説明

スプレー塗布装置

反応混合物の成分を収容し、混合し且つ開放するスプレー塗布装置であって、塗布装置は混合物の第1成分を収容する第1収容部と、混合物の別の成分を開放可能に収容する少なくとも1個の第2収容部を有する。少なくとも1個の第2収容部の各々は、第2成分が第1成分と別々に保有される第1非混合状態と、第2収容部が第1成分と混合するために第2成分を開放する第2混合状態の間で移動可能とされる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスプレー塗布装置に関し、とりわけエアゾール塗料スプレー缶の一般的な例である加圧式スプレー塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スプレー塗布装置は塗料及び接着剤の用途において幅広く使用されている。
塗料は一般的に4個の成分、即ち顔料、バインダ、溶媒/液体キャリア及び添加剤から構成される。ワニスは透明又は半透明膜を形成するものであり、後の3個の成分から構成される。着色ワニスは少量の顔料を含む。スプレー接着剤は一般的にバインダ及びキャリアから構成されるが、1個又は複数の添加剤も含んでもよい。
【0003】
・顔料は色及び隠ぺい力/カバー力を与えるものであり、固形粒子が微細に分散させられている。幾つかの場合では、顔料は錆止め等の保護特性を付与すると共に光沢度を制御するために使用され得る。
【0004】
・バインダは膜を形成する材料であり、基板を保護すると共に、顔料を所定位置において均等に分散された状態で保持する。バインダは単一のポリマー又はポリマーの組み合わせから構成できる。バインダは溶媒に溶解されてもよく、或いは水中おいて乳剤又はコロイド分散体の形態をなす。この結果、溶媒性塗料及び水性塗料が夫々得られる。
【0005】
・溶媒/液体キャリアは被覆剤の用途を実施するために使用される。溶媒/液体キャリアは水又は有機溶媒、或いはそれらの混合物であり、且つ塗料又はワニスを薄め、その塗料又はワニスがはけで塗られ、スプレー塗布され、浸漬され、或いは延ばされるのを可能にする。一旦基板上で溶媒が蒸発すると、乾燥膜被覆剤が残る。「液体キャリア」という用語は、液体はバインダの本当の溶媒ではないので好ましい。
【0006】
・添加剤は膜又は塗料を改質するために少量使用される。一例には幾つかの被覆剤の乾燥時間を推進する乾燥剤、滑らかな表面にする流れ調整剤、膜状に乾燥し得る気泡の形成を阻止する脱泡剤、及び塗料が缶内で「表皮」を形成するのを阻止する皮張り防止剤がある。
【0007】
塗料の製造及び缶詰が使用のために開けられる日の間は長期間となるかもしれない。従って塗料は缶の中で安定状態のままでなければならなく、且つ貯蔵状態では成分は相互に化学反応してはならない。幾つかの塗料は化学反応によってではなく、液体キャリアの蒸発によってのみ乾燥する。幾つかの場合では、ポリマーは液体状態で完全に形成されず、且つ乾燥中に化学的に変化しない。
【0008】
化学反応によって「乾燥する」塗料は直線状(又は軽度に分枝されている)ポリマー、或いは不溶性架橋ネットワークを形成するべく乾燥又は硬化中に反応する単一モノマーである。これは2つの方法によって生じる。
【0009】
・空気中における酸素又は水との反応。油性装飾グロス又はエッグシェル仕上げ剤等の幾つかの塗料は、不飽和結合剤を含む天然又は合成油を含む。空気からの酸素は自由基を生成し且つ重合化を促進するために反応し得る。イソシアネート基(−NCO)を含む幾つかの塗料は重縮合により空気中の水と反応し得る。空気は締り嵌め蓋により缶から締め出されなければならず、さもなければ缶の中に皮が形成する。空気との化学反応は、室温では膜の肥厚の減速効果に起因して比較的遅い。反応は被覆剤が乾燥してきた後も長期に
亘り継続し、膜の特性が変化する。
【0010】
・被覆剤構成成分間の反応。被覆剤が塗布される必要があるまで反応種は離間した状態で維持され、或いは選択された構成成分が高温でのみ反応するように選択され得る。前者の場合、「二液型」塗料は使用不能な粘性を生じさせるように反応する前に、「可使時間」が制限される。例としてはエポキシ−アミン及びイソシアネート−ポリオール系がある。焼付エナメル及び粉体被覆剤は、反応が熱の影響を受ける例である。
【0011】
エポキシ系としても知られている二液系において、2個の成分が混合された時には単一の液の単なる「乾燥又は蒸発」系ではなく、成分間に化学反応が存在するように二液系は硬化剤を含むので、塗料又は接着剤はとりわけ硬く又は強い。
【0012】
二液系は2つの成分の混合制御が困難であり、また一旦2つの成分が混合されたら「可使時間」が制限されるので、スプレー塗布装置でこれまで販売されているとしても稀である。
【0013】
例えば、アミン硬化二液エポキシ製品において、エポキシの活性部位(部分Aのエポキシ環)は化学結合を形成するように、硬化剤の活性部位(部分Bのアミノ基)と反応する。所定の配合では、利用可能な幾らかのこれらの部位が存在し、且つその目的はこれらを精確に適合させて不足又は余剰がないようにすることである。
【0014】
過剰な硬化剤が使用される(多くのアミン部位がある)ならば、硬化剤は確かにエポキシを硬化させるが、例えば水蒸気、空気及び他の化学物質と接触する他の物質と反応したままのアミンが残される。反対に、十分に使用されない(多くのエポキシ部位がある)ならば、エポキシは完全に硬化されずにやわらかいままであり、また化学的攻撃に弱い。硬くまた強く、化学抵抗性及び耐磨耗性を有する製品をなし遂げる唯一の方法は、これらの量を精確に調和させることにある。スプレー塗布装置システムでは1個又は他の成分を保有する容器が混合物を塗布するために加圧されるので、問題が悪化する。その密封性質に起因して、使用者は所望する混合程度が生じているかを確信し得ない。これはまた、キャリア又は他の成分が沈殿している間に分離させられる時には、簡易な一液系においても問題である。
【0015】
従来のシステムでは、密封式塗布装置での成分の混合は一般的に、缶を使用前に勢い良く振ることにより達成される。しかしながら振り混ぜが停止した直後に、成分は時には極めて迅速に沈殿し始める。これはまた、塗布されるワークの調整準備のために塗布が中止する時にも生じる。
【0016】
従来技術における一つの混合促進方法では、混合ビーズ又は同様なものを供給していた。ビーズは単に混合を促進する物理的障害物である。多成分混合物に含まれる成分をより効果的に保有及び混合するスプレー塗布装置を有することにより、上記問題点の幾つかを低減させ或いは少なくとも部分的に克服するのであれば有利である。
【0017】
当然のことながら、従来技術の発行物がここに参照されるならば、その参照は、発行物がオーストラリア国又は他のいかなる国における当該技術分野の共通の一般知識の一部を形成するという容認を構成するものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上述した問題点の少なくとも1個を少なくとも部分的に克服し、或いは消費者に便利な又は商業的な選択を提供するスプレー塗布装置に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
一形態において、本発明は反応混合物を収容、混合及び開放するスプレー塗布装置にある。塗布装置は、
■.混合物の第1成分を収容する第1収容部と、
ii.混合物の別の成分を開放可能に収容する少なくとも1個の第2収容部と
を有し、
少なくとも1個の第2収容部の各々は、第2成分が第1成分と別々に保有される第1非混合状態と、第1成分と混合するために第2収容部が第2成分を開放する第2混合状態の間で作動可能である。
【0020】
本発明はいかなる多成分混合物を収容、混合及び散布するために使用できる。本発明はとりわけ、多成分反応混合物、特に二液型(エポキシ)塗料又は樹脂及びエポキシ接着剤等の被覆剤での使用に向けられる。別の成分は硬化可能な混合物を形成するために第1成分と反応する触媒又は化学的トリガであってよい。塗布装置は噴射剤及び製品を有するいかなる混合物にも使用できるが、とりわけ成分が相互に反応し、従って実際に使用されるまで別々に保有されなければならない混合物に適している。
【0021】
塗布装置は概して、一般的にエアゾールとして一般に呼ばれている圧縮スプレー塗布装置である。エアゾールは概して図1に示すような幾つかの構成要素から構成される。即ち、
・エアゾール缶即ち容器;
・製品;
・噴射剤;
・弁;
・浸漬管;及び
・アクチュエータ。
【0022】
本発明のスプレー塗布装置は上記の構成要素を有する。
噴射剤は室温よりかなり低温で沸騰する流体であり、製品はかなり高い温度で沸騰する流体である。製品は使用者が実際に散布するのを所望する物質であり、噴射剤は製品を缶の外へ出す手段である。両方の流体は概して密封金属缶に貯蔵される。
【0023】
エアゾール装置を構成する主な方法は2つあり、いずれかの方法が本発明に使用できる。より簡単な構成では、液体製品は容器内に注入される。容器は次に密封され、次に気体噴射剤が弁装置を介して容器内へ送り込まれる。ガスは高圧で送り込まれてもよく、それ故、ガスは液体製品を押し下げる。本装置は図1に示される。
【0024】
本容器において、プラスチック製管は缶の底部から缶の上端の弁装置まで上へ延出する。弁は一般的に小型の押し下げ可能な頭片を有し、頭片はその頭片を貫通する細導管を備える。導管は頭片の底部付近の入口から上端の小ノズルへ延出する。ばねは頭片を押し上げ、従って導管入口は密封シールによって遮断される。
【0025】
頭片が押し下げられた時に、入口はシールの下へ摺動し、缶の内部から外部への通路が開放する。高圧噴射剤ガスは液体製品をプラスチック管の上へ、更にノズルを通り外へ追いやる。細ノズルは微細スプレーを形成する液体流を霧化するのに役立つ。
【0026】
より人気のある装置では、噴射剤が液化ガスであると共に、噴射剤は高圧に圧縮された時にその沸点よりもかなり高温に維持されたとしても、概して液体の形態をなす。
製品は室温で液体であるので、缶が密封される前に簡単に注入される。他方、噴射剤は
缶が密封された後に高圧で送り込まれなければならない。噴射剤は十分高圧な状態に維持されている時には、膨張して気体になり得ない。噴射剤は圧力が維持されている限り液体形態のままである。
【0027】
図2に示すように、液化ガス装置の実際の缶構成は、圧縮ガス装置の缶構成と精確に同じである。しかしながら、装置の機能は作動させられた時に僅かに相違する。
弁が開放した時に、液体噴射剤の圧力は低減される。より低圧で、噴射剤は沸騰し始める。粒子が自由になり、容器の上端にはガス層が形成される。この圧縮ガス層は液体製品を液体噴射剤の幾らかと共に管の上へ、ノズルまで押し上げる。スプレー塗料缶等の幾つかの容器は内部にボール軸受けを有する。使用者が缶を振れば、からから鳴るボール軸受けが噴射剤及び製品の混合を助け、製品は微細霧となって押し出される。
【0028】
液体がノズルを通り流出する時には、噴射剤は迅速に膨張して気体になり、製品を霧状にする。
本発明により開示されるようなスプレー塗布装置は概してエアゾール缶であり、第1収容部は好適にはブリキ板鋼又はアルミニウムから普通は形成される缶自体である。
【0029】
第1収容部は、一般的には3個の構成要素、即ち弁開口を含む上端と本体と底部から形成される缶と概ね呼ばれるものである。3片缶は概ねブリキ板から製造される。2片缶もまた周知であることから使用されてもよい。アルミニウム缶はアルミニウム金属の単一片から形成できる。
【0030】
エアゾール缶を形成するために使用される材料は、アルミニウムは別として、概して低炭素軟鋼板であり、電着により塗布される錫が被覆される。エアゾール缶を形成するために使用される板の厚みは、缶の寸法、圧力仕様、及びそれが缶本体のためであるか或いは端部構成要素のためであるかによって変わる。缶本体では、厚みは概して0.18ミリメートルから0.25ミリメートルの範囲にあり、上端/底部では、厚みは概して0.28ミリメートルから0.43ミリメートルの範囲にある。
【0031】
一般的に、缶の中には液体を収容しない幾らかの頭部空間が常にある。エアゾールが圧力下にあるので、同様な全ての状況下で、噴射剤が占有する十分な空間がなければならない。頭部空間の量は空気等の圧縮ガスが使用される時には、この噴射剤は液化噴射剤の圧力よりも高圧で作用するので、より大きい。
【0032】
缶の上部は概ね楕円形状であり、弁及び浸漬管の配置のために上端に開口を備える。缶本体は概ね円柱形状であるが、いかなる形状であってもよい。殆どのエアゾール缶において、底部は半球状又は円環面体状であり、且つ内方に湾曲する。これは2つの機能を果たす。
【0033】
先ず、この形状は缶の構造を強化する。この形状を伴うことで、湾曲金属の上端に付与される殆どの力は缶の頑丈な周縁に分散される。缶の底部には開口が設けられる。開口は適切に缶の外側から缶の内部への連通を可能にする。
【0034】
開口には、第2成分が第1成分と別々に保有される第1非混合状態と、第2混合状態の間で第2収容部を移動させる駆動手段が設けられる。開口は概ね、缶の中のいかなる物質も缶から開口を通り流出し得ず、設けられたノズルを通り缶から流出しなければならないように、缶の底部において適当に密封される。
【0035】
またその形状により、製品全てがより簡単に使い尽くされる。湾曲状底部構成を伴うことで、全ての製品が缶の周縁周りの小さな部分に集まる。これにより、殆ど全ての液体が
より簡単に空になる。
【0036】
上述したように、第1収容部は好適には缶自体である。第1成分は適切には散布される製品であり、より好適には反応混合物の構成成分である。第1成分は単一の構成成分であり、より好適には1よりも多い成分自体の混合物である。
【0037】
好適には、第2収容部は第1収容部の下側部分へ向けて位置決めできる。第2収容部は混合物の別の成分を収容する。別の成分は好適には反応混合物の別の構成成分である。第1成分と同様に、別の成分は単一の構成成分であり、より好適には1よりも多い成分自体の混合物である。
【0038】
本発明の本態様の特に好適な実施形態において、第1収容部は缶であり、第2収容部は缶の底部と適切に結合される。
第2収容部は適切にはパウチ又は袋であると共に、缶の底部に当接し又は載置するように位置決めされる。パウチ又は袋は適切には平坦な環形状である。パウチ又は袋はまたその中心部に設けられた開口を有する。位置決めを助けると共に、好適にはパウチ又は袋を所定位置に固定するのを助ける位置決め部が設けられる。位置決め部は適切には、パウチ又は袋が載置する位置決め突起又は凹部である。パウチ又は袋の開口は、第1収容部の底部のいずれかの壁と結合する位置決め突起と嵌合するように設けられる。一旦パウチ又は袋が位置決め部と相対的に位置決めされると、放出部材がパウチ又は袋と結合される。
【0039】
バッグ又は袋は破裂可能にできる。別の成分を開放するためにパウチ又は袋を破裂させるのは、いかなる方法によって行われてもよい。しかしながら、パウチ又は袋を破裂させる特定の好適な一方法は、パウチ又は袋を破裂させる放出部材を使用することである。
【0040】
適切には、放出部材は位置決め突起と相対的に取り付けできる。放出部材は、缶の底部形状と少なくとも部分的に一致するように、少なくとも部分的に弓形形状にできる。放出部材は適切には第2収容部の寸法と略同じ寸法である。このようにして、放出部材は実質的な力を第2収容部へ作用させ、これにより別の成分の放出効果が増大する。
【0041】
概ねパウチ又は袋が放出部材及び缶底部の間にある状態で放出部材が缶の底部から離間させられた第1状態と、概ねパウチ又は袋が放出部材及び缶底部の間にある状態で放出部材が缶底部へ向けて押し付けられることにより、別の成分をパウチ又は袋から強制的に放出させる第2状態の間で放出部材を移動させるように、放出部材は駆動手段と結合できる。
【0042】
位置決め部は缶の底部から上方へ延在する管状部である。本発明の本態様の特定の好適な形態に係り設けられる駆動手段は、管状位置決め部まで延在する突部を有する放出部材を含む。突部は適切にはねじ入れられる。対応するようにねじ入れられる外側から接近可能な把持手段が設けられると共に、突部と連結できる。把持手段は適切には、缶が直立形態にある時にバランスに影響を及ぼす距離だけ缶の底部から延在していない。
【0043】
把持手段の回転によって、突部は缶の底部へ向けて引っ張られ、放出部材が缶の底部へ向けて移動する。これにより、圧力又は圧縮力がパウチ又は袋及びその中の流体に作用すると共に、パウチ又は袋が第1状態から第2状態へ強いられる。この圧縮力により、パウチ又は袋が破裂させられると共に、第2成分が第1収容部内へ開放される。或いは、パウチ又は袋の破裂を伴い、第1成分が第2収容部へ流入してもよい。
【0044】
従ってこの放出部材は、第2成分が第1成分とは別々に保有される第1非混合状態と、第2収容部が第1成分と混合させるために第2成分を開放する第2混合状態の間でパウチ
又は袋を移動させる。
【0045】
上述したように、これは使用される手段の中の一つに過ぎず、同等の効果を伴う他の手段も使用できる。例えば、パウチ又は袋を圧縮し且つ破裂させるために、パウチ又は袋は少なくとも部分的に2個の圧縮部材の間に設けられ、圧縮部材の間に開口が設けられてもよい。ねじ込み手段はパウチ又は袋を開口を通して引っ張ることにより、パウチ又は袋内の流体をパウチ又は袋が破裂させられる点まで圧縮させるように設けられる。放出部材の移動はねじ込み移動と反対の単一の移動である。把持手段のねじ移動に代えて、レバーが使用されてもよい。第2収容部はパウチ又は袋である必要はない。
【0046】
第2形態において、本発明はスプレー塗布装置にある。本塗布装置は、
■.塗布される少なくとも1個の流体を収容する少なくとも1個の容器と、容器の1個は少なくとも1個の流体を攪拌する内部攪拌手段を有しており、
ii.攪拌手段から分離しているが攪拌手段と係合可能な駆動手段とを有し、駆動手段は攪拌手段を容器内で駆動するように攪拌手段と磁気的に係合するように構成される。
【0047】
塗布される流体は構成成分の混合物であってよい。容器はまた、塗布される流体を容器から放出させるのを助け、或いは強制的に行う噴射剤を含む。ここに説明する容器及び駆動手段の構成は、本発明の第1態様とも組み合わせるように設けられてよい。
【0048】
容器は概して、本発明の第1態様を参照して説明したような缶であると共に、上述した圧縮ガス型または液化ガス型のいずれであってもよい。
少なくとも1個の流体を攪拌する内部攪拌手段は、攪拌を行うように構成されるいかなる構成を有してもよく、攪拌手段はまた混合手段であってもよい。少なくとも1個の流体は単一の構成成分であり、より好適には1よりも多い構成成分自体の混合物であってよい。攪拌手段はまた、本発明の第1態様を参照して上述したような多成分構成要素をより徹底的に混合するように機能する。
【0049】
最も好適な形態における攪拌手段は羽根車である。或いは、それ程好ましくはないが攪拌手段として実行可能な代替手段は、通常のエアゾール缶に見られるようなものと同様な混合ビーズ、或いは往復動攪拌手段である。
【0050】
羽根車が設けられる場合には、羽根車は缶の中で回転可能であると共に、一般的には缶の長手軸と同一でない場合には平行な軸の周りを回転する。羽根車は適切には缶の下側部分に、最も好適には缶の底部付近に取り付けられる。羽根車は取り付け台、概して位置決め部と相対的に取り付けできる。位置決め部は缶の底部から上方に延出する突起であり、或いは同等的な凹部等であってもよい。
【0051】
適切には、羽根車は位置決め突起と相対的に取り付けできる。羽根車の取り付けは一般的には、良好な分散攪拌を提供するように、半径方向の中心に位置決めされる。羽根車は缶底部の形状と少なくとも部分的に一致するように、少なくとも部分的に弓形形状であってよい。羽根車は適切には缶底部の寸法と略同じ寸法である。
【0052】
羽根車は一般的には、攪拌効率を向上させるために、1個以上の羽根を有する。1個以上の羽根は缶の中における多方向攪拌を促進し或いは実施するために、特定のピッチを有することができる。特定の好適な実施形態によれば、羽根車は本体を含み、位置決め突起と相対的に取り付けるために本体を貫通する通路を備えると共に、缶の長手方向に対して角度をなす少なくとも1個のタービン面を備える。
【0053】
本体部は適切には、缶底部の形状と少なくとも部分的に一致するように、少なくとも部
分的に弓形形状にできる。
駆動手段は容器の外部に設けられると共に、攪拌手段は缶の内部に設けられる。これにより容器はノズルから離れて完全に密封され得、塗布される少なくとも1個の流体の流出が可能にされるが、塗布される少なくとも1個の流体の完全な攪拌が可能になるように構成される配置をも提供される。
【0054】
駆動手段は好適には回転子等であり得る。回転子は適切には、缶底部の形状と少なくとも部分的に一致するように、少なくとも部分的に整形される。回転子は少なくとも部分的に環状であり、略中心に位置決めされ、回転子を貫通する開口を備える。回転子の環状部は断面が弓形であり得る。開口はどのような寸法であってもよく、例えば開口は、本発明の第1態様に関して説明したような缶底部の把持手段が収容されるようにできる。
【0055】
回転子は適切には、回転子及び缶底部の外面の間に最小限の離間距離を伴うように、缶底部から僅かに離れて取り付けられる。回転子は一般的には、内部に取り付けられる攪拌手段に一致するように、半径方向の中心に位置決めされる。
【0056】
回転子はその名称が示唆するように、一般的には回転する。回転はいかなる手段によりもたらされてもよいが、代替手段としては小型モータ等、クランク又はハンドル等による手動駆動回転、或いは巻回及び開放され得るコイルばね等のエネルギ貯留機器を使用してもよい。
【0057】
本発明の特定の好適な実施形態によれば、開口が形成されたハウジングが備えられる。開口は少なくとも缶底部、好ましくは缶の下側部分を収容するように適切に寸法が決められる。開口は缶を更に支持する少なくとも1個の側壁により画定される凹部の形状をなし得る。
【0058】
適切には、回転子は凹部と結合できる。好適には、缶が凹部に配置された時に回転子が缶底部から僅かに離間するように、回転子は凹部に位置決めされる。回転子は次に、羽根車の或いはビーズ等の形態であれ、攪拌手段を駆動するように機能する。回転子はモータ等の回転子を回転させる手段に結合され得る。モータが設けられる場合には、モータはバッテリ又は主動力源への回路等のモータに結合される適当な動力源を有することができる。作動スイッチ等のハウジング及び回転子に結合される補助手段も設けられてよい。
【0059】
上述したように、駆動手段は或いは往復動駆動手段であると共に、往復動攪拌部材と結合され得る。往復動攪拌部材は容器の中で往復動する部材のように単純なものであり得る。駆動手段はまた、回転しつつ往復動できる。例えば、往復動部材は本体を含むと共に、部材が缶の中で往復動するにつれて洗浄機器へ回転力を付与するように角度をなす少なくとも1個のタービン面を含む。
【0060】
駆動手段はその形状とは無関係に攪拌手段から隔離しているが、攪拌手段と磁気的に係合する。従って、駆動手段及び攪拌手段は磁力特性を有する。即ち、駆動手段及び攪拌手段は1個以上の磁石を使用して、いずれか又は両方が影響を及ぼす。
【0061】
駆動手段及び攪拌手段の磁力特性は好適には磁石に対する吸引又は反発である。駆動手段及び攪拌手段は1個以上の磁石であり、或いは1個以上の磁石を含むことができるが、必ずしも必要ではない。手段の一つには例えば、磁石に吸引される強磁性材料であり、或いは強磁性材料を含むことができる。適切には、攪拌手段及び駆動手段の両方が少なくとも1個の磁石を含むことができる。磁石は(一般的には金属である)缶底部により離間させられた時であっても、夫々の手段の磁石が相互に係合するように、各手段と相対的に配置できる。駆動手段と結合される1個以上の磁石は適切には、駆動手段が移動した時に攪
拌手段の共鳴的な移動を生じさせるように、攪拌手段と結合された1個以上の磁石と係合する。磁石は回転子に取り付けられ、或いは部分的に埋め込むことができる。極が相互に反発するように、缶底部に最も接近する極が羽根車の磁石の極と反対になるように、回転子の磁石は位置決めされる。
【0062】
磁気的係合を行うためには、攪拌手段及び駆動手段には様々な構成がある。その中で、磁石−金属、磁石−磁石、又は超電導材料が使用できる。
第3形態において、本発明は反応混合物の成分を収容、混合及び開放するスプレー塗布装置にある。本塗布装置は、
■.混合物の第1成分を収容する容器と、
ii.容器から第1成分を開放する駆動手段と、
iii.容器と係合可能な容器密封装置とを有し、容器密封装置は、
a.流体が流通する流体開口と、流体開口は容器と流体連通し、
b.別の成分を収容する少なくとも1個の液だめと、液だめは流体開口と流体連通し、
c.少なくとも1個の液だめからの別の成分の流出を制御する混合弁とを有する。
【0063】
駆動手段の作動に際して、別の成分は第1成分の流通により少なくとも1個の液だめから吸引されると共に、別の成分は容器密封装置から出る前に第1成分と混合する。
容器は一般的に、本発明の第1及び/又は第2態様を参照して上述したような缶であり、上述したように圧縮ガス型又は液化ガス型のいずれであってもよい。
【0064】
本発明はいかなる多成分混合物を収容、混合及び散布するために使用できる。本発明はとりわけ多成分反応混合物、特に二液型(エポキシ)塗料、又は樹脂及びエポキシ接着剤等の被覆剤への使用に向けられる。別の成分は硬化混合物を形成するように第1成分と反応する触媒又は化学的トリガであり得る。塗布装置は噴射剤及び製品を有するいかなる混合物にも使用できるが、とりわけ成分が相互に反応し、それ故実際に使用されるまで別々に保有されなければならない混合物に適している。
【0065】
容器は好適には缶である。第1成分は適切には散布される製品であり、より好適には混合反応物の構成成分である。第1成分は単一の成分であり、より好適には1よりも多い成分自体の混合物である。
【0066】
好適には、別の成分は反応混合物の別の成分である。第1成分と同様に、別の成分は単一の構成成分であり、より好適には、1よりも多い成分自体の混合物である。別の成分は拡散補助又は仕上げ製品であり得る。
【0067】
容器の特定の好適な実施形態において、プラスチック製管は缶底部から缶上端の駆動装置まで上に延びており、駆動装置は一般的には作動弁を含む。作動弁は一般的に小型の押し下げ可能な頭片を有しており、頭片を貫通する細導管を備える。導管は頭片底部近くの入口から上端の小ノズルまで延びる。ばねが頭片を押し上げており、導管入口は密封シールにより遮断される。
【0068】
この好適な実施形態によれば、頭片が押し下げられた時に、入口はシールの下へ摺動し、缶内部から外部への通路が開放される。高圧噴射剤ガスは液体製品をプラスチック缶の上へ押し上げ、ノズルを通り外へ押し出す。細ノズルは微細スプレーを形成する流通液体を霧化するのに役立つ。
【0069】
代替的な容器及び装置において、噴射剤は液化ガスであると共に、噴射剤は一般的高圧に圧縮された時には、その沸点よりかなり上であっても液体の形態をなす。
製品は室温では液体であるので、缶が密封される前に簡単に注入できる。他方で、噴射剤は般的には缶が密封された後に高圧で送り込まれる。噴射剤が十分に高圧に維持された時には、噴射剤は膨張して気体となり得ない。噴射剤は圧力が維持される限り液体形態のままである。
【0070】
本好適な実施形態によれば、作動弁が開放された時には、液体噴射剤の圧力は低減される。より低圧な状態で、噴射剤は沸騰し始める。粒子が自由になり、容器の上端にはガス層が形成される。次にこの圧縮ガス層は一般的に液体製品並びに液体噴射剤の幾らかを管の上へノズルまで押し上げる。
【0071】
容器密封装置は第1成分及び別の成分の混合を可能にするように構成できる。
流体開口は好適には混合弁と結合される。混合弁は第1位置において液だめを実質的に密封すると共に、第2位置において別の成分の流通を可能にするように構成できる。弁はまた、別の成分が少なくとも1個の液だめから流出する速度を調整するために調整可能にできる。
【0072】
容器密封装置は好適には、いずれかの方法で第1成分を保持する容器と係合可能にできる。容器密封装置は、容器密封装置の取り替えを可能にするべく、容器から取り外し可能にされるのが好ましい。このようにして、様々な別成分を有する様々な容器密封装置を、単一の容器に使用できる。
【0073】
容器密封装置は好適には少なくとも部分的に透視性を有することができる。特定の好適な実施形態において、容器密封装置は液だめに残る別成分の量を確認するために、別成分を収容する液だめ部分のみが透視性を有するようにできる。
【0074】
容器密封装置は一般的に容器への流体型シールを形成できる。流体型シールは容器密封装置及び容器の間に置かれるゴム製座金等の密封手段を使用することにより増強できる。容器密封装置は使用者が容器密封装置を容器に取り付け且つ容器から取り外すことができるように、外部に把持増強手段を有することができる。把持増強手段は適切には手動で作動させるように構成できる。
【0075】
容器密封装置は適切には強固であるが軽量の材料、例えばプラスチックから製造できる。最も好ましくは、容器密封装置はポリエチレンテレフタレート(PET)から製造できる。容器密封装置は適切には射出成形されるが、適当な方法に従い製造することもできる。
【0076】
2個の成分は好適には乱流状態で混合すると共に、混合工程は略瞬間的である。2流体間の混合は、混合物又は別成分の第1成分を保有する容器への逆流が僅か又は殆ど起こらないように行われるのが特に好ましい。本態様は2個の成分の混合が望まれない時に、2成分の混合の機会を最小限にできる。逆止め弁等の逆流阻止手段を設けることができる。
【0077】
適切には、容器密封装置は混合弁が完全に閉鎖されている時に、容器内の第1成分が別成分と混合することなく流体開口へ接近するのを可能にできる。このようにして、使用者が第1成分のみを使用したいならば、容器密封装置がこれを可能にするように構成できる。一般的に、パイプは流体開口及び液だめを連結する。
【0078】
容器に保有された第1成分は基礎流体であり、別成分は濃縮流体であることが特に好ましい。
液だめは別成分、最も好ましくは第2流体を収容する。単一の充填液だめは容器に収容されている第1成分の量よりも多くと混合することができる。液だめは一般的には容器密
封装置と一体的に形成できる。液だめはまた補充可能及び/又は排出可能にできる。液だめは適切には、第1成分と混合する時に効率的及び/又は簡易に排出し、或いは簡単に液だめを空にするように構成できる。液だめの簡易な排出を可能にするために、ブリード弁又は同様なものが設けられてもよい。液だめは容器密封装置から取り外し可能且つ取替え可能にできる。
【0079】
液だめは適切には容器密封装置又は容器の他の構成要素と同じ又は同様な材料から製造され、或いは異なった材料から製造され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
本発明の種々の実施形態を図面を参照して以下に説明する。
本発明の第1態様では、スプレー塗布装置が提供される。
本発明の第1態様のスプレー塗布装置10の好適な実施形態を図3〜図6に示す。塗布装置10は混合物の第1成分を収容する缶1と、混合物の別の成分を開放可能に収容するパウチ又は袋4とを有する。パウチ又は袋4は、第2成分が第1成分と別々に保有される第1非混合状態と、パウチ又は袋4が第1成分と混合するために第2成分を開放する第2混合状態の間を移動可能とされる。
【0081】
本発明はいかなる多成分混合物を保有し、混合し且つ散布するために使用されてもよい。本発明はとりわけ多成分反応混合物、特に二液型(エポキシ)塗料、樹脂及びエポキシ接着剤等の被覆剤への使用を目的とする。別成分は硬化可能な混合物を形成するべく第1成分と反応するように、触媒又は化学的トリガであってもよい。塗布装置10は噴射剤及び製品を有する混合物に使用され得るが、成分が相互に反応し、それ故実際に使用されるまで別々に保有されなければならない混合物に特に適している。
【0082】
好適な実施形態の塗布装置10は、一般的にはエアゾールとして一般に呼ばれている圧縮式スプレー塗布装置である。エアゾールは一般的に図1に図示するような幾つかの構成要素から成る。即ち、
・エアゾール缶、即ち容器;
・製品;
・噴射剤;
・作動弁;
・浸漬管;
・アクチュエータ。
【0083】
図面に示す本発明のスプレー塗布装置は上記の構成要素を有するが、作動弁及びアクチュエータは単一の符号21を使用して概して参照される。
エアゾール装置、圧縮ガス装置及び液化ガス装置を構成する方法は主に二つあり、いずれの装置でも本発明に使用できる。両装置は塗布装置10と同じ構成要素を有する。
【0084】
缶1において、プラスチック製浸漬管22は缶1の底部から上方へ、缶1の上端の弁装置21まで延出する。弁装置21は概して小型の押し下げ可能な頭片23を有し、頭片23はその頭片23を貫通する細導管を備える。導管は頭片の底部付近の入口から上端の小ノズルまで延出する。ばねが頭片を上へ押し上げており、また導管入口は密封シールにより遮断される。
【0085】
本発明により開示されるようなスプレー塗布装置10は、概してエアゾール缶1であり、また第1収容部は、ブリキ板鋼又はアルミニウムから通常は形成される缶1自体である。
【0086】
缶1は一般的に3個の構成要素、即ち弁装置21を収容する上端部24と、本体25と、底部26から構成される。3片缶1は概してブリキ板から製造される。
エアゾール缶を形成するために使用される板の厚みは、缶の寸法、圧力仕様、また板が缶本体のためであるか或いは端部構成要素のためであるかによって変化する。缶本体では、厚みは概して0.18ミリメートルから0.25ミリメートルの範囲にあり、上端部/底部では、厚みは概して0.28ミリメートルから0.43ミリメートルの範囲にある。
【0087】
缶の上端部24は円錐状であり、その上端に弁装置21及び浸漬管22のための開口を備える。缶1の本体25は円柱状である。底部26は円環面体状であり、且つ内方へ湾曲している。
【0088】
缶1の底部26には開口が形成されている。開口は缶1の外側から缶1の内部への流通を可能にする。
開口には、第2成分が第1成分とは別に保有される第1非混合状態及び第2混合状態の間でパウチ又は袋4を移動させる駆動手段27が備えられる。開口は、缶1の中のいかなる物質も缶1から開口を通り流出することはできず、備えられた弁装置21を通り缶から流出しなければならないように、缶1の底部26において密封される。
【0089】
湾曲底部26の構成を伴い、製品は残らず缶1の周縁周りの小さな部分に集まる。これにより殆ど全ての液体をより簡単に空にすることができる。
第1成分は散布される製品、より好適には反応混合物の構成成分である。
【0090】
パウチ又は袋4は缶1の下側部分へ向けて位置決めされる。パウチ又は袋4は混合物の別成分を収容する。別成分は好適には反応混合物の別の構成成分である。第1成分と同様に、別成分は単一の構成成分であり、より好適には1個よりも多い成分自体の混合物である。
【0091】
パウチ又は袋4は缶1の底部26に当接し又は載置するように位置決めされる。パウチ又は袋4は扁平環形状であり、中心部に設けられた開口を備える。パウチ又は袋4を所定位置に位置決めし且つ固定するのを援助するために、位置決め部28が設けられる。位置決め部は位置決め突起28である。パウチ又は袋4の開口は、缶1の底部26と結合された位置決め突起28に嵌合するように設けられる。一旦パウチ又は袋4が位置決め部28と相対的に位置決めされると、放出部材2がパウチ又は袋4と結合される。
【0092】
パウチ又は袋4は破裂可能とされている。放出部材2は位置決め凸部28と相対的に取り付けられる。放出部材2は缶1の底部26の形状と一致するように部分的に弓状形状とされている。放出部材2はパウチ又は袋4の寸法と略同じ寸法である。このようにして、放出部材28はパウチ又は袋4へ実質的な力を作用させると共に、別成分の放出効果を増大させることができる。
【0093】
放出部材4は、パウチ又は袋4が放出部材28及び缶1の底部26の間にある状態で放出部材4が缶1の底部26から離間させられている第1状態、及びパウチ又は袋4が放出部材2及び缶1の底部26の間にある状態で放出部材28が缶1の底部26へ押し付けられることにより、別成分をパウチ又は袋4から強制的に放出させる第2状態の間で放出部材28を移動させるように、駆動手段27と結合される。
【0094】
位置決め部28は缶1の底部26から上方へ延出する管状部である。本発明の本態様の特定の好適な形態に係り設けられる駆動手段27は、管状位置決め部28まで延出する凸部29を有する放出部材2を含む。凸部29はねじ入れられると共に、対応するようにねじ入れられ且つ外側から接近可能な把持手段30が設けられ且つ凸部29と結合される。
把持手段30は缶1が直立形態で静止している時に缶1のバランスに影響を及ぼす距離だけ、缶1の底部26から延びていない。
【0095】
把持手段30の回転によって、凸部29が缶1の底部26へ向けて引き下ろされ、放出部材2が缶1の底部26へ向けて移動する。これによりパウチ又は袋4及びその中の流体へ圧力又は圧縮力が作用して、パウチ又は袋4は第1状態から第2状態へ移動する。この圧縮力によってまた、パウチ又は袋4が破裂して、第2成分が缶1に放出する。
【0096】
それ故この放出部材2は、第2成分が第1成分と別々に保有されている第1非混合状態、及びパウチ又は袋4が第1成分と混合するために第2成分を開放させる第2混合状態の間でパウチ又は袋4を移動させる。
【0097】
本発明の第2態様の好適な実施形態において、図7に示すスプレー塗布装置10が提供される。塗布装置10は塗布される流体を収容する缶1を有しており、容器1は流体を攪拌するために内部羽根車31を有する。塗布装置10はまた、羽根車31から離間しているが羽根車31と係合可能な回転子6,32を有し、回転子6,32は羽根車31を缶1の中で磁気的に駆動するために、羽根車31と係合するように構成される。
【0098】
塗布される流体は構成成分の混合物であり得る。缶1は塗布される流体を缶から放出するのを援助し、或いは放出を強制的に行うために、概ね噴射剤を含む。ここに説明するように構成される缶1及び回転子6,32は、図6にも示す本発明の第1態様と組み合わせて提供されてもよい。
【0099】
本発明の第2態様の好適な実施形態において使用される缶は、本発明の第1態様を参照して上述した缶と同様であり、また上述したような圧縮ガス型又は液化ガス型のいずれのものであってもよい。
【0100】
流体を攪拌するための内部羽根車31は攪拌を行うように構成されたいかなる構成を有していてもよく、また混合手段であってもよい。流体は単一の構成成分を有し、より好適には1よりも多い構成成分自体の混合物であってもよい。攪拌手段は本発明の第1態様を参照して上述したような多成分反応混合物をより徹底的に混合する機能を果たすこともできる。
【0101】
羽根車31は図7に図示されているが、図6に図示する例のような、通常のエアゾール缶に見られるものと同様な混合ビーズ3が攪拌手段として使用されてもよい。
羽根車31は缶1の中において缶1の長手軸と一致していなければ平行な軸の周りを回転可能とされている。羽根車31は缶1の底部26の付近に取り付けられる。羽根車31は取付け台、一般的には位置決め部28と相対的に取り付けられる。位置決め部28は缶1の底部26から上方に延出する突起である。
【0102】
羽根車31は位置決め突起28と相対的に取り付けられる。羽根車31は良好に分散させられた攪拌を提供するように、半径方向の中心に位置決めされる。羽根車31は缶1の底部26の形状と少なくとも部分的に一致するように、部分的に弓形形状である。羽根車31は缶1の底部26の寸法と略同じ寸法である。
【0103】
羽根車31は攪拌効率を高めるために1個以上の羽根33を有する。羽根33は缶1の中での多方向における攪拌を促進し或いは実施するために、特定のピッチを有する。
回転子6,32は缶1の外部に設けられると共に、羽根車31は缶1の内部に設けられる。これにより缶1はノズル及び弁装置21から離間して完全に密封され得、塗布される流体の流出を可能にするが、塗布される流体の徹底的な攪拌を可能にするように構成され
る構成をも提供する。
【0104】
回転子6,32は缶1の底部26の形状と少なくとも部分的に一致するように、少なくとも部分的に整形される。回転子6,32は少なくとも部分的に環状であり、その回転子6,32を貫通する略中心に位置決めされる開口を備える。回転子6,32の環状部は断面が弓形である。開口はいかなる寸法であってもよく、例えば開口は、本発明の第1態様に関して上述したような缶1の底部の把持手段30が図6に示すように収容されるようであり得る。
【0105】
回転子6,32は、回転子6,32及び缶1の底部26の外面の間が最小限の離隔距離を有するように、缶1の底部26から僅かに離間するように取り付けられる。回転子6,32は内部に取り付けられる羽根車31と一致するように、取付け台42上において半径方向中心に位置決めされる。
【0106】
回転子6,32の回転は小型モータ18によって行われる。ハウジング15には凹部34が設けられる。凹部34は缶1の底部26及び缶1の下側部分を収容するように寸法が決められる。凹部34は缶1を更に支持する側壁により画定される。
【0107】
回転子6,32は、缶1が凹部34内に配置され、回転子が缶1の底部26から僅かに離間させられるように、凹部34内に位置決めされる。回転子34は羽根車31又はビーズ3等を駆動するように機能する。回転子はモータ18等の回転子を回転させる手段と結合される。モータ18はバッテリ20等のモータと結合される適切な動力源を有する。作動スイッチ19も設けられる。
【0108】
回転子6,32は缶1の底部26により羽根車と離間させられるが、羽根車31と磁気的に係合する。回転子6,32及び羽根車31は磁気特性を有し、即ち1個以上の磁石を使用してそのいずれか又は両方が影響を及ぼす。
【0109】
回転子6,32及び羽根車31の磁気特性は好適には、磁石7に対する吸引又は反発である。回転子6,32及び羽根車31の両者は少なくとも1個の磁石7を含む。(一般的には金属である)缶の底部により離間させられた時であっても、夫々の手段の磁石7が相互に係合し得るように、磁石7は各手段と相対的に配置される。極が相互に反発するように、缶の底部に最も近い極が羽根車31の磁石の極と反対側になるように、回転子6,32の磁石7は位置決めされる。
【0110】
本発明の第3態様の好適な実施形態において、図8及び図9に示すスプレー塗布装置10が提供される。塗布装置10は混合物の第1成分を収容する缶1と、第1成分を缶から開放する駆動手段36を有する。塗布装置はまた、缶1と係合可能な容器密封装置37を含む。容器密封装置37は流体開口38と、液だめ39と、混合弁40を有する。流体は流体開口38を通り流れると共に、流体開口38は缶1と流体連通する。液だめ39は別の成分を収容し、流体開口38と流体連通する。混合弁40は液だめ39からの別成分の流出を制御する。一般的に、管43は流体開口及び液だめ39を連結する。駆動手段36の作動に際して、別成分は第1成分の流れによって液だめ39から吸引されると共に、容器密封装置37から流出する前に別成分は第1成分と混合する。駆動手段36が作動された時には、第1流体は缶1から流出し、第1流体が液だめ39を通過するにつれて、第1流体と混合するために第1流体は第2流体を液だめから吸引する。
【0111】
缶1は本発明の第1及び/又は第2態様を参照して上述した缶と同様であり、上述したような圧縮ガス型又は液化ガス型のいずれであってもよい。
本発明の本態様はいかなる多成分混合物を収容し、混合し、且つ散布するために使用で
きる。本態様はとりわけ、多成分反応混合物、特に二液型(エポキシ)塗料又は樹脂及びエポキシ接着剤等の被覆剤での使用に向けられる。別の成分は硬化可能な混合物を形成するべく第1成分と反応するために、触媒又は化学的トリガであってよい。塗布装置は噴射剤及び製品を有するいかなる混合物にも使用できるが、とりわけ成分が相互に反応し、従って実際に使用されるまで別々に保有されなければならない混合物に適している。
【0112】
第1成分は適切には散布される製品であり、より好適には反応混合物の構成成分であり得る。第1成分は単一の構成成分であり、より好適には1よりも多い成分自体の混合物であってよい。
【0113】
好適には、別成分は反応混合物の別の構成成分である。第1成分と同様に、別成分は単一の構成成分であり、より好適には1よりも多い成分自体の混合物であってよい。別成分は散布補助又は仕上げ製品であり得る。
【0114】
容器密封装置37は第1成分及び別成分の混合を可能にするように構成される。
流体開口38は混合弁40と結合される。混合弁40は第1位置において液だめ39を実質的に密封すると共に、第2位置において別成分の流出を可能にするように構成される。混合弁40はまた、別成分が液だめ39から流出する速度を調整するべく、調整が可能である。
【0115】
容器密封装置37は、液だめ39に残る別成分の量を確認するべく、特に別成分を収容する液だめ39の部分において、少なくとも部分的に透視性を備える。
2個の成分は乱流状態で混合すると共に、その混合は略瞬間的であり、逆止め弁41等の逆流を阻止する手段が設けられる。
【0116】
本明細書及び請求項において、「から成り」という用語、及び「(1個のもの)から成る」及び「(複数のもの)から成る」を含むその派生語は、述べられた完全体の各々を含むが、1個以上の更なる完全体の包含を除外するものではない。
【0117】
本明細書全体において「一実施形態」又は「ある実施形態」とは、実施形態と関連して説明されている特定の特徴、構成、又は特性は少なくとも本発明の一実施形態に含まれるということを意味する。従って、本明細書の様々な部分での「一実施形態において」又は「ある実施形態において」という句の出現は、必ずしも全て同一の実施形態について言及しているのではない。更に、特定の特徴、構造又は特性は適当な方法で1つ又は複数の組み合わせに組み合わせられてもよい。
【0118】
法令に従って、本発明は言語において、おおよそ構造的又は方法的な特徴について説明されている。当然のことながら、本発明は図示又は説明されている特定の特徴に限定されるものではない。なぜならば、ここに説明される手段は本発明を実施するのに好適な形状を備えるからである。従って、本発明は当該技術分野に属する者によって適切に説明される添付の請求項の適当な範囲内において、その形態又は変形体で請求される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】従来の圧縮ガスエアゾール缶を示す部分断面図。
【図2】従来の液化ガスエアゾール缶を示す部分断面図。
【図3】本発明の第1態様に係るスプレー塗布装置の好適な実施形態を示す断面正面図。
【図4】第2収容部が非混合状態にある図3に図示するスプレー塗布装置の下側部分を示す詳細断面正面図。
【図5】第2収容部が混合状態にある図3に図示するスプレー塗布装置の下側部分を示す詳細断面正面図。
【図6】駆動手段が図示されている本発明の第1態様に係るスプレー塗布装置の好適な実施形態を示す断面正面図。
【図7】本発明の第2態様に係るスプレー塗布装置の好適な実施形態を示す断面正面図。
【図8】混合弁が閉鎖状態にある本発明の第3態様に係るスプレー塗布装置の好適な実施形態の上側部分を示す断面正面図。
【図9】混合弁が開放即ち混合状態にある本発明の第3態様に係るスプレー塗布装置の好適な実施形態の上側部分を示す断面正面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応混合物を収容、混合及び開放するスプレー塗布装置であって、
i.前記混合物の第1成分を収容する第1収容部と、
ii.前記混合物の別の成分を開放可能に収容する少なくとも1個の第2収容部と、
iii.前記少なくとも1個の第2収容部から別の成分を強制的に放出する放出部材とを有し、
前記少なくとも1個の第2収容部の各々は、前記第2成分が前記第1成分と別々に保有される第1非混合状態及び、該第1成分と混合させるために該第2成分を該第2収容部から開放すると共に強制的に放出するように前記放出部材が操作される第2混合状態の間で作動可能である
ことを特徴とするスプレー塗布装置。
【請求項2】
前記容器の下側部分に設けられる開口と、前記第2収容部を前記第2成分が前記第1成分と別々に保有される前記第1非混合状態と前記混合状態の間で移動させる駆動手段とを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のスプレー塗布装置。
【請求項3】
前記第1収容部は圧縮缶であることを特徴とする請求項1に記載のスプレー塗布装置。
【請求項4】
前記第2収容部は前記圧縮缶の下側部分即ち底部へ向けて位置決めされることを特徴とする請求項3に記載のスプレー塗布装置。
【請求項5】
前記第2収容部はパウチ又は袋であると共に、前記缶の底部に当接し又は載置するように位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のスプレー塗布装置。
【請求項6】
前記バッグ又は袋式第2収容部は別の成分を開放するために破裂可能であることを特徴とする請求項5に記載のスプレー塗布装置。
【請求項7】
前記パウチ又は袋が前記放出部材及び前記缶底部の間にある状態で該放出部材が該缶底部から離間させられている第1状態と、該パウチ又は袋が該放出部材の間にあり、該放出部材が前記缶底部へ押し付けられることにより前記別の成分を前記パウチ又は袋から強制的に放出させる第2状態の間で該放出部材を移動させるように、前記放出部材は前記駆動手段と結合されることを特徴とする請求項6に記載のスプレー塗布装置。
【請求項8】
前記駆動手段は前記缶底部まで延出するねじ入れ式突部を有する前記放出部材を含むと共に、前記駆動手段の回転によって該放出部材は前記第1及び第2状態の間で移動することを特徴とする請求項7に記載のスプレー塗布装置。
【請求項9】
i.塗布される少なくとも1個の流体を収容する少なくとも1個の容
器と、該容器の1個は該少なくとも1個の流体を攪拌するために内部攪拌手段を有しており、
ii.前記攪拌手段から独立しているが係合可能な駆動手段と、該駆動手段は前記容器内において前記攪拌手段を磁気的に駆動するために該攪拌手段と係合するように構成される
ことを特徴とするスプレー塗布装置。
【請求項10】
反応混合物の成分を収容、混合及び開放するスプレー塗布装置であって、
i.前記混合物の第1成分を収容する容器と、
ii.前記第1成分を前記容器から開放する駆動手段と、
iii.前記容器と係合可能な容器密封装置とを有し、該容器密封装置は、
a.流体が流通する流体開口と、該流体開口は前記容器と流体連通しており、
b.別の成分を収容し、前記流体開口と流体連通する少なくとも1個の液だめと、
c.前記別の成分の前記少なくとも1個の液だめからの流出を制御する混合弁とを有し、
前記駆動手段の作動に際して、前記別の成分は前記第1成分の流れによって前記少なくとも1個の液だめから吸引されると共に、該別の成分は前記容器密封装置から出る前に前記第1成分と混合する
ことを特徴とするスプレー塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−500107(P2007−500107A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521343(P2006−521343)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001001
【国際公開番号】WO2005/012140
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506031007)
【氏名又は名称原語表記】LARKIN,Bryan James
【Fターム(参考)】