説明

スプレー・ディスペンサ

定量吐出すべき液体を保持するためのコンテナと、前記コンテナから液体を引き出すための定量吐出アセンブリとを備えるスプレー・ディスペンサを提示する。この定量吐出アセンブリは、コンテナ内の超過圧力を解放するための圧力逃がし弁(115)と、フィルタ(105)を介したガスの退出を可能にし、コンテナからの液体の退出を阻止するように、および圧力逃がし弁(115)を介したコンテナ内への汚染物質の進入を阻止するように構成された前記フィルタとを備える。さらに、スプレー・ディスペンサにおいて使用するための定量吐出アセンブリを提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレー・ディスペンサ、特に(しかし非限定的にではあるが)無菌流体の定量吐出において使用するためのスプレー・ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
英国特許第2391862号は、無菌液体を定量吐出するのに有用なディスペンサを開示している。このディスペンサは、トリガ作動式ポンプ構成体を用いることにより液体が定量吐出される折り畳み可能な内方容器と、この内方容器の底部まで延在する浸漬チューブとを備える。内方容器は、剛性外方ボトル内に配置される。液体が、折り畳み可能な容器から定量吐出されると、この容器は、折り畳まれて、定量吐出構成体を介した容器内への空気の進入が可能でないようにする。空気は、内方容器と外方ボトルとの間の空間に進入することが可能である。このようなディスペンサは、ディスペンサを流体で充填し、ディスペンサを気密バッグ内に密封し(およびオプションでこの気密バッグを第2の気密バッグ内に、およびオプションで第3の気密バッグ内に密封し)、次いでディスペンサを照射してディスペンサおよびその内容物を滅菌することにより、滅菌することができる。いくつかの状況においては、照射により、望ましくない副次的作用が生ずる場合がある。例えば、望ましくないことには、照射により、コンテナ内にガスが発生する。このようなガスの発生により、コンテナ内において圧力が上昇することによって、およびコンテナが不十分な材料から作製されることによって、望ましくないことにコンテナが膨張する場合がある。例えば、外方コンテナの底部が、外方に膨張することにより、縦立することのできない丸い底部を持ったボトルが得られる。あるいは、いくつかの脆弱なおそれのある点の中の1つからの漏出が認められる場合があり、定量吐出弁を介した望ましくない漏出が認められる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第2391862号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題の中の1つまたは複数を緩和すること、および/または改良されたスプレー・ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、定量吐出すべき液体を保持するためのコンテナと、前記コンテナから液体を引き出すための定量吐出アセンブリとを備えるスプレー・ディスペンサが提示される。この定量吐出アセンブリは、コンテナ内の超過圧力を解放するための圧力逃がし弁と、ガスがフィルタを介しておよび圧力逃がし弁を介してコンテナから退出し得るように構成されたフィルタとを備え、フィルタは、フィルタを介したコンテナからの液体の退出を阻止する。
【0006】
本発明のスプレー・ディスペンサは、超過圧力(コンテナおよびその内容物を滅菌するためにコンテナ内に収容された液体が照射された場合に生じ得るものなど)の解放を可能にし、前記圧力が解放されると弁が閉じて、コンテナ内への汚染物質の進入を阻止するので、無菌液体の定量吐出に特に適したディスペンサを実現する。さらに、フィルタは、コンテナからの液体の退出を阻止するので、超過圧力がコンテナ内に生じた場合の漏出の可能性が低下する。好ましくは、圧力逃がし弁は、超過圧力がない場合には閉じられることにより、コンテナ内への空気および汚染物質の進入を阻止する。これは、例えばコンテナが折り畳み可能な液体収容部分を備える場合など、コンテナ内に空気を進入させることが望ましくない場合に、特に有利である。
【0007】
本発明のスプレー・ディスペンサにおいて典型的に使用されるフィルタは、やはり典型的には、圧力逃がし弁を介したコンテナ内への汚染物質の進入を阻止する。
【0008】
混同を避けるために、圧力逃がし弁は、定量吐出弁(すなわち使用時に液体がそれを介して定量吐出される弁)ではないことをここに述べておく。本発明のスプレー・ディスペンサは、典型的には、圧力逃がし弁に加えて定量吐出弁を備えることとなる。
【0009】
フィルタは、典型的には、コンテナ内において一般的に上昇する高さの圧力にて、液体の通過を阻止する。これらの圧力は、以下で論じる。
【0010】
フィルタは、ガス透過性かつ液体不透過性であってもよい。
【0011】
フィルタは、充填されたコンテナが滅菌照射を受けた場合に生ずる圧力においては、コンテナ内に保持された液体に対して不透過性を有することが、当業者には理解されよう。典型的な圧力は、1リットルの液体を収容するように設計されたコンテナ内に収容された1リットルのイソプロピルアルコールが、コバルト源より発せられた25kGyのガンマ照射を受けた場合に生ずる圧力である。1リットルの液体の上方の頭隙は、約20〜30mlと推定される。
【0012】
フィルタが液体に対して不透過性であるか否かは、液体がフィルタを透過するか否かを観察することにより、容易に判断することが当業者には可能であろう。
【0013】
液体は、本発明のスプレー・ディスペンサの必須部分ではない(むしろオプションである)ことが、当業者には理解されよう。
【0014】
好ましくは、フィルタは、コンテナの内側と圧力逃がし弁との間のガス流経路中に位置する。あるいは、圧力逃がし弁は、コンテナの内側とフィルタとの間のガス流経路中に位置してもよい。
【0015】
フィルタは、好ましくは、コンテナ内への微粒子の進入を阻止する。フィルタは、蒸気を通過させ得るが、微粒子の通過を阻止する、細孔を備えてもよい。好ましくは、フィルタは、50ミクロン超の、より好ましくは5ミクロン超の、およびさらにより好ましくは0.5ミクロンの平均径を有する粒子の通過を阻止する。これらの細孔は、10ミクロン未満の、好ましくは5ミクロン未満の、より好ましくは1ミクロン未満の、さらにより好ましくは0.3ミクロン未満の平均最大径を有してもよい。あるいは、フィルタは、細孔を実質的に有さなくてもよい。
【0016】
フィルタは、膜を備えてもよい。この膜は、疎水性であってもよく、ポリテトラフルオロエチレンなどの疎水性材料を含んでもよい。あるいは、膜は、疎油性であってもよい。
【0017】
フィルタは、フィルタ・ハウジング内に配置されてもよい。
【0018】
コンテナは、折り畳み可能であってもよい流体収容部分を備えてもよい(例えば、コンテナは、典型的にはプラスチック材料から作製される折り畳み可能バッグを備えてもよい)。コンテナは、コンテナ・シール部形成表面を備えてもよい。スプレー・ディスペンサは、コンテナ・シール部形成表面に対してシール部を形成して、コンテナ内への空気の進入を阻止するための封止部材を備えてもよい。封止部材は、定量吐出アセンブリの一部として設けられてもよい。
【0019】
コンテナは、液体が中から引き出される際に折り畳まれないように十分な剛性を有してもよい。
【0020】
封止部材は、環状であってもよい。
【0021】
コンテナ・シール部形成表面は、カラーによって提供されてもよい。コンテナが、折り畳み可能な流体収容部分を備える場合には、カラーは、流体収容部分よりも高い剛性を有することが好ましい。
【0022】
圧力逃がし弁は、任意の適切な一方向弁を含んでもよい。圧力逃がし弁は、スプリング弁、ダイアフラム弁、バタフライ弁、スイング弁、ボール逆止め弁、またはダックビル弁を含んでもよい。ダックビル弁は、良好な成果をもたらし得るため、好ましい。圧力逃がし弁の作動は、好ましくは、コンテナの内容物を滅菌するために典型的に使用されるガンマ照射により悪影響を被るべきではない。圧力逃がし弁の特徴は、コンテナ内の超過圧力を解放した後に、弁がコンテナ内への空気の進入を防ぐように適切に閉じるように、選択されてもよい。これは、例えばコンテナが折り畳み可能である場合などに、特に好ましい。
【0023】
上述のように、コンテナは、典型的には、25kGyの滅菌線量を受ける。例えば、圧力逃がし弁が、ダックビル弁を含む場合には、ダックビル弁は、滅菌プロセスによって、ダックビル弁が適切に機能しなくなる程度までその特性が影響を被らない材料から作製されるべきである。例えば、ダックビル弁は、照射により著しい影響をその特性が被らないエラストマーから作製することができる。かかるエラストマーの詳細は、当業者には容易に明らかになろう。例えば、かかるエラストマーの詳細は、L.K.Massey編、William Andrew社出版(2004年)の「The effects of sterilization methods on plastics and elastomers:the definitive user’s guide and databook」において見ることができる。
【0024】
このスプレー・ディスペンサは、コンテナへのアクセスを阻止するための、キャップなどの閉鎖手段を備えてもよい。圧力逃がし弁およびフィルタの一方または両方が、この閉鎖手段に対応してもよい。定量吐出アセンブリが、この閉鎖手段を備えてもよい。例えば、閉鎖手段は、圧力逃がし弁およびフィルタの両方を備えてもよい。
【0025】
スプレー・ディスペンサは、好ましくは、コンテナを封入するためのハウジングを備える。ハウジングは、コンテナを支持してもよく、これは、コンテナが折り畳み可能な流体収容部分を備える場合に特に好ましい。閉鎖手段は、それが存在する場合には、ハウジングに対して着脱自在に装着可能であってもよい。これは、閉鎖手段が定量吐出アセンブリの一部として設けられる場合には、特に好ましい。例えば、閉鎖手段は、ハウジング上に設けられた対応する構成と連携することにより、ハウジングに対して閉鎖手段を装着することを可能にする構成を有してもよい。
【0026】
定量吐出アセンブリは、コンテナから流体を定量吐出するために差圧を生じさせるための圧力手段を備えてもよい。定量吐出アセンブリは、トリガ・ポンプ構成体などのアクチュエータを備えてもよい。
【0027】
定量吐出アセンブリは、長尺チューブなどの定量吐出ラインを備えてもよい。
【0028】
定量吐出ラインは、それが存在する場合には、定量吐出ライン封止手段と気密封止係合状態にあってもよい。定量吐出ライン封止手段は、コンテナ内への空気の進入を阻止する。定量吐出ライン封止手段は、上述の封止部材によって提供されてもよい。定量吐出ライン封止手段は、定量吐出アセンブリの一部として設けられてもよい。
【0029】
あるいは、定量吐出ライン封止手段は、別個の構成要素によって提供されてもよい。例えば、定量吐出ライン封止手段は、封止係合において定量吐出ラインを受ける孔を備える有孔プレートの形態であってもよい。有孔プレートは、閉鎖手段(それがある場合)に結合してもよい(および、隣接するか、または近傍に位置してもよい)。
【0030】
定量吐出アセンブリは、定量吐出ラインと、流体を定量吐出するために差圧を生じさせるための圧力手段との一方または両方を備えてもよい。
【0031】
定量吐出アセンブリは、コンテナに取り付け可能であり、オプションでコンテナから取外し可能であってもよい。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様のスプレー・ディスペンサ・アセンブリにおいて使用するための定量吐出アセンブリが提示される。本発明の第2の態様の定量吐出アセンブリは、本発明の第1の態様のスプレー・ディスペンサに関連して上述した特徴を備えてもよい。
【0033】
本発明の第3の態様によれば、コンテナから液体を定量吐出するためにスプレー・ディスペンサにおいて使用するための定量吐出アセンブリが提示される。この定量吐出アセンブリは、定量吐出アセンブリが装着されるコンテナ内の超過圧力を解放するための圧力逃がし弁と、ガスがフィルタを介しておよび圧力逃がし弁を介してコンテナから退出し得るように構成されたフィルタとを備える。このフィルタは、定量吐出アセンブリが装着されるコンテナからの液体のフィルタを介した退出を阻止する。
【0034】
混同を避けるために、圧力逃がし弁は、定量吐出弁(すなわち使用時に液体がそれを介して定量吐出される弁)ではないことをここに述べておく。本発明の定量吐出アセンブリは、典型的には、圧力逃がし弁に加えて定量吐出弁を備えることとなる。
【0035】
この定量吐出アセンブリにおいて典型的に使用されるフィルタは、定量吐出アセンブリが装着されるコンテナ内への汚染物質の進入を阻止することが可能である。
【0036】
本発明の第3の態様の定量吐出アセンブリは、本発明の第1の態様のスプレー・ディスペンサに関連して上述した特徴を備えてもよい。さらに、本発明の第3の態様の定量吐出アセンブリは、本発明の第1の態様のスプレー・ディスペンサにおいて使用するのに適したものであってもよい。
【0037】
例えば、本発明の第3の態様の定量吐出アセンブリは、コンテナへのアクセスを阻止するための閉鎖手段を備えてもよい。この定量吐出アセンブリは、定量吐出孔を備えてもよい。この定量吐出アセンブリは、定量吐出孔と流体連通状態にある定量吐出ラインを備えてもよい。この定量吐出アセンブリは、液体を定量吐出するために差圧を生じさせるための圧力手段を備えてもよい。
【0038】
以下の図面を参照として、専ら例示として本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】公知のディスペンサの一部の分解図である。
【図2】本発明によるディスペンサの一例の一部の側面図である。
【図3】図2に示すディスペンサの一部の斜視図である。
【図4】図2および図3に示すディスペンサの一部の下方からの図である。
【図5】図2から図4のディスペンサの一部の準断面図である。
【図6】圧力逃がし弁およびフィルタを示す、図2から図5のディスペンサの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、英国特許第2391862号に記載されるような、公知のスプレー・ディスペンサの一部の分解図を示す。便宜的に、ここで、この公知のスプレー・ディスペンサの作動を簡単に説明する。公知のスプレー・ディスペンサ1は、凸状底部7を有して形成される、プラスチック材料からなるバッグの形態の可撓性の内方容器6を備える。この内方容器6は、プラスチック材料がカラー8に溶接されるネック領域5を有し、したがって、カラー8の外周部の周囲に、環状溶接部10が形成される。栓12が、カラー8の中に挿入され、したがって、栓とカラーとの間にシール部が形成される。浸漬チューブ(図1において破線9として示す)が、栓12の孔を介して容器6内に挿入され、浸漬チューブ9と栓12との間にシール部が、浸漬チューブの直径および栓の弾性特性によって形成される。内方容器6は、そこから定量吐出すべき液体(図示せず)を備える。内方容器6は、実質的に剛性で、概して円筒状のプラスチック・ボトル2の形態の外方容器によって支持される。プラスチック・ボトル2は、カラー8上に設けられた環状リップ14に当接し、したがって、内方容器6に対する支持を与える。プラスチック・ボトル2は、プラスチック・ボトル内および内方容器6を囲むスペース内に空気が進入するのを促進する孔16を備える。
【0041】
浸漬チューブ9は、トリガ・アセンブリ(図示せず)と結合させる。先行技術のデバイスにおいて用いられるトリガ・アセンブリは、公知のトリガ作動式圧力ポンプ構成体と概して一致する。トリガ・アセンブリを作動させることにより、差圧が生じ、この差圧により、液体が浸漬チューブに沿って引き込まれ、この液体が噴霧として定量吐出される。栓およびトリガ構成体のこの構成により、排気または背圧によって、周囲空気が折り畳み可能なコンテナ内に引き込まれなくなる。これにより、外部汚染物質による容器6の内容物の汚染が防止される。内方容器6は、液体が定量吐出される際に折り畳まれるため、可撓性の内方容器には背圧が殆どまたは全くない。孔16により、容器6が折り畳まれる際にプラスチック・ボトル2の内方壁部と容器6との間における部分真空の生成が防止される。
【0042】
次に、図2から図6を参照として、本発明によるディスペンサの一例を説明する。このディスペンサは、先行技術に関連して上述したものと同様の、および英国特許第2391862号に記載されるような、折り畳み可能な内方容器(図示せず)を備える。さらに、このディスペンサは、ボトルの形態の実質的に剛性のハウジング(図示せず)を備える。ボトルは、先行技術に関連して上述したものと非常に酷似した、および英国特許第2391862号に記載されるようなものである。英国特許第2391862号の折り畳み可能な内方容器および剛性ボトルは、別個に製造されたが、本発明のスプレー・ディスペンサの例の折り畳み可能な内方容器および剛性ボトルは、単一の共押出ブロー成形プロセスを利用して作製される。折り畳み可能な内方容器および剛性ボトルのこの共押出成形される構成体は、SteriShield Delivery System(Shield Medicare Limited社、英国Farnham在)の一部として市販されている。このSteriShield System中の内方容器は、剛性ボトルのカラーとは別個のカラーを有さない。
【0043】
本発明のディスペンサは、折り畳み可能コンテナ(図示せず)の底部からディスペンサ・ヘッド(102)内に延在する浸漬チューブ(101)を備える。浸漬チューブ(101)は、プレート(103)中の孔(図示せず)を介してキャップ(106)を貫通する。浸漬チューブ(101)は、この孔(図示せず)にてプレート(103)と封止係合状態にあることにより、液体コンテナ内に空気が進入するのを阻止する。浸漬チューブ(101)は、ディスペンサ・チャネル(118)と流体連通状態にある。ディスペンサ・チャネル(118)は、ボール弁(108)を備え、このボール弁(108)の作動は、以下で説明する。ディスペンサ・チャネル(118)は、一方の端部にノズル(109)を有するディスペンサ・チャネル(119)と流体連通状態にある。ノズル(109)は、流体の噴霧定量吐出のためのノズル孔(110)と、噴霧制御部材(111)とを備える。噴霧制御部材(111)が、ノズル孔(110)に対して取り付けられることにより、前記部材は、当業者には周知のようにディスペンサから発せられる噴霧を制御するように作動可能となる。このスプレー・ディスペンサは、ピストン(113)と結合されるトリガ(112)をさらに備える。ばね(114)が、ピストンおよびトリガを前方位置へと付勢する。
【0044】
液体は、基本的には先行技術のディスペンサに関連して上述したようにディスペンサから定量吐出される。トリガ(112)を引くことにより、液体は噴霧としてディスペンサからポンプ送出される。トリガを解放すると、ばね114は、ピストン113を前方位置に追いやる。これにより、液体は、浸漬チューブ(101)内を上方に追いやられて、次の噴霧ストローク時に定量吐出されることが可能な状態となる。ボール弁(108)は、流体流が、定量吐出のために浸漬チューブ(101)内を上方にディスペンサ・ヘッド(102)内へと進むことが可能となるように作動するが、浸漬チューブ(101)を介したコンテナ内への汚染物質の進入を阻止する。
【0045】
浸漬チューブ(101)および封止部材(107)の構成は、先行技術に関連して図1において上記に示したものとは若干異なる。封止部材(107)は、使用時にボトル(図示せず)のネックの環状の最上表面に係合してシール部を形成する環状ワッシャを備える。
【0046】
次に、圧力逃がし弁およびフィルタの構成および作動を説明する。通気口(104)が、プレート(103)中に設けられる。通気口(104)は、圧力逃がし弁(115)およびフィルタ(105)とガス流連通状態にあり、フィルタは、通気口(104)と圧力逃がし弁(115)との間のガス流経路中に位置する。フィルタ(105)は、取扱いの容易さを促進するためにフィルタ・ハウジング(116)内に配置される。フィルタは、0.2ミクロンの細孔を有する疎水性材料からなる膜(Gore(登録商標)膜、W.L.Gore and Associates社、米国Newark在)である。フィルタ・ハウジング(116)は、弁ハウジング(117)内に形成されるスペース内に配置される。かかる構成により、弁に対するフィルタの配置の容易さが促進される。圧力逃がし弁115は、弁ハウジング117の2つのパーツ117a、117bにより定位置に効果的に捕獲されるダックビル弁である。次に、圧力逃がし弁115の作動を簡単に説明する。圧力逃がし弁115は、2つの弾性変形可能なリップ120、121を備える。これらのリップは、初期状態においては、互いに対して付勢されて閉状態になり、したがって空気および汚染物質がコンテナ内に進入するのを阻止する。コンテナ内に超過圧力が生じた場合には、リップ120、121は、離れる方向に付勢されて、この超過圧力に関与するガスが、弁孔122を介して容器から退出し、このようにして圧力が解放される。したがって、この一方向弁115により、超過圧力に関与するガスの退出が可能となり、超過圧力がない場合には、この弁115は当然ながら閉じるため、コンテナ内への空気および汚染物質の進入が阻止される。ダックビル弁は、最低背圧が印加された場合の逆流漏れを防ぐエラストマーから作製される。さらに、このエラストマーは、コンテナおよびその内容物を滅菌するために用いられるガンマ照射に対しても弾性力を有する。ダックビル弁は、穴の中に容易に設置および封止され得るという利点をさらに有する。弁の特性(例えば弁が開いて圧力を解放する際の差圧、および弁が閉じる際の背圧など)が、エラストマーの厚さ、弁の形状、および弁を作製するためのエラストマーを変更することにより、容易に最適化され得ることが、当業者には理解されよう。
【0047】
フィルタ105は、汚染物質の進入に対するさらなる保護をもたらし、超過圧力により発生する蒸気の通過をさらに可能にもするが、フィルタは、フィルタを介したコンテナからの液体の退出を防ぐ。フィルタは、有利には、弁と容器の内容物との間の流れ経路中に配置される。フィルタと容器の内容物との間の流れ経路中に弁を配置することが可能ではあるが、これは、フィルタが目詰まりを生じやすくなるおそれがあり、それにより超過圧力時の蒸気の退出が妨げられるおそれがあるため、望ましくはない。
【0048】
本発明は、上述のタイプのディスペンサ(すなわち定量吐出機構に対して封止された折り畳み可能な容器を備えるもの)に限定されないことが、当業者には理解されよう。
【0049】
さらに、本発明は、上記の例に示される特定のタイプの弁に限定されないことが、当業者には理解されよう。例えば、ばね付勢される圧力逃がし弁またはリード弁を使用してもよい。
【0050】
トリガ以外のアクチュエータを使用してもよいことが、当業者には明らかであろう。例えば、ボタン等を使用してもよい。
【0051】
先述の説明において、公知の、自明の、または予測可能な均等物を有する完全体または要素が述べられる場合には、かかる均等物は、個別に示したものとして本明細書に組み込まれる。本発明の真の範囲を決定するためには、特許請求の範囲を参照すべきであり、かかる特許請求の範囲は、あらゆるかかる均等物を包含するように解釈されるべきである。さらに、好ましいもの、有利なもの、または好都合なもの等として説明した本発明の完全体または特徴は、オプションであり、独立請求項の範囲を限定するものではないことが、読者には理解されよう。
【符号の説明】
【0052】
1 スプレー・ディスペンサ
2 プラスチック・ボトル
5 ネック領域
6 内方容器
7 凸状底部
8 カラー
9 浸漬チューブ
10 環状溶接部
12 栓
14 環状リップ
16 孔
101 浸漬チューブ
102 ディスペンサ・ヘッド
103 プレート
104 通気口
105 フィルタ
106 キャップ
107 封止部材
108 ボール弁
109 ノズル
110 ノズル孔
111 噴霧制御部材
112 トリガ
113 ピストン
114 ばね
115 圧力逃がし弁
116 フィルタ・ハウジング
117 弁ハウジング
117a パーツ
117b パーツ
118 ディスペンサ・チャネル
119 ディスペンサ・チャネル
120 リップ
121 リップ
122 弁孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量吐出すべき液体を保持するためのコンテナと、前記コンテナから液体を引き出すための定量吐出アセンブリとを備えるスプレー・ディスペンサであって、前記定量吐出アセンブリは、前記コンテナ内の超過圧力を解放するための圧力逃がし弁と、ガスがフィルタを介しておよび前記圧力逃がし弁を介して前記コンテナから退出し得るように構成された前記フィルタとを備え、前記フィルタは、前記フィルタを介した前記コンテナからの液体の退出を阻止し、前記圧力逃がし弁は、超過圧力がない場合には閉じられることにより、前記コンテナ内への空気および汚染物質の進入を阻止する、スプレー・ディスペンサにおいて、
前記フィルタは、前記コンテナの内側と前記圧力逃がし弁との間のガス流経路中に位置し、または
前記圧力逃がし弁は、前記コンテナの前記内側と前記フィルタとの間のガス流経路中に位置する、スプレー・ディスペンサ。
【請求項2】
前記フィルタは、前記コンテナ内への微粒子の進入を阻止する、請求項1に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項3】
前記フィルタは、ガスの通過を可能にするが、微粒子の通過を阻止する細孔を備える、請求項2に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項4】
前記フィルタは、フィルタ・ハウジング内に配置される、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項5】
前記コンテナは、折り畳み可能な流体収容部分を備える、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項6】
前記コンテナは、前記流体収容部分よりも高い剛性を有するカラーを備える、請求項5に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項7】
前記コンテナは、コンテナ・シール部形成表面を備え、前記スプレー・ディスペンサは、前記コンテナ・シール部形成表面に対してシール部を形成して、前記コンテナ内への空気の進入を阻止するための封止部材を備える、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項8】
前記ディスペンサ・アセンブリは、前記封止部材を備える、請求項7に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項9】
前記封止部材は、環状である、請求項7または請求項8に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項10】
前記圧力逃がし弁は、ダイアフラム弁、スプリング弁、バタフライ弁、スイング弁、ボール逆止め弁、またはダックビル弁を含む、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項11】
前記スプレー・ディスペンサは、前記コンテナへのアクセスを阻止するための閉鎖手段を備える、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項12】
前記定量吐出アセンブリは、前記閉鎖手段を備える、請求項11に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項13】
前記閉鎖手段は、前記圧力逃がし弁および前記フィルタの両方を備える、請求項11または請求項12に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項14】
前記コンテナを封入するためのハウジングを備える、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項15】
前記ハウジングは、前記コンテナを支持する、請求項14に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項16】
前記閉鎖手段は、前記ハウジングに着脱自在に装着可能である、請求項11から13のいずれか一項に従属する場合の請求項14または請求項15のいずれか一項に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項17】
前記定量吐出アセンブリは、前記コンテナから流体を定量吐出するために差圧を生じさせるための圧力手段を備える、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項18】
前記定量吐出アセンブリは、定量吐出ラインを備える、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項19】
前記定量吐出ラインは、定量吐出ライン封止手段と気密封止係合状態にある、請求項18に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項20】
前記定量吐出ライン封止手段は、有孔プレートの形態であり、前記プレートは、封止係合において前記定量吐出ラインを受ける孔を備える、請求項19に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項21】
前記有孔プレートは、前記閉鎖手段に結合されている、請求項12または請求項13に従属する場合の請求項20に記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項22】
前記定量吐出アセンブリは、前記コンテナに取り付け可能であり、前記コンテナから取外し可能である、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項23】
前記フィルタは、疎水性膜を備える、前記請求項のいずれかに記載のスプレー・ディスペンサ。
【請求項24】
前記請求項のいずれかに記載の前記スプレー・ディスペンサ・アセンブリにおいて使用するための定量吐出アセンブリ。
【請求項25】
コンテナから液体を定量吐出するためにスプレー・ディスペンサにおいて使用するための定量吐出アセンブリであって、前記定量吐出アセンブリが装着されるコンテナ内の超過圧力を解放するための圧力逃がし弁と、ガスがフィルタを介しておよび前記圧力逃がし弁を介して前記コンテナから退出し得るように構成された前記フィルタとを備え、前記フィルタは、前記定量吐出アセンブリが装着されるコンテナからの液体の退出を阻止し、前記圧力逃がし弁は、前記定量吐出アセンブリが装着されるコンテナ内に超過圧力がない場合には閉じられることにより、前記定量吐出アセンブリが装着されるコンテナ内への空気および汚染物質の進入を阻止する、定量吐出アセンブリにおいて、
前記フィルタは、前記定量吐出アセンブリが装着される前記コンテナの内側と前記圧力逃がし弁との間のガス流経路中に位置し、または
前記圧力逃がし弁は、前記定量吐出アセンブリが装着される前記コンテナの前記内側と前記フィルタとの間のガス流経路中に位置する、定量吐出アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−508231(P2013−508231A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534776(P2012−534776)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051761
【国際公開番号】WO2011/048411
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512102254)ロンドン・アンド・ジェネラル・パッケージング・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】