説明

スプレー装置の流量計測制御システム

【課題】金型面に塗布する離型剤等の種々の塗布剤が微量な場合でも容易に調整精度の向上が可能となるスプレー装置の流量計測制御システムを提供する。
【解決手段】塗布剤収容部8から所定量の塗布剤を供給するよう吐出量調整アンプ3に接続した供給ポンプ2と、該供給ポンプ2に接続した電磁弁4と、該電磁弁4に接続したスプレーノズル12用の三方切替弁5と、電磁弁4、三方切替弁5それぞれからの計測ライン14中の流量計測部6とを備える。三方切替弁5を切替閉弁し、電磁弁4を開弁して流量計測部6によって塗布剤の単位時間当たりの流量を計測、算出する。この計測データに基づいて、塗布剤の最適供給量に対応するよう、吐出量調整アンプ3によって当該供給ポンプ2それぞれの駆動時間を制御し、切替開弁した三方切替弁5から供給ライン13によるスプレーノズル12によって塗布剤を供給噴出するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばダイカスト鋳造やチクソモールド成形等に用いられる金型の成形面に離型剤等を供給ポンプの駆動で噴射塗布する際、それが微量である場合でも供給ポンプによる供給量を予め計測することで、精確に供給噴射できるようにしたスプレー装置の流量計測制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスプレー装置としては、例えば特許文献1に開示されているスプレー装置が存在する。すなわち、これはCPUに予め入力された金型のポイントの位置へスプレーがロボットハンドの作動により移動して、金型のキャビティー形状に応じて離型剤の塗付量を予定し、その塗付量に応じて電磁弁の開閉時間をノズル制御バルブで制御し、最も適切な量だけ塗布するように構成されている。
【0003】
また、特許文献2に開示されている金型用スプレー装置が存在する。すなわち、これは型開きされた複数の金型の間に進退自在に設けられたスプレーユニットが、離型剤とエアーとを分岐して供給するマニホールドと、各金型に対しそれぞれ平行となる配置でマニホールドに支持されて、対面する金型成形面に相対向する各箇所に離型剤通過孔がそれぞれ形成されたマスキング用プレートと、前記マニホールドに連通接続されて前記離型剤通過孔を介し金型成形面に離型剤を噴射できる位置に配設された離型剤スプレーノズルとによって一体化されて成る。
【0004】
そして、この金型用スプレー装置は、離型剤スプレーノズルから噴射した離型剤のうち、金型成形面に相対向するマスキング用プレートの離型剤通過孔内を通過した一部分のみが金型に塗布されることで、余分な量の離型剤が金型に噴射されることによる離型剤の相互干渉を無くし、金型成形面への離型剤の付着率を高くすると共に、必要な金型成形面のみに離型剤が必要量だけ確実に塗布されるように構成されている。
【特許文献1】特開平6−47514号公報
【特許文献2】特開2005−962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来における特許文献1によるスプレー装置の場合は、金型のキャビティー形状に応じて離型剤の全体塗付量を予定しておき、その塗付量に応じて電磁弁の開閉時間をノズル制御バルブで制御していることから、塗布量が微量である場合には、このノズル制御バルブ自体の噴出特性の差異に応じて、電磁弁の開閉時間の微調整を高精確度で行う必要が生じるのであるが、このような微調整作業をノズル制御バルブだけで制御することは困難であった。
【0006】
また、特許文献2による金型用スプレー装置の場合は、離型剤スプレーノズルから噴射した離型剤のうち、金型成形面に相対向するマスキング用プレートの離型剤通過孔内を通過した一部分のみが金型に塗布されることから、この離型剤通過孔を介して噴射させるだけで離型剤の微量調整の精度を上げることは到底不可能であった。特に、狭小な形状や微小な凹凸形状となった金型面では、このようなマスキング用プレートを使用しただけでは、離型剤の塗布ムラを確実に抑制することができない。
【0007】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、スプレーノズルからの離型剤等の各種の塗布剤等を供給ポンプの駆動で供給噴射するに際し、金型面に塗布される離型剤等の種々の塗布剤が微量である場合でも調整精度を容易に向上させることができるものとし、例えば供給ポンプによる供給特性が例えば使用に伴い変動するようなことがあっても、供給ポンプ毎に異なる個々の特性に対応した供給特性を予め計測しておき、また、供給ポンプ毎にそれを計測しながらも調整設定できるようにして、必要とする微量な塗布剤の最適供給量にすることができるスプレー装置の流量計測制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、塗布剤収容部8から所定量の塗布剤を供給させるよう吐出量調整アンプ3に接続された供給ポンプ2と、該供給ポンプ2に接続された電磁弁4と、該電磁弁4に接続された供給ライン13中のスプレーノズル12用の三方切替弁5と、電磁弁4、三方切替弁5それぞれの接続部から分岐して接続された計測ライン14中の流量計測部6とを備え、三方切替弁5を切替閉弁し且つ電磁弁4を開弁して流量計測部6によって前記供給ポンプ2の駆動による塗布剤の単位時間当たりの流量を予め計測しておき、該計測データに基づく塗布面に必要な塗布剤の最適供給量に対応して塗布剤収容部8から前記供給ポンプ2を介して電磁弁3に送られるよう吐出量調整アンプ3によって当該供給ポンプ2の駆動時間を制御させ、切替開弁された三方切替弁5を経てスプレーノズル12によって塗布剤を噴出させることを特徴とする。
三方切替弁5は、流量計測時では流量計測部10を配した計測ライン14側に、塗布剤供給時ではスプレーノズル12に接続する供給ライン13側に流路を切り替えるようにすることができる。
計測ライン14では、流量計測部6における計測中にオーバーフローした塗布剤を塗布剤収容部8に戻すことが可能な還流ライン7を設けたものとすることができる。
流量計測部6には、計測後の塗布剤を当該流量計測部6の最下点位置より下方の塗布剤収容部8に戻すよう電磁弁4、三方切替弁5、流量計測部6それぞれの接続部から分岐した戻し用ライン9に戻し電磁弁15を備えて成るものとすることができる。
流量計測部6は、縦長のガラス管11に沿って所定の間隔をおいて上下に設置された光学式液面検出センサーによる非接液型の流量計測手段10を備えて成るものとすることができる。
【0009】
以上のように構成された本発明に係るスプレー装置の流量計測制御システムにあって、流量計測部6は、三方切替弁5を切替閉弁し且つ電磁弁4を開弁した状態において、供給ポンプ2の駆動によって供給作動されるときの塗布剤が一定量に達するまでの時間が流量計測手段10によってカウントされる。このカウントによって当該供給ポンプ2の駆動による当該塗布剤の単位時間当たりの流量が算出され、例えば金型面に対する離型剤等の塗布剤の最適供給量とさせるように計測データに基づき吐出量調整アンプ3の制御量を設定して当該供給ポンプ2を駆動する。
すなわち、吐出量調整アンプ3においては、この単位時間当たりの流量に基づいて、塗布面に必要な塗布剤の最適供給量に対応して、供給ポンプ12の供給作動時間を制御駆動させる。
すなわち、最適供給量の塗布剤が塗布剤収容部8から供給ポンプ2を介して電磁弁4に送られるよう吐出量調整アンプ3によって供給ポンプ2の駆動時間が制御され、切替開弁された三方切替弁5を経てスプレーノズル12によって必要とする最適供給量の塗布剤を噴出させる。
計測中における流量計測部6内部からオーバーフローした塗布剤は、還流ライン7を通ることで塗布剤収容部8に戻され、スプレーノズル12による供給噴射の一時的な停止と共に、計測ライン14によって供給ポンプ12毎の単位時間あたりの流量を常時正確に把握できるように計測させ、その計測に使用した塗布剤は塗布剤収容部8に環流ライン7にて戻させ、供給使用させる。
計測後の流量計測部6内部の塗布剤は、電磁弁4、三方切替弁5、流量計測部6それぞれの接続部から分岐して接続された戻し用ライン9の戻し電磁弁15を介しても、塗布剤収容部8に戻される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、供給ライン13における供給ポンプ2を介してスプレーノズル12からの離型剤等の各種の塗布剤等を供給ポンプ2の駆動で供給噴射するに際し、例えば金型面に塗布される離型剤等の種々の塗布剤が微量である場合の供給ポンプ2毎の調整精度を容易に向上させることができる。そして、供給ポンプ12それぞれによる供給特性が僅かでも異なり、また例えば使用に伴い変動するようなことがあっても、それが予め計測されることで、また、その都度、それを計測しながらも調整設定できるようにして、必要とする微量な塗布剤の最適供給量に常時対応することができる。
【0011】
すなわち、これは本発明が、三方切替弁5を切替閉弁し且つ電磁弁4を開弁して流量計測部6によって所定の供給ポンプ2の駆動による塗布剤の単位時間当たりの流量を予め計測しておき、該計測データに基づく塗布面に必要な塗布剤の最適供給量に対応して塗布剤収容部8から前記供給ポンプ2を介して電磁弁3に送られるよう吐出量調整アンプ3によって当該供給ポンプ2の駆動時間を制御させ、切替開弁された三方切替弁5を経てスプレーノズル12によって塗布剤を噴出させるものとしたからである。これにより、供給ポンプ2の駆動によって例えば金型面に塗布される微量な離型剤等の塗布剤の最適供給量に対応する調整精度を確実に向上させることができ、しかも、供給ポンプ2、吐出量調整アンプ3、供給ポンプ2、電磁弁4、三方切替弁5それぞれから成るユニットが複数連式に構成されている場合であっても、それぞれの供給ポンプ2を備える各ユニット毎にその塗布剤供給量が微量であっても、その調整精度を確実に向上させることができる。
【0012】
三方切替弁5は、流量計測時では流量計測部10を配した計測ライン14側に、塗布剤供給時ではスプレーノズル12に接続する供給ライン13側に流路を切り替えるようにしてあるから、電磁弁4との開閉作動の制御と共に、スプレーノズル12への供給を一時的にでも切り替えて、その供給量を常時計測でき、複数で配置される場合であっても、それらの供給ポンプ2毎に供給特性等が異なっていたり、使用に伴う変動その他があったりしても、これに対応できる。
【0013】
計測ライン14では、流量計測部6における計測中にオーバーフローした塗布剤を塗布剤収容部8に戻すことが可能な還流ライン7を設けたので、塗布剤収容部8に戻された塗布剤は、供給ポンプ2により電磁弁4、流量計測部6それぞれの間で還流させることができることから、例えば吐出量調整アンプ3、供給ポンプ2、電磁弁4、三方切替弁5それぞれから成るユニットが複数連式に構成されていて、それぞれによって所定の被噴射面(金型等)に塗布剤を噴射供給するとき、その噴射作業時の空き時間にでも、必要に応じて常時、その噴射量の精密測定を可能にする。
【0014】
流量計測部6には、計測後の塗布剤を当該流量計測部6の最下点位置より下方の塗布剤収容部8に戻されるよう電磁弁4、三方切替弁5、流量計測部6それぞれの接続部から分岐した戻し用ライン9に戻し電磁弁15を備えて成るので、これによって計測後の流量計測部6内の塗布剤を塗布剤収容部8内に容易に回収させることができる。
【0015】
流量計測部6は、縦長のガラス管11に沿って所定の間隔をおいて上下に設置された光学式液面検出センサーによる非接液型の流量計測手段10を備えて成るので、安定した高精度な流量検出が可能で、しかも光学式液面検出センサーは非接触型構造であることから、メンテナンス性に優れた圧力損失の少ない理想的な流量計測部6を構成することができる。
【0016】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。図において示される符号1は、本発明に係るスプレー装置の流量計測制御システムを構成する例えば4連噴射式の装置本体であり、該装置本体1は、例えば、ダイカスト鋳造やチクソモールド成形等に用いられる不図示の金型の成形面に塗布剤としての主として離型剤を噴射する用途に用いられる。
【0018】
装置本体1は、図1および図2に示すように、下方に配置した例えばタンク・容器等の塗布剤収容部8から塗布剤を供給させるための例えば4つの供給ポンプ2が上下方向に段状となって並置されており、各供給ポンプ2それぞれは4つの電磁弁4それぞれに接続されている。これら各供給ポンプ2および各電磁弁4それぞれは、その噴出特性において互いに差異が存在することがあることから、塗布剤の単位時間当たりの流量がそれぞれ微妙に異なっていることがある。そして、供給ポンプ2それぞれが、それぞれの電磁弁4、後述の吐出量調整アンプ3、三方切替弁5、スプレーノズル12によって、金型面その他の被噴射面に塗布剤を噴射供給する1ユニットを構成しており、図例にあっては4連式構成としてある。
【0019】
尚、本例における4連噴射式によるスプレー装置の構成は、本発明を何等拘束するものではなく、1連式もしくは4連式以外の複数連式による構成でも良いことは勿論である。また、塗布剤としては、ダイカスト鋳造やチクソモールド成形等に用いられる金型の成形面に噴射する離型剤を主として予定しているが、この離型剤に限定されることなく、例えば潤滑剤、コーティング剤、塗料、その他の種々の液状の塗布剤の噴射用途として用いても良い。
【0020】
そして、各供給ポンプ2には、塗布剤収容部8からの塗布剤を所定量だけ電磁弁4側へ供給できるようにするための例えばデジタル制御等により調整可能とした吐出量調整アンプ3が接続されている。この吐出量調整アンプ3によって、スプレーノズル12それぞれに対応した塗布剤の供給ポンプ2の駆動を制御するようになっており、その供給特性は供給ポンプ2毎に微妙にでも僅かに異なっていることがある。
【0021】
また、各電磁弁4は4つのスプレーノズル12用の三方切替弁5それぞれに接続されており、電磁弁4と三方切替弁5との各接続部から分岐されて計測ライン14が形成され、該計測ライン14における塗布剤上昇部分には流量計測部6が直列に接続されており、また、下方の塗布剤収容部8に向けて折り返された還流ライン7に連続されている。この還流ライン7は、流量計測部6によって計測中にオーバーフローした塗布剤を、塗布剤収容部8に自然落下によって戻すことができるように構成されている。
【0022】
尚、各スプレーノズル12は、異なる金型それぞれに対応して互いに独立に配置されていても良く、あるいは1個の金型に対して各スプレーノズル12が互いに異なる供給量となって配置されていても良い。
【0023】
また、電磁弁4、三方切替弁5、流量計測部6それぞれの接続部から分岐して下方の塗布剤収容部8に向けられるよう戻し用ライン9が設けられ、この戻し用ライン9の途中には、流量計測部6による計測後の塗布剤を当該流量計測部6の最下点位置より下方の塗布剤収容部8に戻すための回収用の戻し電磁弁15が接続されている。
【0024】
流量計測部6の具体的な構成例としては、例えば縦長のガラス管11に非接液型の流量計測手段10を備えることで形成される。すなわち、縦長のガラス管11に沿って所定の間隔Lだけ離れた各位置に、流量計測手段10として例えば受光部と射光部とを対向配置して成る光学式液面検出センサー等が付設される。このときガラス管11への取り付けは、結束バンドで締め付けるだけで簡単に装着でき、また取付位置を再調整する場合には、取付位置調整レバーにより、結束バンドを切らなくても簡単に再調整が行なえるようにしてある。
【0025】
この光学式液面検出センサーによる検出原理は、ガラス管11内に塗布剤がない場合には、当該ガラス管11と空気との屈折率の差が大きいため、射光部の光がガラス管11内壁面で全反射して受光部に入光する。一方、ガラス管11内に塗布剤がある場合、当該ガラス管11と塗布剤との屈折率の差が小さいため、射光部の光が塗布剤中に入り、受光部に入光しない。この物性光学的性質によって、上下位置にある光学式液面検出センサーそれぞれの間に挟まれたガラス管11内の所定の容積V部分に塗布剤が占有するまでの時間をカウントし、容積Vをこの時間で除算することで塗布剤の単位時間当たりの流量が得られる。
【0026】
また、流量計測部6の他の例としては、縦長のガラス管11にファラデーの法則を応用した電磁式流量センサーを備えることで形成しても良い。すなわち、電磁式流量センサーは、上下一対の電磁コイルの間にガラス管11が配置され、該ガラス管11の左右対向外壁面には外部電極が付設されて成る。この検出原理は、電磁コイルによる磁場中に導電性流体である塗布剤が一定方向に流れると、管内径×磁束密度×平均流速に比例して外部電極間に電圧が発生することから、単位時間当たりの流量の計測値はこの電圧を測定することにより得られる。
【0027】
こうして流量計測部6の使用に際し、図1に示すように、各ユニット毎で、三方切替弁5を切替閉弁し且つ電磁弁4を開弁して当該流量計測部6の非接液型の流量計測手段10によって、供給ポンプ2の駆動による塗布剤の単位時間当たりの流量を予め計測しておき、例えば自動演算によって算出された計測データによって、塗布面に必要な塗布剤の微量となっている最適供給量に対応して、吐出量調整アンプ3の調整等による制御によって供給ポンプ2を駆動制御する。すなわち、電磁弁4に接続された供給ライン13中のスプレーノズル12用の三方切替弁5の切替開弁によって、該三方切替弁5を経て、金型その他の被噴射面に対応しているスプレーノズル12から塗布剤が供給噴射されるようになっている。尚、流量計測手段10における算出された計測データが吐出量調整アンプ3の調整制御に自動的にリンクされるように構成しておいても良いものである。
【0028】
また、図中符号16は環流ライン7中に設けられたサブタンクであり、例えば流量計測部6における流量計測手段10による計量ミス等でオーバーフローした場合の塗布剤を一時的に貯留し、その計量ミスを警報するようにしてある。また、再度計量する場合(再起動)に、サブタンク16によって空気を流量計測部6に供給することで流量計測部6内の塗布剤を戻し電磁弁15の開弁操作で塗布剤収容部8に円滑に戻すことができ、再計量を可能にする油空分離機能を備えたものとしてある。
【0029】
次に、以上のように構成された最良の形態についての使用、動作の一例について説明する。図1に示すように、各ユニット毎における三方切替弁5および電磁弁4を切替閉弁状態にしておいてから、そのユニットにおける供給ポンプ2を駆動させ、計測手段10に塗布剤を送り込む。送り込まれた塗布剤は流量計測部6に送り込まれ、非接液型の流量計測手段10によって塗布剤の単位時間当たりの流量が計測され、例えば秒数に応じた時間に換算された流量が算出される。
【0030】
このときの流量計測は、ガラス管11の上下位置に配した光学式液面検出センサーそれぞれの間に挟まれたガラス管11内の所定の容積V部分に塗布剤が占有するまでの時間がカウントされ、容積Vをこの時間で除算されることで塗布剤の単位時間当たりの流量が得られる。
【0031】
尚、計測に際しての、単位時間当たりの流量を計測する計測ライン14中における流量計測部6のガラス管11内部からオーバーフローした塗布剤は、還流ライン7を通ることで塗布剤収容部8に自然落下によって戻される。必要があれば、これと同時に、戻し用ライン9の戻し電磁弁15を開弁することでガラス管11内の計測後の塗布剤は当該流量計測部6の最下点位置より下方の塗布剤収容部8に戻される。
【0032】
このような流量計測部6による計測は、各ユニットにおける供給ライン13毎の供給ポンプ12それぞれで行われ、電磁弁4の例えば最上段から最下段にわたって順次個別に行われ、それぞれ異なる動作特性を有する各供給ポンプ2、各電磁弁4等に対応して、被噴射面における塗布剤の最適供給量となるように、当該供給ポンプ2それぞれを制御する吐出量調整アンプ3それぞれのプログラムを設定する。
【0033】
こうすることで、流量計測手段10によって、所定容量のガラス管11内を満たす塗布剤の所要時間がわかり、単位時間当たりの流量を算出する。この算出された単位時間当たりの流量に基づいて、塗布面に必要な塗布剤の最適供給量に対応した所要時間が演算される。こうすることで、必要とする離型剤の噴射量は微量であって、金型あるいはその部分的な被噴射面に対応して異なる噴射量に対応して、塗布剤が微量な最適供給量となるべく供給ポンプ2の駆動時間が制御されるよう吐出量調整アンプ3を設定する。その結果、図2に示すように、この最適供給量に対応する駆動時間が制御されることで、ユニット毎の供給ライン13における供給ポンプ2、電磁弁4、三方切替弁5、スプレーノズル12それぞれによって当該塗布剤が噴出されるのである(図2参照)。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における計測流量制御システムの流量計測部による計測状態を示す概略構成図である。
【図2】同じく計測流量制御システムにおけるスプレー装置による供給噴射状態を示す概略構成図である
【符号の説明】
【0035】
1…装置本体 2…供給ポンプ
3…吐出量調整アンプ 4…電磁弁
5…三方切替弁 6…流量計測部
7…還流ライン 8…塗布剤収容部
9…戻し用ライン 10…流量計測手段
11…ガラス管 12…スプレーノズル
13…供給ライン 14…計測ライン
15…戻し電磁弁 16…サブタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布剤収容部から所定量の塗布剤を供給させるよう吐出量調整アンプに接続された供給ポンプと、該供給ポンプに接続された電磁弁と、該電磁弁に接続された供給ライン中のスプレーノズル用の三方切替弁と、電磁弁、三方切替弁それぞれの接続部から分岐して接続された計測ライン中の流量計測部とを備え、三方切替弁を切替閉弁し且つ電磁弁を開弁して流量計測部によって前記供給ポンプの駆動による塗布剤の単位時間当たりの流量を予め計測しておき、該計測データに基づく塗布面に必要な塗布剤の最適供給量に対応して塗布剤収容部から前記供給ポンプを介して電磁弁に送られるように吐出量調整アンプによって当該供給ポンプの駆動時間を制御させ、切替開弁された三方切替弁を経てスプレーノズルによって塗布剤を噴出させることを特徴としたスプレー装置の流量計測制御システム。
【請求項2】
三方切替弁は、流量計測時では流量計測部を配した計測ライン側に、塗布剤供給時ではスプレーノズルに接続する供給ライン側に流路を切り替えるようになっている請求項1記載のスプレー装置の流量計測制御システム。
【請求項3】
計測ラインでは、流量計測部における計測中にオーバーフローした塗布剤を塗布剤収容部に戻すことが可能な還流ラインを設けてある請求項1または2記載のスプレー装置の流量計測制御システム。
【請求項4】
流量計測部には、計測後の塗布剤を当該流量計測部の最下点位置より下方の塗布剤収容部に戻すよう電磁弁、三方切替弁、流量計測部それぞれの接続部から分岐した戻し用ラインに戻し電磁弁を備えて成る請求項1乃至3のいずれか記載のスプレー装置の流量計測制御システム。
【請求項5】
流量計測部は、縦長のガラス管に沿って所定の間隔をおいて上下に設置された光学式液面検出センサーによる非接液型の流量計測手段を備えて成る請求項1乃至4のいずれか記載のスプレー装置の流量計測制御システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−17681(P2010−17681A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182436(P2008−182436)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(399027015)ロボテック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】