ自体公知の方法で行ってもよい。
【0039】
任意に、このような標的核酸の混合物は、(プレ)増幅工程、すなわちS3PプライマーおよびAFLPプライマーでの増幅より前に(すでに)供されていてもよい。たとえば、標的核酸(2)が、2つのアダプター(8)を含むときは、このようなプレ増幅を従来のAFLP-プレ増幅として、すなわち+0/+0AFLPプライマーを使用して行ってもよく、これについての参照は、本明細書で引用したEP 0 534 858およびVos et al.においてなされる。また、このプレ増幅は、混合物の複雑さを減少させるための、すなわち+n+m AFLPプライマーを使用する選択的なプレ増幅であってもよい(式中、n、mは、独立して1〜10の範囲の整数である)。
【0040】
また、標的核酸(2)は、好ましくは少なくとも1つのスプライス部位を含む(または少なくとも含むことが疑われる)か、またはさもなければ、標的核酸は、少なくとも、標的核酸がスプライス部位、特にS3Pプライマー(1)がハイブリダイズすることができ、および/またはハイブリダイズすることが企図されるスプライス部位を含む(または含むことが疑われる)このような標的核酸の混合物の少なくとも一部である。
【0041】
AFLPプライマー(7)は、たとえばEP 0 534 858に記載されるように、従来のAFLPプライマーと本質的に同じであると考えられ、一般に、図1の(10)として示した定常領域−およびこれらの3'末端に選択的領域(9)の1つまたは複数の選択的ヌクレオチドを含むと考えられる。加えて、AFLPプライマー(7)は、最も好ましくは、たとえば標的核酸(2)に沿ったAFLPプライマー(7)の伸張が可能なように、使用されるアダプター(8)のうちの少なくとも1つに対して本質的に相補的である。好ましくは、AFLPプライマー(7)は、合計15〜50の間のヌクレオチド、特に18〜30の間のヌクレオチドを含む。また、好ましくは、AFLPプライマー(7)は、0〜6の間、好ましくは1または2または3または4つの選択的ヌクレオチドを含む。
【0042】
S3Pプライマー(1)およびAFLPプライマー(7)での標的核酸(2)の増幅は、一般の増幅のためのそれ自体公知の条件を含むが、これらに限定されないそれ自体公知の条件下で、またはAFLPプライマーを使用する増幅のためのそれ自体公知の条件を使用して行われてもよい。このような条件は、例えば上述の従来技術(たとえば、AFLPプライマーについてはEP 0 534 858)に記載されており、適切な条件のいくつかの非限定の例は、以下の実験部分に挙げてある。これらの開示に基づいて、当業者であれば、S3PプライマーおよびAFLPプライマーの所与の組み合わせで、所与の標的核酸(の混合物)の増幅のための最適条件(の範囲)を選択することができることが想定される。
【0043】
好ましくは、増幅は、上記の通りの1つのS3Pプライマーおよび上記の通りの1つのAFLPプライマーだけを用いて行われるが、本発明は、その最も広い意味において、これらに限定されない。
【0044】
加えて、S3PプライマーおよびAFLPプライマーは、好ましくは、これらが効果的/指数関数的増幅をできるようなものである。この点で、標的核酸がこのような標的核酸の混合物の一部であるときに、増幅工程において、通常、混合物で存在する標的核酸のうちの1つが増幅される点、すなわち増幅された断片の混合物を提供する点に留意する必要がある。
【0045】
S3PプライマーおよびAFLPプライマーでの増幅の後、こうして作製される増幅された核酸が検出される。増幅工程により、前述のように増幅された断片の混合物を提供するときに、例えば混合物中に存在する1つまたは複数および本質的に全てまでの増幅された断片が検出されてもよい。検出は、増幅された核酸/断片の混合物を解析するための、および/または増幅された核酸/断片の検出のための、それ自体公知の任意の技術を使用して行われてもよい。適切な技術は、上述した当技術分野において記載されており、たとえば、増幅された断片を分離し、および視覚化する技術(たとえば、フィンガープリントを提供するための(キャピラリー)ゲル電気泳動およびオートラジオグラフィー);増幅された断片の質量および/またはサイズに基づいた(その他の)検出技術;並びに、増幅された断片の相補ヌクレオチド配列に対する1つまたは複数のハイブリダイゼーション(たとえば、相補的ヌクレオチド配列が、例えばこのようなヌクレオチド配列のアレイの一部として、適切なキャリア上に固定されていてもよい)、続くこのようなハイブリダイゼーション・イベントの検出を含む技術を含む。一般に、これらの検出技術により、さらに下記に記載したように、その結果としてこれらが多型を検出することができる。本発明は、ために使用する選択的にイントロン-エキソン接合部およびAFLPプライマーにターゲットすることによって、「遺伝子に位置する(gene-lie)」配列を増幅する1つのプライマーの使用に限定されないが、2つのスプライス部位特異的なプライマーを使用してもよい。
【0046】
もう一つの局面において、本発明は、少なくとも以下の工程を含む核酸配列を解析するための方法に関する:(a)1つまたは複数のS3Pプライマーおよび任意にAFLPプライマーで、解析される核酸から作製されるアダプターに結合した制限酵素断片を増幅して増幅された核酸配列を提供する工程であって、制限酵素断片はアダプターに結合されている工程;および任意にさらなる以下の工程を含む:(b)こうして得られる増幅された核酸配列の少なくとも一つを検出する工程。
【0047】
より詳細には、本発明の本態様は、以下の工程を含む、核酸配列を解析するための方法:
(a)制限エンドヌクレアーゼで開始酸を制限して、制限酵素断片の混合物を提供する工程;
(b)こうして得られた制限酵素断片を少なくとも1つのアダプターに結合する工程;
(c)こうして得られたアダプターに結合された制限酵素断片の混合物を、1つまたは複数のS3Pプライマーおよび任意に少なくとも1つのAFLPプライマーで増幅して、増幅された制限酵素断片の混合物を提供する工程;および、
(d)任意に、こうして得られる増幅された制限酵素断片の少なくとも一つを検出する工程。
【0048】
上記の本発明の態様において、(開始)核酸は、好ましくはDNA配列、より好ましくは二重鎖DNA配列である。
【0049】
特に、開始核酸は、使用するS3Pプライマーがハイブリダイズすることができ、および/またはハイブリダイズすることが企図されるスプライス部位を含む(または含むことが疑われる)核酸であることができる。例えば、開始核酸配列は、たとえば、植物、動物、またはヒトに由来する、ゲノムDNAおよび特に真核生物ゲノムDNA、または組換えDNAクローン(の混合物またはライブラリー)であることができる。例えば、開始核酸は、コムギ、キュウリ、メロン、オオムギ、トウモロコシ、トマト、コショウ、レタス、米、ダイズその他などの耕種学的に重要な作物に由来すること;マウス、ラット、ブタ、ニワトリ、魚、その他などの動物に由来すること;および/またはヒトなどに由来することができる。
【0050】
制限工程a)において、開始核酸は、下記のもの含むが、これらに限定されない、II型などの任意の適切な制限エンドヌクレアーゼであってもよい制限エンドヌクレアーゼで制限される。
【0051】
特に、開始核酸は、2つの異なる制限エンドヌクレアーゼで制限してもよい。例えば、開始核酸は、制限酵素断片のサイズを、効率的に増幅されるサイズの範囲に減少させる目的を果たす頻回(frequent)カッター制限エンドヌクレアーゼ;およびまれな配列をターゲットする目的を果たすレア(rare)カッター制限エンドヌクレアーゼで制限してもよい。両者に関して、例えば出願人によるEP-A-0 534 858およびEP-A-0 721 987の参照がなされ、参照として本明細書に組み入れられる。当業者であれば、頻回カッターの認識配列は、通常選択性を提供する4塩基だけを有するが、レアカッターは、通常その認識配列に少なくとも6つの選択的塩基を有することを理解するであろう。しかし、所与の酵素がレアまたは頻回カッターとして機能するどうかは、その認識部位の塩基組成および消化される試料DNAの全体の塩基組成にも依存する。従って、その認識部位にGおよびCのみを有する4カッターは、ATリッチDNAに対してレアカッターとして作用するかもしれない。従って、頻回カッターは、所与の試料DNAの制限に応じて、その大多数が長さ1kb未満の制限酵素断片を産生するが、レアカッター産生される大多数の断片が長さ1kbよりも大きい制限酵素であることが理解される。
【0052】
適切な頻回カッター酵素のいくつかの非限定の例は、MseI、TaqI、およびMboI(Sau3A)である。商業的に入手可能なレアカッターのいくつかの非限定の例は、PstI、HpaII、MspI、ClaI、HhaI、EcoRI、EcoRII、BstBI、HinPI、MaeH、BbvI、PvuH、XmaI、SmaI、NciI、AvaI、HaeII、SalI、XhoI、およびPvuIIであり、その中で、EcoRI、PstI、HpaII、MspI、ClaI、EcoRU、BstBI、HinPI、およびMaeIIが好ましい。好ましくは、アダプターのライゲーションを容易にするために、粘着末端を生じる制限酵素が使用される。2つの異なる制限酵素の組み合わせが使用される場合、好ましくはこれらのうちのせいぜい1つは、ブラント(blunt)カッターである。ブラントカッターが使用されるときは、結合されるアダプターは、一本鎖アダプターを結合するためのヘルパー・オリゴヌクレオチドの使用によって、または二本鎖のアダプターの使用によって、いずれかで修飾される。
【0053】
制限工程a)の後、こうして得られた制限断片をアダプターに結合する。このアダプターは、従来のAFLPに使用されるアダプターと本質的に同じであり、これについては、再び前述のAFLPに関する従来技術に対して参照がなされる。従来のAFLPのように、使用されるアダプターは、好ましくは、それが制限工程a)に使用される制限酵素のうちの少なくとも1つと共に使用するために適するようにする。たとえば、開始DNAを2つの制限エンドヌクレアーゼ(頻回カッターおよびレアカッター)で制限するときに、好ましくはまた、制限エンドヌクレアーゼのうちの1つと共に使用するために適した2つのアダプターをそれぞれ使用する。
【0054】
また、本発明と関係する方法は、少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ、少なくとも1つのアダプター、および少なくとも1つのAFLPプライマーをS3Pプライマーと組み合わせて使用して行うこともできる。エンドヌクレアーゼは、好ましくは頻回カッターである。
【0055】
アダプターを制限酵素断片に結合させた後、次いでこうして得られたアダプターに結合された制限酵素断片の混合物を、工程c)においてS3PプライマーおよびAFLPプライマーで(直接)増幅してもよい。あるいは、混合物は、1つまたは複数のS3Pプライマーおよび/または任意にAFLPプライマーを使用して増幅することができる。すでに上で示したとおり、増幅工程c)の前に、(アダプターに結合された)制限酵素断片は、最初に、1つもしくは2つのAFLPプライマーまたは1つもしくは複数のS3Pプライマーを使用するプレ増幅に、特に断片混合物の複雑さを減少させるための選択的プレ増幅に供してもよい。例えば、このような選択的プレ増幅は、行われてもよいそれ自体公知のAFLPからの選択的プレ増幅に類似するように行ってもよく、前述のAFLPに関連した従来技術に対して再び参照がなされる。あるいは、このようなプレ増幅は、1つまたは複数のスプライス部位特異的なプライマーを使用して行ってもよい。
【0056】
さらに一般的にいえば、制限工程a)、ライゲーション工程b)、および上記した任意のプレ増幅工程は、従来のAFLP法の制限、ライゲーション、および増幅工程と本質的に同じ方法で、たとえば公知のAFLPプロトコルに従って行ってもよい。
【0057】
その後のアダプターに結合された制限酵素断片の、S3PプライマーおよびAFLPプライマーでの増幅工程c)は、前述のように、および図1に図示したように行ってもよく、アダプターに結合された制限酵素断片は、標的核酸(2)として役立つ。
【0058】
その後に、こうして得られた増幅された混合物は、また前述のように行って解析する。一般に、これらの検出技術は、これらが多型、たとえば開始核酸に独特の検出可能なシグナルを検出することができるようにする。例えば、このような独特の検出可能なシグナルは、フィンガープリントにおける独特のバンドまたはアレイに対する独特のハイブリダイゼーション・イベント/シグナル;またはこのようなバンドまたはハイブリダイゼーション・シグナルの欠如であってもよい。この目的に関して、特異的な開始核酸に対して生じる検出可能なシグナルは、通常、本質的に同じ条件下で(たとえば、同じ制限酵素、アダプター、プレ増幅(ある場合)、S3Pプライマー、AFLPプライマー、および検出技術を使用して)、たとえばフィンガープリントおよび/または所与のアレイに対するハイブリダイゼーション・シグナル/パターンを比較することによって、1つまたは複数の関連した開始核酸について得られた検出可能なシグナルと比較することが考えられる。このような関連した開始核酸は、例えば同じ個体に、および/または1つまたは複数の密接に関連した個体(たとえば同じファミリー、属、種、またはさらに学種)に由来していたとしてもよいであろう。例えば、1つまたは複数であるこのような関連した開始核酸は、本発明の方法における参照試料として使用/組み入れてもよく、この場合、開始核酸配列および参照試料についての結果を直接比較してもよい。あるいは、所与の開始核酸について得られた結果を1つまたは複数の関連した核酸配列について以前に生じた結果(これは例えばデータベースの部分であってもよい)と比較してもよい。
【0059】
また、このような検出技術および得られた結果を解析する/比較するため技術は、AFLPを使用して得られた結果を解析するために使用される技術と本質的に類似しており、前述のAFLPに関連した従来技術に対して、再び参照がなされる。従って、上記より、本発明の方法は、主な増幅(プレ増幅に対して)について、2つのAFLPプライマーの代わりに、1つのAFLPプライマーおよび1つのS3Pプライマーの組み合わせが使用される従来のAFLP増幅に類似して都合よく行われてもよいことが明白である。あるいは、増幅は、1つまたは複数のS3Pプライマーを使用して、任意に1つまたは複数のAFLPプライマーと組み合わせて行うことができる。
【0060】
また、従来のAFLPと同様に、AFLPプライマー(7)の選択的ヌクレオチド(9)は、任意に、またはランダムに選択してもよい。また、S3Pプライマー(1)は、スプライス部位のコンセンサス配列の一部であるヌクレオチドに加えて、スプライス部位のコンセンサス配列の一部でないヌクレオチド(6)を含んでいてもよい。これらのヌクレオチドは、コンセンサス配列の一方または両側に隣接して位置することができ、またはコンセンサス配列が連続していない場合には、コンセンサス配列内に断続的に位置することができる。これらのヌクレオチドは、ランダムに選択することができる、または目的にかなうように選択することができる。ランダムに選択されたときは、これらのヌクレオチドは、AFLPプライマーの選択的ヌクレオチドと同じ選択的機能、すなわち、増幅される断片の数の減少を提供して、増幅されたスプライス部位に関連したアダプター結合制限酵素断片のサブセットを生じる。目的にかなうように選択されたときは、選択的ヌクレオチドは、予め定められたスプライス部位多型、すなわち配列だけがわかっているだけでなく、断続的または隣接した配列が同定されているスプライス部位の増幅/検出を特異的に選択するために使用し得る選択性を提供する。また、スプライス部位プライマーにおいてランダムに選ばれたヌクレオチドは、スプライス部位特異的なプライマーの群が形成されるように選択することができる。また、これらの効果は、プライマーの天然の縮重によって生じてもよい。このような群内のS3Pプライマーは、コンセンサス配列に加えて、さらなる選択的ヌクレオチドのセットを含む特異的スプライス部位の群に対して選択的である。これは、スプライス部位に関連したアダプター結合制限酵素断片のサブセットを選択的に増幅するというさらなる可能性を提供する。また、減少した選択性を提供する、またはスプライス部位における一定の縮重位置を回避するために、イノシンなど非選択的ヌクレオチド類似体を含むこともできる。
【0061】
本方法の利点の1つは、従来のAFLPと同様に、本発明の方法が、解析される配列についてなんらの事前の知識も、またはスプライス部位特異的部分は別にして、何らの特異的にデザインされたプライマーの使用も必要でないということである。加えて、本発明は、AFLP-マーカーと連動して、スプライス部位に関連した多型/マーカーの検出が可能となり、したがって、これらの両タイプの高度に有益な遺伝マーカーのための開始核酸の解析のための非常に強力な(組み合わせ)技術を提供する。しかし、従来のAFLPと同様に、いくつかの特異的なAFLP-プライマーおよびS3P-プライマー(の組み合わせ)は、特定の開始DNAに対して、その他の組み合わせよりも(たとえば、多形断片よりも)有益な結果を提供するかもしれず、およびいくつかの組み合わせは、全く有益な結果を提供しないかもしれない。それにもかかわらず、本明細書に開示に基づいて、当業者であれば、任意にいくらかの予備実験および/または限られた程度の試行錯誤の後に、本発明の方法に従って、特異的開始DNAを解析するためのS3PプライマーおよびAFLPプライマーの1つまたは複数の適切な組み合わせを提供することができるであろう。
【0062】
原則として、本発明の方法は、スプライス部位に関連した多形マーカーを開発または使用することができる任意の適用のために使用することができる。このような適用は、たとえば、特定の種、亜種、多様性、栽培品種、品種、または個体を同定するための、特定の遺伝形質の、および/または遺伝子の存在または非存在を確立するための;または疾患の状態を決定するための、遺伝子タイピング、遺伝子マッピング、遺伝子プロファイリング、およびDNA同定技術を含むが、これらに限定されない。
【0063】
本発明は、また、コードされる核とプラストーム(plastome)遺伝子のスプライス部位配列間の相違により、葉緑体配列の増幅によって生じるフィンガープリントからのバンド・パターンを除去するために使用することができる。
【0064】
一般に、本発明の方法は、以下の利点を提供し得る:
- ゲノム内に存在するスプライス部位の大部分の効率的なターゲティング;
- ゲノムのコード領域に関連するより直接的な情報、およびその結果として関心対象の遺伝子領域または形質により密接にリンクしうるマーカーの供給;および、
- その他の技術と比較してAFLP技術の優れた再現性による、高度に再現性のあるフィンガープリントパターン。
【0065】
本発明によれば、本発明の方法を使用して同定されるスプライス部位に関連したマーカーの1つまたは複数を、古典的PCR試験に(さらに)発達させてもよい。これは、例えば、非限定の図4に略図で例示される方法によって行われてもよい。
【0066】
一つの局面において、従って、本発明は、PCRプライマーの決定のための方法、好ましくは本方法によって決定されたPCRプライマー、PCR-アッセイ法の開発におけるこれらの使用に、並びにPCRプライマーの開発における1つまたは複数のS3Pプライマーおよび少なくとも1つのAFLPプライマー(の組み合わせ)使用に属する。より詳細には、本発明は、従来のPCR-試験に使用される適切なPCRプライマーの開発のための方法を提供する。
【0067】
本発明は、スプライス部位に関連したマーカーを従来のPCR試験において使用することができるプライマーに変換することができる技術を提供する。また、本発明は、スプライス部位に関係したAFLP技術に基づいて、PCRプライマーを提供する。さらに、本発明は、PCR技術に基づいたアッセイ法に使用することができるプライマーを提供する。
【0068】
一般に、本方法は、スプライス部位に関連した多形断片(たとえば前述のもの)の同定を含む。次いで、この多形断片(11)(たとえば、S3PプライマーおよびAFLPテンプレート調製のために使用される第1の制限酵素のためのAFLPプライマーの組み合わせを使用して増幅された断片、および任意にこれらの1つまたは複数の対立遺伝子)を単離し(たとえば、ゲル電気泳動後に得られたゲルの切り出し)およびシーケンスする(図4の工程1)。こうして得られた多形断片の配列に基づいて、適切なPCRプライマーを、3'末端のスプライス部位配列に隣接する配列から選択して/デザインする。次に、このPCRプライマーを、AFLPテンプレート調製のために使用される第2の酵素に対応するAFLPプライマーと組み合わせて、スプライス部位と5'フランキング配列とを含む断片(これは、最初にシーケンシングのために選択された多形断片に含まれない)を増幅するために使用する(工程2)。この5'フランキング配列から、適切な第2のPCRプライマーを選択して/デザインし(工程3)、3'フランキング配列にマッチする第1のPCRプライマーと共に、従来のPCR-出()において、開始DNAに対してたとえば使用する(工程4)。
【0069】
一つの局面において、本発明は、AFLPテンプレート調製のために使用される第1の制限酵素のためのS3PプライマーおよびAFLPプライマーを組み合わせて使用することによって増幅されるスプライス部位に関連した多形断片を同定する工程、断片をシーケンスする工程、3'末端でスプライス部位配列に隣接する配列のための第1のPCRプライマーをデザインし、および合成する工程;任意に、スプライス部位と5'-フランキング配列の少なくとも一部とを含む断片を、第1のPCRプライマーおよびAFLPテンプレート調製のためのる第2のAFLPプライマーを使用して増幅する工程、および任意に5'末端でスプライス部位配列に隣接する配列のための第2のPCRプライマーをデザインして、および合成する工程を含むPCRプライマーを提供するための方法に属する。
【0070】
本発明に従った方法は、スプライス部位に関連した多形断片の(たとえば、先に記載されたもの)同定を含む。この多形断片(たとえば、S3PプライマーおよびAFLPテンプレート調製のために使用される第1の制限酵素のためのAFLPプライマーの組み合わせを使用して増幅された断片、および任意にこれらの1つまたは複数の対立遺伝子)を単離し(たとえば、ゲル電気泳動後に得られたゲルの切り出し)およびシーケンスする(図4の工程1)。シーケンシングのためには、ゲル削除断片を便利なシーケンシング・ベクターにクローン化してもよい。あるいは、ゲル削除断片を、もとの増幅に使用したS3Pプライマーと、もとの増幅に使用したAFLPプライマーの変更バージョンとを使用して、PCRで再増幅する。修飾されたAFLPプライマーは、好ましくはその5'-末端に、その後のシーケンシング反応をプライムするために都合よく使用され得るさらなる配列を含む。シーケンシング反応をプライミングするためのこのようなさらなる配列の便利な例は、汎用M13シーケンシングプライマーの配列である。
【0071】
こうして得られた多形断片の配列に基づいて、適切なPCRプライマーを、3'末端でスプライス部位配列に隣接する配列から選択し/デザインする。次に、このPCRプライマーを、AFLPテンプレート調製のために使用される第2の酵素に対応するAFLPプライマーと組み合わせて、スプライス部位と第1のPCRプライマーに関してスプライス部位の下流にあるさらなる5'フランキング配列とを含む断片の増幅のために使用する。このさらなる5'フランキング配列は、シーケンシングのために最初に選択される多形バンドには存在しなかった(図4の工程2)。さらなる5'-フランキング配列は、適切な第2のPCRプライマーの設計のための基礎として使用され(図4の工程3)、3'フランキング配列にマッチする第1のPCRプライマーとともに、従来のPCR検出に使用するために適している(たとえば、開始DNA(図4の工程4)。
【0072】
本発明は、PCRプライマーの作製のために、信頼でき、かつ強力な方法を提供する。本発明に従って得られたPCRプライマーは、好ましくは従来のPCR技術に使用するために適しており、より好ましくは、フランキングPCRプライマーに基づいた従来のアッセイ法に使用するために適したPCRプライマーであり、スプライス部位がスプライス部位AFLP技術を使用して同定されたものである。それ故、スプライス部位AFLPは、多形性スプライス部位の迅速かつ信頼できる同定のための有益な技術を提供する。さらなる利点は、可能性が3'末端を使用することによって核コード配列または細胞小器官コード配列の選択的な濃縮をもたらすということであり、これは従来の技術以上の本発明の異なった利点である。
【0073】
本発明の好ましい態様において、任意のものとして示した工程も本方法に含まれる。それ故、第2のPCRプライマーは、従来のPCRに基づいたアッセイ法の開発のためにデザインされることが好ましい。当業者であれば、本出願において具体的に開示された第2のAFLPプライマーに基づいた方法に加えて、プライマーがある第2のPCRをデザインされる配列に基づいてさらなるフランキング配列を得るための代わりの方法が存在することを認識するであろう。このような方法は、たとえば逆PCRによって得られた断片のシーケンシングを含む。
【0074】
フランキング配列は、本発明に関して、スプライス部位配列に隣接する配列をいう。フランキング配列の長さは、通常スプライス部位配列ともう一つの配列、たとえばもう一つのスプライス部位特異的配列、またはPCRプライマーもしくはAFLPプライマー等として定義されるか、もしくは適している配列との間の距離によって示される。フランキング配列の長さは、一般に0〜500ヌクレオチドの間、好ましくは250まで、より好ましくは150まで、および最も好ましくは100ヌクレオチドまでで変更される。上限は、一般にゲルの分解能およびスプライス部位由来断片の長さなどの因子によって支配される。
【0075】
さらなる局面において、本発明は、以下の工程を含むPCRプライマーの判定のために方法に属する:
-制限エンドヌクレアーゼで開始酸を制限して、制限酵素断片の混合物を提供する工程;
-こうして得られた制限酵素断片をアダプターに結合する工程;
-こうして得られたアダプターに結合された制限酵素断片の混合物を、S3Pプライマーおよび第1のAFLPプライマーで増幅して、増幅された制限酵素断片の混合物を提供する工程;
-こうして得られた増幅された制限酵素断片のうちの少なくとも1つを検出する工程;
-スプライス部位に関連した多形断片またはバンドを同定する工程;
-多形断片またはバンドの配列を決定する工程;
-3'末端でスプライス部位配列に隣接する配列のための第1のPCRプライマーをデザインする工程;
-任意に、第1のPCRプライマーと第2のAFLPプライマーとを使用して、スプライス部位と5'-フランキング配列の少なくとも一部とを含む断片を増幅する工程;
-任意に、5'末端でスプライス部位配列に隣接する配列のための第2のPCRプライマーをデザインする工程。
【0076】
本発明は、アッセイ法の開発における、好ましくはスプライス部位の解析のための、本発明によって入手できるプライマーにさらに関する。
【0077】
本発明は、好ましくはスプライス部位アッセイ法に使用するために適した、PCRプライマーの開発における、S3PプライマーおよびAFLPプライマー(の組み合わせ)の使用にさらに関する。
【0078】
適切なPCRプライマーを決定するために使用される多形断片は、たとえば、植物、動物、またはヒトに由来する、ゲノムDNAおよび特に真核生物ゲノムDNA、または組換えDNAクローン(の混合物またはライブラリー)であることができる。
【0079】
また、本発明は、アッセイ法の開発における、好ましくはスプライス部位の解析のための、本発明に従ったPCRプライマーの使用に、および本発明に従ったPCRプライマーを得るための手段を含むキットに、並びに本発明に従ったPCRプライマー含むキットに関する。
【0080】
さらに、本発明の方法によって同定されるスプライス部位に関連した多形断片の1つまたは複数は、単離され、任意にシーケンスされ、およびたとえば核酸配列の解析のためのアレイに使用されるスプライス部位に関連したマーカーのための代表的なヌクレオチド配列を作製するために使用される。
【0081】
さらに他の態様では、本発明は、上記の方法におけるS3Pプライマーの使用に関する。また、本発明は、上記の方法におけるAFLPプライマーの使用に関する。
【0082】
もう一つの局面において、本発明は、核酸配列を解析する際の、S3PプライマーとAFLPプライマーとの組み合わせの使用に関する。特に、本発明の本態様は、スプライス部位に関係した多型の存在について核酸配列を解析する際の、S3PプライマーとAFLPプライマーの組み合わせの使用に関する。
【0083】
さらにもう一つの局面は、本発明の方法によって作製される任意のデータ、任意に紙またはコンピュータ・ディスクなどの適切なデータキャリアを含む。このようなデータは、例えば作製されたDNAフィンガープリント(たとえば、ゲルの形態のもの)および/またはオートラジオグラフ/写真、またはこれらのその他の再生、並びにその上にある(たとえば、データベースの形態の)(貯蔵された)類似またはデジタル・データを含んでもよい。
【0084】
また、本発明は、本発明に使用するためのキットを含み、キットは少なくともS3PプライマーおよびAFLPプライマーを含み;また通常は、AFLPプライマーに対して相補的なアダプターを含む。これらのキットは、制限酵素(この場合、アダプターは、好ましくは酵素で作製される制限部位に結合させるために適している);Taqポリメラーゼなどの増幅のためのポリメラーゼ;のためには任意の公知の成分含むが、これらに限定されず、プライマー伸長に使用するためのヌクレオチド;並びに緩衝液およびその他の溶液および試薬;マニュアルなどのAFLPキットのためのそれ自体公知の構成成分を含む、このようなキットのための任意の公知の構成成分をさらに含むことができる。さらなる参照が、欧州特許出願0 534 858号に対してなされ、参照として本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0085】
実施例1
シロイヌナズナ株ランズバーグ・エレクタ(Oandsberg erecta)およびコロンビア(Columbia)からのDNAを使用して、スプライス部位特異的なプライマー(+0、+1、+2、または+3、EcoRIまたはMseI AFLPプライマーと組み合わせたS3Pプライマー)を使用することによってAFLPフィンガープリントを作製した。12個の異なるスプライス部位特異的プライマーでの、10個の異なるAFLPプライマーと組み合わせたAFLP-反応(表4)を、AFLP制限ライゲーション混合物、+0/+0、または+1/+1 AFLPプレ増幅産物に対して行った。
【0086】
断片の増幅のために、3つの異なるPCRプロファイルを使用した。得られたAFLP断片をPAA-ゲル(56個のAFLP-マーカー・バンドおよび4個の一定のバンド)から切除し、再増幅した。12個のマーカーを、Original TA Cloning Kit(Invitrogen)を使用することによってクローン化し、32個のクローンをMegaBACEでシーケンスした。コード領域がスプライス部位AFLPによって優先して増幅されるかどうかを見いだすために、標準的なAFLP手順で得られた、スプライス部位AFLPで得られたAFLP断片の配列およびシロイヌナズナEcoRI/MseI +2/+3 AFLPマーカーの配列におけるコード領域の存在を、Biomax(Martinsried、Germany)のPEDANT-ソフトウェアで行われるBLAST検索によって決定した。
【0087】
複数の断片が同じ位置に移動する可能性があり、また断片が必ずしもその他の断片による混入を伴わずにPAA-ゲルから切除されるわけではないので、密度の高いフィンガープリントパターンをもつPAA-ゲルから断片を切除するときに生じる可能性のあるシーケンシング問題を回避するために、クローニング法を使用した。これらの切除された断片をクローニングすることにより、純粋な断片が得られ、これらのクローンをシーケンスすることにより、これらの問題を防止する。
【0088】
結果
フィンガープリント結果
+0、+1、+2、または+3 EcoRIまたはMseI AFLPプライマーと組み合わせたスプライス部位特異的プライマー(S3Pプライマー)の使用によって作製したフィンガープリントおよび増幅のために使用したPCR-プロファイルを図3に示してある。スプライス部位AFLPマーカーは、矢印によってマークしてある。
【0089】
PCRプロフィールA:94℃で30秒+ 13 *(65℃で30秒、0.7℃/サイクル タッチダウン)+ 72℃で60秒;94℃で30秒+ 23 *(50℃で30秒)+72℃で60秒;PCRプロフィールB:94℃で30秒+ 13 *(65℃で30秒、0.7℃/サイクル タッチダウン)+72℃で60秒;94℃で30秒+ 23 *(56℃で30秒)+72℃で60秒;PCRプロフィールC:94℃で30秒+ 13 *(45℃で30秒、1℃/サイクル タッチダウン)+72℃で60秒;94℃で30秒+ 23 *(50℃で30秒)+ 72℃で60秒。
【0090】
セクション1-6は、プライマー組み合わせSSPn/AFLP+0での+0/+0AFLPプレ増幅に基づく。セクション7-13は、プライマー組み合わせSSPn/AFLP+1での+0/+0AFLPプレ増幅に基づく。セクション14-18は、プライマー組み合わせSSPn/AFLP+3での+1/+1AFLPプレ増幅に基づく。
【0091】
配列分析
公的な真核生物のゲノムDNAデータセットに対するBLAST検索の後、予測される遺伝子と2つのヒットが見いだされた(表2)(28.5%)。この真核生物ゲノムDNAデータセットに対して、132個のシロイヌナズナAFLP断片配列で行ったBLAST検索により、予測される遺伝子と10ヒット(7.5%)を生じた。これは、コード領域が優先して増幅されることを証明する。
【0092】
表2:BLAST-検索において2つのスプライス部位AFLP断片のついて見いだされた予測される遺伝子のヒット:
【表2】

【0093】
AFLPプライマーと組み合わせて、スプライス部位特異的プライマーを使用することによってAFLPマーカーを作製する概念は、作用する。マーカーは、スプライス部位AFLPをAFLPプレ増幅産物に対して行ったときに検出可能であった。+0のAFLPプライマーおよび+0/+0のAFLPプレ増幅産物と組み合わせてスプライス部位特異的プライマーを使用すると、密度の高いフィンガープリントが生じた。一つの+3 AFLPプライマーおよび+1/+1プレ増幅産物と組み合わせて使用した5つの異なるスプライ-部位特異的なプライマーにより、完全に再現性のあるフィンガープリントを生じた。これは、スプライス部位特異的プライマーのターゲティングは、スプライス部位特異的な配列に基づくことを示す。多型の程度は、標準的+2/+3 AFLPフィンガープリント(14%)に相当した。3回評価したPCRプロファイルは、ほとんど同じフィンガープリントを生じた。
【0094】
実施例2
この実施例では、実施例1よりも大規模でのゲノムの遺伝子領域(イントロンまたはエキソン配列)についてのフィンガープリントを濃縮することを目的とした。ターゲティング効率は、スプライス部位PCR断片のシーケンシング、続く相同性検索によって決定した。さらにまた、いくつかのスプライス部位PCRプライマーをトマト親株で試験した。以前の実施例からの12個の選択し、デザインしたスプライス部位プライマーを、最適のプライマー/酵素組み合わせ、および最適の増幅プロフィールを決定するために使用した。これらは、シロイヌナズナ配列でデザインしたが、トマトにおいてフィンガープリントを作製するために有用であった。シロイヌナズナおよびトマトに対してスプライス部位プライマーを使用して作製したフィンガープリントの例を図5に示してある。本実施例は、明らかにRIL8集団内のマーカーの分離を示す。さらにまた、スプライス部位プライマーを、トマトにおける再現性のあるフィンガープリントを作製するために使用することができることを示す。
【0095】
表3。白イヌナズナにおけるスプライス部位領域に関する、各プライマーの組み合わせにおけるスコア・マーカーの数の概要
【表3】

表3は、合計141個のスコアしたマーカーからのスプライス部位リンカー-PCRについて、119個がツーフィット(two-fit)を与え、すなわち、特定の断片のバンド強度が、それぞれ断片の存在または非存在を表す2群に観察されることを示しており、これは、スコアされたマーカーの84%が優性にスコアされ得ることを意味する。この割合は、高品質AFLPフィンガープリントのものと一致している。共優性(Co-dominant)スコアリングは、RiL8集団に適用できないが、ヘテロ接合性共優性スコアリングを含む集団を使用するときは、可能である。ターゲティング効率を決定するために、160個のスプライス部位PCR断片をSSPI、SSP3、またはSSP9プライマーを用いたフィンガープリントでのポリアクリルアミドゲルから単離し、その後シーケンスした。これらの配列から、上質の100個の配列を相同性解析のために使用し、24個の配列がシロイヌナズナ・タンパク質配列に対して相同性を与え、これは、断片の24%である。これらの100個の断片の中で76%は、DNAレベルで相同性を与えた。DNAレベルでの相同性を示した配列だけを使用するときに、シロイヌナズナ・ゲノム内の遺伝子領域のターゲティング効率は、76のうちの24個である。7.5%の規則的なAFLPを使用する遺伝領域のターゲティング効率と比較して(実施例1)、ターゲティング効率は、3〜4倍に上昇する。新たなプライマーは、データベースからのタンパク質との相同性を与えるスプライス部位PCR断片の配列を使用してデザインした。これらのプライマーは、タンパク質のイントロン向けられるようにデザインしたが、スプライス部位PCR断片配列は、エキソンに向けた。また、これらの新たなSSPプライマーは、遺伝子タイピングのために容易に使用することができるフィンガープリントを生じる。利用でき、および試験したスプライス部位プライマーの総概要を表4に示してある。
【表4−1】

【表4−2】

【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の方法の概略図である。図1において、1は、S3Pプライマーを示し、2は、二重鎖標的DNA(制限酵素断片)であり、3は、スプライス部位であり、スプライス部位のイントロン部分を3Aとして、エキソン部分を3Bとして示してあり、4は、3'末端に位置するS3Pプライマー部分であり、および5は、5'末端である。AFLPプライマー(7)は、制限酵素断片に結合されたアダプター(8)に対して相補的である部分(10)を含み、3'末端(9)に選択的ヌクレオチドを含む。
【図2】図2および2Aは、標的配列および2つのプライマーと組み合わせたスプライス部位のコンセンサス配列の代表例であり、一方は、標的配列に対してミスマッチし、一方は、プライマーにマッチし、これによりS3P プライマーに選択的なヌクレオチドを導入する。
【図2a】図2Aは、スプライス部位のコンセンサス配列の代表例である。
【図3】AFLPプライマーと組み合わせた、スプライス部位特異的なプライマーで生じるAFLP-フィンガープリントである。PCRプロフィールA:94℃で30秒+ 13 *(65℃で30秒、0.7℃/サイクル タッチダウン(Touch Down))+72℃で60秒;94℃で30秒+ 23 *(50℃で30秒)+72℃で60秒;PCRプロフィールB:94℃で30秒+ 13 *(65℃で30秒、0.7℃/サイクル タッチダウン)+72℃で60秒;94℃で30秒+ 23 *(56℃で30秒)+72℃で60秒;PCRプロフィールC:94℃で30秒+ 13 *(45℃で30秒、1℃/サイクル タッチダウン)+72℃で60秒;94℃で30秒+23 *(50℃で30秒)+72℃で60秒;。
【0097】
セクション1-6は、プライマー組み合わせSSPn/AFLP+0での+0/+0AFLPプレ増幅に基づく。セクション7-13は、プライマー組み合わせSSPn/AFLP+1での+0/+0AFLPプレ増幅に基づく。セクション14-18は、プライマー組み合わせSSPn/AFLP+3での+1/+1AFLPプレ増幅に基づく。
【図4】PCRアッセイ法への変換の概略図である。
【図5】シロイヌナズナRIL8およびトマト親株試料に対するスプライス部位AFLPスクリーニングの代表である。左パネルは、EcoRIおよびMseIを使用して作製したテンプレートに対するスプライス部位プライマーSSP9とMseI +0プライマー(M00k)の組み合わせを使用するシロイヌナズナRIL8試料スクリーニングを表す。レーン13は、10blサイズ・マーカーを表し、レーン14および15は、それぞれ、親株1および2を表す。右側の2枚のパネルは、トマト親株のAseIテンプレートを使用するAseI+1プライマーと組み合わせてスプライス部位プライマーSSP3およびSSP9のスクリーニングを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸配列を解析し、または増幅するための方法における、1つまたは複数のS3Pプライマーの使用。
【請求項2】
少なくとも1つのAFLPプライマーと組み合わせた、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記核酸配列が1つ、好ましくは2つのアダプター配列が結合した制限酵素断片を含む、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記アダプター配列が結合された前記制限酵素断片が、アダプターが結合した制限酵素断片の混合物の一部である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記核酸配列、特に制限酵素断片が、イントロン-エキソン接合および/またはスプライス部位を含むか、または含むことが疑われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記制限酵素断片が、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、組換えDNA、またはプロセスされていない異核mRNAに由来する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記S3Pプライマーが、イントロンからエキソンの向きで、またはエキソンからイントロンの向きである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記AFLPプライマーが、その3'末端に少なくとも1つの選択的ヌクレオチドを含む、請求項2〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記S3Pプライマーが、保存されたスプライス部位の境界配列か、またはコンセンサス配列の少なくとも一部、好ましくはコンセンサス配列の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、もしくは90%、最も好ましくはコンセンサス配列の100%の部分を含むプライマーである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記S3Pプライマーが、ランダム配列をさらに含む、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記S3Pプライマーが、GU-AGイントロン、AU-ACイントロン、グループIイントロン、グループIIイントロン、グループIIIイントロン、ツイントロン(Twintrons)、プレ-tRNAイントロン、およびコンピューターに基づいたスプライス部位同定法を使用して同定されるスプライス部位からなる群より選択されるスプライス部位に対して特異的である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記S3Pプライマーが、合計で8〜20の間のヌクレオチド、好ましくは12〜16の間のヌクレオチドを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記S3Pプライマーに存在する4〜10の間、好ましくは6〜8間のヌクレオチドが、保存された領域またはスプライス部位のコンセンサス配列に対して相補的である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記コンセンサス配列が、X1X2GTX3X4X5X6であって、式中X1、X2、X3、X4、X5、X6が、独立してA、C、T、またはGからなる群より選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記コンセンサス配列がAGGTAAGTである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
少なくとも以下の工程を含む核酸配列を解析するための方法:
(a)1つまたは複数のS3Pプライマーおよび任意にAFLPプライマーを使用して、解析される前記核酸から作製されるアダプターに結合した制限酵素断片を増幅して、前記核酸配列を増幅する工程であって、前記S3Pおよび前記AFLPプライマーのそれぞれは、請求項1〜2および7〜15のいずれか1項によって定義される工程と;および任意にさらなる以下の工程を含む:
(b)こうして得られる増幅された核酸配列を検出する工程。
【請求項17】
以下の工程を含む、核酸配列を解析するための方法:
(a)制限エンドヌクレアーゼで開始酸を制限して、制限酵素断片の混合物を提供する工程;
(b)こうして得られた制限酵素断片を少なくとも1つのアダプターに結合する工程;
(c)こうして得られたアダプターに結合された制限酵素断片の混合物を、1つまたは複数のS3Pプライマーおよび任意に少なくとも1つのAFLPプライマーで増幅して、増幅された制限断片の混合物を提供する工程であって、前記S3Pおよび前記AFLPプライマーそれぞれある請求項1〜2および7〜15のいずれか1項によって定義される工程と;および任意にさらなる以下の工程を含む:
(d)こうして得られる増幅された制限酵素断片を検出する工程。
【請求項18】
以下の工程を含む、開始DNAから得られる少なくとも1つの制限酵素断片の増幅のための方法:
(a)開始DNAを、少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼで消化することにより、1つまたは複数の制限酵素断片を提供する工程;
(b)少なくとも1つのオリゴヌクレオチド・アダプターを、前記制限酵素断片の一方または両方の末端に結合して、アダプターに結合された制限酵素断片を提供する工程;
(c)1つまたは複数のS3Pプライマーおよび任意に少なくとも1つのAFLPプライマーを含むプライマーセットを提供する工程であって、前記S3Pおよび前記AFLPプライマーそれぞれある請求項1〜2および7〜15のいずれか1項によって定義される工程;
(d)前記アダプターに結合された制限酵素断片を前記プライマーセットと接触させる工程;
(e)前記アダプターに結合された制限酵素断片を前記プライマーセットで増幅する工程;および、
(f)増幅されたあらゆるDNA断片を回収する工程。
【請求項19】
以下の工程を含む、スプライス部位に関連したゲノム多型にまたがったPCR断片の増幅に使用するための、PCRプライマーまたは一対のPCRプライマーを提供するための方法:
a)AFLPテンプレートの調製のために使用される第1の制限酵素のための、前記スプライス部位に関連したゲノムの多型を含む断片を同定する工程であって、前記断片は、1つまたは複数のS3Pプライマーおよび任意に少なくとも1つの第1のAFLPプライマーを組み合わせて使用することによって増幅され、前記S3Pおよび前記AFLPプライマーそれぞれある請求項1〜2および7〜15のいずれか1項によって定義される工程;
b)前記多形断片をシーケンスする工程;
c)3'末端で前記スプライス部位配列に隣接する配列に対応する第1のPCRプライマーを合成する工程;
d)任意に、前記第1のPCRプライマーとAFLPテンプレート調製のために使用される第2の制限酵素のための第2のAFLPプライマーとを使用して、前記スプライス部位関連するゲノム多型およびその5'末端で前記スプライス部位に関連するゲノム多型に隣接する配列を含む断片を増幅する工程;および任意に、
e)5'末端で前記スプライス部位配列に隣接する配列に対応する第2のPCRプライマーを合成する工程。
【請求項20】
以下の工程を含む、PCRプライマーを提供するための方法:
a)少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼで核酸配列を制限して、制限酵素断片の混合物を提供する工程;
b)こうして得られた制限酵素断片を、少なくとも1つのアダプターに結合する工程;
c)こうして得られたアダプターに結合した制限酵素断片の混合物を、少なくとも1つのS3Pプライマーおよび任意に少なくとも1つの第1のAFLPプライマーで増幅して、増幅された制限酵素断片の混合物を提供する工程であって、前記S3Pおよび前記AFLPプライマーそれぞれある請求項1〜2および7〜15のいずれか1項によって定義される工程;
d)こうして得られる前記増幅された制限酵素断片のうちの少なくとも1つを検出する工程;
e)少なくとも1つのスプライス部位に関連する多形断片を同定する工程;
f)前記多形断片の配列を決定する工程;
g)3'末端で前記スプライス部位の配列に隣接する配列に対応する第1のPCRプライマーを合成する工程;
h)任意に、前記第1のPCRプライマーとAFLPテンプレートの調製に使用する第2のAFLPプライマーとを使用して、前記スプライス部位と5'隣接配列の少なくとも一部とを含む断片を増幅する工程;および、
i)任意に、5'末端で前記スプライス部位配列に隣接する配列に対応する第1のPCRプライマーを合成する工程。
【請求項21】
好ましくはスプライス部位の解析のための、アッセイ法の開発における、請求項15または16に記載の方法によって入手できるPCRプライマーの使用。
【請求項22】
PCRプライマーの開発における、1つまたは複数のS3Pプライマーおよび任意に少なくとも1つのAFLPプライマーの(組み合わせの)使用。
【請求項23】
請求項7〜14のいずれか1項に記載の方法を行うための手段を含む、好ましくは少なくとも1つのS3Pプライマーと任意に少なくとも1つのAFLPプライマーとを含む、任意にそれ自体をその他のキット成分と組み合わせた、キット。
【請求項24】
請求項15または16に記載の方法によって得られるPCR-ライマーを含むキット。
【請求項25】
核または細胞小器官に由来する増幅産物のための試料の(選択的な)濃縮のための、請求項18に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−521003(P2007−521003A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516994(P2006−516994)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000471
【国際公開番号】WO2005/003393
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(505477187)ケイヘーネ・エヌ・ブイ (10)
【Fターム(参考)】