説明

スプレードライ分離器

【課題】微粒子の回収率を大幅に改善すると共に、安定した回収率を維持することが可能なスプレードライ分離器を提供する。
【解決手段】倒立切頭円錐形状のサイクロン本体3の上部において、微粒子を含有する溶媒を高温の乾燥空気とともに高速で接線方向に噴出させ、サイクロン本体3の内壁面に衝突した微粒子をサイクロン本体3から回収容器5に送り込み、この微粒子と回収容器5内に配置した切頭円錐状の微粒子吸着体15との摩擦により静電気を発生させ、微粒子吸着体15に微粒子を吸着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子を含有する溶媒から微粒子を分離して回収するスプレードライ分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子を含有する懸濁溶液から,微粒子を回収する装置としては,例えば溶媒の昇華を利用する凍結乾燥機がある。この凍結乾燥機は微粒子の連続回収が不可能で、生産効率が悪く、生成物を粉状で得ることができないため、これを改善する乾燥方法としてスプレードライ法がある。
【0003】
このスプレードライ法は、微粒子を含有する溶媒を温風で高速噴霧し瞬時に乾燥させて粉体とし、この粉体を捕集するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3924619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のスプレードライ法のサイクロン分離器では、このサイクロン分離器と粉体の摩擦によりサイクロン分離器および粉体が帯電し、サイクロン分離器の倒立円錐形状の本体内壁面に粉体が付着するため、遠心力で分離されて回収容器に回収される微粒子の回収率は低下する傾向があり、その回収率は70%程度に留まっていており、微粒子回収率を向上することが要望されている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、微粒子の回収率を大幅に改善すると共に、安定した回収率を維持することが可能なスプレードライ分離器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、請求項1記載のスプレードライ分離器は、倒立切頭円錐形状のサイクロン本体と、該サイクロン本体の大口径の上部において、微粒子を含有する溶媒を高温の乾燥空気とともに高速で接線方向に噴出させ、遠心力により前記サイクロン本体の内壁面に衝突した微粒子を、該サイクロン本体の下端の小口径の排出口に対向して配置した回収容器に回収することにより溶媒から微粒子を分離するスプレードライ分離器において、
前記回収容器の内部に、先端が前記排出口に対向するとともに、底部に向かって拡開する切頭円錐状の微粒子吸着体を配置し、該微粒子吸着体と前記排出口から排出される前記微粒子との摩擦により静電気を発生させ、該微粒子吸着体に前記微粒子を吸着させるようにしたことを要旨とする。
【0008】
請求項1記載のスプレードライ分離器では、倒立切頭円錐形状のサイクロン本体の上部において、微粒子を含有する溶媒を高温の乾燥空気とともに高速で接線方向に噴出させ、サイクロン本体の内壁面に衝突した微粒子をサイクロン本体から回収容器に送り込み、この微粒子と回収容器内に配置した切頭円錐状の微粒子吸着体との摩擦により静電気を発生させ、該微粒子吸着体に微粒子を吸着させるため、微粒子は微粒子吸着体に吸着されて回収容器内に回収され、微粒子の回収効率を著しく向上することができる。
【0009】
請求項2記載のスプレードライ分離器は、前記微粒子吸着体と前記排出口から排出される前記微粒子との摩擦により静電気を発生させることにより、前記サイクロン本体の内壁に発生する微粒子吸着電位より高い微粒子吸着電位を発生させ、前記微粒子吸着体に前記微粒子を吸着させるようにしたことを要旨とする。
【0010】
請求項2記載のスプレードライ分離器では、微粒子吸着体と排出口から排出される微粒子との摩擦により静電気を発生させることにより、サイクロン本体の内壁に発生する微粒子吸着電位より高い微粒子吸着電位を発生させ、微粒子吸着体に微粒子を吸着させるため、微粒子は微粒子吸着体に吸着されて回収容器内に回収され、回収効率を著しく向上することができる。
【0011】
請求項3記載のスプレードライ分離器は、前記微粒子吸着体が、前記排出口に対向する上端部が小口径の開口部であり、前記回収容器の底に接する下端部が大口径の開口部である切頭円錐体であることを要旨とする。
【0012】
請求項4記載のスプレードライ分離器は、前記サイクロン本体および回収容器が、硬質ガラスで形成されることを要旨とする。
【0013】
請求項5記載のスプレードライ分離器は、前記微粒子吸着体が、ステンレスでメッシュ状に形成されることを要旨とする。
【0014】
請求項6記載のスプレードライ分離器は、倒立切頭円錐形状のサイクロン本体と、該サイクロン本体の大口径の上部において、微粒子を含有する溶媒を高速で接線方向に噴出させ、遠心力により前記サイクロン本体の内壁面に衝突した微粒子を、該サイクロン本体の下端の小口径の排出口に対向して配置した回収容器に回収することにより溶媒から微粒子を分離するスプレードライ分離器において、前記回収容器の内部に、上端が前記排出口を覆うようにして固定される筒状体を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、倒立切頭円錐形状のサイクロン本体の上部において、微粒子を含有する溶媒を高温の乾燥空気とともに高速で接線方向に噴出させ、サイクロン本体の内壁面に衝突した微粒子をサイクロン本体から回収容器に送り込み、この微粒子と回収容器内に配置した切頭円錐状の微粒子吸着体との摩擦により静電気を発生させ、該微粒子吸着体に微粒子を吸着させるので、微粒子は微粒子吸着体に吸着されて回収容器内に回収され、微粒子の回収効率を著しく向上することができる。
【0016】
また、本発明によれば、微粒子吸着体と排出口から排出される微粒子との摩擦により静電気を発生させることにより、サイクロン本体の内壁に発生する微粒子吸着電位より高い微粒子吸着電位を発生させ、微粒子吸着体に微粒子を吸着させるので、微粒子は微粒子吸着体に吸着されて回収容器内に回収され、回収効率を著しく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係わるスプレードライ分離器の基本的構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すスプレードライ分離器の上面図および側面図である。
【図3】図1に示すスプレードライ分離器を構成する回収容器の斜視図および側面図である。
【図4】図1に示すスプレードライ分離器において高温で高速噴出された粉体の流れを示す説明図である。
【図5】図1に示すスプレードライ分離器を使用した分離装置全体の構成を示す説明図である。
【図6】他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係わるスプレードライ分離器の基本的構成を示す斜視図である。同図に示すスプレードライ分離器1は、上部が大口径となり、下部が小口径の排出口3aを構成する倒立切頭円錐形状のサイクロン本体3とこのサイクロン本体3の下部の排出口3aが連結される回収容器5とを有する。
【0020】
図1に示すスプレードライ分離器1は、図2に示す上面図および側面図からも分かるように、サイクロン本体3の上端の開口部には接続フェルール7が取り付けられ、またサイクロン本体3の上部の側部の外周部には、この外周部の接線方向からサイクロン本体3の内部に粉体を噴射するための噴射フェルール9が設けられている。サイクロン本体3は、この噴射フェルール9を介して外部から高温で高速噴出されて送り込まれる微粒子を含む溶媒の粉体をサイクロン本体3の円周方向に渦巻くように送り込まれ、微粒子と溶媒を分離するものである。
【0021】
回収容器5は、図3に単体で斜視図および側面図を示すように、上端の開口部に容器蓋11が取り付けられ、この容器蓋11は容器押えバンド13によって回収容器5の開口部に固定されている。また、容器蓋11の中央には、開口部11aが形成され、この開口部11aに対してサイクロン本体3の排出口3aのある下端部が挿入されるようになっている。なお、サイクロン本体3の下端部が容器蓋11の開口部11aに挿入された場合、この容器蓋11の開口部11aの外周縁部とサイクロン本体3の下端部の外周面との間にはシリコンコーキングが施されるようになっている。
【0022】
また、回収容器5の内部には、切頭円錐状の全体的にメッシュの形成された微粒子吸着体15が小口径の上端から大口径の下端に向かって拡開するように設けられている。なお、微粒子吸着体15は、本実施形態では50メッシュのステンレスで形成されるが、他には腐食に強い鉄、銅などの金属、またはステンレスやアルミニウム合金等の合金、あるいは冶金、さらにはナイロン、ポリプロピレン等の高分子樹脂、ガラス等を用いることが可能である。また、メッシュのサイズは一般的に20から200メッシュ、好ましくは20から150メッシュ、より好ましくは50から100メッシュである。
【0023】
また、この微粒子吸着体15の上部、開口部15aの直径はサイクロン本体3の下端開口径の1/8から2倍、好ましくは1/3から等倍、より好ましくは1/2である。また微粒子吸着体15下部の直径はサイクロン本体3の下端開口径と同径から4倍程度、好ましくは1から3倍、より好ましくは1.5倍ある。さらに微粒子吸着体15の高さはサンプル回収容器の1/10から等倍、
好ましくは3/10から9/10、より好ましくは7/10である。
【0024】
この微粒子吸着体15の上端の小口径の開口部15aは、サイクロン本体3の排出口3aに対向するように容器蓋11の開口部11a近くまで延出し、下端の大口径の開口部15bは、回収容器5の底部に設けられた敷き板17上に着脱自在に載置されている。なお、この敷き板17は、円周方向において等角度で外側に向かって突出する位置決め補助部17aが3個設けられ、この位置決め補助部17aの突出長さにより微粒子吸着体15を回収容器5の中央の所定位置に固定するようになっている。これにより微粒子吸着体15は敷き板17を介して回収容器5に固定されることになる。なお、微粒子吸着体15と敷き板17とを一体に構成してもよく、さらには敷き板17を樹脂等により微粒子吸着体15に固定してもよい。
【0025】
また、微粒子吸着体15の形状は、円錐状に限定されることなく、例えば、四角錐や三角錐等、上側と下側がそれぞれ開口していればよい。
【0026】
なお、サイクロン本体3および回収容器5の材質は、硬質ガラスであり、静電気除去コーティングが施されていることが好ましいが、導電ガラスなどで構成されてもよい。
【0027】
次に、以上のように構成されるスプレードライ分離器1の作用について図4を参照して説明する。
【0028】
図4においては、後述する図5に示す分離装置において微粒子を含有する溶媒を高温で高速噴出し瞬時に乾燥させて生成された粉体が、図4の矢印200で示すように、噴射フェルール9からサイクロン本体3の中にその接線方向に送り込まれる。このサイクロン本体3の中に送り込まれた微粒子を含む溶媒の粉体は、サイクロン本体3の円周方向に細い矢印線202で示すように渦巻きながら流れつつ、微粒子は溶媒から分離して下降し、サイクロン本体3の排出口3aから回収容器5の中に入り込む。
【0029】
この回収容器5内に入り込んだ微粒子は、微粒子吸着体15の上端の開口部15aから微粒子吸着体15の中に流入して、太い矢印実線204で示すように微粒子吸着体15の内壁面に沿って渦巻きながら下降するものと、微粒子吸着体15の外側を太い矢印点線206で示すように外壁面に沿って渦巻きながら下降するものとに分かれ、この内壁面および外壁面と微粒子との摩擦により微粒子に靜電気が発生して帯電し、これにより微粒子は微粒子吸着体15に吸着され、粉体に含まれる微粒子はほとんどが回収容器5内に回収されることになる。
【0030】
上述したように、本実施形態のスプレードライ分離器1では、回収容器5の中に微粒子吸着体15を設置するため、回収容器5の中では微粒子吸着体15を中心にラグビーボールの模様で落ちる微粒子の風が微粒子吸着体15の外側と内側を渦巻くように回って微粒子が微粒子吸着体15の内壁面および外壁面に付着するとともに、その後、風は回収容器5の底にぶつかった後、広がって、回収容器5全体を回り、この段階で微粒子が微粒子吸着体15の内壁面および外壁面や蓋に付着し、それから風はまた微粒子吸着体15の周りを回って出て行くという微粒子吸着体15により形成された流路により、微粒子が帯電され微粒子吸着体15の内壁面および外壁面に付着する面積が大幅に広がるために微粒子回収効率が従来に比較して例えば15%以上大幅に向上するものである。
【0031】
また、微粒子吸着体15は単に回収容器5内に設置されるだけであり、微粒子はほとんどが微粒子吸着体15に付着するものであるため、回収容器5から微粒子吸着体15を取り出すことだけで微粒子を簡単に回収できるとともに、スプレードライ分離器1のメンテナンスも簡単にでき、そのメンテナンス負担も大幅に低減することができる。
【0032】
図5は、図1に示したスプレードライ分離器1を使用した分離装置全体の構成を示す説明図である。
【0033】
図5に示す分離装置においては、スプレードライ分離器1の噴射フェルール9に連結管51の一端が連結され、この連結管51を介して粉体、すなわち微粒子を含有する溶媒を高温で高速噴出し瞬時に乾燥させて生成された粉体が噴射フェルール9からサイクロン本体3の中に送り込まれる。連結管51は、その中程に出口温度センサ53が取り付けられ、スプレードライ分離器1に送り出される粉体の温度を測定するようになっているとともに、連結管51の他端は、乾燥チャンバ55に連結されている。
【0034】
この乾燥チャンバ55の上方には、ノズル57の下端が上方から露出し、このノズル57の下端から微粒子を含有する溶媒が高温で高速噴出され瞬時に乾燥された粉体として乾燥チャンバ55内に生成され、乾燥チャンバ55から連結管51を介してスプレードライ分離器1内に送り込まれるようになっている。
【0035】
ノズル57の上端には、溶媒供給管61と加圧空気供給管85が連結され、この溶媒供給管61と加圧空気供給管85とから溶媒、すなわち微粒子を含有する溶媒と加圧空気がノズル57の上端にそれぞれ供給されるようになっている。溶媒供給管61は、送液ポンプ63を介して別の溶媒供給管65に連結され、この溶媒供給管65の先端は、微粒子を含有する溶媒67の入ったビーカー66内に挿入されている。従って、送液ポンプ63を作動することにより、ビーカー66内の溶媒67はビーカー66内から溶媒供給管65、送液ポンプ63、溶媒供給管61を介してノズル57に供給されるようになっている。
【0036】
また、ノズル57の上端に連結された他方の加圧空気供給管85は、圧力計83、ニードル弁81、三方電磁弁79を介して別の加圧空気供給管77に連結され、この加圧空気供給管77は、更に別の加圧空気供給管71に連結され、この加圧空気供給管71に加圧空気が供給されるようになっている。また、この加圧空気供給管71は、電磁弁73および別の加圧空気供給管75を介して乾燥チャンバ55内のノズル57の下端部分に連結され、乾燥チャンバ55内のノズル57の下端部分に加圧空気を供給するようになっている。
【0037】
更に、ノズル57の中程には、ノズル冷却機構59が設けられ、このノズル冷却機構59を含んでノズル57を全体的に囲んでいる部分は、連結管87を介して円筒状の暖気生成部89に連結されている。この暖気生成部89は、上部寄りの部分に入口温度センサ97が取り付けられ、中程にはヒーター91が設けられている。このヒーター91の下端付近には、吸気口93および吸気フィルタ95を介して暖気が供給されるようになっている。そして、吸気フィルタ95および吸気口93を介して暖気生成部89内に供給される暖気は、ヒーター91で加熱されてから、連結管87を介してノズル57の周囲に供給されるようになっている。そして、ノズル57は、このように供給される暖気とノズル冷却機構59とにより温度調整され、これによりノズル57内を通る溶媒67と加圧空気の温度を調整する。
【0038】
また、スプレードライ分離器1の上端の接続フェルール7には、排気管41の一端が連結され、この排気管41の他端は、ブロア43を介して別の排気管45に連結されている。従って、スプレードライ分離器1において微粒子を取り除かれた溶媒の粉体は、ブロア43により吸い込まれるように排気管41、ブロア43を通って排気管45から排出されるようになっている。
【0039】
以上のように構成される分離装置において、ビーカー66内の微粒子を含む溶媒67は、送液ポンプ63で溶媒供給管65、溶媒供給管61を介してノズル57の上端に供給される。また同時に、加圧空気が加圧空気供給管71、77、三方電磁弁79、ニードル弁81、圧力計83、加圧空気供給管85を介してノズル57の上端に供給される。ノズル57は、吸気フィルタ95、吸気口93、暖気生成部89からの暖気とノズル冷却機構59とにより内部を最適な高温に設定された状態でノズル57の上端に溶媒供給管61から供給される溶媒67を加圧空気供給管85から供給される加圧空気で加圧しながらノズル57の下端から高速噴出しつつ瞬時に乾燥させて粉体として生成し、この粉体を乾燥チャンバ55から連結管51を介してスプレードライ分離器1の噴射フェルール9からサイクロン本体3の中にその接線方向に送り込む。このサイクロン本体3の中に送り込まれた粉体は、上述したように、サイクロン本体3の円周方向に渦巻きながら流れつつ、微粒子は溶媒から分離されて下降し、サイクロン本体3の排出口3aから回収容器5の中に入り込む。
【0040】
この回収容器5内に入り込んだ微粒子は、上述したように、微粒子吸着体15の上端の開口部15aから微粒子吸着体15の中に流入して、微粒子吸着体15の内壁面に沿って渦巻きながら下降するものと、微粒子吸着体15の外側を外壁面に沿って渦巻きながら下降するものとに分かれ、この内壁面および外壁面と微粒子との摩擦により微粒子が帯電し、これにより微粒子は微粒子吸着体15に吸着され、粉体に含まれる微粒子はほとんどが回収容器5内に回収されることになる。
【0041】
一方、サイクロン本体3内において、円周方向の渦巻きにより微粒子と分離した溶媒の粉体は、ブロア43により吸い込まれるように排気管41、ブロア43を通って排気管45から排出される。
【0042】
次に、図6を参照して他の実施形態について説明する。従来は、図6に示すようなサイクロン本体3と下方の回収容器105のみで分離捕集するようにしている。
【0043】
本実施形態では、このサイクロン本体3と蓋11とを樹脂で固定し、さらにこの蓋11の裏面内側に断面円形の筒状体である円筒体115を取り付け固定した後、これら一体に構成されたサイクロン本体3,蓋11,円筒体115を回収容器105に載置して、容器押えバンド13にて固定する。この円筒体115は、内径が一定な筒状でかつ網状の上部円筒体115aと、下部の内径が上部より小である漏斗状の下部円筒体115bによって構成される。なお、上述した実施形態における微粒子吸着体15の上端の開口部15aがサイクロン本体3下端の排出口3aの開口径より小であるのに対し、当該円筒体115の上端開口の口径は排出口3aの開口径より大である。
【0044】
本実施例では、該回収容器105は、図1に示す回収容器5とほぼ同一であるが、例えば円筒体115の形状や作用等に合わせて、種々の変更や変形を行うことができるものである。
【0045】
また、サイクロン本体3下方の回収容器105内に、円筒体115に上述した微粒子吸着体15を併用することで、連続分離処理等の改善効果が生まれる。
【0046】
なお、上記実施形態は好適な一例を示すものであり、これに限定されることなく、種々の変更や変形を行うことができるものであることは言うまでもないことである。
【符号の説明】
【0047】
1 スプレードライ分離器
3 サイクロン本体
3a 排出口
5 回収容器
7 接続フェルール
9 噴射フェルール
11 容器蓋
11a 開口部
13 容器押えバンド
15 微粒子吸着体
15a 開口部
17 敷き板
43 ブロア
55 乾燥チャンバ
57 ノズル
59 ノズル冷却機構
61 溶媒供給管
63 送液ポンプ
66 ビーカー
67 溶媒
85 加圧空気供給管
89 暖気生成部
105 回収容器
115 円筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
倒立切頭円錐形状のサイクロン本体と、該サイクロン本体の大口径の上部において、微粒子を含有する溶媒を高速で接線方向に噴出させ、遠心力により前記サイクロン本体の内壁面に衝突した微粒子を、該サイクロン本体の下端の小口径の排出口に対向して配置した回収容器に回収することにより溶媒から微粒子を分離するスプレードライ分離器において、
前記回収容器の内部に、先端が前記排出口に対向するとともに、底部に向かって拡開する切頭円錐状の微粒子吸着体を配置し、該微粒子吸着体と前記排出口から排出される前記微粒子との摩擦により静電気を発生させ、該微粒子吸着体に前記微粒子を吸着させるようにしたことを特徴とするスプレードライ分離器。
【請求項2】
前記微粒子吸着体と前記排出口から排出される前記微粒子との摩擦により静電気を発生させることにより、前記サイクロン本体の内壁に発生する微粒子吸着電位より高い微粒子吸着電位を発生させ、前記微粒子吸着体に前記微粒子を吸着させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のスプレードライ分離器。
【請求項3】
前記微粒子吸着体は、前記排出口に対向する上端部が小口径の開口部であり、前記回収箱の底に接する下端部が大口径の開口部である切頭円錐体であることを特徴とする請求項1または2記載のスプレードライ分離器。
【請求項4】
前記サイクロン本体および回収容器は、硬質ガラスで形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスプレードライ分離器。
【請求項5】
前記微粒子吸着体は、ステンレスでメッシュ状に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスプレードライ分離器。
【請求項6】
倒立切頭円錐形状のサイクロン本体と、該サイクロン本体の大口径の上部において、微粒子を含有する溶媒を高速で接線方向に噴出させ、遠心力により前記サイクロン本体の内壁面に衝突した微粒子を、該サイクロン本体の下端の小口径の排出口に対向して配置した回収容器に回収することにより溶媒から微粒子を分離するスプレードライ分離器において、
前記回収容器の内部に、上端が前記排出口を覆うようにして固定される筒状体を具備することを特徴とするスプレードライ分離器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−236139(P2012−236139A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106202(P2011−106202)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000114891)ヤマト科学株式会社 (17)
【Fターム(参考)】